「Narrow」 ◆qbc1IKAIXA
「放送か」
「ええ、そのようですわね」
はあ、と仰向けの二人はため息をついた。
正直場所は悪い。草原には障害物がなく、見晴らしがいい。しかもルヴィアはいまだ海堂に担がれている。
敵意あるものから見れば都合のいい標的だ。
ルヴィアは遠坂凛を死人と告げる声を受けながら、場を離れる指示を出す。
胃の奥がムカムカしていた。どこか冷静な部分で禁止領域の場所を記憶しながら、予想以上に腹立っている自分を自覚する。
遠坂凛が死んだ。
わかっていたはずだ。聞いていたはずだ。
魔術師は何より感情を制御しなければならない。名門の出である自分にとっては義務ですらある。
なのに、抑えられない感情があるのはどういうことか。
もし誰かに遠坂凜をどうしたかったのかと聞かれたら、答えは決まっている。
「ええ、そのようですわね」
はあ、と仰向けの二人はため息をついた。
正直場所は悪い。草原には障害物がなく、見晴らしがいい。しかもルヴィアはいまだ海堂に担がれている。
敵意あるものから見れば都合のいい標的だ。
ルヴィアは遠坂凛を死人と告げる声を受けながら、場を離れる指示を出す。
胃の奥がムカムカしていた。どこか冷静な部分で禁止領域の場所を記憶しながら、予想以上に腹立っている自分を自覚する。
遠坂凛が死んだ。
わかっていたはずだ。聞いていたはずだ。
魔術師は何より感情を制御しなければならない。名門の出である自分にとっては義務ですらある。
なのに、抑えられない感情があるのはどういうことか。
もし誰かに遠坂凜をどうしたかったのかと聞かれたら、答えは決まっている。
あのメス豚をいつかこの手で屈服させたかった。
最初にあったのは家の因縁だ。
言葉を交わし、拳を交わし、ガントを撃ちあってもなお消えない敵愾心。
何度たたきつぶしても台所に現れる黒いGのごとく復活するしぶとさ。
小狡く、小賢しく、あきらめ悪く、最後の瞬間まで手を尽くす、遠坂凛が大嫌いだ。
だからこそ、あの女がこんなにも早く死ぬことが信じられなかったし、信じたくなかった。
長く生き残る卑怯さを、この自分が認めているというのに、足元に這いつくばる前に死んでしまうなど。
「最後まで気に食わない相手でしたわ……遠坂凛」
思わず声に出すほど、不快な出来事だった。
「なあ、ちゅーかもしかしたらだけどよ」
目だけで「なに?」と尋ねる。話すのも億劫だ。
「あの、ですのーと、ってやつだっけか? あれのせいで、なんだ。えーと……」
言いたいことはわかるが、イライラした物言いだ。
海堂が優柔不断と言うより、単に言葉が思いつかないだけだろう。
無視してもいいが、遠坂凛のことは苛立つのでここで話を終わりにしておく。
「まったく関係はありませんわ」
「インチキだっていうのか?」
「いえ、おそらく本物でしょう。あの時あなたに名前を書かれたとき、わたくしは焦ったでしょう?
どれほどの力があるか不明ですけれど、呪いの用途においては効果のある本物だと感じ取れましたわ。
説明を鵜呑みにするなら、儀式も魔力も必要ないのに、因果を操るほどの存在。おそらく創りあげたのは人ではないでしょう。
わたくしたちの世界における宝具、もしくは魔法に通じるなにかを持っているのではないか、と推察しますわ」
「じゃあ、俺様が紙で遠坂凛ってのを殺したことになるんじゃないか?」
言い淀まないあたり、もしそうなら制裁を覚悟しているのだろう。
軽薄で頼りなく、間抜けな同行者だが、卑しいものがない精神だけは認めてもいい。
「ありえませんわ。あのノートで死ぬ場合の死因は心臓麻痺。対し、あの遠坂凛の妹が告げていた死因は――――」
「あっ」
海堂が合点が言ったらしく、ポンと手のひらを叩く。
言葉を交わし、拳を交わし、ガントを撃ちあってもなお消えない敵愾心。
何度たたきつぶしても台所に現れる黒いGのごとく復活するしぶとさ。
小狡く、小賢しく、あきらめ悪く、最後の瞬間まで手を尽くす、遠坂凛が大嫌いだ。
だからこそ、あの女がこんなにも早く死ぬことが信じられなかったし、信じたくなかった。
長く生き残る卑怯さを、この自分が認めているというのに、足元に這いつくばる前に死んでしまうなど。
「最後まで気に食わない相手でしたわ……遠坂凛」
思わず声に出すほど、不快な出来事だった。
「なあ、ちゅーかもしかしたらだけどよ」
目だけで「なに?」と尋ねる。話すのも億劫だ。
「あの、ですのーと、ってやつだっけか? あれのせいで、なんだ。えーと……」
言いたいことはわかるが、イライラした物言いだ。
海堂が優柔不断と言うより、単に言葉が思いつかないだけだろう。
無視してもいいが、遠坂凛のことは苛立つのでここで話を終わりにしておく。
「まったく関係はありませんわ」
「インチキだっていうのか?」
「いえ、おそらく本物でしょう。あの時あなたに名前を書かれたとき、わたくしは焦ったでしょう?
どれほどの力があるか不明ですけれど、呪いの用途においては効果のある本物だと感じ取れましたわ。
説明を鵜呑みにするなら、儀式も魔力も必要ないのに、因果を操るほどの存在。おそらく創りあげたのは人ではないでしょう。
わたくしたちの世界における宝具、もしくは魔法に通じるなにかを持っているのではないか、と推察しますわ」
「じゃあ、俺様が紙で遠坂凛ってのを殺したことになるんじゃないか?」
言い淀まないあたり、もしそうなら制裁を覚悟しているのだろう。
軽薄で頼りなく、間抜けな同行者だが、卑しいものがない精神だけは認めてもいい。
「ありえませんわ。あのノートで死ぬ場合の死因は心臓麻痺。対し、あの遠坂凛の妹が告げていた死因は――――」
「あっ」
海堂が合点が言ったらしく、ポンと手のひらを叩く。
『頭を割られてあっけなく、惨めに死んでいました』
ルヴィアはこの言葉を刻み込んでいた。
忘れたくても、忘れられない言葉でもあるのだが。
「よって、遠坂凛はあなたにも、わたくしにも殺されていませんわ。幸いなのは、あの紙を悪用される前に処分できたことでしょう。
それで、あなたの知り合いはどうでしたの?」
自分がしゃべるのは飽きた。次は海堂の番だ。
海堂は一瞬だけ遠い目をして、顔を歪めた。
「ああ、死んだよ。たくっ、あの野郎……」
「その方もオルフェノクでしたの?」
「いや、ただの馬鹿な人間だよ。自分ら人間が追い詰められてるっちゅーに、オルフェノクの俺様たちを信じてよ。
だからあいつは生き残れないと思ってはいたよ。いたけど……なんで俺様が駆けつけるまで、頑張ってくれねーんだよ」
舌打ちが一回聞こえる。それ以来、ムスッとしたまま黙り込んだ。
はぁ、とルヴィアはため息を吐く。幸いといっていいかどうかわからないが、美遊もイリヤも生きている。
カレイドステッキたちも彼女らの元にいるのだろう。
美遊はともかく、イリヤが生き延びたならその可能性は高い。
ちゃんと脳内地図に禁止領域を重ねながら、現在位置が安全であることを確かめた。
忘れたくても、忘れられない言葉でもあるのだが。
「よって、遠坂凛はあなたにも、わたくしにも殺されていませんわ。幸いなのは、あの紙を悪用される前に処分できたことでしょう。
それで、あなたの知り合いはどうでしたの?」
自分がしゃべるのは飽きた。次は海堂の番だ。
海堂は一瞬だけ遠い目をして、顔を歪めた。
「ああ、死んだよ。たくっ、あの野郎……」
「その方もオルフェノクでしたの?」
「いや、ただの馬鹿な人間だよ。自分ら人間が追い詰められてるっちゅーに、オルフェノクの俺様たちを信じてよ。
だからあいつは生き残れないと思ってはいたよ。いたけど……なんで俺様が駆けつけるまで、頑張ってくれねーんだよ」
舌打ちが一回聞こえる。それ以来、ムスッとしたまま黙り込んだ。
はぁ、とルヴィアはため息を吐く。幸いといっていいかどうかわからないが、美遊もイリヤも生きている。
カレイドステッキたちも彼女らの元にいるのだろう。
美遊はともかく、イリヤが生き延びたならその可能性は高い。
ちゃんと脳内地図に禁止領域を重ねながら、現在位置が安全であることを確かめた。
おそらく自分を担ぐ海堂は、禁止領域のことなんて忘れているだろうから。
一息ついたら、海堂にも注意しなければならないだろう。なんだかんだ言って、貴重な戦力だ。
そう思考を続けていたルヴィアは、澄んだ声に出迎えられる。
「ああ、よかった。ふたりとも無事だったんだね」
一息ついたら、海堂にも注意しなければならないだろう。なんだかんだ言って、貴重な戦力だ。
そう思考を続けていたルヴィアは、澄んだ声に出迎えられる。
「ああ、よかった。ふたりとも無事だったんだね」
□
身を潜めるために森へと移動したルヴィアは違和感に気づく。
とはいえ干渉する気はないので、同じく気づいた海堂が反応した。
「おい、ピカチューどうしたんだ? なんかさっきよりも落ち込んでんぞ」
「うん、さっきの放送でちょっとね」
Nがそっと抱いているピカチュウの頭を撫でた。ピカチュウの顔は悲しみが絶望に変わっている。
遠坂凛の妹を引き離すときは、まだ怒りに燃える気概があったはずだが。
「放送のおかげでサトシくん以外にもトモダチを亡くしたのを知ったんだ。彼の心は悲しみで満ちている。
ピカチュウ、どうすれば君は心が癒えるんだい? どうすれば君の力になれるんだい?」
ピカチュウは答えない。顔を伏せ、歯を食いしばるだけだ。
なるほど、放送は自分たちだけじゃなく、小さな獣にも影響を与えたようだ。
海堂は口を尖らせたまま、クシャッとピカチュウの頭を乱暴に撫でる。
気休めにもならないとはやった本人も知っているだろう。
おそらく、同じく仲間を喪った傷の舐め合いに近い行為だ。
自分がやるのはゴメンだが、彼らがやるのは口出す気はない。
ルヴィアは体力と魔力を回復させるのに務めた。
と言っても、体を休めているだけなのだが。必要事項はもちろん伝えている。
海堂はともかく、Nは禁止領域について把握していた。賢い子どもだ。
「それで、今後どう動きたいですの?」
ルヴィアとしてはしばらく動きたくないが、休憩するにも行動するにも指針は必要である。
さしあたって自分よりは二人の意見を優先したほうがいいだろう。
仲間に関しては、遠坂凛の妹以外どこにいるのか検討もつかないのだ。
「あー……あの女をとっちめたい。結花がどうなったか聞きてーしな」
「カイドウさん、その途中にフレンドリィショップに寄れないかな?」
「フレンドリィショップ? ああ、俺様たちがいたあの店か。なんでまた?」
「リザードンの治療をしたいんだ。あのときは詳しく探せれなかったけど、もしかしたらポケモンを回復させる“げんきのかけら”があるかもしれない。
今傷ついたまま放置しておくのは、とてもつらいんだ」
わかってくれるよね、とNは言葉を続けそうな雰囲気があった。
むしろわかって当然、配慮して当然という態度である。
ポケモンを優先するのはN個人として勝手だが、場合によってはこちらが同じように動くわけにも行かない。
「なあ、あの女が向かった方向は……」
「そのフレンドリィショップと方向が一緒ですわ。追いかける途中でよっても構わないと思いますわよ。
わたくしやあなたの治療に有用な道具があるかも知れませんし」
方針が定まったとき、海堂はうっし、と気合を入れた。
瞬間、体が浮き上がる。
「じゃあさっさといくべ! お前らついてこ……あべしっ!」
「レディに断りもなく、いきなり担ぎ上げないでくださいまし。しかもまた荷物のように……」
「うっせー! 肘はよせ肘はよー! だいたい、人を殴れるくらいなら、自分の足で歩きやがれ!」
「ホーホッホッホッホ! 残念でしたわね。わたくしはまだ歩けるほど体力が回復していませんのよ!」
「いばるな!」
実際よけいなことに使う体力はない。
担がれるままにしていると、カサっと茂みの動く音が聞こえた。
海堂とNも警戒して音の方向を見つめている。
「おい、そこに隠れている奴。出てこい」
とはいえ干渉する気はないので、同じく気づいた海堂が反応した。
「おい、ピカチューどうしたんだ? なんかさっきよりも落ち込んでんぞ」
「うん、さっきの放送でちょっとね」
Nがそっと抱いているピカチュウの頭を撫でた。ピカチュウの顔は悲しみが絶望に変わっている。
遠坂凛の妹を引き離すときは、まだ怒りに燃える気概があったはずだが。
「放送のおかげでサトシくん以外にもトモダチを亡くしたのを知ったんだ。彼の心は悲しみで満ちている。
ピカチュウ、どうすれば君は心が癒えるんだい? どうすれば君の力になれるんだい?」
ピカチュウは答えない。顔を伏せ、歯を食いしばるだけだ。
なるほど、放送は自分たちだけじゃなく、小さな獣にも影響を与えたようだ。
海堂は口を尖らせたまま、クシャッとピカチュウの頭を乱暴に撫でる。
気休めにもならないとはやった本人も知っているだろう。
おそらく、同じく仲間を喪った傷の舐め合いに近い行為だ。
自分がやるのはゴメンだが、彼らがやるのは口出す気はない。
ルヴィアは体力と魔力を回復させるのに務めた。
と言っても、体を休めているだけなのだが。必要事項はもちろん伝えている。
海堂はともかく、Nは禁止領域について把握していた。賢い子どもだ。
「それで、今後どう動きたいですの?」
ルヴィアとしてはしばらく動きたくないが、休憩するにも行動するにも指針は必要である。
さしあたって自分よりは二人の意見を優先したほうがいいだろう。
仲間に関しては、遠坂凛の妹以外どこにいるのか検討もつかないのだ。
「あー……あの女をとっちめたい。結花がどうなったか聞きてーしな」
「カイドウさん、その途中にフレンドリィショップに寄れないかな?」
「フレンドリィショップ? ああ、俺様たちがいたあの店か。なんでまた?」
「リザードンの治療をしたいんだ。あのときは詳しく探せれなかったけど、もしかしたらポケモンを回復させる“げんきのかけら”があるかもしれない。
今傷ついたまま放置しておくのは、とてもつらいんだ」
わかってくれるよね、とNは言葉を続けそうな雰囲気があった。
むしろわかって当然、配慮して当然という態度である。
ポケモンを優先するのはN個人として勝手だが、場合によってはこちらが同じように動くわけにも行かない。
「なあ、あの女が向かった方向は……」
「そのフレンドリィショップと方向が一緒ですわ。追いかける途中でよっても構わないと思いますわよ。
わたくしやあなたの治療に有用な道具があるかも知れませんし」
方針が定まったとき、海堂はうっし、と気合を入れた。
瞬間、体が浮き上がる。
「じゃあさっさといくべ! お前らついてこ……あべしっ!」
「レディに断りもなく、いきなり担ぎ上げないでくださいまし。しかもまた荷物のように……」
「うっせー! 肘はよせ肘はよー! だいたい、人を殴れるくらいなら、自分の足で歩きやがれ!」
「ホーホッホッホッホ! 残念でしたわね。わたくしはまだ歩けるほど体力が回復していませんのよ!」
「いばるな!」
実際よけいなことに使う体力はない。
担がれるままにしていると、カサっと茂みの動く音が聞こえた。
海堂とNも警戒して音の方向を見つめている。
「おい、そこに隠れている奴。出てこい」
海堂が代表して告げるが、相手は沈黙を返す。
自分を担いだまま近寄ると、人影が飛び出してきた。
Nと海堂の中間に立った相手はこちらを睨みつける。
「ゆ、結花……? うわっ!」
結花と呼ばれた女は爪を振るってきた。
上体を倒してかわした海堂の髪が数本ちぎれる。
「お、おい! なにすんだよ、結花!」
海堂が呼び止めるが、彼女は方向転換してNへと走った。
このままでは彼が餌食になるだろう。ルヴィアには宝石もガントを撃つ魔力もない。
しかし、黙っていないのは人間たちだけじゃなかった。
「ピ~カ~……」
バリッ、と宙に火花が散る。帯電を終え、Nの腕から跳んだピカチュウが結花を睨んでいた。
「おい、ピカチュー! そいつは俺の仲間だから手加減を……」
自分を担いだまま近寄ると、人影が飛び出してきた。
Nと海堂の中間に立った相手はこちらを睨みつける。
「ゆ、結花……? うわっ!」
結花と呼ばれた女は爪を振るってきた。
上体を倒してかわした海堂の髪が数本ちぎれる。
「お、おい! なにすんだよ、結花!」
海堂が呼び止めるが、彼女は方向転換してNへと走った。
このままでは彼が餌食になるだろう。ルヴィアには宝石もガントを撃つ魔力もない。
しかし、黙っていないのは人間たちだけじゃなかった。
「ピ~カ~……」
バリッ、と宙に火花が散る。帯電を終え、Nの腕から跳んだピカチュウが結花を睨んでいた。
「おい、ピカチュー! そいつは俺の仲間だから手加減を……」
「チュウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ!!」
海堂が言い終わる前に、ピカチュウは放電を終える。
電撃が朝のさわやかな空気を切り裂いて、一人の少女へと向かった。
だが、少女はその場から跳躍して、電撃の落ちる場所から離れた。
そのまま樹の枝に着地して、狼のような唸り声をあげる。
「……ずいぶんと野生的なお仲間ですのね」
「い、いやぁ……んなことする奴じゃないんだけど」
頬を引きつらせながら、海堂が戸惑っている。
ルヴィアも相手がオルフェノクであると想定して、皆にどう対応させるか頭を働かせた。
ただ一人、Nだけが別の動きを見せる。
「大丈夫だよ、ゾロアーク。彼らは味方だから」
電撃が朝のさわやかな空気を切り裂いて、一人の少女へと向かった。
だが、少女はその場から跳躍して、電撃の落ちる場所から離れた。
そのまま樹の枝に着地して、狼のような唸り声をあげる。
「……ずいぶんと野生的なお仲間ですのね」
「い、いやぁ……んなことする奴じゃないんだけど」
頬を引きつらせながら、海堂が戸惑っている。
ルヴィアも相手がオルフェノクであると想定して、皆にどう対応させるか頭を働かせた。
ただ一人、Nだけが別の動きを見せる。
「大丈夫だよ、ゾロアーク。彼らは味方だから」
□
「誰かに化けれるポケモンねぇ~」
海堂の感心する言葉に思わず共感する。
ピカチュウの電撃といい、ポケモンはなかなか優れた生物である。
「とはいえっても、ある程度近くの相手にしか化けれないよ。
だからカイドウさんの仲間……ユカさんだったかな。会ったと思う」
「んだと! お前、本当に結花にあったのか!」
海堂が問い詰めようと近づくと、黒い人狼の外見を持つポケモン、ゾロアークは唸って威嚇した。
思わず手を引っ込める海堂に変わって、ルヴィアがNに問い直す。
「それで、ソロアークは結花というお方と出会っていますの?」
「うん、聞いてみるから少し待って。ゾロアーク、君が化けた人とどうして会ったの?」
ゾロアークは少し黙っていたが、しばらくしてNに話しているように耳に口を近づけた。
相槌をうつ少年を横目に、いいかげん担がれている体勢はキツイと文句をつける。
海堂がおぶる形に変える途中で、Nとゾロアークの会話は終わった。
「うん、会ったことがあるって」
「なんだと! おい、どこで会ったか……」
「その前にひとつ確かめさせなさい。もしかしてゾロアークは結花さんを襲いました?」
「んなっ!」
驚く海堂を視界に入れたまま、Nは静かに頷いた。
「ルヴィアさんの言う通りだよ。ゾロアークは心ない人間に支給されて、ユカさんを襲ったんだ」
海堂の感心する言葉に思わず共感する。
ピカチュウの電撃といい、ポケモンはなかなか優れた生物である。
「とはいえっても、ある程度近くの相手にしか化けれないよ。
だからカイドウさんの仲間……ユカさんだったかな。会ったと思う」
「んだと! お前、本当に結花にあったのか!」
海堂が問い詰めようと近づくと、黒い人狼の外見を持つポケモン、ゾロアークは唸って威嚇した。
思わず手を引っ込める海堂に変わって、ルヴィアがNに問い直す。
「それで、ソロアークは結花というお方と出会っていますの?」
「うん、聞いてみるから少し待って。ゾロアーク、君が化けた人とどうして会ったの?」
ゾロアークは少し黙っていたが、しばらくしてNに話しているように耳に口を近づけた。
相槌をうつ少年を横目に、いいかげん担がれている体勢はキツイと文句をつける。
海堂がおぶる形に変える途中で、Nとゾロアークの会話は終わった。
「うん、会ったことがあるって」
「なんだと! おい、どこで会ったか……」
「その前にひとつ確かめさせなさい。もしかしてゾロアークは結花さんを襲いました?」
「んなっ!」
驚く海堂を視界に入れたまま、Nは静かに頷いた。
「ルヴィアさんの言う通りだよ。ゾロアークは心ない人間に支給されて、ユカさんを襲ったんだ」
「ふざけんなよ、てめえ!!」
海堂が感情のまま吠え、ゾロアークを睨みつける。
対する黒いポケモンも臨戦態勢だ。
「あいつを……」
「カイドウさん、どうして怒鳴るのかな?」
「仲間が襲われたんだぞ! 怒らないほうがおかしいだろ!」
「だってゾロアークは心ない人間に使われていたんだ。ピカチュウから察するに、モンスターボールの強制力が強化されている。
だったら、その操った人間に対して怒るのが筋じゃないかな?」
Nの言葉に海堂を責める意図はない。
単純に疑問を持った子どもが、大人に答えを求める。その程度の意味合いしかないだろう。
ルヴィアは黙って見届けるつもりだが、Nとはここで別れるかも知れないと思った。
Nはポケモンの気持ちがわかると言っていたが、人の気持ちをわからなすぎる。
人と会話したことが極端に乏しいのだろうか。相手の気持を察せず、ただ正論をぶつける。
相手によっては、一番残酷な仕打ちだというのに。
「それとも、ゾロアークがポケモンだから怒ったのかな?」
おそらく、Nが一番聞きたい部分だろう。海堂はどう答えるのか、ルヴィアは待った。
「アホか」
対する黒いポケモンも臨戦態勢だ。
「あいつを……」
「カイドウさん、どうして怒鳴るのかな?」
「仲間が襲われたんだぞ! 怒らないほうがおかしいだろ!」
「だってゾロアークは心ない人間に使われていたんだ。ピカチュウから察するに、モンスターボールの強制力が強化されている。
だったら、その操った人間に対して怒るのが筋じゃないかな?」
Nの言葉に海堂を責める意図はない。
単純に疑問を持った子どもが、大人に答えを求める。その程度の意味合いしかないだろう。
ルヴィアは黙って見届けるつもりだが、Nとはここで別れるかも知れないと思った。
Nはポケモンの気持ちがわかると言っていたが、人の気持ちをわからなすぎる。
人と会話したことが極端に乏しいのだろうか。相手の気持を察せず、ただ正論をぶつける。
相手によっては、一番残酷な仕打ちだというのに。
「それとも、ゾロアークがポケモンだから怒ったのかな?」
おそらく、Nが一番聞きたい部分だろう。海堂はどう答えるのか、ルヴィアは待った。
「アホか」
海堂は怒りと共に息を吐き出すように告げた。
「お前さんの友だちだから切れるだけで済ませたんだ。これが赤の他人、しかも男だったら問答無用でぶん殴るっちゅーの!
あ、女子どもはお尻ペンペンのお仕置きな。これだからガキは嫌いなんだ」
あ、女子どもはお尻ペンペンのお仕置きな。これだからガキは嫌いなんだ」
むくれる海堂のほうが子どもっぽいが、Nは面食らっている。
「トモダチを怒鳴るの?」
「あーん? だって悪いことしただろう」
「でも悪いのは命令した人じゃないかな?」
「命令されたとしても、悪いことした奴じたいに腹立つだろ、普通。んで、悪いことした奴はダチでも怒ってやるべきじゃねーのか。
俺様なんか木場の野郎にしょっちゅう説教食らったぞ」
「カイドウさんはトモダチに怒られたの?」
「木場の野郎はと、友だちちゃうわ! いや、ちげーちげー。たしかにあいつはと、と、と……」
「照れてないでちゃんといえばいいじゃありませんか。似合いませんわよ?」
「うるせえ! まあ、そーいうこっちゃだから怒ったわけよ。だいたい、ダチ相手に腹たたないなんておかしいだろ。
喧嘩だってしょっちゅーだってのに」
「おかしい……そうなのかな? ピカチュウはよく喧嘩したのかい?」
「……ピカピー、ピカピカチュ。ピカピカッチュー」
「そっか……君はサトシくんとよく喧嘩したのか。そうか……」
Nは大発見したかのように、小さくつぶやいた。
ゆっくりとゾロアークに穏やかな顔を向ける。
「ゾロアーク、これからは悪い人の言うことは聞いちゃダメだよ」
ゾロアークはグル、と一言鳴いてNにモンスターボールを渡した。
「カイドウさん、これでいいのかな?」
「あー、まー……」
「よろしいのでは? 別にわたくしたちが口出すことでも、尾を引かせることでもないでしょう」
「しゃあねえ! 特別に俺様が許してやる」
「なに偉そうに」
ルヴィアのツッコミを無視したまま、海堂は偉そうに胸を逸らしていた。
その横をピカチュウを抱えたNとゾロアークが通りすぎる。
「おい、なに無視してんだよ」
「え? まずはフレンドリィショップに行くんじゃなかったかな?」
「いや、そうだけどこう、なんか俺様を称える言葉の一つや二つは……」
「なくていいですわ。N、店に着きましたら、ゾロアークが出会った人間の特徴とプラズマ団について詳しく教えなさい」
「かまわないよ」
「おい、俺様は微妙に無視されてね?」
「はいはい、さっさと進みなさい。ゴー!」
「お前もう体力回復しているだろ! 降りろ!」
「うるさいですわね。レディなんだから丁重に扱いなさい」
「誰がレディだ!」
海堂とあーだこーだ言い合いながら、Nと共に目的の店へと進んだ。
もちろん、ルヴィアは見逃していない。自分と海堂を見るゾロアークの瞳が、警戒心に満ちていること。
それを感じたピカチュウが、実は牽制していることを。
これからはフレンドリィショップのあと、ゾロアークの案内で海堂の仲間のもとに向かうだろう。
それまでにトラブルが起きなければいいが。
ルヴィアは静かに、周囲の状況に気を配った。
「トモダチを怒鳴るの?」
「あーん? だって悪いことしただろう」
「でも悪いのは命令した人じゃないかな?」
「命令されたとしても、悪いことした奴じたいに腹立つだろ、普通。んで、悪いことした奴はダチでも怒ってやるべきじゃねーのか。
俺様なんか木場の野郎にしょっちゅう説教食らったぞ」
「カイドウさんはトモダチに怒られたの?」
「木場の野郎はと、友だちちゃうわ! いや、ちげーちげー。たしかにあいつはと、と、と……」
「照れてないでちゃんといえばいいじゃありませんか。似合いませんわよ?」
「うるせえ! まあ、そーいうこっちゃだから怒ったわけよ。だいたい、ダチ相手に腹たたないなんておかしいだろ。
喧嘩だってしょっちゅーだってのに」
「おかしい……そうなのかな? ピカチュウはよく喧嘩したのかい?」
「……ピカピー、ピカピカチュ。ピカピカッチュー」
「そっか……君はサトシくんとよく喧嘩したのか。そうか……」
Nは大発見したかのように、小さくつぶやいた。
ゆっくりとゾロアークに穏やかな顔を向ける。
「ゾロアーク、これからは悪い人の言うことは聞いちゃダメだよ」
ゾロアークはグル、と一言鳴いてNにモンスターボールを渡した。
「カイドウさん、これでいいのかな?」
「あー、まー……」
「よろしいのでは? 別にわたくしたちが口出すことでも、尾を引かせることでもないでしょう」
「しゃあねえ! 特別に俺様が許してやる」
「なに偉そうに」
ルヴィアのツッコミを無視したまま、海堂は偉そうに胸を逸らしていた。
その横をピカチュウを抱えたNとゾロアークが通りすぎる。
「おい、なに無視してんだよ」
「え? まずはフレンドリィショップに行くんじゃなかったかな?」
「いや、そうだけどこう、なんか俺様を称える言葉の一つや二つは……」
「なくていいですわ。N、店に着きましたら、ゾロアークが出会った人間の特徴とプラズマ団について詳しく教えなさい」
「かまわないよ」
「おい、俺様は微妙に無視されてね?」
「はいはい、さっさと進みなさい。ゴー!」
「お前もう体力回復しているだろ! 降りろ!」
「うるさいですわね。レディなんだから丁重に扱いなさい」
「誰がレディだ!」
海堂とあーだこーだ言い合いながら、Nと共に目的の店へと進んだ。
もちろん、ルヴィアは見逃していない。自分と海堂を見るゾロアークの瞳が、警戒心に満ちていること。
それを感じたピカチュウが、実は牽制していることを。
これからはフレンドリィショップのあと、ゾロアークの案内で海堂の仲間のもとに向かうだろう。
それまでにトラブルが起きなければいいが。
ルヴィアは静かに、周囲の状況に気を配った。
【C-4/森林 北西/一日目 朝】
【海堂直也@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:怪人態、体力消耗
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:人間を守る。オルフェノクも人間に危害を加えない限り殺さない
1:とりあえずフレンドリィショップに。その後ゾロアークの案内で結花の元へ。
2:パラロス世界での仲間と合流する(草加含む人間解放軍、オルフェノク二人)
3:プラズマ団の言葉が心の底でほんの少し引っかかってる
4:村上とはなるべく会いたくない
5:あの女(桜)から色々事情を聞きたい
6:結花……!
[備考]
※草加死亡後~巧登場前の参戦です
※並行世界の認識をしたが、たぶん『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』の世界説明は忘れている。
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました……がプラズマ団の以外はどこまで覚えているか不明。
※桜の名前を把握していません
[状態]:怪人態、体力消耗
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:人間を守る。オルフェノクも人間に危害を加えない限り殺さない
1:とりあえずフレンドリィショップに。その後ゾロアークの案内で結花の元へ。
2:パラロス世界での仲間と合流する(草加含む人間解放軍、オルフェノク二人)
3:プラズマ団の言葉が心の底でほんの少し引っかかってる
4:村上とはなるべく会いたくない
5:あの女(桜)から色々事情を聞きたい
6:結花……!
[備考]
※草加死亡後~巧登場前の参戦です
※並行世界の認識をしたが、たぶん『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』の世界説明は忘れている。
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました……がプラズマ団の以外はどこまで覚えているか不明。
※桜の名前を把握していません
【ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:魔力消耗(大)
[装備]:澤田亜希のマッチ@仮面ライダー555、クラスカード(ライダー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品、ゼロの装飾剣@コードギアス 反逆のルルーシュ
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
0:あの女(桜)…次は見てなさい…
1:フレンドリィショップに向かう。ついでにゾロアークの出会った人物、プラズマ団について聞きだす。
2:元の世界の仲間と合流する。特にシェロ(士郎)との合流は最優先!
3:プラズマ団の言葉が少し引っかかってる
4:オルフェノクには気をつける
5:あの女(桜)から色々事情を聞きたい
6:海堂に礼を言いたいが…まあそのうち
7:遠坂凛の死に複雑な気分
[備考]
※参戦時期はツヴァイ三巻
※並行世界の認識。 『パラダイス・ロスト』の世界観を把握。
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)
※桜の名前を把握していません
[状態]:魔力消耗(大)
[装備]:澤田亜希のマッチ@仮面ライダー555、クラスカード(ライダー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品、ゼロの装飾剣@コードギアス 反逆のルルーシュ
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
0:あの女(桜)…次は見てなさい…
1:フレンドリィショップに向かう。ついでにゾロアークの出会った人物、プラズマ団について聞きだす。
2:元の世界の仲間と合流する。特にシェロ(士郎)との合流は最優先!
3:プラズマ団の言葉が少し引っかかってる
4:オルフェノクには気をつける
5:あの女(桜)から色々事情を聞きたい
6:海堂に礼を言いたいが…まあそのうち
7:遠坂凛の死に複雑な気分
[備考]
※参戦時期はツヴァイ三巻
※並行世界の認識。 『パラダイス・ロスト』の世界観を把握。
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)
※桜の名前を把握していません
【N@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:サトシのピカチュウ(体力:満タン、精神不安定、ゾロアークを牽制)@ポケットモンスター(アニメ)、サトシのリザードン(戦闘不能、深い悲しみ)@ポケットモンスター(アニメ)
ゾロアーク(体力:7割、海堂とルヴィアを警戒)@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:基本支給品、カイザポインター@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:アカギに捕らわれてるポケモンを救い出し、トモダチになる
1:ピカチュウを慰めつつフレンドリィショップに向かう。途中ルヴィアに説明。
2:やはり人とポケモンは共にあるべきでは無いのかな。
3:世界の秘密を解くための仲間を集める
4:人を傷付けはしない。なるべくポケモンを戦わせたくはない。しかし、殺人者の女はどうするか
5:ミュウツーとは出来ればまた会いたい。
6:シロナ、サカキとは会って話がしてみたいな。
7:ちょっとカイドウさんが面白い。
[備考]
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)
※並行世界の認識をしたが、他の世界の話は知らない。
[状態]:健康
[装備]:サトシのピカチュウ(体力:満タン、精神不安定、ゾロアークを牽制)@ポケットモンスター(アニメ)、サトシのリザードン(戦闘不能、深い悲しみ)@ポケットモンスター(アニメ)
ゾロアーク(体力:7割、海堂とルヴィアを警戒)@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:基本支給品、カイザポインター@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:アカギに捕らわれてるポケモンを救い出し、トモダチになる
1:ピカチュウを慰めつつフレンドリィショップに向かう。途中ルヴィアに説明。
2:やはり人とポケモンは共にあるべきでは無いのかな。
3:世界の秘密を解くための仲間を集める
4:人を傷付けはしない。なるべくポケモンを戦わせたくはない。しかし、殺人者の女はどうするか
5:ミュウツーとは出来ればまた会いたい。
6:シロナ、サカキとは会って話がしてみたいな。
7:ちょっとカイドウさんが面白い。
[備考]
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)
※並行世界の認識をしたが、他の世界の話は知らない。
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| 海堂直也 | ||
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