たしかに生まれた 必要だからだ たしかに生きている まだ用事があるからだ
後藤静香
後藤静香
「……」
ズシズシと重い足音が響く。
音の主は”竜”である。
竜の名はない。
ただ種族としての名はある。
ダースドラゴン。
それが、名もなき竜の族する種族名。
音の主は”竜”である。
竜の名はない。
ただ種族としての名はある。
ダースドラゴン。
それが、名もなき竜の族する種族名。
「……」
我らの務めは主の住む居城の地下深くを警護すること。
当然だ。なぜなら我ら、ダースドラゴンは王の配下の魔物の中で攻守に優れた種族であるから。
実際、数多の勇者を名乗る者を葬りさった。
だが、王は討たれた。
勇者とは名ばかりの贋物の中に混ざっていた真の勇者によって。
何体かの同族はその勇者と戦い斃れた。
片や俺はその勇者に遭遇することもなく、無為に時間を過ごした。
そして気づけば王は討たれていた。
勇者を葬ることも。戦い斃れることもなく生き恥を晒した。
俺は”りゅうおう”さまのお役に立つことができなかった。
王を守れぬ竜など存在意義はあるのだろうか?
当然だ。なぜなら我ら、ダースドラゴンは王の配下の魔物の中で攻守に優れた種族であるから。
実際、数多の勇者を名乗る者を葬りさった。
だが、王は討たれた。
勇者とは名ばかりの贋物の中に混ざっていた真の勇者によって。
何体かの同族はその勇者と戦い斃れた。
片や俺はその勇者に遭遇することもなく、無為に時間を過ごした。
そして気づけば王は討たれていた。
勇者を葬ることも。戦い斃れることもなく生き恥を晒した。
俺は”りゅうおう”さまのお役に立つことができなかった。
王を守れぬ竜など存在意義はあるのだろうか?
主を守れず無色の世界をただ生きる
それがダースドラゴンの現実(じごく)
それがダースドラゴンの現実(じごく)
☆彡 ☆彡 ☆彡
「……!」
切り株に座る人間の女がいた。
雰囲気からみると、どこぞの村の村人Aといったところ。
おそらく、普段から体を動かしていないのだろう。
その華奢な肌は、爪が触れただけで血飛沫をまき散らし、斃れる。
雰囲気からみると、どこぞの村の村人Aといったところ。
おそらく、普段から体を動かしていないのだろう。
その華奢な肌は、爪が触れただけで血飛沫をまき散らし、斃れる。
「人間か……」
人間……主を討った種族。
もし、この場に王を討った勇者がいるのなら、仇討ちにでるべきだろう。
だが、目の前の村娘は、明らかに戦闘とは無縁に見えた。
そのような者を殺すのは、気が乗らない。
なにより、この殺し合いに乗ることは羂索なる人間の思うつぼではないだろうか。
それは、誇り高き王の配下としてあってはならぬこと。
もし、この場に王を討った勇者がいるのなら、仇討ちにでるべきだろう。
だが、目の前の村娘は、明らかに戦闘とは無縁に見えた。
そのような者を殺すのは、気が乗らない。
なにより、この殺し合いに乗ることは羂索なる人間の思うつぼではないだろうか。
それは、誇り高き王の配下としてあってはならぬこと。
――――コマンド――――
たたかう じゅもん
にげる どうぐ
にげる どうぐ
”にげる”
(立ち去るか……)
まるで、”にげる”みたいで気が進まないが、無理して人間と接触をはかることもない。
竜はそっと、その場から立ち去ることを選択した。
竜はそっと、その場から立ち去ることを選択した。
ダカダカダカッ
りゅうはにげだした!
しかし、きづかれてしまった
どうやら娘はこちらの存在に気が付いたようだ。
むすめが きづいた
コマンド?
コマンド?
(……ち、こうなったら追い払うとするか)
襲い掛かるように竜は吠える。
村娘には十分だろう。
おそらく恐怖の顔で逃げ出す。
自分の悪評が広がるかもしれないが、まぁそれは構わない。
ゲームには乗らずとも襲い掛かってくるのならば、返り討ちにするだけ。
元々、人と魔物。分かり合えるはず等ないのだから。
村娘には十分だろう。
おそらく恐怖の顔で逃げ出す。
自分の悪評が広がるかもしれないが、まぁそれは構わない。
ゲームには乗らずとも襲い掛かってくるのならば、返り討ちにするだけ。
元々、人と魔物。分かり合えるはず等ないのだから。
しかし、娘はその場から動かなかった。
「?……どうしてお前は逃げださない。死ぬのが怖くないのか?」
「死ぬのは怖いです……でも、どちらにしたって死ぬだけなので」
「なんだと……?」
「なんだと……?」
竜は娘の言葉に怪訝な表情を見せる。
娘は竜に語る――――
娘は竜に語る――――
☆彡 ☆彡 ☆彡
「……というわけで、私に先はないんです」
娘の名前は御坂栞。
病により生まれつき身体が弱い彼女は、誕生日まで生きられないと医師から宣告を受けている。
病により生まれつき身体が弱い彼女は、誕生日まで生きられないと医師から宣告を受けている。
「本当にどうにもならないのか?たとえば……あの人間が言ってた権利とかで治るとか」
「羂索さんの権利でですか?確かにあの人が持つ奇跡みたいな力なら叶うかもしれrません。でも……起きないから奇跡っていうんですよ?」
「羂索さんの権利でですか?確かにあの人が持つ奇跡みたいな力なら叶うかもしれrません。でも……起きないから奇跡っていうんですよ?」
竜の言葉に栞は諦めたように顔を左右に振る。
「大体ろくに運動もしていない私が、優勝できるなんてそれこそ奇跡です。それに……人の命を奪ってまで叶えるのは間違っていると思うので」
たくさんのお薬を飲んで、もっとたくさんの注射をしても治らない病気。
学校に通って皆と一緒にお昼ご飯を食べて。
放課後は友達と商店街を歩いて。
身体が弱いのに遅くまで遊んで、お父さんとお母さんに怒られて。
でも、お姉ちゃんが庇ってくれた……
普通に暮らすことができていたあの頃はもう来ない。
それは美坂栞の現実(じごく)
学校に通って皆と一緒にお昼ご飯を食べて。
放課後は友達と商店街を歩いて。
身体が弱いのに遅くまで遊んで、お父さんとお母さんに怒られて。
でも、お姉ちゃんが庇ってくれた……
普通に暮らすことができていたあの頃はもう来ない。
それは美坂栞の現実(じごく)
―――栞の心の奥に踏み込みますか…?
はい いいえ
「……」
―――栞の心の奥に踏み込みますか…?
はい
ピキ!ピキキキキ!!!!ガッシャン……!!!!!
「……」
そんな栞に対して竜は行動を起こす。
「バカか、オマエは。起きるから奇跡っていうんだろが」
ピコン
「あいた!?」
それは凸ピン。
「……そんなことする人、嫌いです」
「ふん……俺は人ではなく竜だ」
「あ……そういえば、そうでしたね」
「ふん……俺は人ではなく竜だ」
「あ……そういえば、そうでしたね」
「「……」」
ふと、笑う。
どちらも。
どちらも。
【ダースドラゴン@ドラゴンクエスト】
状態:正常、無色な人生
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~3、ホットライン
思考
基本:ゲームには乗らないが、権利で栞の病気を治す?
01:娘……栞と行動を共にする
02:勇者……俺は……
03:王よ……俺は……
参戦時期:りゅうおうが討たれた後
備考
※本編中、勇者と出会うことなく主(りゅうおう)は討たれました
※栞の病について知りました。また、自分とは別の世界があることを理解しました。
※使えるじゅもん
ラリホー
本ゲームでは、体力・精神が弱っているとき効果がききます。
正常の場合は、強烈な眠気を引き起こし、戦いへの集中力を乱します。
状態:正常、無色な人生
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~3、ホットライン
思考
基本:ゲームには乗らないが、権利で栞の病気を治す?
01:娘……栞と行動を共にする
02:勇者……俺は……
03:王よ……俺は……
参戦時期:りゅうおうが討たれた後
備考
※本編中、勇者と出会うことなく主(りゅうおう)は討たれました
※栞の病について知りました。また、自分とは別の世界があることを理解しました。
※使えるじゅもん
ラリホー
本ゲームでは、体力・精神が弱っているとき効果がききます。
正常の場合は、強烈な眠気を引き起こし、戦いへの集中力を乱します。
【美坂栞@Kanon(京アニ)】
状態:正常、生への諦め
服装:普段の私服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~3、ホットライン
思考
基本:殺し合いには乗らない。権利で病気を治す気はない
01:目の前の竜と行動を共にする
02:奇跡……起きないから奇跡っていうんですよ?竜さん
03:祐一さん……お姉ちゃん……
参戦時期:17話 夜の噴水で祐一と話をして別れた後
備考
※ダースドラゴンの存在から自分とは別の世界があることを理解しました。
状態:正常、生への諦め
服装:普段の私服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~3、ホットライン
思考
基本:殺し合いには乗らない。権利で病気を治す気はない
01:目の前の竜と行動を共にする
02:奇跡……起きないから奇跡っていうんですよ?竜さん
03:祐一さん……お姉ちゃん……
参戦時期:17話 夜の噴水で祐一と話をして別れた後
備考
※ダースドラゴンの存在から自分とは別の世界があることを理解しました。