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蒼の精度

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匿名ユーザー

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蒼の精度 ◆Z9iNYeY9a2



「………」
「………」

昼下がりの市街地。
無人の街中に響くのは2つの足音。
速さはそこまででもないその二つの足並みは、揃って同じ方向、西へと向かっていた。

「………」
「………」

乾巧と美樹さやか。
政庁に向かい、そこにいるはずであろう者達との合流を目的とした二人。

本来ならば間桐邸の会合の後すぐに出発するはずだったが、さやかの事情により遅れてしまっていた。
もっと急いで向かうべきなのだろうが、巧の体にはこれまでのダメージが残っている。
巧本人曰く政庁に向かう頃にはもしもの時に戦うくらいはできるようにはなると言っていたが、それ故に今は無理が利かないとのことだった。
車やバイクのような移動手段も乏しい以上こうして歩いて行くしかない。

そうして、ゆっくりと歩みを進めていた二人。

「………」

その道中に会話はない。
沈黙のままに続く行軍。


(……気まずい)



時間を遡る。

まどかが意識を取り戻すのにかかった時間は病院に向かう3人が出発してしばらくだった。

呼びかけるさやかの声に、少しずつ目を開くまどか。

「…さや…か…ちゃん?」
「まどか…!良かった…」

目覚めたばかりの、虚ろな意識の状態のまどか。
うっすらと開けられていた瞳は、さやかを認識した途端いきなり見開かれた。
むしろその反応にさやか自身が驚いたくらいだ。

「さ…さやかちゃ―――いっ!」
「う、動いちゃだめ!まだ傷は治ってないんだから!」
「さやかちゃん…!さやかちゃん…!」

一度起き上がりかけて、背中に走った痛みに呻き。
その後手を握りしめたさやかの体にゆっくりと抱きつき涙を流すまどか。

「ま、まどか…?」
「さやかちゃん…さやかちゃんなんだよね…。良かったよぉ…!」

まるで生き別れた友人に再開したかのようなまどかの反応に困惑するさやか。

(まどか…、そんなに怖い目にあってきたのかな…)

こんな場所で色んな悪人に襲われ、魔法少女にも命を狙われ。
それで再会した友人に顔を見て思わず感極まってしまったのだろう。
さやかはそう納得させた。



そこからまどかが落ち着くまでしばらくじっとしていた。
特に何も話していたわけでもない。ただ、まどかの精神が落ち着くまで静かに慰めていた。

やがてまどかの涙が止まり、その体を静かに離す。

「さやかちゃん…、生きてるんだよね?なんともないんだよね?」
「あんたね~…、寝起きで泣きながらずっと抱きついておきながらその反応はないんじゃないの?」
「…ううん、さやかちゃんだったらいいの。ちょっと安心しちゃって。いきなりごめんね」
「……?」

ふとさやかはまどかに対して若干の違和感を感じていた。
まどかとは長い付き合いである彼女だからこそ分かる、小さな違和感。
なんというか、まどかの言動に変な遠慮とよそよそしさがあるような。

もしかしたらソウルジェムのことをまだ気にしているのだろうか。

「…あ、さやかちゃん、その顔の傷…」
「あ、これ?大丈夫、気にしないで。こんくらいかすり傷みたいなものだから」
「大丈夫って…そんなわけないでしょ…!顔を斬られてるんだよ…?」
「だからいいんだってこれくらい。それよりまどかの方が重症なんだからさ。大体の話は美遊って子から聞いたよ」
「え、…美遊ちゃんから……?」
「うん、あんたが魔法少女に襲われたって。大丈夫、そんなやつがいるならこの私がギッタンギッタンに懲らしめてやるからさ。
 ……ってどうかした?」
「ううん、何でもない、何でもないの、何でも」

まどかの顔色が悪くなったようにも見えたが、それも一瞬のこと。
ほっと胸を撫で下ろすように安心していた。
何かおかしなことを言っただろうか?とさやかは自分の言った言葉を思い返すが心当たりはつかない。


と、その時だった。
コン、と入り口の扉と叩く音が響く。

「おい、そのまどかってやつ大丈夫だったか?」

その後、ぶっきらぼうに問いかける声が届いた。
声の主は乾さんだろう。

「あ、大丈夫です。まだ起き上がれないですけど、ちゃんと目は覚めたし話もできるみたいです」
「そうか。ならお前はもう少し話していくか?俺は一人で先に向かっても問題ねえけど」
「え、もうそんな時間…、急がなきゃ…!」

さすがにマミさんのところに向かうというのに自分が行かないわけにはいかない。
まどかのことも色々気がかりではあるが、まどかのこれまでの大まかな経験は美遊、Lさん達から聞いている。改めて聞き直すにしても急ぐことはないだろう。
それに、ここにはシロナさん達がいる。あの人達ならまどかを任せても安心だろう。

「…さやかちゃん?」
「ごめん、まどか。せっかく会えて色々話さなきゃいけないこともあるけど、ちょっと私にもやらなきゃいけないことあるんだ」
「そうなんだ……、いいの、私のことは気にしないで。
 でもやらなきゃいけないことって?」
「うん、ちょっとマミさんとちゃんと話をつけなきゃいけないことがあって。
 乾巧って人と一緒に迎えに行ってくる」
「え……、乾…巧…?」

出ようと思った矢先、まどかはその乾巧という名に反応した。
ふと振り返ってみると心なしか顔色も若干悪くなっているように思う。それも傷が痛むとか、そういうものではない。


「まどか?」
「だ、ダメなの!その人は――――…、っ……。
 さ、さやかちゃん、ちょっとこっちに来て」

何かを言いかけて、しかし言い留まって手招きをするまどか。
力なく振るわれている手、しかしその動きは今のまどかの心中の焦りを表しているようだった。


「あー、乾さんちょっと待ってて。すぐ行くから」

外にそう一声かけて、手招きするまどかに寄る。
どうも内緒の話らしく、部屋には自分たち以外誰もいないというのに耳を貸して欲しいと言っている。

耳をまどかの顔の近くに寄せる。

「…さやかちゃん、あの人は、乾巧って人はダメ…!
 あの人は危ないって…草加さんが……」
「危ない……?あの人が…?」
「うん…、だから一緒に行ったら危ないの…!さやかちゃんもマミさんも……。
 お願い、あの人と一緒に行くのは……」

必死にそう告げるまどか。
その声が純粋に自分やマミさんの身を案じているというのは分かる。
しかし、まだそう交流があったというわけでもないが、彼――乾巧がまどかの言う危険な人物とはさやかには思えなかった。
それに事実かどうかはさておき今更まどかの言う彼が危険だから、などという理由で政庁に向かうことを止められるとも思えない。

「さやかちゃん…!」
「…分かったよ。それじゃあ、私があの人のことはちゃんと警戒しておくから。
 もしもの時もマミさんが無事なように、ちゃんと見張っておく。だからまどかは安心して休んでて」

ポンポン、とまどかの肩を優しく叩き落ち着かせる。
まどかの不安そうな表情は晴れないものの、今はこれで落ち着かせるしかない。

「よし、じゃあ行ってきますか。まどか、無理とかしちゃダメだからね!」

そのまま、なにか言いたげにしているまどかに背を向け、部屋から出て行った。


【D-4/間桐邸/一日目 午後】

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(中)、手足に小さな切り傷、背中に大きな傷(処置済み、しかししばらくは安静)、精神的な疲弊
[装備]:見滝原中学校指定制服
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0~2(確認済み)、ハデスの隠れ兜@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[思考・状況]
1:私は……
2:さやかちゃんが心配……
[備考]
※最終ループ時間軸における、杏子自爆~ワルプルギスの夜出現の間からの参戦
※自分の知り合いが違う人物である可能性を聞きました
※美遊と情報交換をし、バトルロワイヤル開始からこれまでの出来事と遭遇者、「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」の世界の情報を得ました。(後者は難しい話はおそらく理解できていません)


そうしてさやかはまどかをあの屋敷にいる人達にお願いし、政庁に向けて出発していた。

そして冒頭の時間へと戻る。

まどかの言っていた、乾巧=危ない人だということに関して政庁に向かうまでに見極めなければならない、と思いさやかなりに注意深く彼のことを観察しようとしていた。
下手に行動に出るようだと、杏子の時のような誤ちを犯しかねないし、ここは慎重にいかなければいけないだろう。

などと、実は巧から見れば見られているのがバレバレな調子の観察であったが巧も巧で敢えて特に触れることはなかった。

結果、妙に話しにくい空気ができあがってしまい、さやか自身が重苦しい沈黙に耐えられなくなっても何も話すことができなくなってしまっていた。


(……何やってるのよ私は!ここは何か話して探りをいれたりするところでしょうが!)

己を叱責しつつ、何か話しかけることはないかと考える。
元々人見知りをするようなタチでもない。しかし危険人物かもしれないと言われた相手、というのはさすがに荷が重かった。

(あーもう…、あの転校生でもここまでやりづらくはなかったわよ――――)
「…あ、そういえば」

と、頭を悩ませているとピンときた。

「そういえば乾さんって転校生…暁美ほむらと会ってるんですよね?」
「ああ、そういやそんなこともあったな」

よし、ちょうどいい話題が見つかった!と心の中でガッツポーズをしつつ共通の話題、暁美ほむらについてを問いかけてみる。
もし怪しい人間ならあいつに対してどう思うのかを測っておくという手もあるだろう。

「あいつ、どんな様子でした?何か怪しい様子とかおかしなところとかなかったです?」
「怪しいっていやぁ、確かにわけ分かんねえやつだったな。いきなり人の後ろ取ってたり、何かよく分かんねえこと言ってきたり」
「あいつここでもそんなことやってるの……」
「あと確かアリスとかいう同じ歳くらいのやつと一緒にいたな。何ていうか、割とうまくはやってるんじゃないかって思うぞ」
「え、あいつがですか?てっきりずっと一人で何かコソコソやってるんじゃないかって」
「ああ、確かにそんな雰囲気はあった」

間桐邸での情報交換ではそこまで詳しくは分からなかった。
しかしこうして改めて聞いてみると暁美ほむらが自分の思っているよりも違った行動をしているようにも感じてきた。
だが嘘を言っているようにも見えない。

「…仲悪いのか」
「えーと、まあ少し色々。…ちょっとマミさんが関わってることで受け入れられないことが…」
「そうか」

とりあえずそれだけを聞くと巧は深く追求することもしなかった。
ただ一言。

「でもまあ、そこまで悪いやつでもないと思うぞ。無愛想なやつだったけど」

そう付け加えていた。


その後は、数分ほど沈黙の時間が続いていた。

とりあえず探りを入れてみようと思って話してみたはいいが、逆に分からなくなってしまった。
話した限りだと間桐邸にいた時の印象とそこまでの変化はない。
だからこそ困っていると言えるのだが。

(…あーもう、何で続かないんだろう)

案外まどかの杞憂だったりするのか、それとも心中を絶対に明かさないくらいにヤバイ相手なのか。
だが正直今の自分にそれが見極められそうにもない。

ここはおとなしくして待っているしかないか。


と、そこまで回らない頭を彼女なりに必死に回して考えていた結果だろうか。
さやかは自分の身に忍び寄る、とある脅威に気がついてはいなかった。


―――――グルルルルルルル

ふと、気がついた時にはさやかの体に、謎の軽い衝撃が走っていた。
それも外側からくるものではない、自分の中から走る、小さな衝撃とそれに追随して響く何か。
耳を澄まさねば聞こえないような、しかし自分には確実に響くであろうその音。


腹の虫だった。




「………」
「………」

沈黙はそれまでと変わらず。
しかし空気には若干の気まずさが混じったかのよう。


思い返せばこの場所に来てから何も食べていなかった。
既にこの場所で半日以上の時間を経過している。
その間は色んな人と会ったり慌ただしく移動したりでゆっくり食事する暇などなかった。
それでも少し前までは緊張状態にあったから気にせずに済んだものの、こうして平常心を取り戻した後だと体をごまかすにも限度があったのだろう。

しかし不幸なことに支給品の中には何の悲劇か食料が全く入っていなかった。というかどこかでバッグが入れ替わってしまったらしくグリーフシード他の本来持っていたものもなくなっていた。
何も口にしていないはずなのに食料だけごっそり消えているというのも理不尽な話だ。
彼女自身は知らないことだがそのバッグ自体が元々よく食べ物を口にする佐倉杏子のもの。
加えてゲーチスに手を加えられたことでバッグの中にはデバイス、地図、名簿といった複数あっても持て余すようなものしか入っていなかった。

(…こんな時に…どうしよう……)

なんとなく気づかれたような気がして、気恥ずかしさを感じるさやか。
と、その目の前でふと巧が立ち止まった。

それに合わせて足を止めると、一言、

「ちょっとここで待ってろ」

そう言って道の脇へと歩いて行った。
向かう先を見ると、そこあったのは一件のコンビニだった。



することもなく、そのまま数分の時を待った後、コンビニから出てきた巧はその手に握っていたものを投げ渡した。

ビニールに包まれた三角の黒い物体。
飛来したそれはコンビニならどこでも売っている、100円のおにぎりだった。


「腹減ってんだろ。それ食ったらさっさと行くぞ」

こちらの空腹を察し、少しでも紛らわそうと思って取ってきたのだろう。
あの無人のコンビニの中から。

「…………」

本当ならそのまま齧り付きたいほどだったが、さやかの心中にはふと複雑な思いがあった。


「…これ、あのコンビニから取ってきたんですよね?」
「誰もいねえんだし、お前が気にすることでもねえだろ。
 別に腐ったり毒が入ったりもしてねえよ、それ」
「……そういうことじゃなくて…」

渡されたそれを見ながら

「…どうした、いらねえのか?」
「いらないとかじゃなくて…、ごめんなさい、やっぱりこれ返してきます!」

そのまま巧の顔を見ることもなくコンビニに向けて走るさやか。

「あ、おい!」

呼びかける巧の声に振り返ることもなく、コンビニの中へと駆け込む。
自動ドアだったのが若干煩わしいと感じたくらいだった。


~♪

コンビニに入ると流れることで定番の音が店内に響くと同時、エアコンでも効いているのか微妙にひんやりした空気を感じた。
無論誰もいない。本来はいるべきであるはずの店員すらも一人もいない。
そして、後ろからも誰もくる気配はない。

(何やってんだろう、私)

分かっているはずだ。
こんな場所なのだ、別に食べ物一つ取っていったところで責められる謂れはない。
分かっていても、受け入れられなかった。

思い出すのは、かつて林檎をこちらに投げ渡した一人の少女の姿。
町外れの古びた教会で渡された林檎を、その時自分は結局食べることはなかった。
それが正しいやり方で手に入れられたものではないと分かっていたから。

今思えばあいつなりに気を遣っていたのだろう。もう少し自分にも余裕があったならもっと言い方もあったのかもしれない。
しかし悔いてももう遅い。その少女、佐倉杏子は他ならぬ自分が殺してしまっているのだから。
その負い目が、無意識のうちにさやかにその時と同じ思考をさせてしまっていた。

杏子が見ていればくだらないことを気にしているとでも言われそうな気がした。
実際くだらないことをしているのだろう。しかしそれを捨てることができないのもまた美樹さやかという少女だった。

商品名を改めて見る。
よく見れば色んなバリエーションのあるコンビニおにぎりの中でも一番安い種類のものだ。
コンビニの並び自体は一般的なそれと変わりないようで、どこにあるのか大体の予想はつく。

菓子パンやスナック菓子、ペットボトルのドリンクなどが目に入ってくる。
他にもデザートコーナーにあるケーキ類やプリン、カップメンコーナーには麻婆ラーメンなる初めて見る発想のものが見えた。。
また、ご当地おみやげコーナーなる棚も存在し、そこにはもりの羊羹、フエン煎餅などといったおみやげの定番な食べ物が置かれている。
規則的に並んだそれらには触れられた形跡はない。

目的の棚の前にたどり着くと、そこにはずらっと並んだおにぎり群。
その中でも一つほど減った形跡の見える場所。種類も今自分が持っているものと同じだ。

そこに手をかけたさやかはふと思った。
これだけたくさんのものがあるのに、どうしておにぎり一つなのだろう?

おにぎりに限った話ではない。
周囲にはパンも飲み物ももっとたくさんあるのだ。別にこれ一つである必要もないのではないか?

(…まあ別に今の私が気にすることじゃないか)

そのままコンビニから出ていこうと振り返ったさやか。
ふとレジの上に目が向いた時、そこに何か光るものを見た気がした。

何だろうとレジの上へと足を向ける。
そこに置かれていたのは、何の変哲もない100円玉だった。

「あれ?この100円って……」

このコンビニには自分たちがここに来る以前に誰かきた形跡もない。
こんな整った空間に100円玉が一つだけ出しっぱなしというのも何か不自然だ。


じーっと見つめること数秒。
誰が置いたのか、なぜ置いたのかをなんとなく考えてみて。

「…なぁんだ、そういうことか」

さやかは何かに気付いたように呟いて、再度コンビニの中をうろつき始め。

そして一分ほど経った後、コンビニを静かに出て行った。


「はいこれ」
「?」


さやかから差し出されたパンに怪訝そうな表情をする巧。

「私が食事してる間暇だと思うし。これから先どこで休めるかも分かんないんだし、せっかくだから食べられる時に食べておいた方がいいんじゃないかって」
「いらねえよ別に」
「いいから!私の奢りだから気にしないで」

財布は持っていなかったが、服を弄った時偶然ポケットに500円玉が入っていた。
とりあえずそれで間に合う範囲でおにぎりを2つと小さなペットボトルのお茶を一つ、パンを一つ追加で持ってきた。
代貨としてその500円玉を置いて。

要するに巧は、自分の手持ちだったその100円分のおにぎりだけをバカ正直に持ってきただけという話だったのだと、あそこで考えていて気付いた。


「―――ぷっ、あははははははははははははは!!!」

こちらの申し出を断ろうとする姿を見ていると自分の考えの信憑性が増してくるようでおかしくて、自然と笑いがこみ上げてきていた。

「お前、何がおかしいんだよ!」
「いや、だってさ…、…くくく…!」
「しょうがねえだろ!…今は…あれしかなかったんだから」
「……そうかよ」

結局のところ気にしすぎだったのだろう。
今の、こんなやり取りのことも。そして、まどかが言っていた彼の人物評にしても。

ふと間桐邸であった色んな人との会話、そしてここにくるまでの自分の道程を思い出す。
ゲーチスや夜神月といった人達の言葉を鵜呑みにしたり、怪しいからといってミュウツーに斬りかかったり。
人を見る目がないせいで、色んな人に迷惑では済まないようなことをしてきた。
だが、人を見る目などどうやったら鍛えられるのか。それを意識しすぎていたのだろう。
まどかの言った、乾巧という人が危険だという言葉をあまりにも気にしていたことも原因かもしれない。

人の心の奥まで知ることはできない。
なら、分かる範囲で自分なりにやっていけばいい。

少なくとも目の前の乾巧という人物は嘘をつき人を貶めるような人間ではないだろう。
誤解されやすい性質であるのは確かだろうが。

まどかが一体どういう認識で彼のことを誤解したのかは分からない。
しかしもしそれが本当に誤りならば、まどかのところに戻る前にこの人をもっと知ってその誤解も解いておくべきだろうと。
少なくとも誤解をしたままでいたらまどかのためにもならないから。

「まあ、くれるってんなら礼くらいは言っとくぜ。ありがとな」
「お礼とかいいから。とにかくこれ食べたら早くマミさん達迎えに行くんだからね」
「お前の方こそ、また腹鳴らしたりとかしないようにしとけよ」
「う、うるさいわね!それには触れないでよ!」

それまで自分のことばかりで他に目を向ける余裕もなくて。
結果色んな人に迷惑をかけてしまった。

どうすれば変わっていけるのか、そのヒントにさやかはなんとなく近付けた気がした。


そんな昼下がりの市街地の一幕。


なお、別に巧が悪いことをしない男というわけではない。
実際に必要とあれば車上荒らしをしようとしたことだってある。
ただ、今はあまり心境的に悪いと思われることができるほど余裕がなかっただけだったのだが。
巧はそんなことをいちいち口にしたりはしなかったし、指摘するものもこの場にはいなかった。


【D-3/市街地/一日目 午後】


【乾巧@仮面ライダー555】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(小)、肩から背中に掛けて切り傷、全身に打撲+軽度の火傷(処置済み、回復中)
[装備]:なし
[道具]:共通支給品、ファイズブラスター@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:木場を元の優しい奴に戻したい
1:美樹さやかと共にマミ達を迎えに政庁に向かう
2:俺は真理に会わなければならない?
3:暁美ほむらを探して、魔法少女について訊く
4:闇を切り裂き光をもたらす救世主って…何だ…?
[備考]
※参戦時期は36話~38話の時期です


【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(中)、左目に傷(治癒不可)
[装備]:ソウルジェム(濁り65%) 、トランシーバー(残り電力一回分)@現実
[道具]:基本支給品(食料ゼロ)
[思考・状況]
基本:
1:マミさんがいるであろう政庁に向かう
2:マミさんやゲーチスさんとはもう一度ちゃんと話したい
3:乾さんは悪い人ではないと思うがもう少しどんな人なのか見極めたい
[備考]
※第7話、杏子の過去を聞いた後からの参戦
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)


118:私であるために 投下順に読む 120:この醜く残酷で、美しく優しい世界(前編)
時系列順に読む
116:その手で守ったものは(後編) 乾巧 130:魔法少女は絶望と戦いの果てに
美樹さやか
鹿目まどか 127:少女よ立ち向かえ―進撃の狂戦士



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