「いらっしゃいました~!」
シトロンが、あわただしく厨房に入ってきました。
厨房に入ると同時にこけ、持っていたお盆を落としています。
「え、もうですか?」
クリスマスケーキにクリームを塗りながら、アンコは目を丸くし、時計を見ました。時刻は午前3時を回っています。
「予定より早いのう」
マーマレードがシトロンを助け起こしているのを尻目に、のじゃロリ猫はあくびしながら言っています。
「まあ、早く来てくれる事に越したことはないがのう」
「なに言っとん!」
身体が青色の、人魚のフルーチェがキツく言います。新人だと言うのに、全く物怖じしていません。
「おもてなしの準備がまだ出来てへんやん!」
「え~別に……なくても全然問題なさそうじゃし……」
「ノンノン!それは駄目だよマイキャット」
こちらはアンコのお手伝い、獣人のピネです。
「物事には対価ってのが必要なんだよ。彼のためにボク達がおもてなしするのは当然の事なのサ、そして……」
ピネは薔薇が舞ってそうなキメ顔で続けています。
バタンとドアが開き、ピネの言葉を塞ぎってしまったので、その話が続くことはありませんでしたが。「oh…ボクのセリフが……」
「用意は!」
ドアを開けて勢いよく閉じたのは、このオウマがトキの実質的な経営者、フロートでした。
「はい、食事の方は抜かり無く。ケーキはあと少しで完成です」
「よし、それじゃあアンコはそのままケーキを作って、ピネとマーマレードはアンコの手伝い。残りの人は接客よ。何か芸でもして盛り上げられる人はいないの?」
フロートがジロリと皆の目を見つめていきました。
「あ、プラム達は?」
「劇をしてるわ。題目は眠り姫とてるてる坊主」
フルーチェの質問に、フロートは淀み無く答え、ハッとして手を叩きました。
「そうだわ、人魚姫も出来るじゃない。フルーチェ、手伝いなさい」
「え、ええ~うちが?!」
「oh!それじゃあ王子さま役はボクで決まりだね。」
「王子さまはのじゃロリ猫よ。絶対ね」
「Watts?何で?」
ピネの言葉に、フロートはギっとご馳走に手を伸ばしているのじゃロリ猫を睨んでから答えました。
「ほらこいつ、ほっとくと直ぐにつまみ食いしにくるんだから!ほら!とっとと行く。アンコ、なるべく早くしてね。さあ、行きなさい!」
フロートはそう言い残し、のじゃロリ猫の襟を掴んで引き摺って行き、その後ろを自信無さげなフルーチェと、また躓きそうになっているシトロンが着いていきました。
「確かにのじゃロリ猫は連れてくべきだよな」
マーマレードの呟きに、ピネは大げさに嘆いて見せます。
「おおなんて事だ!ボクのフルーチェが泥棒猫に拐われてしまうなんて!」
マーマレードは吹き出し、ピネはニヤニヤしました。
「あの、お二方、ケーキのデコレーションを続けましょう」
サンタクロースやトナカイやツリーの形に出来た砂糖菓子やクッキーを出しながら、アンコは呼び掛けるのでした。
シトロンが、あわただしく厨房に入ってきました。
厨房に入ると同時にこけ、持っていたお盆を落としています。
「え、もうですか?」
クリスマスケーキにクリームを塗りながら、アンコは目を丸くし、時計を見ました。時刻は午前3時を回っています。
「予定より早いのう」
マーマレードがシトロンを助け起こしているのを尻目に、のじゃロリ猫はあくびしながら言っています。
「まあ、早く来てくれる事に越したことはないがのう」
「なに言っとん!」
身体が青色の、人魚のフルーチェがキツく言います。新人だと言うのに、全く物怖じしていません。
「おもてなしの準備がまだ出来てへんやん!」
「え~別に……なくても全然問題なさそうじゃし……」
「ノンノン!それは駄目だよマイキャット」
こちらはアンコのお手伝い、獣人のピネです。
「物事には対価ってのが必要なんだよ。彼のためにボク達がおもてなしするのは当然の事なのサ、そして……」
ピネは薔薇が舞ってそうなキメ顔で続けています。
バタンとドアが開き、ピネの言葉を塞ぎってしまったので、その話が続くことはありませんでしたが。「oh…ボクのセリフが……」
「用意は!」
ドアを開けて勢いよく閉じたのは、このオウマがトキの実質的な経営者、フロートでした。
「はい、食事の方は抜かり無く。ケーキはあと少しで完成です」
「よし、それじゃあアンコはそのままケーキを作って、ピネとマーマレードはアンコの手伝い。残りの人は接客よ。何か芸でもして盛り上げられる人はいないの?」
フロートがジロリと皆の目を見つめていきました。
「あ、プラム達は?」
「劇をしてるわ。題目は眠り姫とてるてる坊主」
フルーチェの質問に、フロートは淀み無く答え、ハッとして手を叩きました。
「そうだわ、人魚姫も出来るじゃない。フルーチェ、手伝いなさい」
「え、ええ~うちが?!」
「oh!それじゃあ王子さま役はボクで決まりだね。」
「王子さまはのじゃロリ猫よ。絶対ね」
「Watts?何で?」
ピネの言葉に、フロートはギっとご馳走に手を伸ばしているのじゃロリ猫を睨んでから答えました。
「ほらこいつ、ほっとくと直ぐにつまみ食いしにくるんだから!ほら!とっとと行く。アンコ、なるべく早くしてね。さあ、行きなさい!」
フロートはそう言い残し、のじゃロリ猫の襟を掴んで引き摺って行き、その後ろを自信無さげなフルーチェと、また躓きそうになっているシトロンが着いていきました。
「確かにのじゃロリ猫は連れてくべきだよな」
マーマレードの呟きに、ピネは大げさに嘆いて見せます。
「おおなんて事だ!ボクのフルーチェが泥棒猫に拐われてしまうなんて!」
マーマレードは吹き出し、ピネはニヤニヤしました。
「あの、お二方、ケーキのデコレーションを続けましょう」
サンタクロースやトナカイやツリーの形に出来た砂糖菓子やクッキーを出しながら、アンコは呼び掛けるのでした。
ご馳走をワゴンで運んでいくと、店内では豪華な舞台がやっていました。
どうやら裏支配人のピオーネと、装飾担当のくゆりが、大盤振る舞いをしたようです。
所々クリスマスのモチーフを施した、素敵な舞台が出来上がって行きます。
劇は丁度クライマックスを迎えていました。
人魚姫のフルーチェが、王子さま役ののじゃロリ猫に愛を告げています。
それを一人の老人が見つめていました。
ここにいるお客は、たった一人、赤い服を身に纏った、白いもふもふとした髭を蓄えた老人……サンタさんです。
アンコ達はサンタさんの前に、次々とご馳走を並べていきました。
サンタは劇の邪魔にならないよう、微笑んで会釈し、そのあとは劇に集中しています。
ご馳走を並べ終えると、ピネとマーマレードに楽しむように告げ、アンコは一度厨房に下がりました。まだやることがあるのです。
アンコはあるものを持って外に出ました。
寒空が容赦なくアンコを襲ってきます。
「ルドルフさん!」
アンコが呼び掛けると、赤鼻を明るく照らしたトナカイを先頭に、6~8匹程のトナカイが空からやって来ました。
そうです。サンタクロースのソリを引く、あのトナカイ達です。
アンコは特注の餌が入った袋を地面にぶちまけます。
トナカイ達は喜んで食べ始めました。
アンコは一匹ずつ耳を掻いたり撫でたりしてから、温かい明かりの灯った店に戻っていきました。
どうやら裏支配人のピオーネと、装飾担当のくゆりが、大盤振る舞いをしたようです。
所々クリスマスのモチーフを施した、素敵な舞台が出来上がって行きます。
劇は丁度クライマックスを迎えていました。
人魚姫のフルーチェが、王子さま役ののじゃロリ猫に愛を告げています。
それを一人の老人が見つめていました。
ここにいるお客は、たった一人、赤い服を身に纏った、白いもふもふとした髭を蓄えた老人……サンタさんです。
アンコ達はサンタさんの前に、次々とご馳走を並べていきました。
サンタは劇の邪魔にならないよう、微笑んで会釈し、そのあとは劇に集中しています。
ご馳走を並べ終えると、ピネとマーマレードに楽しむように告げ、アンコは一度厨房に下がりました。まだやることがあるのです。
アンコはあるものを持って外に出ました。
寒空が容赦なくアンコを襲ってきます。
「ルドルフさん!」
アンコが呼び掛けると、赤鼻を明るく照らしたトナカイを先頭に、6~8匹程のトナカイが空からやって来ました。
そうです。サンタクロースのソリを引く、あのトナカイ達です。
アンコは特注の餌が入った袋を地面にぶちまけます。
トナカイ達は喜んで食べ始めました。
アンコは一匹ずつ耳を掻いたり撫でたりしてから、温かい明かりの灯った店に戻っていきました。
アンコが戻ってくると、丁度劇が終わり、サンタが拍手している所でした。
舞台の上にはフルーチェとのじゃロリ猫、淡雪やジュジィ、マリネッタもいます。
「今年も素晴らしい物を見せてもらったよ。さあ、皆でご馳走を食べようじゃないか!」
サンタの言葉に、皆がニッとしました。
パーティの始まりです。
舞台の上にはフルーチェとのじゃロリ猫、淡雪やジュジィ、マリネッタもいます。
「今年も素晴らしい物を見せてもらったよ。さあ、皆でご馳走を食べようじゃないか!」
サンタの言葉に、皆がニッとしました。
パーティの始まりです。
「ワンダフルパーティ、にゃんだふるパーティ♪」
ご馳走を食べ終え、ケーキも堪能したのじゃロリ猫が歌い始めます。リクが用意したディーゼルですっかりと気持ちよく酔っています。
サンタがさて、と背伸びをしました。片手に持っていたXYZのカクテル(これもリクが用意したものです)を机に置き、白い袋を掴みました。
「プレゼントをあげよう」
皆は歓声をあげます。いくつになっても、サンタさんからの贈り物は嬉しいものです。
サンタはまず、一番始めにメローナとフロートにプレゼントを渡しました。
花をあしらった綺麗なじょうろと、新品の手帳でした。
次にアイベリーと向き合い、ヒーロー物の変身ベルトを手渡しました。
アイベリーはガッツポーズをします。
シトロンとマーマレードには、色違いの湯飲み……夫婦湯呑でした。
プラムはダンスの練習用DVD、ピオーネには素敵な絵本を手渡して行きます。
淡雪は眠気が覚めるガム(365日分)をもらい、ジュジィは悪戯セットをもらいました。
サンタはちょっと考えて、くゆりに甘いお菓子がどっさり入ったバスケットを渡し、ピネにはお菓子作りの本、リクにはその片割れとお揃いになれる、二組のカメラストラップを渡します。
のじゃロリ猫を見たサンタは眉を潜めました。サンタの影が濃くなって膨らみました。
膨らんだ影が野太い声で言います。
「おまえ、ジャガイモになるか?」
のじゃロリ猫はふんと鼻をならします。
「ブラックサンタ、お主こそジャガイモになれ」
サンタは苦笑いし、ブラックサンタを引っ込めました。のじゃロリ猫とサンタは旧友です。と言うか、実のところはのじゃロリ猫の方が年上です。この掛け合いはいつもの冗談でした。
サンタはのじゃロリ猫にいつものを放り投げました。
のじゃロリ猫はそれをキャッチし、胡座をかいて上機嫌で飲み始めました。
大瓶の焼酎です。
サンタはマリネッタとフルーチェに向き直り、また白い袋に手を突っ込みました。
マリネッタには人狼の衝動を抑える脱狼薬、フルーチェにはさざ波の音が聞こえるオルゴールです。
サンタはアンコを見つめ、首をかしげました。
「うーむ君は難しいな……」
サンタはしばらく考え、納得したようなしていないような顔をして頷き、あるものを取り出しました。
それは黒と白の石で飾られたベルトでした。アンコは笑顔でお礼を言います。
ふぉっふぉとサンタは笑い、席から立ち上がりました。
「今年も楽しかったよ。ありがとう」
こちらこそ、と、皆は口々にお礼を言い、メローナが代表して告げました。
「残っている子供達の分の配達も、頑張ってください♪」
「おお、そうだった。まだまだ子供達が待っているんだった。それじゃあ、また来年!メリークリスマス!」
「「「「「メリークリスマス!」」」」」
去り際にまたサンタの影が膨らみ、のじゃロリ猫を脅しています。
「来年こそジャガイモにしてやる!だから風邪引くなよ!」
「わしも来年こそはじゃがバターにして食ってやるわ!だからくたばるなよ」
サンタはのじゃロリ猫の言葉を受け、背筋を伸ばして出ていきました。
やがて店の外から、シャンシャンとルドルフの引くソリについた鈴の音が聞こえてきます。
今日はクリスマス。
アンコは貰った贈り物を見つめ、にっこりと微笑みました。
Merry Christmas!
ご馳走を食べ終え、ケーキも堪能したのじゃロリ猫が歌い始めます。リクが用意したディーゼルですっかりと気持ちよく酔っています。
サンタがさて、と背伸びをしました。片手に持っていたXYZのカクテル(これもリクが用意したものです)を机に置き、白い袋を掴みました。
「プレゼントをあげよう」
皆は歓声をあげます。いくつになっても、サンタさんからの贈り物は嬉しいものです。
サンタはまず、一番始めにメローナとフロートにプレゼントを渡しました。
花をあしらった綺麗なじょうろと、新品の手帳でした。
次にアイベリーと向き合い、ヒーロー物の変身ベルトを手渡しました。
アイベリーはガッツポーズをします。
シトロンとマーマレードには、色違いの湯飲み……夫婦湯呑でした。
プラムはダンスの練習用DVD、ピオーネには素敵な絵本を手渡して行きます。
淡雪は眠気が覚めるガム(365日分)をもらい、ジュジィは悪戯セットをもらいました。
サンタはちょっと考えて、くゆりに甘いお菓子がどっさり入ったバスケットを渡し、ピネにはお菓子作りの本、リクにはその片割れとお揃いになれる、二組のカメラストラップを渡します。
のじゃロリ猫を見たサンタは眉を潜めました。サンタの影が濃くなって膨らみました。
膨らんだ影が野太い声で言います。
「おまえ、ジャガイモになるか?」
のじゃロリ猫はふんと鼻をならします。
「ブラックサンタ、お主こそジャガイモになれ」
サンタは苦笑いし、ブラックサンタを引っ込めました。のじゃロリ猫とサンタは旧友です。と言うか、実のところはのじゃロリ猫の方が年上です。この掛け合いはいつもの冗談でした。
サンタはのじゃロリ猫にいつものを放り投げました。
のじゃロリ猫はそれをキャッチし、胡座をかいて上機嫌で飲み始めました。
大瓶の焼酎です。
サンタはマリネッタとフルーチェに向き直り、また白い袋に手を突っ込みました。
マリネッタには人狼の衝動を抑える脱狼薬、フルーチェにはさざ波の音が聞こえるオルゴールです。
サンタはアンコを見つめ、首をかしげました。
「うーむ君は難しいな……」
サンタはしばらく考え、納得したようなしていないような顔をして頷き、あるものを取り出しました。
それは黒と白の石で飾られたベルトでした。アンコは笑顔でお礼を言います。
ふぉっふぉとサンタは笑い、席から立ち上がりました。
「今年も楽しかったよ。ありがとう」
こちらこそ、と、皆は口々にお礼を言い、メローナが代表して告げました。
「残っている子供達の分の配達も、頑張ってください♪」
「おお、そうだった。まだまだ子供達が待っているんだった。それじゃあ、また来年!メリークリスマス!」
「「「「「メリークリスマス!」」」」」
去り際にまたサンタの影が膨らみ、のじゃロリ猫を脅しています。
「来年こそジャガイモにしてやる!だから風邪引くなよ!」
「わしも来年こそはじゃがバターにして食ってやるわ!だからくたばるなよ」
サンタはのじゃロリ猫の言葉を受け、背筋を伸ばして出ていきました。
やがて店の外から、シャンシャンとルドルフの引くソリについた鈴の音が聞こえてきます。
今日はクリスマス。
アンコは貰った贈り物を見つめ、にっこりと微笑みました。
Merry Christmas!