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少女は想い出の中で―追想のローレライ

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少女は想い出の中で―追想のローレライ ◆Z9iNYeY9a2


沈黙したバーサーカーは動くことはない。
全身をズタズタに切り裂かれ、その胸には確かな致命傷があった。

バーサーカーの残りの命は既に尽きていた。
もし彼にあと1つ2つの命があったとしても、その一撃に耐えることはできなかっただろう。

それは他でもない、自身の宝具なのだから。

「…はぁ……はぁ……」

息をつくイリヤの体からアーチャーのカードが飛び出し、体は魔法少女の姿へと戻る。
ルビーの補助があったとはいえ夢幻召喚、投影、宝具の真名の擬似的な開放を連続して行ったことはイリヤの体に負荷をかけていた。

(…今の技は、お兄ちゃんが使ったものと同じ……)

イリヤの脳裏に浮かぶ、黄金の剣を構えて投影、と詠唱する兄の姿。
そして先に自分が使ったあの一撃。
その繋がりが不意に浮かぶ。

しかしまだそれに意識を割く時間ではなかった。
振り返り、彫像のように動かぬ巨体を見やるイリヤ。

「…バーサーカーは……」
『体が再生する様子はありません。これで最後でしょう』
「そっか…」

犠牲は少なくはなかった.
しかしおそらくはこの殺し合いでも上位に属するだろう強敵を打ち倒した。
だというのに、達成感はない。
ただただ悲しかった。

「バーサーカーも、ただ守りたかっただけだったんだよね。
 どうして、こんな風に戦わなきゃいけなかったんだろう……?」
『イリヤさん…』
「……っ、うっ…!」
『イリヤさん?!』

その時イリヤの胸から腹にかけて、鈍い痛みが走った。

バーサーカーの外した一撃、しかしそれによって発生した強烈な衝撃。
それを受け止めたイリヤの体は、決して少なくないダメージを負っていた。

『すぐに魔力を治癒に回します!』
「だ、大丈夫だから、これくらい、さっきのに比べれば――――」

と、よろける体を起こしたその瞬間。

ガラッ

「…!」

彼女の近くにあった、ほぼ瓦礫と化しながらもまだ家屋としての面影を見せる程度には残っていた柱と壁。
それに亀裂が走り、崩れ落ちた。
振り向いたイリヤへと向けて。

転身しているとはいえ、治癒に魔力を回しているため物理防御は発動させられず。
反応が遅れたせいで、避けることも間に合わない。

「きゃああっ!」

崩れ落ちる瓦礫が、イリヤへと向けて降り注ぐ。
悲鳴を上げ、思わず瞳を閉じる。

しかし、

「……?」

いつまで経っても瓦礫が体に当たることはなかった。
ゆっくりと開いたイリヤの目に入ってきたのは、巨大な影が瓦礫の降ってくるはずの方を覆っている光景。

「バーサーカー…?」

生きていることが不思議に思えるほどに体を切り刻まれ、胸には致命傷を負った状態で。
バーサーカーが崩れた壁の前に立ち、その腕でイリヤを降り注ぐ瓦礫から守っていた。

「あなた…どうして……」

理性のないはずのその瞳なのに、そこには戦うことではない確かな意志が見えるような気がして。
思わずそう問いかけようとしたイリヤ。

その続きを口にしようとした彼女の体を、バーサーカーはその手で持ち上げた。

「え、うわっ!?」

既にイリヤを握りつぶすような握力も持たぬその腕。
まるで花でも扱うかのように、巨大な手でその体を抱え。

静かに、敷地の外、Lとまどかの向かった方角に通じる場所へと押し出した。

「わっ…」

バランスを崩さないように歩いて勢いを殺しながらも立ち止まって振り返る。

跪いたバーサーカーはその場から微動だにしない。

「待って!私、まだあなたに―――」
『イリヤさん、ダメです』

駆け戻ろうとするイリヤを、ルビーが嗜める。

魔力に分解され、消滅しつつあるバーサーカー。
その、こちらを真っ直ぐ見つめる瞳は。
静かに行けと告げていた。

「………っ」

それに気付いた時、駆け出しそうになった自分の足を止め。
体の向きを半回転させる。

バーサーカーに背を向け、しかし前を見据えて。

その背後から、バーサーカー・ヘラクレスの存在が消え去っても、決して振り返ることなく、イリヤは走り続けた。



未練はあった。
私が守ると誓ったはずの少女を、最後まで守り切ることができなかったのだから。

しかしその未練も仕方のないものだろう。
泥に呑まれ、自身を見失い。
ただ戦うだけの存在に成り下がった私には、志を貫くことができなかっただけ。
それだけのことなのだから。

もしも望むことが叶うならば、主であるあの少女を託したかった。
あるいは、最後に一目でいいからその姿を焼き付けたかった。

だが、もういい。

それは罰なのだろう。
志を失い、狂気に身を堕した自分への。

だとしても、たった一つの事実だけが、私の未練を少しでも和らげてくれるような気がした。

例え彼女でなくとも。
ただ存在が同じであるだけの少女だとしても。

この狂気に囚われた身を止めたのが、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンであることが。

あの吹雪の中で、弱々しく私を呼ぶあの少女が。
自身の力をもって、この身を打ち破ったのだ。
私という、大きな試練を乗り越えたのだ。

それほどまでに、彼女が強く生きられる世界があった。
それだけでも未練が薄れていくように感じられた。

ああ。本当に――――――



「強くなられた」

聞こえたかどうかも分からない、独り言のような勝算の言葉を言語として口にしたのを最後に。
大英雄の存在は掻き消えた。

その場に突き立った折れた斧剣を、まるで墓標のように残して。

【バーサーカー@Fate/stay night 死亡】


「間桐邸にて襲撃を受けました。
 これより私達は拠点を遊園地へと移動します」

ほぼ一方通行に近いトランシーバーにそう呼びかけるL。
怪我人である鹿目まどかを支えた状態で、歩みは決して速くはない。

しかし、先に響いた一度の轟音を最後に間桐邸から戦闘音が聞こえることはなくなっていた。
もしバーサーカーが勝っていたら聞こえるはずの足音すらも届きはしない。

「イリヤちゃん、大丈夫なの…?」
「今は信じるしかありません」

今だ不安そうな表情が解けぬまどか。
だか今自分達にできるのはそれしかない。

位置的に言って病院と遊園地は近い場所にある。
もしそちらに向かったセイバーや美遊、結花と合流することができれば一安心できる。

無論、病院で何の戦闘も起こっていなければ、の話だが。


と、その時コンクリートの地面を蹴る足音が耳に届く。
バーサーカーのものではない。もっと小さな子供の足音だ。

「Lさん!まどかさん!」

追い付いてきたのは、確かにイリヤスフィール・フォン・アインツベルンだった。
激しい戦闘をしたことを示す傷や汚れは至るところについており、衣装には血痕もちらほらと見える。
しかし、彼女は生きて戻ってきた。

その事実に胸を撫で下ろすL。

「バーサーカーはどうなりました?」
「……、倒しました」
「そうですか」

問いかけに対して帰って来たのは想定通りに返答。
若干の沈黙があったことが気になったが、きっとこちらが気にしていいことではないだろう。

「…ねえ、イリヤちゃん?」
「何ですか?」
「………ううん、何でもない」

何となくだが、まどかにはその時のイリヤの雰囲気が別れる前とはどことなく変わっているような気がした。
ちょっと落ち着いた、しかしどことなく悲しみを背負ったかのような、そんな印象を。

『おや?』
「どうかしましたか?」
『ちょっとどこかから妙な電波が届いてるみたいですね。
 有害なものというわけではないみたいですし、受信してみましょうか?』
「気になりますね。お願いします」


空を見上げながらイリヤは思う。
絶対に、生きて帰ろう、と。

お兄ちゃんやバーサーカーのことを。
死んでいった皆のことを、その想いを全て背負って。

美遊も、巧さんも、Lさんも、まどかさんも、さやかさんも、セイバーも。
そしてまだ見ぬ兄の恋人、間桐桜さんとも、皆で。

(私、もう逃げないから。何があっても進み続けるから)

夕方に差し掛かる時間、日も傾きつつある空の下で。
イリヤはそう確かに決意した。


【D-4/市街地北部/一日目 夕方】

【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(大)、腹部、胸部にダメージ(中・回復中)
[装備]:カレイドステッキ(ルビー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:クラスカード(キャスター)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(使用制限中)、クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(使用制限中)、クラスカード(アーチャー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(使用制限中)、破戒すべき全ての符(投影)
[思考・状況]
基本:美遊や皆と共に絶対に帰る
1:もう逃げない。皆で帰れるように全力を尽くす
2:美遊が心配
3:Lさんやまどかさん達と共にみんなを待つ
4:間桐桜…、お兄ちゃんの恋人…
[備考]
※2wei!三巻終了後より参戦
※カレイドステッキはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません
※ルビーは、衛宮士郎とアーチャーの英霊は同一存在である可能性があると推測しています。
※ミュウツーのテレパシーを通して、バーサーカーの記憶からFate/stay night本編の自分のことを知識として知りました
※ルビーがさくらTVビルからの電波を受信しました

【L@デスノート(映画)】
[状態]:右の掌の表面が灰化、疲労(中)
[装備]:ワルサーP38(5/8)@現実、
[道具]:基本支給品、クナイ@コードギアス 反逆のルルーシュ、ブローニングハイパワー(13/13)@現実、 予備弾倉(9mmパラベラム×5)、
シャルロッテ印のお菓子詰め合わせ袋、お菓子数点(きのこの山他)、トランシーバー(残り電力一回分)@現実
[思考・状況]
基本:この事件を止めるべく、アカギを逮捕する
1:拠点移動のために遊園地に向かう
2:月がどんな状態であろうが組む。一時休戦
3:魔女の口付けについて、知っている人物を探す。候補は暁美ほむら、美国織莉子。
4:3or4回目の放送時、病院または遊園地で草加たちと合流する
[備考]
※参戦時期は、後編の月死亡直後からです。
※北崎のフルネームを知りました。
※北崎から村上、木場、巧の名前を聞きました。
※メロからこれまでの経緯、そしてDEATH NOTE(漫画)世界の情報を得ました。しかしニア、メロがLの後継者であることは聞かされていません
※Fate/stay night世界における魔術、様々な概念について、大まかに把握しました。しかし詳細までは理解しきれていないかもしれません。


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(大)、手足に小さな切り傷、背中に大きな傷(処置済み、安定、しかし激しい動きは開く危険有り)、精神的な疲弊
[装備]:見滝原中学校指定制服
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0~2(確認済み)、ハデスの隠れ兜@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[思考・状況]
0:シロナさん…
1:私は……
[備考]
※最終ループ時間軸における、杏子自爆~ワルプルギスの夜出現の間からの参戦
※自分の知り合いが違う人物である可能性を聞きました
※美遊と情報交換をし、バトルロワイヤル開始からこれまでの出来事と遭遇者、「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」の世界の情報を得ました。(後者は難しい話はおそらく理解できていません)
しかし長田結花がオルフェノクであることは知らされていないため、美遊の探す人物が草加の戦ってる(であろう)オルフェノクであることには気付いていません。




狂戦士は散り、1つの戦いが終わりを告げた。
しかしこの殺し合いは終わらない。
そこに潜む悪意もまたしかり。

ヘラクレスはその生を終え、この世から姿を消した。
しかし、本来サーヴァントは聖杯の奇跡によって召喚され、消滅する際にはその魔力を聖杯に返すことで世界から消え去る。

その法則は、この場においても変わらなかった。

それが意図的なのか、それとも仕組まれたものなのかは分からない。

ただ1つ言えることは。

その変わらなかった法則故に。
バーサーカーの死を以って、聖杯に魔力が注ぎ込まれた、という事実。

そう、この場において唯一聖杯戦争を担う願望機としての機能を持つ者に。
悪意に染まりし聖杯を宿した、生ける聖杯の中に。

魔力を失い小康状態にあるはずの少女、間桐桜の中に。



※現在の時間はさくらTVビルにて夜神総一郎達が放送を始めた辺りです。

126:憎悪-Badblood mind 投下順に読む 128:あなたの存在は認めない/許さない
時系列順に読む
116:その手で守ったものは(前編) イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 131:それでも運命は進む
L
シロナ GAME OVER
119:蒼の精度 鹿目まどか 131:それでも運命は進む
121:X-evolution~戦いの中で ミュウツー GAME OVER
バーサーカー GAME OVER


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