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父と娘 > 6


「おとーさん、うなぎ食べたい!」
娘は俺の腕を引っ張りながら、勝手なことをのたまう。


娘は、鑑定のことを何とも思っていないようだった。
「能力」についても、あれこれ聞いてこない。それよりも、この国に来たら何を食べようか、の方が興味あるようだ。

俺たちは駅ビルの上層階にある鰻屋に入った。
席につき、俺はレポートを、娘は御品書きを、それぞれ真剣な眼差しで点検していった。


やがて注文した重箱がはこばれてきた。娘は箸を手に両手を合わせると、大きな声で

「いただきまーす!」

と言って食べ始めた。

隣の席にいた若い男女が、くすくす笑っていた。


――うなぎは、「こくないさん」。……OK。
  タレもかかりすぎてない。
  身はふっくら、にくあつ。やっぱ、こうでなくちゃ。
  さんしょうはいいかおり。
  ごはんの量もぴったり。

――うん、文句なし!
  おいしー! あー、しあわせ……。


嬉しそうに箸を動かす娘。

「幸せな奴だな、お前は」

俺は肝焼きをつつきながら、ビールを呷った。

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最終更新:2010年07月07日 00:31
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