ドゴルドにとって最悪(もっともムカつく)展開が何かと問われれば、ここから全参加者に逃げられることだと答えるだろう。
1度目はまんまとしてやられた。腹を捌いた魔法少女を初め逃げられた者たちは1人も死ななかったらしい。覇世川左虎やマジアアズールレベルの参加者が未だ顕在問うのは喜ばしくもあるが。
2度目は…今思い出してもよくわからない。キョウリュウレッドの相棒はパクられてるわ、アズールの友人らしき女がいきなり変態痴女になるわ、思い出しても混沌としたふざけた事態だ。
極めつけは盛り上がってきたところに落下したミカなるピンクの女とゼインとかいう白い仮面ライダー。奴らの乱入でドゴルドの闘争心は急速に冷めた、萎えてしまった。
仮面ライダーチェイサーを初めユフィリア・マゼンタにクワガタオージャーと戦いを楽しめるあいてを見つけられたのは収穫ではあるが、その期待も不完全燃焼では最悪だ。
ドゴルドは戦いを求めていた。
この会場に数多居る強者と血沸き肉躍る戦いを。宿敵空蝉丸との全霊の戦いを。
2度目は…今思い出してもよくわからない。キョウリュウレッドの相棒はパクられてるわ、アズールの友人らしき女がいきなり変態痴女になるわ、思い出しても混沌としたふざけた事態だ。
極めつけは盛り上がってきたところに落下したミカなるピンクの女とゼインとかいう白い仮面ライダー。奴らの乱入でドゴルドの闘争心は急速に冷めた、萎えてしまった。
仮面ライダーチェイサーを初めユフィリア・マゼンタにクワガタオージャーと戦いを楽しめるあいてを見つけられたのは収穫ではあるが、その期待も不完全燃焼では最悪だ。
ドゴルドは戦いを求めていた。
この会場に数多居る強者と血沸き肉躍る戦いを。宿敵空蝉丸との全霊の戦いを。
そういう意味では柊真昼との戦いは悪くなかった。
怪物と呼ばれる女が変身した怪物級の仮面ライダー、その実力は当然高い。
達人の技量とバカみたいな出力(キョウリュウグリーンを初めとした周囲の参加者をまとめて殺すために、彼女はあえて出力を上げていた。)も相まって、ドゴルドのボルテージを大いに上げている。
怪物と呼ばれる女が変身した怪物級の仮面ライダー、その実力は当然高い。
達人の技量とバカみたいな出力(キョウリュウグリーンを初めとした周囲の参加者をまとめて殺すために、彼女はあえて出力を上げていた。)も相まって、ドゴルドのボルテージを大いに上げている。
そんな中目覚めた美嘉と灯悟に、2度の戦いで味わった不快感がわずかに走る。
盛り上がっていた戦場に水を差す介入者(イレギュラー)。聖園ミカや仮面ライダーゼインと同種の予感だ。
美嘉と灯悟が気絶している間はキョウリュウグリーンを戦場から逃がさないための足枷となっていた。キョウリュウジャーが戦えない人間を見捨てない、足手まとい2人抱えてドゴルドと真昼両方から逃げるのはキョウリュウグリーン一人では不可能だ。
だが2人が起きた今、3人で手を組んで柊真昼や自分から逃走する策を講じるかもしれない。
美嘉はまだしも灯悟の実力を考えれば、こちらを出し抜いて逃げられる可能性は決して低くない。
盛り上がっていた戦場に水を差す介入者(イレギュラー)。聖園ミカや仮面ライダーゼインと同種の予感だ。
美嘉と灯悟が気絶している間はキョウリュウグリーンを戦場から逃がさないための足枷となっていた。キョウリュウジャーが戦えない人間を見捨てない、足手まとい2人抱えてドゴルドと真昼両方から逃げるのはキョウリュウグリーン一人では不可能だ。
だが2人が起きた今、3人で手を組んで柊真昼や自分から逃走する策を講じるかもしれない。
美嘉はまだしも灯悟の実力を考えれば、こちらを出し抜いて逃げられる可能性は決して低くない。
「そうはさせるかよ!!」
その可能性を踏み砕く。沸き上がる怒りがドゴルドの体を突き動かした。
空気が裂けそうなほどに迸る怒号とともに愛刀片手にドゴルドが動く。
その可能性を踏み砕く。沸き上がる怒りがドゴルドの体を突き動かした。
空気が裂けそうなほどに迸る怒号とともに愛刀片手にドゴルドが動く。
「起きてかっこよくなったのはいいけれど、それで逃げられるとか思ってないわよね。」
『OMNIBUS LOADING!
SOLOMON STLASH!』
『OMNIBUS LOADING!
SOLOMON STLASH!』
同刻、ドゴルドと同じ結論に至った真昼の動きも早い。
殺し合いの勝利を目指す彼女とて、3人を見逃す理由は何一つないのだ。
殺し合いの勝利を目指す彼女とて、3人を見逃す理由は何一つないのだ。
ワンダーライドブックの不穏な言葉と共に浮かび上がる巨大なカラドボルグを思わせるエネルギー体。そのドゴルドよりも巨大な刃が真昼の動きに合わせ振るわれた。
既に烈怒頼雄斗たった一人に防がれた技だ、真昼とてこの一撃で決着するとは思っていない。
その狙いは3人を逃がさないための牽制であり陽動だ。
既に烈怒頼雄斗たった一人に防がれた技だ、真昼とてこの一撃で決着するとは思っていない。
その狙いは3人を逃がさないための牽制であり陽動だ。
「こいつは俺が止める。ソウジはドゴルドを警戒しててくれ!」
「分かった!!」
迫る刃と戦騎を前に躍り出たのはキズナブラック。
その全身に痛々しく残る絆創膏を、傷を塞ぐことを思い出した執着の戦士が増やし、伸ばし、周囲全体に張り巡らせる。
その一角、右腕から伸びた絆創膏でカラドボルグの一撃を叩きおる。
砕けて霧散するカラドボルグを前に、ドゴルドとソウジの刃がぶつかる音が火花を散らした。
「分かった!!」
迫る刃と戦騎を前に躍り出たのはキズナブラック。
その全身に痛々しく残る絆創膏を、傷を塞ぐことを思い出した執着の戦士が増やし、伸ばし、周囲全体に張り巡らせる。
その一角、右腕から伸びた絆創膏でカラドボルグの一撃を叩きおる。
砕けて霧散するカラドボルグを前に、ドゴルドとソウジの刃がぶつかる音が火花を散らした。
「アームド・オン!!」
3本目の獣電池を対価に呼び出したザクトルスラッシャーと、ガブリカリバーの二刀流。
無数に噴き出す巨大な絆創膏を足場に、パルクールのように宙をかけドゴルドめがけて刃を振り下ろす。
鼻先へと迫る掠奪竜(ラプトル)の鍵爪に、ドゴルドは小さく鼻を鳴らした。
怒りと高揚、期待と苛立ち。
怒楽入り混じる感情を前に、頭をよぎった不快感はとうに消えていた。
3本目の獣電池を対価に呼び出したザクトルスラッシャーと、ガブリカリバーの二刀流。
無数に噴き出す巨大な絆創膏を足場に、パルクールのように宙をかけドゴルドめがけて刃を振り下ろす。
鼻先へと迫る掠奪竜(ラプトル)の鍵爪に、ドゴルドは小さく鼻を鳴らした。
怒りと高揚、期待と苛立ち。
怒楽入り混じる感情を前に、頭をよぎった不快感はとうに消えていた。
「ラウンド2ってか!ポックリやられてくれんなよキョウリュウグリーン!!」
昂ぶりと共にドゴルドも刀を構える。
右手に宿る雷神の鉾がごとき七支刀で刃と鍵爪を捉え、火花と稲妻が唾競り合いとともに迸った。
生来の怒雷と聖文字が混ざった稲妻がキョウリュウグリーンの頬を掠めた。
スーツ越しなのに弾けた雷熱は針を刺すように熱く痛い。
生身であれば焼け焦げていたであろう熱に反射的に体を反らしそうになるも、ソウジは右足に力を籠め踏みしめてドゴルドから眼を反らさない。
故に気づく。ドゴルドは左腕にも武器を握っていることに。
右手に宿る雷神の鉾がごとき七支刀で刃と鍵爪を捉え、火花と稲妻が唾競り合いとともに迸った。
生来の怒雷と聖文字が混ざった稲妻がキョウリュウグリーンの頬を掠めた。
スーツ越しなのに弾けた雷熱は針を刺すように熱く痛い。
生身であれば焼け焦げていたであろう熱に反射的に体を反らしそうになるも、ソウジは右足に力を籠め踏みしめてドゴルドから眼を反らさない。
故に気づく。ドゴルドは左腕にも武器を握っていることに。
ドゴルドもまた、二刀流だ。
左手には夜のように黒く血のように赤い刃が妖しく光っている。
その武器の名をノ夜といった。
左手には夜のように黒く血のように赤い刃が妖しく光っている。
その武器の名をノ夜といった。
「黒い刀……!!それは柊真昼の!!」
「遠慮なく使わせてもらうぜ!!拾わなかったアイツが悪い!!」
回転をつけて右腕で強引にソウジを弾き飛ばし、ドゴルドは左手に構えた黒い刀でソウジの喉元を刺し穿つ。
眼を反らさなかったことでその動きを予測できたソウジは、間一髪ザクトルスラッシャーで防いだが、衝撃に思わず呻きが漏れる。
「遠慮なく使わせてもらうぜ!!拾わなかったアイツが悪い!!」
回転をつけて右腕で強引にソウジを弾き飛ばし、ドゴルドは左手に構えた黒い刀でソウジの喉元を刺し穿つ。
眼を反らさなかったことでその動きを予測できたソウジは、間一髪ザクトルスラッシャーで防いだが、衝撃に思わず呻きが漏れる。
「クソっ…やはりこのパワーは!俺の知ってるドゴルドよりも……」
数段上だ。そう続ける間もなくドゴルドの刃が眼前に迫る。
力も、早さも、異能も、全てがソウジの記憶を上回っている。
稲妻を受けたように痺れる右腕が何よりの証明だった。
数段上だ。そう続ける間もなくドゴルドの刃が眼前に迫る。
力も、早さも、異能も、全てがソウジの記憶を上回っている。
稲妻を受けたように痺れる右腕が何よりの証明だった。
「随分新しい力を付けたなドゴルド。」
「羂索やヒースクリフの仕業だと思うとムカつくがな!
テメエこそ気を付けろよ。テメエ程度の参加者なら他にもウヨウヨいた!!
キョウリュウジャーのパクリ野郎でもそれなりにやれたぜ!
本物がこの程度で終わるなんて、腹立たしい話はしてくれるなよ!!」
「パクリ野郎…?」
気に成る言葉が聞こえたが、思考を巡らす余裕はソウジにはない。
右腕のダメージでぐらついたソウジへと振り下ろされるノ夜の一閃。
呪力を込めたドゴルドの一撃は確かにソウジの影を捉えた…はずだった。
「羂索やヒースクリフの仕業だと思うとムカつくがな!
テメエこそ気を付けろよ。テメエ程度の参加者なら他にもウヨウヨいた!!
キョウリュウジャーのパクリ野郎でもそれなりにやれたぜ!
本物がこの程度で終わるなんて、腹立たしい話はしてくれるなよ!!」
「パクリ野郎…?」
気に成る言葉が聞こえたが、思考を巡らす余裕はソウジにはない。
右腕のダメージでぐらついたソウジへと振り下ろされるノ夜の一閃。
呪力を込めたドゴルドの一撃は確かにソウジの影を捉えた…はずだった。
「こいつは…」
人を斬ったにしてはあまりに軽い手ごたえにドゴルドは目を丸くし、遅れてその正体に気づいた。
ドゴルドの目の前で、己とキョウリュウグリーンを隔てるように黒い円錐生えている。その先端が真っ二つに切断され、ほどけた何かが風に乗って飛んでいく。
黒い絆創膏だ。そんなものを出せるのは1人しかいない。
ドゴルドは苛立たし気に背後で構える黒い戦士を睨んだ。
人を斬ったにしてはあまりに軽い手ごたえにドゴルドは目を丸くし、遅れてその正体に気づいた。
ドゴルドの目の前で、己とキョウリュウグリーンを隔てるように黒い円錐生えている。その先端が真っ二つに切断され、ほどけた何かが風に乗って飛んでいく。
黒い絆創膏だ。そんなものを出せるのは1人しかいない。
ドゴルドは苛立たし気に背後で構える黒い戦士を睨んだ。
「キズナブラック!!テメエの仕業か!!」
「そうだ。」
冷淡に返すキズナブラックの周囲には、彼よりも大きい巨大な円錐が無数に生え広がっていた。
竹林の中にいるようだとソウジは思った。
あるいは針山地獄というものが実在するのならこんな光景かもしれない。剣山全てが絆創膏で出来ている妙ちきりんな状況を除けばの話だが。
少なくともその針の1つが、ドゴルドの刃を防ぎソウジの命を救ったことは確かだ。
「そうだ。」
冷淡に返すキズナブラックの周囲には、彼よりも大きい巨大な円錐が無数に生え広がっていた。
竹林の中にいるようだとソウジは思った。
あるいは針山地獄というものが実在するのならこんな光景かもしれない。剣山全てが絆創膏で出来ている妙ちきりんな状況を除けばの話だが。
少なくともその針の1つが、ドゴルドの刃を防ぎソウジの命を救ったことは確かだ。
「ありがとう、助かった。美嘉ちゃんは‥‥‥」
「柊真昼と交戦中です。
だから俺はその援護に回ってます。」
「それはまた…無茶なことになってるね。自然とそうなったのか?」
「いえ、美嘉ちゃんの提案です。俺は反対したんですが…その方が総合的な勝算は高いと。」
灯悟もだが美嘉も大概無茶をする…というより自己評価が低いタイプなのかもしれない。
ソウジはどこか呆れたように言ったが、そのおかげで今助かったのは事実だ。
半面ドゴルドは妙なものだと言いたげに眼を細めた。
「柊真昼と交戦中です。
だから俺はその援護に回ってます。」
「それはまた…無茶なことになってるね。自然とそうなったのか?」
「いえ、美嘉ちゃんの提案です。俺は反対したんですが…その方が総合的な勝算は高いと。」
灯悟もだが美嘉も大概無茶をする…というより自己評価が低いタイプなのかもしれない。
ソウジはどこか呆れたように言ったが、そのおかげで今助かったのは事実だ。
半面ドゴルドは妙なものだと言いたげに眼を細めた。
「なんだぁ?テメェは殴ってこねえのかよ。
気合い入れなおしてすることがガキのおもりか。」
「その手には乗らない。
俺のすべきことは、皆を守り勝つことだ。」
疑念半分。挑発半分。
舌打ち交じりの言葉はキズナブラックを相応の実力者だと認めた故の言葉だったが、浅垣灯悟の決意は固い。
気合い入れなおしてすることがガキのおもりか。」
「その手には乗らない。
俺のすべきことは、皆を守り勝つことだ。」
疑念半分。挑発半分。
舌打ち交じりの言葉はキズナブラックを相応の実力者だと認めた故の言葉だったが、浅垣灯悟の決意は固い。
事実としてキズナブラックは強かった。
単純な戦闘力で言えばもう一人の浅垣灯悟を突き放し、おそらくキョウリュウグリーンを超える。
なにせ彼は、魔王を単騎で討伐している。
仮面ライダーソロモンと化した柊真昼にも肉薄するかもしれない。
単純な戦闘力で言えばもう一人の浅垣灯悟を突き放し、おそらくキョウリュウグリーンを超える。
なにせ彼は、魔王を単騎で討伐している。
仮面ライダーソロモンと化した柊真昼にも肉薄するかもしれない。
だがと孤独に戦い続けた今の彼は思う。
孤独になれた執着の化身の拳は、斬撃の勇者と合わせるのは難しい。戦いを阻害する可能性の方が高い。
目覚めたばかりの黒い戦士は猶更だ。
隣に立つ素人を気遣えるほど男の戦闘は優しくなく、守るべきものを気にして十全に戦うには男の心は優しすぎた。
孤独になれた執着の化身の拳は、斬撃の勇者と合わせるのは難しい。戦いを阻害する可能性の方が高い。
目覚めたばかりの黒い戦士は猶更だ。
隣に立つ素人を気遣えるほど男の戦闘は優しくなく、守るべきものを気にして十全に戦うには男の心は優しすぎた。
「だから、これでいい。」
灯悟の合図で2本の針が解け、束ねられた絆創膏がドゴルドを絡めとらんと迫る。
甘ったれた挙動に反してその1つ1つが獲物を狙う毒蛇のように狡猾な動きだ。
1人で操作しているというのなら大したものだ。
それも並行してもう1つの戦場で素人娘に下駄を履かせながらだ。
灯悟の合図で2本の針が解け、束ねられた絆創膏がドゴルドを絡めとらんと迫る。
甘ったれた挙動に反してその1つ1つが獲物を狙う毒蛇のように狡猾な動きだ。
1人で操作しているというのなら大したものだ。
それも並行してもう1つの戦場で素人娘に下駄を履かせながらだ。
「仲間のために戦うのなら、これが最善だ。」
「そうかよ。クソ真面目なことで!」
稲妻を纏う喧嘩上刀と呪いを纏うノ夜。
荒れ狂う竜巻のように振るわれる刃が迫る絆創膏をズタズタに切り裂くが、キズナブラックの行動の方が一枚上手だ。
扱える拘束の量も範囲も質も、暴走してしかブラックを扱えない若き日の――全てを失う前の彼とは練度が違う。
絆創膏の1つがドゴルドの左足を縛る。
拘束に切り捨てるまでの時間は3秒もない。
それでもその拘束はドゴルドの注意を削ぎ、引っ張られた足がほんのわずかに体勢を崩す。
その隙を、斬撃の勇者は逃さない。
「そうかよ。クソ真面目なことで!」
稲妻を纏う喧嘩上刀と呪いを纏うノ夜。
荒れ狂う竜巻のように振るわれる刃が迫る絆創膏をズタズタに切り裂くが、キズナブラックの行動の方が一枚上手だ。
扱える拘束の量も範囲も質も、暴走してしかブラックを扱えない若き日の――全てを失う前の彼とは練度が違う。
絆創膏の1つがドゴルドの左足を縛る。
拘束に切り捨てるまでの時間は3秒もない。
それでもその拘束はドゴルドの注意を削ぎ、引っ張られた足がほんのわずかに体勢を崩す。
その隙を、斬撃の勇者は逃さない。
「そういうことだ。ここからは1対1とはいかなくなったな。」
「フン。空蝉丸ならともかく、テメエらが仲良しこよし決め込むことにいちいち文句はねえよ。
テメエら戦隊ってのはそういうもんだろ。」
「わかってるじゃないか。」
喧嘩上刀とザクトルスラッシャーを境に、戦騎と勇者は向かい合う。
在りし日の戦隊としての戦いとはまるで違う状況だが。
「フン。空蝉丸ならともかく、テメエらが仲良しこよし決め込むことにいちいち文句はねえよ。
テメエら戦隊ってのはそういうもんだろ。」
「わかってるじゃないか。」
喧嘩上刀とザクトルスラッシャーを境に、戦騎と勇者は向かい合う。
在りし日の戦隊としての戦いとはまるで違う状況だが。
「それにだ。要はテメエを叩きのめせば奴も前に出ざるを得ねえんだろうが!!簡単な話じゃねえか!!」
「やってみろ!
彼の言い方を借りるなら‥‥‥絆の力で俺たちは勝つ!」
「やってみろ!
彼の言い方を借りるなら‥‥‥絆の力で俺たちは勝つ!」
斬撃の勇者の刃が背負うものは同じだ。
その姿に怒りの戦騎は満足そうに鼻を鳴らし、ありったけの怒気と殺意を持って刃を振り下ろした。
その姿に怒りの戦騎は満足そうに鼻を鳴らし、ありったけの怒気と殺意を持って刃を振り下ろした。
◆
初撃を防がれた真昼が美嘉を狙ったことに確たる理由はない。
しいて言えば一番隙だらけだったからだろうか。
『誰でもよかった』などと言ったらなんだか通り魔みたいだなとひとりごちながらも、殺意を露にカラドボルグを振り下ろす。
しいて言えば一番隙だらけだったからだろうか。
『誰でもよかった』などと言ったらなんだか通り魔みたいだなとひとりごちながらも、殺意を露にカラドボルグを振り下ろす。
「はや…」
「美嘉ちゃん!」
美嘉の反応は真昼の攻撃を躱すには二瞬遅い。
その二瞬を稼いだのはキズナブラックの絆創膏だ。
キズナブラックの右腕から伸びた巨大な絆創膏が、痛んだ肌を隠すようにカラドボルグを塞ぐ盾となり、躱すための時間を稼いだ。
「美嘉ちゃん!」
美嘉の反応は真昼の攻撃を躱すには二瞬遅い。
その二瞬を稼いだのはキズナブラックの絆創膏だ。
キズナブラックの右腕から伸びた巨大な絆創膏が、痛んだ肌を隠すようにカラドボルグを塞ぐ盾となり、躱すための時間を稼いだ。
「大丈夫か!」
「大丈夫で…すっ!!」
心配声で灯悟が駆け寄るが、真昼の動きはさらに早い。
切り上げた刃を上体を反らして躱したせいで声が上ずった。
だが躱した、そうほっとするる間もなく美嘉の腹に重い一撃が叩きつけられる。
吹き飛ばされコンクリートの壁に背中がめり込んだ。ここでやっと腹を蹴り飛ばされたのだと美嘉は気づいた。
「大丈夫で…すっ!!」
心配声で灯悟が駆け寄るが、真昼の動きはさらに早い。
切り上げた刃を上体を反らして躱したせいで声が上ずった。
だが躱した、そうほっとするる間もなく美嘉の腹に重い一撃が叩きつけられる。
吹き飛ばされコンクリートの壁に背中がめり込んだ。ここでやっと腹を蹴り飛ばされたのだと美嘉は気づいた。
「意識が剣に向きすぎ。残心って知らない?」
「言葉なら…」
動作を終えた後も気を抜かない。そういう意味合いだっただろうか。剣道なんかで使われる用語のはずだ。
だがそれも美嘉の様な格闘も喧嘩も知らない少女と、真昼の様な一瞬の油断が生死を分ける環境で育った少女では、その言葉が持つ意味合いが全く持って異なるのだろう。
「言葉なら…」
動作を終えた後も気を抜かない。そういう意味合いだっただろうか。剣道なんかで使われる用語のはずだ。
だがそれも美嘉の様な格闘も喧嘩も知らない少女と、真昼の様な一瞬の油断が生死を分ける環境で育った少女では、その言葉が持つ意味合いが全く持って異なるのだろう。
(分かってはいたけど…格が違う…)
荒い息と苦悶の声を抑えて立ち上がる、コンクリートの破片がガラガラと音を立てて美嘉の肩から崩れ落ちた。
荒い息と苦悶の声を抑えて立ち上がる、コンクリートの破片がガラガラと音を立てて美嘉の肩から崩れ落ちた。
今の美嘉は全身に装甲を身に着けている。
自身が内部に有していた悪霊の力を、シルバーのキズナブレスを模して錬金術と絆エネルギーで再構築したもので、その耐久力は折り紙付きだ。
その装甲を通してもなお、真昼の攻撃は痛い。
蹴り飛ばされた腹部がじんじんと熱を帯びている。コンクリにぶつかった背中に殆ど痛みがないことを考えたら異常だ。少なくとも美嘉の常識からは乖離している。
装甲が無ければ骨どころか内臓が破裂していたかもしれない。そんな怖い想像が頭によぎるのを美嘉は必至に振り払った。
自身が内部に有していた悪霊の力を、シルバーのキズナブレスを模して錬金術と絆エネルギーで再構築したもので、その耐久力は折り紙付きだ。
その装甲を通してもなお、真昼の攻撃は痛い。
蹴り飛ばされた腹部がじんじんと熱を帯びている。コンクリにぶつかった背中に殆ど痛みがないことを考えたら異常だ。少なくとも美嘉の常識からは乖離している。
装甲が無ければ骨どころか内臓が破裂していたかもしれない。そんな怖い想像が頭によぎるのを美嘉は必至に振り払った。
気を引き締めねば。
記憶を見た美嘉は知っている。
柊真昼は人を殺せる。
見目麗しい同年代の少女は、大切な2人以外の全てを容易く喰らい潰せる斬鬼である。
記憶を見た美嘉は知っている。
柊真昼は人を殺せる。
見目麗しい同年代の少女は、大切な2人以外の全てを容易く喰らい潰せる斬鬼である。
「思ったより頑丈なのね。もしかしたら何か切り札があるかもしれないしこのまま…」
「させねえ!!」
『シェイク・ハン・ドッキーング!』
迫る足音に美嘉よりも早く灯悟が動いた。
新たな絆が断ち切られる音を、絆の戦士は聞き逃さない。
沸き上がる絆創膏が美嘉と真昼の間を妨げ、動きを止めた鬼人をキズナブラックは双刃刀となったを握手カリバーで斬りかかる。
「させねえ!!」
『シェイク・ハン・ドッキーング!』
迫る足音に美嘉よりも早く灯悟が動いた。
新たな絆が断ち切られる音を、絆の戦士は聞き逃さない。
沸き上がる絆創膏が美嘉と真昼の間を妨げ、動きを止めた鬼人をキズナブラックは双刃刀となったを握手カリバーで斬りかかる。
(早い・・・!
実力ならジンガに迫るかしらね。)
真昼の流麗な斬撃とも、ドゴルドの嵐の様な一撃とも違う。
獲物を狙う肉食獣のように荒々しくキズナブラックの刃が振り下ろされる。
肩を掠め、頬を切り、仮面ライダーソロモンの体に傷がついていく。
それはキズナブラックも同じ。時に躱し時に絆創膏を盾にして致命傷は避けていく。
実力ならジンガに迫るかしらね。)
真昼の流麗な斬撃とも、ドゴルドの嵐の様な一撃とも違う。
獲物を狙う肉食獣のように荒々しくキズナブラックの刃が振り下ろされる。
肩を掠め、頬を切り、仮面ライダーソロモンの体に傷がついていく。
それはキズナブラックも同じ。時に躱し時に絆創膏を盾にして致命傷は避けていく。
「…その絆創膏、厄介ね。」
剣技もそうだが何より厄介なのは、その体から無数に伸びる絆創膏だ。
目の前から、地中から、建物を砕いて背後から。灯悟の意志で自由自在に動く絆創膏はその強度も一級品。
盾になるだけならまだしも、拘束に使われては致命的だ。
その可能性を前にしては、多少の手傷は必要経費だろう。
剣技もそうだが何より厄介なのは、その体から無数に伸びる絆創膏だ。
目の前から、地中から、建物を砕いて背後から。灯悟の意志で自由自在に動く絆創膏はその強度も一級品。
盾になるだけならまだしも、拘束に使われては致命的だ。
その可能性を前にしては、多少の手傷は必要経費だろう。
「ワラワラ湧き出てくるのものすごく気が散るんだけど。やめてくれない?」
「君が俺たちを殺すのを止めてくれたら考えてやるよ。」
「出来ないこと知ってるくせに、意地悪ね。」
冥黒うてなのせいで、互いに互いの人生の一部始終を知っている。
真昼は目の前にいる浅垣灯悟が、絆を喪い孤独に戦い続けた存在だと知っている。
灯悟は目の前にいる柊真昼が、何をしても止まらないほど”終わって”しまったことを知っている。
「君が俺たちを殺すのを止めてくれたら考えてやるよ。」
「出来ないこと知ってるくせに、意地悪ね。」
冥黒うてなのせいで、互いに互いの人生の一部始終を知っている。
真昼は目の前にいる浅垣灯悟が、絆を喪い孤独に戦い続けた存在だと知っている。
灯悟は目の前にいる柊真昼が、何をしても止まらないほど”終わって”しまったことを知っている。
「言葉で止まるなら止めてやりたいさ。
今の君の人生は君が選んだことかもしれないけど、原因も元凶も君じゃない。」
「……」
「君の道を正しいと言ってあげることはできないが。俺が君でも同じようになっていたと思う。
だからこそ、君の選択を許すわけにはいかない。」
分かったようなことを――とは微塵も思わない。
浅垣灯悟の抱える絶望もそれだけ深く重い物だったはずだ。
それでも彼の言葉に嘘は1つもない、心から真昼を案じてのものだ。
記憶の中、執着と憎悪に塗れた姿とはまるで一致しない。
変わったのか?否、戻ったのだろう。
熱き友情の戦士。絆の守護者。その本質は何処まで行っても変わらない。
今の君の人生は君が選んだことかもしれないけど、原因も元凶も君じゃない。」
「……」
「君の道を正しいと言ってあげることはできないが。俺が君でも同じようになっていたと思う。
だからこそ、君の選択を許すわけにはいかない。」
分かったようなことを――とは微塵も思わない。
浅垣灯悟の抱える絶望もそれだけ深く重い物だったはずだ。
それでも彼の言葉に嘘は1つもない、心から真昼を案じてのものだ。
記憶の中、執着と憎悪に塗れた姿とはまるで一致しない。
変わったのか?否、戻ったのだろう。
熱き友情の戦士。絆の守護者。その本質は何処まで行っても変わらない。
「そっか。」
その在り方は真昼にはあまりに眩しく映る。
大言壮語というには実力が伴っているから質が悪いのだ。
真昼が殺し合いに乗ることを止めれれば、ソウジや美嘉に頭を下げてでも真昼を仲間に率いてくれるかもしれない。
そんな光景が容易に想像できるのがどこかおかしかった。
その在り方は真昼にはあまりに眩しく映る。
大言壮語というには実力が伴っているから質が悪いのだ。
真昼が殺し合いに乗ることを止めれれば、ソウジや美嘉に頭を下げてでも真昼を仲間に率いてくれるかもしれない。
そんな光景が容易に想像できるのがどこかおかしかった。
『この殺し合いに巻き込まれているキラは…多数の犠牲の果てに最高傑作として生み出されて、友達の為に同じコーディネイター相手に戦って、裏切り者だと言われて殺したくなんて無いのに戦って…何度も間違えて、喪って…それでも正しい道を以て抗って!戦い抜いたんだ!』
キラ・ヤマトは変われた。
浅垣灯悟も変わった。
キラ・ヤマトは変われた。
浅垣灯悟も変わった。
では、柊真昼は?
絆の戦士でも執着の戦士でもない。初めから執着しか持ってない鬼はどうなるのか?
彼らのようになれるだろうか。世迷言のような思考を真昼はあっさりと切り捨てた。
絆の戦士でも執着の戦士でもない。初めから執着しか持ってない鬼はどうなるのか?
彼らのようになれるだろうか。世迷言のような思考を真昼はあっさりと切り捨てた。
「私はそうはなれない。」
なりたいとも思わない。
欠けて食われて穴の開いた心を埋めるには、殺し合いの中の出会いでは遅すぎた。
なりたいとも思わない。
欠けて食われて穴の開いた心を埋めるには、殺し合いの中の出会いでは遅すぎた。
「私を止めるには、倒すしかないわよ。」
「分かっている。だから手加減は…」
これ以上の会話を拒むように四鎌童子を生み出し首筋へと振るう。
灯悟はすぐさま迫る刃を絆創膏で抑え込むが、その時にはもうカラドボルグは灯悟の手首を狙っていた。
浅垣灯悟ならば気づくだろう。だが気づいたとして間に合うか?
握手カリバーは双刃刀に合体している。両面が刃である故に斬撃が途切れる隙が無く射程も広いが、小回りが利かない。
だから、浅垣灯悟はこの攻撃を対応できない。
そう確信して攻撃が命中する、その刹那。
「分かっている。だから手加減は…」
これ以上の会話を拒むように四鎌童子を生み出し首筋へと振るう。
灯悟はすぐさま迫る刃を絆創膏で抑え込むが、その時にはもうカラドボルグは灯悟の手首を狙っていた。
浅垣灯悟ならば気づくだろう。だが気づいたとして間に合うか?
握手カリバーは双刃刀に合体している。両面が刃である故に斬撃が途切れる隙が無く射程も広いが、小回りが利かない。
だから、浅垣灯悟はこの攻撃を対応できない。
そう確信して攻撃が命中する、その刹那。
『エクスプロージョン ナウ!』
背後から聞こえた電子音。
同時に仮面ライダーソロモンの背中が爆弾でもつけられたかのように爆ぜた。
同時に仮面ライダーソロモンの背中が爆弾でもつけられたかのように爆ぜた。
「なっ!?」
ドゴルドか?キョウリュウグリーンか?
警戒と共に真昼も灯悟も音のする側を見やると、そこに居たのは2体の仮面の戦士。
黄金の魔法使い 仮面ライダーソーサラー。
対未確認生命体の第四世代 仮面ライダーG4。
そのどちらも――NPCとして姿を現し、真昼が既に倒した個体である。
ドゴルドか?キョウリュウグリーンか?
警戒と共に真昼も灯悟も音のする側を見やると、そこに居たのは2体の仮面の戦士。
黄金の魔法使い 仮面ライダーソーサラー。
対未確認生命体の第四世代 仮面ライダーG4。
そのどちらも――NPCとして姿を現し、真昼が既に倒した個体である。
(なんでこいつらが?)
前触れの無い出現は不気味ではあるが、動揺するほどのものではない。
両者とも火力こそあれ、NPCだからか行動が単調だという弱点がある。
最強のNPCであるドゴルドに比べれば、危険度としては数段格落ちする存在だ。
前触れの無い出現は不気味ではあるが、動揺するほどのものではない。
両者とも火力こそあれ、NPCだからか行動が単調だという弱点がある。
最強のNPCであるドゴルドに比べれば、危険度としては数段格落ちする存在だ。
「面倒ね。」呟きざまにライドブックを二度動かし、カラドボルグに赤黒いオーラを宿し斬撃を飛ばす。
対するソーサラーも再び爆発を起こすものの、真昼の斬撃と相殺し煙が上がる。
粉塵で仮面ライダーの視界が塞がれた隙を狙って、真昼は四鎌童子を横薙ぎに振るう。
横やりを払いのけるにはそれだけで十分だと言わんばかりに、ソーサラーとG4の頸が宙を舞った。
対するソーサラーも再び爆発を起こすものの、真昼の斬撃と相殺し煙が上がる。
粉塵で仮面ライダーの視界が塞がれた隙を狙って、真昼は四鎌童子を横薙ぎに振るう。
横やりを払いのけるにはそれだけで十分だと言わんばかりに、ソーサラーとG4の頸が宙を舞った。
「はい、お終い。」
つまらなさげに言葉を締めて、真昼は背後を振り返る。
土塊になって消えていく仮面ライダーたちをよそに、その先にいる人物に真昼は尋ねた。
つまらなさげに言葉を締めて、真昼は背後を振り返る。
土塊になって消えていく仮面ライダーたちをよそに、その先にいる人物に真昼は尋ねた。
「それで、何が貴方の狙いなの、美嘉ちゃん。」
今の2体の仮面ライダーが何なのかは分からない。
だが、ただのNPCではない以上この場の誰かの仕業だ。
真昼でも灯悟でもない以上、実行できるのは美嘉だけだ。
振り向いたさき、名指しで尋ねられた黒い鎧が、少し考えこんで答えた。
キズナブラックによく似た姿。
何故だかその左腕だけが、天使のように真っ白に染まっていた。
今の2体の仮面ライダーが何なのかは分からない。
だが、ただのNPCではない以上この場の誰かの仕業だ。
真昼でも灯悟でもない以上、実行できるのは美嘉だけだ。
振り向いたさき、名指しで尋ねられた黒い鎧が、少し考えこんで答えた。
キズナブラックによく似た姿。
何故だかその左腕だけが、天使のように真っ白に染まっていた。
「あえて言うなら、状況を整えるまでの時間稼ぎ…ですかね。
貴方と灯悟さんが戦うと、多分どちらかは死んでしまう。
私はそれが嫌なんです。」
少し考え、神妙な面持ちで美嘉は答えた。
貴方と灯悟さんが戦うと、多分どちらかは死んでしまう。
私はそれが嫌なんです。」
少し考え、神妙な面持ちで美嘉は答えた。
「灯悟さんは多分『人を殺せる人』です。
でも『人を殺したい人』じゃない。」
「だから貴方が戦うって?勇敢ね。」
「彼を助けるって言ったので。
でも今のままでは、私は彼の足を引っ張るだけ。
弱くても、勝てなくても、もう嘘をついたりしたくない。」
でも『人を殺したい人』じゃない。」
「だから貴方が戦うって?勇敢ね。」
「彼を助けるって言ったので。
でも今のままでは、私は彼の足を引っ張るだけ。
弱くても、勝てなくても、もう嘘をついたりしたくない。」
自分に言い聞かせているようだと真昼は思った。
亀井美嘉は前線に立てるような人間ではない。多分運営だってそういう役割を期待して参戦させてはいないだろう。
真昼の様な殺戮者(マーダー)に殺されるか、キョウリュウグリーンやキズナブラックの様な英雄(ヒーロー)の庇護対象兼枷。
亀井美嘉は前線に立てるような人間ではない。多分運営だってそういう役割を期待して参戦させてはいないだろう。
真昼の様な殺戮者(マーダー)に殺されるか、キョウリュウグリーンやキズナブラックの様な英雄(ヒーロー)の庇護対象兼枷。
それだけの存在に、柊真昼は目が離せない。
いつかに捨てた幼く弱い柊真昼とどことなく似ているからだろうか。
彼女の言葉が――妙に癪に触ったことを覚えている。
いつかに捨てた幼く弱い柊真昼とどことなく似ているからだろうか。
彼女の言葉が――妙に癪に触ったことを覚えている。
「だから、私たちは貴方を止めます。」
微かに震えた足で、しかし真昼から目を離さずはっきり言った。
決意表明と同時に、2つの事が起きた。
1つは、ドゴルドとソウジの戦場と同じく、広範囲に張り巡らされたキズナブラックの絆創膏が地面から姿を見せたこと。
これは真昼にとって驚きこそあれ予想できたことだ。
決意表明と同時に、2つの事が起きた。
1つは、ドゴルドとソウジの戦場と同じく、広範囲に張り巡らされたキズナブラックの絆創膏が地面から姿を見せたこと。
これは真昼にとって驚きこそあれ予想できたことだ。
真に真昼を驚かせたのはもう1つの事象だ。
真っ白に染まっていた美嘉の左腕からカードのようなものが排出され、キズナブラックを思わせる黒色の装甲にが露になる。
真っ白に染まっていた美嘉の左腕からカードのようなものが排出され、キズナブラックを思わせる黒色の装甲にが露になる。
『エンジェリー…』
そのカードから声が聞こえたのは、気のせいではないのだろう。
少し申し訳なさそうに美嘉がそのカードをしまい込むと、別の絵柄の書いてあるカードを取り出した。
そのカードから声が聞こえたのは、気のせいではないのだろう。
少し申し訳なさそうに美嘉がそのカードをしまい込むと、別の絵柄の書いてあるカードを取り出した。
『ドッキリマジーン!』
また鳴いた。
ケミーと呼ばれる錬金生命体の、カードごと美嘉の左腕に取り込まれると、カードの絵柄に対応したように黒色の装甲に新たに色がついた。
興行師のような派手な赤と緑に、指先は手袋をしているようにわざとらしい白で塗られている。
また鳴いた。
ケミーと呼ばれる錬金生命体の、カードごと美嘉の左腕に取り込まれると、カードの絵柄に対応したように黒色の装甲に新たに色がついた。
興行師のような派手な赤と緑に、指先は手袋をしているようにわざとらしい白で塗られている。
何かが起こる。真昼の勘がそう告げている。
何が起こるかは分からない。
だけど少なくとも――亀井美嘉には策がある。
何が起こるかは分からない。
だけど少なくとも――亀井美嘉には策がある。
「先に1つだけ教えてくれない?
今の貴女のその姿、なんて呼べばいい?
レディ・ブラック・・・だとなんだかダメな気がするのよね。貴方もキズナブラックって呼んでいいの?」
「…自分にそんな名前は荷が重いです。」
本心からそう思う。自分が彼ほど強いとも、彼の様な覚悟があるとも思っていない。
今の貴女のその姿、なんて呼べばいい?
レディ・ブラック・・・だとなんだかダメな気がするのよね。貴方もキズナブラックって呼んでいいの?」
「…自分にそんな名前は荷が重いです。」
本心からそう思う。自分が彼ほど強いとも、彼の様な覚悟があるとも思っていない。
「そうですね、しいて言うのならば。」
名前は大事だ。黒阿修羅もそのようなことを言っていた気がする。
だが、美嘉は今の自分にしっくりくる名前をずっと決めあぐね今に至る。
そのため、一度頭をよぎった名前をそのまま使うことにした。
名前は大事だ。黒阿修羅もそのようなことを言っていた気がする。
だが、美嘉は今の自分にしっくりくる名前をずっと決めあぐね今に至る。
そのため、一度頭をよぎった名前をそのまま使うことにした。
「『冥黒の魔女』とでも呼んでください。」
それはグリオンの側に居た時、冥黒ノノミに言われた忌み名の様なものだ。
口に出すのは複雑だが、今の自分にはよく似合ってると美嘉は思う。
英雄ではない。守護者ではない。かといって純粋な少女でもない。そんな自分に。
それはグリオンの側に居た時、冥黒ノノミに言われた忌み名の様なものだ。
口に出すのは複雑だが、今の自分にはよく似合ってると美嘉は思う。
英雄ではない。守護者ではない。かといって純粋な少女でもない。そんな自分に。
「陰気な名前ね。」
にべもない真昼の言葉に、まったくだと少しだけ笑った。
そんなところも含めて――この名前は嫌いじゃない。
にべもない真昼の言葉に、まったくだと少しだけ笑った。
そんなところも含めて――この名前は嫌いじゃない。
◆
私が真昼さんと戦います。
ソーサラーとG4と戦う真昼をよそに、美嘉は灯悟へきっぱりと言った。
美嘉が戦えないとは思ってはいないが、真昼相手には分が悪いというのが灯悟の本音だった。
仮面ライダーソロモンとなっている柊真昼は強い。
強力な異能があるとか相性的な問題ではなく、天才の肉体と特級の呪いと仮面ライダーの相乗効果で基礎戦闘力が図抜けて高い。格上狩りをするには最も難しい類といえた。
美嘉だってそんなことは分かっていた。
分かったうえで少し申し訳なさげな声で、美嘉は言う。
ソーサラーとG4と戦う真昼をよそに、美嘉は灯悟へきっぱりと言った。
美嘉が戦えないとは思ってはいないが、真昼相手には分が悪いというのが灯悟の本音だった。
仮面ライダーソロモンとなっている柊真昼は強い。
強力な異能があるとか相性的な問題ではなく、天才の肉体と特級の呪いと仮面ライダーの相乗効果で基礎戦闘力が図抜けて高い。格上狩りをするには最も難しい類といえた。
美嘉だってそんなことは分かっていた。
分かったうえで少し申し訳なさげな声で、美嘉は言う。
「灯悟さんは、真昼さんを殺したくないですよね。」
「それは…」
この時初めて灯悟は真昼の生殺与奪について意識した。
さっきまでの自分がどうするつもりだったのかさえ、もやがかかったようにあいまいだ。
「それは…」
この時初めて灯悟は真昼の生殺与奪について意識した。
さっきまでの自分がどうするつもりだったのかさえ、もやがかかったようにあいまいだ。
殺すべきだろうと頭では思う。
柊真昼は殺し合いに乗っているし、話して解決するような人物ではない。
彼女の破綻は、そんなに優しくない。
だがその過去には、同情の余地が多分に含まれている。
生まれも、家庭も、宿命も。彼女自身にはどうしようもない部分があまりにも多い。
話して解決するならそうしたい。真昼に言ったことは本心だったのだろうと、遅れて彼は自覚した。
柊真昼は殺し合いに乗っているし、話して解決するような人物ではない。
彼女の破綻は、そんなに優しくない。
だがその過去には、同情の余地が多分に含まれている。
生まれも、家庭も、宿命も。彼女自身にはどうしようもない部分があまりにも多い。
話して解決するならそうしたい。真昼に言ったことは本心だったのだろうと、遅れて彼は自覚した。
「そうかもな。
敵として出会っていたのならまだしも、詳細な過去を見せられて彼女を殺すのは…あまり気分がいいものじゃないな。」
「私もです。
それに私たちは、ドゴルドと真昼さんを無力化すればいいはず。だから…」
敵として出会っていたのならまだしも、詳細な過去を見せられて彼女を殺すのは…あまり気分がいいものじゃないな。」
「私もです。
それに私たちは、ドゴルドと真昼さんを無力化すればいいはず。だから…」
そう美嘉は、自身の思い付きを耳打ちする。
かいつまんでいえば、灯悟は真昼側とドゴルド側双方の戦場で絆創膏による拘束や援護をして、『合図』に応じて真昼に手痛い一撃を与える。そういうものだ。
柊真昼を無力化するための策は、灯悟からしても中々出来のいいものだと思ったし、真昼が令呪を残している以上殺すよりも確実そうに思えた。
かいつまんでいえば、灯悟は真昼側とドゴルド側双方の戦場で絆創膏による拘束や援護をして、『合図』に応じて真昼に手痛い一撃を与える。そういうものだ。
柊真昼を無力化するための策は、灯悟からしても中々出来のいいものだと思ったし、真昼が令呪を残している以上殺すよりも確実そうに思えた。
「…理屈は分かった。やりたいことも分かるし、可能性は十分だと思う。
だがだがやはり君が前線にでるのは危険すぎる。相手がNPCならともかく柊真昼だ。」
「私が後ろに控えていても貴方たちの足を引っ張るだけです。」
強い口ぶりで美嘉は言う。
灯悟よりも、美嘉自身に向けて言っているのかもしれない。
だがだがやはり君が前線にでるのは危険すぎる。相手がNPCならともかく柊真昼だ。」
「私が後ろに控えていても貴方たちの足を引っ張るだけです。」
強い口ぶりで美嘉は言う。
灯悟よりも、美嘉自身に向けて言っているのかもしれない。
「灯悟さんが私を気にしながら戦うくらいなら、私が戦って灯悟さんのサポートを受けたほうが戦力的にはプラスだと思います。
幸いこの装甲はかなり頑丈ですしそれに・・・」
「それに?」
「守ってくれるんですよね?
貴方が塞ぐ絆創膏が、私とソウジさんを守ってくれる。だからこんな無茶を言えるんです。
だから私にも、貴方を助けさせてください。」
「そう来たか。」
変身した時に言った言葉を、そっくりそのまま返された。叶わないなと灯悟は笑う。
シルバーもだが女というのはつくづくズルい。
こうもストレートに信頼を突き付けられて、答えないわけにはいかないじゃないか。
幸いこの装甲はかなり頑丈ですしそれに・・・」
「それに?」
「守ってくれるんですよね?
貴方が塞ぐ絆創膏が、私とソウジさんを守ってくれる。だからこんな無茶を言えるんです。
だから私にも、貴方を助けさせてください。」
「そう来たか。」
変身した時に言った言葉を、そっくりそのまま返された。叶わないなと灯悟は笑う。
シルバーもだが女というのはつくづくズルい。
こうもストレートに信頼を突き付けられて、答えないわけにはいかないじゃないか。
「それで、確認なんだがその『ケミー』の力はどうやって引き出すんだ?
さっきの話じゃその力が必要…というか今鎧のNPCがいきなり現れたのも君の仕業なんだろ?」
美嘉の話では真昼と戦っている2体のNPCは、『エンジェリード』なるケミーの力で美嘉が呼び寄せた者だという。
しかし美嘉はケミーによる変異体『マルガム』とはなっておらず、キズナブラックのような装甲のままだ。
さっきの話じゃその力が必要…というか今鎧のNPCがいきなり現れたのも君の仕業なんだろ?」
美嘉の話では真昼と戦っている2体のNPCは、『エンジェリード』なるケミーの力で美嘉が呼び寄せた者だという。
しかし美嘉はケミーによる変異体『マルガム』とはなっておらず、キズナブラックのような装甲のままだ。
「それですが、こうしたんです。」
そういって美嘉は左腕を突き付ける。
キズナブラックを模した漆黒の装甲の内、左腕のみが真っ白に変わっていた。
よく見ると天使の羽のような意匠が随所に施され、何かと混ざり合っていることを示すようにどくりと一度だけ脈打った。
まるでその左腕の装甲だけ別の何かに変わっているようだ。
そういって美嘉は左腕を突き付ける。
キズナブラックを模した漆黒の装甲の内、左腕のみが真っ白に変わっていた。
よく見ると天使の羽のような意匠が随所に施され、何かと混ざり合っていることを示すようにどくりと一度だけ脈打った。
まるでその左腕の装甲だけ別の何かに変わっているようだ。
「色を変えた・・・わけじゃないな。
左腕の部分だけで、ケミーを取り込んだという事か?」
「そういう形です。いうなれば左腕のマルガム化。
それが私の思いついた、この姿でのケミーの活用法です。」
左腕の部分だけで、ケミーを取り込んだという事か?」
「そういう形です。いうなれば左腕のマルガム化。
それが私の思いついた、この姿でのケミーの活用法です。」
◆
美嘉がつけているキズナブレスは月蝕尽絶黒阿修羅の力を、夢の中の女性が持つ6つ目のキズナブレス状に再構築したものだ。
そのような所業が可能な理由は、美嘉が冥黒ノノミの死を受けて錬金術を会得していることや、キズナブラックへと干渉する夢の女と偶然邂逅できたことも理由だが。
一番は月蝕尽絶黒阿修羅の性質が有効に働いたことがあげられるだろう。
そのような所業が可能な理由は、美嘉が冥黒ノノミの死を受けて錬金術を会得していることや、キズナブラックへと干渉する夢の女と偶然邂逅できたことも理由だが。
一番は月蝕尽絶黒阿修羅の性質が有効に働いたことがあげられるだろう。
月蝕尽絶黒阿修羅 第七形態 『殲』
4つの巨腕を持つ巨大な装甲を生成し、敵味方問わず一切を消滅させる雨を降らせる最強の形態。
その起動には本来令呪が必要なうえ、起動したらしたで周囲に防御不能の無差別攻撃を仕掛けるハイリスクなものであるが、本質は別。
第七形態が生み出す装甲は、遠隔操作であるという点だ。
通常内部には黒阿修羅の分霊が乗りこみ本体は別の場所に潜むのだが、このバトルロワイヤルの支給品では別の使い方がある。
すなわち、遠隔操作の装甲を起動キーとして扱う事。当初想定された黒阿修羅の使い方だった。
その性質を利用した現在の美嘉の姿は戦隊の変身より起動キーに近い。
高攻撃力高防御力の呪力の兵装。
強力ではあるが問題があった。徒手空拳の起動キーでは、キズナファイブの武装とは違い武器がない。
4つの巨腕を持つ巨大な装甲を生成し、敵味方問わず一切を消滅させる雨を降らせる最強の形態。
その起動には本来令呪が必要なうえ、起動したらしたで周囲に防御不能の無差別攻撃を仕掛けるハイリスクなものであるが、本質は別。
第七形態が生み出す装甲は、遠隔操作であるという点だ。
通常内部には黒阿修羅の分霊が乗りこみ本体は別の場所に潜むのだが、このバトルロワイヤルの支給品では別の使い方がある。
すなわち、遠隔操作の装甲を起動キーとして扱う事。当初想定された黒阿修羅の使い方だった。
その性質を利用した現在の美嘉の姿は戦隊の変身より起動キーに近い。
高攻撃力高防御力の呪力の兵装。
強力ではあるが問題があった。徒手空拳の起動キーでは、キズナファイブの武装とは違い武器がない。
そこで美嘉が思い出したのは、藤乃代葉の存在だ。
彼女が持つ特異体質。幻妖と契約して力を得る能力だが、この力はソードスキル『星を継ぐもの(ベンジャミンバトン)』により美嘉も行使できる。
代葉はこの力で幻妖や式神を己の武器に取り込み自身の力としていた。
では、今の自分が使うとどうなる? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それもソードスキルとなった…すなわち制約が緩くなり効果範囲が拡張されている状態で行使すればどうなるか。
彼女が持つ特異体質。幻妖と契約して力を得る能力だが、この力はソードスキル『星を継ぐもの(ベンジャミンバトン)』により美嘉も行使できる。
代葉はこの力で幻妖や式神を己の武器に取り込み自身の力としていた。
では、今の自分が使うとどうなる? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それもソードスキルとなった…すなわち制約が緩くなり効果範囲が拡張されている状態で行使すればどうなるか。
試しにエンジェリードを取り込んで――その目論見は成功した
地面から生えた絆創膏を躱すことだけは、真昼にとってそう難しくない。
針山の合間を縫うような移動だが、味方の動きを阻害しないためか間隔は広いことも都合がいい。
数が多いが避けられるし、当たりそうなら斬ればいい。
阿修羅丸。四鎌童子。カラドボルグ。斬撃武器なら使い放題だ。
針山の合間を縫うような移動だが、味方の動きを阻害しないためか間隔は広いことも都合がいい。
数が多いが避けられるし、当たりそうなら斬ればいい。
阿修羅丸。四鎌童子。カラドボルグ。斬撃武器なら使い放題だ。
針山の1つが解け、無数の絆創膏が真昼を襲う。そんなやり取りも何度目か。
背後に飛びながらその全てを切り捨てる。幾枚もの残骸がはらりと地面に落ちた。
斬られた時点で絆創膏はキズナブラックの制御下から外れ、絆創膏で妨げられた視界が開く。
その先には美嘉の姿があった。赤と緑に彩られた左手を構え、親指と中指をくっつける。
背後に飛びながらその全てを切り捨てる。幾枚もの残骸がはらりと地面に落ちた。
斬られた時点で絆創膏はキズナブラックの制御下から外れ、絆創膏で妨げられた視界が開く。
その先には美嘉の姿があった。赤と緑に彩られた左手を構え、親指と中指をくっつける。
「またぁ!?」
その姿に辟易したように真昼は唸ったが、防ぎようがない。
パチン。
美嘉が指を鳴らすと、切り落とされた残骸が意志を持ったように動き出し、ドリルのように束ねられた絆創膏が真昼めがけて射出される。今回は計3つ。
とっさに阿修羅丸で払いのけるが元が切り捨てられた巨大絆創膏だ、斬られた先からはらりとほどけ風に乗って真昼の方へ迫ってくる。
そんな攻撃を、美嘉は既に3回仕掛けていた。
その姿に辟易したように真昼は唸ったが、防ぎようがない。
パチン。
美嘉が指を鳴らすと、切り落とされた残骸が意志を持ったように動き出し、ドリルのように束ねられた絆創膏が真昼めがけて射出される。今回は計3つ。
とっさに阿修羅丸で払いのけるが元が切り捨てられた巨大絆創膏だ、斬られた先からはらりとほどけ風に乗って真昼の方へ迫ってくる。
そんな攻撃を、美嘉は既に3回仕掛けていた。
現在美嘉が取り込んでいるケミーはドッキリマジーン。マジシャンのケミーだ。
その能力でキズナブラックが干渉できない切り捨てられた絆創膏を操作し、妨害に勤しんでいた。
隠し、動かし、揺らめき、襲う。
一発一発の威力は皆無だが、放置すれば視界を塞いでくるのが真昼にとっては非常に質が悪かった。
その能力でキズナブラックが干渉できない切り捨てられた絆創膏を操作し、妨害に勤しんでいた。
隠し、動かし、揺らめき、襲う。
一発一発の威力は皆無だが、放置すれば視界を塞いでくるのが真昼にとっては非常に質が悪かった。
「貴方実は性格悪いんじゃない!?」
「かもしれません。」
パチン。再度指を鳴らすと宙を舞っていた残骸たちがまた変わる。今度は白鳩にだ。
ぱたぱたと真昼の目の前で羽音を立てて、白い羽根が視界を塞ぐ。
鬱陶しい。飛び去る鳩たちを払いのけながら真昼は眉間に皺を寄せた。
「かもしれません。」
パチン。再度指を鳴らすと宙を舞っていた残骸たちがまた変わる。今度は白鳩にだ。
ぱたぱたと真昼の目の前で羽音を立てて、白い羽根が視界を塞ぐ。
鬱陶しい。飛び去る鳩たちを払いのけながら真昼は眉間に皺を寄せた。
(美嘉ちゃんの狙いは分からない。でもいま彼女がしているのは悪戯の様な妨害ばかり。
消耗戦に持ち込むなら…意外と有効かもね。)
既に真昼の消耗は無視できないレベルに達しつつある。
柳瀬舞衣ら4人と交戦し、ジンガとも一悶着あり、ドゴルドと刃を交えたばかりだ。
消耗戦に持ち込むなら…意外と有効かもね。)
既に真昼の消耗は無視できないレベルに達しつつある。
柳瀬舞衣ら4人と交戦し、ジンガとも一悶着あり、ドゴルドと刃を交えたばかりだ。
(でもそうじゃない。
消耗させるつもりなら、そうだとするならこんな悪戯じゃなくて、NPC召喚を繰り返したほうが確実のはず。
使えない理由がある?あのカードの式神が鍵ね。)
消耗させるつもりなら、そうだとするならこんな悪戯じゃなくて、NPC召喚を繰り返したほうが確実のはず。
使えない理由がある?あのカードの式神が鍵ね。)
消耗が著しいのか。使用制限があるのか。
現時点で真昼には分からない。だからあらゆる可能性を考慮する。
未知の情報を前提に戦術を立てるのは愚の骨頂だ。
現時点で真昼には分からない。だからあらゆる可能性を考慮する。
未知の情報を前提に戦術を立てるのは愚の骨頂だ。
とん。と警戒な音を立てて飛び上がり、四鎌童子を構える。
カラドボルグや阿修羅丸よりもリーチが長い。刃はギリギリ喉元に届く。
弧を描いた一閃。だがそれは美嘉の喉元に届く前に固いものに阻まれる。
キズナブラックの絆創膏が美嘉を守るように延びていた。
それに合わせ、美嘉は三度指を鳴らす。
四鎌童子を塞いだ絆創膏がシュルシュルと音を立て四鎌童子の刃に纏わりついて、動きを塞ぐ。蛞蝓のような動きながら引っ張る力は強い。
ノ夜どころか四鎌童子まで奪われたらシャレにならない。
カラドボルグや阿修羅丸よりもリーチが長い。刃はギリギリ喉元に届く。
弧を描いた一閃。だがそれは美嘉の喉元に届く前に固いものに阻まれる。
キズナブラックの絆創膏が美嘉を守るように延びていた。
それに合わせ、美嘉は三度指を鳴らす。
四鎌童子を塞いだ絆創膏がシュルシュルと音を立て四鎌童子の刃に纏わりついて、動きを塞ぐ。蛞蝓のような動きながら引っ張る力は強い。
ノ夜どころか四鎌童子まで奪われたらシャレにならない。
「させないわよ。」
不快感を露にとっさに四鎌童子を引き抜く。
切り裂かれた絆創膏が風に乗って宙を舞った。美嘉の指示でロクでもない挙動をする媒体が増えたことになる。
不快感を露にとっさに四鎌童子を引き抜く。
切り裂かれた絆創膏が風に乗って宙を舞った。美嘉の指示でロクでもない挙動をする媒体が増えたことになる。
「抜け目ないわね…でもそれ以上に彼が厄介。」
汗をぬぐう動作をして、こつんと額から音が鳴った。
今の自分は仮面ライダーだ、汗は拭けない。
汗をぬぐう動作をして、こつんと額から音が鳴った。
今の自分は仮面ライダーだ、汗は拭けない。
「あのレベルの実力者が睨みを効かせてるってだけで、こっちの動きが制限されちゃうのよね。」
美嘉だけなら大したことのないNPC召喚と物体操作も、キズナブラックという堅固な守りがあるだけで真昼を随分消耗させている。
何より、隙を曝した瞬間待っているのは絆創膏による拘束だ。
或いはそれ以上の大技があるかも。
絆創膏の針山の合間を縫うように動きキズナブラックを責める隙を探すが、それならそれで美嘉の妨害が目障りだ。
こちらにも何かしらの切り札がある可能性は捨てきれない。防御力が高いのも鬱陶しさを高めていた。
美嘉だけなら大したことのないNPC召喚と物体操作も、キズナブラックという堅固な守りがあるだけで真昼を随分消耗させている。
何より、隙を曝した瞬間待っているのは絆創膏による拘束だ。
或いはそれ以上の大技があるかも。
絆創膏の針山の合間を縫うように動きキズナブラックを責める隙を探すが、それならそれで美嘉の妨害が目障りだ。
こちらにも何かしらの切り札がある可能性は捨てきれない。防御力が高いのも鬱陶しさを高めていた。
「なら、一番簡単で一番バカバカしいやり方で終わらせましょうか!」
合間を走る。少しでもキズナブラックを狙えるラインに。
その動きに気づいた美嘉が走り、キズナブラックもとっさに周囲の絆創膏を解いて真昼をこさえこむ。
絆創膏が天街を覆う漆黒のドーム。
その中心で、真昼はベルトのライドブックを閉じ、二度叩いた。
その動きに気づいた美嘉が走り、キズナブラックもとっさに周囲の絆創膏を解いて真昼をこさえこむ。
絆創膏が天街を覆う漆黒のドーム。
その中心で、真昼はベルトのライドブックを閉じ、二度叩いた。
『OMNIBUS LOADING!
SOLOMON STLASH!』
SOLOMON STLASH!』
同時に浮かび上がるは、おどろおどろしい瘴気を纏う無数のカラドボルグ。
マスターロゴスが上空から落下させるように利用したその攻撃を、真昼は自身を中心に全方位に発射する。
射出。切断。切り口から炎上した絆創膏がその制御を失い経たりと倒れる。
射出。切断。炎上。射出。切断。炎上。
真昼を封じるドームは弾け飛び、見える範囲の絆創膏の針山は切り口から煙を上げていた。
マスターロゴスが上空から落下させるように利用したその攻撃を、真昼は自身を中心に全方位に発射する。
射出。切断。切り口から炎上した絆創膏がその制御を失い経たりと倒れる。
射出。切断。炎上。射出。切断。炎上。
真昼を封じるドームは弾け飛び、見える範囲の絆創膏の針山は切り口から煙を上げていた。
「めちゃくちゃするなこいつ。」
遠くでキズナブラックが手を動かすと、火の手の上がっていた絆創膏の針山すべてがほどけて消える。煙が上がることも炎上することも不利なのは彼らの方だ。
後に残ったのは穴だらけになった(一部の建物も含む)交差点と、わずかに残る煙の中に佇む2人のキズナブラック。
剥がれていた絆創膏の残骸も既に無く、美嘉が指を鳴らそうとできることは限られる。
わずかに残った小火を大きくしたりすることはせいぜいか。それで仮面ライダーソロモンは止まらない。
遠くでキズナブラックが手を動かすと、火の手の上がっていた絆創膏の針山すべてがほどけて消える。煙が上がることも炎上することも不利なのは彼らの方だ。
後に残ったのは穴だらけになった(一部の建物も含む)交差点と、わずかに残る煙の中に佇む2人のキズナブラック。
剥がれていた絆創膏の残骸も既に無く、美嘉が指を鳴らそうとできることは限られる。
わずかに残った小火を大きくしたりすることはせいぜいか。それで仮面ライダーソロモンは止まらない。
こうなった以上、美嘉を狙う必要はない。
正面戦闘で圧勝できることは暴走状態の彼女を下すことで既に格付けは終えている。
カラドボルグと阿修羅丸を握りしめ、真昼が狙うは浅垣灯悟。
正面戦闘で圧勝できることは暴走状態の彼女を下すことで既に格付けは終えている。
カラドボルグと阿修羅丸を握りしめ、真昼が狙うは浅垣灯悟。
「結構面倒だったわよ。でもこれで…」
走り出す一歩を踏み出した。
黒煙が残る街並みを走る。
・・・・・・・・・・・・
汗ばんだ肌に風が吹き込み、急激に温度を奪っていく。
・・
走る。走る。左手に刃を構え真昼は―――
走り出す一歩を踏み出した。
黒煙が残る街並みを走る。
・・・・・・・・・・・・
汗ばんだ肌に風が吹き込み、急激に温度を奪っていく。
・・
走る。走る。左手に刃を構え真昼は―――
「はっ…?」
何かがおかしい。違和感に思わず足を止めた。
カラドボルグを握っていたはずの右腕に感覚がない。
装甲で覆われたはずの素肌に風を感じる。
真昼の体は・・・黄金の装甲に覆われていない。
仮面ライダーソロモンへの変身は…いつの間にか解けていた。
何かがおかしい。違和感に思わず足を止めた。
カラドボルグを握っていたはずの右腕に感覚がない。
装甲で覆われたはずの素肌に風を感じる。
真昼の体は・・・黄金の装甲に覆われていない。
仮面ライダーソロモンへの変身は…いつの間にか解けていた。
「なん…で?」
変身を解除していない。消耗による解除でも気づかないなんてことはあり得ない。
焦りに歪む顔を隠す仮面も今の真昼にはない。
変身を解除していない。消耗による解除でも気づかないなんてことはあり得ない。
焦りに歪む顔を隠す仮面も今の真昼にはない。
「今です!!」
「了解!!」
目を見開いた真昼の耳に、美嘉と灯悟の声が届いた。
絆創拘束(バンソウバインド)。その声と共に灯悟の手から黒い絆創膏が射出され、真昼の体に両腕事巻き付いて縛り上げる。間髪入れずに両足。そして未だ本を残したままのベルトまで絆創膏に覆われて使用不能になる。
ミノムシのような格好にされてバランスを崩す、その瞬間真昼は見た。
「了解!!」
目を見開いた真昼の耳に、美嘉と灯悟の声が届いた。
絆創拘束(バンソウバインド)。その声と共に灯悟の手から黒い絆創膏が射出され、真昼の体に両腕事巻き付いて縛り上げる。間髪入れずに両足。そして未だ本を残したままのベルトまで絆創膏に覆われて使用不能になる。
ミノムシのような格好にされてバランスを崩す、その瞬間真昼は見た。
赤と緑に彩られた左手が、ふよふよと宙に浮いている。
鳩のように宙を飛んでいく左手には、二枚のカードを握っていた。
鳩のように宙を飛んでいく左手には、二枚のカードを握っていた。
『ドッキリマジーン!』
そう叫ぶ1枚目のカードは、美嘉が腕に埋め込んでいた奇術師のカードだ。
そのカードがなぜこんなところにある?
嫌な予感を前に美嘉の側を振り向くと、煙が晴れ開けた視界に美嘉の姿がはっきり見える。
黒煙と砂塵の中こちらに歩いてきた漆黒の装甲には、左手首から先が無かった。
そう叫ぶ1枚目のカードは、美嘉が腕に埋め込んでいた奇術師のカードだ。
そのカードがなぜこんなところにある?
嫌な予感を前に美嘉の側を振り向くと、煙が晴れ開けた視界に美嘉の姿がはっきり見える。
黒煙と砂塵の中こちらに歩いてきた漆黒の装甲には、左手首から先が無かった。
「手首を飛ばす…種も仕掛けもないってことね。」
乾いた笑いを浮かべる真昼の目の前で、ふよふよと浮いた腕が美嘉の手首へと戻り。かちりと音を立ててはめ込まれる。
その手に握ったもう一枚のカードが、疲れたとでもいたげにカードの中でぐったりと座り込んでいた。
乾いた笑いを浮かべる真昼の目の前で、ふよふよと浮いた腕が美嘉の手首へと戻り。かちりと音を立ててはめ込まれる。
その手に握ったもう一枚のカードが、疲れたとでもいたげにカードの中でぐったりと座り込んでいた。
『ケスゾー。』
「消しゴムの…式神…」
「消しゴムの…式神…」
天使の式神(ケミー)――エンジェリードは死者を再生させる。
奇術師の式神(ケミー)――ドッキリマジーンは自在な奇術を起こす。
では、消しゴムの式神(ケミー)は……考えるまでもない。
奇術師の式神(ケミー)――ドッキリマジーンは自在な奇術を起こす。
では、消しゴムの式神(ケミー)は……考えるまでもない。
変身したという事実を消したのだ。
美嘉と灯悟の狙いは、初めからこの一瞬だった。
「私たちの勝ちです。真昼さん。」
美嘉の声がすぐそばから響く。
その左腕は、天使のように白くもなければ奇術師のように鮮やかでもなかった。
4枚目のカードを打ち込んだ左腕は、光沢ある鱗に覆われた赤い大蛇の姿をしていた。
美嘉の声がすぐそばから響く。
その左腕は、天使のように白くもなければ奇術師のように鮮やかでもなかった。
4枚目のカードを打ち込んだ左腕は、光沢ある鱗に覆われた赤い大蛇の姿をしていた。
「蛇の腕。
あのうてなとかいう子と同じ。ということは。」
「はい。このケミー…『ジャマタノオロチ』の効果は石化です。
この手のものが貴女にどれだけ有効かはわかりません。
使うのが私ですし、貴女の体を固められる時間は1分もないかもしれません。」
「まあ、私もそう思うわ。」
仮面越しに語る少女は真昼にとって甚だ弱者だ。
そんな人の呪いで縛られるのであれば、これまでの人生で真昼が死んだ数は10や20ではきかないだろう。
あのうてなとかいう子と同じ。ということは。」
「はい。このケミー…『ジャマタノオロチ』の効果は石化です。
この手のものが貴女にどれだけ有効かはわかりません。
使うのが私ですし、貴女の体を固められる時間は1分もないかもしれません。」
「まあ、私もそう思うわ。」
仮面越しに語る少女は真昼にとって甚だ弱者だ。
そんな人の呪いで縛られるのであれば、これまでの人生で真昼が死んだ数は10や20ではきかないだろう。
「それでも」微かに震えた声で黒い仮面は続ける。
・・・・・・・・
「石化された絆創膏の拘束を抜けるのは難しいんじゃないですか?」
「そういう…ことね…!!」
弱気で微かに震えた声。真昼の強さも怖さも知っている亀(じゃくしゃ)。
そんな少女を前に、真昼は心から思う。してやられたと。
彼女は初めから石化による拘束を狙っていた。
「石化された絆創膏の拘束を抜けるのは難しいんじゃないですか?」
「そういう…ことね…!!」
弱気で微かに震えた声。真昼の強さも怖さも知っている亀(じゃくしゃ)。
そんな少女を前に、真昼は心から思う。してやられたと。
彼女は初めから石化による拘束を狙っていた。
「貴方…私を殺さないの?」
「殺したくありません。」
蛇の腕に橙色のエネルギーをチャージしながら、頑なな言葉で言い切る。
普通の人間は人を殺したいとは思わない。悲しい過去を知っている相手なら猶更だ。
「殺したくありません。」
蛇の腕に橙色のエネルギーをチャージしながら、頑なな言葉で言い切る。
普通の人間は人を殺したいとは思わない。悲しい過去を知っている相手なら猶更だ。
「それに、貴女の気持ちも分かりますから。」
「?」
「私にも恋人がいるので。貴方が一緒にいた彼を好きなんだってことは、伝わってきました。」
美嘉の言葉に、真昼は吹き出し。腹を抱えて笑いだした。
殺し合いの只中で柊真昼という鬼を相手にしながら、そんなことを言ってのける人物は初めてだ。
「?」
「私にも恋人がいるので。貴方が一緒にいた彼を好きなんだってことは、伝わってきました。」
美嘉の言葉に、真昼は吹き出し。腹を抱えて笑いだした。
殺し合いの只中で柊真昼という鬼を相手にしながら、そんなことを言ってのける人物は初めてだ。
冥黒うてなの影響で、美嘉は真昼の人生を知っている。
怪物として生まれて、破壊衝動を抑え続け、幸せを掴むために血と臓物に塗れて殺し続けた。
遥か遠くで燻ってる亀たちに恐れられつつ、休む間もなく駆ける事を強いられた兎の様な人生。
そんな人生を―――恋の物語だと。そう思ってくれたのか?
怪物として生まれて、破壊衝動を抑え続け、幸せを掴むために血と臓物に塗れて殺し続けた。
遥か遠くで燻ってる亀たちに恐れられつつ、休む間もなく駆ける事を強いられた兎の様な人生。
そんな人生を―――恋の物語だと。そう思ってくれたのか?
「‥‥‥アハハハハ。そういう感じなの貴女!!ムカつくわね。」
「え?ええ?」
笑っている意味が分からず美嘉はきょとんと首をかしげる。そんな態度が一層真昼にはおかしくてならない。
この少女はどこまでも普通の女の子だ。
恋人がいて。友達がいて。苦痛を知ってなお歩みを止めない亀の様な普通の少女。
「え?ええ?」
笑っている意味が分からず美嘉はきょとんと首をかしげる。そんな態度が一層真昼にはおかしくてならない。
この少女はどこまでも普通の女の子だ。
恋人がいて。友達がいて。苦痛を知ってなお歩みを止めない亀の様な普通の少女。
「羨ましいわ。」
駆ける事しか許されなかった兎(わたし)にとって、それがどれだけ眩しかったか。
きっと彼女は知らないのだろう。
きっと彼女は知らないのだろう。
石化光線を浴び固まったその顔が、微かに笑みを浮かべていた理由も。きっと知らないのだろう。
「やっ…」
石化した真昼を前に、湧き上がる勝利の実感。
緊張の糸が解け美嘉は思わずへたりこむ。変身も自然に溶け、いつの間にか体は汗でぐっしょり濡れている。
穴だらけの大地に風が微かに吹き抜け、戦った事実を示すように漆黒のブレスレットを微かに揺らした。
石化した真昼を前に、湧き上がる勝利の実感。
緊張の糸が解け美嘉は思わずへたりこむ。変身も自然に溶け、いつの間にか体は汗でぐっしょり濡れている。
穴だらけの大地に風が微かに吹き抜け、戦った事実を示すように漆黒のブレスレットを微かに揺らした。
「でも…そんな余裕もない。
ソウジさん達はまだ戦ってるし…それに真昼さんはすぐに石化が解ける。」
紛れもない大金星。だが余韻に浸る余裕は美嘉には無い。
ジャマタノオロチの石化能力は、支給品となった影響下か本来より効力は短い。
美嘉の様な素人が真昼の様な心体共に一流の術師に用いても効果は短い。1分という予想さえ大それたものだろう。
ピキリと音を立て、真昼の胸元の石に小さなひびが入る。急がなければ。
ソウジさん達はまだ戦ってるし…それに真昼さんはすぐに石化が解ける。」
紛れもない大金星。だが余韻に浸る余裕は美嘉には無い。
ジャマタノオロチの石化能力は、支給品となった影響下か本来より効力は短い。
美嘉の様な素人が真昼の様な心体共に一流の術師に用いても効果は短い。1分という予想さえ大それたものだろう。
ピキリと音を立て、真昼の胸元の石に小さなひびが入る。急がなければ。
「失礼します。」
無意識に声をかけ。絆創膏の隙間から真昼の体に手を突っ込んだ。
目的は真昼のベルトだ。ドゥームズドライバーバックルとオムニフォースワンダーライドブック。
半ば我儘のように真昼を生かした以上今後の対応を決める必要がある。
灯悟とソウジがいるとはいえ、殺し合いに乗っている真昼の武器を奪うのは必要な措置だ。
無意識に声をかけ。絆創膏の隙間から真昼の体に手を突っ込んだ。
目的は真昼のベルトだ。ドゥームズドライバーバックルとオムニフォースワンダーライドブック。
半ば我儘のように真昼を生かした以上今後の対応を決める必要がある。
灯悟とソウジがいるとはいえ、殺し合いに乗っている真昼の武器を奪うのは必要な措置だ。
とはいえ他人の物を奪うのは複雑なことではあった。必要とはいえ泥棒ではないか?
ばつの悪さに「仕方ない!仕方ない!」と頭の中で言い聞かせながら、美嘉の指が硬いものに触れた。手のひらサイズの直方体の物体。
ばつの悪さに「仕方ない!仕方ない!」と頭の中で言い聞かせながら、美嘉の指が硬いものに触れた。手のひらサイズの直方体の物体。
「あった!」
小さな喜びに声を上げる。
小さな喜びに声を上げる。
その全てをかき消すような爆発音がもう1つの戦場から響き渡ったのは、まさにその瞬間だった。
111:Cuz I―亀井美嘉オリジン/浅垣灯悟オリジン | 投下順 | 111:Cuz I―この人生の意味と使い方を |
時系列順 | ||
柊真昼 | ||
キズナブラック | ||
立風館ソウジ | ||
亀井美嘉 | ||
冥黒うてな | ||
激怒戦騎のドゴルド |