◆
吐き出すようにして前に前に漕げば
僕らの未来は加速していくだろう
今この時が止まるとしても
この呼吸まで止められはしないさ
くだらないご褒美まだ?
僕らの未来は加速していくだろう
今この時が止まるとしても
この呼吸まで止められはしないさ
くだらないご褒美まだ?
◆
「ん……」
浅い微睡から覚めて、振動が感じないことに気付く。
気を遣ってのんびり走行、とはいかず可能な限りスピードを出していただろうに。
よもや目的の人物を見付けた、或いは道中何らかのアクシデントに見舞われたか。
移動を中断するだけの理由は、自分の目で確かめるに限る。
緩やかに誘う睡魔を払い除けて、姫和の意識が現実へと帰還。
刀を手に取るや跳ね起き、車外へと飛び出た。
気を遣ってのんびり走行、とはいかず可能な限りスピードを出していただろうに。
よもや目的の人物を見付けた、或いは道中何らかのアクシデントに見舞われたか。
移動を中断するだけの理由は、自分の目で確かめるに限る。
緩やかに誘う睡魔を払い除けて、姫和の意識が現実へと帰還。
刀を手に取るや跳ね起き、車外へと飛び出た。
「龍園、問題発生か?」
「それはこいつの出方次第だな」
「それはこいつの出方次第だな」
真っ先に目に映った協力者へ問えば、向こうはチラとだけ視線を寄越す。
無理に起きなくて良いとの気遣いもなく、起きたばかりとは思えぬ凛とした姿への驚きも皆無。
畏まるでも険悪とも違う、素っ気ないが気の知れたようなやり取り。
共に相手の態度へ疑問も遠慮も抱かず、言葉を交わす。
無理に起きなくて良いとの気遣いもなく、起きたばかりとは思えぬ凛とした姿への驚きも皆無。
畏まるでも険悪とも違う、素っ気ないが気の知れたようなやり取り。
共に相手の態度へ疑問も遠慮も抱かず、言葉を交わす。
移動を止めた理由は、龍園の視線の先にある。
百聞は一見に如かずとの諺に従い、同じ方を見やれば成程確かに。
無視する選択は消滅するだろう。
百聞は一見に如かずとの諺に従い、同じ方を見やれば成程確かに。
無視する選択は消滅するだろう。
道路のど真ん中に倒れ込み、身動ぎ一つしない少女。
冷たいアスファルトを寝床代わりにし、大いびきを掻く酔っ払いは世に吐いて捨てる程いるが。
姫和と同年代程の者が全身傷だらけで倒れていれば、異常事態と捉えるのが自然。
ましここが殺し合いの会場とくればもう、あらゆる意味で収穫に他ならない。
永遠に覚めない眠りを届けるか、唾棄すべき欲望の捌け口に使うか。
相手次第で起こり得た末路も現実にはならず、しかし100%の善意で救いの手を差し伸べる気も無し。
冷たいアスファルトを寝床代わりにし、大いびきを掻く酔っ払いは世に吐いて捨てる程いるが。
姫和と同年代程の者が全身傷だらけで倒れていれば、異常事態と捉えるのが自然。
ましここが殺し合いの会場とくればもう、あらゆる意味で収穫に他ならない。
永遠に覚めない眠りを届けるか、唾棄すべき欲望の捌け口に使うか。
相手次第で起こり得た末路も現実にはならず、しかし100%の善意で救いの手を差し伸べる気も無し。
「んで?依頼主(クライアント)様は、居眠り姫をどうする気だ?」
「一旦家の中にでも運んで話聞くぞ。誰にやられたにしろ、聞き出して損はねぇだろ」
「一旦家の中にでも運んで話聞くぞ。誰にやられたにしろ、聞き出して損はねぇだろ」
一刻も早く蛮野を追い掛けたいのは変わらないが、かといって情報入手の機会をみすみす捨てるのは馬鹿のやること。
仮に少女が“乗った”側なら、相応の対処に出させてもらう。
反対に殺し合いへ否定的であれば、協力可能な人材が一人増えるかもしれないのだ。
足を止めるだけの価値は十分にある。
仮に少女が“乗った”側なら、相応の対処に出させてもらう。
反対に殺し合いへ否定的であれば、協力可能な人材が一人増えるかもしれないのだ。
足を止めるだけの価値は十分にある。
「お前らもそれで良いか?」
「まあ、俺がいた方がスムーズに進むだろうしな」
「まあ、俺がいた方がスムーズに進むだろうしな」
アッシュフォード学園を共に経った二人組、リュージとアンクも特に異論はなかった。
情報を引き出す場面において、嘘か真かを見極める異能(シギル)がどれ程役立つかは言うまでもない。
反対が出ない以上、長々と路上に突っ立って悪目立ちする必要もないだろう。
ひょいと甚爾に持ち上げられた少女は、オープンカーの後部座席へ。
情報を引き出す場面において、嘘か真かを見極める異能(シギル)がどれ程役立つかは言うまでもない。
反対が出ない以上、長々と路上に突っ立って悪目立ちする必要もないだろう。
ひょいと甚爾に持ち上げられた少女は、オープンカーの後部座席へ。
「しっかし、ガキ相手に随分ムキになる奴がいたもんだなおい」
整った顔立ちなだけに、余計負傷が痛々しい。
女相手に執拗にボコって、何が楽しいのやらと。
顔も知らない下手人を鼻で笑い、モビルワーカーのハッチ部分へ寝そべる。
すっかりお馴染みとなった甚爾の体勢へ、今更呆れや疑問も飛ばず再発進。
女相手に執拗にボコって、何が楽しいのやらと。
顔も知らない下手人を鼻で笑い、モビルワーカーのハッチ部分へ寝そべる。
すっかりお馴染みとなった甚爾の体勢へ、今更呆れや疑問も飛ばず再発進。
マップに表示されたエリア内の施設、天ノ川学園高校は見るも無残な廃墟と化し久しい。
どういった経緯で破壊が起きたかは誰も知らず、使い物にならない場所とだけ判断。
幸い一行が訪れたのは現代都市エリア、身を隠す場所は無数に存在。
小奇麗な民家に到着し、無人を確認。
居間のソファーへ少女を座らせれば、見計らったように瞼がゆっくりと開かれた。
どういった経緯で破壊が起きたかは誰も知らず、使い物にならない場所とだけ判断。
幸い一行が訪れたのは現代都市エリア、身を隠す場所は無数に存在。
小奇麗な民家に到着し、無人を確認。
居間のソファーへ少女を座らせれば、見計らったように瞼がゆっくりと開かれた。
「――――……っ」
夢の世界から現実に戻り、肉体を苛む痛みとも再会。
頭部の内側で絶えず引っ掛かれているかの、思考を鈍らせる苦痛。
僅かな身動ぎで体のそこかしこが悲鳴を上げ、言葉を紡ぐのも億劫に感じる。
蛹に包まれた幼虫みたいに動きを止め、目を閉じていれば多少は和らぐと分かるけど。
自身を苦しめる激痛にすら、構ってられる場合に非ず。
頭部の内側で絶えず引っ掛かれているかの、思考を鈍らせる苦痛。
僅かな身動ぎで体のそこかしこが悲鳴を上げ、言葉を紡ぐのも億劫に感じる。
蛹に包まれた幼虫みたいに動きを止め、目を閉じていれば多少は和らぐと分かるけど。
自身を苦しめる激痛にすら、構ってられる場合に非ず。
「ここ、は……?あなた達が私、を……?」
「尤もな質問だが、先にこれだけ答えてくれ。お前は殺し合いに乗ってるか?」
「尤もな質問だが、先にこれだけ答えてくれ。お前は殺し合いに乗ってるか?」
少女の疑問は至極当然であるも、最初にハッキリさせねばならないのは。
殺し合いにおける大まかなスタンス、答え次第でこちらも対応を変えねばなるまい。
リュージの問いに、少女は掠れた声で否を返す。
欲する答えはその一言で十分だ、振り返って頷き尋問は終了。
本人からすれば頭に『クソ』の二文字が付く異能でも、効果の程は疑う余地がない。
殺し合いにおける大まかなスタンス、答え次第でこちらも対応を変えねばなるまい。
リュージの問いに、少女は掠れた声で否を返す。
欲する答えはその一言で十分だ、振り返って頷き尋問は終了。
本人からすれば頭に『クソ』の二文字が付く異能でも、効果の程は疑う余地がない。
「あなた……」
「いきなり不躾なもん聞いて悪かったな。心配しなくても疑う気は――」
「……リュージ、さん?はるかやチェイスさん達が言ってた……」
「いきなり不躾なもん聞いて悪かったな。心配しなくても疑う気は――」
「……リュージ、さん?はるかやチェイスさん達が言ってた……」
見覚えのない少女に名を言い当てられ、おまけに知っている名前も口に出された。
思わず固まるリュージと反対に、信用してもいい参加者と分かったのか。
向こうはほんの少しだけ、表情を緩めた。
思わず固まるリュージと反対に、信用してもいい参加者と分かったのか。
向こうはほんの少しだけ、表情を緩めた。
○
「改めて、水神小夜です。助けて頂きありがとうございます」
居間に集まった面々へ礼を言う小夜は、先程までと比べ顔色も大分マシになった。
殺し合いに乗った側であれば、無力化も選択に入れて然るべきだが。
乗っていないと分かった以上は、負傷をそのままに出来ない。
今は亡きGGOプレイヤー、レンとの物々交換で手に入れた治療キットを姫和が使用。
完治とまではいかないが、痛みも和らぎこうして会話も行える。
殺し合いに乗った側であれば、無力化も選択に入れて然るべきだが。
乗っていないと分かった以上は、負傷をそのままに出来ない。
今は亡きGGOプレイヤー、レンとの物々交換で手に入れた治療キットを姫和が使用。
完治とまではいかないが、痛みも和らぎこうして会話も行える。
「ごめんなさい、貴重な支給品を使わせてしまって……」
「気にするな、治療の当てなら他にもある。私はただ、今が使うべきだと思ったに過ぎない」
「気にするな、治療の当てなら他にもある。私はただ、今が使うべきだと思ったに過ぎない」
はるかやユフィリアのように、傷を癒す力を誰もが持つ訳じゃない。
万が一に備え温存すべき道具を使わせ、申し訳なく思うも当の姫和はあっけらかんとしたもの。
アッシュフォード学園での調伏で、回復に打って付けの力は既に得た。
貴重な道具なのは確かだが、かといって小夜に使わない選択を取る程冷血になったつもりもないのだから。
万が一に備え温存すべき道具を使わせ、申し訳なく思うも当の姫和はあっけらかんとしたもの。
アッシュフォード学園での調伏で、回復に打って付けの力は既に得た。
貴重な道具なのは確かだが、かといって小夜に使わない選択を取る程冷血になったつもりもないのだから。
「負い目があるなら、知ってることを全部こっちに話せ。悪いが俺らも、ボランティアで動いてるわけじゃねぇ」
「治したのは私で元はレンの支給品なのに、何でお前が偉そうにするんだ……」
「治したのは私で元はレンの支給品なのに、何でお前が偉そうにするんだ……」
呆れ気味にジト目を向けられるも、龍園相手には暖簾に腕押し。
軽く受け流し、早速本題に入らせてもらう。
小夜の方も下手に情報を出し惜しみする気はなく、知っている話を伝えるのに異論はない。
ただその前に、確認しておかねばならない事があった。
軽く受け流し、早速本題に入らせてもらう。
小夜の方も下手に情報を出し惜しみする気はなく、知っている話を伝えるのに異論はない。
ただその前に、確認しておかねばならない事があった。
「勿論それは構わないのだけれど……あなた達が見付けたのは私だけですか?その、もう一人女の子がいたりとかは……」
「そっちにとっちゃ良い話じゃねぇだろうが、俺らが来た時他には誰もいなかった。生死関係無く、な」
「……そう、なんですね」
「そっちにとっちゃ良い話じゃねぇだろうが、俺らが来た時他には誰もいなかった。生死関係無く、な」
「……そう、なんですね」
小夜には全く嬉しくない話と察しは付くも、惚ける意味はなく正直に伝える。
半ば予想していた答えだったのだろう、取り乱す様子は見られない。
顔色を曇らせ、何かを噛み締めるかのようにキツく目を閉じ。
ややあって開けた時、もう一つ先にやるべきものを告げる。
半ば予想していた答えだったのだろう、取り乱す様子は見られない。
顔色を曇らせ、何かを噛み締めるかのようにキツく目を閉じ。
ややあって開けた時、もう一つ先にやるべきものを告げる。
「ごめんなさい、もう一個だけ。放送を、見ても良いですか……?」
見付けた時の姿で薄々分かってはいたが、放送を確認する余裕もなかったらしい。
定時通達は、全プレイヤーにとって必須と言っても過言ではない。
事前に内容へ耳を傾けておけば、次の情報開示もスムーズに進む。
承諾の旨を伝えると、早速ホットラインを起動。
今やすっかり見慣れてしまった、額の縫い目が特徴の呪術師が画面に映り込む。
運営側の一人が犯した暴挙へのペナルティに始まり、淀みなく伝達事項が流れ、
定時通達は、全プレイヤーにとって必須と言っても過言ではない。
事前に内容へ耳を傾けておけば、次の情報開示もスムーズに進む。
承諾の旨を伝えると、早速ホットラインを起動。
今やすっかり見慣れてしまった、額の縫い目が特徴の呪術師が画面に映り込む。
運営側の一人が犯した暴挙へのペナルティに始まり、淀みなく伝達事項が流れ、
『覇世川左虎』
「――っ」
この目で最期を見た者達の中に混じる、終ぞ再会の叶わなかった命の恩人の名が呼ばれた。
耳を抜ける女の声が忌々しく、怒りと悔しさでデバイスを持つ手の力が強まる。
怒声を放ったとて、許し難き運営側には届かない。
映像が終わり、真っ黒の画面に映るのは堪えるような自分の顔。
エノルミータの総帥から辱めを受け、羞恥に悶えた時とはまるで違う。
喪失の痛みと、平然と奪っていく正真正銘の悪への膨れ上がる憤怒をどうにか抑え付ける。
そんな顔だった。
耳を抜ける女の声が忌々しく、怒りと悔しさでデバイスを持つ手の力が強まる。
怒声を放ったとて、許し難き運営側には届かない。
映像が終わり、真っ黒の画面に映るのは堪えるような自分の顔。
エノルミータの総帥から辱めを受け、羞恥に悶えた時とはまるで違う。
喪失の痛みと、平然と奪っていく正真正銘の悪への膨れ上がる憤怒をどうにか抑え付ける。
そんな顔だった。
それはそれとして、下手人を知りたい気持ちに偽りはなく。
墓標アプリを起動し、左虎の横に記されていたのは。
冥黒の二文字が頭に付いた、アビドスの地で力尽きた男の名と。
小夜自身は面識のない、闇の錬金術師を示す四文字。
墓標アプリを起動し、左虎の横に記されていたのは。
冥黒の二文字が頭に付いた、アビドスの地で力尽きた男の名と。
小夜自身は面識のない、闇の錬金術師を示す四文字。
(どういう、こと……?ディアッカさんはもう……)
直接最期を見ておらずとも、ディアッカはアビドス高校で宇蟲王に討たれた。
一回目の定時放送で名前を呼ばれており、実は生きていたというのもあり得ない。
万が一奇跡的に無事だったとしても、左虎を殺したこと自体が不自然。
脱落者の並びを見るに、左虎だけでなくアスナなる参加者を手に掛けたのもディアッカだ。
面識はないが、キリトと深い関係にある少女と本人の口から聞いている。
一回目の定時放送で名前を呼ばれており、実は生きていたというのもあり得ない。
万が一奇跡的に無事だったとしても、左虎を殺したこと自体が不自然。
脱落者の並びを見るに、左虎だけでなくアスナなる参加者を手に掛けたのもディアッカだ。
面識はないが、キリトと深い関係にある少女と本人の口から聞いている。
冥黒のデスマスクやシビト、ELSといった死者を弄ぶソレらを知らず。
画面上から読み取れる情報で、“何か”をしたグリオンと直接の面識はないが。
別行動中の仲間、キリトが口にしていた話と照らし合わせれば自ずと答えに察しは付く。
ハッキリしているのは、令呪を切ってまで自分の命を繋いでくれた左虎は。
宇蟲王の猛威から命懸けで逃がした、ディアッカ“らしき者”の手で命を奪われた。
小夜にとっての命の恩人である男達は、最悪の末路になったと言っても良い。
画面上から読み取れる情報で、“何か”をしたグリオンと直接の面識はないが。
別行動中の仲間、キリトが口にしていた話と照らし合わせれば自ずと答えに察しは付く。
ハッキリしているのは、令呪を切ってまで自分の命を繋いでくれた左虎は。
宇蟲王の猛威から命懸けで逃がした、ディアッカ“らしき者”の手で命を奪われた。
小夜にとっての命の恩人である男達は、最悪の末路になったと言っても良い。
(怒鳴り散らせば、少しは気が晴れるのかしらね……)
自分がどんな目で見られるかも、知った事ではないと。
感情をぶち撒ければ、胸に括りつけた無数の重しが一つくらいは外れるだろうけど。
やった所で、何かが変わる訳でもなし。
殺された仲間は帰って来ず、殺した奴らが報いを受けるなど以ての外。
歯を食い縛って、目尻が擦れて赤くなるまで涙を拭って。
戦いへ身を投じる以外に、結局変える術はないのだ。
感情をぶち撒ければ、胸に括りつけた無数の重しが一つくらいは外れるだろうけど。
やった所で、何かが変わる訳でもなし。
殺された仲間は帰って来ず、殺した奴らが報いを受けるなど以ての外。
歯を食い縛って、目尻が擦れて赤くなるまで涙を拭って。
戦いへ身を投じる以外に、結局変える術はないのだ。
胸に手を当てて、燻るものを少しでも吐き出すように深呼吸。
怒りは沈静し、すっかり冷静な自分に戻れた。
とは口が裂けても言えないが、感情に振り回される真似には出ない。
自分の様子を嗤うでもなく、沈黙し待っていた龍園と視線を合わせる。
怒りは沈静し、すっかり冷静な自分に戻れた。
とは口が裂けても言えないが、感情に振り回される真似には出ない。
自分の様子を嗤うでもなく、沈黙し待っていた龍園と視線を合わせる。
「ありがとうございます。そろそろ……」
己の知る事を話し、反対に知らない事を聞き状況をより詳細に把握する。
それもまた一つの戦いであり、同時に次なる闘争へ臨む為の準備。
説明不足にならないよう且つ、長々と脱線しないように。
互いに情報面での穴を塞いでいき、殺し合いの深刻な現状を知るに至った。
それもまた一つの戦いであり、同時に次なる闘争へ臨む為の準備。
説明不足にならないよう且つ、長々と脱線しないように。
互いに情報面での穴を塞いでいき、殺し合いの深刻な現状を知るに至った。
「っとに、悪い冗談としか言いたくねぇな……」
「要警戒が必要とは分かっていたが、そこまでなのか……」
「要警戒が必要とは分かっていたが、そこまでなのか……」
額を抑え天を仰ぐリュージと、民家内の全員が同じ思いだろう。
黒い神を殺し、その力を手に入れた四凶最後の一人。
比喩表現などではない、今や真に最強のプレイヤーとして君臨する神殺し。
メラの脅威を我が身で味わった小夜の話は、背筋が凍る程に鬼気迫る内容。
一度はゼイン相手に打ち勝ったチェイス達でさえ、道端の小石を蹴飛ばす感覚で瞬殺へ追い込んだ。
文字通り、次元が違い過ぎる。
黒い神を殺し、その力を手に入れた四凶最後の一人。
比喩表現などではない、今や真に最強のプレイヤーとして君臨する神殺し。
メラの脅威を我が身で味わった小夜の話は、背筋が凍る程に鬼気迫る内容。
一度はゼイン相手に打ち勝ったチェイス達でさえ、道端の小石を蹴飛ばす感覚で瞬殺へ追い込んだ。
文字通り、次元が違い過ぎる。
「そんなイカレた野郎が、半端な参加者なら纏めて舗装出来るレベルの駒を従えてるってか。ハッ、自分で言って笑えてきやがる」
アンクが吐き捨てた内容もまた、笑えないジョーク以外の何ものでもない。
メラ本人の強さもさることながら、並の参加者を凌駕する軍団を従えている。
半端な力しか持たないようでは、神殺しの配下へ磨り潰されて終わり。
玉座に君臨するメラの姿を拝む事すら、許されないだろう。
メラ本人の強さもさることながら、並の参加者を凌駕する軍団を従えている。
半端な力しか持たないようでは、神殺しの配下へ磨り潰されて終わり。
玉座に君臨するメラの姿を拝む事すら、許されないだろう。
「おっかねえ神様といい、顔だけは良い魔女のねえちゃんといい。殺すしか能のねぇ猿にゃ荷が重過ぎだなこりゃ。せめて――」
あのガキでも連れて来いよと、自身を殺した蒼眼の呪術師を思い浮かべる。
流石に相手が相手だ、かの“最強”でも一筋縄ではいかないだろうが。
態度こそ軽薄でも、甚爾なりに神殺しへ相応の危機感は持っている。
特級クラスがゴロゴロ現れる、嬉しくもないお祭り騒ぎ。
頼んだ覚えもないコンティニューは、笑ってしまうくらいのベリーハードだ。
流石に相手が相手だ、かの“最強”でも一筋縄ではいかないだろうが。
態度こそ軽薄でも、甚爾なりに神殺しへ相応の危機感は持っている。
特級クラスがゴロゴロ現れる、嬉しくもないお祭り騒ぎ。
頼んだ覚えもないコンティニューは、笑ってしまうくらいのベリーハードだ。
「……成程な。そんだけ化け物だってんなら、東って女の案は悪いもんじゃねぇ」
自分を恐怖させた黒い神すら超えるメラへ、臓腑が鉛よりも重くなる感覚を味わうも。
面には出さず、幾分の沈黙を挟み龍園も神妙さを隠さず頷く。
思考放棄に出たくなる程に最悪の相手だが、全てを投げ出すには早計。
プレイヤー達の危機感を煽って、メラを集中砲火(サンドバッグ)にする。
最強のラスボスと化す前に、茅場晶彦を倒す。
どちらも、殺し合いに抗う者の方針としては間違いじゃあない。
先の定時放送で、茅場が正式に主催権限を剥奪されたのは数少ない朗報だろう。
少なくとも一方的にレジスターを壊され、キリト達がゲームオーバーになるのは防げる。
面には出さず、幾分の沈黙を挟み龍園も神妙さを隠さず頷く。
思考放棄に出たくなる程に最悪の相手だが、全てを投げ出すには早計。
プレイヤー達の危機感を煽って、メラを集中砲火(サンドバッグ)にする。
最強のラスボスと化す前に、茅場晶彦を倒す。
どちらも、殺し合いに抗う者の方針としては間違いじゃあない。
先の定時放送で、茅場が正式に主催権限を剥奪されたのは数少ない朗報だろう。
少なくとも一方的にレジスターを壊され、キリト達がゲームオーバーになるのは防げる。
それに放送を通じて、メラと唯一真っ向から渡り合えるだろう戦士。
トランクスにも神殺しの脅威が伝わるのなら、やらない理由を探す方が難しい。
トランクスにも神殺しの脅威が伝わるのなら、やらない理由を探す方が難しい。
「メラの危険性を伝える仕事も、まあお前ら以上の適任はいねぇだろうよ」
「はい、本当ははるかと二人で伝えるつもりだったのだけれど……」
「時間を考えると、とっくに博物館に着いてもおかしくない筈だ。だが放送がまだ始まっていないのは……」
「はい、本当ははるかと二人で伝えるつもりだったのだけれど……」
「時間を考えると、とっくに博物館に着いてもおかしくない筈だ。だが放送がまだ始まっていないのは……」
小夜達が鬼龍院羅暁の襲撃を退け、到着するのを待っている。
或いははるか達も何らかのアクシデントに見舞われ、ひみつ道具博物館にはまだ辿り着けていない。
切羽詰まった現状を理解出来ない面子でなく、前者の可能性は呑気過ぎる。
となると、向こうも殺し合いに乗った者との戦闘を余儀なくされているのか。
或いははるか達も何らかのアクシデントに見舞われ、ひみつ道具博物館にはまだ辿り着けていない。
切羽詰まった現状を理解出来ない面子でなく、前者の可能性は呑気過ぎる。
となると、向こうも殺し合いに乗った者との戦闘を余儀なくされているのか。
「もしそうなら、空気もまともに読めない馬鹿に出くわしたってことかよ」
「可能性としちゃ十分あるな。クソも嬉しくねぇが」
「可能性としちゃ十分あるな。クソも嬉しくねぇが」
呆れと軽蔑を露わに吐き捨てるアンクへ、リュージも顰めた顔で同意。
実際、龍園達がアルジュナ・オルタと戦った際も先生の偽物が余計な真似に出たせいで。
満艦飾マコの死亡や、後に浅垣灯悟が取り返しのつかない事態へ陥ったのだ。
分かりやすい強大な敵への対処よりも、我欲や悦楽を優先する者は少なくない。
実際、龍園達がアルジュナ・オルタと戦った際も先生の偽物が余計な真似に出たせいで。
満艦飾マコの死亡や、後に浅垣灯悟が取り返しのつかない事態へ陥ったのだ。
分かりやすい強大な敵への対処よりも、我欲や悦楽を優先する者は少なくない。
「助けてもらっておいて、厚かましいとは承知の上なんですが……その……」
言い淀むも、小夜が何を言いたいかは全員分かる。
自身の護衛も兼ねて、博物館まで送り届けて欲しいのだろう。
神殺しには届かずとも、大半が戦闘に慣れた者。
加えて徒歩以上の移動手段も持っており、このまま一人で急ぐよりずっと早く着ける。
何よりはるか達がトラブルに遭遇しているなら、道中で助けられるかもしれない。
だがそれは、龍園達の目的よりも小夜の都合を優先しろと言っているのも同じ。
我儘を口にした自覚はある、けれどメラが如何に危険かを深く知る者としては――
自身の護衛も兼ねて、博物館まで送り届けて欲しいのだろう。
神殺しには届かずとも、大半が戦闘に慣れた者。
加えて徒歩以上の移動手段も持っており、このまま一人で急ぐよりずっと早く着ける。
何よりはるか達がトラブルに遭遇しているなら、道中で助けられるかもしれない。
だがそれは、龍園達の目的よりも小夜の都合を優先しろと言っているのも同じ。
我儘を口にした自覚はある、けれどメラが如何に危険かを深く知る者としては――
「……先延ばしにして、後々首が締まるのは俺らの方か」
髪を掻き上げため息を吐くが、瞳は真剣そのもの。
綾小路、ひいては好き勝手暴れる蛮野への怒りを忘れた覚えはない。
現に小夜達と虹色の後光を放つ女との戦闘へ、蛮野が現れたと聞いた時は。
燻る昏い炎に薪がくべられたのは、否定しない。
しかしメラという最大級の危険なプレイヤーの話を、小夜の口から詳細に語られ。
余りにも規格外の戦力へ、一周回って冷静になれた自分も存在する。
蛮野は放って置けないが、小夜の言う案も後回しにしては悪手もいいところ。
綾小路、ひいては好き勝手暴れる蛮野への怒りを忘れた覚えはない。
現に小夜達と虹色の後光を放つ女との戦闘へ、蛮野が現れたと聞いた時は。
燻る昏い炎に薪がくべられたのは、否定しない。
しかしメラという最大級の危険なプレイヤーの話を、小夜の口から詳細に語られ。
余りにも規格外の戦力へ、一周回って冷静になれた自分も存在する。
蛮野は放って置けないが、小夜の言う案も後回しにしては悪手もいいところ。
「どの道、鉄華兵団の顔を拝みに行く気だったんだ。その機会が先に来たってとこか」
「それじゃあ……!」
「それじゃあ……!」
頼みを拒否する空気では無く、小夜の表情にも幾分の明るさが戻り、
「ま、鉄華兵団に加わるかは別だがな」
サラリと告げた言葉に、思わず呆けた表情となった。
「えっと……もしかして……」
「先に言っとくが、ルルーシュに義理立てしてる訳じゃねぇ」
「先に言っとくが、ルルーシュに義理立てしてる訳じゃねぇ」
小夜達がゼインとぶつかっていたのとほぼ同時刻に、テレビ局地下の探索に協力した。
情報開示でそう聞かされたのもあり、ルルーシュを公然と非難していた鉄華兵団は。
龍園の心情的に良い目で見れないのかと、一瞬思うも本人が否定。
では何故と、純粋な疑問が口を突いて出る。
メラを討つにしろ殺し合いから脱出するにしろ、鉄華兵団と手を組むメリットは少なくない。
ひみつ道具博物館という、運営側に繋がる収穫を確保しており。
更に数時間前の放送を聞いた参加者が集まり、羂索達へ対抗すべく一大組織として機能するかもしれないだろうに。
情報開示でそう聞かされたのもあり、ルルーシュを公然と非難していた鉄華兵団は。
龍園の心情的に良い目で見れないのかと、一瞬思うも本人が否定。
では何故と、純粋な疑問が口を突いて出る。
メラを討つにしろ殺し合いから脱出するにしろ、鉄華兵団と手を組むメリットは少なくない。
ひみつ道具博物館という、運営側に繋がる収穫を確保しており。
更に数時間前の放送を聞いた参加者が集まり、羂索達へ対抗すべく一大組織として機能するかもしれないだろうに。
「そうだな、そいつはお前の言う通りだ。鉄華兵団にしろルルーシュにしろ、生きて帰る為には協力関係を結ぶのが賢い」
あえて自身にヘイトを引き寄せるやり方で、大いに混乱を齎したものの。
持ち得る能力と頭脳に関しては、龍園もルルーシュへ疑念を抱きはしない。
運営側に一泡吹かせる策があると自信満々に言われたとて、あの皇帝ならば納得もいく。
一方でひみつ道具博物館を拠点に置き、羂索へ繋がる道を最も早く手に入れた二代目ゼロも捨て置けない。
ルルーシュと反対に誠実さを売りにした組織だ、善良なプレイヤーを集める効果も期待出来る。
双方の目的も、龍園の基本的な方針も殺し合いに乗らず脱出すること。
となれば手を組み打倒メラ、そして打倒運営に向け動くのは何も間違っていない。
持ち得る能力と頭脳に関しては、龍園もルルーシュへ疑念を抱きはしない。
運営側に一泡吹かせる策があると自信満々に言われたとて、あの皇帝ならば納得もいく。
一方でひみつ道具博物館を拠点に置き、羂索へ繋がる道を最も早く手に入れた二代目ゼロも捨て置けない。
ルルーシュと反対に誠実さを売りにした組織だ、善良なプレイヤーを集める効果も期待出来る。
双方の目的も、龍園の基本的な方針も殺し合いに乗らず脱出すること。
となれば手を組み打倒メラ、そして打倒運営に向け動くのは何も間違っていない。
だが龍園は、ルルーシュと鉄華兵団が真っ当に協力する可能性に懐疑的だ。
「率直に聞くけどよ。水神、お前はルルーシュの本当の狙いが分かる前までの放送にどう思った?」
「……良い気は、しませんでした」
「……良い気は、しませんでした」
ルルーシュの真意は別にあり、自ら悪役を請け負う為だと後々知ったが。
傲慢さを隠さず、力を誇示する如何にもな“魔王”の振る舞いは。
見ていて愉快になれる類じゃあない、殺し合いに乗ってなくとも危険と見なすのは無理からぬこと。
そう感じたのは小夜一人に限った話ではなく、より強い悪感情を向ける者もいただろう。
例えば、憤りを露わにルルーシュを糾弾した二代目ゼロのように。
傲慢さを隠さず、力を誇示する如何にもな“魔王”の振る舞いは。
見ていて愉快になれる類じゃあない、殺し合いに乗ってなくとも危険と見なすのは無理からぬこと。
そう感じたのは小夜一人に限った話ではなく、より強い悪感情を向ける者もいただろう。
例えば、憤りを露わにルルーシュを糾弾した二代目ゼロのように。
「脱出を目的にしてる中でルルーシュに不満や警戒、後はもっとストレートに気に入らねぇと思ってる奴。そういう連中にとっちゃ、鉄華兵団はこれ以上ない受け皿になる」
二代目ゼロが根っからの善人かどうかは不明だが、ルルーシュと明確に敵対し。
尚且つ、殺し合いを良しとしないスタイルは。
優勝する気が無く、しかし有望株たるルルーシュとの協力を拒む者にとって駆け込み寺に等しい。
そういった者達を集めて、組織の規模を拡大するのもゼロの狙いの一つ。
尚且つ、殺し合いを良しとしないスタイルは。
優勝する気が無く、しかし有望株たるルルーシュとの協力を拒む者にとって駆け込み寺に等しい。
そういった者達を集めて、組織の規模を拡大するのもゼロの狙いの一つ。
「成程な……反ルルーシュの参加者を受け入れるってのは、間違いねぇ厄ネタだ」
「人を集める方法としちゃ『あり』だがな」
「人を集める方法としちゃ『あり』だがな」
だからこそマズいのだと、察しが付き頷くのはリュージだ。
例えばこれが、複数の陣営に分かれた勝負なら。
高育校のようにクラス対抗の、ポイントと退学の懸かった戦いなら。
いずれかの陣営一つが最終的に勝利を手にする構図は、何ら不思議ではない。
しかし殺し合いにおいて、一つの陣営だけしか脱出不可能なルールなど存在しない。
例えばこれが、複数の陣営に分かれた勝負なら。
高育校のようにクラス対抗の、ポイントと退学の懸かった戦いなら。
いずれかの陣営一つが最終的に勝利を手にする構図は、何ら不思議ではない。
しかし殺し合いにおいて、一つの陣営だけしか脱出不可能なルールなど存在しない。
別段、ゼロとてルルーシュを問答無用で排除する気は皆無だ。
仮に向こうが接触を望み、双方納得のいく形での協力が叶えば。
これまでのやり方ではない、真っ当に参加者へ尽くす気がルルーシュにあると分かった時には。
二大組織が手を取り合うのも、絵空事に非ず。
仮に向こうが接触を望み、双方納得のいく形での協力が叶えば。
これまでのやり方ではない、真っ当に参加者へ尽くす気がルルーシュにあると分かった時には。
二大組織が手を取り合うのも、絵空事に非ず。
但し、ゼロ以外の参加者が同じだとは限らない。
「胸糞悪い喩えだってのは承知で聞く。仮にお前が言ってた小宮ってガキがゼイン諸共ルルーシュに消されて、仕方のない犠牲で済まされたとすりゃ……無理やり飲み込んでルルーシュと協力出来るか?」
「それは……」
「それは……」
不可能、だろう。
共有した時間は短いが、果穂は正しい心と正義感を持つ小学生。
ゼインに操られたのだって、決して彼女が望んでやった事ではない。
自分でさえこう思うくらいだ、はるかだったら納得しかねるどころの話じゃない。
共有した時間は短いが、果穂は正しい心と正義感を持つ小学生。
ゼインに操られたのだって、決して彼女が望んでやった事ではない。
自分でさえこう思うくらいだ、はるかだったら納得しかねるどころの話じゃない。
「俺らが把握してないだけで、脱出派にルルーシュを恨んでる奴がいると仮定してだ。そいつが鉄華兵団に入って、合理的に頭を働かせられると思うか?」
「無理だな。簡単に引き下がれる奴なら、最初から恨みどうので動きやしねぇ」
「無理だな。簡単に引き下がれる奴なら、最初から恨みどうので動きやしねぇ」
復讐もまた人間に宿る、苛烈な欲望の一種。
800年前でも現代でも、憎悪を募らせる者はアンクも見て来た。
故人の恨みには蓋をし、大局的に物事を見るのが正しい。
などと、正論で黙る事が出来ないから人々は復讐心に駆られる。
800年前でも現代でも、憎悪を募らせる者はアンクも見て来た。
故人の恨みには蓋をし、大局的に物事を見るのが正しい。
などと、正論で黙る事が出来ないから人々は復讐心に駆られる。
鉄華兵団に加わった参加者がルルーシュへの悪感情を抑えられると、一体誰が言える?
そういった者達の話を聞き、ゼロがルルーシュ排除に動かない保障は?
第一、ルルーシュとてゼロにずけずけと内面に踏み込まれる屈辱を放送で受けたのだ。
その件について、あの皇帝は完全に水に流せるのか?
そういった者達の話を聞き、ゼロがルルーシュ排除に動かない保障は?
第一、ルルーシュとてゼロにずけずけと内面に踏み込まれる屈辱を放送で受けたのだ。
その件について、あの皇帝は完全に水に流せるのか?
「ルルーシュと鉄華兵団の間で衝突が、それこそ本気の殺し合いに発展したら。その時駆り出されるのは、どっちかの傘下に入った参加者だ」
ルルーシュvs鉄華兵団の絵面が現実となった場合、それぞれの協力者も必然的に巻き込まれるのはほぼ確実。
無論、誰しもがその状況を望む筈がないとはいえ。
一度戦闘が始まり、死者が出る事態にまで陥ってしまったら。
言葉で素直に矛を収める展開など、誰が期待出来ようか。
無論、誰しもがその状況を望む筈がないとはいえ。
一度戦闘が始まり、死者が出る事態にまで陥ってしまったら。
言葉で素直に矛を収める展開など、誰が期待出来ようか。
脱出派の二大陣営が少なくないダメージを受け、一番に得をするのは。
言うまでもなく、殺し合いに乗った参加者。
自分達が手を下すまでもなく潰し合い、疲弊するのだから降って湧いた幸運に違いない。
言うまでもなく、殺し合いに乗った参加者。
自分達が手を下すまでもなく潰し合い、疲弊するのだから降って湧いた幸運に違いない。
「生憎俺はアイツらのいざこざに関わる気はねぇ。肩入れした結果が、殺り合うメリットのロクにないドンパチになりましたなんざ御免だ」
「そうならない可能性もあるが……」
「そうならない可能性もあるが……」
絶対に争いが起きないとは言い切れず、姫和が考えるのは沙耶香のことだ。
本人の望みであるも、ルルーシュの元へ置いて本当に大丈夫なのだろうか。
不安は尽きないが、やっぱり心配だからテレビ局跡地へ戻ると。
独断専行が許される現状ではなかった。
本人の望みであるも、ルルーシュの元へ置いて本当に大丈夫なのだろうか。
不安は尽きないが、やっぱり心配だからテレビ局跡地へ戻ると。
独断専行が許される現状ではなかった。
「だがメラをどうにかする件は、こっちも文句言う気はない。お前を博物館まで乗せて、ついでに仮面の英雄様を直接拝むのも悪かねぇな」
「……はい、ありがとうございます」
「……はい、ありがとうございます」
龍園から齎された可能性には、小夜も思う所があるのか。
難しい顔で考え込むも、先ずは当初の予定通りメラの脅威を博物館で参加者に伝える。
こちらの事情を優先してくれた面々に、改めて感謝を抱く。
何かが違えば自分もカヨコと同じく、博物館へ辿り着けずに力尽きる可能性もあったが。
彼女が命懸けで生かした意味を、決して無駄にはしまいと気を引き締め直し、
難しい顔で考え込むも、先ずは当初の予定通りメラの脅威を博物館で参加者に伝える。
こちらの事情を優先してくれた面々に、改めて感謝を抱く。
何かが違えば自分もカヨコと同じく、博物館へ辿り着けずに力尽きる可能性もあったが。
彼女が命懸けで生かした意味を、決して無駄にはしまいと気を引き締め直し、
「――どうやら出発はまだ先になりそうだぜ、大将」
立ったまま壁に寄り掛かっていた甚爾の目が、狩りへ挑む猛獣のように細められる。
常人の限界を鼻で笑う感覚は、相手の姿が見えずとも関係無い。
常人の限界を鼻で笑う感覚は、相手の姿が見えずとも関係無い。
来る。
それも良からぬモノが、だ。
それも良からぬモノが、だ。
○
民家を出た一同の前に、ソイツが現れた時。
自分の中で嵐が吹き荒れる感覚を、龍園は感じずにいられなかった。
仮面ライダーらしき戦士を引き連れ、こちらを見据えるその顔を。
一度たりとも忘れはせず、顔面が歪む程の強烈な痛みがぶり返す錯覚を覚える。
自分の中で嵐が吹き荒れる感覚を、龍園は感じずにいられなかった。
仮面ライダーらしき戦士を引き連れ、こちらを見据えるその顔を。
一度たりとも忘れはせず、顔面が歪む程の強烈な痛みがぶり返す錯覚を覚える。
「テメェは――」
嘗ては取るに足らない昼行灯、堀北鈴音の腰巾着と見下していたが。
自分含めたCクラスの生徒を一蹴し、絶大な恐怖と共に敗北を叩き付けられたあの日以来。
実力の一端を思い知ったが故に理解出来た、底知れなさ。
それが目の前の男からは、全くと言っていい程感じられない。
代わりに発するのは珍しくもない、俗物に塗れた醜悪な存在感。
我こそが支配者だと疑いも無く信じ、己以外を利用か排除の二択でしか考えられない者。
自分含めたCクラスの生徒を一蹴し、絶大な恐怖と共に敗北を叩き付けられたあの日以来。
実力の一端を思い知ったが故に理解出来た、底知れなさ。
それが目の前の男からは、全くと言っていい程感じられない。
代わりに発するのは珍しくもない、俗物に塗れた醜悪な存在感。
我こそが支配者だと疑いも無く信じ、己以外を利用か排除の二択でしか考えられない者。
「蛮野……!」
『おや?龍園君じゃあないか。君のような小童は早々にリタイアとばかり思っていたが……幸運に恵まれたといった所かな?』
『おや?龍園君じゃあないか。君のような小童は早々にリタイアとばかり思っていたが……幸運に恵まれたといった所かな?』
綾小路を傀儡に変え、見下す態度を隠そうともしない。
最初に会った時、恐怖に苛まれていたレンを気遣ったのとは全くの正反対。
信用し切れない部分はあったが、やはり善良と程遠い本性の持ち主だったらしい。
途端に殺気立った瞳で睨む龍園を鼻で笑い、他の見知った者へ視線を動かす。
最初に会った時、恐怖に苛まれていたレンを気遣ったのとは全くの正反対。
信用し切れない部分はあったが、やはり善良と程遠い本性の持ち主だったらしい。
途端に殺気立った瞳で睨む龍園を鼻で笑い、他の見知った者へ視線を動かす。
『リュージ君達も一緒か。ああ、レンくん達のことは残念だよ。彼女達にはもう少し、私の役に立ってもらうことも出来たと言うのに』
「……ほざいてんじゃねぇよカス野郎。テメェをタブレットのままお陀仏にしなかったのは、大失敗だったな」
「貴様……レンは本当に信頼していたんだぞ……!」
『勿論知っているよ。彼女は私がこの地で会った中で、一番扱いやすい道具だったからなぁ!』
「……ほざいてんじゃねぇよカス野郎。テメェをタブレットのままお陀仏にしなかったのは、大失敗だったな」
「貴様……レンは本当に信頼していたんだぞ……!」
『勿論知っているよ。彼女は私がこの地で会った中で、一番扱いやすい道具だったからなぁ!』
レンが蛮野を命の恩人と慕う姿を、この目で見て来ただけに。
裏切られた時の彼女の心中たるや、察するに有り余る。
信頼を踏み躙った怒りをぶつけるも、蛮野は悪びれもせず笑い返す。
実に単純で、利用しやすい馬鹿。
レンに思うものなどそれが全て、情が湧くなんて天地が引っ繰り返ってもあり得ない。
裏切られた時の彼女の心中たるや、察するに有り余る。
信頼を踏み躙った怒りをぶつけるも、蛮野は悪びれもせず笑い返す。
実に単純で、利用しやすい馬鹿。
レンに思うものなどそれが全て、情が湧くなんて天地が引っ繰り返ってもあり得ない。
『アッシュフォード学園に集まった連中は良い隠れ蓑ではあったが、揃いも揃って馬鹿なのが全く悩ましい。力の差も理解出来ぬ小娘に、そんな馬鹿を逃がす為に命を捨てる大馬鹿!所詮は過去の人間、脳みそまで化石に過ぎんか』
「ハッ!その大馬鹿に邪魔されて、取り逃がした奴がいたんだろうが。お前の欲望もたかが知れるってもんだ」
『減らず口を叩くな、メダルの塊風情がァッ!!』
「ハッ!その大馬鹿に邪魔されて、取り逃がした奴がいたんだろうが。お前の欲望もたかが知れるってもんだ」
『減らず口を叩くな、メダルの塊風情がァッ!!』
一時は戦闘能力を高く評価したものの、今となっては役に立たず死んだ過去の残骸。
家康への嘲笑は、東軍総大将の持つ欲望の大きさを知る怪物が否定。
これ見よがしに嗤っていようと、家康が護った命が蛮野の手を逃れたのもまた事実。
絆と口にする気はない、しかし無駄死にと断言されるのも癪に障る。
何もかもがお前の思惑通りじゃあないと、そう告げてやれば。
挑発が大層お気に召さなかったようで、怒声を放たれた。
家康への嘲笑は、東軍総大将の持つ欲望の大きさを知る怪物が否定。
これ見よがしに嗤っていようと、家康が護った命が蛮野の手を逃れたのもまた事実。
絆と口にする気はない、しかし無駄死にと断言されるのも癪に障る。
何もかもがお前の思惑通りじゃあないと、そう告げてやれば。
挑発が大層お気に召さなかったようで、怒声を放たれた。
「蛮野天十郎……!カヨコさんはどうなったの……!?」
『ん?さっきの凡才か。成程な、龍園達が私だとすぐに気付いたのはお前が……』
「答えて!カヨコさんに何を……!」
『キャンキャン喚くな、愚図の金切り声程喧しいものはない』
『ん?さっきの凡才か。成程な、龍園達が私だとすぐに気付いたのはお前が……』
「答えて!カヨコさんに何を……!」
『キャンキャン喚くな、愚図の金切り声程喧しいものはない』
怒り混じりに問い質す小夜の声も、蛮野にしてみれば騒音と同じ。
人間であったら、さも不愉快な顔を浮かべただろう。
尤も、質問へ答えないと言ったつもりもないが。
ドライバーから引き抜いた一枚のカードを、ヒラヒラと揺らし見せ付けた。
滅亡迅雷.netのリーダーが変身する戦士、とはこの場の誰も知らない。
人間であったら、さも不愉快な顔を浮かべただろう。
尤も、質問へ答えないと言ったつもりもないが。
ドライバーから引き抜いた一枚のカードを、ヒラヒラと揺らし見せ付けた。
滅亡迅雷.netのリーダーが変身する戦士、とはこの場の誰も知らない。
『便利屋の小娘なら、こうして私の手の中にある』
「っ!?」
『死後も私に使われるのだから、感謝して欲しいものだな。まあお前達のような馬鹿に、この栄誉は理解出来んだろうが』
「な、ん……ふざけないで……!あなたよくも……!!」
「っ!?」
『死後も私に使われるのだから、感謝して欲しいものだな。まあお前達のような馬鹿に、この栄誉は理解出来んだろうが』
「な、ん……ふざけないで……!あなたよくも……!!」
殺したのみならず、未だに利用し使い潰す。
いけしゃあしゃあと告げた内容へ、喪失の痛みを追い越す程の憤怒が湧き上がる。
身勝手な善意で犠牲を生んで来たゼインと、やってる事はまるで大差ない。
エノルミータとの戦いで、トレスマジアの仲間を辱められた時とは異なる怒りが。
疑いようのない邪悪に仲間を殺された激情が、戦意を昂らせる燃料と化す。
いけしゃあしゃあと告げた内容へ、喪失の痛みを追い越す程の憤怒が湧き上がる。
身勝手な善意で犠牲を生んで来たゼインと、やってる事はまるで大差ない。
エノルミータとの戦いで、トレスマジアの仲間を辱められた時とは異なる怒りが。
疑いようのない邪悪に仲間を殺された激情が、戦意を昂らせる燃料と化す。
『やれやれ、これだから頭の悪い子供との会話は疲れる』
自身に集まる敵意と殺意もどこ吹く風、辟易したとばかりにため息を零す。
物分かりの良い従順な道具ならともかく、その反対の連中と言葉を交わすのは実に面倒だ。
聞き分けの無い道具を手に掛けた、ただそれだけだろうに。
些事へ一々腹を立てる者達が、蛮野は微塵も理解出来ないしする気も起きない。
馬鹿の相手を続けるよりも、もっと有意義な話を行うべきだ。
物分かりの良い従順な道具ならともかく、その反対の連中と言葉を交わすのは実に面倒だ。
聞き分けの無い道具を手に掛けた、ただそれだけだろうに。
些事へ一々腹を立てる者達が、蛮野は微塵も理解出来ないしする気も起きない。
馬鹿の相手を続けるよりも、もっと有意義な話を行うべきだ。
『下らん道具の話はもう十分だろう。我々にとって有益な話をしようじゃあないか、伏黒君?』
「んあ?俺か?」
「んあ?俺か?」
唐突なご指名を受け、首を傾げるのは静観に徹した甚爾だ。
敵意も抱かず、さりとて戦闘の可能性は確実と見ていつでも動けるよう構えていたが。
向こうが話、それも言い方から察するにビジネスの類とあれば。
聞かない訳にもいかず、耳を傾ける。
敵意も抱かず、さりとて戦闘の可能性は確実と見ていつでも動けるよう構えていたが。
向こうが話、それも言い方から察するにビジネスの類とあれば。
聞かない訳にもいかず、耳を傾ける。
『単刀直入に言おう。その小僧と手を切り、私に雇われる気はないか?』
「そりゃまたいきなりの提案だな。引っ張りだこってのは、猿には勿体ねぇ贅沢だけどよ」
『謙遜することはない。私は君を正当に評価しているつもりだ』
「そりゃまたいきなりの提案だな。引っ張りだこってのは、猿には勿体ねぇ贅沢だけどよ」
『謙遜することはない。私は君を正当に評価しているつもりだ』
甚爾の強さを直に見てはいないが、情報開示で経緯を聞く限り。
進化態のロイミュードをも超えるだろう強さを、生身で持つ実力者。
四凶には劣るも、参加者全体を見れば確実に上位へ位置する。
そんな甚爾が龍園達と手を組んでいるのは、単純に金で雇われたから。
追加報酬を定期的に受け取っており、契約は継続中。
言い換えれば、報酬次第での鞍替えに躊躇はない。
進化態のロイミュードをも超えるだろう強さを、生身で持つ実力者。
四凶には劣るも、参加者全体を見れば確実に上位へ位置する。
そんな甚爾が龍園達と手を組んでいるのは、単純に金で雇われたから。
追加報酬を定期的に受け取っており、契約は継続中。
言い換えれば、報酬次第での鞍替えに躊躇はない。
『自慢じゃないが、支給品や装備は潤沢に確保している。ソイツらの貧しい報酬に期待するより、私に使われる方が君にとっても得な筈だ』
これまで仕留めた参加者の支給品や、NPCを蹴散らし手に入れたドロップアイテム。
場合によってはディエンドライバーで召喚したライダーを破壊し、元の変身ツールに戻す手もある。
渡せる報酬の数と質は、甚爾も納得出来る筈。
場合によってはディエンドライバーで召喚したライダーを破壊し、元の変身ツールに戻す手もある。
渡せる報酬の数と質は、甚爾も納得出来る筈。
「まぁ確かに、懐のあったけぇ雇い主様ってのは有難いわな」
金に強く執着する訳ではないが、さりとて傭兵としてのスタンスを崩す気もない。
龍園達とはそこそこの付き合いになっているも、永続的な契約を約束した覚えは無し。
自分を動かせるだけの報酬が用意出来ると言うなら、雇われ先の変更を決めても良い。
新しい依頼人は腐り切った性根、だなんてのは断る理由に弱い。
そも、クリーンな働きを掲げるような奴なら。
若き最強と、呪霊操術使いを激怒させる事態にはなっていない。
龍園達とはそこそこの付き合いになっているも、永続的な契約を約束した覚えは無し。
自分を動かせるだけの報酬が用意出来ると言うなら、雇われ先の変更を決めても良い。
新しい依頼人は腐り切った性根、だなんてのは断る理由に弱い。
そも、クリーンな働きを掲げるような奴なら。
若き最強と、呪霊操術使いを激怒させる事態にはなっていない。
『理解が速くて助かるよ。それでは――』
「ああ」
「ああ」
シンプルなギブアンドテイク、交渉はそれだけで十分成立。
正義感だ義理人情だ、如何にも馬鹿の考えそうな塵同然の戯言が介入する余地はない。
満足いく結果に蛮野も上機嫌となり、
正義感だ義理人情だ、如何にも馬鹿の考えそうな塵同然の戯言が介入する余地はない。
満足いく結果に蛮野も上機嫌となり、
「断るわ」
ヘラリと、笑って口にした三文字に。
己の内側が、冷え切って行った。
己の内側が、冷え切って行った。
『……何だと?』
「あんだよ、難聴か?そのゴツいベルトにゃ補聴器は付いてねぇのか?不便だなぁおい」
「あんだよ、難聴か?そのゴツいベルトにゃ補聴器は付いてねぇのか?不便だなぁおい」
一段低くなった声で聞き返せば、こちらのストレスを煽ると分かった上での軽口を叩く。
纏まり掛けた交渉にNoを突き付けられ、機嫌も一気に急降下。
商談相手の怒り具合を察しつつ、今更フォローに出る気はない。
ついでに言うと、蛮野に雇われるつもりだって最初からなかった。
纏まり掛けた交渉にNoを突き付けられ、機嫌も一気に急降下。
商談相手の怒り具合を察しつつ、今更フォローに出る気はない。
ついでに言うと、蛮野に雇われるつもりだって最初からなかった。
「猿が選り好み出来る立場じゃないって言いたいんなら、間違っちゃいねぇさ。だがよ、ちょいと小賢しいだけの虫くんの寄生先になる趣味も持ってないんでな」
仮に相手が正規の参加者であれば、このタイミングでの鞍替えも検討はした。
だが蛮野は元々支給品、偶然ゼインドライバーを乗っ取っただけで本来は端役(モブ)に過ぎない。
幾ら何でもそのような存在の優勝を、羂索達が認めるのは有り得ないだろう。
どれだけ強さを増そうと参加者でない蛮野が、生き延びる方法は一つ。
正規プレイヤーの肉体を奪って、自身が動かすインナーフレームに変えること。
今は綾小路を使っているが、この先も永遠に同じ体のままとは限らない。
状況次第で他の参加者、それこそ雇って傍らに置いた甚爾を次の傀儡に変えるといった可能性は決して低くない。
だが蛮野は元々支給品、偶然ゼインドライバーを乗っ取っただけで本来は端役(モブ)に過ぎない。
幾ら何でもそのような存在の優勝を、羂索達が認めるのは有り得ないだろう。
どれだけ強さを増そうと参加者でない蛮野が、生き延びる方法は一つ。
正規プレイヤーの肉体を奪って、自身が動かすインナーフレームに変えること。
今は綾小路を使っているが、この先も永遠に同じ体のままとは限らない。
状況次第で他の参加者、それこそ雇って傍らに置いた甚爾を次の傀儡に変えるといった可能性は決して低くない。
甚爾自身、積極的に生き延びたい理由は持っておらず。
唯一の心残りは既に託しており、強い未練はない。
だからといって、傲慢の二文字に自我が生えたようなベルトに利用される末路はお断りだ。
如何に報酬が魅力的だとしても、雇う本人が先行きの真っ暗な輩なら。
あっさり釣られてホイホイ従う気は皆無。
唯一の心残りは既に託しており、強い未練はない。
だからといって、傲慢の二文字に自我が生えたようなベルトに利用される末路はお断りだ。
如何に報酬が魅力的だとしても、雇う本人が先行きの真っ暗な輩なら。
あっさり釣られてホイホイ従う気は皆無。
「つーわけで。引き続きお前らに顎で使われてやるから、安心しとけ」
「使われる側の態度かよ」
「使われる側の態度かよ」
今の蛮野との話は、至極どうでも良さ気に笑いかける。
変わらぬ態度の甚爾へため息が出そうになるも、この状況で手を切られる事態にならなかったのは安堵すべきか。
呆れ顔から一転、龍園の不敵な笑みが蛮野へ向かう。
ベルト内部へ隠れたデータが本体、表情なんかは窺えないが。
ご機嫌と程遠いくらいは、自分にも分かる。
変わらぬ態度の甚爾へため息が出そうになるも、この状況で手を切られる事態にならなかったのは安堵すべきか。
呆れ顔から一転、龍園の不敵な笑みが蛮野へ向かう。
ベルト内部へ隠れたデータが本体、表情なんかは窺えないが。
ご機嫌と程遠いくらいは、自分にも分かる。
「そういうこった。虫は虫らしく、ピョンピョン飛び回ってんのがお似合いだぜ?」
張り詰めた空気が、破裂したのは正にこの瞬間である。
自分に遠く及ばない低能の馬鹿どもが、自分に使われることが如何に光栄かも理解出来ない連中が。
見下している、己に楯突いている。
許されることか?大目に見てやり聞かなかったことにするのが正解か?
自分に遠く及ばない低能の馬鹿どもが、自分に使われることが如何に光栄かも理解出来ない連中が。
見下している、己に楯突いている。
許されることか?大目に見てやり聞かなかったことにするのが正解か?
そんな訳が、あってたまるか。
『どいつもこいつも……ふざけるなァッ!!!ノミ以下の脳しか持たん分際で、この私を下に見るなど万死に値するぞ!!』
喚き散らし片手を上げれば、控えていた黒いボディの戦士。
仮面ライダーデルタが得物を抜くや、トリガーに力を籠めた
収束させたフォトンブラッド弾がアスファルトを破壊し、破片と火花を散らす。
一時的に敵の視界を奪い牽制に成功、得られた猶予でプログライズキーを起動。
仮面ライダーデルタが得物を抜くや、トリガーに力を籠めた
収束させたフォトンブラッド弾がアスファルトを破壊し、破片と火花を散らす。
一時的に敵の視界を奪い牽制に成功、得られた猶予でプログライズキーを起動。
『変身!』
<GOAT!!GENIUS!!GOLDEN!!>
<GOLD ZEIN!!!!>
<ALL IS MINE>
鳴り響くは己が絶対性を誇示し、支配者は己のみと知らしめる宣言。
この世の全てを手中に収めずにはいられない、生まれ持っての醜悪な性(サガ)。
一度滅びた黄金の悪魔は、誰にも望まれない復活祭を経て再び降臨。
正義の純白を塗り潰す金色を纏うその名は、ゴルドゼイン。
アッシュフォード学園で大虐殺を引き起こした怪物が、許し難き愚者達に裁きを下す。
この世の全てを手中に収めずにはいられない、生まれ持っての醜悪な性(サガ)。
一度滅びた黄金の悪魔は、誰にも望まれない復活祭を経て再び降臨。
正義の純白を塗り潰す金色を纏うその名は、ゴルドゼイン。
アッシュフォード学園で大虐殺を引き起こした怪物が、許し難き愚者達に裁きを下す。
『行け貴様ら!私の役に立ってみせろ!』
先んじて召喚済のデルタに加え、新たに複数のライダーを召喚。
無論、一人見物に徹する気はない。
誰に歯向かったか、愚かさを体に徹底して叩き込まねば気は晴れそうもなかった。
無論、一人見物に徹する気はない。
誰に歯向かったか、愚かさを体に徹底して叩き込まねば気は晴れそうもなかった。
「そっちがその気だってんなら話は早ぇ」
生憎と、怒りを覚えてるのは蛮野だけではない。
獰猛な笑みの裏で、未だに体よく利用される綾小路への怒りを燻らせ。
起動鍵を使い、龍園もMSを纏い戦闘準備完了。
各々得物を引き抜き、或いは変身を済ませた。
獰猛な笑みの裏で、未だに体よく利用される綾小路への怒りを燻らせ。
起動鍵を使い、龍園もMSを纏い戦闘準備完了。
各々得物を引き抜き、或いは変身を済ませた。
大博物館に行く前に、一仕事終える必要がある。
撤退も降参も無しだ、自身を頂点と思い上がった黄金の悪魔を引き摺り下ろし。
暴虐へ終止符を打つ戦いが、始まった。
撤退も降参も無しだ、自身を頂点と思い上がった黄金の悪魔を引き摺り下ろし。
暴虐へ終止符を打つ戦いが、始まった。
| 181:決着はディナーのあとで | 投下順 | 182:TRASH CANDY(中編) |
| 時系列順 | ||
| 167:ラストアタックとアイスとアンクの欲望 | 十条姫和 | |
| アンク | ||
| 前坂隆二 | ||
| 十条姫和 | ||
| 龍園翔 | ||
| 伏黒甚爾 | ||
| 176:マジアアズール:アナザーライジング | 水神小夜 | |
| 綾小路清隆 | ||
| 蛮野天十郎 | ||
| 156:Berserkerへの手向け | グラファイト |