「おとーさん、うなぎ食べたい!」
娘は俺の腕を引っ張りながら、勝手なことをのたまう。
娘は、鑑定のことを何とも思っていないようだった。
「能力」についても、あれこれ聞いてこない。それよりも、この国に来たら何を食べようか、の方が興味あるようだ。
俺たちは駅ビルの上層階にある鰻屋に入った。
席につき、俺はレポートを、娘は御品書きを、それぞれ真剣な眼差しで点検していった。
やがて注文した重箱がはこばれてきた。娘は箸を手に両手を合わせると、大きな声で
「いただきまーす!」
と言って食べ始めた。
隣の席にいた若い男女が、くすくす笑っていた。
――うなぎは、「こくないさん」。……OK。
タレもかかりすぎてない。
身はふっくら、にくあつ。やっぱ、こうでなくちゃ。
さんしょうはいいかおり。
ごはんの量もぴったり。
――うん、文句なし!
おいしー! あー、しあわせ……。
嬉しそうに箸を動かす娘。
「幸せな奴だな、お前は」
俺は肝焼きをつつきながら、ビールを呷った。
登場キャラクター
最終更新:2010年07月07日 00:31