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反抗

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反抗 ◆zYiky9KVqk



弥海砂はアッシュフォード学園を歩いていた。
先ほどの戦いにおいて、サトシ殺害に成功したもののサイドンは戦闘不能、奪ったリザードンも大ダメージを受けていた。
今はこの二匹を回復させなければこれ以上の行動は難しいだろう。

アッシュフォード学園という名は聞いたことのないものだったが、もしここが学校だというのならあるはずである。
怪我をした人が行く場所、保健室が。
ポケモンという生き物に効き目があるのかは分からない。
しかし何かしらの薬は置いてあるだろう。
そう考えて校内を探索中であった。


目当ての部屋を見つけるのにそこまで時間は掛からなかった。
そしてそこで予想外についているものを発見した。

保健室の中に不自然に置いてある機械。
彼女の知識の中にはこのような物が保健室にあるという事実はなかった。

機械の近くに使い方の書いてある紙が置いてあった。
どうやらこれはポケモンをボールにしまってからおくことで中のポケモンを回復させてくれるというものらしい。

今連れているポケモンは二匹。だがこの機械は一回一匹のみ、さらに一度使うと次に使えるのは放送を跨いでからになるらしい。
どちらを回復させるか。迷うべくもなかった。


「さてと、あとはこいつね」

現在の海砂の居る場所はアッシュフォード学園の屋上。
海砂は機械にサイドンの入ったモンスターボールを置き、その間に保健室を漁った。
サトシから奪ったリザードンの方をどうにかしておこうと考えたのだ。
保健室にある薬のどれが怪我やダメージの回復になるのかよく分からなかったものの、その中で分かりやすくて使えそうな薬を見つけた。
いい傷薬。これを使うと怪我やダメージをある程度回復させてくれるらしい。
ある程度というのがどれくらいかは分からなかったので置いてあった三つ全部を持ち、サイドンを回収後屋上まで出た。
保健室でボールから出すにはリザードンは大きすぎたからである。


ボールからリザードンを出す海砂。

(うーん、やっぱり名前見えないな…)

死神の目をもつ彼女でも人間以外の者の名前を見るのは不可能ということだろうか。
などと考えつつあの少年の呼んでいた名前を思い出す。

「えっと、リザードン、だっけ?」

―キッ
「グォォォアアアアアア!!!」

「きゃあ!」

話しかけた途端、リザードンは海砂にその鋭い牙で食らいつこうとしてきた。
間一髪で避けるが服の袖が破れた。

「ちょっと何なのよ?!」

かける声に構わず今度は爪で切り裂こうと腕を振り上げてきた。

「止めなさいよ!今あんたの持ち主は私なんだからね!!」

その声を発すると同時にリザードンの動きが止まる。
リザードン本人も戸惑っているようなのが海砂には分かった。

「…?
 ……お座り」

リザードンはその場に座る。

「伏せ」

リザードンは嫌々その場に伏せる。

「なるほど、今は私の持ち物だから言うこと聞くしかないってこと?」

そうと分かれば怖くはない。伏せ続けるリザードンに近付く海砂。

「今は私がご主人様なんだから、ちゃんと言うこと聞いてくれないと困るのよ。分かった?」
「グルルルル…」

リザードンは唸りながら睨みつける。

「今は私が持ち主だって言ってんの!分かったら首を縦に振りなさい!!」

このリザードンも貴重な戦力。肝心なときに言うことを聞いてくれなかったら話にならない。
リザードンを踏みつけながら服従するよう命令する海砂。

「もうこうなったらこいつも使って……、…っ!」

それでもこちらをにらみ続けるリザードンの目を見たとき、サイドンを出そうとした海砂の脳内に一つの出来事が思い浮かび動きを止めさせた。

あれはさくらTV祭りの時。第二のキラとして表に出た日。
キラを批判する評論家を、警察官を殺したあの時。
――この人殺し!!
他の皆がキラを崇める中、一人キラを避難する少女がいた。
本来ならばあの場で殺していてもおかしくなかった。
だが、
――人殺し!――人殺し…!
殺せなかった。
あの家族を殺された日の記憶が蘇ってきたから。
(その少女こそ夜神月の妹、粧裕だったのだから結果オーライといったところだが)


リザードンの目はその時見た目によく似ていた。
人間ですらない生き物だというのになぜかそう感じたのだった。

(だったら何だって言うのよ…)

もう戻れないのだ。
月のために罪もない警官をあの場で見せしめにし、今また一人の少年の命をこの手で奪った。
いかに非難されようと、月のためだけに人を利用し、殺す。
これは正義のためじゃない。月のためなのだ。


リザードンを無理やり服従させる気はどこかへいってしまった。
まあ言うことは聞かざるを得ないようだし使えないことはないだろう。



と、ふと顔を上げて外を見ると、ビルが倒壊していく様子が目に入った。
音はしたはずだがどうやら聞き逃してしまったようだ。


あれほどの事ができるということはよっぽど強い力を持っているかあるいは爆弾でも使った策か何かか。
あの慎重な月があの場にいることはないだろうし行くこともないだろうが、あれは多くの人の気を引くだろう。

(ん?人の気を引く?)

「そうだ!!」


リザードンにおとなしくしているよう指示した後、いい傷薬全てを使い回復させておいた。
その間もリザードンの目つきは変わることはなかったが。
今からやる事の前に回復を済ませておくべきだろうと思い、リザードンのダメージの回復を優先しておいたのだ。
使い方関係で少してこずってしまっていたが。

「いい?私が合図を出したら大きく鳴くのよ。いいわね?」
「?」

さすがに怪訝そうな顔をするリザードン。
海砂はサトシのデイパッグを漁り、中から彼に支給されていた道具を取り出す。
出てきたのは拡声器。
それを外に向けて大声で叫ぶ。

「誰か助けて!!」

海砂が大声を上げて助けを呼ぶ演技を始めたとき、リザードンはようやくその意味を理解した。
殺し合いに乗った参加者に追われているふりをして人を集め、やって来た参加者をポケモンを使って殺す。
それが海砂の狙いであった。

「私…、こんな所で死にたくない!!
 お願い、誰か…きゃああああああ!!」

ぱっ、と。
海砂が大声で叫ぶと同時に合図が出る。

「グオオオオオオオオオォォォォォォォォォ!!!」

海砂の声をかき消すこともできようかというほど大きな鳴き声を上げるリザードン。
それと同時に拡声器を取り落としてその音も響かせる。

「よし、これで大丈夫」

これで危険な何かに襲われている女の子が演じられただろう。
後は他の誰かが来るのを待ち、来たところでサイドンとリザードンで殺せばいい。
もし月が来たならば合流してこの場から去ればいい。
準備は整った。

リザードンをボールに戻す海砂。

(あれ?そういえばさっきの指示だけ妙に素直に従ってたわね…
 ん~、ま、いっか)

そのまま校内へと戻っていく。
やってくる参加者を二匹のポケモンを使って一網打尽にするために。


海砂はあまり頭がよくない。
流石に月やLと比べるのも酷なことであるが、月自身も彼女のその点が自身の弱点とならないよう気をつけていた。

もし月やLであればこう考えたかもしれない。
これまで反抗的だった生き物がなぜこうも素直に言うことを聞いたのか。

海砂からしてもその時の鳴き声は海砂の想像していたものより遥かに大きなもので、なんだか不自然な気はした。

だが、こんな生き物の考えることは分からないと、早々に考えることを彼女は止めてしまった。

だから海砂は気付かない。

ポケモンは彼女の思っている以上に賢いことを。
その鳴き声に含まれたリザードンの叫びの意味にも。
そして、海砂どころかリザードンすらも知らないことだが、
この会場にはその叫びの意味を理解できる者もいるのだということも。



【C-3/アッシュフォード学園 校内/一日目 黎明】


【弥海砂@デスノート(実写)】
[状態]:健康
[装備]:コイルガン(5/6)@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:基本支給品×2、モンスターボール(サトシのリザードン・ダメージ小)@ポケットモンスター(アニメ)、
モンスターボール(サカキのサイドン・全快)@ポケットモンスター(ゲーム)、不明支給品0~1 、拡声器@現実
[思考・状況]
基本:月を優勝させるために、他の参加者を殺す
1:他の参加者を待ち、月がくれば合流、それ以外は皆殺しにする
2:ポケモンを使っても勝てそうに無い相手からは逃げる
3:リザードンは気に入らないがどうにか戦わせる
[備考]
※参戦時期は、月に会いに大学へ来る直前
※アッシュフォード学園を中心に海砂の演技の声とリザードンの鳴き声が響きました



037:名前のない人々 投下順に読む 039:風といっしょに
時系列順に読む 040:片手に幼女、唇にチョコレート、心に……
022:そういうのじゃないのよね 弥海砂 057:「Not human」(前編)


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