概要
古典ツォルマ語の直系言語であり、姉妹言語として
アンラフィエ語が存在する。古典ツォルマ語に存在した複雑な変化のパラダイムは失われており、もっぱら口頭言語として発達してきたため筆記言語としては見なされてこなかった。
しかし、星間機構の漸進的な解体に伴って、急進的な言語政策が弱化した。これに引き続き、崩壊以後のツォルマリア社会の変化に伴って、難解且つ複雑な古典ツォルマ語から口語として容易でどの公民にとっても分かりやすい現代ツォルマ語の文語としての整備が行われるようになった。当初から古典ツォルマ語が過去の星間機構の悪しき言語政策の象徴とされたために積極的に社会一丸となって現代ツォルマ語とその他公民の口語を推進する政策が行われて久しく、最終的にはツォルマリアで最も通用する言文一致の言語の一つとなっている。
古典語との対応
動詞のパラダイム
動詞の変化パラダイムは、古典語に存在していた複雑な語幹変化に属するものであったが、現代語においては完全にこれが失われてしまっていると考えて良い。もとより、口語としてのツォルマ語が語幹派生の複雑なパラダイムを失われる過程において、動詞の変化はまずは「動詞原型+仮辞yu-所有人称接辞-(a)n+vitni(vinti<√vinit)三人称形」という迂言法が用いられることから始まった。
例えば、古√metorの動詞基本形 "metro" の一/三人称男性単数形は古典的パラダイムでは "meotr" になるが、迂言法では "metro yusan vitni" となる。
この後の "vitni" が形骸化し、"仮辞yu-所有人称接辞-(a)n"の形が人称接尾となり、中期ツォルマ語の以下の人称語尾パラダイムが構成された。なお、元来の人称パラダイムはこの時点で崩壊し、後の
ロフィルナ諸語に類する一人称、二人称、三人称/単数、複数の形式に変化した。
前期中期ツォルマ語の人称変化パラダイム |
|
単数 |
複数 |
一人称 |
-yusan |
-yussan, -yusen |
二人称 |
-yunan |
-yunnen, -yunen |
三人称 |
-yulan |
-yullen, -yulen |
この後、共通部分である "-yu" が脱落して、後期中期ツォルマ語の人称変化パラダイムとなった。複数の二つある語尾は "-yu" が脱落すると単数特別ができなくなるため、後者の-Ceタイプが残ることになった。
後期中期ツォルマ語の人称変化パラダイム |
|
単数 |
複数 |
一人称 |
-san |
-sen |
二人称 |
-nan |
-nen |
三人称 |
-lan |
-len |
また、更に単語尾化(nが末子音から失われ鼻母音化→鼻母音の脱落)し、複数で脱落したeによって語幹にiウムラウトが発生し、現代語の人称変化パラダイムが完成した。
現代ツォルマ語の人称変化パラダイム |
|
単数 |
複数 |
一人称 |
-s |
-¨s |
二人称 |
-n |
-¨n |
三人称 |
-l |
-¨l |
metro(見る、眺める) |
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単数 |
複数 |
一人称 |
metros |
metrös |
二人称 |
metron |
metrön |
三人称 |
metrol |
metröl |
最終更新:2024年11月30日 01:23