それでも運命は進む

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それでも運命は進む ◆Z9iNYeY9a2



それは、”彼女”の記憶の半数にこびりついていた闇。

――――お前の母親は破壊された。誰より愛した男の手で、殺された

――――裏切られた。お前は、私達は、あの男に裏切られた。道具のように捨てられた

まるで母親のような包容力で、闇に満ちた言葉を投げかけてくる何か。
優しくささやくような声でこちらに話しかけるその言葉はしかし、一人の男に対する憎しみを少女に植えつけるためのもの。

その姿はアイリスフィールにも似て、しかしその精神は似ても似つかぬほどに悪意に満ちている。
自身も愛した男の憎しみを娘に植えつける言葉を、その傍でささやき続けること数年。


――――あの男が死んだそうよ、裏切り者が死んだそうよ

少女は関係ない、という。一人で生きていく自分には、関係ないという。


――――子供がいるもの。あの男は家族を持ったのよ。私以外の家族を

ピクリ、と少女の心が反応する。
幼い精神の中にそれが望むドス黒い感情が首をもたげた。
それは、奪われたことに対する嫉妬、あるいは憎悪か。


――――きっと殺し合える。あと少しで殺し合える

――――楽しみね、楽しみねイリヤスフィール。人間のあの人らしい、生きる理由ができるわね

少女は、ミュウツーの見たバーサーカーの記憶から送り込まれた少女の半生の記憶を通して。
もう一人の自分が、一人の少年に憎しみを抱くようになった過程を知った。

その中に、常にあの悪意に満ちた何かが存在しているのを、確かに見ていた。



それはルビーが謎の電波によって送られてきた映像の投写を始めて間もない時。

ドクン

(…え―――――)

ふと、イリヤの中で何か肌のざわつくとでもいうべき感覚が波立った。

ほんの一瞬の出来事であり、イリヤ自身何があったのかを認識する時間があったわけではない。
しかし、決して気のせいではない。確かに今、”何か”があった。
かつてバゼットがカードを奪うためにルヴィアの家に襲撃をかけたときに感じたような謎の違和感。

(何、今の)

何かがあったことは認識した。しかしそれがどういうものなのか、どこから起きたものなのかまでは認識できなかった。
そもそも、もしかつてバゼットの時の感覚が自分の記憶になければ間違いなく見逃していただろう。

今はルビーが何か映像を上映している。
だけど伝えなきゃ。おそらくは今この場でも自分しか気付いていないであろうその事実を。

そう思い口を開こうとしたイリヤ。
しかし映像の中から聞こえてきた音声がその思いを鈍らせた。


『桜さん!?』『どうした、何があった!』
「……っ」

桜。
間桐桜。
えみやしろうの、恋人。

その名前が出てきたことに、思わず言い出すタイミングを見失ってしまった。

映像に移っているのは白い長髪の高校生ほどの少女。
しかし彼女は謎の異変で体を悶えさせた後、映像からでも分かるほど禍々しい気配を纏ってそこに立っていた。




「マミさん!!」
「…夜神さん……!」

映像の中で彼女の生み出した影に飲み込まれて消えていく中年の男。
その様子に悲痛な声を上げる巴マミ。

そんな光景に、まどかはマミの名前を叫び、Lは夜神総一郎の名を搾り出すような声で呟く。

やがて、一匹のネコのような生き物が画面上からいなくなり、桜一人だけを写してしばらく動いた後、閃光と共に画面にノイズが走り何も見えなくなっていった。


「そんな…、マミさん、マミさんは!?」
「落ち着いてくださいまどかさん。あの最後の光はおそらく巴マミ自身の攻撃によるものでしょう。であれば彼女は無事のはずです」
「で、でも…、マミさんのソウルジェムは……」

まどか自身にソウルジェムの様子が見えたわけではない。
ただ、まどか自身は巴マミの弱さを知っている。
そんな彼女が、目の前で人を、夜神総一郎を守ることができなかったのだ。
もしその事実に絶望し、さらに彼女のティロ・フィナーレクラスの攻撃を放つようなことがあれば。

「マミさんが、魔女になっちゃうんじゃ……」
「……それは、分かりません。あの場所近くに向かった美樹さやかさんと乾巧さんを信じるしか…」

あのテレビに映った背景をLは知っている。かつて高田清美を逮捕するために自らも足を運んださくらTV内のものだ。
おそらくは何かしらの事態が起きた後そこまで移動した彼らが他の者との一方的ではあるが連絡手段として放送を行ったのだろう。
それもどこかしらに繋がるという確信を持った上で。

二人が向かった政庁とさくらTVは位置的にはそう離れた場所ではない。
あれほどの爆発があったならば二人は彼らがそこにいるということに気付いてそちらに向かってくれることだろう。
だが、そこに何が待っているのかは神ならぬLには今知る術はない。

「間桐桜さん、ですか…。イリヤさん」
「………」

イリヤの脳裏に、衛宮士郎の守ろうとした者の、想像とはかけ離れた姿が何度も反響する。

――――さっきまでの何もできない私じゃない。
 先輩に殺してもらうために悪い子になる、そんな私に。
 だから、どこにいるのか分からないけど、聞いているならお礼を言わせて。バーサーカーを倒した誰かさん?

見えているはずのないのに、こちらを見られたかのような感覚を覚えたあの瞬間の言葉。

(バーサーカーを倒した、って……)

確かにあの放送が始まったのはバーサーカー消滅からそう間を経ていない。
だが、それが原因というと―――――

『イリヤさん、バーサーカーから得た情報の中には聖杯に関するものの記録もあったようです。
 その情報と整合性を取ると……』
「まさか、彼女も”聖杯”なの…?」


―――きっと殺し会える。あと少しで殺しあえる。楽しみね、イリヤスフィール。

イリヤの脳裏に浮かび上がる、母・アイリスフィールに似たあの謎の女の姿。
バーサーカーの記憶の中にあった、イリヤスフィールの記憶。

あの間桐桜の操った闇色の泥と酷似したあの地を這う闇。

「セイバーさんは、このことを知っておられないのでしょうが、少し厄介なことになったみたいですね。
 きっと彼女は、この先我々の前に立ち塞がる者になるでしょう」
「……さやかちゃん…、大丈夫……?」
「………」



(月君、あなたもこの映像をどこかで見ているのですか…?)

Lが心に浮かべたのはあの闇に喰われて消滅した夜神総一郎の息子のこと。

自分が知っている彼は自分の勝利を確信した時、それを確実なものとするために己の父親の名前をもデスノートに書こうとした。
では、もし彼がもし目の前で死にゆく親の姿を見たら。
それも自分の手ではなく、全く関係のない者に命を奪われたのであれば。

死んでいった彼に対して自分ができることはない。
だが、願わくばそれが夜神月という存在に対して何かしらの想いを抱かせるものであってほしい。
せめて、その死に何も思わぬ存在にまで成り果てていて欲しくはないと。
それだけがLの願いだった。




(マミさん…、さやかちゃん……)

まどかが想うのは二人の少女のこと。
先輩の魔法少女である巴マミ、そして親友の美樹さやか。

もしあの場所でマミがまた死んでいたとすると。
いや、(こう言っては語弊もあるが)それならばまだいい。
もし万が一、マミが魔女化するようなことがあれば。

魔法少女の成り果てるもの、それはさやかが最後まで知ることがなかったものだ。
それをもし知ってしまった時、彼女は魔法少女である自分を許せるのか。その事実に絶望してしまうようなことはないか。

(さやかちゃん…、お願い、絶望しないで、帰ってきて……!)

だが、いくら思おうとも、今のまどかにできるのは美樹さやかの無事、そして再会できることを祈ることのみだった。





(間桐、桜……、聖杯……)

イリヤの前に立ち塞がったのはまさに自分の影ともいうべき存在。
バーサーカーの知識から得られたものでは完全な把握ができたわけではない。
それでも、あれが本来自分が背負うはずだった運命を背負った者だということはうっすらと分かった。

『イリヤさん』
「分かってる。だけど、私はお兄ちゃんに助けられたんだから、だから私も……」

責任があった。
”衛宮士郎” に守られた責任が。
”平行世界の自分のこと”を知らなかった責任が。

知らなければどうと思うことはなかっただろう。
だが、知ってしまったからには責任が生じたのだとイリヤは考えていた。
全てを受け止め、生きて戦っていかねばならないのだ、と。


だが、少女は気付いていない。
その自分が思っている、責任全てを背負おうとしていることが。
まさに自分自身にとっては重荷となって伸し掛からせているということに。



一行にとってはほんのひと時な、様々な想いを整理する時間。
しかし、そんな静の時においても状況は、運命は止まることなく歩みを続ける。

そのことを示す、第三回定時放送の時間もまた、すぐそこまで。




【D-4/市街地北部/一日目 夕方】

【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(大)、腹部、胸部にダメージ(小・回復中)
[装備]:カレイドステッキ(ルビー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:クラスカード(キャスター)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(使用制限中)、クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(使用制限中)、
    クラスカード(アーチャー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ(使用制限中)、破戒すべき全ての符(投影)
[思考・状況]
基本:美遊や皆と共に絶対に帰る
1:もう逃げない。皆で帰れるように全力を尽くす
2:間桐桜…、お兄ちゃんの恋人…
3:美遊が心配
4:Lさんやまどかさん達と共にみんなを待つ
[備考]
※2wei!三巻終了後より参戦
※カレイドステッキはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません
※ルビーは、衛宮士郎とアーチャーの英霊は同一存在である可能性があると推測しています。
※ミュウツーのテレパシーを通して、バーサーカーの記憶からFate/stay night本編の自分のことを知識として知りました
※ルビーがさくらTVビルからの電波を受信しました

【L@デスノート(映画)】
[状態]:右の掌の表面が灰化、疲労(中)
[装備]:ワルサーP38(5/8)@現実、
[道具]:基本支給品、クナイ@コードギアス 反逆のルルーシュ、ブローニングハイパワー(13/13)@現実、 予備弾倉(9mmパラベラム×5)、
シャルロッテ印のお菓子詰め合わせ袋、お菓子数点(きのこの山他)、トランシーバー(残り電力一回分)@現実
[思考・状況]
基本:この事件を止めるべく、アカギを逮捕する
1:拠点移動のために遊園地に向かう
2:月がどんな状態であろうが組む。一時休戦
3:魔女の口付けについて、知っている人物を探す。候補は暁美ほむら、美国織莉子。
4:3or4回目の放送時、病院または遊園地で草加たちと合流する
5:夜神さん………
[備考]
※参戦時期は、後編の月死亡直後からです。
※北崎のフルネームを知りました。
※北崎から村上、木場、巧の名前を聞きました。
※メロからこれまでの経緯、そしてDEATH NOTE(漫画)世界の情報を得ました。しかしニア、メロがLの後継者であることは聞かされていません
※Fate/stay night世界における魔術、様々な概念について、大まかに把握しました。しかし詳細までは理解しきれていないかもしれません。


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(大)、手足に小さな切り傷、背中に大きな傷(処置済み、安定、しかし激しい動きは開く危険有り)、精神的な疲弊
[装備]:見滝原中学校指定制服
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0~2(確認済み)、ハデスの隠れ兜@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[思考・状況]
1:さやかちゃんが心配
[備考]
※最終ループ時間軸における、杏子自爆~ワルプルギスの夜出現の間からの参戦
※自分の知り合いが違う人物である可能性を聞きました
※美遊と情報交換をし、バトルロワイヤル開始からこれまでの出来事と遭遇者、「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」の世界の情報を得ました。(後者は難しい話はおそらく理解できていません)
しかし長田結花がオルフェノクであることは知らされていないため、美遊の探す人物が草加の戦ってる(であろう)オルフェノクであることには気付いていません。



※ルビーの電波受信によりさくらTVビルでの放送開始~ビルにティロ・フィナーレが放たれるまでの出来事を把握しました


130:魔法少女は絶望と戦いの果てに 投下順に読む 132:虚の中の道標
時系列順に読む
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 138:Saver of Revenger
L
鹿目まどか


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