「おい凪! 世界の端っこって、もしかしてコレじゃねえか?」
「本当にただの落書き……だな」
「本当にただの落書き……だな」
2人の少年・ペパーと広瀬凪は、ブロック塀に描かれた何の変哲もない"木の落書き"を、困惑した瞳で見つめていた。
この会場の四隅には、"世界の端っこ"なる空間への出入口が存在する。
説明文によれば、"木の落書き"に触れることで空間に入ることができ、そこから別の出入口に移動できる、とある。
ペパーと凪のスタート地点はF-1であり、目的地はテーブルシティで、距離はかなり離れている。
だが、この地点には"世界の端っこ"への入り口が存在した。ここを通ってA-1に行ければ、移動距離は少しながら縮まる。
説明文によれば、"木の落書き"に触れることで空間に入ることができ、そこから別の出入口に移動できる、とある。
ペパーと凪のスタート地点はF-1であり、目的地はテーブルシティで、距離はかなり離れている。
だが、この地点には"世界の端っこ"への入り口が存在した。ここを通ってA-1に行ければ、移動距離は少しながら縮まる。
それだけではない。出入口が複数あるという空間それ自体、危険人物と遭遇した際に相手を撒くのにも使えるかもしれなかった。
何にせよ、使い方を知っておくに越したことはないということで、2人の意見は一致した。
そこで目印となる落書きを探し始め、それらしきものをペパーが発見したのが、たった今のことである。
それは見たところ本当に普通の落書きでしか見えなかった為、2人は思わず面食らっていた。
何にせよ、使い方を知っておくに越したことはないということで、2人の意見は一致した。
そこで目印となる落書きを探し始め、それらしきものをペパーが発見したのが、たった今のことである。
それは見たところ本当に普通の落書きでしか見えなかった為、2人は思わず面食らっていた。
「俺は、落書きってのは目印か何かで、転送装置みたいなもんが別にあると思ってたけどな」
「……ちょっと待てペパー。お前んとこの世界、ワープ装置が普通にあんの?」
「ああ。どこにでもあるもんじゃねーけど、それなりには。俺もパルデアの大穴で使ったことあるし」
「ほんとにあるのかよ…… 地味にお前の世界やばくねーか?」
「……ちょっと待てペパー。お前んとこの世界、ワープ装置が普通にあんの?」
「ああ。どこにでもあるもんじゃねーけど、それなりには。俺もパルデアの大穴で使ったことあるし」
「ほんとにあるのかよ…… 地味にお前の世界やばくねーか?」
そう言う凪だが、"落書きで繋がっている空間"と類似したものを自分も知っていた。
マーヤが居場所にしている空間。古びた屋敷の階段を上がっていくと、徐々に周りの空間が変化していき、あの空間へと辿り着く。
恐らくは、あれと同じような仕掛けなのではないか?
マーヤが居場所にしている空間。古びた屋敷の階段を上がっていくと、徐々に周りの空間が変化していき、あの空間へと辿り着く。
恐らくは、あれと同じような仕掛けなのではないか?
「ま、とりあえず、触ってみようぜ」
2人は頷き合い、同時に落書きに触れた。
その瞬間、視界が一瞬にして切り替わり――――
その瞬間、視界が一瞬にして切り替わり――――
知らない少女の顔が2人の目の前にあった。
◆
"世界の端っこ"。
とある世界で、諸木良太という少年がib能力で作り出した空間である。
だがこの会場に、諸木良太の記憶存在<クローン>は存在しない。そして、"本物の諸木良太"が生きていた世界も、とうに滅び去っている。
だがこの会場に、諸木良太の記憶存在<クローン>は存在しない。そして、"本物の諸木良太"が生きていた世界も、とうに滅び去っている。
だから、この空間はいわば複製<コピー>に過ぎない。
たった今、殺し合いを強いられている参加者達が、ただの記憶存在<クローン>でしかないのと同じように。
たった今、殺し合いを強いられている参加者達が、ただの記憶存在<クローン>でしかないのと同じように。
"世界の端っこ"の空には、プラネタリウムのように多くの星が輝いている。
その光の下で、勇者姫アンルシアは本棚に並ぶ沢山の背表紙に視線を流していた。
傷一つない新品から、背表紙が色褪せ、何度も何度も読み込まれた痕跡が色濃く残るものまで様々な本が並べられていた。
別の世界の本なので内容は分からないが、どうやら娯楽用の本が多いようだ。
そういった本が多く出版できるということは、比較的安定した世界だったのだろう。
その光の下で、勇者姫アンルシアは本棚に並ぶ沢山の背表紙に視線を流していた。
傷一つない新品から、背表紙が色褪せ、何度も何度も読み込まれた痕跡が色濃く残るものまで様々な本が並べられていた。
別の世界の本なので内容は分からないが、どうやら娯楽用の本が多いようだ。
そういった本が多く出版できるということは、比較的安定した世界だったのだろう。
だが、その世界も、今や存在しない。
先程、魔仙卿から告げられた殺し合いの真実と、彼女から与えられた"依頼(クエスト)"。
滅んでいった数々の世界を再生させる為、この会場に存在する記憶生命への絶望を煽る。それが、この世界における自分の役割である。
その目的を果たす為、いつまでもここに留まってはいられなかった
出口の選択肢は4つある。自分はどこに向かうべきか。やはり、人の集まるところだろうか。
滅んでいった数々の世界を再生させる為、この会場に存在する記憶生命への絶望を煽る。それが、この世界における自分の役割である。
その目的を果たす為、いつまでもここに留まってはいられなかった
出口の選択肢は4つある。自分はどこに向かうべきか。やはり、人の集まるところだろうか。
……と、思いふけりながら出口に向かって歩いていったその時。
「え?」
「「あ……!?」」
「「あ……!?」」
距離にしてわずか数十センチ。少年2人と少女は鉢合わせした。
◆
眼前に突然現れた見知らぬ人物の顔。
お互いに何が起きたのか認識しきれず、一瞬の静寂がこの場を支配する。
お互いに何が起きたのか認識しきれず、一瞬の静寂がこの場を支配する。
だが、その沈黙も長くは続かない。
最も早く動いたのは、当然というべきか、死線を幾度も切り抜けた勇者姫・アンルシアだった。
最も早く動いたのは、当然というべきか、死線を幾度も切り抜けた勇者姫・アンルシアだった。
ペパーは目の前で何が起きたのか分からなかった。
目にも止まらぬ、とはこの事だろうか、一瞬にして少女の姿が視界から掻き消える。
次の瞬間には、ひやりとした感覚が首に走っていた。
明らかに常人のできる動きではなく、モンスターボールに手を伸ばす暇も、その発想に至る余裕すらなかった。
目にも止まらぬ、とはこの事だろうか、一瞬にして少女の姿が視界から掻き消える。
次の瞬間には、ひやりとした感覚が首に走っていた。
明らかに常人のできる動きではなく、モンスターボールに手を伸ばす暇も、その発想に至る余裕すらなかった。
ペパーは表情を固めたまま、ゆっくりとその冷たいものに首を向けた。そこで初めて、首筋に剣が突き付けられていることに気付いた。
恐怖感すらなかった。あまりに現実感が無さ過ぎて、脳の動きが追い付いていないのだろう。
だが徐々に状況を理解するとともに、背中に冷汗が流れていく。
恐怖感すらなかった。あまりに現実感が無さ過ぎて、脳の動きが追い付いていないのだろう。
だが徐々に状況を理解するとともに、背中に冷汗が流れていく。
傍らの凪も動けない。少女は右手のサーベルをペパーの首に突き付けると同時に、開いた左手を凪に向けていた。
手のひらからは、弾けるような音を立てながら電気の火花が散っている。
下手な動きをすればそこから電撃が飛んでくる、と凪は直感的に察した。
同時に悟った。目の前の少女は、大鳥希と同様、自分の常識を超えた力を持つ相手なのだということを。
手のひらからは、弾けるような音を立てながら電気の火花が散っている。
下手な動きをすればそこから電撃が飛んでくる、と凪は直感的に察した。
同時に悟った。目の前の少女は、大鳥希と同様、自分の常識を超えた力を持つ相手なのだということを。
「ちょ、ちょっと待ってくれお嬢さん。俺達は敵じゃないって言うか、殺し合いをするつもりはないっていうか」
あたふたとした凪の様子に、アンルシアは落ち着いて相手を見る余裕を取り戻した。
アンルシアにしても、それは明確な殺意に基づいた行動ではなかった。いわば、警戒態勢にあった戦士としての条件反射である。
2人の少年は、突然突き付けられた暴力に明らかに戸惑いを覚えていた。
殺し殺される世界とは無縁な人間なのは明白だ。
2人の少年は、突然突き付けられた暴力に明らかに戸惑いを覚えていた。
殺し殺される世界とは無縁な人間なのは明白だ。
魔仙卿との会話が再び頭をよぎった。
2人の生殺与奪の権は完全にこちらが握っており、このまま殺害することは簡単だ。
だが……
2人の生殺与奪の権は完全にこちらが握っており、このまま殺害することは簡単だ。
だが……
「大変失礼しました。私は、アンルシアといいます」
わずかの逡巡の後、アンルシアは剣を納め、そう言って深々と頭を下げた。
アンルシアが手を下ろす直前、彼女から広瀬凪に向けられた眼に、一瞬だけ不穏な光が走ったことに、ペパーも凪も気付かなかった。
◆
「本当にすみません。考え事をしていた時に、突然目の前に人が現れたので、つい咄嗟に」
「いえいえお嬢さん。こんな状況で前触れもなく目の前に誰かが現れたら驚くのも仕方がないというものですよ。お構いなく」
「お前な……」
「いえいえお嬢さん。こんな状況で前触れもなく目の前に誰かが現れたら驚くのも仕方がないというものですよ。お構いなく」
「お前な……」
凪の変わり身の早さに、呆れを通り越して半ば関心する。
が、すぐに表情を引き締め、何度も頭を下げ続けるアンルシアに向き合った。
が、すぐに表情を引き締め、何度も頭を下げ続けるアンルシアに向き合った。
「で、アンルシアさんだっけ? 俺達を解放してくれたってことは、殺し合いには乗ってねえってことでいいんだよな?」
「……そうですね。優勝を狙っては、いません」
「そっか、一応安心したぜ」
「……そうですね。優勝を狙っては、いません」
「そっか、一応安心したぜ」
口ではそう言うペパーだが、心中では不安が拭い切れていない。
首に突き付けられていた刃の冷たい感覚がまだ残っている。
咄嗟にああいう動きが出来るということは、恐らく、本物の殺し合いを何度も潜り抜けた人間だ。人を殺したこともあるかもしれない。
首に突き付けられていた刃の冷たい感覚がまだ残っている。
咄嗟にああいう動きが出来るということは、恐らく、本物の殺し合いを何度も潜り抜けた人間だ。人を殺したこともあるかもしれない。
言葉通り、本当に殺し合いに乗っていないならばいい。
だが、もし、そうでないなら。
だが、もし、そうでないなら。
(情報を聞き出した上で俺達を殺す気かもしれねえ。上手くやり過ごしたいけど、どうすっか)
「ああ、やっぱり信じられないわよね」
「あ?! い、いや……」
「ああ、やっぱり信じられないわよね」
「あ?! い、いや……」
だが、アンルシアにはその警戒も見抜かれていた。思わず狼狽の姿を見せたペパーに、アンルシアは苦笑する。
「私も訳あって一緒に行くことはできないから、私達はここで別れましょう。ただ一つだけお願いが」
アンルシアは静かに、凪に向かって視線を向ける。
「ヒロセ・ナギさん、でしたか。2人だけで少しお話しさせて頂いてもいいかしら?」
「へ? 俺?」
「へ? 俺?」
突然自分に話が振られて戸惑いを見せる凪。
「でも俺、何も知らねえよ?」
凪のその言葉に嘘は無かった。だが……
(可能性があるとしたら、この腕のことか……?)
握りしめた右の拳に力が入る。この力の正体については、自分でも全く分かっておらず、説明もできない。
もし、この力の存在をアンルシアに暴露されたら、ペパーからの信用も失いかねない。
もし、この力の存在をアンルシアに暴露されたら、ペパーからの信用も失いかねない。
「いやいや、それは駄目だ。凪一人にはさせられねえ」
「そう言われるのも仕方ありませんね。では、ペパーさんに私の武器と支給品を預け、話が終わったら返してもらう、ということでどうでしょうか?」
「ん、ん~、そこまで言うかよ…… なあ凪、お前はどうなんだ?」
「……ま、女の子がそこまで俺と話したいってんなら、断るって選択肢はないかな」
「そう言われるのも仕方ありませんね。では、ペパーさんに私の武器と支給品を預け、話が終わったら返してもらう、ということでどうでしょうか?」
「ん、ん~、そこまで言うかよ…… なあ凪、お前はどうなんだ?」
「……ま、女の子がそこまで俺と話したいってんなら、断るって選択肢はないかな」
そうおどけた答えを返す凪。だが、その視線が"何かあったらお前だけでも逃げろ"とペパーに告げていた。
そこで、遂にペパーは決断する。
そこで、遂にペパーは決断する。
「3分だ。3分経ったら俺はすぐ戻る。それでいいか?」
「分かったわ。ありがとう」
「信じさせてもらうからな、アンルシアさん。凪、後で会おうぜ」
「分かったわ。ありがとう」
「信じさせてもらうからな、アンルシアさん。凪、後で会おうぜ」
そう言い残し、"世界の端っこ"から出ていくペパーの背中を見送ると、アンルシアは凪を見据え、
「……出てきてもいいですよ」
と、"彼"にそう告げた。
頭上に?マークを浮かべ、きょとんとしていた凪。だが、その唇が、歪む。
「……ハッ、驚いたぜ。まさか、"オレ"に気づいてたとはな」
瞬間、凪の雰囲気が一変した。傲慢さを隠そうともしない口調と表情。別の人格が、広瀬凪のそれと入れ替わっていく。
「望み通り、出てきてやったぜ。で、どうするつもりだ。ここでやる気か?」
「人間ではないわね。モンスターでもない…… 何者なの?」
「モンスターとは随分だな、俺は"人"だよ。もっとも、生まれは……」
「人間ではないわね。モンスターでもない…… 何者なの?」
「モンスターとは随分だな、俺は"人"だよ。もっとも、生まれは……」
"彼"はゆっくりと右手を上げた。その人差し指が、"世界の端っこ"の天井に輝く星の一つを指し示す。
「"ここ"だがな」
それが示す意味を察したアンルシアが、思わず口をついて出てきた言葉は。
「………侵略者」
広瀬凪だった"彼"はその様子を鼻で笑う。
「侵略者か。地球(アルシャ)の人間からすれば、そうかもな」
「…………まさか、ジア・クト?」
「ジア……? 知らねえな。言っても分からねえだろうが、俺はゴズ星の王だ。
名はゾキゴッド・バシデロス・ゴズ。ゾキと呼べ」
「ゾキ…… 何故、彼の体に?」
「簡単な話さ。情けねえ話だが、そうしなきゃ死んでたからだよ。オレも、こいつもな」
「…………まさか、ジア・クト?」
「ジア……? 知らねえな。言っても分からねえだろうが、俺はゴズ星の王だ。
名はゾキゴッド・バシデロス・ゴズ。ゾキと呼べ」
「ゾキ…… 何故、彼の体に?」
「簡単な話さ。情けねえ話だが、そうしなきゃ死んでたからだよ。オレも、こいつもな」
そう言って肩をすくめるゾキ。
その言葉に嘘はなく、"広瀬凪"と"ゾキ"は、云わば共生状態にあることを、アンルシアはその"勇者の眼"を通して理解した。
その言葉に嘘はなく、"広瀬凪"と"ゾキ"は、云わば共生状態にあることを、アンルシアはその"勇者の眼"を通して理解した。
「それにしても、お前、随分良い"眼"を持ってるじゃねえか」
アンルシアは黙って目の前のゾキを見据えている。
「自慢じゃねえが、擬態には自信があったんでね。
それを見破られちゃあ、すげえじゃねえか、の一言では終わらせられねえ」
それを見破られちゃあ、すげえじゃねえか、の一言では終わらせられねえ」
それは決して負け惜しみの類ではない。
大鳥希も、エラメアの眼を受け継ぐアイラ・マシェフスキーも、広瀬凪のすぐ近くに居たにも関わらず、その右腕に潜む己の存在に気付いてはいなかった。
マーヤが気付いたのも力の存在までだ。自らの正体には感付かれていない。
つまり、アンルシアはエラメアの眼以上の"眼"を持っている、とゾキは推測した。
だから、こう言い放った。
大鳥希も、エラメアの眼を受け継ぐアイラ・マシェフスキーも、広瀬凪のすぐ近くに居たにも関わらず、その右腕に潜む己の存在に気付いてはいなかった。
マーヤが気付いたのも力の存在までだ。自らの正体には感付かれていない。
つまり、アンルシアはエラメアの眼以上の"眼"を持っている、とゾキは推測した。
だから、こう言い放った。
「……俺の正体以外にも何か見えてるんじゃねえのか?」
(…………っ!)
(…………っ!)
その言葉に、思わず身震いするアンルシア。それを見逃すゾキではない。
「何が、見えてやがる」
アンルシアを射貫くような視線で見つめるゾキ。
アンルシアは内心、焦りを感じ始めていた。また、ペパーが戻ってくるまであまり時間も無い。
そもそも自分は腹芸になど全く向いていないのだ。もうここは、腹を括って話すしかない。
アンルシアは内心、焦りを感じ始めていた。また、ペパーが戻ってくるまであまり時間も無い。
そもそも自分は腹芸になど全く向いていないのだ。もうここは、腹を括って話すしかない。
「そうね。私はこの殺し合いに於ける重大な事実を掴んでいる。ですが、何もなしには教えられない」
「へえ。じゃあ、力ずくで聞き出すか?」
「あなたの身体の殆どは普通の人間と変わらないはずよ。簡単にはいかないわ。それが分からない貴方じゃないでしょう?」
「……本当に厄介だな、その"眼"は」
「へえ。じゃあ、力ずくで聞き出すか?」
「あなたの身体の殆どは普通の人間と変わらないはずよ。簡単にはいかないわ。それが分からない貴方じゃないでしょう?」
「……本当に厄介だな、その"眼"は」
右手に雷の魔力を込めはじめるアンルシアの姿を見て、ゾキは肩をすくめ、降参のポーズを取る。
「……ゾキ。私には優勝や主催の打倒以上にやるべき仕事があるの」
その言葉に怪訝な顔をするゾキ。それに構わずアンルシアは続ける。
「もしその仕事を手伝ってくれるなら、あなたの目的に力を貸して上げても構わない。貴方の目的は、優勝なの?」
アンルシアの問いに、少し思案ののち、ゾキはこう答えた。
「俺にも叶えたい欲はある。だが一先ずは、様子見だな。あの主催の魔女がどこまで信用できるか分からんし、お前やポケモンとかいう気になる連中もいる。
……だが、それはそれとして、やらなきゃならねえことはある。お前がそれに協力してくれるというのなら、手を組んでやらなくもねえ」
……だが、それはそれとして、やらなきゃならねえことはある。お前がそれに協力してくれるというのなら、手を組んでやらなくもねえ」
「それは……?」
「広瀬岬一って奴の居場所を探ってもらおうか。生かして連れてくるなら、なおいい。ただし、俺のところに連れてくるまでは絶対に殺すな。死にそうなら、守れ」
「『ヒロセ』……? それはもしかして……」
「ああ、"俺"の弟だよ」
そう言って、ゾキはにやりと笑った。
「弟が死ねば、"俺"は自殺でもしかねないんでな。"俺"の為にも頼むぜ。……っと、そろそろペパーとかいう奴が戻ってくるな」
「では、ひとまずの合流場所は?」
「俺達の目的地、テーブルシティだ。12時にそこで落ち合おう。
……最後に、アンルシア。お前の"仕事"と見えている"真実"、必ず俺に話せよ」
……最後に、アンルシア。お前の"仕事"と見えている"真実"、必ず俺に話せよ」
「……もちろんです」
それを最後に、ゾキの気配は掻き消え……
「や、やべ!! なんかおれ、寝てた!?」
"広瀬凪"が、跳ね起きたように顔を上げていた。
「わ、わりい、俺たまに病気で意識飛ぶことがあって……」
「大丈夫ですよ。気にしてません」
「えっと、じゃ、俺に用ってなに?」
「ペパーさんは、私を警戒しているなので。もし、彼の前では話しづらいことがあればと思って」
「……そっか、じゃあ、お願いがある。」
凪は、真剣な瞳をアンルシアに向けた。
「広瀬岬一。俺の弟なんだけど、あいつはこの殺し合いを止めようと絶対無茶をする。
だから、もしあいつと会ったら、助けてやってくれ」
「…………」
だから、もしあいつと会ったら、助けてやってくれ」
「…………」
アンルシアは、言葉を失っていた。
完全に意識を失っていた凪が、ゾキとアンルシアの先ほどの会話を聞いていたはずはない。
だが、その"望み"は奇妙なまでに一致していた。
その裏にある感情は、多分、全く違うものなのだろうけれど。
完全に意識を失っていた凪が、ゾキとアンルシアの先ほどの会話を聞いていたはずはない。
だが、その"望み"は奇妙なまでに一致していた。
その裏にある感情は、多分、全く違うものなのだろうけれど。
「頼む」
深々と頭を下げる凪。その姿に、アンルシアはただ茫然として、
「……分かったわ。必ず……」
そう答えるしかできなかった。
「話、終わったかよ?」
「バフッ!!」
「バフッ!!」
ペパーが、パートナーのマフィティフと共に"世界の端っこ"に戻ってきたのは、その時だった。
◆
ペパーと凪の2人が、テーブルシティに向けて去って行った後。アンルシアは"世界の端っこ"でひとり思案していた。
2人を殺すという選択肢も頭によぎった。
彼らの死でそれなりの絶望を産み出すことはできるだろう。
だが、世界を救うのに必要なのは、真理念を産み出すに足る深き絶望だ。
そう、自分の役割は参加者の絶望を深めること。殺害はあくまで手段に過ぎない。
彼らの死でそれなりの絶望を産み出すことはできるだろう。
だが、世界を救うのに必要なのは、真理念を産み出すに足る深き絶望だ。
そう、自分の役割は参加者の絶望を深めること。殺害はあくまで手段に過ぎない。
ペパーという少年は、殺し合いとは縁のない、純朴な少年であった。
有体に言えば、いつでも殺せる相手だ。だから、泳がすこととした。
有体に言えば、いつでも殺せる相手だ。だから、泳がすこととした。
「ハノンなら、この世界の真実を知らなかった私なら、彼を守ろうとしただろうから」
大きな絶望とは、如何なる時に生まれるのか。
守るべき者を守れなかった時、自分達を守ろうとしてくれた者が斃れた時、愛する者が死した時。
そう、紡がれた繋がりが断たれた時にこそ、より強い絶望が生まれる。
アンルシアは、勇者であるからこそ、それを逆説的に知っていた。
守るべき者を守れなかった時、自分達を守ろうとしてくれた者が斃れた時、愛する者が死した時。
そう、紡がれた繋がりが断たれた時にこそ、より強い絶望が生まれる。
アンルシアは、勇者であるからこそ、それを逆説的に知っていた。
そして、広瀬凪の右手に潜む侵略者、ゾキ。
隠しきれない野心の持ち主だった。他人を殺すことにも、恐らく躊躇はないだろう。
彼が何故、広瀬岬一を欲するのかは分からない。勇者の眼でも心の中までは見通せない。
だが、もし彼がマーダーとして働いてくれるなら、参加者の絶望を煽る大きなカードとなるだろう。
隠しきれない野心の持ち主だった。他人を殺すことにも、恐らく躊躇はないだろう。
彼が何故、広瀬岬一を欲するのかは分からない。勇者の眼でも心の中までは見通せない。
だが、もし彼がマーダーとして働いてくれるなら、参加者の絶望を煽る大きなカードとなるだろう。
最後に、広瀬凪。
広瀬岬一に対する強い想いがあるようだった。
だから、彼の目の前で弟を殺せば……
広瀬岬一に対する強い想いがあるようだった。
だから、彼の目の前で弟を殺せば……
そこまで思い至って、首を振った。
(我ながら酷いことを考えてる)
だが、いつまでも自分の手を血で汚さない訳にはいかないだろう。
場合によっては、侵略者とも手を組む。愛する兄弟同士の絆も、引き裂く。
場合によっては、侵略者とも手を組む。愛する兄弟同士の絆も、引き裂く。
それが、世界再生の為の、勇者のクエストだから。
【世界の端っこ/一日目 黎明】
【アンルシア@ドラゴンクエストXオンライン】
[状態]:健康
[装備]:宰相のサーベル@ドラゴンクエストXオンライン
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者たちの絶望を深める。
1.世界再生の儀に協力する。
2.ハノンとは戦いたくない。
3.広瀬岬一の居場所を探る。
※参戦時期は、ver5エンディングの最中です。
※ゾキから広瀬岬一の居場所を探る依頼を受けました
【アンルシア@ドラゴンクエストXオンライン】
[状態]:健康
[装備]:宰相のサーベル@ドラゴンクエストXオンライン
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者たちの絶望を深める。
1.世界再生の儀に協力する。
2.ハノンとは戦いたくない。
3.広瀬岬一の居場所を探る。
※参戦時期は、ver5エンディングの最中です。
※ゾキから広瀬岬一の居場所を探る依頼を受けました
【A-1/一日目 黎明】
【ペパー@ポケットモンスター バイオレット】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、モンスターボール(マフィティフ)&テラスタルオーブ@ポケットモンスター バイオレット、不明支給品(確認済み、1~3)
[思考・状況]
基本行動方針:アオイ達と合流し、殺し合いを打破する
1.アオイ、ネモ、ボタン、死ぬなよ……
2.フトゥーAIがもし父ちゃんと同じ心を持っているのなら、今度こそ助けたい
3.校長せんせ……
4.アンルシアに対するわずかな警戒
【ペパー@ポケットモンスター バイオレット】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、モンスターボール(マフィティフ)&テラスタルオーブ@ポケットモンスター バイオレット、不明支給品(確認済み、1~3)
[思考・状況]
基本行動方針:アオイ達と合流し、殺し合いを打破する
1.アオイ、ネモ、ボタン、死ぬなよ……
2.フトゥーAIがもし父ちゃんと同じ心を持っているのなら、今度こそ助けたい
3.校長せんせ……
4.アンルシアに対するわずかな警戒
※本編、DLC終了後からの参戦です。
※広瀬凪からひとりぼっちの地球侵略の世界について簡単に説明を受けましたが、
宇宙人の存在などについては全く聞いていません。
※広瀬凪からひとりぼっちの地球侵略の世界について簡単に説明を受けましたが、
宇宙人の存在などについては全く聞いていません。
【広瀬凪@ひとりぼっちの地球侵略】
[状態]:健康、右腕にゾキ寄生
[装備]:アベンジャー@FINAL FANTASY IX
[道具]:基本支給品、不明支給品(確認済み、0~2)
[思考・状況]
基本行動方針:岬一との合流優先。手がかりが見つかるまではペパーと同行(凪)/広瀬岬一の心臓の奪取(ゾキ)
1.岬一と会いたい
2.大鳥希とは会いたくない。岬一とも会ってほしくない
3.アンルシアと再会したら、彼女に何が見えているのか聞き出す(※ゾキ)
4.ポケモンへの興味(※ゾキ)
[状態]:健康、右腕にゾキ寄生
[装備]:アベンジャー@FINAL FANTASY IX
[道具]:基本支給品、不明支給品(確認済み、0~2)
[思考・状況]
基本行動方針:岬一との合流優先。手がかりが見つかるまではペパーと同行(凪)/広瀬岬一の心臓の奪取(ゾキ)
1.岬一と会いたい
2.大鳥希とは会いたくない。岬一とも会ってほしくない
3.アンルシアと再会したら、彼女に何が見えているのか聞き出す(※ゾキ)
4.ポケモンへの興味(※ゾキ)
※ペパーからポケットモンスターの世界について簡単に説明を受けました。
※ゾキは凪の意識を一時的に乗っ取ることが可能です。
その間、凪の意識は無く、起こったことも記憶していません。
※参戦時期はマーヤと同時期(39話(8巻)より後、44話(9巻)より前)です
※ゾキは凪の意識を一時的に乗っ取ることが可能です。
その間、凪の意識は無く、起こったことも記憶していません。
※参戦時期はマーヤと同時期(39話(8巻)より後、44話(9巻)より前)です
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| 広瀬凪 | ||
| 026:オープニング-BUT…THE FUTURE REFUSED TO CHANGECurses | アンルシア |