暴力という点において、バトルロワイヤルの上位者たちの性能は隔絶の一言に尽きる。
鉄筋の建造物を素手で砕き、人体の脊髄をただの一撃で捻じ切り、適切な頭脳と軍略を持つ者が悪意を持って扱えば都市の1つを殺しうる『暴力』。
鉄筋の建造物を素手で砕き、人体の脊髄をただの一撃で捻じ切り、適切な頭脳と軍略を持つ者が悪意を持って扱えば都市の1つを殺しうる『暴力』。
そんなものを持つ者は、ともすれば主催者たちに『英雄』として望まれたものよりはるかに多い。
彼らの矛となり、盾となること。あるいは敵となることを望まれた強者は、数多の強者が脱落した今をもってしても――隔絶した神殺しという例外を抜きにしても十分に多く、脅威である。
彼らの矛となり、盾となること。あるいは敵となることを望まれた強者は、数多の強者が脱落した今をもってしても――隔絶した神殺しという例外を抜きにしても十分に多く、脅威である。
帝都八忍最大の図体(ガタイ)を誇る骨太の偉丈夫 邪樹右龍。
天才ゲーマーより産み落とされ、命の尊さを学んだ電脳の生命(バグ) パラドこと仮面ライダーパラドクス。
どちらも常人からかけ離れた戦闘の才と、磨き上げられ卓越した暴力を有している。怪物と言って遜色のない連中だ。
天才ゲーマーより産み落とされ、命の尊さを学んだ電脳の生命(バグ) パラドこと仮面ライダーパラドクス。
どちらも常人からかけ離れた戦闘の才と、磨き上げられ卓越した暴力を有している。怪物と言って遜色のない連中だ。
「忍手、暗刃!!」
『ノックアウト‼クリティカルスマッシュ‼』
『ノックアウト‼クリティカルスマッシュ‼』
そんな怪物たちの一撃が、ヒースクリフへと牙をむく。
雷を迸らせる忍者の刃が音の壁を越え首を獲り。炎滾らせるライダーの拳は、ヒースクリフの顔面目掛けて業火を纏いて迫りくる。
ともに常人どころか、この殺し合いの水準で見ても充分に必殺と呼べる威力を持つそれを――
雷を迸らせる忍者の刃が音の壁を越え首を獲り。炎滾らせるライダーの拳は、ヒースクリフの顔面目掛けて業火を纏いて迫りくる。
ともに常人どころか、この殺し合いの水準で見ても充分に必殺と呼べる威力を持つそれを――
「悪いがね。君たちの攻撃では、1万回殴られようと私に傷をつけることはできないさ。」
――身じろぎ1つせず、ヒースクリフは受け止めた。
避けたわけではない。外れたわけではない。当たらなかったわけではない。
轟雷と共に頸を断つ右龍の暗刃はヒースクリフバグスターの頸を穿ち。ファイターゲーマーに変身したパラドクスの拳も確実にヒースクリフの胸に抉りこむように叩き込まれていた。
だが2人の手に伝わるのは、分厚いゴムを殴ったかのような手ごたえの無さだけだ。
避けたわけではない。外れたわけではない。当たらなかったわけではない。
轟雷と共に頸を断つ右龍の暗刃はヒースクリフバグスターの頸を穿ち。ファイターゲーマーに変身したパラドクスの拳も確実にヒースクリフの胸に抉りこむように叩き込まれていた。
だが2人の手に伝わるのは、分厚いゴムを殴ったかのような手ごたえの無さだけだ。
「威力はすさまじい。攻撃力で言えば『4凶』との戦いでも十分に有効だろう。
今のメラであろうと、君たちの攻撃を受けてノーダメージではいられないはずだ。」
「ノーダメージで言うセリフかよ。
なんか仕掛けがありやがるな。ギミックボスか。」
「耐久力(タフネス)や防御力(ディフェンス)じゃねえな。
ただ硬いだけじゃ、こんな絶縁体に雷を通すみてえな無為(シャバ)い手ごたえにはならねえ。」
「ほう。流石に目ざとい。
無論、仕掛けがある。君たちを相手に無傷を誇るなど、アバター性能とバグスターの力をもってしても不可能だとも。」
今のメラであろうと、君たちの攻撃を受けてノーダメージではいられないはずだ。」
「ノーダメージで言うセリフかよ。
なんか仕掛けがありやがるな。ギミックボスか。」
「耐久力(タフネス)や防御力(ディフェンス)じゃねえな。
ただ硬いだけじゃ、こんな絶縁体に雷を通すみてえな無為(シャバ)い手ごたえにはならねえ。」
「ほう。流石に目ざとい。
無論、仕掛けがある。君たちを相手に無傷を誇るなど、アバター性能とバグスターの力をもってしても不可能だとも。」
いつの間にか生成されていた禍々しい刃――デウスラッシャーが、パラドと右龍の目の前を横薙ぎに霞める。
かのデスゲームにて最強ギルドの長であった技量に恥じない、確実にHP(いのち)を赤く染める軌道。
卓越した戦闘勘でその一閃を難なく躱して見せた両者に、ヒースクリフはニヤリと嬉しそうに笑みを向けた。
かのデスゲームにて最強ギルドの長であった技量に恥じない、確実にHP(いのち)を赤く染める軌道。
卓越した戦闘勘でその一閃を難なく躱して見せた両者に、ヒースクリフはニヤリと嬉しそうに笑みを向けた。
「これを躱すか。流石に強いね。
クルーゼの馬鹿が『4凶』なんて用意した時はどうしたものかと思ったが、今にして思えばあのくらいの危険人物がいてもどうにかなるバランスだったのかもしれないね。」
「……ん。
それで今どうにもなってないから、貴方や私がここにいる。そうじゃない?」
クルーゼの馬鹿が『4凶』なんて用意した時はどうしたものかと思ったが、今にして思えばあのくらいの危険人物がいてもどうにかなるバランスだったのかもしれないね。」
「……ん。
それで今どうにもなってないから、貴方や私がここにいる。そうじゃない?」
ヒースクリフの背後に回り込んだシロコの姿は、キズナブラックから奪ったキズナブレスにより執着の装甲を纏っている。
深く腰を落とし抉りこむような右ストレートに、絆創膏を棘に固めた十のミサイルが追従する。
深く腰を落とし抉りこむような右ストレートに、絆創膏を棘に固めた十のミサイルが追従する。
「メラのことか。
それは本当に耳が痛い……なっ!!!」
それは本当に耳が痛い……なっ!!!」
音が爆ぜる。11の連撃で叩き込まれた爆風が周囲を狂わせ、ヒースクリフの体を大きく吹き飛ばす。
その攻撃でも、ヒースクリフは膝をつくことも無かったが。その左手に握られた盾に仮面の奥でパラドの口角がニヤリと上がる。
・・・・
「防いだな。
つまり、そのシロコって言う姉ちゃんの攻撃は、俺のとは違って喰らいたくなかったってことだ。効くんだろ。」
その攻撃でも、ヒースクリフは膝をつくことも無かったが。その左手に握られた盾に仮面の奥でパラドの口角がニヤリと上がる。
・・・・
「防いだな。
つまり、そのシロコって言う姉ちゃんの攻撃は、俺のとは違って喰らいたくなかったってことだ。効くんだろ。」
鬼の頸を取ったように、勝ち誇った声。
十字の大盾……イノセントコンカラーの奥で、ヒースクリフは忌々し気に眉間に皺を寄せた。
十字の大盾……イノセントコンカラーの奥で、ヒースクリフは忌々し気に眉間に皺を寄せた。
「お前の話を考えれば、キリトの攻撃も効くはずだ。
条件は分かんねえが、お前を倒せる条件は明確で意外と多い。
マルチプレイなのに特定の参加者じゃねえと倒せないラスボスなんて、白けることをするほど腐っちゃいねえってことか。」
条件は分かんねえが、お前を倒せる条件は明確で意外と多い。
マルチプレイなのに特定の参加者じゃねえと倒せないラスボスなんて、白けることをするほど腐っちゃいねえってことか。」
ヒースクリフとキリトには、並々ならぬ因縁がある。
パラドで例えるなら、天才ゲーマーの名を持つ小児科医であり、彼の生みの親との関係と似ているだろう。
そのような存在を、自身を攻略する戦争(ゲーム)においてないがしろにはしないだろうという確信が、パラドにはあった。
パラドで例えるなら、天才ゲーマーの名を持つ小児科医であり、彼の生みの親との関係と似ているだろう。
そのような存在を、自身を攻略する戦争(ゲーム)においてないがしろにはしないだろうという確信が、パラドにはあった。
パラドにとって最悪の想定は、キリトを初めとする数名の参加者……ルルーシュのような『贔屓の参加者』でなければヒースクリフには傷1つ付けられない可能性だ。
だがその可能性が今消えた。
ヒースクリフの『無敵』の条件が主義嗜好によるものならば、参加者じゃないシロコが条件を満たすことまずありえないはずだ。
条件は客観的で、揺らがない。
だがその可能性が今消えた。
ヒースクリフの『無敵』の条件が主義嗜好によるものならば、参加者じゃないシロコが条件を満たすことまずありえないはずだ。
条件は客観的で、揺らがない。
「だったら簡単だ。条件を探る必要もねえ。
お前に効く攻撃を、お前が負けるまで叩き込み続ければいい。……俺たちでな!」
『Get the glory in the chain! PERFECT PUZZLE!』
お前に効く攻撃を、お前が負けるまで叩き込み続ければいい。……俺たちでな!」
『Get the glory in the chain! PERFECT PUZZLE!』
ファイターゲーマーレベル50から、パズルゲーマーレベル50へと。
闘志をむき出しにした赤い拳が、蒼く整然とした頭脳の戦士へと変わり、その指先が指揮棒を振るうように空を撫でる。
その指が手繰るのは、多様なマークの描かれたカラフルなコイン――エナジーアイテム。
闘志をむき出しにした赤い拳が、蒼く整然とした頭脳の戦士へと変わり、その指先が指揮棒を振るうように空を撫でる。
その指が手繰るのは、多様なマークの描かれたカラフルなコイン――エナジーアイテム。
「ユフィリア!!」
『分身!』
『分身!』
弾くような動きと共に、パラドが投げ入れたエナジーアイテムがユフィリアの中に入り込む。
サタンサーベルを構えた白銀の令嬢の体にノイズが走ったかと思えば、10を超えたユフィリアが彼女の横一列に並び、全く同じ構えで剣をヒースクリフに向ける。
『分身』のエナジーアイテムで増えた己の姿にユフィリアはまず目を丸くしたが。すぐにその意図を理解して切っ先に魔力を込めた。
サタンサーベルを構えた白銀の令嬢の体にノイズが走ったかと思えば、10を超えたユフィリアが彼女の横一列に並び、全く同じ構えで剣をヒースクリフに向ける。
『分身』のエナジーアイテムで増えた己の姿にユフィリアはまず目を丸くしたが。すぐにその意図を理解して切っ先に魔力を込めた。
(今の私がすべきことは、ヒースクリフへの有効打を探すこと!――であれば!!)
火・水・風・地・光・闇。
魔法における基本属性など当たり前のように使いこなせるユフィリアは、攻撃の『多様性』という点では参加者内でも指折りだ。
揺らぎ。集まり。迸る。ユフィリア・マゼンタという天才の名の元に形を変えた色とりどりの魔力が、各々の分身ユフィリアの握るサタンサーベルの切っ先に宿り、形を成し――放たれる。
魔法における基本属性など当たり前のように使いこなせるユフィリアは、攻撃の『多様性』という点では参加者内でも指折りだ。
揺らぎ。集まり。迸る。ユフィリア・マゼンタという天才の名の元に形を変えた色とりどりの魔力が、各々の分身ユフィリアの握るサタンサーベルの切っ先に宿り、形を成し――放たれる。
「「「「「「■■■■」」」」」」
一切のズレなく告げられた10を超える詠唱が聞き取れなかったのは、全ての攻撃が『属性』も『形状』も一致していなかったからに他ならない。
炎の球。風の矢。水の刃。エトセトラエトセトラ。
それらすべてが完璧な軌道を持って、ミサイルのようにヒースクリフに襲い掛かる。
いかなる属性耐性も形状耐性も貫通するだろう多彩な技が、虹のように空を駆ける。
さしものヒースクリフも『美しい』という感想を抱きそうな攻撃だが、そんなことをしている場合ではないのは彼自身がよく分かっている。
炎の球。風の矢。水の刃。エトセトラエトセトラ。
それらすべてが完璧な軌道を持って、ミサイルのようにヒースクリフに襲い掛かる。
いかなる属性耐性も形状耐性も貫通するだろう多彩な技が、虹のように空を駆ける。
さしものヒースクリフも『美しい』という感想を抱きそうな攻撃だが、そんなことをしている場合ではないのは彼自身がよく分かっている。
「過激なことをする。無駄だと言いたいが、『君の攻撃』もこの体には効いてしまうからね。
こちらも、攻め手を変えるとしよう。」
こちらも、攻め手を変えるとしよう。」
頭上にまで差し掛かる魔道の虹。
直撃する寸前に、ヒースクリフが構えたのは盾ではなく剣のほうだった。
直撃する寸前に、ヒースクリフが構えたのは盾ではなく剣のほうだった。
「金型(ジョブ)変更。騎兵(ライダー)から剣士(セイバー)。
起動宝具を『勇者の不凋花(アンドレアス・アマラントス)』から変更。……設定完了。」
起動宝具を『勇者の不凋花(アンドレアス・アマラントス)』から変更。……設定完了。」
盾を消し去ったヒースクリフの両腕が、デウスラッシャーを構える。
多数の属性が打ち消し合わず重なり合う、嵐の只中に居るような空気を前にして。ヒースクリフは頭上を見上げてニヤリと笑った。
デウスラッシャーの切っ先に、赤い光を纏わせて――
多数の属性が打ち消し合わず重なり合う、嵐の只中に居るような空気を前にして。ヒースクリフは頭上を見上げてニヤリと笑った。
デウスラッシャーの切っ先に、赤い光を纏わせて――
「『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』」
ソラを斬った。
切っ先から撃ちだされる赤い稲妻が、降り注ぐユフィリアの魔法の一切を飲み込んで赤い柱のように撃ち放たれる。
近場に立つ幻夢コーポレーションのビルよりもなお高くまで迸る一撃が黄昏の中に呑み込まれる。
流石の一撃に参加者たちも、驚愕に目を丸くして皆一様に空を見上げた。
切っ先から撃ちだされる赤い稲妻が、降り注ぐユフィリアの魔法の一切を飲み込んで赤い柱のように撃ち放たれる。
近場に立つ幻夢コーポレーションのビルよりもなお高くまで迸る一撃が黄昏の中に呑み込まれる。
流石の一撃に参加者たちも、驚愕に目を丸くして皆一様に空を見上げた。
「マジかよ……。」
「キリトからメラの話を聞いちゃいたが、マジで創作(フィクション)の世界だなコイツは。」
「キリトからメラの話を聞いちゃいたが、マジで創作(フィクション)の世界だなコイツは。」
そう口々にぼやく一同だが、次第に空を見る彼らの目がある一点に集まっていく。
まず五道化として改造されているシロコ、次いで右龍とパラド。そして一番最後に気づいたユフィリアが、雲間に隠れた存在を見て呟いた。
まず五道化として改造されているシロコ、次いで右龍とパラド。そして一番最後に気づいたユフィリアが、雲間に隠れた存在を見て呟いた。
「弓を構えた――ロボットの一団?」
その言葉に反応したのか、或いは視線に気づいたのか。
モビルスーツ……グレイズ部隊の幾つかが、真下の参加者にモノアイを光らせた。
モビルスーツ……グレイズ部隊の幾つかが、真下の参加者にモノアイを光らせた。
「……クルーゼの横槍か。下らない真似を。」
茅場が忌々し気にぼやく。
彼にしてみれば、ギラ・ハスティーを始末してしまったことに悔いはあれ、殺し合いの上限を突破してただ一人で他の参加者を皆殺しに出来かねないメラの排除に動いたことは、ゲームバランス上必要だったと自負している。
運営権限を剥奪されたこと、NPCに落ちたこと。それ自体に一切の不満はなく、むしろ運営として正しい判断だったと思っているが。
仮にも運営戦……想定されたラスボス戦に直接妨害を入れるというのは、ヒースクリフとしては許しがたい。
彼にしてみれば、ギラ・ハスティーを始末してしまったことに悔いはあれ、殺し合いの上限を突破してただ一人で他の参加者を皆殺しに出来かねないメラの排除に動いたことは、ゲームバランス上必要だったと自負している。
運営権限を剥奪されたこと、NPCに落ちたこと。それ自体に一切の不満はなく、むしろ運営として正しい判断だったと思っているが。
仮にも運営戦……想定されたラスボス戦に直接妨害を入れるというのは、ヒースクリフとしては許しがたい。
「その『魔剣』に手を掛けた時点で、君も私と大差ないことに気づいていないのか?」
その言葉に反応するかのように。上空に座していた光がひときわ強く輝いた。
◆
『赤枝逆徒のヒースクリフからの目視を確認。』
『隠匿失敗。対象にこちらの存在が認知されました。』
『隠匿失敗。対象にこちらの存在が認知されました。』
『執行順序変動。ダインスレイヴ射出準備に移行します。』
『――照合完了。
・・・・・・・・・・
全参加者、憂慮・庇護の必要なし。
以下本作戦上の参加者・特殊固体の生死に関する重要度を最低に修正します。』
・・・・・・・・・・
全参加者、憂慮・庇護の必要なし。
以下本作戦上の参加者・特殊固体の生死に関する重要度を最低に修正します。』
『シークエンス移行完了。認識修正変更完了。
特殊固体:仮面ライダークロノスへの通達完了。』
特殊固体:仮面ライダークロノスへの通達完了。』
『ラウ・ル・クルーゼとの契約に乗っ取り、ヒースクリフ抹殺を目的とした発射を実行します。』
『ダインスレイヴ。第一群。全弾発射。』
◆
ユフィリアや右龍たちが攻勢に転じ、ダインスレイヴが撃ちだされるまでの攻防の最中。
戦闘域から少しは離れた場所に、キリトの姿はあった。
膝をつき、荒々しく息を吐きだし、わなわなと震えたまま黒の剣士は動けずにいた。
戦闘域から少しは離れた場所に、キリトの姿はあった。
膝をつき、荒々しく息を吐きだし、わなわなと震えたまま黒の剣士は動けずにいた。
ヒースクリフは決して平等でも公平でもない人物だが、ゲームに対しては真摯な男だ。
ヒースクリフと刃を向ける参加者は一人残らず放送の内容を十全に理解し、飲み込む時間が与えられていた。
だから、この場の者たちは先の放送を聞いている。
ヒースクリフが運営から脱落したことも、呪血の忍者の片割れが脱落していることも、邪悪の王が確実に死んだことも、全てを認知し理解している。
キリトの縁者たちがたった6時間でほとんど全員死んだことも、キリトは知っている。知ってしまっている。
ヒースクリフと刃を向ける参加者は一人残らず放送の内容を十全に理解し、飲み込む時間が与えられていた。
だから、この場の者たちは先の放送を聞いている。
ヒースクリフが運営から脱落したことも、呪血の忍者の片割れが脱落していることも、邪悪の王が確実に死んだことも、全てを認知し理解している。
キリトの縁者たちがたった6時間でほとんど全員死んだことも、キリトは知っている。知ってしまっている。
放送が終わってから、キリトは膝をついて項垂れたまま動けずにいた。
そんな状況ではないことを、頭では理解している。
黒幕であるヒースクリフとの戦いは既に始まってしまった。
最もヒースクリフを知るキリトだからこそ、この戦列に加わらねばならないと頭では理解していても、心が動くことを許さない。
そんな状況ではないことを、頭では理解している。
黒幕であるヒースクリフとの戦いは既に始まってしまった。
最もヒースクリフを知るキリトだからこそ、この戦列に加わらねばならないと頭では理解していても、心が動くことを許さない。
キリトは、いついかなる時も心(メンタル)を鍛えた忍者とは違う。
電脳の英雄とはいえその精神は20にも満たない青年で、親友と妹と恋人の死を同時に受け止めるには、まだ時間が必要だった。
電脳の英雄とはいえその精神は20にも満たない青年で、親友と妹と恋人の死を同時に受け止めるには、まだ時間が必要だった。
「……ちくしょう!」
「キリトおにーさん……。」
「キリトおにーさん……。」
唇を噛み締める黒の剣士になんと声をかけたらいいか。朝比奈まふゆには分からない。
彼女にしてみれば、ギラ・ハスティー1人が死んだだけで胸が張り裂けるように痛いのだ。
その背中が示した勇気と決意が、少女の震えを止めているだけだ。
彼女にしてみれば、ギラ・ハスティー1人が死んだだけで胸が張り裂けるように痛いのだ。
その背中が示した勇気と決意が、少女の震えを止めているだけだ。
(おにーさん)
彼には時間が必要だ。
現実を受け入れる時間。喪失を闘志に変えるための時間が。
そう結論付けた朝比奈まふゆは、牙の勇者の鎧を纏いキリトの傍らに立っていた。
ただ、その理由がキリトを守るためのものだけだったのかと問われると、まふゆには肯定できない気がした。
現実を受け入れる時間。喪失を闘志に変えるための時間が。
そう結論付けた朝比奈まふゆは、牙の勇者の鎧を纏いキリトの傍らに立っていた。
ただ、その理由がキリトを守るためのものだけだったのかと問われると、まふゆには肯定できない気がした。
(ぎらおにいちゃん。)
ヒースクリフが手に掛けた邪悪の王の死は、レジスターが壊れビルの上階から落ちたとしても実感がない。
これまでのまふゆの人生に縁遠いはずの『死』の実感。
パラドから懇々と訴えられた恐怖を前に、まふゆもやはり泣きたい気持ちでいっぱいだ。
誰にも死んでほしくない。自分だって死にたくない。ギラが死んだことだって、ほんとはわんわんと泣きじゃくりたい。
これまでのまふゆの人生に縁遠いはずの『死』の実感。
パラドから懇々と訴えられた恐怖を前に、まふゆもやはり泣きたい気持ちでいっぱいだ。
誰にも死んでほしくない。自分だって死にたくない。ギラが死んだことだって、ほんとはわんわんと泣きじゃくりたい。
そんな時間が無いことは、まふゆだって知っている。
だからせめて、ギラのように誰かを守ろうとしたのだろうか。
悲しみを共感してくれる誰かに、傍にいてほしかったのだろうか。
だからせめて、ギラのように誰かを守ろうとしたのだろうか。
悲しみを共感してくれる誰かに、傍にいてほしかったのだろうか。
まふゆにはその感情を言語化できるほどの経験も無ければ知識も無い。
ただ一つ確実なことは……その感情のままにキリトの傍にいたことで、まふゆの頭上に魔剣が降ることは無かったということだ。
ただ一つ確実なことは……その感情のままにキリトの傍にいたことで、まふゆの頭上に魔剣が降ることは無かったということだ。
キラリと空が瞬いた。
その正体がなんであるかなど、P.D.(ポスト・ディザスター)の戦史もモビルスーツによる戦場も知らぬ朝比奈まふゆには分からない。
ただ眼前から轟く轟音とその衝撃で砕ける大地を巻き上げる暴風が、いやがおうにも攻撃のすさまじさを物語っていた。
その正体がなんであるかなど、P.D.(ポスト・ディザスター)の戦史もモビルスーツによる戦場も知らぬ朝比奈まふゆには分からない。
ただ眼前から轟く轟音とその衝撃で砕ける大地を巻き上げる暴風が、いやがおうにも攻撃のすさまじさを物語っていた。
「パラド!!ユフィリアおねえちゃん!!」
仲間を呼ぶ少女の叫びは瓦礫を巻き上げた風の音でかき消される。
キョウリュウレッドの装甲のおかげで舞い上がった瓦礫はまふゆの体を傷つけない。
だが、目の前で起きた惨劇は、痛み以上の最悪をまふゆに想定させるには十分だった。
キョウリュウレッドの装甲のおかげで舞い上がった瓦礫はまふゆの体を傷つけない。
だが、目の前で起きた惨劇は、痛み以上の最悪をまふゆに想定させるには十分だった。
止み始めた風が徐々に視界を開かせて、まず目に飛び込んだのは抉り飛ばされた大地の惨状。
半径10mを優に超えるクレーターは、隕石が落ちたかのように赤熱し、不快な熱と焼け焦げた臭気をあたり一帯に撒き散らしている。
そのクレーターの端で、黒い球体がもぞもぞと蠢いた。
それが黒い絆創膏の塊だったと、キリトとまふゆが気づく頃。ゆっくりと開かれた球の中から参加者たちは姿を見せた。
半径10mを優に超えるクレーターは、隕石が落ちたかのように赤熱し、不快な熱と焼け焦げた臭気をあたり一帯に撒き散らしている。
そのクレーターの端で、黒い球体がもぞもぞと蠢いた。
それが黒い絆創膏の塊だったと、キリトとまふゆが気づく頃。ゆっくりと開かれた球の中から参加者たちは姿を見せた。
「助かりましたシロコさん。」
「ん……『鋼鉄化』のエナジーアイテムが間に合わななかったら不味かった。」
「というか、右龍のオッサンよく間に合ったな。結構離れてたろ。」
「危機(ヤべ)えってことは分かってたからな。守りに動いたのが僥倖(ラッキー)だったっつーべきか。」
「ん……『鋼鉄化』のエナジーアイテムが間に合わななかったら不味かった。」
「というか、右龍のオッサンよく間に合ったな。結構離れてたろ。」
「危機(ヤべ)えってことは分かってたからな。守りに動いたのが僥倖(ラッキー)だったっつーべきか。」
そんな会話を交わしていたが、参加者たちの変身は揃って解けていた。
キズナブラックの力と鋼鉄化のエナジーアイテムで防いだ力。
だがその威力でさえ、ダインスレイヴの威力を知るクルーゼやルルーシュが見れば『十全』とは程遠い。
グレイズ部隊が撃ちだした”初撃”の威力はが十全のモノではなかったのだとまふゆが知るのは、吹きすさんだ風が完全に静まったのち、クレーターの中央にいる男が口を開いたときだった。
キズナブラックの力と鋼鉄化のエナジーアイテムで防いだ力。
だがその威力でさえ、ダインスレイヴの威力を知るクルーゼやルルーシュが見れば『十全』とは程遠い。
グレイズ部隊が撃ちだした”初撃”の威力はが十全のモノではなかったのだとまふゆが知るのは、吹きすさんだ風が完全に静まったのち、クレーターの中央にいる男が口を開いたときだった。
「どうせ聞いているだろうから。君が聞きたいだろうことを教えておこう。
私を追い詰めた参加者たちへの報酬という意味も込めてね。」
私を追い詰めた参加者たちへの報酬という意味も込めてね。」
そう語るヒースクリフの手に握られているのは剣でも盾でもなかった。
ヒースクリフの身長ほどの高さの、飾り気のない大弓。その視線の先には次のダインスレイヴを装填しようと動いているグレイズ部隊だ。
ヒースクリフの身長ほどの高さの、飾り気のない大弓。その視線の先には次のダインスレイヴを装填しようと動いているグレイズ部隊だ。
「私の権能の1つとして用立てた物。それは聖杯大戦に集った『赤の英霊』たちの宝具の再現だ。
最初に使っていたのは赤のライダー……ギリシアの大英雄が誇る不死の肉体。多少のデチューンは施されているが、条件を満たさない攻撃を100%シャットアウトする。
次に使ったのは赤のセイバー。反逆の騎士の一撃だ。これは支給品でも出ていたから分かるだろう。
もっとも、君が世界史に詳しいかどうかは知らんがね。ナチュラルの伝承をせこせこ学ぶようなタイプではあるまい。」
最初に使っていたのは赤のライダー……ギリシアの大英雄が誇る不死の肉体。多少のデチューンは施されているが、条件を満たさない攻撃を100%シャットアウトする。
次に使ったのは赤のセイバー。反逆の騎士の一撃だ。これは支給品でも出ていたから分かるだろう。
もっとも、君が世界史に詳しいかどうかは知らんがね。ナチュラルの伝承をせこせこ学ぶようなタイプではあるまい。」
ここにいない男へと語りながら、番えた弓には徐々に矢が生成される。
この場の参加者たちには知らぬことだが――その形状はダインスレイヴの特殊弾頭によく似ていた。
この場の参加者たちには知らぬことだが――その形状はダインスレイヴの特殊弾頭によく似ていた。
「そして先ほどの兵器と打ち合ったのが『赤のアーチャー』。俊足を誇る狩人の弓だ。
だからせっかくのダインスレイヴも弾幕も、『たった10mぽっちのクレーター』程度で済んでいるわけだ。
まあ、君の切り札がこの程度なわけもないだろうがね。」
だからせっかくのダインスレイヴも弾幕も、『たった10mぽっちのクレーター』程度で済んでいるわけだ。
まあ、君の切り札がこの程度なわけもないだろうがね。」
ニヤリと勝ち誇ったような笑みを浮かべたヒースクリフの手の中で、矢弾の装填が終わった。
その目に映るモビルスーツの一団は、着々と砲弾を構えエネルギーを溜めているが……間に合わない。
その目に映るモビルスーツの一団は、着々と砲弾を構えエネルギーを溜めているが……間に合わない。
『現状確認:破壊規模、想定の36%
赤枝逆徒のヒースクリフ 生存を確認。損傷皆無。
ダインスレイヴ第2弾幕。発射まであと12――』
「遅い。
――『訴状の矢文(ポイボス・カタストロフェ)』」
赤枝逆徒のヒースクリフ 生存を確認。損傷皆無。
ダインスレイヴ第2弾幕。発射まであと12――』
「遅い。
――『訴状の矢文(ポイボス・カタストロフェ)』」
俊足の狩人が必殺の、天穹の弓による一斉照射。
一撃の威力はダインスレイヴのそれに負けていない速度で空を穿つ一撃が、グレイズ部隊の目の前で無数の光の雨となりさかしまに降り注ぐ。
一撃の威力はダインスレイヴのそれに負けていない速度で空を穿つ一撃が、グレイズ部隊の目の前で無数の光の雨となりさかしまに降り注ぐ。
もしこの一撃を放ったのが参加者のソードスキルであるならば、よくて半壊程度ではあっただろう。
だが、零落したとはいえ運営の――ことソードスキルに関しては最も卓越したヒースクリフの再現は、オリジナルの威力にほど近い。
地上から放たれた鋼の暴風雨がグレイズ部隊を一機残らず粉々に打ち砕き、代わりのように残骸の雨がクレーターへと降り注いだ。
ダインスレイヴを討ち放つことも出来ずグレイズ部隊は一体残らず粉々に打ち砕け、浮力を失った残骸の雨が地上へと砕けて落ちていく。
その全てが既に兵器としては使い物にならないガラクタだが、ある一機グレイスの手元には、第二のダインスレイヴが番えられた弓型の武装が握られており。
既に持ち主も無く、撃たれることのないはずのその武器が――
だが、零落したとはいえ運営の――ことソードスキルに関しては最も卓越したヒースクリフの再現は、オリジナルの威力にほど近い。
地上から放たれた鋼の暴風雨がグレイズ部隊を一機残らず粉々に打ち砕き、代わりのように残骸の雨がクレーターへと降り注いだ。
ダインスレイヴを討ち放つことも出来ずグレイズ部隊は一体残らず粉々に打ち砕け、浮力を失った残骸の雨が地上へと砕けて落ちていく。
その全てが既に兵器としては使い物にならないガラクタだが、ある一機グレイスの手元には、第二のダインスレイヴが番えられた弓型の武装が握られており。
既に持ち主も無く、撃たれることのないはずのその武器が――
『ポーズ』
『リスタート』
次の瞬間、ヒースクリフに『着弾』していた。
「ぐっ……!!」
高硬度レアアロイの弾道が脇腹を抉り飛ばし、ヒースクリフは呻きながわわずかによろめく。飛び散った血にバグスター特有のノイズが走っている。
その傷はバグスターの再生力ですぐに復元されていくが、有効打であることには変わりない。ヒースクリフは眉間に皺をよせその矢を放った存在を睨みつける。
ヒースクリフだけではない、ダインスレイヴの一撃をかろうじて凌いだ者たちも、その光景を見ていた者たちも、明らかな闖入者に皆ヒースクリフと同じ方向に目を向けた。
その傷はバグスターの再生力ですぐに復元されていくが、有効打であることには変わりない。ヒースクリフは眉間に皺をよせその矢を放った存在を睨みつける。
ヒースクリフだけではない、ダインスレイヴの一撃をかろうじて凌いだ者たちも、その光景を見ていた者たちも、明らかな闖入者に皆ヒースクリフと同じ方向に目を向けた。
「……。」
向けられる視線を前に、黒と緑に彩られた無感情な仮面は周囲を見渡すと手にした武器を投げ捨てた。ダインスレイヴの射出機たる巨大な弓だ。
彼のしたことは至極簡単。
ヒースクリフの一撃で砕け落ちた残骸から矢の装填されたダインスレイヴをつかみ取ると、膂力に任せて撃ち出しただけだ。
無論そんなことを実行することは普通は不可能。
無数の瓦礫の合間に落ちる弓を狙って掴み、瓦礫1つも掠ることなく落下地帯を脱出し、一連の過程を誰にも気づかれることなく完遂する。
彼のしたことは至極簡単。
ヒースクリフの一撃で砕け落ちた残骸から矢の装填されたダインスレイヴをつかみ取ると、膂力に任せて撃ち出しただけだ。
無論そんなことを実行することは普通は不可能。
無数の瓦礫の合間に落ちる弓を狙って掴み、瓦礫1つも掠ることなく落下地帯を脱出し、一連の過程を誰にも気づかれることなく完遂する。
さながら降りしきる豪雨の中1つの雨粒を握りしめ、しかし一切濡れることなく屋根の下にまで逃げ込むような。
神業どころでない難易度も、時間を止めれば行える。
神業どころでない難易度も、時間を止めれば行える。
その存在の名を読んだのは、かつてその男に仲間を殺されたバグスターの青年だった。
「クロノス……」
「……。」
「成程、君が二の矢か。
今の一撃を見るに、私以外を狙わないようなプロテクト程度はかかっているとみていいんだろうね?」
「……。」
「成程、君が二の矢か。
今の一撃を見るに、私以外を狙わないようなプロテクト程度はかかっているとみていいんだろうね?」
ヒースクリフの言葉に、クロノスは答えない。
ラウ・ル・クルーゼの手で復元された檀正宗には、発話能力など存在しない。必要とされていない。
ただ、命令通りにヒースクリフを殺す機能があればいい。
そう表明するかのようにクロノスの手にはダインスレイヴに変わって新たな武装が握られていた。玩具のようなボタンの突いたハンドガンだ。
ラウ・ル・クルーゼの手で復元された檀正宗には、発話能力など存在しない。必要とされていない。
ただ、命令通りにヒースクリフを殺す機能があればいい。
そう表明するかのようにクロノスの手にはダインスレイヴに変わって新たな武装が握られていた。玩具のようなボタンの突いたハンドガンだ。
『ガシャコンマグナム!!』
「それが答えか。
殺した私の台詞ではないが、つくづく君も哀れだね。檀正宗。
――金型(ジョブ)変更。弓兵(アーチャー)から槍兵(ランサー)へ。」
「それが答えか。
殺した私の台詞ではないが、つくづく君も哀れだね。檀正宗。
――金型(ジョブ)変更。弓兵(アーチャー)から槍兵(ランサー)へ。」
赤のランサー 印度の施しの英雄。
その技量を元に手にした弓を黄金の槍に再錬成したヒースクリフは、一定のペースで歩み寄りながら撃ちだされるガシャコンマグナムの銃撃を弾き飛ばす。
抉れた大地を歩むクロノスの姿。
その体がヒースクリフの槍の射程に収まると同時に――
その技量を元に手にした弓を黄金の槍に再錬成したヒースクリフは、一定のペースで歩み寄りながら撃ちだされるガシャコンマグナムの銃撃を弾き飛ばす。
抉れた大地を歩むクロノスの姿。
その体がヒースクリフの槍の射程に収まると同時に――
『ポーズ』
世界からクロノスの姿が消えた。
仮面ライダークロノスにとって、ガシャコンウェポンの精製などオマケ能力でしかない。
その神髄は時の神の名を冠する通り、時を止めることにある。
ハイパームテキなき会場においてその能力に対抗できるのは、体内にゲムデウスの力を宿したグラファイトか、同一の能力を持つ一部の参加者に限られる。
その神髄は時の神の名を冠する通り、時を止めることにある。
ハイパームテキなき会場においてその能力に対抗できるのは、体内にゲムデウスの力を宿したグラファイトか、同一の能力を持つ一部の参加者に限られる。
ヒースクリフは、その限りに該当しない。
宝剣デウスラッシャーという形でゲムデウスの力を一部有してはいるものの、ポーズの力を妨げられるようなものではない。
それは、ヒースクリフのなかに宿るバグスターが”仮面ライダークロニクルとは無関係な存在”であることも理由であるが、どちらにせよ今のヒースクリフにポーズの対処は不可能だ。
宝剣デウスラッシャーという形でゲムデウスの力を一部有してはいるものの、ポーズの力を妨げられるようなものではない。
それは、ヒースクリフのなかに宿るバグスターが”仮面ライダークロニクルとは無関係な存在”であることも理由であるが、どちらにせよ今のヒースクリフにポーズの対処は不可能だ。
「……。」
難易度MAX。
クルーゼの手でオリジナルのクロノスに肉薄するレベルの脅威度として用意されたクロノスは、その現状を正しく理解し、最適な行動を選択する。
変わらぬ速度でヒースクリフへと距離を詰めながら、20発ほどガシャコンマグナムの引き金を引き、ガシャコンマグナムを投げ捨てる。
ヒースクリフの周囲全方位にコイン型のエネルギー弾が生み出されたことを確認した彼は、そのままドライバーを起動して右足をわずかに引き、勢いよく蹴り上げる。
クルーゼの手でオリジナルのクロノスに肉薄するレベルの脅威度として用意されたクロノスは、その現状を正しく理解し、最適な行動を選択する。
変わらぬ速度でヒースクリフへと距離を詰めながら、20発ほどガシャコンマグナムの引き金を引き、ガシャコンマグナムを投げ捨てる。
ヒースクリフの周囲全方位にコイン型のエネルギー弾が生み出されたことを確認した彼は、そのままドライバーを起動して右足をわずかに引き、勢いよく蹴り上げる。
『キメワザ』
『クリティカルクルセイド』
『クリティカルクルセイド』
狙うは頸。
地面に描かれた時計のような陣が針を回し、12時の鐘を鳴らすように止まった時の中敵を殺す。
ラヴリカバグスターを止まった時の世界で葬った技を、クロノスは確かにヒースクリフに見舞い。
地面に描かれた時計のような陣が針を回し、12時の鐘を鳴らすように止まった時の中敵を殺す。
ラヴリカバグスターを止まった時の世界で葬った技を、クロノスは確かにヒースクリフに見舞い。
『リスタート』
時が動くと同時に、その威力は一気に世界の法則を取り戻す。
120tを超える威力で首を穿ち、20を超える必殺の光弾が確実にその肉体を粉々に討ち滅ぼす。
一瞬で起きた事態を正しく理解できたのは、クロノスの脅威を知るパラドだけだ。
120tを超える威力で首を穿ち、20を超える必殺の光弾が確実にその肉体を粉々に討ち滅ぼす。
一瞬で起きた事態を正しく理解できたのは、クロノスの脅威を知るパラドだけだ。
「マジかよ……」
シロコの生み出したクトゥルーの防壁の下で、その一撃にパラドは声を震わせる。
未だ彼は恐怖のすべてに打ち勝ったわけではない。
己に『死』の恐怖を突き付けた一撃。パラドにとって最悪の記憶を前にして――
未だ彼は恐怖のすべてに打ち勝ったわけではない。
己に『死』の恐怖を突き付けた一撃。パラドにとって最悪の記憶を前にして――
「なんであれを受けて……無事なんだよ。ヒースクリフ!!!」
・・・・・・・・
それでも死なない運営に、心の底から恐怖していた。
・・・・・・・・
それでも死なない運営に、心の底から恐怖していた。
厳密に言えばヒースクリフとて無傷ではない。
蹴り飛ばされた首は遠目から見てもへこんでいたし、20を超える光弾のうち半分はその体を抉っている。
だがその全てが――致命傷ではない。
蹴り飛ばされた首は遠目から見てもへこんでいたし、20を超える光弾のうち半分はその体を抉っている。
だがその全てが――致命傷ではない。
「無事ではないさ。ゲーム的に言えば私のHPは確実に削れている。」
「ただね。」そう前置きしたヒースクリフは、目の前の仮面ライダーの心臓部に手にした槍を静かに突き刺す。
黒と緑の光沢に覆われた外装が砕け、貫かれた穴からどろりと濁ったものが溢れ、禍々しく濡れた切っ先が鈍く光った。
黒と緑の光沢に覆われた外装が砕け、貫かれた穴からどろりと濁ったものが溢れ、禍々しく濡れた切っ先が鈍く光った。
「クロノスの危険性を知ってるのは君だけではないんだ。
当然対策している。
・・・・・・・・・
本命は別ではあるが、クロノスのようなイレギュラーを対策できることも、『赤のサーヴァント』の権能を選んだ理由の1つでもあるからね。」
当然対策している。
・・・・・・・・・
本命は別ではあるが、クロノスのようなイレギュラーを対策できることも、『赤のサーヴァント』の権能を選んだ理由の1つでもあるからね。」
赤のサーヴァント。とりわけランサーとライダーは際立って強力な英霊である。
今回、ヒースクリフの命を救ったのはランサーの宝具。『日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ&クンダーラ)』。
大英雄の持つ黄金の鎧は、物理・概念を問わずあらゆる敵対干渉を削減する。
ヒースクリフはこの能力を、『能力に問わないパッシブの割合軽減スキル』として運用している。
今回、ヒースクリフの命を救ったのはランサーの宝具。『日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ&クンダーラ)』。
大英雄の持つ黄金の鎧は、物理・概念を問わずあらゆる敵対干渉を削減する。
ヒースクリフはこの能力を、『能力に問わないパッシブの割合軽減スキル』として運用している。
パッシブスキルならば当然――時が止まった最中でも有効だ。
「私が言えた義理ではないが、何度も死んだり生き返ったり参加者より強かったりしたら、NPCの領分を超えすぎているだろう。
君はもう絶版――いや、不採用だよ。」
君はもう絶版――いや、不採用だよ。」
心臓を貫いた槍を力任せに引き上げ、クロノスの装甲が嫌な音を立てて砕け散った。
変身どころか生命も維持できなくなった檀正宗は、胸から上を真っ二つに両断されたまま赤い泡を吹いてたクレーターの中に転がり落ちる。
その頭を踏み潰すと、ヒースクリフは視線を遠くに向ける。
その目はキリトとまふゆのいる方角を見つめていたが、朝比奈まふゆはその目が自分には向けられていないのだとはっきりと理解できた。
変身どころか生命も維持できなくなった檀正宗は、胸から上を真っ二つに両断されたまま赤い泡を吹いてたクレーターの中に転がり落ちる。
その頭を踏み潰すと、ヒースクリフは視線を遠くに向ける。
その目はキリトとまふゆのいる方角を見つめていたが、朝比奈まふゆはその目が自分には向けられていないのだとはっきりと理解できた。
「さて、キリト君。
下らない横槍こそあったが、ここまで亡失鎮魂を含め君の仲間がこうも奮戦したことは私としてはかなり満足している。
だがやはり、その中に君がいないというのは、私としては我慢できない。」
下らない横槍こそあったが、ここまで亡失鎮魂を含め君の仲間がこうも奮戦したことは私としてはかなり満足している。
だがやはり、その中に君がいないというのは、私としては我慢できない。」
檀正宗の死体の腰からデバイスを強引に引きちぎり、自身の腕へと取り付ける。
バグスターか完全な抗体保持者でなければ扱えないデバイスを扱うことの問題など今の彼にはない。
バグスターか完全な抗体保持者でなければ扱えないデバイスを扱うことの問題など今の彼にはない。
「私とて感情まで排したつもりはない。
知己の人間を慮る程度のことはできるつもりだし、アスナ君たちの死で摩耗した君と戦っても私にとっては意味がない。
だがすまないが、もう待つことはできなくなった。」
「ふざけないで!キリトの大切な人たちを殺し合いに巻き込んだのは……」
知己の人間を慮る程度のことはできるつもりだし、アスナ君たちの死で摩耗した君と戦っても私にとっては意味がない。
だがすまないが、もう待つことはできなくなった。」
「ふざけないで!キリトの大切な人たちを殺し合いに巻き込んだのは……」
自分でも驚くほどに、感情の籠った声が溢れた。
そんなまふゆをキリトは静止すると、どこか訝し気に歩み寄る男を睨み立ち上がる。
そんなまふゆをキリトは静止すると、どこか訝し気に歩み寄る男を睨み立ち上がる。
「……できなくなった?
まるでお前にとっても不本意みたいな言い方じゃないか。」
「さっきのクロノスを見ただろう。
あれは十中八九クルーゼの仕業だ。そして彼の兵力を考えれば、すぐさま次の抹殺部隊が送り込まれても不思議じゃない。
無論、NPCが束になっても敗けるつもりは毛頭ないが、その戦いの巻き添えで君たちが死んでしまっては興覚めだ。」
「お前……」
まるでお前にとっても不本意みたいな言い方じゃないか。」
「さっきのクロノスを見ただろう。
あれは十中八九クルーゼの仕業だ。そして彼の兵力を考えれば、すぐさま次の抹殺部隊が送り込まれても不思議じゃない。
無論、NPCが束になっても敗けるつもりは毛頭ないが、その戦いの巻き添えで君たちが死んでしまっては興覚めだ。」
「お前……」
張りつめていた空気が熱を帯びる。
ギラを殺したこと、そもそも特定の参加者を殺すために会場に降りたこと。
ヒースクリフの行った行為は、公平性も正当性も無い独善的なものだ。
元より参加者にとって、ヒースクリフは自分たちを殺し合いに巻き込んだ怨敵以外の何物でもない。
ギラを殺したこと、そもそも特定の参加者を殺すために会場に降りたこと。
ヒースクリフの行った行為は、公平性も正当性も無い独善的なものだ。
元より参加者にとって、ヒースクリフは自分たちを殺し合いに巻き込んだ怨敵以外の何物でもない。
「どの面下げて……と言われるのは分かるとも。
朝比奈まふゆの怒りは最もだし。その部分を開き直るつもりはない。
だがこのままでは、私を倒すという君たちの望みさえ正当な形では果たせない。
それは私とて本意ではない。仮にもこれはラスボス戦だ。
決してメラを倒すための前哨戦でもなければ、クルーゼの無粋に邪魔されていいイベントでもない。」
朝比奈まふゆの怒りは最もだし。その部分を開き直るつもりはない。
だがこのままでは、私を倒すという君たちの望みさえ正当な形では果たせない。
それは私とて本意ではない。仮にもこれはラスボス戦だ。
決してメラを倒すための前哨戦でもなければ、クルーゼの無粋に邪魔されていいイベントでもない。」
そういったヒースクリフの手には、既に弓は握られていない。
剣も槍も盾も無い。
がら空きになった両手を、胸の前で指を交差し重ね合わせる。
剣も槍も盾も無い。
がら空きになった両手を、胸の前で指を交差し重ね合わせる。
「そのために今から、舞台を変えさせてもらう。」
「舞台だと?」
「キミも知っている場所だとも。
――金型(ジョブ)変更。槍兵(ランサー)から暗殺者(アサシン)へ。
・・・・・・・・・・・
我が生得領域と心象風景を基とし、宝具『虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)』のアクセスを開始する。」
「舞台だと?」
「キミも知っている場所だとも。
――金型(ジョブ)変更。槍兵(ランサー)から暗殺者(アサシン)へ。
・・・・・・・・・・・
我が生得領域と心象風景を基とし、宝具『虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)』のアクセスを開始する。」
ニヤリと口角を上げ、ヒースクリフを中心に透明なエネルギーの奔流が巻き起こる。
彼が組み上げた指の形が『手印』と呼ばれるものであると知る者ならば。
あるいは、今は無き特級呪霊や古代の呪詛師。別の場所で黄金の暴君と渡り合っていた天与の暴君が居たならば。
ヒースクリフの仕様としていたことが、読めたことだろう。
彼が組み上げた指の形が『手印』と呼ばれるものであると知る者ならば。
あるいは、今は無き特級呪霊や古代の呪詛師。別の場所で黄金の暴君と渡り合っていた天与の暴君が居たならば。
ヒースクリフの仕様としていたことが、読めたことだろう。
だがもう遅い。
ユフィリア・パラド・右龍・シロコ・キリト・まふゆ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
彼らが気づかなかったもう一人も含め。その全身に冷たい夜風に吹かれる様な感覚が全身を襲う。
ユフィリア・パラド・右龍・シロコ・キリト・まふゆ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
彼らが気づかなかったもう一人も含め。その全身に冷たい夜風に吹かれる様な感覚が全身を襲う。
「領域展開。」
その言葉の意味を、この場の参加者は知らない。
ただ、とんでもない事が起きているという感覚が、この場に集った猛者たちの足を震わせ、仮面の無い顔に玉のような汗が浮かぶ。
ただ、とんでもない事が起きているという感覚が、この場に集った猛者たちの足を震わせ、仮面の無い顔に玉のような汗が浮かぶ。
「想剣征野・贋紅玉。」
重く響く声が伝わるのに合わせ、まず真っ先に空が変わった。
夜闇と黄昏に彩られていたはずの空が、”足元に”無数の雲がひしめくどこまでも広がる青空に。
夜闇と黄昏に彩られていたはずの空が、”足元に”無数の雲がひしめくどこまでも広がる青空に。
その中心には、巨大な建造物が浮かんでいた。
錆びた鉄で組みあがった楕円形の建造物は、目算でも幻夢コーポレーションの本社ビルよりもはるかに巨大。人によっては過去に見てきたあらゆる建物より大きいかもしれない。
それはある者には壺のように見え。またある者には繭のようにもみえ。ある者には出来の悪い玩具のようにみえた。
錆びた鉄で組みあがった楕円形の建造物は、目算でも幻夢コーポレーションの本社ビルよりもはるかに巨大。人によっては過去に見てきたあらゆる建物より大きいかもしれない。
それはある者には壺のように見え。またある者には繭のようにもみえ。ある者には出来の悪い玩具のようにみえた。
だが、キリトには分かる。
・・
あれは、城だ。
黒の剣士が生まれ、今は無き剣の世界。その残穢。その残骸。その残響。
・・
あれは、城だ。
黒の剣士が生まれ、今は無き剣の世界。その残穢。その残骸。その残響。
「アインクラッド……。」
親の仇のように忌々しく、もう戻れない故郷のように懐かしく。
あるいは、初めからここに来ることが分かっていたかのように、キリトは呟いた。
あるいは、初めからここに来ることが分かっていたかのように、キリトは呟いた。
「成程な、決着は然るべき場所――か。」
言いながらキリトの体は、吸い寄せられるようにアインクラッドへと引きつけられていく。
キリトだけではない。
右龍もユフィリアもまふゆもパラドもシロコも、誘い込まれるようにアインクラッドへと引き寄せられ、城の中へと吸い込まれた。
キリトだけではない。
右龍もユフィリアもまふゆもパラドもシロコも、誘い込まれるようにアインクラッドへと引き寄せられ、城の中へと吸い込まれた。
彼らは選ばれた。穢れ崩れた血盟の残骸に。
彼らは戦わねばならない。呪いと妄執の逝きつく剣の墓標にて。
彼らは戦わねばならない。呪いと妄執の逝きつく剣の墓標にて。
ゲームでも遊びでもない――殺し合いをするために。
彼らの体は黒鉄の城に吸い込まれ、全てが終わるまで出ることは叶わない。
彼らの体は黒鉄の城に吸い込まれ、全てが終わるまで出ることは叶わない。
舞台は、虚栄のアインクラッド。
その75階層。
アインクラッドが崩壊した、最後の決戦の地へと。
◆◇◆
時刻 6:20 幻夢コーポレーション社長室
アスラン・ザラらたちがその場所に飛ばされたのは、階下の戦闘の段階が切り替わるのとほとんど同じタイミングだ。
幻夢本社ビルの下層階どころか周囲のエリアを飲み込んで広がる漆黒の海には、流石のアスランたちも異常事態だと絶句する。
幻夢本社ビルの下層階どころか周囲のエリアを飲み込んで広がる漆黒の海には、流石のアスランたちも異常事態だと絶句する。
「……何、これ。」
「分からんが……関わり合いになりたいものではないな。」
「分からんが……関わり合いになりたいものではないな。」
沙耶香の疑問に具体的な答えを出せる者――『領域展開』という技術を知る者はこの中にはいないのだ。
だが同時に、眼下に広がる力をいいものだと軽視できる者もいなかった。
呪力――負の感情を元にしたエネルギーは、呪術に詳しくない彼らの知る中では、ルルーシュの扱うアークの力によく似ていた。
少なくとも、そんな力が満ち満ちた場所に足を踏み入れたいとは誰も思わない。
だが同時に、眼下に広がる力をいいものだと軽視できる者もいなかった。
呪力――負の感情を元にしたエネルギーは、呪術に詳しくない彼らの知る中では、ルルーシュの扱うアークの力によく似ていた。
少なくとも、そんな力が満ち満ちた場所に足を踏み入れたいとは誰も思わない。
「仮にこの黒いものがルルーシュの『アーク』と同質のものだとしてだ。
建物の下の階もこの力の範囲内だろう。階段やエレベーターを使うのは不味い。」
「となると、僕の『飛翔』とアスランのガンダムで、黒い物が見えなくなるまで飛んでいくしかないかな。
流石に会場全体がこんな黒いものに覆われているとは思えないし。」
「くっ……こんなときにプリンセスフォームが使えたら……」
「ないものねだりする余裕もないだろ。
この黒い物がこの部屋まで迫ってこない保証もないんだ。行くぞ。」
建物の下の階もこの力の範囲内だろう。階段やエレベーターを使うのは不味い。」
「となると、僕の『飛翔』とアスランのガンダムで、黒い物が見えなくなるまで飛んでいくしかないかな。
流石に会場全体がこんな黒いものに覆われているとは思えないし。」
「くっ……こんなときにプリンセスフォームが使えたら……」
「ないものねだりする余裕もないだろ。
この黒い物がこの部屋まで迫ってこない保証もないんだ。行くぞ。」
ジャスティスの装甲を纏うアスランがキャルを抱きかかえ。デクも沙耶香を背負って『浮遊』の個性を起動する。
砕けた窓ガラスから彼らが外に飛び出たのは、全く持って正しい選択だ。
飛翔能力を持つ者が2人揃い、階下の世界は未知の負のエネルギーで満たされている。
休息も悪手だが、下手に調査をする余裕も彼らにはない。
故にルルーシュとの合流を目指し飛び立った彼らの耳に。
砕けた窓ガラスから彼らが外に飛び出たのは、全く持って正しい選択だ。
飛翔能力を持つ者が2人揃い、階下の世界は未知の負のエネルギーで満たされている。
休息も悪手だが、下手に調査をする余裕も彼らにはない。
故にルルーシュとの合流を目指し飛び立った彼らの耳に。
「つまらんな。
これだけの顔ぶれが揃い、ここまで万全の状態でいるのに、逃げの一手とは。」
これだけの顔ぶれが揃い、ここまで万全の状態でいるのに、逃げの一手とは。」
風切り音に混じって、女の声が響いた――地上20階を超える高階層を飛翔している彼らの頭上から。
鋭い目つきをした、漆黒の羽根を持つ少女――死告邪眼のザラサリキエル。
鋭い目つきをした、漆黒の羽根を持つ少女――死告邪眼のザラサリキエル。
「君は……」
彼女に何か問うより速くデクの頬に鋭い衝撃が走る。
それがザラサリキエルによるかかと落としであったことなど気づく間もなく、背負っていた沙耶香ともどもデクの体は吹き飛ばされ、漆黒の帳の中へと吸い込まれた。
それがザラサリキエルによるかかと落としであったことなど気づく間もなく、背負っていた沙耶香ともどもデクの体は吹き飛ばされ、漆黒の帳の中へと吸い込まれた。
「デク!沙耶香!!」
「ッ……貴様何者だ!?」
「ッ……貴様何者だ!?」
キャルを左手で抱きかかえ、右手にビームサーベルを構えアスランは斬りかかる。
ザラサリキエルはその攻撃を『見えていた』かのように躱し、ジャスティスガンダムの首元を掴み握りこんだ。
ザラサリキエルはその攻撃を『見えていた』かのように躱し、ジャスティスガンダムの首元を掴み握りこんだ。
「私が何者かか?そんな事、今はどうでもいいだろう。
大事なのは貴様らが今から、どのような選択をとるかということだ。」
「……何が言いたいの。」
「眼下の領域が只事ではない事くらい貴様らにも分かるはずだ。
仮にも貴様らはルルーシュの一軍に属し、4凶や五道化との交戦も視野に入れていたはずだ。
それを誰一人として領域に挑むどころか調べようともしないとは――ルルーシュの臆病癖が移ったか?」
「なんですって!!」
大事なのは貴様らが今から、どのような選択をとるかということだ。」
「……何が言いたいの。」
「眼下の領域が只事ではない事くらい貴様らにも分かるはずだ。
仮にも貴様らはルルーシュの一軍に属し、4凶や五道化との交戦も視野に入れていたはずだ。
それを誰一人として領域に挑むどころか調べようともしないとは――ルルーシュの臆病癖が移ったか?」
「なんですって!!」
刺すような言葉を投げかける少女に、キャルは敵意を剥き出しにして猫のように吼えた。
アスランの支えられながら。目の前の少女の顔面にケミーライザーを突き付ける。
キャルの意思を組むように、ホッパー1のケミーカードがケミーライザーに装填される。
アスランの支えられながら。目の前の少女の顔面にケミーライザーを突き付ける。
キャルの意思を組むように、ホッパー1のケミーカードがケミーライザーに装填される。
『ホッパー!!』
「くらいなさい!!」
「くらいなさい!!」
未来の大物錬金術師の親友でもあり、飢餓の象徴を示す錬金生命のエネルギーが光弾となって撃ちだされる。
ゼロ距離に突き付けられた一撃、だがザラサリキエルはその攻撃をまるで予知していたかのように最適なタイミングで首を反らした。
ゼロ距離に突き付けられた一撃、だがザラサリキエルはその攻撃をまるで予知していたかのように最適なタイミングで首を反らした。
「劣化複製(デッドコピー):覇瞳皇帝(カイザーインサイト)」
「なっ……」
「なっ……」
光弾が明後日の方向に吹き飛んでいく。だが、キャルの意識を動かしたのは目の前の女が回避したことではなく、回避のために用いた能力そのものだ。
「なんで――ここで陛下の名前が。」
「当然だ。私の権能は七冠(セブンクラウンズ)の再現。
オリジナルには及ばずとも覇瞳皇帝(カイザーインサイト)……千里真那の力を扱うのは、難しくない。」
「当然だ。私の権能は七冠(セブンクラウンズ)の再現。
オリジナルには及ばずとも覇瞳皇帝(カイザーインサイト)……千里真那の力を扱うのは、難しくない。」
口をあんぐりと開けたまま、キャルの思考は固まった。
覇瞳皇帝(カイザーインサイト)、或いは千里真那。
キャルにとって憧れでもあり、絶対に適わない象徴とでも言うべき相手の力を、ぽっと出の女が扱っている。
キャルにとってその事実は、完全に想像の外だった。
覇瞳皇帝(カイザーインサイト)、或いは千里真那。
キャルにとって憧れでもあり、絶対に適わない象徴とでも言うべき相手の力を、ぽっと出の女が扱っている。
キャルにとってその事実は、完全に想像の外だった。
「何だお前、ルルーシュの配下に属しているんだろう?つまり、参加者間の情報が一番入ってくる陣営のはずだ。
異世界の技巧を再現したソードスキル。異世界の兵器を再現した起動キー。
そんなものは幾度となく見ているはずだ。」
異世界の技巧を再現したソードスキル。異世界の兵器を再現した起動キー。
そんなものは幾度となく見ているはずだ。」
そこまで言うとザラサリキエルは、思考の追いつかない固まったままのキャルに首を傾げ、見開かれた目つきが失笑混じりに細められる。
こんなことも分からないのか。
そう言われているようにキャルには見えた。
こんなことも分からないのか。
そう言われているようにキャルには見えた。
「まさかお前……自分が恐れていた力が再現されることを想像さえしていなかったのか?」
「……だったら何よ。」
「貴様がその程度の女だとは正直思っていなかった。
阿賀斗紫布菜の件もあって期待しすぎたかもしれないな。」
「……だったら何よ。」
「貴様がその程度の女だとは正直思っていなかった。
阿賀斗紫布菜の件もあって期待しすぎたかもしれないな。」
吐き捨てるような言葉に混じる名前に、キャルの眼がまたも見開かれた。
その言葉を脳が理解するや否や、キャルの腹部に刺されたような衝撃が走る。
鳩尾を蹴り飛ばされたのだと気づいたのは、燃えるような熱と痛みが腹部に走ったことと、アスランの体から落下していく急激な浮遊感を感じ取れた数秒後のことで。
鳩尾を蹴り飛ばされたのだと気づいたのは、燃えるような熱と痛みが腹部に走ったことと、アスランの体から落下していく急激な浮遊感を感じ取れた数秒後のことで。
「ルルーシュの陣営で、牙を研ぐことを忘れたか。あるいはもともとその程度の女だったか。
貴様の親族――千里真那のような傑物には及ばん。残念だよ、百地希留耶。」
貴様の親族――千里真那のような傑物には及ばん。残念だよ、百地希留耶。」
その声を最後に、キャルの体は帳の中に呑み込まれる。
その様子を確認したザラサリキエルは、キャルを追わせるかのようにデステニーの装甲事アスランを下方へと投げ飛ばした。
その様子を確認したザラサリキエルは、キャルを追わせるかのようにデステニーの装甲事アスランを下方へと投げ飛ばした。
「貴様も行け。
そして、超えるべきものを超えて来い。アスラン・ザラ。」
そして、超えるべきものを超えて来い。アスラン・ザラ。」
ブースターで飛翔しようとしたアスランに、女は語り掛ける。
冷たく無感情で。さながら上官からの命令を受けているかのような言葉だったが、だからこそ本心だとアスランには伝わった。
冷たく無感情で。さながら上官からの命令を受けているかのような言葉だったが、だからこそ本心だとアスランには伝わった。
「なんだと……。」
「私個人としては、クルーゼ様の部下の中では一番貴様を買っている。だがキラ・ヤマトも含め貴様らには試練が足りない。」
「……試練だと?」
「これ以上は結界を超えればおのずとわかる。貴様ら参加者が己が価値を示し生と願いを得る試練を超えればな。
そうすれば貴様はクルーゼ様の目的に近づける。その点は保証してやる。
信用できないならお前ひとり逃げ去ってもいいが……その場合私は貴様を殺すぞ。」
「私個人としては、クルーゼ様の部下の中では一番貴様を買っている。だがキラ・ヤマトも含め貴様らには試練が足りない。」
「……試練だと?」
「これ以上は結界を超えればおのずとわかる。貴様ら参加者が己が価値を示し生と願いを得る試練を超えればな。
そうすれば貴様はクルーゼ様の目的に近づける。その点は保証してやる。
信用できないならお前ひとり逃げ去ってもいいが……その場合私は貴様を殺すぞ。」
冷徹に言ってのけるザラサリキエルだが、アスランには何故だかそれが嘘だとは思えなかった。
デステニーのブースターで勢いよく下降するアスランの姿が、ヒースクリフの領域の中に呑まれて消えた。
ザラサリキエルは確認するようにその領域に近づくと、夜を塗り固めたような結界に手を伸ばし、その指が結界との境で電流を浴びたようにバチンと音を立てて弾かれた。
デステニーのブースターで勢いよく下降するアスランの姿が、ヒースクリフの領域の中に呑まれて消えた。
ザラサリキエルは確認するようにその領域に近づくと、夜を塗り固めたような結界に手を伸ばし、その指が結界との境で電流を浴びたようにバチンと音を立てて弾かれた。
「やはり私は入れないか。
ヒースクリフが生み出したというのなら、ある意味当たり前かもしれないが。」
ヒースクリフが生み出したというのなら、ある意味当たり前かもしれないが。」
何処か納得した様な笑みを浮かべ、再度飛翔したザラサリキエルは幻夢コーポレーション社長室に足を踏み入れる。
それと同時にテーブルのに置かれたディスプレイが自動で映る。
画面越しにザラサリキエルと眼があった少女には、頭に縫い目が出来ていた。わずかに憔悴した様な笑顔の少女に、ザラサリキエルは礼を返した。
それと同時にテーブルのに置かれたディスプレイが自動で映る。
画面越しにザラサリキエルと眼があった少女には、頭に縫い目が出来ていた。わずかに憔悴した様な笑顔の少女に、ザラサリキエルは礼を返した。
「やはり確認しておられましたか。羂索様。」
『まあね、仮にもラスボス戦の1つだし。
ともすればメラの趨勢以上に、私たちにとっては大事な戦いになるからね。
実のところ中々楽しめているよ。君が落とした連中も含めて、あの顔ぶれが相手なら十分じゃないかな?』
「私も同意です。
最も、クルーゼ様は満足しておられないようですが。」
『まあね、仮にもラスボス戦の1つだし。
ともすればメラの趨勢以上に、私たちにとっては大事な戦いになるからね。
実のところ中々楽しめているよ。君が落とした連中も含めて、あの顔ぶれが相手なら十分じゃないかな?』
「私も同意です。
最も、クルーゼ様は満足しておられないようですが。」
満足しているのなら、ダインスレイヴをおとしたりはしないだろう。
羂索は困ったような目で頷いた。
羂索は困ったような目で頷いた。
『ああ、今も愚痴愚痴言ってるよ。
『天使の霊廟』に最初に入った連中が覇王と寄生生命体だったあたりから、機嫌最悪だったんだけどね。
介入できなくなったことがよほど腹に据えかねたらしい。
まあ彼も大人だから君たちの前ではそんな素振りを見せることはないだろうし、気にしないでいいよ。』
「承知しました。」
『天使の霊廟』に最初に入った連中が覇王と寄生生命体だったあたりから、機嫌最悪だったんだけどね。
介入できなくなったことがよほど腹に据えかねたらしい。
まあ彼も大人だから君たちの前ではそんな素振りを見せることはないだろうし、気にしないでいいよ。』
「承知しました。」
ヒースクリフや羂索もだが、運営の三人は懐が深いように見えて求める基準の高さや己の理想の高さは厳しい者たちだとザラサリキエルは認識していた。
向こうが命令するならともかく、余計な勘繰りも配慮もザラサリキエルにとっても都合が悪いのだ。
向こうが命令するならともかく、余計な勘繰りも配慮もザラサリキエルにとっても都合が悪いのだ。
「しかし、クルーゼ様に倣うわけではありませんが。あの領域はどのように対応を?
そもそも羂索様はご存じだったのですか?」
『いや?ソードスキルのテストとして呪力を取り込んでいたとは知っていたけど、『領域』まで至っているとは知らなかった。
というか普通、術式を会得しないとあの規模の領域なんて作れないはずなんだがね。
どうやったのかな。生得領域の後天的な会得なんて。呪物を飲み込んで適合したとかじゃないと不可能なんだけど。』
「……取り込んだのでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3千人以上を殺し日本全土の怨嗟と敵意を一身に受けたデスゲームのデータの残滓でも。」
そもそも羂索様はご存じだったのですか?」
『いや?ソードスキルのテストとして呪力を取り込んでいたとは知っていたけど、『領域』まで至っているとは知らなかった。
というか普通、術式を会得しないとあの規模の領域なんて作れないはずなんだがね。
どうやったのかな。生得領域の後天的な会得なんて。呪物を飲み込んで適合したとかじゃないと不可能なんだけど。』
「……取り込んだのでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3千人以上を殺し日本全土の怨嗟と敵意を一身に受けたデスゲームのデータの残滓でも。」
かつてヒースクリフ自身が生み出したデスゲーム。その残骸データ。
バグスターの存在を知った時にしろ、呪力の存在をした時にしろ、ヒースクリフがそのデータに目をつける可能性は十分にあるだろう。
なにせそのゲームに負のエネルギー……呪力を向けている人間は、数千人ではとても効かない。関係者や被害者の親族も含めれば、100万単位でもおかしくない。
その推論に成程と羂索は首肯する。
バグスターの存在を知った時にしろ、呪力の存在をした時にしろ、ヒースクリフがそのデータに目をつける可能性は十分にあるだろう。
なにせそのゲームに負のエネルギー……呪力を向けている人間は、数千人ではとても効かない。関係者や被害者の親族も含めれば、100万単位でもおかしくない。
その推論に成程と羂索は首肯する。
『推論としては一番考えられるだろう。
通常ならともかく、バグスターと成った彼ならそのデータも取り込める。さしずめ『ソードアート・オンラインのバグスター』か。』
「あるいは、そうなることがヒースクリフの目的なのでは?」
『そればっかりは私達も知らないさ。興味もないしね。
それにそれだけで領域が出来たとしても、彼の作った領域は異常だ。呪いとは違う力で補強しているとみたね。
発言を鑑みるに『赤のアサシン』の宝具だろう。』
通常ならともかく、バグスターと成った彼ならそのデータも取り込める。さしずめ『ソードアート・オンラインのバグスター』か。』
「あるいは、そうなることがヒースクリフの目的なのでは?」
『そればっかりは私達も知らないさ。興味もないしね。
それにそれだけで領域が出来たとしても、彼の作った領域は異常だ。呪いとは違う力で補強しているとみたね。
発言を鑑みるに『赤のアサシン』の宝具だろう。』
アッシリアの女帝。人類最古の毒殺者。
その宝具 虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)は簡潔に言えば巨大な城を生み出す宝具だが。虚栄の名に違わず制約がある宝具でもあった。
虚栄を現実にするためのコストを――具体的には城を生み出すための”資材”を自分の手で用意することが、宝具を利用する際に求められるのだ。
その宝具 虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)は簡潔に言えば巨大な城を生み出す宝具だが。虚栄の名に違わず制約がある宝具でもあった。
虚栄を現実にするためのコストを――具体的には城を生み出すための”資材”を自分の手で用意することが、宝具を利用する際に求められるのだ。
だが元より夢想の城を己の領域内で組み上げたヒースクリフの場合では、その前提が異なってくる。
空想のデータと呪力を糧に構築された虚栄の城を、ヒースクリフは己の生得領域の補強に使った。
もはやそれは、羂索の知識の中では術式でも領域でもない、新たなる技術だ。
空想のデータと呪力を糧に構築された虚栄の城を、ヒースクリフは己の生得領域の補強に使った。
もはやそれは、羂索の知識の中では術式でも領域でもない、新たなる技術だ。
『私としてはあんなものを見せてくれただけで評価したいが。十中八九あの領域に私や君は関われないだろう。
君も入れなかったようだし、おそらく『運営側の存在を弾く帳』とでも言うべき性質がある。』
「となると……私がすべきは見届け人と言ったところでしょうか。
どのみちメラの件が片付くまで、参加者を減らしすぎるのは上策とは言えませんし。」
『私としてもメラが皆殺しにして勝利というルートは、可能ならば避けたいところだ。
だが今のメラを倒すには10を超える参加者が要るだろう。
ルルーシュとぶつかった時にルルーシュが全霊を出してくれればあるいは……といったところだったのだがね。』
君も入れなかったようだし、おそらく『運営側の存在を弾く帳』とでも言うべき性質がある。』
「となると……私がすべきは見届け人と言ったところでしょうか。
どのみちメラの件が片付くまで、参加者を減らしすぎるのは上策とは言えませんし。」
『私としてもメラが皆殺しにして勝利というルートは、可能ならば避けたいところだ。
だが今のメラを倒すには10を超える参加者が要るだろう。
ルルーシュとぶつかった時にルルーシュが全霊を出してくれればあるいは……といったところだったのだがね。』
ルルーシュ陣営の戦力は、コルファウスメットから奪ったユニバーサルロボも加味すれば、参加者間では頭1つ抜けている。
羂索にしてみれば、ルルーシュが無茶と損耗を承知で挑んでいれば、メラを倒す確率は低確率とはいえ十分あり得るものだと考えていた。
だが蓋を開けてみれば、むざむざと戦力を失っただけで逃げるのが精いっぱい。
がっかりとまではいかずとも、拍子抜けする結末だったことは否定の仕様がない。
羂索にしてみれば、ルルーシュが無茶と損耗を承知で挑んでいれば、メラを倒す確率は低確率とはいえ十分あり得るものだと考えていた。
だが蓋を開けてみれば、むざむざと戦力を失っただけで逃げるのが精いっぱい。
がっかりとまではいかずとも、拍子抜けする結末だったことは否定の仕様がない。
『こればっかりはルルーシュの堅実癖が裏目に出たね。
とはいえ、鉄華兵団やトランクスの存在を考えれば、一概に悪手とは言えないかもだけど。』
「あんな埒外(チート)相手に後手に回ってる時点で悪手でしょう。
何より、その堅実癖が配下の連中にも伝播しているのが不安です。」
とはいえ、鉄華兵団やトランクスの存在を考えれば、一概に悪手とは言えないかもだけど。』
「あんな埒外(チート)相手に後手に回ってる時点で悪手でしょう。
何より、その堅実癖が配下の連中にも伝播しているのが不安です。」
棘のある言葉に、羂索は考え込むように顎を撫でた。
『……百地希留耶のこともだけど、君彼らに厳しくないか?』
「ルルーシュ個人は評価しています。
期待されていることだとしても、4凶を倒し盤上を情報戦で掌握するなど簡単に出来る事ではありません。ですが……」
『ですが?』
「彼の勝ち方では……ルルーシュ『しか』勝てない。
ルルーシュの駒として完璧な勝利の筋書きを描く――ルルーシュが配下をそのように動かすのも、その指示通りルルーシュの掌の上で事が進むのも構いませんが。」
「ルルーシュ個人は評価しています。
期待されていることだとしても、4凶を倒し盤上を情報戦で掌握するなど簡単に出来る事ではありません。ですが……」
『ですが?』
「彼の勝ち方では……ルルーシュ『しか』勝てない。
ルルーシュの駒として完璧な勝利の筋書きを描く――ルルーシュが配下をそのように動かすのも、その指示通りルルーシュの掌の上で事が進むのも構いませんが。」
ザラサリキエルは呆れたように肩を竦め、責めるような口調でつづける。
「奴に関わる者たちが駒であることに甘んじているのであれば、話は別です。
確実な勝利ではない戦場を生き延びてこそ、殺し合いの深部に挑む勇者となりうる。」
確実な勝利ではない戦場を生き延びてこそ、殺し合いの深部に挑む勇者となりうる。」
ルルーシュ・ランペルージという男は、原則として確実に勝てる闘いしか行わない。
彼にとって軍略とは『想定通りに事が運べば100%こちらが勝つ』ものであり、彼の配下たちもその絶対的な勝利を前に尊敬し心酔していく。
その在り方は軍略家としては理想ではあるし、殺し合いの生き残り方としては1つの最適解であるが……それだけで勝てる段階はもう過ぎている。
彼にとって軍略とは『想定通りに事が運べば100%こちらが勝つ』ものであり、彼の配下たちもその絶対的な勝利を前に尊敬し心酔していく。
その在り方は軍略家としては理想ではあるし、殺し合いの生き残り方としては1つの最適解であるが……それだけで勝てる段階はもう過ぎている。
ザラサリキエルにとって、参加者の最も大事なことは『会場にていかな経験を積んできたか。』に尽きる。
未知の強者と戦い、己の限界を超え、仲間や友の死を乗り越えて、それでも挑む。
全てが想定通りのルルーシュの盤上では、そんな挑戦は起こりえない。
虚しさ(ヴァニタス)を知り、その上で歩みを止めない者たちをこそ評価する今の彼女にとって、ルルーシュの評価は相対的に低めであった。
未知の強者と戦い、己の限界を超え、仲間や友の死を乗り越えて、それでも挑む。
全てが想定通りのルルーシュの盤上では、そんな挑戦は起こりえない。
虚しさ(ヴァニタス)を知り、その上で歩みを止めない者たちをこそ評価する今の彼女にとって、ルルーシュの評価は相対的に低めであった。
「今の彼らに必要なのは、格下を圧倒する手段でも自己を正当化する証明でもない。
未知の強者を前に”それでも”生き延びようとする、渇望だと考えます。」
『成程。私としても賛同したい考え方だが……正直以外だよ。
君はヒースクリフ派閥の五道化だ。
てっきり彼の味方として彼の勝利を手助けすると思っていたが。』
未知の強者を前に”それでも”生き延びようとする、渇望だと考えます。」
『成程。私としても賛同したい考え方だが……正直以外だよ。
君はヒースクリフ派閥の五道化だ。
てっきり彼の味方として彼の勝利を手助けすると思っていたが。』
何の気なしの問いかけに、ザラサリキエルは首を横に振る。
「ヒースクリフがNPCに落ちた時点で、彼に従う理由は無くなりました。
何より――」
何より――」
そこまで言ってわずかに言葉を詰まらせる。言い淀むというより何と形容すべきかザラサリキエルにも分からない様子だ。
原作はわざとらしく腕を組んで考えるそぶりを見せると。彼なりに思い浮かんだ形でザラサリキエルの言葉を引き継いだ。
原作はわざとらしく腕を組んで考えるそぶりを見せると。彼なりに思い浮かんだ形でザラサリキエルの言葉を引き継いだ。
『――せっかくの大ボス戦が、参加者も被害も少ない戦いでは面白くない。からかね。』
「……そう言われれば、そうなのかもしれません。
私なりに見定めるに足る戦いであることを、私は望んでいるのでしょう。」
「……そう言われれば、そうなのかもしれません。
私なりに見定めるに足る戦いであることを、私は望んでいるのでしょう。」
その言葉は、性格にはザラサリキエル考えと一致してはいなかったが、ザラサリキエルなりに納得できる言葉だった。
せっかくの運営戦が小規模かつ一方的なものとあっては、殺し合いの調停者として面白みに欠ける。
ザラサリキエルは自分でも気づかぬ間に、にぃと口角を上げていた。
殺し合いと殺し合い。その渦中に渦巻く意地と意志のぶつかり合い。
死を告げる青い眼は――きっとそれを求めている。
せっかくの運営戦が小規模かつ一方的なものとあっては、殺し合いの調停者として面白みに欠ける。
ザラサリキエルは自分でも気づかぬ間に、にぃと口角を上げていた。
殺し合いと殺し合い。その渦中に渦巻く意地と意志のぶつかり合い。
死を告げる青い眼は――きっとそれを求めている。
『まあ、となるとそっちは君に任せるよ。
発電所のアイテムも回収しているんだろう?』
「ええ。」
発電所のアイテムも回収しているんだろう?』
「ええ。」
そういってザラサリキエルが手に取ったものは、5つの紋章の描かれた石のようなものだ。
勇者アレフややみのせんしとは”異なる次元”のアレフガルドにて、勇者と妖精が生み出した、大地の精霊に繋がる5つの紋章。
羂索はその石を前に満足そうに頷いて。
勇者アレフややみのせんしとは”異なる次元”のアレフガルドにて、勇者と妖精が生み出した、大地の精霊に繋がる5つの紋章。
羂索はその石を前に満足そうに頷いて。
『ならいい。異常があったら君の判断で処理してくれて構わない。
無論、ヒースクリフもだ。
私としては、そのような展開にならないようにしたいがね。』
「承知いたしました。」
無論、ヒースクリフもだ。
私としては、そのような展開にならないようにしたいがね。』
「承知いたしました。」
最後に礼をして、ザラサリキエルの前で画面は途切れた。
肩肘張った対応につかれたザラサリキエルは、社長室の椅子に深くもたれ掛かる。
背中に生えた羽が縁にぶつからないようもぞもぞと動いていた彼女だが、しっくりくる定位置に身を縮めると、思い出したようにパソコンを動かすと、同エリアに居る参加者にのみ開示される特殊クエストのページがディスプレイ上に開かれた。
肩肘張った対応につかれたザラサリキエルは、社長室の椅子に深くもたれ掛かる。
背中に生えた羽が縁にぶつからないようもぞもぞと動いていた彼女だが、しっくりくる定位置に身を縮めると、思い出したようにパソコンを動かすと、同エリアに居る参加者にのみ開示される特殊クエストのページがディスプレイ上に開かれた。
『〇二大ライダー討伐クエスト!
- 仮面ライダークロノスと仮面ライダーブレイドを撃破せよ!
- クロノスとブレイドを同じプレイヤーが撃破しなければ報酬は得られない!
- クロノスとブレイドを別々のプレイヤーが撃破した場合、クロノスorブレイドを撃破したプレイヤーがもう一人のクロノスorブレイドを撃破したプレイヤーを撃破することで報酬を得ることが出来る!
- クロノスは積極的にヒースクリフを撃破するべく行動する!
- クロノスがヒースクリフを撃破した場合、ヒースクリフの能力のうち一つがランダムでクロノスに与えられる!』
「ヒースクリフがクロノスを倒してしまったのは、バグルドライバーをヒースクリフも使っているからおそらく問題ないとしてだ。」
顎に手を当て、ザラサリキエルは思い悩む。
クロノス同様地上に降り立ち、未だ姿が見えないはずの戦士。
クロノス同様地上に降り立ち、未だ姿が見えないはずの戦士。
「運営側の存在が領域に入れないのなら――仮面ライダーブレイドはどうなるんだろうな。」
彼女はいったい――誰の味方になるのかを。
◆◇◆
ヒースクリフの生み出した領域に触れてみて、覇王の手に伝わるのは嫌悪感。
夏の真夜中の不穏な静寂を形にしたような、温い泥に手を突っ込んでいるような、はたまたその壁そのものが幻覚で手に伝わる触覚のようなものは錯覚でしかないような。
矛盾した感覚に足を止める覇王の背後で、セレブロは不思議そうに首を傾げた。
夏の真夜中の不穏な静寂を形にしたような、温い泥に手を突っ込んでいるような、はたまたその壁そのものが幻覚で手に伝わる触覚のようなものは錯覚でしかないような。
矛盾した感覚に足を止める覇王の背後で、セレブロは不思議そうに首を傾げた。
「行くのか?
どう考えても面倒ごとの気配しか感じないが。」
「ああ。『天使の霊廟』が空振り同然だったからな。」
どう考えても面倒ごとの気配しか感じないが。」
「ああ。『天使の霊廟』が空振り同然だったからな。」
アビドス地下。エケラレンキスの守護領域。
ラウ・ル・クルーゼがキヴォトス蹂躙に用いた兵器群が鎮座されているその場所で得られた情報は、コズミック・イラとは無関係の2人にとっては皆無に等しい。
その理由は多々あれ。その気になれば大国1つ滅ぼせかねない兵器の操作パネルの起動にロックが掛かっていたことが一番の理由だ。
起動キーを5つ。『天使の霊廟』を開くために求められる条件は、全参加者が一段となる様な終盤でもなければ不可能に近い。
ラウ・ル・クルーゼがキヴォトス蹂躙に用いた兵器群が鎮座されているその場所で得られた情報は、コズミック・イラとは無関係の2人にとっては皆無に等しい。
その理由は多々あれ。その気になれば大国1つ滅ぼせかねない兵器の操作パネルの起動にロックが掛かっていたことが一番の理由だ。
起動キーを5つ。『天使の霊廟』を開くために求められる条件は、全参加者が一段となる様な終盤でもなければ不可能に近い。
「複数種類の起動キーが支給されている人物がいるか。何らかのイベントで複数の起動キーが手に入る状況があるか。
思いつく可能性はそのようなところだろう。自然に集まるのを待つには効率が悪すぎる。
何より、起動キーなど所詮武器の1つでしかない。戦いの渦中で破損することも使い潰す選択をすることもある。」
「単純な話だ。
運営――おそらくラウ・ル・クルーゼがあの場に訪問することを望むものは、起動キーの破損や紛失は愚か、使い潰すという択さえしない生粋のパイロットということだろう。
逆に言えば、ガンダムだのナイトメアフレームだのに微塵の関心もない俺たちは、運営にとって望まぬ客。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺たちにも起動キー5つを手に入れる手段はあるが、裏技のような真似であの場の鍵を解いたとて、五道化あたりが潰しにやってくるのがオチだ。
下手をすればヒースクリフ同様、クルーゼが直接手を下す可能性さえある。」
思いつく可能性はそのようなところだろう。自然に集まるのを待つには効率が悪すぎる。
何より、起動キーなど所詮武器の1つでしかない。戦いの渦中で破損することも使い潰す選択をすることもある。」
「単純な話だ。
運営――おそらくラウ・ル・クルーゼがあの場に訪問することを望むものは、起動キーの破損や紛失は愚か、使い潰すという択さえしない生粋のパイロットということだろう。
逆に言えば、ガンダムだのナイトメアフレームだのに微塵の関心もない俺たちは、運営にとって望まぬ客。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺たちにも起動キー5つを手に入れる手段はあるが、裏技のような真似であの場の鍵を解いたとて、五道化あたりが潰しにやってくるのがオチだ。
下手をすればヒースクリフ同様、クルーゼが直接手を下す可能性さえある。」
明確に参加者を『格付け』していたコルファウスメットの態度を思い出し、セレブロは星野アクアの顔で苦々し気に呟いた。
「ロクでもない奴らだが……そいつらをどうにかできる可能性があるというから。権能だのなんだのを使ってここまで送り届けたんだ。
下らんもんを見せるならその体乗っ取るぞ。」
「貴様の期待など知るか。
それに、この先に何があるのかなど入ってみなければ分かるまい。」
下らんもんを見せるならその体乗っ取るぞ。」
「貴様の期待など知るか。
それに、この先に何があるのかなど入ってみなければ分かるまい。」
そう言い切る覇王の手には、アナザーガッチャ―ドウォッチが握られている。
一ノ瀬宝太郎から奪ったライダーの力だが、その力が電波を受信したように小刻みに震えている。
その振動は、結界に手を突っ込むと明らかに強まっている。
セレブロにはアナザーウォッチが動いているようにしか見えないが、覇王にしてみれば明確な意思があるらしい。
一ノ瀬宝太郎から奪ったライダーの力だが、その力が電波を受信したように小刻みに震えている。
その振動は、結界に手を突っ込むと明らかに強まっている。
セレブロにはアナザーウォッチが動いているようにしか見えないが、覇王にしてみれば明確な意思があるらしい。
「しかし以外だ。寄生生物。
貴様はこのような妖しい場所に入らないと思っていたのだがな。」
「なに、簡単な話だ。
お前に話したプランの為に、お前が目に見えない場所で死なれては困るというのもあるが。」
貴様はこのような妖しい場所に入らないと思っていたのだがな。」
「なに、簡単な話だ。
お前に話したプランの為に、お前が目に見えない場所で死なれては困るというのもあるが。」
星野アクアのしないような凶悪な笑みで、心底楽し気に言った。
「外よりこの中の方が、面白そうだからな。」
◇
アインクラッド75階層。
ヒースクリフと戦う戦士たちが呼び寄せられた闘技場の外側に位置する場所は、古代ローマの遺跡のように覇王には見えた。
僅かに鉄の匂いが鼻をくすぐる中、壁際に佇んでいた存在を覇王たちは睨んだ。
ヒースクリフと戦う戦士たちが呼び寄せられた闘技場の外側に位置する場所は、古代ローマの遺跡のように覇王には見えた。
僅かに鉄の匂いが鼻をくすぐる中、壁際に佇んでいた存在を覇王たちは睨んだ。
「お前が俺を呼んだ者か?」
「はい。
しかし意外な顔ぶれですね。……一ノ瀬宝太郎が来るものだとばかり思っていましたが。」
「はい。
しかし意外な顔ぶれですね。……一ノ瀬宝太郎が来るものだとばかり思っていましたが。」
そう答える存在は、仮面ライダーであった。
王冠のような鋭い角を頭上に湛えた、重厚感のある黄金の仮面ライダー。仮面ライダーブレイド・キングフォーム。
王冠のような鋭い角を頭上に湛えた、重厚感のある黄金の仮面ライダー。仮面ライダーブレイド・キングフォーム。
そう軽く会釈して、仮面ライダーは変身を解いた。
中から姿を見せたのは、十代と同年代くらいの眼鏡をかけた学生服の女だ。
傷1つない細身の体は、一見するとこのような遺跡どころか殺し合いに居る事さえ不釣り合いに思える。
だが、篝火に照らされた女の目を見て、覇王はその認識が勘違いであると理解する。
中から姿を見せたのは、十代と同年代くらいの眼鏡をかけた学生服の女だ。
傷1つない細身の体は、一見するとこのような遺跡どころか殺し合いに居る事さえ不釣り合いに思える。
だが、篝火に照らされた女の目を見て、覇王はその認識が勘違いであると理解する。
「むしろ、貴方の方が都合がいいかもしれません。
一ノ瀬宝太郎だったなら、私の提案を断るかもしれなかったので。」
一ノ瀬宝太郎だったなら、私の提案を断るかもしれなかったので。」
何かを諦めたような声色は、悲しみよりも怒りの色が滲んでいるように覇王には思えた。
レンズ越しにこちらを見上げる目もそうだ。
自身の幸福や楽しさをまるで見ていない。心の闇に染まった眼は、覇王のそれとよく似ていた。
レンズ越しにこちらを見上げる目もそうだ。
自身の幸福や楽しさをまるで見ていない。心の闇に染まった眼は、覇王のそれとよく似ていた。
「私は、奥空アヤネ。
仮面ライダーガッチャ―ド。貴方の錬金術で、錬成(つく)って欲しいものがあります。」
仮面ライダーガッチャ―ド。貴方の錬金術で、錬成(つく)って欲しいものがあります。」
睨むような目つきのまま、アヤネと名乗った女は何枚かのカードと四角い機械を取り出した。
トランプのように♠のマークと数字の刻まれたカードには派手な色で描かれた動物のマークが描かれ、どことなくデュエルモンスターズのカードに近い。
それがラウズカードという名であることを覇王は知らない。その中に封じられた不死生物のことも知らない。
だが覇王の決闘者としての感性が、カードからひしひしと伝わる人ならざる感覚が、これらのカードが『超融合』のような闇の存在であると強く訴えていた。
トランプのように♠のマークと数字の刻まれたカードには派手な色で描かれた動物のマークが描かれ、どことなくデュエルモンスターズのカードに近い。
それがラウズカードという名であることを覇王は知らない。その中に封じられた不死生物のことも知らない。
だが覇王の決闘者としての感性が、カードからひしひしと伝わる人ならざる感覚が、これらのカードが『超融合』のような闇の存在であると強く訴えていた。
「成程な、一ノ瀬宝太郎ならこういった素材を扱うのは難色を示す可能性はあるな。」
アナザーガッチャ―ドウォッチを起動して、覇王はラウズカードを手に取った。
歪んだ飛蝗と機関車が混ざり合ったような装甲を纏い、鋭く尖った指がアヤネに向けられる。
歪んだ飛蝗と機関車が混ざり合ったような装甲を纏い、鋭く尖った指がアヤネに向けられる。
「それで、俺は何をすればいい?貴様の望むものは何だ?」
怪物の言葉に、奥空アヤネは待ちわびたように儚い笑みを浮かべて答えた。
「ヒースクリフを……この殺し合いを壊すための切り札を生み出すために」
「私を、怪物にしてください。」
| 184:メカトピア落日戦-Vanish- | 投下順 | 185:遊戯-第Ⅱ形態:We are the Bugster |
| 183:永劫 X:殺してきた時間の意味 | 時系列 | |
| 152:至命Ⅳ:ただ一人が望まなかった最終決戦 | キリト | |
| 邪樹右龍 | ||
| ユフィリア・マゼンタ | ||
| 朝比奈まふゆ | ||
| パラド | ||
| 赤枝逆徒のヒースクリフ | ||
| 亡失鎮魂の??? | ||
| 169:クライシスアンドエスケープ | アスラン・ザラ | |
| キャル | ||
| 糸見沙耶香 | ||
| 緑谷出久 | ||
| 179:いつか、最強で無敵の── | 覇王十代 | |
| セレブロ | ||
| 165:第二回放送 | 奥空アヤネ |