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  • linkage ─砂糖少女は屈しない─

真贋バトルロワイヤル

linkage ─砂糖少女は屈しない─

最終更新:2024年10月27日 16:29

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
◆


「やっぱり私の趣味じゃないのよねぇ」

落胆気味に呟くノワルに見上げられ、ソレは唸り声を一つ返す。
胴体も、頭部も、首も、翼も、尾に至るまで全てが白。
唯一ダイヤモンドを填め込んだと思わせる瞳は青く輝き、自らの召喚者を射抜く。
会場に放たれたNPCのモンスターとは一線を画す存在感。
青眼の白竜(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)、ある世界において知らぬ者はいないとされる伝説のドラゴンであった。

クレーターに変えたF-7に背を向け暫く経ってからのこと。
このまま徒歩で進むより、支給品を使った方が体力と時間の節約になると考えた。
マジアベーゼ達との戦闘では、自身の魔法のみで十分有利に戦況を運べた為使用の機会は訪れず。
しかし戦い以外の方法でも役立てられるなら、使わないで腐らせるのも勿体ない。
そう考えて取り出したのが一枚のカード。
遊戯十代に支給されたエルドリッチと同じ、モンスターを現実へ召喚可能に細工された代物だ。

現れたブルーアイズに触れてみると、本物の生物としか思えない感触があった。
説明書の内容に嘘は無く、取り敢えず使い物にはなるらしい。
とはいえ、ノワル自身はこういった巨大なドラゴンに胸を躍らせる趣味は持ち合わせていない。
ブラックマジシャンガール等ならばまた違ったろうが、支給されたカードはこれ一枚。
海馬瀬人のエースモンスターも、能力はともかく外見はお眼鏡に適わなかった。

「ま、しょうがないか」

召喚可能な使い魔にも制限が施されており、元の世界に比べて手数が足りないのは事実。
不満ではあるも今の自分が使える手札の一つ。
ため息をつきながら跳躍、巨躯へ腰を下ろす。
召喚者の命令は絶対とプログラムされているのだろう、指示を出せば翼を広げ上昇。
ここから北上すると、ルルーシュのいるテレビ局に着く。
少女ならまだしも男であれば食指も動かず、邪魔なのでさっさと殺しておきたい。
が、洗脳能力への対策が不完全な現状で突っ込む気は皆無。
よってテレビ局は後回し、悪逆皇帝の根城からは遠く離れて行った。

マジアベーゼや千佳にしてやられた苛立ち、イドラとマジアマゼンタを逃した悔しさ、あの場で唯一の男のアルカイザーを仕留め損ねた不快感。
まだ見ぬ美少女達への期待の裏で、自分をコケにした連中への怒りは健在。
燻る負の感情は空のドライブ中、撫でる風により火照り気味の頭が冷やされ落ち着いて考えられるようになった。
再会時にしっかり報いを受けさせるつもりなのは変わらないが。

西へ進み目を引いた巨大な施設、コーカサスカブト城を次の探索場所として降り立った。
よくまあこんな城をわざわざ殺し合いの為に建てたものだと、呆れとも感心とも付かない顔で見やる。
貧相な家々が並ぶ租界エリアには不釣り合いな程に荘厳だ。
本来の立地場所であるシュゴッダムのような煌びやかさは、敗戦国として追いやられた日本人の住処には存在しない。

所々に歯車が組み込まれた内装の廊下を進んで行く。
結界が使えたら拠点候補の一つに数えたが、封じられている為実現はしない。

「あら?」

やがて辿り着いた一際広大な空間、玉座の間に異物を見付けた。
大層金と手間を掛けたドレスは赤く汚れ、纏う者の肌は色白を通り越して死人のよう。
いや、これは本当に死んでいる。
先客が現れ既に一人殺したのか、それにしては周囲に血痕が見当たらない。
偶然外で見付けた死体を野晒しにするのも忍びなく、城内へ運んだといった所か。
死体の傍には支給品袋があり、中を見ると道具を取り出した形跡は無し。

(ここまで運んだ誰かさんは、荷物を持ち去る余裕も無かったってこと?)

死体とは顔見知りの何者かが運んで来たものの、支給品の回収も忘れる程に動揺していた。
或いは回収する前にアクシデントに見舞われ、放置せざるを得なかった。
理由が何にしろ、ノワルにとっては苦も無く道具が手に入るのだから運が良い。
ついでに指先へ薄っすらと魔力を通し、死体の手首を斬り落とす。
念の為レジスターも手に入れて損はないだろう。
残った死体には興味も湧かず、玉座の間を後にする。

城内の探索を続け、やがて騒がしさが耳へ届いた。
先客はまだ城の中に留まっていたらしい。
男か女か、殺害か確保か。
どっちにしろ見逃す気は無い、軽い足取りで戦場へと足を運んだ。


◆◆◆


「残念、外れを掴まされちゃったわ」

あからさまに肩を落とし、部屋に集まった面々を見回す。
装甲を纏った者と青いタヌキのような生物、そいつらと戦闘中の剣士。
前者二名は言わずもがな、剣士も魔力は感じるが男。
魔力サーバーに変える気は微塵も起きず、萎えた気分が抑えられない。

「どうせ楽しむなら、やっぱりこっちよね♪」

シラケた顔から一転、妖しく微笑み足元の少女を見下ろす。
両手両足を黒い革ベルトで拘束されたさとうだ。
見付けるとパパっと闇檻で動きを封じ、抵抗出来なくしてやった。
千佳と同様に魔力を感じないのが残念だが、顔は文句なしの美少女。
最初に会った一団といい、女性参加者達は揃って容姿のレベルが高いのかもしれない。

(だから余計に勿体ないのだけどねぇ)

惜しいと言わんばかりにため息を零す理由は、ドアの下敷きとなった少女の死体。
玉座の間で見付けた参加者…ローラもそうだけど、自分と会う前に死んでしまったのは残念でならない。
選別で殺すにしても、生きてる内に会いたかった。

決して善意からではない口惜しさを感じるノワルを睨みながら、さとうはどうにか抜け出せないかと考える。
耳元で囁かれたと思えば黒い霧が見え、あっという間にこの状態だ。
どうしてこうも邪魔者ばかりが現れるのか。

「な、何をしてるんだ!?」

異変に気付いたドラえもん達も、意識がノワルへと移る。
どこからともなく現れ、有無を言わさずにさとうを捕らえた。
到底友好的な人物とは思えず、警戒を抱くのは当然。
一方ノワルはぶつけられる敵意へ、侮蔑を籠めて睨み返す。
殺し合いたければ勝手に三人でやってれば良いだろうに、全く鬱陶しい限りだ。

「その女の子を放し――」
「っ!ドラえもん離れろ!」

ドラえもんが最後まで言い切るのを待たず、彼らの周囲へ黒い霧が出現。
真っ先に反応できたのはアレフだ。
魔物や呪文が当たり前に存在する世界の住人だからこそ、接触は危険と即座に察し回避。
次に動けたのは卜部。
ブリタニアとの戦争で培った危機察知能力は健在、咄嗟に躱そうと動く。
反応が最も遅れたのはドラえもん。
二人に比べて劣っている訳ではない、しかし常日頃から戦いの中に身を置いてる訳でも無い。
僅かな差が影響しあわや闇檻の餌食に、となる寸前で卜部がどうにか突き飛ばす。

「う、卜部さん!?」
「何だこれは…!」

身代わりとなった卜部は一瞬で鉄棺に閉じ込められた。
アルカイザーの時と同じだ、男の拘束姿など見たくも無い。
当然これだけでは済まず、機械の稼働音と共に棺は少しずつ狭まる。
放って置けば圧し潰されて、絨毯のようになった死体の完成だ。

「っ!ドカン!ドカン!」

空気砲を放つが鉄棺はビクともせず、ほんの少しの傷も付かない。
内部からは卜部が破壊を試みるも無駄な抵抗だ。
アルカイザーですら正攻法では破れなかった魔法には、月下のパワーでもどうにもならない。
圧し潰されるまでの時間を、ほんの少し延長するのが限界だ。

焦る卜部達を尻目に、アレフはノワル目掛けて掌を翳す。
初めて見る強力な魔法に加え、鳥肌が立つ魔力。
竜王と戦った時にも引けを取らない緊張感に、最優先で殺すべき危険人物と認識。
まずは厄介な魔法を封じるべく、マホトーンを唱える。
そこから速攻で斬り掛かるまで。

「なあっ!?」

組み立てた戦法は実行に移す前に潰された。
壁をぶち破って現れた巨竜が、アレフを喰い殺さんと大口を開けて迫る。
これには呪文詠唱も中断せざるを得ず、急遽回避行動へと移行。

「適当に殺しておきなさい。私は忙しいの」

仮の従僕であるブルーアイズへの指示もそこそこに、ノワルの興味はさとうのみに向けられる。
まずは軽く味見から始めよう。
頬に手を添え、固く結んだ唇に自分のを重ねる。

「……っ」

逸らそうと藻掻く顔を固定し、ニュルリと舌を侵入。
歯の一本一本を舌先で突き、裏側までもを舐め取る。
それが済んだら頬の内側、続いて歯茎をなぞりべっとり這わせた。
子供がアイスキャンディーを味わうような丹念さで。

「……っ!」

最後は自分とさとうの舌を鎖のように絡ませる。
拒絶のつもりか必死に奥へと引っ込めるも、実に無駄な抵抗だ。
根元を舌先でくすぐってやれば動きが止まり、すかさず畳みかける。
ゴクリゴクリと、わざと音を立ててさとうの唾液を飲み干してからようやく解放。

「ん~、やっぱり魔力は期待できそうもないわね。空のペットボトルって表現、この子にもしっくり来るわ」

イドラとマジアマゼンタという甘美な魔力を味わった後では、常温の水のような味気無さだ。
魔力が無いなら無いで楽しみ方はあるのだが。

(気持ち悪い…苦い…苦い苦い苦い…!)

身勝手な評価を下されたさとうからすれば堪ったものじゃない。
チョコレートよりも滑らかで、アイスクリームよりも蕩け、どんな菓子よりも甘いしおとは大違い。
流し込まれた唾液は泥水のように不快、絡めた舌はナメクジみたいに気持ち悪い。
愛が分からず男遊びを繰り返した時なら、ディープキス程度何とも思わなかったろう。
けれどもう違う、耐え難い苦みが胸の内から広がり体中を蝕む。
四肢が自由なら今すぐにでも口を塩水で濯ぎたかった。

口内に溜まった不快感を少しでも誤魔化したくて、歯をキツく噛み締める。
抵抗と拒絶を籠めた態度は当然目の前の魔女にも見えた。

「ふうん……」

それを子供の可愛らしい抵抗と、大目に見てはやらない。
どう遊んでやろうか長々と考える必要も無くなった。

「うふふ♪決めたわ、あなたをどんな風に可愛がってあげるか。聞きたい?」
「そんな訳ないでしょ…」
「まあそう言わずに、ね?えっちなことをなーんにも知らない子を、ちょっとずつ開発してあげるのも良いけど…」

顔を近付け笑う。
三日月のような裂けんばかりの口は、魔女と呼ぶに相応しい残酷な喜びが宿っている。

「生意気な女の尊厳を徹底的に踏み躙ってあげるのも、大好きなの♪魔力サーバーに出来ないのは残念だけどね」

闇檻を使いさとうの拘束具を増やす。
革ベルト二本が巻き付き、意識せずとも胸を突き出す体勢になる。
ファーストリコリスの制服越しに強調される膨らみ。
更には顔の下半分を覆う口枷を装着。
本来は魔法使いの呪文詠唱を封じるのに使うが、趣味の面でも使用頻度は高い。
目隠しはあえて無しだ、今回は目が見えた方がこっちも楽しめるのだから。

単に動きを封じるだけでは無い、見る者の性欲を掻き立てる為の拘束。
不快感と嫌悪が増し、唯一自由に動かせる両目で最大限の侮蔑をぶつける。
これが単なる変質者の類なら眼光に怯んだかもしれないが、ノワルには却って「その気」にさせるだけだ。

そしてさとうが強気な態度を取れたのは、この瞬間に終わりを告げる。

「………っ!!!??!」

ビクンと、全身を跳ね上げる。
両手両足を動かせず、声も出せないまるでまな板の上の魚のよう。
それを人間、しかも10代の少女が行うのは酷く滑稽だ。
だがさとうだって好きでこんな動きをした訳じゃない。

(胸が……)

熱くて、ビリビリする。
いきなり右胸に未知の刺激が走ったかと思えば、全身へ伝達。
縛られた体ではおかしな動きでしか、奇怪な感覚に抵抗できない。

「まだ付けたばっかりよ?この程度で驚いてたら、この先どうなっちゃうのかしら?」

原因を作ったのは案の定ノワルだ。
さとうの右胸、制服に隠れた桃色の突起部分へ装着されたピアス。
ただのアクセサリーではない、感度上昇の効果を秘めた一種の魔具である。
ノワルが本来辿った筈の未来において、炎獄の名を持つ魔法使いの調教に使った物。
魔法とは無縁の少女をへし折る為に出番が回って来た。

「最初はちょっと痛いけど大丈夫。だってすぐに…」

人差し指を見せ付けるように伸ばし、ゆっくりとさとうの体をなぞる。
たったそれだけで体の奥から熱が溢れ出す。
直接触れられていない、制服の上からだというのに。

「気持ち良くなるわ♪」
「~~~~~~~~~~~~!!!」

ピンッと、指で軽く弾く。
ピアスが金属音を鳴らし、当然振動は装着された乳首にも走る。
やったのはそれだけ、なのにさとうは意識が数秒吹き飛ぶ快感を覚えた。
何も考えられない時頭が真っ白になるとは喩えられるけれど、正にその通り。
考え続けねばならない全てが、一瞬で塗り替えられる。

「ふーっ…!ふーっ…!」

口枷を自身の唾液で濡らし、興奮で息が上がる。
ほんの僅かな間でも、自分の頭からしおのことを追い出そうとしたのだ。
湧き上がる殺意が快感を塗り潰す。

「あら、耐えるの?それじゃあ、もっと必死になってみせなさい♪」
「…っ!?」

制服の上からピアスを摘まみ、軽く引っ張り上げる。
再び全身が鯉のように跳ね、負けじと両手をキツく握り締めた。
爪が食い込む程の力で痛みを引き出し、少しでも正気を保つ為に。

「えい♪えい♪」
「~~~~~~~~~~!!!?!う゛…!う゛ー…!!」

一度だけなら、ギリギリの所で凌げただろう。
でも二回三回四回と、繰り返し引っ張られれば。
ピアスを無理やりに装着された挙句、ゴムのように乳首を摘ままれる。
普通なら痛いだけなのに、今のさとうにはその痛みすらも快楽に変換されてしまう。
口枷を噛む力を強めるも、絶えず襲う刺激に顎の力も抜けていく。

「ほらほら♪頑張れ♪頑張れ♪」
「う゛う゛う゛……!…っ!!」

ピアスを掴んだまま、上へ右へ左へ異なる方向へと引っ張る。
少女の胸を愛撫するとは思えない、まるで玩具のような扱い。
それすら気持ち良いと思ってしまう己への嫌悪を抱くも、快楽の二文字に洗い流される。
胸の奥にはずっと苦さが広がり続け、一方で体は飴玉のように溶かされていった。

「はいお終い♪」

上へ上へと引っ張り、合図と同時に放す。
乳房全体へ行き渡る振動は、体中をまさぐられているのにも等しい。
一際大きく跳ね、パチパチと火花が散る感覚を覚えた。

「よく頑張ったわね、偉い偉い♪」

自身の胸に抱き寄せ、優しく頭を撫でられた。
我が子を愛する母のようだと、台詞だけなら勘違いされるだろう。
実際には唾棄すべき毒婦であり、さとうの神経をこれでもかと逆撫でする。
両手が使えたら顔に押し付けられる胸を、裁断ハサミで引き裂いてやりたい。
怒りとは裏腹に未だ体の自由は利かず、どうにか息を整えるのが精一杯だ。

「そんなに頑張れるなら~…」

ほんの僅かな休憩時間は終わり、地獄が再開される。

「もう一個追加してあげる♪」
「ぅ゛お゛っ!!!??!」

女子高生とは思えない声が出た。
獣か、或いは浅ましい家畜のような鳴き声。
左の乳首にピアスが装着され、痛みとも快楽とも判断の付かない感覚が襲う。
白目を剥きそうになり、意識が飛び退く。

「よーいスタート♪」
「んんんんん…!!!ん゛ん゛っ!!?!」

気絶は許されない。
意識を落とせば楽になれるが、ノワルの手で無理やり現実へ引き戻される。
左右のピアスを摘まみ交互に動かす。
両手がリズミカルな動きを行う度に、乳房が揺れ再び何も考えられなくなった。
先程からずっと弄られてるのは胸だけ、だがここで攻める箇所を増やす。

「こっちはどうかしらね」
「ふううううううう!!」
「うん、ちゃんと感じてるみたい♪」

顔を近付けるや否や、伸ばした舌を耳の中へ潜り込ませる。
耳掃除で綿棒を入れるのとはまるで違う。
生暖かく濡れたモノが内側を舐め回し、途端に鳥肌が立つ。
こんな事をされても、単に気持ち悪いだけ。

「でも気持ち良いのよね?」
「んんんんん!!ん゛ん゛う゛う゛っ!?」

最早脳まで舐めしゃぶられてるのではと錯覚する気持ち良さに、思考は崩壊寸前だった。
いっそこのまま身を委ねれば楽になれるのだろう。
その選択を絶対に取らないからこそ、さとうは苦しみ続けているが。

思い出されるのは松阪さとうを形作った、忌々しい部屋。
血と暴力と、むせ返る性の臭いで満ちたあの人の城。
本当の愛を知っても切り離せない毒が、ポタリポタリと垂らされる。

(しお…ちゃ……しおちゃん……)

空っぽの瓶を満たすあの娘の為になら、どんなことだって出来る。
心にもない愛を嘯くのも、肌を晒すのも、口付けするのも。
自分としお、二人だけのハッピーシュガーライフを守れるなら。
どんな地獄にも耐えられる。
体を弄ばれたって、心は絶対にこんな変態女の玩具にはならない。

望まない快楽の波が押し寄せる中、さとうは負けてたまるかと口枷を噛み、











目も開けられない光に焼かれ、後には消し炭すら残らなかった。










「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」






何が起きたのか理解が出来ない。

右を向く、自分としおの部屋では無い床が見えた。
左を向く、乾いた血の上に横たわる銀髪の少女が見えた。
下を向く、黒い革ベルトで身動きの取れない自分の体が見えた。
ああつまり、ここはさっきまでと同じ殺し合いの舞台。
変化は何も起きていない。

違う、自分は今確かに死んだ。
光に焼き潰されて消えてしまった筈なのに。
一体どうなっているのか分からない。
いつの間にか、自分を蝕む快楽すらも抜け落ちたと気付く事も出来なかった。

「なん…だと……」

混乱に陥っているのはアレフ達もだ。
今の今まで白い巨竜を相手取っていたのが、気付けば自分は死んだ。
いや、現実にはまだ生きている。
ローラと同じあの世には、行っていないのが正しい。
だけど確かに、自分が死ぬ感覚を味わった。

ドラえもんと卜部も同様である。
スクラップなど生易しい終わりを与えられた。
鉄棺に潰される方が遥かにマシな死が訪れた。
生きているにも関わらず、ハッキリと己の終焉を見たのだ。

ただ一人、ノワルだけは表情を消し一点を睨む。
さとう達に起こった現象が何なのか、彼女には分かった。
誰が信じられようか、圧倒的な存在を感じ取っただけで、自分達の死をイメージしてしまったなど。
馬鹿げている、しかしそれが答えと即座に思い知るだろう。

彼らの目に、ソレはどう映ったか。

ソレは、創世と滅亡の担い手である。

ソレは、完全なる世界を目指す希望である。

ソレは、滅罪の洪水で以て邪悪を断つ善である。

ソレは、授かりの英雄“だった”男である。

だが結局のところ、ソレを表す為に言葉は一文字で事足りる。





ソレは、神である。





「あなたは、なに?」

魔女の問いに神は答えを返さない。
返す必要も無い。

神は彼らを「視た」、それが全てなのだから。


◆◆◆


時が止まったかの光景だった。
コーカサスカブト城に集まった5人の参加者。
ほんの数分前まで争い、己が欲を発散していた彼らは現在、たった一人の登場に動きを止めていた。
若しくは動けないと言うべきか。
人の形をしていながら、人では無いと生まれたばかりの赤子ですら理解せざるを得ない男。
黒く輝く神の名を知る者は城の中におらず。
なれど、空想の根を断つ異聞帯の破壊者、カルデア所属の二人がいれば口にしただろう。

アルジュナ、と。

永遠の静寂は神の求める所に非ず。
一歩、また一歩と歩み凍結された時が徐々に熱を取り戻す。
ス、と。
速くも無ければ遅くも無い、取り立て注目する必要も無い腕を上げるという動作。
その一つをアルジュナが行えば、大きな意味が生まれる。

「…あっ」

呆けた声が自分の口から出たと、卜部は気付けただろうか。
自分を圧し潰す黒以外何も見えなかった筈が、いつの間にやら瞳は元の光景を映し出す。
仲間がいる、敵がいる、そして、神がいる。
恐れにも似た不可解な衝動に、卜部は堪らず眩暈がした。
ゼロの放つカリスマとはまた違う、しかし惹き付けられてやまない存在感。
頭の中からはもう、自分を閉じ込めた鉄棺など霞のように消え去った。

「……」

一方でノワルは表情を変えないまま、警戒度を一気に引き上げる。
腕を上げ掌を翳した、アルジュナがやったのはその一つのみ。
たったそれだけで闇檻を消し去ったと、数分前の自分に言っても絶対に信じやしない。
ここからどうするべきか。
好みの少女以外の参加者は余程の事が無い限り、排除一択。
スタンスを今更変えるつもりはない。
しかし、自分達の前に現れたこの男に迂闊な真似は禁物。
久しく味わう緊張感を気の迷いと切り捨てはせず、相手の出方を見極める。

全員の意識を一身に集め、神はゆっくりと口を開く。
人間達を『視た』時点で既に、やるべき事は決まった。
己が創る世界へ存在する資格は――

「………武具を持ち……血を流し……戦の火種となる不出来……」

感情を母の子宮に置き忘れたが如き声。
到底生物から発せられるとは思えぬ程に、籠められたモノを感じられない。
怒りはない、嫌悪もない、憎しみも無ければ蔑みも皆無。
面と向かって敵意を向けられたのでは無い筈。

なのにどうしてか、卜部は冷や汗が止まらなかった。

神が自分の方を見る。
続く言葉は紡がれず、されどこれはマズいと理解した。
頭で考えたのではない、陳腐な言い方だが直感で分かったというべきか。
カラレスに襲われた時の比で無い、正真正銘の地獄が始まろうとしている。

「――――ッ!!!!!!」

最初に動いたのは誰か、互いの様子を確認する余裕は爪の先程もない。
アルジュナの周囲に浮遊する光球が熱を帯び、存在を認めぬ罪人達への裁きを下す。
ランドスピナーの回転数を最大まで速め回避。
複数機からスラッシュハーケンを伸ばされようとも、掠らせずに躱せるスピードだ。

「ぐ…!」

だが遅い、神罰を遠ざけるには速さが足りない。
熱線が脚部を焼き、瞬く間に使い物へならなくなった。
月下の外部装甲が解け落ち、内部パーツは機能停止。
僅かに掠めただけでこの被害なら、直撃すればどうなるか想像に難くない。

「チッ…」

離れた位置ではノワルも卜部同様回避へ動く。
横目で右肩を見やれば衣服が焦げ、その下の白い肌に傷が生まれている。
闇檻の脅威を知る者が見たら目を剥くだろう。
ノワル自身、薄々こうなる予感はしていたが、いざ本当になると知らず知らずの内に表情が険しさを増す。

一度避けて終わりに非ず、光球が再度魔力を収束。
またもや狙われた卜部を庇い、ドラえもんが前に出た。
ロボット故の打たれ強さも神の放つ光には無力、そんなのは百も承知。
無策で飛び出したつもりはない、闘牛士のように真紅のマントを構える。
矢や魔法、24世紀の技術で生み出された兵器すら跳ね返すひみつ道具だ。
殺し合いでハドロン砲を防いだ時同様、敵の攻撃を利用し光球を破壊せんとし、

「ひら――!?」

無駄に終わる。
単純な話だ、熱線の発射速度がひらりマントを振るう速さを上回った。
目論見は崩れ、哀れな機械人形が脱落者に名を連ねる。
驚く程でも無い、神を前にすれば当然の結末。

「っあああああああああああ!!」

否を唱えるは彼の仲間。
もう片方のランドスピナーを走らせ、不格好な体勢ながらドラえもんを突き飛ばす。
顔面間近を光が通り過ぎるも、青い体のどこも焼かれずに済んだ。
二度目の神罰回避に成功、とはいえ代償は決して軽くない。

「う、卜部さん…!そんな……」
「ぐ…し、心配するな。生きてるだけ、儲けもんだ…」

顔は見えずとも、苦悶に歪んでいるのが分かる。
当たり前だ、先程まで当然のようにあった部位。
左腕が月下の腕部諸共焼き切られ、肉を焦がした臭いが立ち込めていた。
ラウンズ専用の機体程で無いとはいえ、月下の耐久性は低くない。
しかしアルジュナ相手には紙人形とさして変わらないのが現実だ。
傷口が焼かれ失血は免れたと言っても、何の慰めにもならない。

「ベギラマ!」

負傷が重い者がいる一方で、未だ戦闘継続が可能な者は反撃に出る。
驚異的な威力の魔法は竜王相手で経験済み。
避けた際幾らかの火傷こそ負ったが、戦意喪失には程遠い。
掌に魔力を掻き集め、光の竜へと変化。
魔王にも深手を負わせたアレフの呪文が、神相手に牙を剥く。

輝きに飲み込まれ骨まで溶かされる。
という野良モンスターと同じ末路が訪れる筈も無く、牙が突き立てられる寸前でアルジュナは消失。
より正確に言うなら、消えたとしか思えない速度で動いた。
何処へ逃げたと探す猶予はアレフに与えられない。

「なにっ!?」

数分前までアレフを襲っていた巨竜、ブルーアイズを蹴り飛ばす。
悲鳴を上げ自身へ迫る巨大生物には、さしものアレフも顔を引き攣らせる。
サッカボールのように雑に扱われたが、人間一人を圧し潰すには過剰な重さだ。
しかも細い脚にどれ程の力が籠められているのやら、馬鹿にできない勢い。
アルジュナへの攻撃は中断し、急ぎブルーアイズから距離を取った。

泡を食う者達から不意に視線を外し、残る一人の下へ降り立つ。
自由を封じられ、なれど生きる意志は未だ健在。
芋虫のように滑稽で見苦しく足掻く少女を、神の瞳が捉えた。

「……っ」

視線を合わされ、さとうを絶大な恐怖が包み込む。
さとうにとっての恐怖とは、しおを喪うこと。
しおとの生活が消えてしまう以上の恐怖は無い。
だというのに、一向に神への恐れは消えてくれなかった。

他の四人と違って危害は加えられていない。
見られた以上の事は何もされていないのに、体中が震え出す。
動悸が激しさを増し、息苦しくて仕方ない。
口枷を填められたままなのだけが、理由では無いだろう。

「……え、あ……」

唐突に息苦しさが僅かながら薄れた。
どうして急にと不可思議に思い、口が動かせると気付く。
まさかと頬を触ってみれば案の定、忌々しい口枷が消えている。
と、遅れて両手の自由も取り戻せたのを頭が理解。
散々弄んだ感度上昇の魔具も含め、拘束具は綺麗さっぱり無くなった。

何故急にと考えるまでもない。
いとも簡単にやってのけた男へ恐る恐る視線を戻し、

「神将には…至らずとも……兵にはなる……それも手か………」
「なに言って…!?」

疑問への答えは返されず、代わりに頭部を掴まれた。
アルジュナが思い出すのは、自身が君臨した異聞帯での記憶。
異星の使徒から助言と称し齎された内の一つ。
神の加護を宿した英霊達を、神将(ローカパーラ)として使っていた。
辺獄を名乗る術者が不在の地で、新たな神将の召喚は不可能。
だが召喚術式が無くとも、代用品なら手に入る。

「汝を…突き動かす……その不出来は……私の兵に不要だ…………」

神性を貸し与えるだけでは駄目だ。
仮にも神の配下として動かすならば、不出来を取り除かねばならない。
医神は己を身籠った母の記憶を奪われた。
老年の英雄は自身が理不尽から救った息子の記憶を奪われた。

そして砂糖少女からは、空の瓶に詰め込まれた愛を奪う。

「っ!いや…離して…!離せ…!!」

拒絶の言葉は神の耳に入らない。
さとうがどう思おうが、神の決定の前には無関係。
最初から応じるか否かの返答は求めておらず、聞き入れる気など無かった。

(なにこれ…!いや…いやいやいや!入って来ないで…!私としおちゃんの間に…駄目…こんなの駄目…!しおちゃんが消えて――)

消えていく。
彼女の笑顔が、彼女の匂いが、彼女の温かさが、彼女への愛が、彼女との記憶全てが。
雨の日に見付けた、去って行く誰かの背をじっと見つめる彼女を。
他人の為に初めて必死になれたあの日。
自分に愛が何なのかを教えてくれた、自分だけの天使が。

砂糖菓子の詰まった瓶は引っ繰り返された。
コロコロコロと落ちていく愛を、拾ってくれる彼女はいない。
閉める筈の蓋も見当たらず、一つまた一つと失われる。

神戸しおとのハッピーシュガーライフは、神の兵には不要だ。
満ち溢れる筈だった瓶は再び空へ――



「私のモノに勝手なことしないでくれる?」


カチリと、聞こえない筈の音が聞こえた。
逆さまに振っても、もう砂糖菓子は零れ落ちない。
失くさないようにと蓋をしたのは、誰よりも甘い彼女ではない。
急に手を離され尻もちを付き、さとうは青褪めた顔で視線を動かし、

「ちょぉーっと向こうに行っててね♪」
「え、あぐっ!?」

襟首を掴まれ投げ飛ばされた。
遠ざかる景色の中に、黒い霧が男を包むのを確かに見て。

「全く…私を差し置いてふざけた真似するじゃない」

表情こそ笑みを作っているが、目は全く笑っていない。
見る者に寒気を抱かせる顔で、ノワルは神と対峙する。
しおの記憶消失を防ぎ、さとうを助ける形となったが勿論善意からな筈も無く。
マジアマゼンタたち正義側の少女を思い出し今更心を動かされた、などの理由は有り得ない。
あっさり考え方を変えるようなら、今頃はマジアベーゼと魔法少女の堕とし方談義で盛り上がっていただろう。

さとうは自分が先に手を付けたのだ。
後から現れ勝手に上書き調教を始めるのを、許可した覚えは全く無い。
生かすも殺すも、所有者である自分一人の特権。
横取りしようとは笑止千万。
汚らわしい不届き者に罰を与えるべく、固有魔法の餌食にしてやった。
神の全身を覆った霧は晴れ、下賤な男を閉じ込める鉄製の棺が出現。

そして至極当然の如く棺は消失し、傷一つ無い神が現れた。

「……まあ、そうなるわよねぇ」

心底うんざりしたように吐き捨てる。
卜部やさとうの拘束具を消し去り、自身の周囲に配置した“闇檻収監”発動用の霧を突破。
固有魔法を二度も打ち破られれば、流石に三度目も想定内。
ついでに相手がどうやって闇檻を無効化したのかにも、見当は付く。
イドラのように令呪を使った痕跡はない。
アルカイザーのように支給品の力を借りたのではない。
マジアベーゼのように拘束の概念同士をぶつけ相殺してもいない。
ラブリーチカのように土壇場で使えるようになった固有魔法な訳もない。

答えはもっと単純。
アルジュナの内包する魔力、或いは神性とも呼ぶべき力がノワルの魔法を上回るレベルで桁外れ。
だから闇檻でも捕らえられないのだ。
俄かには信じ難い、だが実物を見れば納得するしかなく。
全く持って腹立たしい限りであり、同時にノワルをして非常に危険な相手と認識せざるを得なかった。

厳密に言うと、固有魔法が完全に無効化されているのとは違う。
インド異聞帯の王とて、殺し合いの一参加者。
当たり前だが元の状態で放り込んではパワーバランスがあっさり崩壊し、それ以前にバグスターウイルスで縛り付けるのも不可能。
主催者達の手で厳重な制限を施され、ようやくプレイヤーに落とし込んだ。
今のアルジュナは異聞帯に君臨した頃よりも弱体化を余儀なくされている。
現に闇檻で囚われた際も、指二本で数えられるかも怪しい時間のみだが効果はあった。
加えてノワルも制限の対象に選ばれたが、闇檻自体滅多なことでは破れない強力な魔法。
神が力を削がれた現状、全く効かないとはならない。

カルデアの関係者達や、神将にとってはこれだけでも驚くべき光景だろう。
ノワル本人にしてみれば、大した慰めになるかも怪しいが。

「……」

眉を顰める理由は固有魔法が破られたからだけではない。
男が絶大な力の持ち主なのは察せられる。
だから余計に分からない。
これ程の力を我が物にしておきながら、異様なまで男の欲が希薄な訳が。

力を振るう、或いは言葉を紡ぐ場面を見れば大抵の相手の性質は察しが付く。
他者への献身を第一に考える者、暑苦しい正義に燃える者、自分に近しい者等々。
しかし男からは何も感じられない。
強大な力を行使しても、誇示する意図や暴虐な振る舞いへの快感はゼロ。
蹴散らされた連中を見下ろす瞳に、蔑みや嘲笑はまるで宿っていない。
さとうを望むままに作り替えようとした時だってそう。
仮にノワルが男の立場なら、趣味嗜好を果たせるのだし楽しいに決まってる。
けど相手は醜い男の支配欲はおろか、その他に僅かなりとも感じるだろうものが一つも無かった。

「どうして殺し合いに乗ったの?まさか、何の理由も無いってことじゃないでしょう?」

男の参加者のスタンスなど、本来はどうだっていい。
しかし自分でも目を見張る強者とあれば、全く興味が湧かないとは言い切れず。
返答には期待しないで、問い掛けた。
どうせ素直に答えはしないだろうに何を言ってるのやらと、内心で自分に呆れつつ耳を傾ける。

「愚問……私の望みは……世界の救済のみ……」
「……………は?」
「ユガを繰り返し……果てに全ての邪悪は断たれ……真に善なる者のみが残る世界の……創造が叶う……」
「あなた…」
「戦に身を委ねる者……争いを強いる者……等しく不要だ……」

自我が存在するのかも定かではない、機械の読み上げ染みた言葉の羅列。
話した全てが答えだと黙り込む神に、ノワルも暫し言葉が出ない。
のっぺりと張り付けた笑みを向け、再び口を開くまでに数秒を要した。

「それ何かの悪ふざ――ああ待って、今のなし。どう考えても冗談言うタイプじゃないもの」

自分で言ってて可笑しかったのか、薄っすら笑いが漏れた。
答えは聞けた、その上で断言しよう。

この男はどうしようもなく壊れている。

世界平和を臆面も無く口にする輩は、魔法使いにも珍しくない。
大抵は口先だけの偽善者か、信念があっても力が足りない半端者だが。
では男もそういったタイプかと言うと全く違う。
先程自分達を攻撃した際の言葉を思い出す。
武器を持って争うから、生かす価値は無いと取れた。
もし、もしこの場に現れたのが争いを快く思わない、例を挙げるとすればマジアマゼンタ達か。
彼女達なら警戒しつつも状況の把握に努め、戦うべき相手を見極めるだろう。
何せ卜部と呼ばれた男やドラえもんなる青タヌキは、興味無さげにチラ見した自分でも殺し合いに乗っていないと分かる。
だが男は戦っているという理由のみで、殺し合いでの明確な方針関係無く殲滅へ動いた。
正しさを突き詰め過ぎた結果、致命的に間違えている。

そのような男が創る世界がマトモかどうかなんて、自分じゃ無くても分かる。
単なる独善的な馬鹿であればまだマシだ。
質の悪いことに、男の力なら本当に理想を叶え兼ねないのが笑えない。

「…私にも叶えたい願いがあるのよ。勝手にこんな場所に連れて来て、余計な枷を付けたのは許せないけど…色んな世界から参加者を集めるっていうのは、悪くないわぁ」

ノワルが自分以外の参加者に対するスタンスは、今更長々と説明するまでもない。
特に気に入った少女は魔力サーバーに変え、絶対に持ち帰る。
好みではあるけど上記の存在に及ばない少女は、残念だが間引く。
男は一切必要無い。早急に殺すか、アルカイザーのように余計な真似に出た者は苦しめて殺す。

「だからね?ここを私好みに作り替えて、色んな世界の女の子を集めた私だけの楽園(パラダイス)にするの♪」

しかし今、新たにもう一つ付け加えねばなるまい。
同じくこの瞬間、己に課した枷を外す。
主催者に施された制限では無い。

先の戦いで、ノワルはマジアベーゼ達を殺そうと思えば即座に殺す事も出来た。
闇檻で捕らえた後、凝縮をすれば一瞬だ。
抵抗どころかロクに悲鳴を上げるのも許さず、圧縮してしまえば良い。
そうしなかった理由は複数ある。
イドラやマジアマゼンタ等、魔力サーバーとして目を付けた者達を殺す訳にはいかないから。
マジアベーゼや千佳等、自分を苛立たせた者達には相応の苦しみを与えたかったから。
同様にアルカイザーもすぐに殺すよりは、可能な限りの苦痛を与えてから殺そうとした。
生来の加虐気質も影響しており、だからこそ付け入る隙にも繋がったが。

「その為にも――あなたは邪魔よ」

だが今回に限り、ノワルは遊びを完全に捨てる。
力を感じ、言葉を交わし、確信を抱いた。
コイツは確実に排除しなければならない敵だ。
屈辱を与えて殺す?可能な限り苦痛を長引かせる?そこいらの目障りな男のように蹴散らす?
馬鹿を言うな、そんな生温いやり方が通じるものか。

部屋中が、いやコーカサスカブト城内の空気が軋み出す。
苛立ちに非ず、不快感に非ず、加虐心に非ず。
純然たる殺意に支配され、ひれ伏すべき存在が誰かを叩きつけた。
13の災害が一人、闇檻のノワル。
人類の敵と恐れられた正真正銘の魔女である。

「汝は……不要……私の世界に……存在することは……認めない……」

魔女の殺気を浴び、尚も神は不動。
恐れる理由が、神が怯え首を差し出す道理がどこにある。
互いを視る。
完全なる世界から消し去るべき悪を。
自分だけの理想郷を破壊する敵を。

最早彼らの間に言葉は無用。
互いの死だけを望む、神と魔女の闘争が幕を開けた。

015:linkage ─人間未満─ 投下順 015:linkage ─箱庭の神話─
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卜部巧雪
ノワル
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