アッシュフォード学園。
日本人への差別意識が世間では横行する中、ブリタニア人とイレブンを区別せず受け入れる私立学校。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアや枢木スザク達の母校であり、もう二度と戻れない青春の日々を送った場所。
日本人への差別意識が世間では横行する中、ブリタニア人とイレブンを区別せず受け入れる私立学校。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアや枢木スザク達の母校であり、もう二度と戻れない青春の日々を送った場所。
と言っても、訪れた二人にとっては馴染みの無い一施設に過ぎない。
互いの持つ情報を明かし、一先ずは友好的な参加者との接触に動くこと数十分。
果穂とチェイスが辿り着いたのがここ、アッシュフォード学園であった。
互いの持つ情報を明かし、一先ずは友好的な参加者との接触に動くこと数十分。
果穂とチェイスが辿り着いたのがここ、アッシュフォード学園であった。
「す、凄いです……」
自分の通う小学校よりも広大で、外国の映画に登場しそうな佇まいに圧倒される。
白い外観も綺麗だったが、中の装飾も負けていない。
呑気に見物してられる状況で無いとは分かっているも、ついあっちこっちへ目を向けてしまう。
同行者の様子を咎めはせず、チェイスは周囲への警戒を怠らず進む。
もし先客がいる場合、これだけの広さなら隠れる場所には困らない。
悪意を持った参加者が襲撃の機会を窺っている、といった展開も有り得なくはない。
重加速に制限こそあれど、ロイミュードとしての機能は正常に稼働中。
何が来ても即座に対処可能だ。
白い外観も綺麗だったが、中の装飾も負けていない。
呑気に見物してられる状況で無いとは分かっているも、ついあっちこっちへ目を向けてしまう。
同行者の様子を咎めはせず、チェイスは周囲への警戒を怠らず進む。
もし先客がいる場合、これだけの広さなら隠れる場所には困らない。
悪意を持った参加者が襲撃の機会を窺っている、といった展開も有り得なくはない。
重加速に制限こそあれど、ロイミュードとしての機能は正常に稼働中。
何が来ても即座に対処可能だ。
無人の廊下を進み、やって来たのは生徒会室。
何らかの反応を見せるだろう元生徒会メンバーが不在な為、双方これと言って注視する点も無く。
だが念の為にと足を踏み入れ、偶然か狙ってか時間を置いて二つの放送が始まった。
主催者のラウ・ル・クルーゼ、参加者の皇帝ルルーシュ。
少々オーバー気味な仕草を交えながらの演説を聞き終え、生徒会室には暫し何とも言えぬ沈黙が広まる。
何らかの反応を見せるだろう元生徒会メンバーが不在な為、双方これと言って注視する点も無く。
だが念の為にと足を踏み入れ、偶然か狙ってか時間を置いて二つの放送が始まった。
主催者のラウ・ル・クルーゼ、参加者の皇帝ルルーシュ。
少々オーバー気味な仕草を交えながらの演説を聞き終え、生徒会室には暫し何とも言えぬ沈黙が広まる。
「どうして……」
普段の快活な果穂らしからぬ、か細い声。
冷え冷えとした早朝の空気に溶け込み兼ねない小さな訴えを、彼女と共にいる男は聞き逃さない。
視線を向け、話を聞く体勢を取る。
急かしはしない、彼女が伝えたい事を自分の中で纏められるまで待つ。
冷え冷えとした早朝の空気に溶け込み兼ねない小さな訴えを、彼女と共にいる男は聞き逃さない。
視線を向け、話を聞く体勢を取る。
急かしはしない、彼女が伝えたい事を自分の中で纏められるまで待つ。
「どうして、あのルルーシュさんは…自分を悪い人に見せようとしたんでしょうか?」
「お前は今の放送を見ても奴は悪人ではないと、そう思うのか?」
「えっと……ルルーシュさんが仮面ライダーガッチャードさんとか、ゼアさん?って人を襲わせようとしてるのは、良くないことだって思います」
「お前は今の放送を見ても奴は悪人ではないと、そう思うのか?」
「えっと……ルルーシュさんが仮面ライダーガッチャードさんとか、ゼアさん?って人を襲わせようとしてるのは、良くないことだって思います」
後者は名前だけで具体的な人物像は知らないが、前者は果穂のみならず大半の参加者が姿を見ている。
最初に集められた場で、羂索に食って掛かった少年だ。
何故か名簿にも仮面ライダーとしての名前で記載されていたが、それはさておき。
打倒主催者を掲げる善の精神を持つ彼は、殺し合いを良しとしない者の心強い味方だろう。
しかしルルーシュは羂索に反抗する姿勢でありながら、真っ当に皆と協力する方法を取らなかった。
隷属か敵対の二択を突き付け、ガッチャードを始めとする複数人の参加者を殺すよう煽る。
そうして出来上がった軍団は善から程遠い、目的達成の為に生じる犠牲で屍の山を積み上げる危険な陣営。
お世辞にも今の放送を見て、ルルーシュが良い人だと言える者はまずいない。
最初に集められた場で、羂索に食って掛かった少年だ。
何故か名簿にも仮面ライダーとしての名前で記載されていたが、それはさておき。
打倒主催者を掲げる善の精神を持つ彼は、殺し合いを良しとしない者の心強い味方だろう。
しかしルルーシュは羂索に反抗する姿勢でありながら、真っ当に皆と協力する方法を取らなかった。
隷属か敵対の二択を突き付け、ガッチャードを始めとする複数人の参加者を殺すよう煽る。
そうして出来上がった軍団は善から程遠い、目的達成の為に生じる犠牲で屍の山を積み上げる危険な陣営。
お世辞にも今の放送を見て、ルルーシュが良い人だと言える者はまずいない。
「でもルルーシュさんは、何だか…自分のことをわざと恐くて悪い人に見せてるっていうか、そんな気がして……」
アイドルの世界はいつもキラキラ輝いている訳ではない。
ドラマ出演が決まった、CMの仕事が来た、W.I.N.G.で勝ち残った。
目覚ましい活躍をし脚光を浴びる者がいれば、そうなれず影になる者も少なくない。
輝く為の舞台を奪われ、悔し涙を流したアイドルだって存在する。
おめでとうと言って祝福してくれる、そんな同業者のみでは構成されていない。
私だって頑張った、私の方がずっと努力した、何であの娘なのという妬み恨みが渦巻くのもアイドルの世界の常。
果穂もまた幼いながらに、自身が飛び込んだ世界の光と影は理解していた。
悪意が無くとも、人気を集めれば誰かにとっての悪者になる。
分かった上でアイドルを選んだ果穂に、今更後悔は無いが。
ドラマ出演が決まった、CMの仕事が来た、W.I.N.G.で勝ち残った。
目覚ましい活躍をし脚光を浴びる者がいれば、そうなれず影になる者も少なくない。
輝く為の舞台を奪われ、悔し涙を流したアイドルだって存在する。
おめでとうと言って祝福してくれる、そんな同業者のみでは構成されていない。
私だって頑張った、私の方がずっと努力した、何であの娘なのという妬み恨みが渦巻くのもアイドルの世界の常。
果穂もまた幼いながらに、自身が飛び込んだ世界の光と影は理解していた。
悪意が無くとも、人気を集めれば誰かにとっての悪者になる。
分かった上でアイドルを選んだ果穂に、今更後悔は無いが。
けれどルルーシュは意識せずではなく、明確な己の意思で自分を悪者に見せている気がしてならない。
あれが彼の素だから、特撮番組に出て来るような根っからの悪党だと。
そう断じる事が出来ないのはきっと、最初の場で彼の別の顔を見たからだ。
ニーナと呼ばれた、樹里や智世子と同い年くらいの少女。
体中にノイズが走り苦悶の顔で消えた際、彼女の名を呼んだルルーシュの姿は覚えている。
先の放送や羂索相手に舌戦を繰り広げた時の不敵さは無く、喪失を悲しみ憤る一人の少年の顔だった。
それがあるから、善人かどうかは分からないけど根っからの悪者とは違う気がして。
あれが彼の素だから、特撮番組に出て来るような根っからの悪党だと。
そう断じる事が出来ないのはきっと、最初の場で彼の別の顔を見たからだ。
ニーナと呼ばれた、樹里や智世子と同い年くらいの少女。
体中にノイズが走り苦悶の顔で消えた際、彼女の名を呼んだルルーシュの姿は覚えている。
先の放送や羂索相手に舌戦を繰り広げた時の不敵さは無く、喪失を悲しみ憤る一人の少年の顔だった。
それがあるから、善人かどうかは分からないけど根っからの悪者とは違う気がして。
「…奴にとっては、あれが最も慣れたやり方なのかもしれん」
「慣れた…?自分を悪い人に見せることがですか?」
「ああ。似た男を一人知っている」
「慣れた…?自分を悪い人に見せることがですか?」
「ああ。似た男を一人知っている」
チェイスが思い出すのは同胞だったロイミュード、ブレン。
真影や仁良と手を組み、表向きは正義を騙りつつ進ノ介達を追い詰めた。
一方で蛮野に尻尾を振りハートを裏切った素振りを見せ、その実メディックを救う為に我が身を犠牲にした男でもある。
真影や仁良と手を組み、表向きは正義を騙りつつ進ノ介達を追い詰めた。
一方で蛮野に尻尾を振りハートを裏切った素振りを見せ、その実メディックを救う為に我が身を犠牲にした男でもある。
羂索から情報を引き出した時も、参加者へ向けての放送も。
どこか芝居がかった演説はやけに手慣れており、少なくとも今日初めてやった事ではない。
恐らくルルーシュは、自身へ注目を惹き付けるやり方を殺し合いの前から熟知している。
大胆不敵なパフォーマンスにより印象を植え付け、己が真意を仮面の裏に隠す。
時には善、時には悪の顔を使いこなし自分の望む結果を手に入れる。
ルルーシュには一番効率の良いやり方であり、悪を為してでも成し遂げねばならない何かを抱えているのだろう。
どこか芝居がかった演説はやけに手慣れており、少なくとも今日初めてやった事ではない。
恐らくルルーシュは、自身へ注目を惹き付けるやり方を殺し合いの前から熟知している。
大胆不敵なパフォーマンスにより印象を植え付け、己が真意を仮面の裏に隠す。
時には善、時には悪の顔を使いこなし自分の望む結果を手に入れる。
ルルーシュには一番効率の良いやり方であり、悪を為してでも成し遂げねばならない何かを抱えているのだろう。
「でも、苦しいなってならないんでしょうか…」
必要なことだとしても、慣れているにしても。
大勢から敵意を向けられ、警戒され、嫌われる。
ファンの皆から応援や感謝の言葉を向けられるのとは正反対の、心を引っ掻く痛み。
ルルーシュにとっては、それすら慣れてしまった一部に過ぎないのか。
僅かな情報でしか彼を知らない果穂には分からなかった。
大勢から敵意を向けられ、警戒され、嫌われる。
ファンの皆から応援や感謝の言葉を向けられるのとは正反対の、心を引っ掻く痛み。
ルルーシュにとっては、それすら慣れてしまった一部に過ぎないのか。
僅かな情報でしか彼を知らない果穂には分からなかった。
「奴の狙いが何処にあるにしろ、危険が増したのに変わりは無い」
「あ、そ、そうです…!あたしも今は、仮面ライダーなんですよね…!」
「あ、そ、そうです…!あたしも今は、仮面ライダーなんですよね…!」
腹部に手を当てると、硬い感触があった。
装着したままのデザイアドライバーが、先程の変身は嘘じゃ無いと教えて来る。
となれば自分もルルーシュが言った標的の一人。
放送を真に受けた参加者から襲われる可能性がグンと上がった。
変身した事に後悔は無いし、今になって捨てる気も無い。
しかし自分がターゲットに加わったとなれば、やはり緊張を感じずにはいられない。
装着したままのデザイアドライバーが、先程の変身は嘘じゃ無いと教えて来る。
となれば自分もルルーシュが言った標的の一人。
放送を真に受けた参加者から襲われる可能性がグンと上がった。
変身した事に後悔は無いし、今になって捨てる気も無い。
しかし自分がターゲットに加わったとなれば、やはり緊張を感じずにはいられない。
「もし不安なら俺がベルトを預かっておこう。少なくとも、初見で仮面ライダーとは思われない筈だ」
「い、いえ!大丈夫ですっ!チェイスさんと一緒に戦うって、決めましたから!」
「い、いえ!大丈夫ですっ!チェイスさんと一緒に戦うって、決めましたから!」
少しでも危険から遠ざけようという提案は善意から。
当然果穂も理解しており感謝するも、受け入れずに断る。
全く恐くないと言えば嘘になるけど、ヒーローとして殺し合いを止めると決めたのだ。
チェイスだけに押し付けず、自分にも出来ることをしたい。
だからデザイアドライバーはこのまま手元に置く。
当然果穂も理解しており感謝するも、受け入れずに断る。
全く恐くないと言えば嘘になるけど、ヒーローとして殺し合いを止めると決めたのだ。
チェイスだけに押し付けず、自分にも出来ることをしたい。
だからデザイアドライバーはこのまま手元に置く。
本人が強く望むならチェイスも無理強いはせず、なれど今後は一層の警戒が必要と方針を固める。
龍騎との戦闘では果穂の援護もあって敵を退けるに至ったが、それでも彼女は元々一般人。
特状課の面々のように荒事に慣れた人間とは違う以上、本来なら戦闘に巻き込むべきでは無いのだろう。
とはいえ状況が状況だ、自衛の手段を強引に奪うつもりはない。
その自衛手段のせいで危険が付き纏うのは皮肉だが、自分がこれまで以上に気を引き締め果穂を守るだけだ。
龍騎との戦闘では果穂の援護もあって敵を退けるに至ったが、それでも彼女は元々一般人。
特状課の面々のように荒事に慣れた人間とは違う以上、本来なら戦闘に巻き込むべきでは無いのだろう。
とはいえ状況が状況だ、自衛の手段を強引に奪うつもりはない。
その自衛手段のせいで危険が付き纏うのは皮肉だが、自分がこれまで以上に気を引き締め果穂を守るだけだ。
「……」
ピクリと、こめかみを僅かに動かし出入り口を睨む。
傍らの果穂は突然の行動に首を傾げるも、すぐに理由が分かった。
足音が近付いて来る。
ロイミュードの聴覚機能が常人よりも一早く、他の参加者の存在を感知したのだ。
敵か味方か、願うのは後者だが必ずしもそうなるとは限らない。
いつでも得物を取り出せるよう意識し、果穂もレイズバックルをぎゅっと掴む。
緊張で手が汗ばんでいるとは、自分でも気付いていた。
傍らの果穂は突然の行動に首を傾げるも、すぐに理由が分かった。
足音が近付いて来る。
ロイミュードの聴覚機能が常人よりも一早く、他の参加者の存在を感知したのだ。
敵か味方か、願うのは後者だが必ずしもそうなるとは限らない。
いつでも得物を取り出せるよう意識し、果穂もレイズバックルをぎゅっと掴む。
緊張で手が汗ばんでいるとは、自分でも気付いていた。
やがて足音は生徒会室の前で止まり、ゆっくりと扉が開かれる。
相手の出方を慎重に窺い、
相手の出方を慎重に窺い、
「やあ、初めまして…って言うのはちょっと呑気かな?安心して、私に君達を襲う気は無いよ」
両手を上げながら入って来たのは、温厚な雰囲気の男だった。
○
先生と、現れた男はそう名乗った。
本名でないことは初対面のチェイス達にも分かり、少々不審に感じたのも無理はない。
どうして名前ではなく役職を告げたのだろうか。
至極当然の疑問に対する先生の答えは曖昧なもの。
曰く、「生徒を始め周囲の者から常にそう呼ばれているので、半ばそれが自分を表す名前として定着してしまったのだろう」。
実際名簿にも今名乗った二文字が記載されていた。
本名でないことは初対面のチェイス達にも分かり、少々不審に感じたのも無理はない。
どうして名前ではなく役職を告げたのだろうか。
至極当然の疑問に対する先生の答えは曖昧なもの。
曰く、「生徒を始め周囲の者から常にそう呼ばれているので、半ばそれが自分を表す名前として定着してしまったのだろう」。
実際名簿にも今名乗った二文字が記載されていた。
主催者までもが本名を載せなかった理由は不明なれど、先生がこちらを襲う様子は現状見られない。
龍騎と違って悪戯に喧嘩を売るのはチェイス達の望む所ではなく、敵対の意思が無いならむしろ願ったり叶ったりだ。
取り敢えずはそれぞれの得物から手を放す。
屋内というのもあって、腰を落ち着け話をするのには丁度良い。
互いの簡単な自己紹介が済むと、早速先生の方から自身の探し人の名前が出た。
龍騎と違って悪戯に喧嘩を売るのはチェイス達の望む所ではなく、敵対の意思が無いならむしろ願ったり叶ったりだ。
取り敢えずはそれぞれの得物から手を放す。
屋内というのもあって、腰を落ち着け話をするのには丁度良い。
互いの簡単な自己紹介が済むと、早速先生の方から自身の探し人の名前が出た。
「その人達は先生の…」
「うん、全員私の大切な生徒達だよ。本当にどうしてこんな物騒なものに巻き込まれたのか……」
「うん、全員私の大切な生徒達だよ。本当にどうしてこんな物騒なものに巻き込まれたのか……」
悲痛な顔で5人の少女達の無事を祈る。
複数人の生徒が巻き込まれた挙句、内の一人はなんと羂索に体を奪われた者とのこと。
どうして彼女が参加者にも登録されているのか。
これについては先生も分からず、余りにも不憫な扱いを強いる主催者への怒りを言葉の節々に滲ませた。
複数人の生徒が巻き込まれた挙句、内の一人はなんと羂索に体を奪われた者とのこと。
どうして彼女が参加者にも登録されているのか。
これについては先生も分からず、余りにも不憫な扱いを強いる主催者への怒りを言葉の節々に滲ませた。
「場所が変わろうと、私はあの子達の先生だ。すぐにでも守ってあげなければならない。だから頼む、些細な事でも情報があれば教えて欲しい」
深々と頭を下げられ、果穂は堪らず表情を曇らせた。
短いやり取りで相手がどれだけ生徒思いの人間かは理解出来たが、生憎自分達は彼の探す者達と会っていない。
殺し合いで遭遇したのと言えば、いきなり襲って来た蛇柄の服の男だけ。
危険人物一人への警戒を促せはしても、先生が一番欲しがってる情報は与えられない。
悪いことをしてはいなくても申し訳なさを覚える。
短いやり取りで相手がどれだけ生徒思いの人間かは理解出来たが、生憎自分達は彼の探す者達と会っていない。
殺し合いで遭遇したのと言えば、いきなり襲って来た蛇柄の服の男だけ。
危険人物一人への警戒を促せはしても、先生が一番欲しがってる情報は与えられない。
悪いことをしてはいなくても申し訳なさを覚える。
それにもう一つ、果穂の奥底でほんの少し奇妙な感覚があった。
(どうしてなんだろ…先生の力になりたいって思うのに、でも……)
言動や態度を見ても、先生が悪人とは思えない。
生徒から慕われる優しい人、まるで283プロのアイドル達に信頼されるプロデューサーみたいな大人。
そんな風に重ねようとすると、何故か言いようの無い違和感を覚えた。
当然先生とプロデューサーは別人だ、同じ大人の男性でもタイプが違う。
だけどそうじゃない、もっと異なる部分で先生とプロデューサーを重ねるのに抵抗に似たものがある。
理由は上手く口に出来ないし、強いて言うなら勘だろうか。
初対面の相手に失礼だと内心で己を咎めるも、先生への違和感は依然として消えない。
生徒から慕われる優しい人、まるで283プロのアイドル達に信頼されるプロデューサーみたいな大人。
そんな風に重ねようとすると、何故か言いようの無い違和感を覚えた。
当然先生とプロデューサーは別人だ、同じ大人の男性でもタイプが違う。
だけどそうじゃない、もっと異なる部分で先生とプロデューサーを重ねるのに抵抗に似たものがある。
理由は上手く口に出来ないし、強いて言うなら勘だろうか。
初対面の相手に失礼だと内心で己を咎めるも、先生への違和感は依然として消えない。
「すまないが、俺達はお前の言う生徒とは会っていない」
言葉に詰まった果穂に代わり、チェイスが質問の答えを返す。
嘘は言ってないし言う必要も無い。
自分も果穂も互いの仲間は参加しておらず、出会った参加者は赤い仮面ライダーのみ。
危険人物一人について以外に、提供可能な情報は持っていない。
そう伝えると先生は残念そうにしながらも礼を口にした。
嘘は言ってないし言う必要も無い。
自分も果穂も互いの仲間は参加しておらず、出会った参加者は赤い仮面ライダーのみ。
危険人物一人について以外に、提供可能な情報は持っていない。
そう伝えると先生は残念そうにしながらも礼を口にした。
「そうか…いや、ありがとう。この辺りに生徒達が来てないと分かっただけでも収穫だ。二人共時間を取らせてごめんね」
「あの!良かったらあたし達と一緒に来ませんか?生徒さん達を探すなら、何か――」
「あの!良かったらあたし達と一緒に来ませんか?生徒さん達を探すなら、何か――」
お手伝いをと言い掛けた果穂を手で制し、最後まで言わせない。
同行の申し出を受ける気は無いからか、困ったような笑みを浮かべる。
同行の申し出を受ける気は無いからか、困ったような笑みを浮かべる。
「折角のお誘いだけど、私は一人で行くよ」
頬を掻きつつ言う先生に、反射的にどうしてですかと聞き返そうと唇が動く。
が、言葉が出はしなかった。
「君達みたいな役立たずは、殺しておくに限るからねぇ!」
何が起きたかを果穂はすぐに理解出来ない。
それまでの様子からは想像も付かない、悪意を籠めた言葉が先生の口から吐き出され。
思わず凍り付いた時には既に、自分の体が宙に浮いた後。
腰に回された腕と紫色の袖が見え、同行者に抱き上げられたとは辛うじて分かった。
それまでの様子からは想像も付かない、悪意を籠めた言葉が先生の口から吐き出され。
思わず凍り付いた時には既に、自分の体が宙に浮いた後。
腰に回された腕と紫色の袖が見え、同行者に抱き上げられたとは辛うじて分かった。
「なん――」
驚愕と疑問を声に出して言う機会は訪れない。
果穂の声を掻き消す音が間近で聞こえたから。
ジェットコースターのように目まぐるしく変化する視界で、辛うじて見えたのは二つ。
優しそうな雰囲気は微塵も無い、下卑た笑みを貼り付けた先生の顔と。
彼が手に持った四角い銃らしき物体。
撃たれたと分かったのは、ようやく視界が落ち着いてから。
両脚は未だ床に着いておらず、彼の腕も腰に回されたまま。
自分を運び弾丸を躱したチェイスを見上げれば、反対の手で銃を構えている。
銃口が睨み付ける先に誰がいるか、最早考えるまでも無い。
果穂の声を掻き消す音が間近で聞こえたから。
ジェットコースターのように目まぐるしく変化する視界で、辛うじて見えたのは二つ。
優しそうな雰囲気は微塵も無い、下卑た笑みを貼り付けた先生の顔と。
彼が手に持った四角い銃らしき物体。
撃たれたと分かったのは、ようやく視界が落ち着いてから。
両脚は未だ床に着いておらず、彼の腕も腰に回されたまま。
自分を運び弾丸を躱したチェイスを見上げれば、反対の手で銃を構えている。
銃口が睨み付ける先に誰がいるか、最早考えるまでも無い。
「ハッ、お優しい騎士様が守ってくださったってか?果穂ちゃんは運が良いねぇ、最初に消された馬鹿な二人と違ってさぁ!」
生徒思いの優しい大人は一体どこに行ってしまったのか。
嘲りをたっぷりと含んだ言葉を垂れ流し、邪悪に笑う彼は本当にさっきまでの先生と同一人物なのか。
愕然と目を見開く果穂だが、同時に内心では違和感が薄れていた。
先生の本性が見ている通りなら、今まで見せていたのが偽りの仮面なら。
成程、どうしてプロデューサーと重ねる事に抵抗を感じたのかも納得だ。
嘲りをたっぷりと含んだ言葉を垂れ流し、邪悪に笑う彼は本当にさっきまでの先生と同一人物なのか。
愕然と目を見開く果穂だが、同時に内心では違和感が薄れていた。
先生の本性が見ている通りなら、今まで見せていたのが偽りの仮面なら。
成程、どうしてプロデューサーと重ねる事に抵抗を感じたのかも納得だ。
「それがお前の本性か。赤いライダーと同じ、殺し合いに乗っているようだな」
「逆に聞くけど、乗らない理由があるのかい?折角の機会に楽しまない方が馬鹿ってもんだろ?」
「逆に聞くけど、乗らない理由があるのかい?折角の機会に楽しまない方が馬鹿ってもんだろ?」
罪悪感も躊躇も無い、むしろ嬉々として殺し合いを肯定する。
止むにやまれぬ事情、例えば生徒を守る為にあえて修羅の道を往くだとかではない。
どこまでも自身の歪んだ悦楽が理由の悪党。
それこそ、先生という男が仮面の奥に隠した本当の顔か。
止むにやまれぬ事情、例えば生徒を守る為にあえて修羅の道を往くだとかではない。
どこまでも自身の歪んだ悦楽が理由の悪党。
それこそ、先生という男が仮面の奥に隠した本当の顔か。
「そんな…生徒さん達を守りたいっていうのも、嘘だったんですか!?」
「皆なら私が守るまでも無いよ。今頃は私と同じように、殺し合いを楽しんでるだろうからねぇ…!」
「っ!?」
「ははっ、流石は私の生徒だろ?ああでも、早く見つけたいってのは本当かな。好き勝手暴れられて、私の狩る獲物が減るのは由々しき事態だ」
「お前の教え子も、人間の言葉で言う同じ穴の狢か」
「皆なら私が守るまでも無いよ。今頃は私と同じように、殺し合いを楽しんでるだろうからねぇ…!」
「っ!?」
「ははっ、流石は私の生徒だろ?ああでも、早く見つけたいってのは本当かな。好き勝手暴れられて、私の狩る獲物が減るのは由々しき事態だ」
「お前の教え子も、人間の言葉で言う同じ穴の狢か」
聞く限りでは生徒達も先生と同じような性根の持ち主らしい。
そのような危険人物が5人も会場に解き放たれている。
当初は羂索の最大の被害者としての面が強かった少女も、これではどっこいどっこいだろう。
学園都市キヴォトス、そこに所属する者には警戒が必要だ。
そのような危険人物が5人も会場に解き放たれている。
当初は羂索の最大の被害者としての面が強かった少女も、これではどっこいどっこいだろう。
学園都市キヴォトス、そこに所属する者には警戒が必要だ。
(だが、この男の話が全て事実と決まった訳でも無い)
印象操作で善人を悪と言い張り、偽りの情報を拡散する。
特状課を陥れる為に仁良が使ったのと同じ手を、先生もやっている可能性はゼロじゃない。
真実しか口にしていないとも十分考えられるので、当然キヴォトスの生徒達へ警戒しないつもりは無いが。
特状課を陥れる為に仁良が使ったのと同じ手を、先生もやっている可能性はゼロじゃない。
真実しか口にしていないとも十分考えられるので、当然キヴォトスの生徒達へ警戒しないつもりは無いが。
「ま、生徒達は私の方で探すとしてだ。その前に君達で遊ばせてもらうよ。大人として、殺し合いの手本を見せてあげなきゃいけないからね」
本性を露わにして尚も、自身の立場を意識した内容。
聞く者の嫌悪を掻き立てるソレを口にしながら、体は次の行動へ移る。
片脚を跳ね上げ手前の机を蹴り飛ばす。
一体どれ程の力が籠められたのか、爪先が当たった箇所を凹ませチェイス達へと飛来。
横に跳んで躱し、標的を見失った机はガラス窓を粉々に砕く。
戦うにしてもここでは狭い、出来上がったばかりの出入り口を使って屋外へ飛び出す。
果穂を庇うように抱きしめながら着地、先生へと再度銃口を向けた。
聞く者の嫌悪を掻き立てるソレを口にしながら、体は次の行動へ移る。
片脚を跳ね上げ手前の机を蹴り飛ばす。
一体どれ程の力が籠められたのか、爪先が当たった箇所を凹ませチェイス達へと飛来。
横に跳んで躱し、標的を見失った机はガラス窓を粉々に砕く。
戦うにしてもここでは狭い、出来上がったばかりの出入り口を使って屋外へ飛び出す。
果穂を庇うように抱きしめながら着地、先生へと再度銃口を向けた。
「変身」
『KAMEN RIDE DECADE!』
最も敵は既に戦闘準備を全て終えた後。
取り出したバックルを腰に巻き、銃身から抜き取ったカードを装填。
シャーレの先生だけに許されたカードではない、殺し合いで新たに得た武器だ。
両サイドのハンドルを操作し、電子音声と共に装甲を纏う。
マゼンタ色のアーマーに、目を引く十字の意匠。
プレートが突き刺さった仮面はバーコードを思わせ、緑のカメラアイが発光。
数多のライダー世界を通りすがった破壊者、仮面ライダーディケイド。
門矢士が不在の舞台において降臨を果たした。
取り出したバックルを腰に巻き、銃身から抜き取ったカードを装填。
シャーレの先生だけに許されたカードではない、殺し合いで新たに得た武器だ。
両サイドのハンドルを操作し、電子音声と共に装甲を纏う。
マゼンタ色のアーマーに、目を引く十字の意匠。
プレートが突き刺さった仮面はバーコードを思わせ、緑のカメラアイが発光。
数多のライダー世界を通りすがった破壊者、仮面ライダーディケイド。
門矢士が不在の舞台において降臨を果たした。
「チェイスさん、あれってもしかして…!」
「ああ。ドライブシステムとは違うが、奴も仮面ライダーの力を手に入れたのか」
「ああ。ドライブシステムとは違うが、奴も仮面ライダーの力を手に入れたのか」
無表情ながら声にはやるせなさと怒りが含まれていると、少なくとも果穂にはそう感じられた。
先の龍騎に始まりルルーシュと綾小路、そして此度の先生。
果穂のように善性の強い参加者だけではない、人間性を問わずライダーへの変身ツールが支給されている。
自身の知る二人の戦士のように、人々を守る為に戦うのとは正反対。
仮面ライダーを単なる争いの道具として利用するのは、何度見ても気分の良いものでは無かった。
先の龍騎に始まりルルーシュと綾小路、そして此度の先生。
果穂のように善性の強い参加者だけではない、人間性を問わずライダーへの変身ツールが支給されている。
自身の知る二人の戦士のように、人々を守る為に戦うのとは正反対。
仮面ライダーを単なる争いの道具として利用するのは、何度見ても気分の良いものでは無かった。
『BREAK UP』
口で言って戦闘を止める相手でないのは明白。
襲って来るなら相応の対処を取るまでと、ブレイクガンナーの銃口を押し込む。
仮面ライダーになれなくとも、戦う為の力ならば持っている。
タイヤ状の圧縮されたエネルギーが複数重なり、人間の擬態から機械の戦士へと変身。
嘗てはロイミュードの番人にして死神、しかし今は人間の守護者として魔進チェイサーが姿を現した。
襲って来るなら相応の対処を取るまでと、ブレイクガンナーの銃口を押し込む。
仮面ライダーになれなくとも、戦う為の力ならば持っている。
タイヤ状の圧縮されたエネルギーが複数重なり、人間の擬態から機械の戦士へと変身。
嘗てはロイミュードの番人にして死神、しかし今は人間の守護者として魔進チェイサーが姿を現した。
「あたしも…戦いますっ!先生が誰かを傷付ける前に、ここで止めないと…!」
戦意に溢れるのは果穂も同じだ。
もし先生が譲れぬ願いや生徒への想いで殺し合いに乗ったなら、その心を否定出来なかった。
倫理的に間違ったやり方だとしても、突き動かす理由が相手にとって譲れないのであれば。
そこはきっと、自分の思う正義を無理やり当て嵌めて良いものではない。
だが実際には龍騎同様、悪意で彩られた欲望のままに暴力を振るおうとしている。
だったら暴力の矛先が他の誰かに向かう前に、ヒーローとして阻止するだけだ。
もし先生が譲れぬ願いや生徒への想いで殺し合いに乗ったなら、その心を否定出来なかった。
倫理的に間違ったやり方だとしても、突き動かす理由が相手にとって譲れないのであれば。
そこはきっと、自分の思う正義を無理やり当て嵌めて良いものではない。
だが実際には龍騎同様、悪意で彩られた欲望のままに暴力を振るおうとしている。
だったら暴力の矛先が他の誰かに向かう前に、ヒーローとして阻止するだけだ。
『SET』
「変身っ!」
『BEAT』
二回目の変身だけど緊張感と興奮は消えず、されど戦うべき相手へ集中。
レイズバックルの鍵盤を操作し、上半身に装甲を纏う。
エントリーフォームからビートフォームへ、仮面ライダーナーゴに変身。
片手には変身と同時に拡張武装が握られていた。
デザイアグランプリの正式参加者では無く、元のIDコアの持ち主である鞍馬祢音でもない。
殺し合いでは果穂の力としてディケイドに対峙する。
レイズバックルの鍵盤を操作し、上半身に装甲を纏う。
エントリーフォームからビートフォームへ、仮面ライダーナーゴに変身。
片手には変身と同時に拡張武装が握られていた。
デザイアグランプリの正式参加者では無く、元のIDコアの持ち主である鞍馬祢音でもない。
殺し合いでは果穂の力としてディケイドに対峙する。
『READY FIGHT』
理想の世界を創る為ではない、譲れぬ正義が悪意を打ち砕く戦い。
闘争開幕の合図が流れ、ライダー達が得物を持つ手を跳ね上げた。
闘争開幕の合図が流れ、ライダー達が得物を持つ手を跳ね上げた。
トレーニングでも無ければ、ルールの制定されたスポーツでもない。
拳を振るえば傷付き、武器を用いれば死へと追いやり、果てに二度と覚めない眠りが待つ。
命を懸けた正真正銘の殺し合いだ、次があるから大丈夫等という楽観は持ち込めない。
仮面ライダーとの、そして嘗ての同胞を相手取った時と同じ。
守る為の戦いへと身を投じ、ブレイクガンナーの引き金を引く。
拳を振るえば傷付き、武器を用いれば死へと追いやり、果てに二度と覚めない眠りが待つ。
命を懸けた正真正銘の殺し合いだ、次があるから大丈夫等という楽観は持ち込めない。
仮面ライダーとの、そして嘗ての同胞を相手取った時と同じ。
守る為の戦いへと身を投じ、ブレイクガンナーの引き金を引く。
『GUN』
遠距離形態に変えてから照準を合わせ、トリガーに掛けた指へ力を籠める。
ほんの僅かに手間取るだけで大きな隙へ繋がり兼ねない、故に一連の動作から無駄な挙動を一切合切排除。
初めて扱う得物ならいざ知らず、手に馴染む銃でミスする素人ではない。
魔進チェイサーにとって最も使い慣れた武器、それがブレイクガンナーだ。
内部機能がエネルギーの生成と圧縮を行い、標的を貫く弾を発射。
一発二発では到底倒せないと分かっている為、十数発を連射した。
ほんの僅かに手間取るだけで大きな隙へ繋がり兼ねない、故に一連の動作から無駄な挙動を一切合切排除。
初めて扱う得物ならいざ知らず、手に馴染む銃でミスする素人ではない。
魔進チェイサーにとって最も使い慣れた武器、それがブレイクガンナーだ。
内部機能がエネルギーの生成と圧縮を行い、標的を貫く弾を発射。
一発二発では到底倒せないと分かっている為、十数発を連射した。
不良ロイミュードの粛清及び仮面ライダーの抹殺。
その二つを使命として帯び生まれたのが魔進チェイサーならば、扱う武器も相応のスペックを兼ね備えている。
発射速度と威力、両方が既存の自動拳銃を凌駕する性能。
加えて使い手自身の戦闘技能と搭載装置が、共に人間以上の射撃能力を引き出す。
荒事に慣れた警官や犯罪者であっても、一度狙われれば蜂の巣になる末路からは逃れられない。
その二つを使命として帯び生まれたのが魔進チェイサーならば、扱う武器も相応のスペックを兼ね備えている。
発射速度と威力、両方が既存の自動拳銃を凌駕する性能。
加えて使い手自身の戦闘技能と搭載装置が、共に人間以上の射撃能力を引き出す。
荒事に慣れた警官や犯罪者であっても、一度狙われれば蜂の巣になる末路からは逃れられない。
だが魔進チェイサー同様に、常人を超えた力の持ち主ならば別。
エネルギー弾に狙われたディケイドに焦りは無く、軽やかな動きで回避へ動く。
一般人の8倍はあろう無数の視細胞が、自身へ迫る敵意を余す事無く識別。
躱せるか否か、当然前者である。
エネルギー弾に狙われたディケイドに焦りは無く、軽やかな動きで回避へ動く。
一般人の8倍はあろう無数の視細胞が、自身へ迫る敵意を余す事無く識別。
躱せるか否か、当然前者である。
真横へ跳びながら、こちらも魔進チェイサーに銃口を向ける。
立っていた場所を通過し、背後の校舎を破壊するエネルギー弾には目もくれない。
可変型武器、ライドブッカーはガンモードに変形済みだ。
発射された50口径の光弾はブレイクガンナー同様、ライダーや怪人相手を想定した威力。
大ショッカー製の武器はロイミュードの技術にも引けを取らない。
通りすがった世界を守って来た銃は今、悪意を宿した破壊目的で使われる。
立っていた場所を通過し、背後の校舎を破壊するエネルギー弾には目もくれない。
可変型武器、ライドブッカーはガンモードに変形済みだ。
発射された50口径の光弾はブレイクガンナー同様、ライダーや怪人相手を想定した威力。
大ショッカー製の武器はロイミュードの技術にも引けを取らない。
通りすがった世界を守って来た銃は今、悪意を宿した破壊目的で使われる。
撃たれる前ならともかく、撃たれた後で人間にできる事は多くない。
なれど魔進チェイサーならば、自身を狙う光弾を正確に捉え回避が可能。
射線から外れるよう地面を転がり、再びディケイドに照準を合わせる。
なれど魔進チェイサーならば、自身を狙う光弾を正確に捉え回避が可能。
射線から外れるよう地面を転がり、再びディケイドに照準を合わせる。
しかし魔進チェイサーの視覚センサーが、自身へ迫る脅威を察知。
敵が新たに放ったのではなく、今さっき回避した筈の光弾がこちらを追い掛けて来る。
意思を持ったような動きは通常の銃火器では有り得ない。
箱状の銃身部のポインダー、ライドマーカーと呼ばれる機能が理由だ。
マーキングした標的に誘導路を引き、どこへ逃げても光弾が追跡可能となる。
敵が新たに放ったのではなく、今さっき回避した筈の光弾がこちらを追い掛けて来る。
意思を持ったような動きは通常の銃火器では有り得ない。
箱状の銃身部のポインダー、ライドマーカーと呼ばれる機能が理由だ。
マーキングした標的に誘導路を引き、どこへ逃げても光弾が追跡可能となる。
「そらそら鬼ごっこだ!必死こいて逃げて、私を笑わせてくれ!」
嘲笑は無視し、敵の銃は追尾弾を発射すると理解。
避けても無意味なら別の方法で対処すれば良いだけだ。
ブレイクガンナーで光弾を撃ち霧散、残る数発には左腕を叩き付けた。
金属装甲のガントレットならばダメージを受けずに、エネルギー攻撃を掻き消せる。
ディケイドから舌打ちが聞こえるも知ったことではない、再度引き金が引かれる前に自分から撃つ。
避けても無意味なら別の方法で対処すれば良いだけだ。
ブレイクガンナーで光弾を撃ち霧散、残る数発には左腕を叩き付けた。
金属装甲のガントレットならばダメージを受けずに、エネルギー攻撃を掻き消せる。
ディケイドから舌打ちが聞こえるも知ったことではない、再度引き金が引かれる前に自分から撃つ。
攻撃を防がれたのに多少苛立つも、ディケイドとてあっさり決着が付くとは思っていない。
殺到するエネルギー弾を躱し、時には手刀で叩き落とす。
魔進チェイサーでやれる動きはディケイドにだって可能。
向こうが一発も命中させてくれないなら、こっちだって食らうものか。
殺到するエネルギー弾を躱し、時には手刀で叩き落とす。
魔進チェイサーでやれる動きはディケイドにだって可能。
向こうが一発も命中させてくれないなら、こっちだって食らうものか。
先程よりも脚に力を籠めて跳躍、足底が地面を再び踏みしめるまでの時間を延長する。
足場が無いにも関わらず、ディケイドは空中に留まった。
これは四肢に装着されたバンドからマイクロ波を飛ばし、共振を利用して空中浮遊を行うディケイドの機能の一つ。
見えない羽を動かすように宙を移動しながら、地上目掛けて光弾を連射。
敵には無いアドバンテージを活かしての銃撃だ、ルール無用の殺し合いならば卑怯でも何でもない。
足場が無いにも関わらず、ディケイドは空中に留まった。
これは四肢に装着されたバンドからマイクロ波を飛ばし、共振を利用して空中浮遊を行うディケイドの機能の一つ。
見えない羽を動かすように宙を移動しながら、地上目掛けて光弾を連射。
敵には無いアドバンテージを活かしての銃撃だ、ルール無用の殺し合いならば卑怯でも何でもない。
が、魔進チェイサーには仲間というディケイドにはない存在がいる。
戦場へ響き渡るのは銃声のみに非ず。
ギターが掻き鳴らすサウンドが、何の曲かを知る者はこの場にただ一人。
BGMのようにライダー達の耳へ届く、放課後クライマックスガールズの楽曲。
一瞬で場をライブステージに変えた音は、ナーゴが手にしたエレキギターから発生。
龍騎相手にビートフォームの戦い方は把握している、専用装備のビートアックスが齎す効果もだ。
ギターが掻き鳴らすサウンドが、何の曲かを知る者はこの場にただ一人。
BGMのようにライダー達の耳へ届く、放課後クライマックスガールズの楽曲。
一瞬で場をライブステージに変えた音は、ナーゴが手にしたエレキギターから発生。
龍騎相手にビートフォームの戦い方は把握している、専用装備のビートアックスが齎す効果もだ。
胸部装甲が音を増幅し、腕部の装置が音に特殊効果を付与。
味方を鼓舞する音楽は、対象がデザグラの参加者で無くとも有効。
動作のキレが格段に増した上に、集中力を強化。
頭上からの銃撃へ、薙ぎ払うように腕を振るいエネルギー弾を放つ。
一見出鱈目な撃ち方に見えるも、その実降り注ぐ光弾を的確に撃ち落とす。
味方を鼓舞する音楽は、対象がデザグラの参加者で無くとも有効。
動作のキレが格段に増した上に、集中力を強化。
頭上からの銃撃へ、薙ぎ払うように腕を振るいエネルギー弾を放つ。
一見出鱈目な撃ち方に見えるも、その実降り注ぐ光弾を的確に撃ち落とす。
『BREAK』
着地の瞬間に合わせて魔進チェイサーが接近、得物を近距離形態に変え殴り掛かる。
ナーゴの支援の恩恵を受け、懐に潜り込む速さは本来の走力以上。
スパイク部分が破壊力を引き上げ腹部を叩き、堪らずディケイドは呻いて後退。
二撃目を頭部へ放つも、敵のやりたい放題を容認した覚えはない。
至近距離でライドブッカーを向けて撃つが、発射寸前で銃身を裏拳が叩き狙いを逸らされた。
苛立ち蹴り付けると魔進チェイサーもまた蹴りを放ち、互いの脚をぶつけ合い揃って距離を取る。
ナーゴの支援の恩恵を受け、懐に潜り込む速さは本来の走力以上。
スパイク部分が破壊力を引き上げ腹部を叩き、堪らずディケイドは呻いて後退。
二撃目を頭部へ放つも、敵のやりたい放題を容認した覚えはない。
至近距離でライドブッカーを向けて撃つが、発射寸前で銃身を裏拳が叩き狙いを逸らされた。
苛立ち蹴り付けると魔進チェイサーもまた蹴りを放ち、互いの脚をぶつけ合い揃って距離を取る。
「喧しいガキを躾けてやるのも、大人の義務だよねぇ!」
味方にとっては心強い音楽も、敵からすればストレス上昇の元。
龍騎の時と同じく、ディケイドもまた冷静さの欠如が表れ始めている。
言葉では無く力で黙らせるべく、ナーゴへと銃を突き付けた。
魔進チェイサーが黙って見ている訳が無い、光弾が放たれるより先に銃身を蹴り上げ阻止。
頭上の空気が熱せられるのは気に留めず、ディケド目掛けて踵を振り下ろす。
龍騎の時と同じく、ディケイドもまた冷静さの欠如が表れ始めている。
言葉では無く力で黙らせるべく、ナーゴへと銃を突き付けた。
魔進チェイサーが黙って見ている訳が無い、光弾が放たれるより先に銃身を蹴り上げ阻止。
頭上の空気が熱せられるのは気に留めず、ディケド目掛けて踵を振り下ろす。
頭に血が昇ってはいるが、ディケイド自身の身体スペックは低下していない。
舌打ちを一つ零し後方へと跳躍、踵落としは地面を削っただけで命中せず。
距離を取る間にもディケイドの手はライドブッカーに伸び、新たなカードを取り出す。
大半の力を使用不可能にされたとて、破壊者が元々持つカードまでは失わずに済んだ。
舌打ちを一つ零し後方へと跳躍、踵落としは地面を削っただけで命中せず。
距離を取る間にもディケイドの手はライドブッカーに伸び、新たなカードを取り出す。
大半の力を使用不可能にされたとて、破壊者が元々持つカードまでは失わずに済んだ。
『ATTACK RIDE BLAST!』
ディケイドライバーがカードを読み込み解放。
構えたライドブッカーの銃身が複数に分裂、一斉に光弾を放つ。
目の錯覚でも幻でも無い、実態を伴っており発射した弾も本物だ。
元々の高い連射性に加えて、光弾の数を大幅に増やす。
単純ながら効果的なダメージを与えるカード相手に、魔進チェイサーも取る手を即座に選び抜く。
構えたライドブッカーの銃身が複数に分裂、一斉に光弾を放つ。
目の錯覚でも幻でも無い、実態を伴っており発射した弾も本物だ。
元々の高い連射性に加えて、光弾の数を大幅に増やす。
単純ながら効果的なダメージを与えるカード相手に、魔進チェイサーも取る手を即座に選び抜く。
『TUNE CHASER SPIDER』
魔進チェイサーの意思に従い、銀色のミニカーが掌に収まる。
ディケイドがカードを使って技を繰り出すなら、こちらも武装拡張機能を使うまで。
チェイサーバイラルコアを装填、超硬化金属が蜘蛛の足をモチーフにしたファングスパイディーへ変化。
背部コネクターとパイプで繋げば装着完了だ、真正面へ盾のように翳し疾走。
同じ近接戦闘用武器でも、ドライブが使うハンドル剣より幅広なのが幸いした。
光弾の掃射を真正面から防ぎ、尚且つナーゴの演奏で走力が強化。
瞬く間に間合いを詰め、次弾は撃たせぬと刃で斬り付ける。
至近距離で光弾を撃とうとも纏めて薙ぎ払う勢いに、ディケイドも引き金から指を放す。
代わりにライドブッカーを変形、銃以外の武器を持つのは魔進チェイサー一体だけではない。
迫る斬撃を防ぎ、目と鼻の先の近さで睨み合う。
ディケイドがカードを使って技を繰り出すなら、こちらも武装拡張機能を使うまで。
チェイサーバイラルコアを装填、超硬化金属が蜘蛛の足をモチーフにしたファングスパイディーへ変化。
背部コネクターとパイプで繋げば装着完了だ、真正面へ盾のように翳し疾走。
同じ近接戦闘用武器でも、ドライブが使うハンドル剣より幅広なのが幸いした。
光弾の掃射を真正面から防ぎ、尚且つナーゴの演奏で走力が強化。
瞬く間に間合いを詰め、次弾は撃たせぬと刃で斬り付ける。
至近距離で光弾を撃とうとも纏めて薙ぎ払う勢いに、ディケイドも引き金から指を放す。
代わりにライドブッカーを変形、銃以外の武器を持つのは魔進チェイサー一体だけではない。
迫る斬撃を防ぎ、目と鼻の先の近さで睨み合う。
「撃たれるより斬られるのが好みだったかい?悪くないねぇ、そっちのが苦痛もデカいしなぁ!」
「お前の趣味など聞いていない」
「お前の趣味など聞いていない」
ソードモードのライドブッカーが向かう先には、魔進チェイサーのカメラアイ。
頑強な追加装甲で守られた右目と違い、剥き出しの左目は最も脆い箇所。
強化レンズで加工済みとはいえ、ディケイドの武器を前に安堵は抱けまい。
ディヴァインオレという未知の鉱石で出来た刃は、数多の怪人を斬り伏せて来た実績を持つ。
直撃を避ける為の装備は既に右手にある。
刃には刃だ、クローが刀身部分を防ぎ押し返す。
頑強な追加装甲で守られた右目と違い、剥き出しの左目は最も脆い箇所。
強化レンズで加工済みとはいえ、ディケイドの武器を前に安堵は抱けまい。
ディヴァインオレという未知の鉱石で出来た刃は、数多の怪人を斬り伏せて来た実績を持つ。
直撃を避ける為の装備は既に右手にある。
刃には刃だ、クローが刀身部分を防ぎ押し返す。
「一々防ぐなよウザったい!」
ライドブッカーの大振りながら素早い一撃に、クローを叩き付ける。
あらぬ方へと右腕諸共弾くつもりだったが、思いの外手元へ戻す動きは俊敏だ。
言動に苛立ちを滲ませながらもディケイドは的確に急所を狙い、切っ先が次々襲い来る。
狙いの正確性なら魔進チェイサーも負けてはいない、ファングスパイディーが刀身を叩き防御。
時には空いた左手で拳を放つも、敵ももう片方の手で防いだ。
あらぬ方へと右腕諸共弾くつもりだったが、思いの外手元へ戻す動きは俊敏だ。
言動に苛立ちを滲ませながらもディケイドは的確に急所を狙い、切っ先が次々襲い来る。
狙いの正確性なら魔進チェイサーも負けてはいない、ファングスパイディーが刀身を叩き防御。
時には空いた左手で拳を放つも、敵ももう片方の手で防いだ。
(重い、だが剣の扱いに慣れた動きではないな)
防ぎ、弾き、鍔迫り合いを繰り返し。
絶え間ない攻防の最中にあっても、魔進チェイサーは敵の力量を冷静に見極める。
ナーゴの演奏の影響は互いに受けており、動きの精細さで言えば間違いなくこちらが上。
しかし打撃の威力や基本的な身体スペックに関しては、恐らく敵が勝るだろうと確信を抱く。
武器を叩きつけ合う毎に感じる重みは気のせいじゃない。
先生に与えられたライダーシステムの詳細は分からずとも、基本性能は自分以上だろう。
絶え間ない攻防の最中にあっても、魔進チェイサーは敵の力量を冷静に見極める。
ナーゴの演奏の影響は互いに受けており、動きの精細さで言えば間違いなくこちらが上。
しかし打撃の威力や基本的な身体スペックに関しては、恐らく敵が勝るだろうと確信を抱く。
武器を叩きつけ合う毎に感じる重みは気のせいじゃない。
先生に与えられたライダーシステムの詳細は分からずとも、基本性能は自分以上だろう。
スーパーショッカーとの決着後も門矢士は旅を続け、更に多くのライダー世界を通りすがった。
時には地下帝国BADANの野望を挫き、時には仮面ライダー1号らと争う羽目になり、時には後にレジェンドの名を冠する少年の危機に駆け付けた。
旅路を経てアップデートされたベルトこそ、先生が持つネオディケイドライバー。
ライダーへ変身するカードの力こそ失われているが、基礎能力は嘗てのライダー大戦時より大幅に強化されている。
数値上の強さだけで言えば、変身者が違えどディケイドの方が魔進チェイサーより上だ。
時には地下帝国BADANの野望を挫き、時には仮面ライダー1号らと争う羽目になり、時には後にレジェンドの名を冠する少年の危機に駆け付けた。
旅路を経てアップデートされたベルトこそ、先生が持つネオディケイドライバー。
ライダーへ変身するカードの力こそ失われているが、基礎能力は嘗てのライダー大戦時より大幅に強化されている。
数値上の強さだけで言えば、変身者が違えどディケイドの方が魔進チェイサーより上だ。
尤も、スペック差など勝負を左右する内のほんの一つに過ぎない。
それを証明するかの如く、ライドブッカーの猛攻をすり抜け胸部装甲をクローが突く。
火花を散らし短い悲鳴を上げるも、攻撃の勢いは緩めない。
魔進チェイサーの蹴りが飛び、脚部アーマーが脇腹へヒット。
一方的な殴打はディケイドから冷静さを更に奪い、剣を振るう動きにも支障が生じる。
武器を握るのが初めてではないだろうが、剣術に優れたとも言えない。
であればやりようは幾らでもある、龍騎の時と同じくクローで刀身を挟み込む。
武器を手放し後退を選ぼうとするも、一瞬の躊躇が敵に表れた。
あくまでカードで召喚しただけの龍騎と違い、ライドブッカーはカード収納も兼ね備えたディケイドに必要不可欠の武器。
自ら戦闘を不利にする訳にはいかないとの迷いが隙を生む。
掴んだチャンスは見逃さない、ブレイクガンナーの銃口を押し込む。
それを証明するかの如く、ライドブッカーの猛攻をすり抜け胸部装甲をクローが突く。
火花を散らし短い悲鳴を上げるも、攻撃の勢いは緩めない。
魔進チェイサーの蹴りが飛び、脚部アーマーが脇腹へヒット。
一方的な殴打はディケイドから冷静さを更に奪い、剣を振るう動きにも支障が生じる。
武器を握るのが初めてではないだろうが、剣術に優れたとも言えない。
であればやりようは幾らでもある、龍騎の時と同じくクローで刀身を挟み込む。
武器を手放し後退を選ぼうとするも、一瞬の躊躇が敵に表れた。
あくまでカードで召喚しただけの龍騎と違い、ライドブッカーはカード収納も兼ね備えたディケイドに必要不可欠の武器。
自ら戦闘を不利にする訳にはいかないとの迷いが隙を生む。
掴んだチャンスは見逃さない、ブレイクガンナーの銃口を押し込む。
『EXECUTION SPIDER』
背部コネクターから供給されるエネルギーが増大し、ファングスパイディーの先端へ収束。
敵が仮面の下で顔色を変えたと雰囲気で察するが、今更遅い。
豪快に振るったのと同じタイミングで、ディケイドも回避へ動く。
僅かに直撃こそ免れても発せられるエネルギー量は少なくない、マゼンタ色の装甲部から火花が散った。
敵が仮面の下で顔色を変えたと雰囲気で察するが、今更遅い。
豪快に振るったのと同じタイミングで、ディケイドも回避へ動く。
僅かに直撃こそ免れても発せられるエネルギー量は少なくない、マゼンタ色の装甲部から火花が散った。
「チィッ…!ふざけるなよ…!」
殺気立った視線を緑のレンズ越しにぶつけられて尚、魔進チェイサーに反応を見せる素振りは無い。
ナーゴの演奏は効果覿面、このまま一気に畳みかけるのも難しくない。
反撃の機会はくれてやらない、斬り掛かるべく距離を詰めようとし、
ナーゴの演奏は効果覿面、このまま一気に畳みかけるのも難しくない。
反撃の機会はくれてやらない、斬り掛かるべく距離を詰めようとし、
「…っ!?この反応は……」
アッシュフォード学園内に生体反応を捉えた。
よもや騒ぎを聞きつけた他の参加者かと思うも、それにしては何かおかしい。
生物なのには違いないが、出会った参加者の反応とは別物。
何が起こっているという魔進チェイサーの疑問は、現れた者を見て即座に解決。
こちらへ駆けて来るのはどう見ても参加者では無かった。
よもや騒ぎを聞きつけた他の参加者かと思うも、それにしては何かおかしい。
生物なのには違いないが、出会った参加者の反応とは別物。
何が起こっているという魔進チェイサーの疑問は、現れた者を見て即座に解決。
こちらへ駆けて来るのはどう見ても参加者では無かった。
衣服こそ着ているが頭部は人間と別物。
食虫植物のウツボカズラに似た頭部、右肩には青々とした蔓を巻きつけた異形。
斧を持ち振り回す腕のどこにも、参加者共通のレジスターが見当たらない。
それも当然、この異形の名は頭領ジャマト。
元々はデザイアグランプリの宝探しゲームで出現した個体。
殺し合いでは数あるNPCの一体として、主催者の手で用意されていた。
食虫植物のウツボカズラに似た頭部、右肩には青々とした蔓を巻きつけた異形。
斧を持ち振り回す腕のどこにも、参加者共通のレジスターが見当たらない。
それも当然、この異形の名は頭領ジャマト。
元々はデザイアグランプリの宝探しゲームで出現した個体。
殺し合いでは数あるNPCの一体として、主催者の手で用意されていた。
「きゃあっ!?」
頭領ジャマトが真っ先に狙ったのはナーゴ。
無防備な背中へ斧を振り下ろし、強制的に演奏を中断。
唐突に走った痛みへ悲鳴を上げ地面に倒れ込み、顔を上げようやっとNPCに気付いた。
無防備な背中へ斧を振り下ろし、強制的に演奏を中断。
唐突に走った痛みへ悲鳴を上げ地面に倒れ込み、顔を上げようやっとNPCに気付いた。
ビートフォームのナーゴには自身の演奏を響かせる為に、補助機能も複数搭載済み。
内の一つが肩部のスピーカーであり、これは周囲の騒音を打ち消す効果を持つ。
龍騎との戦闘で浅倉が苛立ち混じりの咆哮を上げた時も、この装置で楽曲の質低下を防いだ。
しかし今回は頭領ジャマトの足音も、警戒を促した魔進チェイサーの声も消してしまった。
その為接近に気付かず斬られる羽目になったのである。
内の一つが肩部のスピーカーであり、これは周囲の騒音を打ち消す効果を持つ。
龍騎との戦闘で浅倉が苛立ち混じりの咆哮を上げた時も、この装置で楽曲の質低下を防いだ。
しかし今回は頭領ジャマトの足音も、警戒を促した魔進チェイサーの声も消してしまった。
その為接近に気付かず斬られる羽目になったのである。
「だ、誰で…ひゃあっ!?」
ナーゴの言葉に聞く耳持たずで斧を振り下ろす。
殺し合いで頭領ジャマトに与えられた命令は、参加者を見つけ次第襲うことのみ。
ジャマーガーデンの管理者アルキメデルや、ジャマトの遺伝子を取り込んだ五十鈴大智ならともかく。
れっきとした人間であり、そもそもジャマトの存在自体を知らなかった果穂の言葉が届く筈もない。
咄嗟にビートアックスで防いだが、頭領ジャマトは戦闘力の高い個体。
両腕へ圧し掛かる重さに、自然と苦し気な声が漏れる。
殺し合いで頭領ジャマトに与えられた命令は、参加者を見つけ次第襲うことのみ。
ジャマーガーデンの管理者アルキメデルや、ジャマトの遺伝子を取り込んだ五十鈴大智ならともかく。
れっきとした人間であり、そもそもジャマトの存在自体を知らなかった果穂の言葉が届く筈もない。
咄嗟にビートアックスで防いだが、頭領ジャマトは戦闘力の高い個体。
両腕へ圧し掛かる重さに、自然と苦し気な声が漏れる。
「果穂……!」
守ると決めた少女の危機に、駆け付けないようでは人間の守護者失格だ。
急ぎ頭領ジャマトを退けようとするも、眼前へ立ちはだかるはマゼンタ色の装甲。
行かせはしまいと振るわれた剣を防いだ魔進チェイサーへ、弾むような声が掛かった。
急ぎ頭領ジャマトを退けようとするも、眼前へ立ちはだかるはマゼンタ色の装甲。
行かせはしまいと振るわれた剣を防いだ魔進チェイサーへ、弾むような声が掛かった。
「勝手に一抜けなんてよしてくれ。君の遊び相手は私だろう?向こうは向こうで遊ばせれば良いじゃないか。無事かどうかは保障できないけどねぇ?」
「貴様…退け!」
「貴様…退け!」
ニヤニヤと笑う様が仮面越しでも分かる、嘲りを籠めた言葉。
先程まで魔進チェイサーの猛攻を受け、頭を沸騰させていたとは思えない余裕の表れがあった。
ナーゴの演奏が止まった影響で、本来の冷静さを取り戻したのだろう。
ついでに今の今まで自身が不利に陥った原因が、あの耳障りな音にあったと理解。
なれば降って湧いた好機を活かさない手はない、今度はこっちの番だ。
先程まで魔進チェイサーの猛攻を受け、頭を沸騰させていたとは思えない余裕の表れがあった。
ナーゴの演奏が止まった影響で、本来の冷静さを取り戻したのだろう。
ついでに今の今まで自身が不利に陥った原因が、あの耳障りな音にあったと理解。
なれば降って湧いた好機を活かさない手はない、今度はこっちの番だ。
『ATTACK RIDE ILLUSION!』
電子音声が告げるは、散々好き勝手やった礼をしてやる合図。
ディケイドの姿が一瞬ブレたかと思えば、複数に増えた。
目の錯覚では無い、これもまたディケイドライバーが解放したカードの力。
アタックライド・イリュージョン。
耐久性以外は本体と同スペックの分身を生み出す、ディケイドが持つカードの中でも高性能な一枚。
4体の分身が出現し、一斉に魔進チェイサーを睨んだ。
ディケイドの姿が一瞬ブレたかと思えば、複数に増えた。
目の錯覚では無い、これもまたディケイドライバーが解放したカードの力。
アタックライド・イリュージョン。
耐久性以外は本体と同スペックの分身を生み出す、ディケイドが持つカードの中でも高性能な一枚。
4体の分身が出現し、一斉に魔進チェイサーを睨んだ。
魔進チェイサーを仲間の救助には向かわせない。
本体も含めた5人のディケイドがそれぞれ武器を構え、標的を取り囲む。
優勢を保っていた筈が、圧倒的に不利な状況へと早変わり。
感情の無い機械であっても、不味い事になったのは分かる。
破壊者達に手心等最初から期待していない、無意識の内にブレイクガンナーを握る手が強張った。
本体も含めた5人のディケイドがそれぞれ武器を構え、標的を取り囲む。
優勢を保っていた筈が、圧倒的に不利な状況へと早変わり。
感情の無い機械であっても、不味い事になったのは分かる。
破壊者達に手心等最初から期待していない、無意識の内にブレイクガンナーを握る手が強張った。
「さぁて、獲物は獲物らしく無様に踊れ!」
まず動いたのは本体と分身2体。
ライドブッカーの刀身を見せ付けるように撫で、魔進チェイサーへと疾走。
剣の間合いに閉じ込め一人が斬り掛かる。
バイラルコアの武装を装着したままなのは幸いだ、前方に翳し防ぐ。
敵が一人だけならこのまま剣戟に持ち込めるが、分身はただのお飾りではない。
左から横薙ぎに剣が振るわれ、右からは切っ先が真っ直ぐに突き進む。
得物が幅広なのを活用し片方を防御、もう片方はどうにか身を捩って躱す。
ノーダメージで済んだと一息つく余裕は無い、敵は全員休まず斬り付けて来るのだから。
ライドブッカーの刀身を見せ付けるように撫で、魔進チェイサーへと疾走。
剣の間合いに閉じ込め一人が斬り掛かる。
バイラルコアの武装を装着したままなのは幸いだ、前方に翳し防ぐ。
敵が一人だけならこのまま剣戟に持ち込めるが、分身はただのお飾りではない。
左から横薙ぎに剣が振るわれ、右からは切っ先が真っ直ぐに突き進む。
得物が幅広なのを活用し片方を防御、もう片方はどうにか身を捩って躱す。
ノーダメージで済んだと一息つく余裕は無い、敵は全員休まず斬り付けて来るのだから。
視覚センサーが三方向からの攻撃を全て察知。
後は対処するのみだが、ナーゴの演奏が止まりディケイドの動作は先程よりも無駄が無い。
されど多対一の状況はこれが初めてでもないのだ。
額部分の複合モジュールが最適解の戦闘パターンを提案し、逆らわずに実行。
ファングスパイディーと腕部アーマーで斬撃を防ぎながら、どうにか包囲を突破する機会を窺う。
後は対処するのみだが、ナーゴの演奏が止まりディケイドの動作は先程よりも無駄が無い。
されど多対一の状況はこれが初めてでもないのだ。
額部分の複合モジュールが最適解の戦闘パターンを提案し、逆らわずに実行。
ファングスパイディーと腕部アーマーで斬撃を防ぎながら、どうにか包囲を突破する機会を窺う。
「良いのかい?目の前の私達にだけ気を取られて」
惑わす為の戯言、ではない。
接近戦を仕掛けたのは3体、残る2体も見物に徹するつもりは皆無。
共に武器をガンモードに変え、魔進チェイサーへと光弾を浴びせる。
ディケイドの機能を用いれば誤射を防ぐのは容易い、銃口が吐き出した殺意は一発残らず標的へ命中。
右腕の武装を盾に使い防ぐも、他のディケイドがそれを許さない。
死角へ移動しライドブッカーを振り下ろされれば、対処が間に合わず遂に一撃をもらった。
接近戦を仕掛けたのは3体、残る2体も見物に徹するつもりは皆無。
共に武器をガンモードに変え、魔進チェイサーへと光弾を浴びせる。
ディケイドの機能を用いれば誤射を防ぐのは容易い、銃口が吐き出した殺意は一発残らず標的へ命中。
右腕の武装を盾に使い防ぐも、他のディケイドがそれを許さない。
死角へ移動しライドブッカーを振り下ろされれば、対処が間に合わず遂に一撃をもらった。
『ATTACK RIDE SLASH!』
『ATTACK RIDE SLASH!』
体勢が崩れたこのタイミングこそ、総攻撃のまたとないチャンス。
2体共に同名のカードをドライバーに装填、刀身に次元エネルギーが付与されたのを感じ取り振るう。
複数の刀身が現れマシンボディを走り、視界を大量の火花で埋める。
斬撃強化を施した双剣に怯むもまだ終わりではない、本体のディケイドが蹴りを放った。
2体共に同名のカードをドライバーに装填、刀身に次元エネルギーが付与されたのを感じ取り振るう。
複数の刀身が現れマシンボディを走り、視界を大量の火花で埋める。
斬撃強化を施した双剣に怯むもまだ終わりではない、本体のディケイドが蹴りを放った。
「ぐっ…!」
靴底が腹部を叩き、地面へ背中から倒れる。
ダメージを知らせる音声よりも、魔進チェイサーを焦らせるのはナーゴの安否だ。
今も頭領ジャマト相手に単独での戦闘を強いられており、視界に映る様子からも苦戦している様子。
ディケイドの相手を長々と続けている場合じゃない、一刻も早く包囲を突破せねば。
コアドライビアの出力を上げ重加速を発生、周囲一帯がロイミュードの支配下に置かれる。
スローモーションのような鈍重な動作しか出来ない今なら、ディケイドだろうと手も足も出ない。
ダメージを知らせる音声よりも、魔進チェイサーを焦らせるのはナーゴの安否だ。
今も頭領ジャマト相手に単独での戦闘を強いられており、視界に映る様子からも苦戦している様子。
ディケイドの相手を長々と続けている場合じゃない、一刻も早く包囲を突破せねば。
コアドライビアの出力を上げ重加速を発生、周囲一帯がロイミュードの支配下に置かれる。
スローモーションのような鈍重な動作しか出来ない今なら、ディケイドだろうと手も足も出ない。
『ATTACK RIDE BLAST!』
『ATTACK RIDE BLAST!』
「なんだと…!?」
だというのに、一体何が起こっているのか。
鈍重どころかこれまでと全く変わらない動きでカードを装填し、銃口を向けて来た。
銃撃強化により通常時以上の弾がばら撒かれ、咄嗟に腕を翳すも何発かは被弾。
更には残りのディケイドも斬り掛かり、斬撃の嵐を己が身一つで味合わされる。
三本同時に急所へ突きを見舞うが、そういつまでも斬られ続けるのは御免だ。
チェイサーバイラルコアを二つ放ると、宙を駆けながら刀身を弾き返す。
鈍重どころかこれまでと全く変わらない動きでカードを装填し、銃口を向けて来た。
銃撃強化により通常時以上の弾がばら撒かれ、咄嗟に腕を翳すも何発かは被弾。
更には残りのディケイドも斬り掛かり、斬撃の嵐を己が身一つで味合わされる。
三本同時に急所へ突きを見舞うが、そういつまでも斬られ続けるのは御免だ。
チェイサーバイラルコアを二つ放ると、宙を駆けながら刀身を弾き返す。
「向こうを頼む…」
シフトカーやシグナルバイク同様、変身者の命令に従うようインプットされている。
魔進チェイサーの指示通り、ディケイドの間を猛スピードで走り抜けナーゴの元へ向かう。
急場しのぎだが彼女へ援護は送れた。
魔進チェイサーの指示通り、ディケイドの間を猛スピードで走り抜けナーゴの元へ向かう。
急場しのぎだが彼女へ援護は送れた。
(どういうことだ…?何故重加速の中で動ける……?)
疑問は尤もだ。
重加速の中で動けるのはコアドライビアを持つ者のみ。
ロイミュードやドライブシステムの仮面ライダーではない相手が、自由に動き回れるのは有り得ない。
発生装置に不調は無い、では一体どうして。
重加速の中で動けるのはコアドライビアを持つ者のみ。
ロイミュードやドライブシステムの仮面ライダーではない相手が、自由に動き回れるのは有り得ない。
発生装置に不調は無い、では一体どうして。
訳を述べるならば、それは此度の敵がディケイドだからで説明が付く。
何故ディケイドが世界の破壊者と呼ばれるのか、理由の一つにその世界の法則を破壊するからというものがある。
カードデッキ所持者以外は通れないミラーワールドへの侵入、不死の生物アンデットを封印では無く爆殺する等々。
嘗て士が複数の世界を通りすがった時と同じ現象が、殺し合いでも起きた。
コアドライビアを持つ者しか重加速の中で動けないという、謂わば「ドライブの世界の法則」を破壊したのだ。
何故ディケイドが世界の破壊者と呼ばれるのか、理由の一つにその世界の法則を破壊するからというものがある。
カードデッキ所持者以外は通れないミラーワールドへの侵入、不死の生物アンデットを封印では無く爆殺する等々。
嘗て士が複数の世界を通りすがった時と同じ現象が、殺し合いでも起きた。
コアドライビアを持つ者しか重加速の中で動けないという、謂わば「ドライブの世界の法則」を破壊したのだ。
「何だか知らないけど残念だったね。やっぱり幸運の女神は君のようなガラクタではなく、私みたいなキヴォトスの選ばれた者に微笑むってことさ!」
『FINAL ATTACK RIDE DE・DE・DE DECADE!』
本来の変身者ではない為、ディケイドが持つ破壊の力を詳しくは知りようがない。
ただ敵が何らかの小細工をしたが失敗に終わったのは分かる。
無駄な抵抗に過ぎなかったと笑い、より高威力の技を引き出すカードを選択。
銃口と標的との間に、カード状のエネルギーが道のように複数出現。
対抗すべく魔進チェイサーも得物の銃口を押し込む。
ただ敵が何らかの小細工をしたが失敗に終わったのは分かる。
無駄な抵抗に過ぎなかったと笑い、より高威力の技を引き出すカードを選択。
銃口と標的との間に、カード状のエネルギーが道のように複数出現。
対抗すべく魔進チェイサーも得物の銃口を押し込む。
『EXECUTION SPIDER』
先端部部にエネルギーを収束し、光弾に変えて発射。
ディケイドも引き金を引き、ライドブッカーから放たれた弾が道を通過して行く。
一枚通り抜ける度に変化が起こり、遂には極太のレーザーと化し光弾と衝突。
どちらも一般怪人なら複数体纏めて葬る威力だ、互いを飲み込み、食い千切りながら消滅。
飛び散ったエネルギーの残骸が双方を襲うも、ディケイドはライドブッカーを撃った時点で既に分身を動かしていた。
ディケイドも引き金を引き、ライドブッカーから放たれた弾が道を通過して行く。
一枚通り抜ける度に変化が起こり、遂には極太のレーザーと化し光弾と衝突。
どちらも一般怪人なら複数体纏めて葬る威力だ、互いを飲み込み、食い千切りながら消滅。
飛び散ったエネルギーの残骸が双方を襲うも、ディケイドはライドブッカーを撃った時点で既に分身を動かしていた。
背後から急接近する気配を察知し回避、だが援護射撃に出た分身がそれを妨害。
光弾が殺到し強引に動きを止められ、すかさず残る全員が剣を振り下ろす。
一撃二撃と食らう度に動きは鈍り、ディケイドの猛攻に為す術なく斬られ続ける。
不可視のシールド発生装置がダメージを最小限に抑え、更にメカ救急箱で施した処置の効果が継続中なのが幸いした。
大きな損傷こそ逃れてはいる、しかし長続きはしない。
光弾が殺到し強引に動きを止められ、すかさず残る全員が剣を振り下ろす。
一撃二撃と食らう度に動きは鈍り、ディケイドの猛攻に為す術なく斬られ続ける。
不可視のシールド発生装置がダメージを最小限に抑え、更にメカ救急箱で施した処置の効果が継続中なのが幸いした。
大きな損傷こそ逃れてはいる、しかし長続きはしない。
「ぐぁ……」
「思ったよりも頑丈だね、君は。生徒達へのプレゼントで持ち帰るのも良いかもね。壊れにくい的なら、皆大喜びで蜂の巣にしてくれるだろうからさぁ!」
「思ったよりも頑丈だね、君は。生徒達へのプレゼントで持ち帰るのも良いかもね。壊れにくい的なら、皆大喜びで蜂の巣にしてくれるだろうからさぁ!」
膝を付いた魔進チェイサーの首へ、複数本の剣が添えられた。
敗者と勝者の分かり易い構図を生み出し、ディケイドは機嫌良く口を開く。
敗者と勝者の分かり易い構図を生み出し、ディケイドは機嫌良く口を開く。
「君はアレだよね、確か…ロイミュードだかっていう人間じゃないやつでしょ?」
「っ!?何故、それを知っている…」
「っ!?何故、それを知っている…」
生徒会室での情報交換で自分の正体は明かしていない。
殺し合いに自分の知る者は参加しておらず、唯一正体を明かした果穂もロイミュードのことは先生に言っていない。
なのに一体どこからその情報を手に入れたのか。
殺し合いに自分の知る者は参加しておらず、唯一正体を明かした果穂もロイミュードのことは先生に言っていない。
なのに一体どこからその情報を手に入れたのか。
「さあ?そんなことよりさ、わざわざ自分の同族でもない人間を守るだなんて、君も良くやるよ」
仮面で顔こそ見えないが、声色から決して労りの類が含まれていないのは明らか。
単に殺すだけでは飽き足らない。
一度は劣勢に追い込まれた事への意趣返しもあるのか、言葉で揺さぶりを掛けてからトドメを刺す気か。
単に殺すだけでは飽き足らない。
一度は劣勢に追い込まれた事への意趣返しもあるのか、言葉で揺さぶりを掛けてからトドメを刺す気か。
「向こうにいるあのガキ、随分君に懐いてるみたいだね。いやいや、仲が良くて私も羨ましいよ。いつまで続くかも分からないのに、さ」
「…何が言いたい」
「惚けるなよ、君だって分かるだろ?どれだけ正義の味方っぽく振舞ったって君は所詮化け物。人間との仲良しごっこにも限界がある」
「…何が言いたい」
「惚けるなよ、君だって分かるだろ?どれだけ正義の味方っぽく振舞ったって君は所詮化け物。人間との仲良しごっこにも限界がある」
嘲り交じりで遠回しに告げているが、理解できない話でもない。
特状課のメンバーのようにロイミュードを受け入れる者はいても、人間全てがそうではない。
むしろ恐怖と嫌悪を向ける方が一般的だろう。
特状課のメンバーのようにロイミュードを受け入れる者はいても、人間全てがそうではない。
むしろ恐怖と嫌悪を向ける方が一般的だろう。
グローバルフリーズに始まり、ロイミュードが人間社会に与えた被害は少なくない。
中には人間との間に友情を築いた個体も存在はした。
だが人類全体がロイミュードに抱く感情は、正より負の方が勝る。
チェイスのみならず、他のロイミュード達だって同じ結論に至る筈。
中には人間との間に友情を築いた個体も存在はした。
だが人類全体がロイミュードに抱く感情は、正より負の方が勝る。
チェイスのみならず、他のロイミュード達だって同じ結論に至る筈。
人間を守るという自分の使命を失くしてはいない。
しかし守った人間が自分を常に、仮面ライダーという正義の使者と見てくれるとは限らない。
感謝されず、それどころかお前も同じロイミュードだろうと拒絶するのも有り得る。
仮面ライダーであっても、進ノ介や剛と違い人では無いのだから。
しかし守った人間が自分を常に、仮面ライダーという正義の使者と見てくれるとは限らない。
感謝されず、それどころかお前も同じロイミュードだろうと拒絶するのも有り得る。
仮面ライダーであっても、進ノ介や剛と違い人では無いのだから。
「あのガキだってその内君に怯えて、化け物だなんだと言い出すかもしれない。私はそれを憂いているよ」
「……」
「馬鹿らしくなるだろう?でもそれが人間だ。同じ人間同士でも平気で殺し合うくらいだ、そもそも人じゃない奴なんて存在自体認めちゃくれないさ」
「……」
「馬鹿らしくなるだろう?でもそれが人間だ。同じ人間同士でも平気で殺し合うくらいだ、そもそも人じゃない奴なんて存在自体認めちゃくれないさ」
己の言葉こそが真理だとでも言いた気に、ハッキリと告げる。
相手が口を噤むのは、痛い所を突かれたからだろう。
破壊者の仮面の下で醜悪な笑みを浮かべ、
相手が口を噤むのは、痛い所を突かれたからだろう。
破壊者の仮面の下で醜悪な笑みを浮かべ、
「それがどうした」
望んだのとは全く異なる答えを返された。
025:閑話F:魔女狩りクエスト/神殺しゲーム | 投下順 | 026:Double-Action Full throttle |
023:Stellar Stream/PHOENIX | 時系列順 | |
候補作098:彼女が戦う理由とはなにか | 小宮果穂 | |
チェイス | ||
候補作150:おのれ■■■■■ | エンヴィー |