ReStart準備中

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

ReStart準備中 ◆Z9iNYeY9a2



「アクロマという男は、どういう人間なの?」

ふと、ほむらは移動する道中でアーニャに問いかけた。
これから会いに行くつもりの男、彼がどういう人柄なのかを知っておく必要がある。
相手がどういう人物なのか知っておくことで、こちらのペースに持ち込むこともできるだろう。

「一言でいうなら、根っからの研究者と言ったところね。
研究の対象には非常に興味を持つけど、それ以外のものに対してはかなり冷淡というか」
「なるほどね。ちなみにその対象っていうのは?」
「ポケモンよ。あなたもあの場で出会ったでしょう」

そう言われてほむらの脳裏に思い出される、見たこともない生き物たち。
ペンギンのような生き物であるポッチャマ、サイのような生き物に灰色の怪獣、それに白い体をした宇宙人のような参加者、たしかミュウツーと名乗っていた気がする。

「正確にいうなら彼らの生き物としての限界というか、強さの根源とか、そういうものを探求してるみたいなの。
だから場合によっては彼らが死ぬことも許容してるのよ」
「私には分からないわね、その感覚は」
「私達が昔いたところにはそういった手の人間もかなりいたけどね。
ともあれ、その探究心と引き換えに、彼の持っている高い技術を私達のために使ってもらうということで協力を取り付けたらしいわ」
「で、彼はそれで満足しているの?」
「それは私にも分からないわよ。ただ、彼の探究心は相当深いということは分かるわ。並大抵のことでは満足しないほどにね。
欲望に忠実だから扱いやすいように思えても、少しでも興味から外れたり別の選択肢を与えられたらどうなるか分からないわ」

欲望に忠実な男。
佐倉杏子を一瞬連想したが、おそらく彼女ほど扱いやすいものではないだろう。
彼女はなんだかんだで義理は果たすほどの良識を持っているだろうが、それが彼に通用するものかは分からない。
少し顔を見た時に感じた印象では目的が果たせないと見れば数分後には居なくなっていそうな気もする。


ともあれアーニャ評ではあるが、アクロマの人となりを大まかとはいえ把握することはできた。
あとは、このカードの切るタイミングだろう。

ただ、その前にもう一つ聞いておかねばならないこともあった。

「ちなみに、アクロマが研究してるっていうポケモンって、結局一体どういうものなの?」

存在は認知していたとはいえ、結局それを知る機会はなかったため把握していなかった要素だ。
アクロマがポケモンに対し重きを置いた者であれば、その認識不足を放置したままでいればどこかでやらかしてしまいかねない。

「私も知識程度のことしか知らないんだけど、簡単に言えばある世界で人間と共に共存しているモンスター達のことを総じてそう呼ぶらしいわ。
あの小さなボールから出したりとかしてたでしょう。それがポケットに入るくらいの大きさになることからポケットモンスター、縮めてポケモンって言うの」
「へえ」
「野生のものもたくさんいるけど、あのボールに入れられた時にポケモンは人の管理下に入ることになるの。
それを管理する者をポケモントレーナーって呼んでいて、まあ人によってまちまちらしいけど、ポケモンとの間に色んな絆を結ぶものらしいわ。
ちなみにあなたが反逆にあったあの灰色のポケモンだけど、あなたが目の前で爆散させた人があの子の本来のトレーナーだったのよね」
「………」

その言葉には沈黙で返すほむら。
特に触れたいことでもない。贖罪も言い訳も、今は特に必要がないものだ。

「あら、どうかしたのかしら?」

そんな気配を察してか、こちらの顔を覗き込むアーニャ。
問いかけてはいるが、その顔に微妙に浮かんでいる笑みを見る限りこちらの心中を察しているはずだ。

「なんでもないわ。もう少し詳しいところを聞かせて」

そう言ってほむらは、アーニャとの会話を進めながら足を進めていた。




「ふむ、やはり現状ではいまいち求めているデータが得られませんね」

専用の研究室としてあてがわれた広い空間で、アクロマは一人呟く。

並んだ機材には多くの数字やグラフ、図が並んでおり素人が見ては何を表しているのかなど判別がつきそうにはないが、アクロマにとってはそれらは研究に必要なデータだ。
そしてその示している数字は、ある一定の期間は爆発的な伸びを見せている時間があるが、それを超えた現状では低迷している様子。

「やはり生と死をかけてのポケモンの可能性の調査はあまりよろしくありませんでしたかね…。
求める水準を大きく超えて間もなく命を落とすものが多すぎる」

主との絆を糧にメガシンカを果たし、会場内でも有数の怪物を幾度も打ち倒したガブリアス。
平行世界の自分を受け入れ、自らを肯定することでメガシンカに近い力を独力で手にしたミュウツー。

命の輝きと可能性は表裏一体。しかし限りある中で命を散らさせていくのはアクロマとしても望むことではない。


元々アカギに協力することになったのは、ポケモンの可能性を、そして別世界を通じたポケモンという存在の在り方を探求するためだった。
ゲーチスがいなくなった後で彼の依頼を受けてプラズマ団を纏めていたところで、アカギが接触を図ってきてその技術力を以て儀式の完遂に協力して欲しいと。
特にゲーチスに大きな義理があったわけでもなかったアクロマはあっさりと引き受け、報酬は儀式の中で得られるポケモン達のデータということで手を打った。

モンスターボールへの細工、そして会場内にあるアヴァロンや斑鳩、KMFなどの機械への装置の追加。
機械や情報関係は詳しい者がいなかったということでほぼ全てがアクロマの手で制御されている。

後から気付いたことだが、ここまで自分の独壇場であるなら、自分の都合がいいように多少細工をしたとしてもバレなかったのではないか。
少し愚直に仕事をしすぎたような気もしていた。

正直なところ、自分にあった環境はもう少し自由に立ち振る舞えるような場所であり、このように束縛の多いところではなかったのかもしれない。
どうにも拭えない憂鬱感は、普段なら抱かないような愚痴も思わず口に出してしまっていた。
無論、他の誰かがいる時にはそんな思いはおくびにも出さないようにしているが。

「やはり…、彼の話を聞いておきたいところでしたが、…無理でしょうかね」

と、アクロマは小さく溜息をつきながらその名前を呟いた。


そんなアクロマの様子を、じっとギラティナは見つめていた。
光のない真っ黒な瞳が、その小さな姿をじっと映して。




そんなアクロマの元に暁美ほむらがやってきたのはそれから間もなくの頃だった。

彼女の話を端的に言えば、これから自分がとある行動を起こすために手を貸して欲しいというもの。

「あなたは…私の立場を理解しておられるのでしょうか」
「ええ、アーニャから大体のことは聞いてるわ」

と、ほむらの後ろで壁に背を預けて手を組んだ少女に目をやる。

「分からないのはそれですよ。あなたがこのようなことに協力しているというのが」
「確かにキュゥべえに対する裏切り行為にはなるかもしれないけど、この儀式そのものに対しての反逆にはならないわよ。
最終的にキュゥべえよりもこの子の方が私達の利となりうるって証明できれば、最終目的への意識は変わらないでしょう」
「全く、立場が私より強いからと言って屁理屈を」

溜息をつきながらも、渋々とほむらの会話に付き合うアクロマ。

「さて、そうなるとあなたがキュゥべえ以上の立ち位置につくことができるかどうかという点が争点となりますが。
できるのですか?」
「ええ、できるはずよ。
もし失敗した時は、たぶん私の命がないだけ」
「それは失敗した時に私も危険なのでは」
「とぼければいいわ。死人に口無しって言うでしょう」

「ではもう一つ。あなたに協力することで私にどのような利があるのでしょう。
こちらとしては現状維持で情報を得ることに注力しても構わないのですが」
「それで不満があるのが今のあなたでしょう?」
「む?」

表に出したはずのない自身の認識を出されて眉をひそめるアクロマ。
畳み掛けるようにある者の名前を口にするほむら。

それを聞いたアクロマは、振り向いて封じられた霊竜に視線を写した後、こめかみに指を当てて俯いた。

「…情報は筒抜けですか。
まさかギラティナの知覚を利用してこの室内の様子を盗み見るとは、迂闊だったのは私ですね」

できれば取引の段階に入るまで伏せておきたかった情報。
しかしそれが相手に漏れてしまえば完全にペースを奪われてしまっている。

ニヤリ、と口に笑みを浮かべてアクロマに語りかけるほむら。

「どうかしら、もしうまくいけばあなたのその願いを叶えてあげられるわ」
「ふむ…」

手を顎に当てて思案するアクロマ。

考えているのは受けるか受けないか、ではない。
何か反証できるものがあるかどうかを考えている。

だが、こちらの手の内を知られている以上お手上げ状態に近かった。

「分かりました。受けましょう、あなたのその願いを。
その代わり、約束は守ってもらいますよ」
「ええ、もちろんよ」

「では、具体的には何をすればいいのですか?」

アクロマの問いかけに、ほむらは自身の計画を話し始めた。



【?????/一日目 夜中】

【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康?、あかいくさりによる拘束
[服装]:見滝原中学校の制服、まどかのリボン@魔法少女まどか☆マギカ 、右耳にピアス
[装備]:はっきんだま(ほむらのソウルジェムの代用品)@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:キュゥべえ達に従うふりをして、”目的”のための隙を伺う。
1:アーニャの手を借りて行動する。とりあえずの信用はするが完全には信じない。
2:アクロマの協力を得て”あること”を行う。
最終目的:“奇跡”を手に入れた上で『自身の世界(これまで辿った全ての時間軸)』に帰還(手段は問わない)し、まどかを救う。
[備考]
※はっきんだまにほむらの魂が収められており、現状彼女のソウルジェムの代用品とされています。
ギラティナを制御しているあかいくさりによってその生命が間接的に繋ぎ止められている状態です。
魔法少女としての力が使用できるかどうかは現状不明です。
※バトルロワイヤル上においては死亡扱いとなっています。
※ギラティナと感覚が共有されており、キュウべえとアクロマ達の会話を聞いていました。


154:立ち向かうべきもの 投下順に読む 156:believe
153:フレンズ? 時系列順に読む 151:Another Heaven/霞んでく星を探しながら
148:変わりたい少女達の話 暁美ほむら 158:悪魔が生まれた日
マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア
135:Guilty Girl アクロマ



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー