禍々しい過去の遺産


 海王星の公転軌道の外側には、無数の氷でできた小天体の帯「カイパーベルト」が広がっている。
 我々は今このカイパーベルトの中を進んでいるのだ。

 氷塊の海を進んでいると前方に巨大な円筒形の建造物が姿を現した。
それは、遠近感を感じにくい宇宙空間であっても大きさを感じさせるだけの何かを持っていた。
あれは…

 あの巨大な円筒形の建造物は、「ウートガルザ・ロキ」。
かつて、太陽系に大挙するバイドを殲滅するために使用されたソーラー兵器である。

 はるか地球の公転軌道周辺で集光されたエネルギーは、数十箇所の中継地点を経由して、この宙域まで伝播し、ウートガルザ・ロキへと注がれる。

 そして、ソーラーエネルギーを注ぎ込まれたウートガルザ・ロキはそのエネルギーをターゲットに向けて一気に放出するのだ。
 記録によるとこの兵器はかつて一度だけ実戦で使われた。
その時の話では、ロキから放出された光は、遥か離れた木星からも観測できたという。

 そんな「過去の遺物」のそばを通り抜けようと接近していると、一部の乗組員が騒ぎ始めた。
彼らの話では、ロキの周辺に展開する集光版が光を帯びているというのだ。
一同驚いて集光版を注視していた。
すると本体である円筒部の照度も上がっていることが確認された。

 ウートガルザ・ロキを我々に向けて撃とうというのか!?
しかも、かつて使用された時と違い、照射方向が太陽系の中心方向に向かっている。
ここで撃たれたら、我々はもちろんのこと、後方にある有人天体にも被害が及ぶ可能性がある。

 何とかしてロキを破壊することはできないか?!
私の思考はそのことに集中していた。

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ロキ破壊失敗


 ウートガルザ・ロキの破壊に失敗した。
一時後退し、態勢を立て直すしかない。

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ロキ破壊成功


ウートガルザ・ロキの破壊に成功した。

 艦内の乗組員たちは緊張感がきれて、皆何も言わずに、ぐったりとしている。

 それでも、時間が経つごとに皆生きている実感が沸いてきたのか、艦隊全体に活気が戻ってきた。

 それは、ウートガルザ・ロキの破壊に成功したことだけがきっかけではないように思う。
皆、いよいよ自分たちの旅の終点が近付いていることを感じているのだろう。
私は心の中で艦隊の皆に…

+ よくここまで頑張ったな
よくここまで頑張ったな、と労った。

+ 皆、生きて帰ろうな
皆、生きて帰ろうな、と励ました。

+ 最後まで誰も脱落せずに行ければ…
最後まで誰も脱落せずに行ければいい、と心から思った。

+ もっと、私のために頑張ってくれ
もっと、私のために頑張ってくれよ、と愚痴を声に出したい衝動を抑えるのに苦労した。

+ 笑っていられるのも今のうちだ
笑っていられるのも今のうちだ、そう思うと自然に顔がにやけた。

 そしてついに、我々は冥王星を望む宙域に差し掛かった。
目標である軍事要塞グリトニルは、我々のいる位置から見て、冥王星の反対側に浮かんでいる。

 グランゼーラ革命軍の総司令官はキースン大将という男だ。
彼は、かつて地球連合軍の大佐であったが、火星の都市グラン・ゼーラでの市民の蜂起を扇動し、革命政府成立の貢献者とされている。
かつては人望を集めていたと言うが地位が上がるにつれ、仲間を陥れることで現在の地位に登りつめたと聞いている。

 こちらの艦隊の乗組員たちに、その人の歴史や、その人と関わる人たちがたくさんいるように、敵側にも同様に人が持つ歴史やかけがえのない人々との関係があるのだ。
そう思うと私は、人類同士が戦うことについて…

+ 虚しさを感じた
虚しさを感じた。

+ 激しい憤りを感じた
激しい憤りを感じた。

+ 切なさを感じた
切なさを感じた。

+ やりきれない気持ちで一杯だ
やりきれない気持ちで一杯だ。

+ 特に何も感じなかった
特に何も感じなかった。

 そして、艦隊の責任者として、この戦いの帰結を最後まで見届けなければならないな、と思ったのだ。

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前ミッション(直進ルート)→No.18彗星の出ずる処(地)_航海日誌
前ミッション(迂回ルート)→No.19時速2000kmの風(地)_航海日誌
次ミッション→No.22グリトニル攻略戦(地)_航海日誌

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最終更新:2010年11月17日 10:26