ロゥジー・ミストという剣士にとって、殺し合いであろうやるべきことは変わらない。
親愛なる姫テルティナ様の元に帰るという事が彼にとっての最優先条件。
魔力を持たないがため、忌み子と迫害され蔑まれ、唯一の拠り所となる姫と出会うまで孤高であり孤独であった勇者。
親愛なる姫テルティナ様の元に帰るという事が彼にとっての最優先条件。
魔力を持たないがため、忌み子と迫害され蔑まれ、唯一の拠り所となる姫と出会うまで孤高であり孤独であった勇者。
「あらあら、面白いものを持ってるわね?」
その勇者が、政権を構えて一体の修羅と対峙している。
神像をも超えると思わしき美麗さたる純白の躯体。
修羅はびこる世界における最強種である竜(ドラゴン)、その一体。
ロゥジーの保有する王家の聖剣はたとえ持ち主だろうと魔力を無差別に吸収する。魔力を持たない特異体質であるロゥジーだからこそ扱えるのである。
白竜もまた、その聖剣の異質さを察知し、その口元を喜びで歪ませてる。
魔力を吸い取られるような感覚は、白竜にとって未知の経験。
未知の世界、未知の催し。未知の相手。
自分の知らないもので構築されたこの舞台は、白竜(かのじょ)にとって何者にも優る喜び。
神像をも超えると思わしき美麗さたる純白の躯体。
修羅はびこる世界における最強種である竜(ドラゴン)、その一体。
ロゥジーの保有する王家の聖剣はたとえ持ち主だろうと魔力を無差別に吸収する。魔力を持たない特異体質であるロゥジーだからこそ扱えるのである。
白竜もまた、その聖剣の異質さを察知し、その口元を喜びで歪ませてる。
魔力を吸い取られるような感覚は、白竜にとって未知の経験。
未知の世界、未知の催し。未知の相手。
自分の知らないもので構築されたこの舞台は、白竜(かのじょ)にとって何者にも優る喜び。
「お前が何者かはわからんが、殺すことを楽しむような魔物には」
「魔物? この私をただの魔物よばわりだなんて。今まで長く生きてきたけれど、こんなおばあちゃんにそんな口を利くなんて、礼儀知らずでも強いのならわたしは気にしないわ?」
「魔物? この私をただの魔物よばわりだなんて。今まで長く生きてきたけれど、こんなおばあちゃんにそんな口を利くなんて、礼儀知らずでも強いのならわたしは気にしないわ?」
白竜が勇者を襲った理由など、興味本位の一言。
その興味本位の行動が多少はできる相手を引き当てた。
勇者を名乗ったこの男に、興味を持った。
その興味本位の行動が多少はできる相手を引き当てた。
勇者を名乗ったこの男に、興味を持った。
「その面白そうな武器なら、私の身体に傷をつけられるかもしれないわ。うふふ……」
「………貴様は」
「………貴様は」
手足の爪先を含めた全身が凍えるような感覚。
ロゥジーが今まで感じたことのない、初めて出会う強者によるプレッシャー。
絶対零度を体現するかのような白。
ロゥジーが今まで感じたことのない、初めて出会う強者によるプレッシャー。
絶対零度を体現するかのような白。
「だから、退屈させないでね?」
「貴様を退屈させるつもりも、そして俺はここで無様に死ぬつもりもないっ!」
それでも、ロゥジー・ミストにとって、戻るべき居場所がいる。
自分を孤独から掬い上げてくれた姫様と、旅の最中で出会った絆バカとその付添いの魔導士。
第一優先は姫様であるが、これを野放しにしておけば、仮にこの場に姫が巻き込まれていたという最悪の想定の末に、姫の死がこの白竜によって齎される可能性。
そんな事、あってはならない。絶対に。
自分を孤独から掬い上げてくれた姫様と、旅の最中で出会った絆バカとその付添いの魔導士。
第一優先は姫様であるが、これを野放しにしておけば、仮にこの場に姫が巻き込まれていたという最悪の想定の末に、姫の死がこの白竜によって齎される可能性。
そんな事、あってはならない。絶対に。
「うおおおっ!!」
聖剣の形が変わる。勇者が炎を纏った大剣を振るう。
第二聖剣「核熱怒業(ドラグラース)」。七つの聖剣の融合体たるこの神器は、七つの姿形を持つ。
核熱怒業(ドラグラース)はその名の通り熱を纏う業炎の一撃。
大振りながらも振り下ろされた一撃は、鋼鉄が弾かれた音と共に、ドラゴンの鱗によって防がれた事実を示した。
第二聖剣「核熱怒業(ドラグラース)」。七つの聖剣の融合体たるこの神器は、七つの姿形を持つ。
核熱怒業(ドラグラース)はその名の通り熱を纏う業炎の一撃。
大振りながらも振り下ろされた一撃は、鋼鉄が弾かれた音と共に、ドラゴンの鱗によって防がれた事実を示した。
「ウッフフフフ!」
「微動だにもしないか!」
燃え盛る大剣は防いだ、だがそれを片手で難なく振るうロゥジーに白竜は期待を隠さない。
白竜が軽く爪牙を振るう、爪牙が大剣に掠り、その衝撃だけでロゥジーの身体が飛ばされた。
白竜が軽く爪牙を振るう、爪牙が大剣に掠り、その衝撃だけでロゥジーの身体が飛ばされた。
「……ッ、ならばこれはどうだ!」
再び、聖剣の形は変わる。第五聖剣「飢生疾風(グラトシルフ)」。
正しく刃の暴嵐。蜘蛛の巣に等しいナイフの濁流が白竜を飲み込もうとする。
竜の白翼がはためき、刃の嵐は竜を傷つけることなく四方八方へと飛散する
その隙間を縫うように、三度聖剣を変化させたロゥリーが接近していた。
正しく刃の暴嵐。蜘蛛の巣に等しいナイフの濁流が白竜を飲み込もうとする。
竜の白翼がはためき、刃の嵐は竜を傷つけることなく四方八方へと飛散する
その隙間を縫うように、三度聖剣を変化させたロゥリーが接近していた。
「隙を見せたな。その余裕が命取りだ!」
「面白い、面白いわね!」
「面白い、面白いわね!」
第三聖剣「羨姫絶響(エンヴィーネ)」。生物を体内より破裂させる水の糸。
白竜が盾にした竜鱗の一枚が、水の糸が打ち込まれたと同時に破裂する。
白竜が盾にした竜鱗の一枚が、水の糸が打ち込まれたと同時に破裂する。
「すごいわあなた。あなたに目をつけたのは間違いじゃなかった! もっと、もっと楽しませて、名も知らない強きあなた!」
「目をつけられた俺からすれば迷惑千万極まりないがな!」
「目をつけられた俺からすれば迷惑千万極まりないがな!」
白竜の歓喜の感情が、そのままプレッシャーへとなったそれがロゥジーの身体を突き抜ける。
喜び、楽しさ。正の感情そのものが殺意として襲いかかる感覚。
この白竜は、生粋の戦闘狂(バトルジャンキー)だ。
喜び、楽しさ。正の感情そのものが殺意として襲いかかる感覚。
この白竜は、生粋の戦闘狂(バトルジャンキー)だ。
「だったら見せてみろ、楽しみたいというのなら俺に得意の一撃を与えてみせるがいい!」
この白竜は圧倒的に強い、だが付け入る隙が無いわけじゃない。
第三聖剣の力は、少なくとも堅牢と思われた鱗を破壊した。
だが鱗一枚一枚を破壊し続ける、という手段を相手がいつまでも許すわけがない。
第三聖剣の力は、少なくとも堅牢と思われた鱗を破壊した。
だが鱗一枚一枚を破壊し続ける、という手段を相手がいつまでも許すわけがない。
「ウッフフフフフフ! じゃあ、あなたも私に最高の技を繰り出してみなさい! 私も真っ向から迎え討ってあげるわ!」
「自分から敗因を作ろうとするとは、だがこれで俺が勝てる道筋は見つかった!」
「自分から敗因を作ろうとするとは、だがこれで俺が勝てる道筋は見つかった!」
うまく挑発に乗ってくれた。白竜は喜びの声を浮かべ、その口を大きく開く。
「口を開く」ことが大技の条件なのか、息吹(ブレス)の類だろうと予想しておいたのが功を奏す。
「口を開く」ことが大技の条件なのか、息吹(ブレス)の類だろうと予想しておいたのが功を奏す。
「一つの力で足りないなら、二つの力を合わせて!」
聖剣の姿が変わり、水を纏い、回転する突撃槍として白竜の口元へと迫る
第三聖剣「羨姫絶響(エンヴィーネ)」+第六聖剣「星蝕浄咬(ラストノワール)」の合体技。
第六聖剣の突破力と第三聖剣による内部破壊。
そして口元へ突っ込んでそのまま突き破る、たとえ運悪く飲み込まれようがそのまま破裂させてしまえばいい。鱗がどれだけ硬かろうと、中身までは硬いはずがないのだから。
たった一呼吸、その隙さえあればそれでよかった。
第三聖剣「羨姫絶響(エンヴィーネ)」+第六聖剣「星蝕浄咬(ラストノワール)」の合体技。
第六聖剣の突破力と第三聖剣による内部破壊。
そして口元へ突っ込んでそのまま突き破る、たとえ運悪く飲み込まれようがそのまま破裂させてしまえばいい。鱗がどれだけ硬かろうと、中身までは硬いはずがないのだから。
たった一呼吸、その隙さえあればそれでよかった。
c o c h w e l n e
「【コウトの風へ】」
「【コウトの風へ】」
清澄なる声が、勇者の耳元に響く。
一呼吸の隙間さえあればいい、それはロゥジーだけではない。
竜(ドラゴン)の息(ブレス)は、一呼吸の動作だけでいいのだ。
そんな事は承知の上。だから突破力に長けた第六聖剣をロゥジーは選んだ。
多少のダメージは覚悟の上、それでもこの白竜は倒さなければいけなかった。
これを生かせば、愛しの姫様だけでなく、あの絆バカであるトーゴにまで被害が及ぶ。
彼の事は好きではないし気に入らないが、今となっては嫌いでもなくなった。
それに、彼が死んだから悲しむ人間もいる。自分が死んだから姫様だけでなくそいつも悲しむだろう。
いつの間にそんな甘くなってしまったのかと思いながらも、そんなロゥジー・ミストが紡いだ「絆」から生まれた一撃が、白竜へと迫る。
一呼吸の隙間さえあればいい、それはロゥジーだけではない。
竜(ドラゴン)の息(ブレス)は、一呼吸の動作だけでいいのだ。
そんな事は承知の上。だから突破力に長けた第六聖剣をロゥジーは選んだ。
多少のダメージは覚悟の上、それでもこの白竜は倒さなければいけなかった。
これを生かせば、愛しの姫様だけでなく、あの絆バカであるトーゴにまで被害が及ぶ。
彼の事は好きではないし気に入らないが、今となっては嫌いでもなくなった。
それに、彼が死んだから悲しむ人間もいる。自分が死んだから姫様だけでなくそいつも悲しむだろう。
いつの間にそんな甘くなってしまったのかと思いながらも、そんなロゥジー・ミストが紡いだ「絆」から生まれた一撃が、白竜へと迫る。
白竜は、何も動じない。
老耄した自分が珍しく相手の挑発にのったという事実が、感慨深いものだと感じたこと以外。
そしてこの勇者は鳥竜(かれ)よりも弱い。だがうちに秘める"熱さ"は、鳥竜(かれ)に似ていたと思ったから。
これは感謝であり、一つの返礼である。
いざ刮目せよ、季節なき世界において、季節の一つを異名と冠した竜の、その白き終焉の息吹を。
老耄した自分が珍しく相手の挑発にのったという事実が、感慨深いものだと感じたこと以外。
そしてこの勇者は鳥竜(かれ)よりも弱い。だがうちに秘める"熱さ"は、鳥竜(かれ)に似ていたと思ったから。
これは感謝であり、一つの返礼である。
いざ刮目せよ、季節なき世界において、季節の一つを異名と冠した竜の、その白き終焉の息吹を。
c y u l c a s c a r z
「【果ての光に枯れ落ちよ】」
「【果ての光に枯れ落ちよ】」
――世界が/視界全てが/裏返る
勇者が最後に目の当たりにしたのは、"白"だけだった。
■
白く砕けた残骸だけが、竜の眼前に広がっている。
純白に染まった戦火の痕跡の上に、真なる静寂の世界の中心に竜が立っている。
純白に染まった戦火の痕跡の上に、真なる静寂の世界の中心に竜が立っている。
「――とても、とても楽しかったわ」
感謝の言葉。自分が殺してしまった歴戦の勇士へ捧げるもの。
この場に竜だけしかいない。この戦場の影に潜んだ凶暴なNPCは竜の息一つで死滅した。
竜の息吹は、絶対零度を齎すそれは物理的な破壊ではなく、ただ極限まで冷やすという現象にて万物を崩壊させる。
だが、この息吹は簡単には披露しない。相手するべき相手に魅せるもの。だが彼女はその息吹を披露した。
彼女は名を知る前に殺してしまった、ロゥジー・ミストという勇者に魅せられた。
魅せられたのだから、敬意を持って応えた。
この場に竜だけしかいない。この戦場の影に潜んだ凶暴なNPCは竜の息一つで死滅した。
竜の息吹は、絶対零度を齎すそれは物理的な破壊ではなく、ただ極限まで冷やすという現象にて万物を崩壊させる。
だが、この息吹は簡単には披露しない。相手するべき相手に魅せるもの。だが彼女はその息吹を披露した。
彼女は名を知る前に殺してしまった、ロゥジー・ミストという勇者に魅せられた。
魅せられたのだから、敬意を持って応えた。
「でも、これだけじゃないのでしょう? ケンジャク?」
期待を込めた声が、白の世界に木霊する。
彼も素晴らしかった。ならば他にも自分を満たす英雄がいるのだと。
あの鳥竜に、星馳せアルスにも匹敵する、もしかしたら自分以上の力を持つ誰かと巡り会えるかもしれない。
多少途中で退屈するとしても、その可能性が生まれただけで値千金の価値は出来た。
彼も素晴らしかった。ならば他にも自分を満たす英雄がいるのだと。
あの鳥竜に、星馳せアルスにも匹敵する、もしかしたら自分以上の力を持つ誰かと巡り会えるかもしれない。
多少途中で退屈するとしても、その可能性が生まれただけで値千金の価値は出来た。
「ルールは出来る限りは守るわ。でも守りさえすれば好きにしてもいいってことよね。楽しみだわ、ああ、待ちきれないわ! 次はもっと素晴らしい戦いが待っているのでしょう!?」
羂索には感謝しても感謝しきれない。
こんな素晴らしい舞台に招待してくれた。
幾千もの英雄に巡り会えるかもしれない機会を自分にくれた。
白く染まった世界にて、彼女の瞳に映る景色はどこまでも輝いていた。
壊された一枚の鱗が、彼女が何より望んだ未来の一つだった。
こんな素晴らしい舞台に招待してくれた。
幾千もの英雄に巡り会えるかもしれない機会を自分にくれた。
白く染まった世界にて、彼女の瞳に映る景色はどこまでも輝いていた。
壊された一枚の鱗が、彼女が何より望んだ未来の一つだった。
「ああ、本当に楽しみ。次に巡り会える出会いが!次の戦いが! 次の英雄が!」
その竜は高らかに喜んだ。おもちゃを貰った子供の歓喜のようだった。
ここは異なる修羅たちが集う大地、英雄も反英雄も怪物も集う混沌という可能性の空の下。
ここは異なる修羅たちが集う大地、英雄も反英雄も怪物も集う混沌という可能性の空の下。
「ウッフフフ、ウッフフフフフ!」
死滅の白の上に、竜が未来に、可能性に喜び、笑っていた。
□
それは、極限の絶対零度をただの一息にて実現する白き災害である。
それは、数多の英雄を殺し尽くした最強種の頂に君臨する生物である。
それは、季節なき世界にて「冬」の名を冠する英雄にて怪物である。
この殺し合いにおいて、永久氷獄(ニブルヘイム)の災禍を容易く撒き散らす、白き死(おわり)の象徴である。
それは、数多の英雄を殺し尽くした最強種の頂に君臨する生物である。
それは、季節なき世界にて「冬」の名を冠する英雄にて怪物である。
この殺し合いにおいて、永久氷獄(ニブルヘイム)の災禍を容易く撒き散らす、白き死(おわり)の象徴である。
凍術士(サイレンサー)。竜(ドラゴン)。
冬(ふゆ)のルクノカ。
【冬のルクノカ@異修羅】
状態:健康、歓喜、羂索たちに対する感謝
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~3
思考
基本:この殺し合いを楽しむ、喜びのままに(一応ルールは守る)
01:英雄と出会ったら戦う
参戦時期:「第二試合 その4」終了後
備考
※凍術にロワが崩壊しない程度の制限が駆けられています
状態:健康、歓喜、羂索たちに対する感謝
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~3
思考
基本:この殺し合いを楽しむ、喜びのままに(一応ルールは守る)
01:英雄と出会ったら戦う
参戦時期:「第二試合 その4」終了後
備考
※凍術にロワが崩壊しない程度の制限が駆けられています
【ロゥジー・ミスト@戦隊レッド 異世界で冒険者になる 死亡】