アットウィキロゴ

ガブリアスが見てる

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

ガブリアスが見てる ◆Z9iNYeY9a2



私はガブリアス。
NNは、特に無い。

主はシロナ。シンオウ地方のチャンピオンだ。
そして私は、そんな彼女の切り札をやっている。
自分で言うのも何だが、能力や経験にはかなりの自信がある。
それまで、私の役割は四天王を乗り越えてきたトレーナーの、最後の壁として立ちはだかることだった。
しかし、今この場においてはギンガ団のボス、アカギにより、主、シロナの支給品(というらしい)として戦うことを強いられている。
その相手はポケモンのみならず、人間、あるいはそれ以外の存在とも、である。
実際、この場に連れてこられたばかりの時に、オルフェノクなる存在と戦闘を行った。結果は負けはしなかったものの、むしろ痛み分けといったほうが適切だ。
無論シロナを守るために戦うことはやぶさかではない。現在は仲間である他の5体のポケモンはいないのだ。私が守らねばならない。
だからといって殺し合いという環境を許容することはできない。この体は誰かの命を奪うためのものではないのだから。

そしてそんな私達は現在、ある人物を探して駆けていた。
乾巧。聞いた話では心優しきオルフェノクであるという。
数時間前、彼を発見した私達は気絶した少女を連れているのを見て、その少女の安全を確保するために攻撃を行った。
しかしその判断が早計だったことを、先の情報交換でシロナは知った。
そうして、彼を探すためにシロナは単身飛び出したのだ。
進む方向は、待ち合わせの場所とは正反対に位置する南の市街地。
巴マミという少女を発見し、オルフェノクに攻撃を仕掛けたあの場所である。



宙を滑空するように高速で風を切り移動する私とシロナ。
しかしその速度はいつもと比べると若干の遅さを感じる。
シロナを乗せているとはいえ、ここまでではなかったはずなのだが。
最初に会ったあのオルフェノクと戦っていたときもこの違和感は存在した。
私の力が抑えられているのかもしれない。シロナは果たして気付いているのだろうか。

市街地を抜けるか抜けまいかという地点。
もう少し移動すれば足場は砂浜となるだろう。その先には浅瀬が広がっている。
ちなみにその更に東に進んだ場所には病院がある。

「この辺りね…、彼等を見つけたのは」

そして、あの二人を発見した場所。それもこの付近だ。数時間ぶりの風景となる。
ここから西の方角に向かって去っていったはず。
故に浅瀬、砂浜の方には今は用はない。

「…やっぱり血を追って、というのは無理ね…」

どうやら彼は建物の間を縫うように移動したようだ。
血痕は地面だけでなく建物の壁にも這っており、追っていくのは難しいだろう。もし人間であれば探すのはまだ容易かっただろう。人間はそんなにアクロバティックな動きはしないはずだ。
匂いを追う、という手段もこうなっては厳しいだろう。まあこれはむしろグラエナやウインディのようなポケモンの方が向いているが。ルカリオがいればよかったかもしれない。

「ガブリアス、あなたは上からお願い。私は下から探すわ」

ここで少し解説しておこう。
私、ガブリアスという種族は空を飛ぶことができる。同じタイプを持つフライゴンのような翼による飛行とはまた別のものだが。
無論地面・ドラゴンタイプで翼を持たないこの体で鳥ポケモンのように自在に宙を舞うことはできない。
しかし直線を高速で移動することには長けており、空中にある程度滞在することもできる。
移動はともかく滞空を人間を乗せてするのは流石に厳しいが、私単体であれば何ということもない。

とりあえず建造物の多いこの場において、ある程度一望できる高さまで飛び上がる。
シロナはというと、地上で若干焦りつつ周囲を見回して走っている。
彼がこの付近にいる可能性は低い。あれからかなり時間が経ってしまっているのだ。
そしてそれはシロナも分かっているはずだ。
それでも万が一ということもあるかもしれない。あるいは彼のその後について何かしらの手がかりがあるかもしれない。
だからこそ無駄なことだと考えることもなくこうやって単身探しに来たのだ。

あの時の二人の判断を、私は間違っているとは思わない。
戦ったからこそ分かる。あのオルフェノクという生き物には驚異的な力を持つものがいると。
もし、あの時あの竜のオルフェノクに会わず、あの時少女を連れていたのが最初に会ったあいつだったらどうだっただろうか。
安全かどうかの確認をする前に襲い掛かられていただろう。
ただ、今回は互いの運が悪かっただけのこと。間違えてしまったとしても、今ならまだ取り返しはつくだろう。
かなりシロナ贔屓に考えてしまっているが、そこは仕方ない。私は彼女のポケモンなのだから。

しかし、シロナはそう割り切って考えてはいられないようだ。
初対面の人間には、シロナの外見、雰囲気からクールで尊大な印象を持つものも少なからずいるが、実際はそんなことはない。
むしろ心優しく、子供っぽい一面も持っている。責任感も強いが抜けている部分もある。
失敗があれば凹むし、楽しいことがあれば笑う。
ポケモントレーナーとしての実力が高くとも極端に頭がいいわけではない。策略に嵌ってしまうことも、駆け引きに負けることもある。ゲーチスの時のように。
自分のミスで人を傷つければ己を責める。今回のことで一人で出て行ったように。
だからこそ、今のような状況において冷静さだけは失って欲しくない。
一人で抱え込んで欲しくはない。

空から見回しても特におかしなものは見えない。探している者も、他の参加者も、見渡す限りには見つからない。
シロナも一応警戒自体はしているようで、大声を上げて名前を呼んだりはしないし、曲がり角などを通る際も慎重に進んでいる。
もちろん、もし危険人物、例えばあの時のオルフェノクのような存在がいたなら、私が真っ先に知らせに戻るのだが。
しかし見開けた場所ならともかく、建造物の多い市街地ではあまり見通しが良くない。動くものがあれば分かりやすいが、何かが動く気配も薄い。
まあ逆に言えば他の参加者、危険人物もいないということなのだが。

一旦建物の上に着地し態勢を整える。今は早く移動することではなく周囲をじっくり観察することが重要なのだが、これは意外と速く飛ぶことより疲れる。
十数秒留まって呼吸を整えた後、再び体を折りたたんで飛び立つ。今度は若干移動速度を速める。
シロナの進行方向に先行しておけばある程度離れてもどうにかなるだろう。付近に気配がないことは確認済みだ。
風を切る感覚が全身を通り過ぎる。下では様々な色の屋根が、あるいはコンクリートの屋上が視界に現れ、消えていく。
しかし建物の、コンクリートの灰色が見えても、灰色の体をした男は見えない。私達は乾巧の人間の姿は知らないのだが、あるいは人間が倒れているのであれば見逃さないように目を配る。

と、周囲を見渡した視界に、刺激の強い色が広がっているのが見えた。
黒の混じった赤い液体が広範囲に渡って固まっている。よく見れば、その近くにまるで何者かが歩いた跡のように点々と同じ色をした斑が散らばっている。
凝固した血液だ。
地面に降り立ち、その匂いをかぐ。それまで所々に散らばっていた血と同じもののようだ。恐らくはここでこれほどの血が流れる何かしらの行動を起こしたのだろう。
さらに近くを見回すと、さらにある棒状のものを発見。
先端から中腹にかけて地面に落ちたそれと同じ色に染まった武器。クロがあの時放った矢。
つまりここに広がった血はおそらく刺さった矢を抜いたときに流れたものだろう。

「ガアゥ!!」

鳴き声を上げてシロナを呼ぶ。
周囲に人の気配がないことは確認済みだ。声が聞こえる範囲は大丈夫だろう。

「ガブリアス!何か見つけたの?!」

こちらに向かって走ってくるシロナ。
そして地面に固まった血溜りと矢に気付くと、顔色を変えて近寄る。

その表情を見てやはりか、と考える。シロナは血を見ることに慣れていない。
ポケモンバトルにおいて、相手が怪我をすることはよくあることだ。しかし生死にかかわるような傷をバトルの中で負うことはまずない。
私達もいくら強いとは言ってもそこまで大きなダメージを与えるようなバトルはしない。加減を忘れることもあるがそれは相手がそれを受けられる実力を持っているという時だけだ。
さらにいえばそんな相手であればむざむざ後遺症を残すようなダメージを受けることもない。
そこまでの血を見る機会など、それこそ自然の中での災害や争いかポケモンを虐待する者と会うことでもなければそうはない。
ましてや今回のように自分のミスから流れた血であるというのなら、そのショックも大きい。

「っ…、周囲には、誰もいなかったのね?」

それでも、きっと私に余計な心配をかけまいとしているのだろうか。呼吸を整え、気持ちを落ち着かせるような仕草の後そう聞いてきた。
それに私は無言で頷く。
そう、と言った後、彼女は何かを考えるように矢を拾う。

「ここで矢を抜いた後で何があったのかは分からない。でもさっきの放送では名前を呼ばれてはいなかった。
 誰かに保護された、と考えたいけど希望的観測にしかならないわね…」

探すとしてもきっとこれが限界だろう。体から流れたはずの血はこの地点を最後に途絶えている。
テレポートのような手段で血の跡を残さず離れたか、第三者によって移動させられたか、あるいはこの場で死に絶えたか。
手がかりも尽きた以上、まずは今後どう動くべきか、改めて考えなければならないだろう。
このままその彼を、手がかりも無しに探すか、あるいは一度クロ達との合流を目指すか。
あの黒い少女、クロやニャース達はこの場における協力者としては信用できると、私は感じている。
あるいは戻ることで何かしらの情報が入っている可能性もあるし、彼等に探索を協力してもらうのもありだろう。
まだ生きていて、なおかつ何処かへ移動したのであれば急務ということでもないはず。人間の間では急がば回れとも言われているという。
最も、その選択にシロナが後ろめたさを感じなければ、ではあるが。

「ねえ、ガブリアス…、私はどうするべきなのかしら…?」

そしてその不安も少なからず当たった様子だ。
確かにシロナのミスで傷つけた者がいるのであるなら、自分を責めてしまうのも多少は致し方ない。それでも、私はシロナがそれに押しつぶされるほど弱くは無いと信じている。
だから、自分の思うように、後悔しないと信じる方に進めばいいと思う。後悔や後ろめたさに流されず、自分の意思で選んだ方に。

私には人間の言葉は出せない。だからそんな思いも直接伝えることはできない。
あのニャースがいればどれほど助かっただろう。

「そうよね。私がしっかりしなくちゃいけないわね」

だが、それでも私が言わんとしたことはうっすらと感じ取ってくれたようだ。

「C.C.さん達の方も気がかりだし、クロちゃん達にも一言伝える必要もあるわね。
 一旦政庁に向かいましょう。あまり待たせるのもまずいわ」

彼のことはそれから、と、そう言い足して。
私の考えとしてはそれで正解だと思う。一人で頭を巡らせて、答えが出ないなら仲間に頼ればいい。
バトルにおいてマニューラやマンムーが私の前に現れるようなら、ルカリオやミロカロスに任せて交代させるだろう。同じことだ。

そうしてシロナを乗せた私は、政庁に向けて移動を開始した。


先に述べたように、ここは殺し合いの場。
ポケモンバトルのつもりで戦っていてはいずれ生死にかかわることもあるかもしれない。
私に指示を出すシロナを後ろから―――ということも大いにあり得る。そしてそれはシロナも分かっているだろう。
そして、こうして私がシロナに支給された。それは私が、生き残るために必要な武器として働くことをアカギは期待しているのだろう。
確かに、私がポケモンバトルとしてではない、命のやり取りをするつもりで戦えば人を、ポケモンを殺すことも可能だろう。
だからといってそんな思惑に従うわけにはいかない。従いたくもない。
それはきっとシロナも同じことだろう。私に殺しをさせることは無い。それをしたとき、彼女はチャンピオン、いや、ポケモントレーナーではなくなってしまう。
だから私に、人を殺せと命じることはない。それは私にも言い切ることができる。

では、もしその選択に迫られたときに、シロナは迷わずにそれを選べるのだろうか。
一瞬の迷いが命を失う瞬間に陥った場合。
その時は、私が自らの意思で相手の命を奪う判断を下すだろう。
もしそれで私が傷付き、シロナを傷つけたとしても、そうやってシロナの命を救えるのであれば、私にポケモンとして掛かった制約を破ってでも。
それでもそんな時は決して来て欲しくはないと、私は願う。

私はガブリアス。チャンピオン、シロナのポケモンだ。
そして私自身、その事実を誇りに思っているのだから。


【E-3/市街地/一日目 午前】

【シロナ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康、小さな罪悪感
[装備]:モンスターボール(ガブリアス)@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:基本支給品、ピーピーリカバー×1@ポケットモンスター(ゲーム)、病院で集めた道具、クロの矢(血塗れ)
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、アカギを倒す
1:一旦政庁に向かい、皆との合流を図る
2:ゲームを止めるための仲間を集める
3:N、サカキを警戒 ゲーチスはいずれ必ず倒す
4:乾巧を探して謝りたい
[備考]
※ブラックホワイト版の時期からの参戦です
※ニャースの事はロケット団の手持ちで自分のことをどこかで見たと理解しています


090:引かれ合うチルドレン 投下順に読む 092:招かれたもの達
時系列順に読む
072:Signum malum シロナ 100:Juggernaut-黒き零の魔人達



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー