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巡りゆく星たちの中で > 運命を変えていくということ

――未来因果班詰所。
共立世界ピースギア本部の中枢区画に設けられたこの場所は、白い壁と金属床に囲まれながらも、要所に配置された植物と間接照明によって過度な緊張を和らげていた。
未来を扱う者たちが、日常を保つための拠点。

キューラ「……ふぅ。やっと戻れた」
前線装備を解除しながら、キューラは深く息を吐いた。
戦場の空気が抜け、身体の奥に溜まっていた緊張がゆっくりとほどけていく。

隊員A「お疲れさまです。今回の退避誘導、ほぼ完璧でしたよ」
キューラ「そう言ってもらえると救われるな。でも……あの判断、一歩間違えたら被害は広がってた」
隊員A「それでも、あの場で即座に変異パターンを見抜けたのはキューラ様だけです」
キューラ「……命を預かる判断は、何度やっても慣れないね」

ホログラム端末を閉じ、キューラは椅子に身を沈めた。
その背後で扉が開き、低い声が響く。

レオン「初任務、ご苦労だったな」
未来因果班の先任分析士、レオンだった。
鋭い視線の奥には、長年の経験に裏打ちされた重みがある。

キューラ「正直、思ってたよりずっと大変だったよ」
レオン「当然だ。未来を扱う仕事に、軽い任務なんて存在しない」
キューラ「……慣れるもの?」
レオン「慣れたら終わりだ。その重さを感じ続けろ。それが生き残る条件だ」

翌朝。
簡易会議室の中央に、巨大なホログラムマップが浮かび上がる。
無数の光点が瞬き、異常予測と因果分岐が重なり合っていた。

綾音「キューラ。シナリスⅦのデータを基に、因果連鎖の予測を」
キューラ「了解。解析に入ります」

彼女が目を閉じると、空間に数式と構造図が展開される。
情報が繋がり、未来の可能性が一つずつ形を取っていく。

キューラ「地質変動と地下放射帯の不安定化が一致しています。それに伴い、局地的ウイルスが活性化し、変異キメラの急増を引き起こした可能性が高いです」
レオン「自然災害と生物災害の複合か」
綾音「再発の危険性は?」
キューラ「あります。ただし監視網を強化すれば、広域化は防げます」

報告を終えたキューラは、わずかに唇を噛んだ。
予測できるからこそ、見えてしまう未来がある。

休憩時間。
ラウンジにはコーヒーの香りと、束の間の笑い声が漂っていた。

隊員B「甘いの好きだろ。これ、差し入れだ」
キューラ「わぁ……ありがとう」
レオン「緊張感が台無しだな」
キューラ「失礼だな。これも集中力維持の一環だよ」

綾音はその様子を静かに見つめていた。

綾音「張り詰めるだけでは、人は壊れる。彼女の存在は必要だ」

数日後。
目立った任務はなく、監視と予測の日々が続く。
だが、その積み重ねこそが未来を守る。

夜。
窓越しに星空を眺め、キューラは小さく呟いた。

キューラ「……僕の過去は、消えない。でも今は、未来を選び続けたい」

背後から足音が近づく。

綾音「君は裁かれるためにここにいるんじゃない。役割を果たすためだ」
キューラ「……うん」

星の光が詰所を照らす。
未来因果班の日常は静かに続いていく。
それが、共立世界の未来を支える確かな歩みであると、誰もが知っていた。

最終更新:2025年12月16日 21:33