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  • 真贋バトルロワイヤル
  • 波瀾Ⅴ:Battle of Omega

真贋バトルロワイヤル

波瀾Ⅴ:Battle of Omega

最終更新:2025年02月22日 00:01

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だれでも歓迎! 編集
◆


「―――――お前ぇええええええええええええええええええええええええっ!!!!!」

それを見た時、薫を突き動かしたのはヒーローとは程遠い衝動。
怒り、いや憎しみだ。
可奈美が死んだ、目の前で殺された。
腕を奪われ、命を奪われ、なのに自分は一体何をしていた。
痛みに呻き藻掻く以外に何もやれなかった数分前の己を、気が済むまで殴り付けてやりたい。
爆発する感情は薫の中にあった躊躇を取り払い、マークツヴォルフの機動鍵を使用。
芳佳にも降り掛かったリスクを知っている為使えずにいたが、もう関係無い。
重装甲とは裏腹の機動力で突進、振り被った大剣を叩き付けてやる。
生身の時よりも遥かに上がったパワーを乗せた一撃に、命が無事でいられる保障は無い。
構うものかと憤怒に支配されるがまま鉄塊を振るった。

「ゴミを踏み潰しただけだろう、喚くな鬱陶しい」

薫の激情をそよ風同然にさらりと受け流し、空いた手を翳す。
それで防いでいるつもりか、手諸共潰してやろうと大剣が迫る。
が、ほんの数ミリ手前で止まりそれ以上進めない。
どれだけ踏ん張っても掌に切り傷一つ付けられず、見えない壁に邪魔されているようだった。

軽く押し返す動作をすると、纏った装甲が火花を吹き背中から倒れる。
入れ替わりに仕掛けたのはアンクだ。
正体不明の攻撃をされる前に拳を突き出すも、薫同様ギラに触れることなく動きを止められた。

「貴様もか。あのゴミにそこまで入れ込んでいたのか?」
「そんな訳あるか…!勝手に殺したお前が気に食わないだけだ…!」

強気な言葉とは裏腹に爪の先すら届かない。
押し返され薫の横に転がると、共に痛みを噛み殺して立ち上がろうと藻掻く。
それを見て何もしないギラではない、翳した手はそのままに無駄な抵抗を封じる。

「ぎっ…!?」
「がああああああっ…!」

頭上から不可視の力が降り注ぎ、這い蹲った体勢を強制的に維持させられた。
力場の形成による防御や攻撃、これは正しい歴史を歩んだギラ・ハスティーには無かった能力。
前宇蟲王ダグデド・ドゥジャルダンの持つ力の一つだ。
但し、正史とは全く異なる方法で王になったこのギラは違う。
ダグデドに創られた生命が、幼少時にゴッドクワガタのシュゴッドソウルを大量摂取し一気に覚醒を果たした存在。
肉体に宿るダグデドの力が活性化され、結果同じ能力を使えるに至ったのである。

埃でも払う仕草で手を振れば、二人共にうつ伏せのまま後方へ引き摺られた。
体が地面と擦れ合う度にガリガリと削られ、装甲と肉体に両方にダメージがいく。
どうにか抜け出そうと試みるも無駄だ、頭上から掛かる重圧が増し呻き声すら出せない。
プレスされるのは時間の問題、だがそうなる前に響いた銃声が二人を救った。

(可奈美…クソッ…!)

動かなくなった少女を視界に入れ、リュージは思わず奥歯を噛み締める。
数時間前に会ったばかりの相手の死に大きな悲しみは、正直言って抱けない。
付き合いの長さで言ったらまだサンセットレーベンズの方が上、クランだって仮に過ぎなかった。
だからといって、何一つ感じるものが無い程冷徹な人間では無い。
弟を殺した外道とは趣味嗜好が違うだけで、リュージから見ればギラもまた生かすべきではない男。
ささくれ立つ心のままにトリガーを引き続け、蜂の巣にせんと銃弾が群れを成して襲う。
だが殺意が本物だろうとギラを殺せるとは限らない。
チラと横目で見ただけですぐに興味も失せたのか、薫達の方へ戻し剣を振り回す。
我先にと威勢よく突き進んだ弾丸は、一発残らず剣の餌食となった。
だったらと武器をボルトスロワーに持ち替え、爆弾付きの鉄矢を発射。
プラーガに寄生された生物兵器にも、有効なダメージを与える威力だ。

力場を発生させる手を雑に払うと、薫達も不可視の手で殴り飛ばされた。
ようやっとリュージの方へ視線を向け、己を射抜く矢を目視。
命中の寸前で二本指を用い挟み阻止、紙飛行機を投げる気安さでリュージへ投げ返す。
慌てて避けるもこれは爆破機能付きの矢だ。
爆風に吹き飛び地面を転がったリュージを冷めた目で見下ろし、瞬間己の身に異変を感じた。

四肢と胴の体温が急激に下がり動きを封じられる。
凍結を使った拘束が誰の仕業かは分かり切っており、またもや無意味な真似に出たらしい。
しかし今回は己を縛り付ける力が幾分か増している上に、全身が凍り付くスピードも速くなっていた。
ジ・アイスを解禁しても効果は薄い、だから令呪を使って出力を元の世界での時並に引き上げたのだ。
ナイトメアフレームですら凍り付かせる事が可能なギアスで動きを止め、反対にこちらが攻める番。
ドライバーを操作するジオウに並び、魔進チェイサーも銃口を押し込む。

『FINISH TIME』

『TIME BREAK!』

『EXECUTION BAT』

ライドウォッチとチェイサーバイラルコア、それぞれからエネルギーを流し込み必殺の技を発動。
『キック』の三文字が複数出現しギラを包囲、拘束をより強める。
長くは止められないと双方承知の上だ、抜け出される前に倒すべく跳躍。
エネルギーを収束させた靴底と飛行ユニットで加速させた蹴り。
仮面ライダーとアナザーライダーを打ち破った力を前に、王は藻掻きもせず見据える。

「本気を出してこの程度とは、どこまでいっても児戯に過ぎんな」

己を倒すには程遠いと分かっているなら、焦る必要がどこにある。
ギラの背後が水面のように揺らめき、十数本の光剣が顔を出す。
どこか紙飛行機に似た形状の宇蟲剣・ブラッドフォークの生成と射出。
ダグデドが使った能力の一つで迎撃に出た。

馬鹿正直に突っ込んで来るならむしろ好都合。
自ら罠にかかったも同然、ブラッドフォークの一斉射出で全身を痛め付ける。
何本かは蹴り砕くが数は圧倒的にギラが勝る、瞬く間に勢いは落ち空中で狙い撃ちだ。
拘束を抜け出した頃にはどちらも地面を転がっており、ジオウに至っては変身解除される始末。
苦し気に顔を歪め落ちたドライバーに伸ばした右手目掛け、黄金の切っ先が突き刺さった。

「がぁ…っ!」
「どこかで見た顔だと思ったが…ルルーシュとかいうクズか。俺を差し置いて王を名乗るとは度し難いぞ貴様」

剣を動かす度に貫かれた傷口が広がり、焼ける痛みが襲う。
どうやらこの男もテレビ局からの放送は確認していたらしい。
我が兄ながら本当に面倒な真似をしてくれたなと、苦笑いを浮かべ見上げる。

「生憎だが…彼とは別人だよ…向こうと違って偽りの王、と言うのなら合っているがな……」
「笑わせてくれる。俺以外の王など等しく偽りに過ぎん。生きた全て、取り巻く一切合切が俺に踏み潰されるだけの塵でしかない」

軽く片手を上げ、新たに数十本のブラッドフォークを生成。
指を鳴らしたのを合図に、みっともなく足掻く者達へと放たれる。
息も絶え絶えに得物を振るう薫や、悪態を吐きながら火球を撃ち出すアンク。
狙われたのは他にもいる、離れた位置へ千佳達を運んだナーゴにもだ。

『METAL THUNDER』

『TACTICAL THUNDER』

ビートアックスを操作しエレメンタルを付与。
掻き鳴らされた音は雷撃に代わり宇蟲剣を打ち砕く。
ブーストレイズバックルを使用中なのもあり、高威力・広範囲の雷が降り注ぐ。
しかしギラの力はビートフォームを上回る脅威。
防がれた分以上の数を瞬時に射出し、ナーゴへと光剣の雨を降らせた。

「うぅ…!」
「果穂ちゃん…!」
「大丈夫、です…!千佳ちゃんは、隠れていてください…!」

はるかと共に匿われていた千佳だが、果穂の悲鳴に堪らず飛び出そうとする。
呪文を使って助けるつもりの彼女を制し、ナーゴはふらつく体をどうにか支えた。
戦闘時での援護に加え、はるかの傷を癒す為に繰り返し呪文を唱え千佳の体力は大幅に削られている。
これ以上は彼女の体が危険、無理はさせられない。
果穂自身もまた軽くない苦痛に苛まれながらも、決して倒れまいと踏ん張った。

「何度足掻こうと無駄だ。口で言っても分からぬゴミには、これが相応しいだろう」

指を鳴らし生成された宇蟲剣は先の数倍。
地上で蠢く蟻を徹底的に捻じ伏せる、悪夢の如き豪雨を降らせる。
這い蹲った偽りの魔王とて死からは逃れられない。
玩具を使って奇怪な鎧を纏わせる暇など与えるものか、首元へ剣を添えた。
ゴミの分際で王を名乗った恥知らずに、相応の罰を与えるのだ。

「やめ…ろ……!」

大剣を杖にしてよろよろと立ち上がった薫の言葉を、王は聞き入れない。
有象無象の願いを叶えてやる義理は微塵も無い。
刀身を罪人達の血で染める瞬間を、王の振るう剣が待ち侘びている。
展開された宇蟲剣の大群が、早く蟻共を食い千切らせろと涎を垂らす。

「死ね、死んで俺の為の道を開けろ」

告げられたのは慈悲の宿らぬ刑の執行。
正義や信念、譲れぬ願いではどうにもならない王の判決。
絶望の二文字が支配する場へ、とうとう幕を引く時が来た。

王が勝ち、他は全て死に絶える。
最初から決まっていた結末が――





宇蟲剣が木っ端微塵に砕かれ、覆された。





「なに……?」

初めて、ギラの顔に驚愕が浮かぶ。
自分が何かやったのではない、今更になって刑の執行を取りやめたのでは断じてない。
では一体何がと、疑問が浮かぶも答えはすぐに目の前へ現れた。

「何をしている…!」

鼓膜を震わせたのは、憤怒一色に染まった男の声。
瞳が映し出したのは、己の剣に負けず劣らずの輝きを放つ白銀。
振り被ったソレが迫り来る中、咄嗟に得物を防御に翳す。

「――――っ!」

体に傷は付けられていない、だが踏み止まれない。
刀身越しに襲った衝撃は想像以上の強さ、両足が地を離れ宙へと投げ出される。
後方へと見えない手に引っ張られている感覚、しかし無様に地面を転がるのはプライドが許さない。
瞬時に体勢を整え難なく着地。
何事も無かったように、なれど僅かな心のざわめきを意識しながら見据える。

上空を支配する宇蟲剣の大群を、剣一本で薙ぎ払った相手を。
王の判決に異を唱えた、許し難き大罪人を。

「お前は一体、何をしているんだ!!!」

青い風が吹き荒れる。
希望と言う名の嵐で以て、絶望を消し飛ばす。

誇り高きサイヤの血を引く戦士、トランクスが宇蟲王と対峙する。


◆


森を抜け市街地の上空から探索を行っていた時だ。
あるエリアの境目に差し掛かったタイミングで、尋常ならざる程に膨大で邪悪な気を感じ取ったのは。
空中で思わず動きを止め、気の主がいるだろう方を睨む。
緊張で顔を強張らせ、ゴクリと生唾を飲み込むのも当然の反応だろう。
一戦交えた神を名乗る黒い男、奴にも並ぶ程の絶大な力を放っているのだから。

(他にも何人かの気を感じるが……ダメだ、やっぱりこれ以上は上手く探れない)

大き過ぎる存在に隠れてはいるが、他にも複数人の気があった。
しかしレジスターの機能で能力を制限されてるのもあって、具体的に何人がいるかは分からない。
そもそもここまで強い気の持ち主なら、もっと遠くからでも探知出来た筈だろうに。
単純な戦闘力のみならず、こういった参加者の探索に役立つ力も元のままでは不公平と判断されたのか。
余計な事ばかりされて不快に思わないでも無いが、今考えるべきはそれじゃない。

「トランクスくん?どうかしたの?」

腕の中からぴょこりと顔を出し、小首を傾げて同行者が尋ねる。
小動物を思わせる可愛らしい仕草へ、和んでいる場合では無い。
一旦地上に降り、物陰に隠れながらしおに説明を行う。
街の離れた方に危険な参加者がいて、他にも何人かの者が恐らく戦っていると。

(どうする…?)

説明を聞き両目をパチクリさせるしおの真正面で、トランクスは考え込む。
高確率で殺し合いに乗った者が暴れており、乗っていない者が襲われているとすれば。
助けに行かないという非情な決断に出る気は無い。
だがその場合、しおをどうするかが問題だ。
事が済むまでどこかに隠れていてもらおうにも、自分が戻るまでの間にトラブルが起きないとも限らない。
善良な参加者に見付かるのならともかく、その反対だってあるだろう。
黒い男程の力を持たなくとも、しおのような幼子からすれば大抵の相手が脅威。
それならトランクスと共に戦場へ行く手もあるが、そっちも問題が無い訳では無い。
直接姿を見てはいないが、相手は黒い男と同レベルと考えて良い程の強さの持ち主。
いざ戦闘になった時、万が一しおを巻き込む事態になったら目も当てられない。
連れて行くか隠しておくか、どちらを選んでもリスクは付き纏う。

「トランクスくん」

悩む姿に察しが付いたのか、それともただ励ましたいだけなのか。
丸い瞳で真っ直ぐに見つめ口を開く。

「私は隠れて待ってるから、トランクスくんは行って大丈夫だよ」
「しおちゃん…?いやけど、それは…」

思わぬ提案に口籠る。
齢一桁の少女に気を遣われる程、自分は分かり易く顔に出していたのか。
行って良いとは言うけど、うん分かったとあっさり頷けはしない。
しおを残して本当に大丈夫かという危惧は、簡単に拭えないのだから。

決心の付かないトランクスを見て、ニッコリと笑みを浮かべる。
年上の彼が悩む様を馬鹿にしているからではない。
安心させる為の、慈愛に満ちた母のような笑みだった。

「あのね、トランクスくん本当は色んな人を助けたいのかなあって、思ったの。だからもし、ここで行かなかったら、こうかいしちゃうんじゃないかなって」
「……っ」

違う、とは言えない。
生きて来た中で助けられた者とられなかった者、多いのは圧倒的に後者だ。
戦う為の力ならあった、強くならねばと己を追い詰め鍛え続けた。
そこまでしても人造人間の暴虐には手も足も出ず、遊び半分で街が破壊されるのを見せ付けられたのは一度や二度では済まない。
ザマスの時だってそう。
やっと得られた世界の平和が呆気なく崩れ去り、またしても自分は取り零し続けた。
助けられなかった、失った痛みは今も忘れられない。
だからこそ救える命があるのなら、後々後悔を抱く真似はしたくない。

「それに、ね」

笑みから一転、眉尻を下げ不安気な表情を作る。

「向こうにさとちゃんがいるかもしれないから…助けて欲しいから…だから、おねがいします」
「っ!」

切実な想いをぶつけられ、ハッと己の判断の遅さを悔やむ。
しおの言う通りだ、彼女の探し人である松坂さとうがいる可能性はゼロじゃない。
こうして迷っている間にも、状況どんどん変わり続け手遅れになったとておかしくない。
必ずしおをさとうと再会させると約束しておきながら、何をやっているのか。
己を叱咤する言葉は幾らでも出て来るが、今やるべきはそんな事ではないだろう。

「分かったよしおちゃん。さとちゃんがいたら、絶対に君の所に連れて戻って来る」

安心させるように、自分の迷いを断ち切ってくれた礼を籠めて頭を撫でる。
民家の奥へとしおを隠し、万が一の時の為にどうするかも決めておく。
幸い自分がいない間に身を守り、尚且つ逃げる為の方法はあった。
しおの支給品の一つ、破壊神ビルスの従者のウイスが使う杖。
殺し合いの為に細工されたのか、誰でもウイスと同じ力を使えるとの旨が説明書には書かれていた。
何かあればこれを使って逃げ、自身の居場所をトランクスに通信で伝えるということで話は纏まる。

神々の道具まで奪われ利用されている事実に、主催者達の得体の知れなさが改めて圧し掛かる。
ただ深く考え込むのは後回しだ、一刻も早く向かわねばならない。
しおを置いて行くのへ迷い全部が無くなってはいないが、ここでまごついていても時間が無意味に過ぎていくだけだ。

「なるべく急いで戻って来る。けどもしもの時はすぐに杖を使って逃げるんだ」
「うん。トランクスくんも、きをつけてね」

心配してくれる彼女をもう一度撫でてやり、今も尚揺るがない気の持ち主の所へ急ぐ。
その背を見送る少女の視線は、あっという間に届かなくなった。


○


「気持ち悪いなぁ…」

トランクスが去り、民家の奥に隠れポツリと呟く。
本心から吐き捨てた声は誰の耳にも入らない。
家の中にいるしお以外に聞く者はおらず、咎められもしない。
撫でられた頭部を擦り、僅かに眉を顰めた。

トランクスが善人か悪人かと問われれば、前者だとはしおにも分かる。
初対面の自分を助け、怪我の手当てをしてくれて。
さとうを探すのを手伝うと言い、足手纏いの自分を守ろうとしてくれる。
強さと優しさの両方を兼ね備えた男の人。
幼いしおにとって化け物みたいな父、父のせいで壊れて自分を捨てた母。
二人だけの部屋に来る前に見た人達とも、外の世界へ飛び出した時に見た人達ともまるで違う。

だからこそ、さとう程ではないけどトランクスの事も最初は好意的に思えた。
一度は心を許し掛けたから、余計に失望と嫌悪も大きい。
自分一人の価値観に当て嵌めて、勝手にさとうとの愛を理解した風になって。
いっそトランクスが悪い人ならまだマシだった。
危ない時の盾に使う気で自分を生かすような人であれば、何を言われようと「こういう人だから」で割り切れたろうに。

トランクスが一時的でも自分の元を離れ、危険だとは承知している。
もし誰かが襲って来くればしお自身の判断と支給品以外に、頼れるものは何も無い。
それでも送り出したのは口に出した通り、襲われてる中にさとうがいた場合を考えてのこと。
悔しいけど、自分が参加者の中で弱い方だとはしおも自覚してる。
だからもしさとうが危機に陥ってるなら、トランクスを使うしかない。
仮にさとうがいない場合でも、彼女を襲う可能性の高い者をトランクスが消してくれるのだからこっちにとっては都合が良かった。

その為に、トランクスに決心を付けさせる言葉を紡ぎ態度を取った。
トランクスのことを考えて、尚且つやる気を出させるような「良い子」を演じた。
好意なんて微塵も抱いていない、こんな状況でなかったら二度と関わりたくない。
しおにとって特大の地雷を踏んだ相手でも、今は必要不可欠な存在。
自分とさとう、二人のハッピーシュガーライフの為には嫌悪を飲み込んででも、相手の好むだろう顔をする必要がある。

「さとちゃんも、こんな気持ちだったのかな」

しお以外の相手に好きと言い、愛を嘯いたことでさとうは強く後悔していた。
ハッピーシュガーライフを守る為とはいえ、しおへの裏切りに等しいと。
今の自分と同じ気持ちだったのだろうか。

そう考えると、心がほわほわしてくる。
これ程に嫌で嫌で、苦い思いになってでも自分との生活を守ってくれた。
それくらいさとうが自分を好きでいてくれた、さとうからの愛がこんなにも大きいと改めて実感する。

「私も頑張らないと」

さとうがずっと大変な戦いをして来たのに、自分一人へこたれてる訳にはいかない。
今はここでトランクスを待ち、万が一が起きた時も考えて杖をぎゅっと握る。
自分の体より長いせいで抱きしめてるような体勢になり、ふとこれを使えば離れた場所の景色も見れるのを思い出す。
じゃあ使ってみようとするも、音が出るから隠れてるのもバレると思い直しやめた。

「さとちゃん…はやく会いたいな……」

だからトランクスくんには頑張って欲しいな、と。
送り出した時と全く異なる声色の呟きは、一人ぼっちの部屋に小さく溶けていった。


【エリアH-6とI-6の境界/現代都市 民家内/9月2日午前8時00分】

【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
状態:右ひざに切り傷(処置済み)、トランクスへの生理的嫌悪感(大)
服装:いつもの
装備:天使の杖@ドラゴンボール超
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~2、ホットライン
思考
基本:さとちゃんとハッピーシュガーライフを。
01:トランクスくんをつかってさとちゃんのところに行く。
02:そのためにはトランクスくんと一緒にいるのも我慢しなきゃ。
03:トランクスくんが戻って来るのを待つ。
参戦時期:さとうと共に飛び降りを決行する直前。
備考


◆◆◆


一足遅かったことをトランクスは嫌でも理解させられた。
呻き倒れる者達が複数、だが彼らはまだ生きている。
両腕を失い、生きる為に必要なモノが体外へ零れ落ちた少女。
どうしようもないくらいに手遅れだと、一目で分かってしまう。
知らず知らずの内に強く握られる拳は、己への不甲斐なさと下手人への怒りが強まる証拠。
世界が違おうと結局守れない者は現れる、現実を突き付けられるも膝を折って屈するにはまだ早い。

「お前は…羂索の言う事を真に受けるのか!?」

何せ危機は去っていないのだ。
姿を見て確信を抱いた、強大な気を誰が放っているのかを。
真紅を纏い、黄金の剣を手にした王。
黒い神とはまた別ベクトルの危険性を孕んだ相手への問い掛けに、鼻で笑われ返答があった。

「世迷言を抜かすな、歓迎もなっていないあのゴミどもはいずれ殺す。その前に有象無象を掃除するだけだ」
「…そうか、分かったもういい。お前を倒さない理由は無くなった」

今の言葉で十分、嫌と言う程に理解した。
人を人とも思わない、命を玩具かそれ以下にしか見ていない。
自分の世界を崩壊へと追いやった宿敵達と、この男は何ら変わらないのだ。
剣を握る手に力が籠る、今から男を斬るのに何一つ躊躇は抱かない。

絶対に相容れないと分かった以上、最早対話の余地は双方必要無し。
ならばここからどうするか。
決まっている、思考の沼に沈まずとも答えは出ている。
敵を倒す、その一つだけで良い。

青い弾丸が発射されたようだと、陳腐な喩えだがそう言うのが相応しい。
激情を孕んだ言葉を言い終えた次の瞬間、ギラの目と鼻の先の距離まで接近。
いつ動いた、足を一歩踏み出す動きすら捉えられない。
ヤードラット星に伝わる瞬間移動に非ず、目視不可能なスピードで距離を詰めただけのこと。

次いで起こるは破裂するのにも似た、金属同士の衝突音。
ただ近付いて終わりじゃない、間合いへ入り即座に剣を振るった。
頭頂部から股までを切り裂き真っ二つ、改造されたフリーザ同様の末路を与える一撃。
その惨めな終わりを実力で以て跳ね除けるのが宇蟲王。
トランクスの一挙一動をしかと捉え、同じく剣を振るい防御。

鍔迫り合い、互いの得物を挟んで睨み合う。
押し込み無様によろけさせ、生まれた隙に切り刻む。
そういった流れにはどちらも持って行けない。
片方が力を籠めればもう片方も負けじと押し返す、互いに一歩も後退せず拮抗。

代わり映えのしない膠着は共に望む所に非ず。
弾かれたように後方へ下がるのは断じて押し負けたからではない。
同じタイミングで仕切り直しを選び、1秒の経過も待たずに再度激突。
白銀と黄金が咆哮を上げ、食らい尽くさんと牙を突き立て合う。
王の為の剣に宿す殺意を共に叩き付ける。

ギラが狙うは首、王へ歯向かう罪人には斬首刑が相応しい。
横薙ぎの一閃が宙を引き裂き、直接触れずとも空気の振動で肉を斬られ兼ねない。
罪人の血を求める黄金を、逆に砕き散らす勢いで白銀が阻む。
自身を殺す刃を弾き返したなら、今度はこっちが斬り伏せる番だ。

斜め上からの振り下ろし、袈裟斬りにギラは防御では無く回避を選ぶ。
ぐるりと上体を捻りつつ真横へ移動、敵の視線が捉えるのを待たず斬り付ける。
何百何千と感じた命を奪う手応えは無く、翳された白銀に己の姿が反射。
トランクスが今まで味わって来たのは、視界のみに頼っていて勝てる戦いではない。
五感全て、時には己の直感すらも総動員させねば明日を拝めない死闘。
絶望と悲しみに蝕まれようと折れぬ心が、今この瞬間までトランクスを強くさせた。
守らねばならない命がある、果たせねばならない約束がある、帰らねばならない人が待っている。
邪悪に捧げる命など、最初から持ち合わせていない。

腹部目掛けて剣を突き出すも、掬い上げた黄金が王の死を遠ざける。
がら空きの胴体が生まれた、とはならず電光石火の勢いで振り下ろす。
僅かに身を引き切っ先が顎先スレスレを通過、反対に顔面へ刃を奔らせるも白銀がそれを許さない。
狙うは急所、お互い殺すのに微塵の戸惑いも持たない。
だが未だ一滴の血も流れず、与える死は常に拒絶される。

「ハアアアアアアッ!!」

怒号一閃、腹の底からの叫びも剣に乗せての一撃。
速さも威力も申し分ないが、気合一つで倒せる程宇蟲王は甘くない。
同等のスピードで剣を叩き付け、弾かれるや否や次なる剣をトランクスが振るう。
地獄へ叩き落とさんとするのを敵が受け入れる事は無い。
またもや弾かれ、なれば次だと振るい、再び躱され、今度は自分だと斬り付けられる。
斬り結ぶ敵の動き全てを瞳が捉え、空気の揺れを肌で感じ、遥か先まで互いの手を読む。
積み上げた経験と我が物にした絶技、可能とするだけの身体能力、揺らぐことのない心意気。
全てを持ち合わせた二人だからこそ成立する剣戟。

「そこだ!」
「小賢しい…!」

心臓へ一直線に駆ける黄金を弾き、トランクスが翳したのは左手。
武器の類は握られていないが問題ない、既に攻撃の準備は完了済み。
収束させた気弾を至近距離で放ち、ギラは跳躍しやり過ごす。
剣以外の使用禁止というルールはない、倒す為に技の全てをぶつけてこその殺し合いだ。

その点はギラも文句を付ける気は無く、小細工諸共捻じ伏せる気でいた。
頭上を取ったこの機会を利用しない手はない、剣に己の力を流し込み振り下ろす。
赤と黒が混じり合った斬撃の襲来を受け、トランクスが取る手は迎撃。
同じ技をこっちが使えないと侮ってもらっては困る、気をコントロールし刀身へ沿うように纏わせた。
斬り上げにより放たれるは青い刃、王の刃と激突し消滅。
エネルギーの余波を突っ切りトランクスも飛ぶ、待ち構える王もまた剣で以て応えた。

交差は一瞬、離れた距離で背を向け着地。
振り返った時、ハラリと落ちたのは青い数本の髪の毛。
一手届かなかった己の剣よりも、ギラが意識を向けたのは自分の頬。
刻まれたのは薄い一本線、涙のように一滴の血が垂れる。

「成程……」

ほんのちっぽけとはいえ、王の顔に傷を付けられた。
怒るのが正しい反応だろうし、全く不愉快でないと言えば嘘になる。
しかしそれ以上に湧き上がる思いが、静かな呟きとして外に漏れた。

宇蟲剣を細切れにし、自身を吹き飛ばした時から薄々予感はしていた。
実際に剣を交えれば間違いでは無かったと確信する。
秘めた力、編み上げた技、ブレることのない殺意。
こうも見せられては今更疑う余地も無い。
羂索は児戯に自分を招いたとばかり思っていたが、丸っきりそういう訳でもない。
少しだけ、本当に少しは考えて参加者を集めている。

頬を吊り上げ、獰猛な笑みを浮かべる。
ブチリブチリと踏み潰す掃除に過ぎない、僅かな期待を抱く価値もない。
その認識は少々変えねばなるまい。

どうやらやっと、やっと!

「やっと歯応えのある獲物が現われたようだな!」

トリガーを引く。
この男相手ならば、見せてやっても良い。
宇蟲王の本当の力を、数多の星を滅ぼした支配者の姿を。
そうして、絶望の果てに殺してやろう。

「王骸武装!」

『Lord of the Lord of the Lord of the Shugod』

黄金が、オージャカリバーZEROが奏でる。
新たに王の為の鎧を纏い、天を突き刺す黒い仮面を装着。
豪奢でありながら禍々しさを放つ盾を装備。
ギラ・ハスティーが変身するクワガタオージャーの面影を残しつつ、決定的に異なる存在。
イーヴィルキングの降臨に、誰もが言葉を出せない。
突然現れギラと渡り合った青年へ呆気に取られ、次の瞬間には強大な敵がより絶望的な存在感を放つ。
自身が生きた世界に蔓延したのと同じ空気を感じ、トランクスは静かに告げる。

「全員、今すぐ逃げてくれ」

退避を指示するのは自分でも勝てない相手と悟ったからか。
いいや違う、緊張こそしていてもトランクスに闘争を投げ出す意思はない。
ただ周りの者達には逃げて貰わないと困る。
何せここからは――

「ここから先、あなた達を巻き込まない自信がない…!!」

気の爆発が巻き起こる。
トランクス中心に光の柱が出現し、戦場を蝕む絶望を消し飛ばす。
超サイヤ人、たった一人の師の喪失と引き換えに得た力。
イーヴィルキングを前にトランクスも分かったのだ、周囲に気を遣っていられる相手ではないと。

強大という言葉ですら足りない、希望の戦士と絶望の王が睨み合う。
立ち入ることの許されない空間が形成され、周りの者達も我に返った順に動き出す。
呆けた者は強引にでも引っ張り、言われた通り離れて行く。
警告は間違いじゃあない、それだけ王の相手を引き受けた青年も余裕がないと理解した。

蜘蛛の子を散らしたような者達へ、ギラもまた然したる関心は向けない。
それより今は忌々しくも強烈な輝きを放つ、眼前の標的から目を外せなかった。
一瞬で決着が付く肩透かしな展開にはならないだろう。
そうでなければ、わざわざこの姿になってやった甲斐もない。

「精々足掻け、王の期待を裏切るな!」
「お前の道楽の為に、戦っているんじゃない!」

狂喜と憤怒を剣に乗せ、勝利は譲らぬと刃が駆ける。
こいつは倒す、こいつは殺す、こいつには負けられない。
内から溢れ続ける衝動が動作全てを加速、苛烈な斬り合いへと発展。
常人は勿論、達人や魔人の域に足を踏み入れた者でさえ、剣がぶつかっているとは分からないだろう。
手元も握った得物も捉えられない、見えるのは黄金と白銀の輝きのみ。

共にパワーやスピード、動体視力等全ての基本的な能力が爆発的に上昇。
振るう得物もまた、耐えられるだけの強度を誇る王の剣。
使い手の力が強過ぎる余り、最早武器では無く兵器と化す。
刃が喰らい合う毎に発生する衝撃は、不可視の刃となって二人を取り囲む者を切り刻む。
民家や商店は勿論、聳え立つビルとて原型を留められない。

「せりゃああああああああああっ!!!」

腰に捻りを加えての回転斬りへ、しゃらくさいとギラも一文字斬りを繰り出す。
両者共に刃は掠らず、有り余る力の余波がエリアの破壊へ拍車を掛ける。
通行人がいれば、今頃は辺り一面血の海となっていたのは確実。
つまらないIFの光景を頭に入れる余裕は無い、アスファルトを踏みしめ真正面へ突きを放つ。
背後で地面が砕け散るのを気に止めず、魔弾と化したトランクスが駆け抜ける。

「その程度が届くと思うなっ!!!」

分厚いコンクリートの壁を百枚並べたとて、5秒と持ち堪えられないだろう威力。
なれどギラを突き破るには足りない。
放つのは同じく突き、踏み込みの強さに陥没する地面は無視。
切っ先同士が敵を一歩も進ませまいとし、されど両者の力は拮抗。
ややあってどちらも後方へと弾かれ、視線を僅かなりとも外さないまま着地。

「中々やるが…まだ足りん。喜べ、俺が直々にお前の力をもっと引き出してやろう」

異形の顔となったせいで表情は変わらないが、声色から漂うのは残酷な喜び。
星を滅ぼす中で正義感が強い者とも多々出会った。
そういった連中は何をされれば特に怒りを露わにするか、限界以上の力を引き出すか。
当然知っており、此度も同じようにしてやる。
逃げたゴミを纏めて片付ける事も出来て手間が省ける、やらない理由は無い。

「なに、を……」

頭上に剣を突き上げ、己が持つ力を更に解放。
ダグデドに出来て、より強大な宇蟲王である自分に出来ないなんてのは有り得ない。
太陽が照らし雲が浮かぶ空へ異物が多数出現。
ただ留まるだけならどれ程良かったか。

「何をしているんだお前は……っ!!!」

地上目掛けて無数の隕石が降り注ぐ。
制限の影響により範囲と威力は大幅に縮小しているが、参加者達にとっての脅威である事に変わりはない。
戦場となったエリア一帯を襲う悪夢の集中豪雨に、トランクスの焦りも加速。
大虐殺を引き起こす気だろうがそうはさせない、させてたまるか。

舞空術で飛行し隕石を片っ端から斬り裂く。
一つ一つをチマチマ対処しては間に合わない、空いた手で気弾を連射。
破壊が中途半端では破片で被害が及ぶ、故に徹底して壊す。
尤も、つまらない作業をギラが認める筈が無かった。
跳躍し斬り掛かられ、有無を言わせず再戦開始だ。


○


トランクスとギラの剣戟による巻き添えは免れた。
しかし降り注ぐ隕石は別、破壊の規模が余りに広過ぎる。
各々が全速で逃げ、意識の無い者や走れぬ者は抱えて足を止めない。
誰も見捨てず全員で逃げようとするも、自我を持たぬ岩の雨は容赦が無かった。

「ちっくしょ…!」

固まって逃げてはいたが、隕石の直撃を受けたビル群の崩壊によって分断を余儀なくされた。
真っ先に被害から脱せられたのはアンクとリュージ。
グリードとしての怪人態になり飛行、リュージの腕を掴んで瓦礫の雨の中を突っ切った。

次いで逃げられたのは果穂、千佳の二人。
果穂がブーストフォームに変身中だったのが幸いし、逃げる際にブーストライカーを召喚。
バイクの運転は出来ないが無問題、ブーストライカーはライダーへ変身時に召喚した場合、ライダーのモチーフになった動物形態へと姿を変える。
自律行動が可能となったブーストライカーに二人で跨り移動していた為、機動力を駆使しどうにか逃れられた。

同時にチェイスとロロもそれぞれの能力を駆使し、圧死を回避。
ジ・アイスで少しでも崩落を急き止め、それでも飛来する物はトレーラー砲で撃ち落とす。
機械生命体なので疲労とは無縁のチェイスと違い、元々運動能力に秀でてもいないロロは息が上がっていたが。
未だ意識を落としたままのはるかをチェイスが運び、庇いながら進む。

無事とは言え単独になってしまったのは薫。
マークツヴォルフの機動力で駆け、時にはエボルトラスターを使いシールドを展開。
助かりはしてもビルの崩壊と絶えずあっちこっちへ降り注ぐ隕石に、仲間の元へ近付くことすら許されなかった。

「おいロロ!皆!」
「先に行け…!今は自分を優先しろ!」

咄嗟に手を伸ばそうとしたが、頭上から襲い来る脅威に腕を引っ込めざるを得ず。
ロロの叫びもすぐに齎せられる破壊の音に掻き消え、これ以上近付くのもままならない。
動き続けねば自分も死ぬ。

「クソ…っ!」

芳佳が死に、可奈美が死に、そのくせ自分はまだ生にしがみついている。
みっともなくて情けなくて、だけど投げ出せない理由もあるから。
託された想いを無視する人でなしには、どうしたってなれないから。

「ちくしょぉ…!!」

悔しさを籠めた自分の声が、やけに大きく聞こえた。


「果穂!お前達も先に逃げろ!」
「チェイスさん…でも……!」

瓦礫の山の向こうから聞こえた声に、果穂は即答できない。
一緒に逃げられるよう何とかするべきじゃないのか。
揺れる心を引き戻し、迷っている暇は無いと決断させたのは苦し気な声。
顔色を悪くし自分にしがみ付く千佳。
自分が迷えば迷っただけ、彼女にまで被害が及んでしまう。

「…っ!分かりましたっ!絶対…後で会いましょうっ!」

震えを誤魔化すように精一杯の大声で返し、エリア外へブーストライカーを走らせる。
このまま二度と会えなかったらどうしようと顔を出す不安を、無理やりに押し隠す。
チェイスなら、悲しいけど譲れない正義を秘めた彼ならきっと大丈夫。
はるか達を連れて戻って来ると信じ、果穂も振り落とされないよう集中。
崩れた建造物の合間を駆け、隕石をどうにか躱して進み続ける。

だが逃げ道を塞ぐ壁は無くならない。
ここで死ねとでも言いた気に、崩壊した建造物が降って来る。
避けても避けても隕石は執拗に襲い続ける。

「あたしは……」

この世の終わりを描いたような空を見上げ、されど千佳の瞳に絶望はない。
果穂が自分を守る為に戦っている。
ならば千佳自身はどうする?守られるだけで満足か?
違う、そうじゃない、それで良い筈が無い。

「あたしの…ラブリーチカの魔法は……」

空色の女の子は問い掛けた。
魔法が使えたら何をしたい、と。
答えはあの時と同じ、きっとこの先も変わらない。
アイドルとして皆を笑顔にする魔法を掛けた時みたいに。

「みんなを…守る為に使いたい…!」

掲げた手から溢れる光は、宇蟲王の下す刑すら拒絶する。
イノセンス、本来はルナが使う固有魔法。
あらゆる束縛からの解放を可能とするが、この魔法にはまだ先がある。
魔女達との戦いで新たな力に目覚めたルナのように、千佳もまたイノセンスの持つ可能性を広げてみせた。
イノセンスドライブ。
力を直接叩き込むシンプルな攻撃にして、防御やカウンターを無効にする貫通魔法。
隕石複数個と瓦礫を消し飛ばし、自ら道を切り開いた。


「おいリュージ!自分で走るか銃全部捨てるかしろ!」
「無茶苦茶言うんじゃねぇ!遠回しに死ねって言ってるもんだろそれ!?」

防弾服と銃火器を装備した男一人を運ぶくらい、グリードの身体能力なら容易い。
しかしこの状況では片手が塞がったうえ、機動力も落ちるのは軽くない問題。
かといって人力で走り抜けるのも流石に無茶であり、アンクが運ぶしかなかった。

「…いや待て。一旦降ろせ!支給品に足が入ってる!」

回収したリュックサックの一つに、車が入っていたのを思い出す。
何で入るんだよとのツッコミはこの際無視、脱出に使えれば文句は無い。
火球を必死に連射する背後で、急ぎ目当ての物を取り出す。
引っ張り出したソレはオープンカー。
派手なピンクの車体と、デカデカと貼り付けられた初心者マークが異様な存在感を放っていた。

「おい!そのふざけたモンで本当に走れるんだろうな!?」
「俺だって知りてぇよ!とにかく乗れ!」

キーを回しエンジンを掛けて急発進。
見た目に文句を言ったアンクも後部座席に立ち、火球を撃ち続けて瓦礫や隕石を少しでも近寄らせまいとする。
法定速度を完全に無視したスピードを叩き出し市街地を疾走。
外見の珍妙さはともかく、これなら脱出の大きな助けになるのは間違いない。

「もっとスピード出せ!」
「言われなくても、もう出してるんだよ!」

無茶な運転も横からのかっ飛んだ指示もこれが初めてじゃない。
カナメを奪還するべく、雪蘭と繰り広げたカーチェイスは覚えている。
あの時と今と一体どっちがマシかという、どうでもいい疑問は即座に投げ捨て。
アクセルを踏みっ放しで速度を引き上げた。


重加速はどうしても避けられない隕石に対しもう使った。
余計な時間制限のせいで暫くの間は機能せず、他の方法に頼るしかないのが現状。
ロロもまた二丁拳銃の乱射を行っているが、右手の負傷が響き狙いが拙い。

「くっ、またか…!」

連射しているだけでは対処が追い付かない、またもや隕石を撃ち漏らしてしまう。
衝突を覚悟し、せめてロロだけでも逃がそうと手を伸ばす。

その寸前で、彼らの頭上の隕石が凍り付いた。

「やれやれ……とんだ重労働だな……」

二画目の令呪を使いジ・アイスの出力を上昇。
少しの間だが余裕が生まれ、この隙に急がねば。
はるかを落とさないよう掴み駆け出そうとし、ポスリとリュックサックを投げ付けられた。

「中にバイクが入ってる。それを使って逃げろ。彼女を振り落とさないようにな」
「何を、言っている…?」

突然の譲渡と言葉に理解が追い付かない。
疑問への答えを返すようにロロは変身を解き、自身の袖を捲った。
下にあったのは細い腕、ではない。
腫瘍のように膨れ上がり、所々に亀裂の入ったナニカ。

「それは……」
「時間が無いから手短に済ませよう。私はもう助からん。これは普通の治療でどうにかできるものじゃないし、正直に言って限界が近い」

だから自分を置いて行けと、そう言いたいのだろう。
理屈としては分からんでもない。
先の長くないロロにかまけるより、はるかを連れて急ぎ脱出する方が合理的。
それにバイクはどう頑張っても二人乗り、どの道一人は置いて行くしかない。

「だが…!」

だからといって、そんな簡単に割り切れはしない。
互いを深く知らなくとも、チェイスにとってはロロも守るべき人間。
はいそうですかと置き去りになど、決断を下すには迷いが生じる。

「判断を見誤るな。君が間違えればとばっちりを受けるのは彼女だろう。今抱いている迷いは彼女を殺し、君が逃がした少女との約束を破る以上に重要なのか?」
「…っ!」

迷いが生み出す被害はチェイス一人では済まない。
それは決断するのに十分な効果を秘めていた。
人間を守るという己のアイデンティティが軋む、だが決めなければより多くの傷を自分が生み出す。
人であれば苦悶の表情を浮かべたろう場面でも、機械のチェイスは仮面の下で真顔のまま。
しかし体では無い、心へ目に見えない痛みが襲う。

「……すまない」
「気に病む必要はない。…薫に会ったら、最後まで足掻いてみろと伝えてくれ。見届けると言っておきながら、朽ち果てるのは私の方が先らしい」

それでも彼女の望みを聞いた者として、何か言葉を遺しておきたかった。
単なる我儘かもしれないし、薫の精神に余計負担を掛けるだけかもしれないが。
あの時言ってみせた言葉が嘘じゃないなら、歯を食い縛ってでも乗り越えられるだろう。
ソレを見れずに一足先に退場は、我ながら情けないと苦笑いを浮かべる。

「さあ行け。このままでは本当に全部無駄になるぞ」

ジ・アイスの効果も永遠には続かない。
一刻の猶予も無いと分かっているが故に、チェイスももう迷いは抱かなかった。
リュックサックから自分の愛車が出て来た驚きさえ、今は感じる余裕がない。
武装展開し鋼鉄の蛇、テイルウィッパーをはるかと自分に巻き付け固定。
これで気絶中の彼女が振り落とされる心配はない。
マフラーが火を吹きエリア外を目指してバイクを走らせた。
後ろはもう、一切振り向かずに。

「行ってくれたか…」

チェイスが去るのを最後まで見送らず、ロロは再びジオウに変身。
遺された時間は残り僅かだ。
短時間でジ・アイスの連続使用に加え、令呪を使って本来の出力を放ったのも効いたのだろう。
反作用が自分を蝕み、嫌でも一度迎えた最期の時を思い出させる。
C.C.細胞の抑制剤が都合良く見つかるとは思っていない。
だからといってこのまま隕石に潰され、二度目の死を迎えるのも御免だった。

「さて、こちらも精々足掻くか」

終わりが避けられないにしても、やれる事が一つある。
他人から見れば馬鹿馬鹿しいと見えるだろう、自分でもそう思う。
けれどどうしても譲れない、ちっぽけな意地を通しに。


◆◆◆


「くっ…!」

焦りを隠さずに歯噛みし、トランクスはギラと斬り結ぶ。
地を駆け、空を駆け、移動しながらも攻撃の手が休まることはない。
頭部へ突き出した剣が弾かれ、逆に首を狙った一撃を躱す。
脇腹目掛け走らせた刃を防ぎ、心臓を貫かんとする切っ先を叩き落とした。
とうに原型を留めていない地面を蹴り付け、跳躍したギラが垂直に回転。
勢いを乗せ範囲を広げた斬撃へ、トランクスも腰の捻りを加えた斬り付けで応戦。
刀身同士の衝突で互いに腕が跳ね、すかさずギラが斜め下へと蹴りを入れる。

イーヴィルキングになり四肢もより太くなった。
威力は当然のように上がり、一方で巨体とは裏腹の俊敏な動きも可能。
砲撃に等しい蹴りを真横へ跳んで躱し、目に付いた電柱を切断。
転がり落ちる前に掴んで投擲、トランクスの腕力を乗せた魔槍と化す。

「しゃらくさい!」

剣を真正面へと振るい刃を放つ。
電柱など小枝同然にポッキリと断たれ、背後の標的へと大口を開けて迫る。
対するトランクスも横薙ぎに振り払い刃を掻き消す。
飛び散った赤いエネルギーが線香花火のように儚く消えるも、幻想的な光景と心和ませる状況ではない。

ギラが指を鳴らし、合図とともに宇蟲剣が展開。
トランクスを包囲するかのように配置された、百に届く膨大な数。
一斉射出により歪な剣山を作り上げる気だろうが、現実の光景にはならず。
全方位へと剣を豪快且つ精密に振り回し、自身を守護する結界を生成。
串刺しにする為の宇蟲剣は、自分から砕けに顔を出した間抜けな獲物へと早変わり。
皮一枚すら切れずに破壊され、次から次へと役目を果たす前に消滅。
残る10本を纏めて細切れにし、間髪入れずに息が止まる程の力が襲い来る。

エネルギーの力場を掌型に形成し、蝿でも始末するように叩き付ける。
咄嗟に剣を両手持ちに変え、頭上に掲げ防御。
圧し潰されまいと踏ん張る最中も、敵は真正面から接近し斬り掛かった。
両手が塞がりがら空きの胴体を斬られ決着、そんな最期へ否と唱えるのが超サイヤ人の力。
カッと目を見開き腕の力を漲らせ、押さえ付ける掌を両断。
切り裂いた勢いを殺さずギラを迎え撃ち、何度目か数えるのも馬鹿らしくなった剣戟が再開となった。

天空からの脅威により破壊が止まらないエリアの中で唯一、二人の周囲にだけ隕石の被害はゼロ。
剣を振るい、打撃を叩きつけ合い、技の応酬を繰り返し起こる衝撃。
二人だけの戦争とも言うべき苛烈極まる闘争へ近付いた途端、小石程の欠片も残さず消失しているのだ。
今もまた、互いに一振りで街路樹数本を一気に切り刻む。

(クソッ!こいつは…!)

一見互角に渡り合っていると思わせ、トランクスには余裕が無い。
エリアの破壊は一向に止まらず、逃げた者達の安否が危ぶまれる。
隕石がギラの能力なら本人を倒せば止まるのかもしれないが、簡単に勝てる相手でないのは明白。
加えて超サイヤ人に掛けられた制限も非常に厄介だ。
黒い神との戦闘時と同じ、本来よりも力が出ず消耗が激しい。
急いで決着を付けなければいけない、なのに余計な枷のせいで勝機を掴めずにいる。

焦りが徐々に加速すると同時に、攻撃の激しさも更に増す。
このまま力で押し切ればどうにか――




――馬鹿野郎!何を寝惚けた戦い方をしてやがる!



「っ!!」

聞こえない筈の声が聞こえ、ハッと我に返る。
茹った思考は急速に冷えていき、危うく間違う所だったと己を戒めた。
ここにはいない父の声が、幻聴なのかどうかは定かじゃない。
答えが何であろうと、己へ喝を入れてくれたのは確か。

セルとの戦いを思い出せ。
あの時も自分はとにかくパワーが上がれば良いと、とんだ思い違いをしていた。
しかしベジータや悟空はそういった戦法を早々に切り捨て、スタミナを重視した修行を行ったのである。
現在、超サイヤ人の消耗は普段以上に激しいが工夫次第で無駄な体力消費を抑え、尚且つ決着を早める事も不可能じゃない。
焦り力に任せれば、本当に取り返しの付かない失敗へ繋がるだけだ。

意識を今一度引き締め、ギラへと剣を振り上げる。
股から頭頂部までを両断する斬撃へ、左腕をぶつけて相殺。
王達の装備、キングズウェポンと近い形状の盾の破壊は困難だ。
標的へ近付く為の道を強引に外され、剣が切り裂いたのは舞い上がったアスファルトの欠片。
空振り直後の硬直は致命的な隙だ、急ぎ剣を引き戻すも一手遅い。
先程とは反対にギラが斬り上げを繰り出し、真上へと剣を弾き飛ばす。
トランクスの手から武器が放れ無手に、取りに行くのを待ってやる程優しくない。
間抜けにも得物を失った相手を仕留めるのへ、何の躊躇もいらない。

「っ!?」

斬首刑にすべく振り被った時、ギラとトランクスの視線が交差。
瞳に宿ったのは己の失態を呪う無様さでも、避けられない死への恐怖でもない。
淀みなく眼前の敵を見据えた瞳はまだ死んでいない。
もしや、思惑通りに動いているのは相手では無く――

「太陽拳!」
「ぐおおおっ!?」

顔の真横に両手を翳したトランクスから、視界を全て覆い隠す光が放たれた。
目が焼かれ兼ねない眩しさに、さしものギラも堪らず怯む。
殺傷能力は皆無だが視界を奪う使い勝手の良い鶴仙流の技。
天津飯から悟空やクリリンへ、そして悟飯からトランクスへと継がれ殺し合いでも日の目を見た。
斬る筈だった剣は止まり、攻め込むのにまたとないチャンスが訪れる。

「せりゃあああっ!!」
「チィ…!」

四肢を用いた打撃もトランクスが得意とする戦法だ。
ギラの頬を拳が捉え、頑強なイーヴィルキングの皮膚越しにも脳を揺さぶられる。
但し食らったのは一発だけ、二撃目からは盾を翳し防御。
拳の連打が粉砕せんと衝撃を与え続けるが、亀裂一つ付かない。
貧弱な拳を腕ごと斬り落とそうとし、

「っ!小癪な真似を…!」

防御へ翳した直後、後方へと大きく距離を取らされる。
拳の連打は囮、本命は頭上に弾かれた後重力に従い落ちて来た自身の剣。
ギラの意識が拳へ割かれたタイミングでキャッチし斬り付けた。
傷こそ負っていないが、不意を突いた一撃を防ぐのに力が足りず弾き飛ばされたのだ。

「はあああああああ…!」

手元に戻した剣を地面に突き刺し、再び無手へ戻る。
独自の構えを取り気をコントロール、トランクスの全身を膜のように光が覆う。
手の甲を合わせエネルギーを限界まで溜め、放つ瞬間を見極める。
より高威力の技を使う気と即座に察し、望む所とギラも己が剣を操作。
トリガーを引き、オージャカリバーZEROが禍々しいエネルギーを帯びた。
真っ向から打ち破り、どちらが上かを思い知らせる時だ。

『Lord Finish』

「ギャリック砲――――――っ!!!!」

ハスティー家の力を邪悪で塗り替え放つ、世界を滅ぼす刃。
誇り高きサイヤ人の父から子へと継がれた、世界の命運を背負った光。
ゴーストタウンを照らす両者の激突は、拮抗しそれ以上先へと進ませない。
己の勝利を譲る気は無い。
王としてのプライドが、守るべき者の重さが。
敗北の二文字を叩き潰し、勝つのは俺だと雄叫びを上げる。

ならば勝負を決めるのは、双方にとって予期せぬ存在。

「なに…?」

腕に異物が当たった感触を覚え、ギラは訝しく横目を動かす。
ほんの数センチ、左腕に剣が刺さっている。
誰がやったかもすぐに分かった。
離れた場所で壁にもたれ掛かる仮面の男。
『ライダー』の四文字を貼り付けた、偽りの魔王。
この期に及んで無駄な動きに出て、しかも王の殺し合いに横槍を入れるとは度し難い。
トランクスの次はあのゴミを殺してやろうと決める。

「…!?」

殺意は突如起こった異変に打ち消された。
体が凍り付いたように動かない。
自身の肉体が内側から縮むような、不可思議極まりない感覚に襲われる。

圧縮冷凍。
30世紀の犯罪者集団、ロンダーズファミリー相手にタイムレンジャーが用いる逮捕手段。
ギラの腕に突き刺さった剣、ディフェンダーソードにも同様の機能が搭載済み。
斬り付けダメージを与えたので無い為、本来よりも発揮される効果は低い。
現にディフェンダーソードを振り払った事で、肉体を蝕む冷凍から即座に解放された。

だが今このタイミングは、ギラにとって致命的と言う他ない。
片手で数えられる程度の時間。
たった数秒、されど数秒。
トランクスへ勝利が傾くには、これ以上ないくらいに十分な隙だ。

「っあああああああああああああああ!!!」
「お…のれぇぇぇ……!!!!」

藤色の輝きが刃を飲み込む。
邪悪な王の剣で斬ることを、何一つ許さないと噛み砕く。
星を滅ぼす赤は掻き消され、絶望はその存在を薄れさせた。

「終わらんぞ…!この程度で俺を滅ぼすなど…!!」

己に打ち勝った希望に焼かれて尚も、宇蟲王は死を拒絶する。
光に飲み込まれ、王の肉体を焼かれながら彼方へ吹き飛ばされようと。
その瞳は常に、青き戦士を射抜き続けていた。

029:波瀾Ⅳ:衛藤可奈美という少女 投下順 029:波瀾F:戦士の王国
時系列順
十条姫和
アンク
前坂隆二(リュージ)
衛藤可奈美
花菱はるか
横山千佳
小宮果穂
チェイス
益子薫
ロロ・ヴィ・ブリタニア
ジンガ
トランクス(未来)
神戸しお
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