前回までのあらすじはこのカノープスが説明するぜ。
二年前兄を失った龍香。親友の桃井かおりと巷で噂のお化けの正体を確かめるべく河原で探索をする中この俺、カノープスと出会う。
直後に親友の桃井かおりを襲った怪物、シードゥスを倒すために俺と力を合わせ変身して倒したんだ。そして何と俺は二年前いなくなった兄の相棒だった...どうなる第二話!
二年前兄を失った龍香。親友の桃井かおりと巷で噂のお化けの正体を確かめるべく河原で探索をする中この俺、カノープスと出会う。
直後に親友の桃井かおりを襲った怪物、シードゥスを倒すために俺と力を合わせ変身して倒したんだ。そして何と俺は二年前いなくなった兄の相棒だった...どうなる第二話!
「お兄ちゃんの...相棒?」
《あぁ。》
その言葉に龍香の目の色が変わる。カノープスを掴んで目の前に持ってくると詰め寄るように問う。
「お兄ちゃんの相棒って...じゃああの日!お兄ちゃんがいなくなった日!何があったの!?お兄ちゃんは!?」
《おいおい!まぁ順に説明するから落ち着けって...》
あまりの迫力にカノープスは気圧されるながら話し始める。
「まぁ、まずはお前の両親、そして兄が所属していた組織についてだ。組織の名は新月。新月はさっきお前が戦ったあの怪物、シードゥスに対抗するために作られた組織だ。」
「...お父さんとお母さんも?」
両親は龍香が幼い頃に死別しており正直記憶も曖昧で顔も覚えていない。龍香にとって家族は兄だけだった。
《...あぁ。お前の両親も所属していた。そしてお前が幼い頃シードゥスとの激闘の末、死んだ。そして兄はその両親の意思を継いで戦っていたんだ。》
「そうだったんだ...。」
知られざる兄の一面に龍香は思わず声が出る。そして嫌な予感がし、恐る恐る聞いてみる。
「じゃああの日、お兄ちゃんは...?」
《死んだ...と言いたいとこだが、少し疑問がある。》
「疑問...?」
カノープスの言葉に龍香が尋ねると、カノープスは何やら確証が持てないようで言葉に困ったように話す。
《いや、何と言うか、俺は変身してる奴とどこまで離れていてもリンク出来るんだが...そのリンクの切られ方が妙でな。》
「...お兄ちゃんが...その...死んじゃった...から?」
兄が死んだ。その言葉は口にするのも辛い。思わず涙が溢れてしまいそうだ。
《いや、そうじゃなくて。あー、例えるならそうだな。俺とリンク先にはリンク先から川が流れてるとしようか。仮にリンク先が死亡した場合、水源がなくなって俺のとこに水が来なくなるんだが、お前の兄の場合川の真ん中に何かバリケードか何かで遮られたせいで俺のとこに水が来ない感じだ。》
「...つまり?」
実はカノープスの例え話はあんまり理解していないが話の流れから、龍香に一筋の希望が見える。
《もしかしたらお前の兄は生きてるかもしれん。》
カノープスの言葉に龍香は思わず声が出てしまう。
「お兄ちゃんが...生きてる...!」
《あぁ。》
その言葉に龍香の目の色が変わる。カノープスを掴んで目の前に持ってくると詰め寄るように問う。
「お兄ちゃんの相棒って...じゃああの日!お兄ちゃんがいなくなった日!何があったの!?お兄ちゃんは!?」
《おいおい!まぁ順に説明するから落ち着けって...》
あまりの迫力にカノープスは気圧されるながら話し始める。
「まぁ、まずはお前の両親、そして兄が所属していた組織についてだ。組織の名は新月。新月はさっきお前が戦ったあの怪物、シードゥスに対抗するために作られた組織だ。」
「...お父さんとお母さんも?」
両親は龍香が幼い頃に死別しており正直記憶も曖昧で顔も覚えていない。龍香にとって家族は兄だけだった。
《...あぁ。お前の両親も所属していた。そしてお前が幼い頃シードゥスとの激闘の末、死んだ。そして兄はその両親の意思を継いで戦っていたんだ。》
「そうだったんだ...。」
知られざる兄の一面に龍香は思わず声が出る。そして嫌な予感がし、恐る恐る聞いてみる。
「じゃああの日、お兄ちゃんは...?」
《死んだ...と言いたいとこだが、少し疑問がある。》
「疑問...?」
カノープスの言葉に龍香が尋ねると、カノープスは何やら確証が持てないようで言葉に困ったように話す。
《いや、何と言うか、俺は変身してる奴とどこまで離れていてもリンク出来るんだが...そのリンクの切られ方が妙でな。》
「...お兄ちゃんが...その...死んじゃった...から?」
兄が死んだ。その言葉は口にするのも辛い。思わず涙が溢れてしまいそうだ。
《いや、そうじゃなくて。あー、例えるならそうだな。俺とリンク先にはリンク先から川が流れてるとしようか。仮にリンク先が死亡した場合、水源がなくなって俺のとこに水が来なくなるんだが、お前の兄の場合川の真ん中に何かバリケードか何かで遮られたせいで俺のとこに水が来ない感じだ。》
「...つまり?」
実はカノープスの例え話はあんまり理解していないが話の流れから、龍香に一筋の希望が見える。
《もしかしたらお前の兄は生きてるかもしれん。》
カノープスの言葉に龍香は思わず声が出てしまう。
「お兄ちゃんが...生きてる...!」
「アルゲティがやられちゃったの?」
目の前の弓矢の装飾が特徴的な怪物、ルクバトの言葉に女性、アンタレスは驚く。
「新月...だっけ?アレ二年前に決着着いちゃったんじゃなかった?」
「生き残りがいたのだろう。」
アンタレスの質問にルクバトは素っ気なく返す。仲間が死んだと言うのに二人に悲壮感は全く見られない。寧ろ面倒なことになったという煩わしさを漂わせている。
「良いじゃねえか。退屈しなくてすみそうだ。」
奥の方からカツカツと音を立てながら龍のような鎧に身を包んだ怪物と冠を被った怪物が現れる。
「あら、トゥバンにゲンマ。珍しいわね。」
「アンタレス。彼に言ってやって下さい。身体を一度失ったくせにお気楽過ぎる、と。」
ゲンマがアンタレスに茶化すように言った瞬間、ゲンマの喉元に無骨な薙刀のような武器が突きつけられる。武器を突きつけられ、ゲンマは思わず一歩後ずさる。それを握っているのはトゥバンだ。
「...悪いな。聞こえなかったからもう一度言ってくれないか。」
全員に緊張感が走る。突きつけられたゲンマも一歩引いた後ずさったものの、完璧に怯んだわけではなくトゥバンの同行を一挙たりとも見逃さないよう睨み返す。
アンタレスは笑い、ルクバトは興味無さげにしているがこれから起こるかもしれない出来事に身構えている。
まさに一触即発、いつそれが弾けてもおかしくない状況に全員が警戒している時だった。
「何をしているのですか?」
その言葉で一触即発ムードだったこの場の空気がガラリと変わる。先程まで漂っていた空気は重苦しいプレッシャーと威圧感にまみれる。
「...プロウフ。」
「ここは喧嘩をする場所ではありませんよ。」
プレッシャーと威圧感を放つ声の主、プロウフは嘆息しながらゲンマとトゥバンの肩に手を置き注意する。
「ゲンマ。あなたはすぐに人を煽る癖をやめなさい。トゥバン。あなたもすぐに挑発に乗らない。」
口調こそ優しいが滲み出る迫力に気圧されたのかゲンマは逃げるように、トゥバンは舌打ちしてその場を後にする。
「リーダーも大変だね。」
「アンタレス。あなたもトラブルを面白がるのはやめなさい。」
プロウフはアンタレスにも注意すると、何かを思い出したかのように何処か遠くを見るかのように虚空を見つめながらため息をつく。
「二年前の新月との戦い。辛くも我らは勝利しましたが多くの友を、貴方達幹部ツォディアの半数を失ってしまいました。そしてまた新な脅威に我らは晒されています。」
プロウフはそう言うと踵を返し、そして去り際にアンタレスとルクバトに言う。
「しばらく私は対策を考えます。2人は他の者達に迂闊な行動は控えるように言っておきなさい。」
「はーい。」
アンタレスは返事をし、ルクバトは無言のままプロウフの姿が見えなくなると、アンタレスはルクバトに尋ねる。
「だって。注意する?」
「任せた。」
「え」
ルクバトはそう言うと何処かへ消えてしまう。そして残されたアンタレスはポカンとなる。
「...録なのいねぇなココ...。」
目の前の弓矢の装飾が特徴的な怪物、ルクバトの言葉に女性、アンタレスは驚く。
「新月...だっけ?アレ二年前に決着着いちゃったんじゃなかった?」
「生き残りがいたのだろう。」
アンタレスの質問にルクバトは素っ気なく返す。仲間が死んだと言うのに二人に悲壮感は全く見られない。寧ろ面倒なことになったという煩わしさを漂わせている。
「良いじゃねえか。退屈しなくてすみそうだ。」
奥の方からカツカツと音を立てながら龍のような鎧に身を包んだ怪物と冠を被った怪物が現れる。
「あら、トゥバンにゲンマ。珍しいわね。」
「アンタレス。彼に言ってやって下さい。身体を一度失ったくせにお気楽過ぎる、と。」
ゲンマがアンタレスに茶化すように言った瞬間、ゲンマの喉元に無骨な薙刀のような武器が突きつけられる。武器を突きつけられ、ゲンマは思わず一歩後ずさる。それを握っているのはトゥバンだ。
「...悪いな。聞こえなかったからもう一度言ってくれないか。」
全員に緊張感が走る。突きつけられたゲンマも一歩引いた後ずさったものの、完璧に怯んだわけではなくトゥバンの同行を一挙たりとも見逃さないよう睨み返す。
アンタレスは笑い、ルクバトは興味無さげにしているがこれから起こるかもしれない出来事に身構えている。
まさに一触即発、いつそれが弾けてもおかしくない状況に全員が警戒している時だった。
「何をしているのですか?」
その言葉で一触即発ムードだったこの場の空気がガラリと変わる。先程まで漂っていた空気は重苦しいプレッシャーと威圧感にまみれる。
「...プロウフ。」
「ここは喧嘩をする場所ではありませんよ。」
プレッシャーと威圧感を放つ声の主、プロウフは嘆息しながらゲンマとトゥバンの肩に手を置き注意する。
「ゲンマ。あなたはすぐに人を煽る癖をやめなさい。トゥバン。あなたもすぐに挑発に乗らない。」
口調こそ優しいが滲み出る迫力に気圧されたのかゲンマは逃げるように、トゥバンは舌打ちしてその場を後にする。
「リーダーも大変だね。」
「アンタレス。あなたもトラブルを面白がるのはやめなさい。」
プロウフはアンタレスにも注意すると、何かを思い出したかのように何処か遠くを見るかのように虚空を見つめながらため息をつく。
「二年前の新月との戦い。辛くも我らは勝利しましたが多くの友を、貴方達幹部ツォディアの半数を失ってしまいました。そしてまた新な脅威に我らは晒されています。」
プロウフはそう言うと踵を返し、そして去り際にアンタレスとルクバトに言う。
「しばらく私は対策を考えます。2人は他の者達に迂闊な行動は控えるように言っておきなさい。」
「はーい。」
アンタレスは返事をし、ルクバトは無言のままプロウフの姿が見えなくなると、アンタレスはルクバトに尋ねる。
「だって。注意する?」
「任せた。」
「え」
ルクバトはそう言うと何処かへ消えてしまう。そして残されたアンタレスはポカンとなる。
「...録なのいねぇなココ...。」
「う、うーん....」
「あ、起きた?」
龍香がカノープスと喋っていると、アルゲティとの一戦で気絶した桃井が目を覚ます。
桃井は目を覚ました瞬間バッと跳ね上がるように起き、キョロキョロと辺りを見回す。そして龍香の顔を見るとスゴイ勢いで近づいて手を取る。
「ひゃっ」
「り、龍香!!あ、あのねあのね!私見たのスッゴいデカイ巨人!凄く近づいて来て、私怖くって!」
「お、落ち着いて...」
確かに先程の出来事があったらパニックになるのは分かる。真実をおしえてあげたいが、桃井が目を覚ます前にカノープスに言われた事を思い出す。
《真実を教えてやりたいかもしれんが言ったところで信じて貰えんし、知らない方がいい世界ってモンがある。》
ちなみにそのことを隠すためにもう一回変身して現場から離れた河原まで見つからないように桃井を運んだのだ。
「ゆ、夢でも見たんじゃないかな?だってかおりここで寝てたし。」
「ね、寝てたって...!」
「だってほら。仮にそこにいたとしても私じゃかおり運べないし。ここにいるのおかしいじゃない?」
「う、うーん?」
桃井は納得しかねると言った感じで疑問符を頭に浮かべている。友達を騙すのは心苦しいが龍香も確かに桃井に危険な目に会ってほしくはない。
「ほら、もう暗いし帰ろ?かおり門限あるんでしょ?」
「あっ!い、今何時!?」
龍香の言葉に桃井はハッとなって焦り始める。龍香は携帯の時計を確認する。
「今は...18時だよ。」
「アアーッ!!ヤバい!も、もう帰らなきゃ!じゃ、じゃあね龍香!」
そう言うとかおりはカバンを持って脱兎のごとく帰路へと駆け出した。その様子を手を振りながら眺める。
《よく誤魔化せたな。グッジョブだ。》
「ヒヤヒヤしたよも~....。」
カノープスの言葉に龍香は肩を落とす。何だかドッと疲れた龍香は帰ろうと鞄を持って帰路へと着く。
変身したり、怪物と戦ったり、兄の相棒を名乗るヘアアクセと出会ったりと色々あったが、兄が生きているかもしれないという希望を見つけることが出来た。
龍香は久し振りに心から笑顔を浮かべながら家へと帰った。
「あ、起きた?」
龍香がカノープスと喋っていると、アルゲティとの一戦で気絶した桃井が目を覚ます。
桃井は目を覚ました瞬間バッと跳ね上がるように起き、キョロキョロと辺りを見回す。そして龍香の顔を見るとスゴイ勢いで近づいて手を取る。
「ひゃっ」
「り、龍香!!あ、あのねあのね!私見たのスッゴいデカイ巨人!凄く近づいて来て、私怖くって!」
「お、落ち着いて...」
確かに先程の出来事があったらパニックになるのは分かる。真実をおしえてあげたいが、桃井が目を覚ます前にカノープスに言われた事を思い出す。
《真実を教えてやりたいかもしれんが言ったところで信じて貰えんし、知らない方がいい世界ってモンがある。》
ちなみにそのことを隠すためにもう一回変身して現場から離れた河原まで見つからないように桃井を運んだのだ。
「ゆ、夢でも見たんじゃないかな?だってかおりここで寝てたし。」
「ね、寝てたって...!」
「だってほら。仮にそこにいたとしても私じゃかおり運べないし。ここにいるのおかしいじゃない?」
「う、うーん?」
桃井は納得しかねると言った感じで疑問符を頭に浮かべている。友達を騙すのは心苦しいが龍香も確かに桃井に危険な目に会ってほしくはない。
「ほら、もう暗いし帰ろ?かおり門限あるんでしょ?」
「あっ!い、今何時!?」
龍香の言葉に桃井はハッとなって焦り始める。龍香は携帯の時計を確認する。
「今は...18時だよ。」
「アアーッ!!ヤバい!も、もう帰らなきゃ!じゃ、じゃあね龍香!」
そう言うとかおりはカバンを持って脱兎のごとく帰路へと駆け出した。その様子を手を振りながら眺める。
《よく誤魔化せたな。グッジョブだ。》
「ヒヤヒヤしたよも~....。」
カノープスの言葉に龍香は肩を落とす。何だかドッと疲れた龍香は帰ろうと鞄を持って帰路へと着く。
変身したり、怪物と戦ったり、兄の相棒を名乗るヘアアクセと出会ったりと色々あったが、兄が生きているかもしれないという希望を見つけることが出来た。
龍香は久し振りに心から笑顔を浮かべながら家へと帰った。
日もとっぷり暮れ暗闇が辺りを包み、その闇を頼りない程に薄く白い光を放つ街灯のみが照らす夜の道を酔っ払って歩く男がいた。だいぶ酔っているのだろうか。フラフラと足元も覚束ない。男は千鳥足のまま暗い夜道を歩いていく。
そして男がふと辺りを見回すとそこは街灯がなく、明かりは月の光のみといった裏路地にいることに気づいた。
しかし男は疲れてしまったと適当な場所にどっこいしょと座り込んだ。酔いと疲労感で睡魔に襲われ、思わずウトウトとしている時だった。ズルズルと何かを引き摺るような音が回りからすることに気づく。その音を煩く思い、その音の出所へと立ち上がって思い切り踏みつける。
その瞬間、辺りに金切り声のような音が響き渡る。そして先程男が踏んづけていたものがぞわぞわと蠢くと男の足に絡み付く。男が足を見れば髪の毛のようなものが絡み付いていた。そして耳元で掠れた枯れ木のような声が囁く。
《い、痛い、いた、痛いじゃ、ない、か》
男が振り返るとそこには髪の毛を乱雑に生やした髑髏がいた。そして男の悲鳴が辺りに響いた。
そして男がふと辺りを見回すとそこは街灯がなく、明かりは月の光のみといった裏路地にいることに気づいた。
しかし男は疲れてしまったと適当な場所にどっこいしょと座り込んだ。酔いと疲労感で睡魔に襲われ、思わずウトウトとしている時だった。ズルズルと何かを引き摺るような音が回りからすることに気づく。その音を煩く思い、その音の出所へと立ち上がって思い切り踏みつける。
その瞬間、辺りに金切り声のような音が響き渡る。そして先程男が踏んづけていたものがぞわぞわと蠢くと男の足に絡み付く。男が足を見れば髪の毛のようなものが絡み付いていた。そして耳元で掠れた枯れ木のような声が囁く。
《い、痛い、いた、痛いじゃ、ない、か》
男が振り返るとそこには髪の毛を乱雑に生やした髑髏がいた。そして男の悲鳴が辺りに響いた。
「うふふ。うふふ。」
ありがとうございましたー、という声を受けながらコンビニから龍香は出る。その手には買い物袋が握られており、中には“悶絶!激辛拉麺”と書かれた赤い色のカップ麺が。
「いやー、まさか期間限定の拉麺がまだ残ってるとは思わなかったなー。」
目当ての物を手に入れホクホク顔の龍香に彼女の頭にヘアアクセとして付いているカノープスが聞く。
《...それ,美味いのか?見るからにヤバそうなんだが。》
「私、辛いもの好きなんだ。それに、夜中に食べる拉麺は格別に美味しいんだよ!」
《不摂生だな...。》
なんてやり取りをしていた時だった。暗い路地裏の方から微かだが悲鳴が聞こえた。
「カノープス!今の...」
「行ってみるか。」
龍香は急いで声がした方へと走る。そして街灯がなくなっていき、月明かりのみが光源の通りへと出る。
「んなっ....」
そこで龍香は思わず息を呑む。そこにいたのは黒い髪の毛のような物を蠢かせ、男性を縛り上げている怪物だった。男性は気絶しているようでグッタリとして動かない。
「こ、コイツもシードゥスなの!?」
《あぁ。コイツはディアデム!厄介な根暗野郎だ!》
「ともかく!あの人を助けなきゃ!」
そう言うと龍香はカノープスに触れ、叫ぶ。
「ダイノフォーゼ!!」
大地を突き破り現れた恐竜状のエネルギーが龍香を包み、弾けて中から紫色の衣装に身を包んだ龍香が現れる。
《暴虐不尽!ティラノカラー!!》
「たァーッ!」
勢いそのまま“タイラントアックス”でディアデムに斬りかかる。その一撃はバッサリと男を包んでいた髪の毛を切り裂き、男を解放する。
「よいしょっ!」
そして男を抱えると大きく跳躍してディアデムと距離を取る。
「うっ、酒臭ッ!!」
男からはめちゃくちゃお酒の匂いが漂う。あまり好きになれない臭いを我慢しながら龍香は男を下ろす。
《そういや変身の時のダイノフォーゼって、お前が考えたのか?》
「うん!ダイナソーとメタモルフォーゼを掛けてダイノフォーゼ!良いでしょ?」
《いいセンスだな。》
なんてやり取りをしていると掠れた枯れ木のような声をあげながらディアデムが龍香に向く。
《お、ぉ前、か、カノー、カノープス。》
《相変わらず聞き取り辛い野郎だな!》
《お、おれ、お、ぉま、お前、倒す。》
その瞬間ディアデムは黒い髪の毛がついた腕を振るい、龍香に襲いかかる。龍香はその一撃を“タイラントアックス”で受け止める。
「んっ、この!」
“タイラントアックス”を振るい髪の毛を切るが、切れども切れども髪の毛が減る様子はない。
《む、むぅ、無駄、だ、だ!》
ディアデムの言葉と共にさらに髪の毛がうねりをあげて襲いかかる。龍香も最初は捌いていたものの段々追い付かなくなり、その一瞬の隙を突いた一撃が龍香を大きく撥ね飛ばす。
「うわっ!!」
龍香は近くのポリバケツを巻き込みながら倒れる。避けようにも両端を建物で制限されているため髪の毛の攻撃を避けたくても避けきれない。
「うっ...いたた...」
ポリバケツを押し退けながら龍香は立ち上がる。
《くっ、クックッ、くく、お、おまえ、は、か、勝てないよ》
「そんなの、やってみないと分かんないよ!」
ディアデムの挑発に龍香が大声で返した瞬間、ディアデムはその身体を縮込ませる。
《そ、そん、そんなに、お、大声、だ、出さな、出さなくても...》
「えっ、あ、ごめんなさい...」
《いや謝らなくて良いんだよ!》
ディアデムの様子に思わず龍香は謝ってしまう。カノープスのツッコミが入るが実際問題ディアデムの髪の毛攻撃の脅威は未だ残ったままである。
避けようにも路地裏の狭い地形である以上回避は困難で、そして捌き切れる勢いの攻撃でもない。
「どうしよ...」
《逆に考えろ。奴も俺達の攻撃をかわしにくいハズだ。》
対策を考える龍香にカノープスが言う。
「いや、でもアイツに届く攻撃あるの?」
《任せろ、まず俺に触れろ!》
龍香はカノープスに言われた通り、カノープスに触れる。すると紫のラインが青くなり、左肩に3つの角を持つトリケラトプスのような装甲が装着される。
《一点突破!トライセラカラー!》
そして右手にドリルがついた腕甲が装備される。
《ホーンパーフォレイター!》
「お、おぉ!!ドリルだ!」
龍香は右手に着いた“ホーンパーフォレイター”をマジマジと見つめる。
《ふ、ふふ、む、無駄、ムダ。》
ディアデムは青く変わった龍香を見ても余裕の態度を崩さない。
《そ、そろ、そろそろ、い、いく、ぞ!》
ディアデムの髪の毛が蠢き、一気に髪の毛が龍香へと襲いかかる。
「うわ、きた!ど、どうするの!?」
《まぁ、落ち着け。まずは構えろ!》
言われた通り龍香は“ホーンパーフォレイター”を構える。
《そして突っ込め!!》
「うん!分かったつっこ...えぇ!?」
反射的に返したが、よくよく考えたらあまりにもアバウトなアドバイスに龍香は思わず声を上げる。
「い、いや。突っ込めって!さっき捌き切れなくて吹っ飛ばされたじゃん!」
《今度は大丈夫だって!信じろって!》
「ホントに!?ホントにホント!?」
《いやもう来てるから!アイツ来てるから!》
見ればもう既に髪の毛が視界一杯に広がっている。
「わ、こうなったらヤケだー!!」
龍香は“ホーンパーフォレイター”を構えたまま、脚に力を入れ大地を思い切り蹴ってディアデムへ向かって一直線に突貫する。ディアデムの髪の毛もそれを迎え撃たんと龍香に向かう。そしてディアデムの髪の毛が突進してきた龍香を包み込む。
《へ、へへ、か、かっ、勝った》
ディアデムが勝利を確信した瞬間だった。包んだ髪の毛の中からうなり声のような音が鳴る。何かが千切れるような音と共に髪の毛を引き裂きながら龍香が飛び出す。
《な、なっ》
「うおりゃああああああ!ドリル・ディストラクショォォォォン!!」
そして勢いそのまま青い光が螺旋を描きながら“ホーンパーフォレイター”を包み込み、ディアデムに突撃する。次の瞬間“ホーンパーフォレイター”を構えた龍香の一撃がディアデムを貫く。
《あ、がっ...》
ディアデムは絶命すると同時に爆散する。その様子を後ろで龍香とカノープスは感じた。
《どうだ?言った通り大丈夫だったろ?》
「う、うん。でも一つ良い?」
龍香はカノープスに最も単純な疑問を投げ掛ける。
「これどうやって止まるの?」
次の瞬間龍香は思い切り建物の壁に激突した。
ありがとうございましたー、という声を受けながらコンビニから龍香は出る。その手には買い物袋が握られており、中には“悶絶!激辛拉麺”と書かれた赤い色のカップ麺が。
「いやー、まさか期間限定の拉麺がまだ残ってるとは思わなかったなー。」
目当ての物を手に入れホクホク顔の龍香に彼女の頭にヘアアクセとして付いているカノープスが聞く。
《...それ,美味いのか?見るからにヤバそうなんだが。》
「私、辛いもの好きなんだ。それに、夜中に食べる拉麺は格別に美味しいんだよ!」
《不摂生だな...。》
なんてやり取りをしていた時だった。暗い路地裏の方から微かだが悲鳴が聞こえた。
「カノープス!今の...」
「行ってみるか。」
龍香は急いで声がした方へと走る。そして街灯がなくなっていき、月明かりのみが光源の通りへと出る。
「んなっ....」
そこで龍香は思わず息を呑む。そこにいたのは黒い髪の毛のような物を蠢かせ、男性を縛り上げている怪物だった。男性は気絶しているようでグッタリとして動かない。
「こ、コイツもシードゥスなの!?」
《あぁ。コイツはディアデム!厄介な根暗野郎だ!》
「ともかく!あの人を助けなきゃ!」
そう言うと龍香はカノープスに触れ、叫ぶ。
「ダイノフォーゼ!!」
大地を突き破り現れた恐竜状のエネルギーが龍香を包み、弾けて中から紫色の衣装に身を包んだ龍香が現れる。
《暴虐不尽!ティラノカラー!!》
「たァーッ!」
勢いそのまま“タイラントアックス”でディアデムに斬りかかる。その一撃はバッサリと男を包んでいた髪の毛を切り裂き、男を解放する。
「よいしょっ!」
そして男を抱えると大きく跳躍してディアデムと距離を取る。
「うっ、酒臭ッ!!」
男からはめちゃくちゃお酒の匂いが漂う。あまり好きになれない臭いを我慢しながら龍香は男を下ろす。
《そういや変身の時のダイノフォーゼって、お前が考えたのか?》
「うん!ダイナソーとメタモルフォーゼを掛けてダイノフォーゼ!良いでしょ?」
《いいセンスだな。》
なんてやり取りをしていると掠れた枯れ木のような声をあげながらディアデムが龍香に向く。
《お、ぉ前、か、カノー、カノープス。》
《相変わらず聞き取り辛い野郎だな!》
《お、おれ、お、ぉま、お前、倒す。》
その瞬間ディアデムは黒い髪の毛がついた腕を振るい、龍香に襲いかかる。龍香はその一撃を“タイラントアックス”で受け止める。
「んっ、この!」
“タイラントアックス”を振るい髪の毛を切るが、切れども切れども髪の毛が減る様子はない。
《む、むぅ、無駄、だ、だ!》
ディアデムの言葉と共にさらに髪の毛がうねりをあげて襲いかかる。龍香も最初は捌いていたものの段々追い付かなくなり、その一瞬の隙を突いた一撃が龍香を大きく撥ね飛ばす。
「うわっ!!」
龍香は近くのポリバケツを巻き込みながら倒れる。避けようにも両端を建物で制限されているため髪の毛の攻撃を避けたくても避けきれない。
「うっ...いたた...」
ポリバケツを押し退けながら龍香は立ち上がる。
《くっ、クックッ、くく、お、おまえ、は、か、勝てないよ》
「そんなの、やってみないと分かんないよ!」
ディアデムの挑発に龍香が大声で返した瞬間、ディアデムはその身体を縮込ませる。
《そ、そん、そんなに、お、大声、だ、出さな、出さなくても...》
「えっ、あ、ごめんなさい...」
《いや謝らなくて良いんだよ!》
ディアデムの様子に思わず龍香は謝ってしまう。カノープスのツッコミが入るが実際問題ディアデムの髪の毛攻撃の脅威は未だ残ったままである。
避けようにも路地裏の狭い地形である以上回避は困難で、そして捌き切れる勢いの攻撃でもない。
「どうしよ...」
《逆に考えろ。奴も俺達の攻撃をかわしにくいハズだ。》
対策を考える龍香にカノープスが言う。
「いや、でもアイツに届く攻撃あるの?」
《任せろ、まず俺に触れろ!》
龍香はカノープスに言われた通り、カノープスに触れる。すると紫のラインが青くなり、左肩に3つの角を持つトリケラトプスのような装甲が装着される。
《一点突破!トライセラカラー!》
そして右手にドリルがついた腕甲が装備される。
《ホーンパーフォレイター!》
「お、おぉ!!ドリルだ!」
龍香は右手に着いた“ホーンパーフォレイター”をマジマジと見つめる。
《ふ、ふふ、む、無駄、ムダ。》
ディアデムは青く変わった龍香を見ても余裕の態度を崩さない。
《そ、そろ、そろそろ、い、いく、ぞ!》
ディアデムの髪の毛が蠢き、一気に髪の毛が龍香へと襲いかかる。
「うわ、きた!ど、どうするの!?」
《まぁ、落ち着け。まずは構えろ!》
言われた通り龍香は“ホーンパーフォレイター”を構える。
《そして突っ込め!!》
「うん!分かったつっこ...えぇ!?」
反射的に返したが、よくよく考えたらあまりにもアバウトなアドバイスに龍香は思わず声を上げる。
「い、いや。突っ込めって!さっき捌き切れなくて吹っ飛ばされたじゃん!」
《今度は大丈夫だって!信じろって!》
「ホントに!?ホントにホント!?」
《いやもう来てるから!アイツ来てるから!》
見ればもう既に髪の毛が視界一杯に広がっている。
「わ、こうなったらヤケだー!!」
龍香は“ホーンパーフォレイター”を構えたまま、脚に力を入れ大地を思い切り蹴ってディアデムへ向かって一直線に突貫する。ディアデムの髪の毛もそれを迎え撃たんと龍香に向かう。そしてディアデムの髪の毛が突進してきた龍香を包み込む。
《へ、へへ、か、かっ、勝った》
ディアデムが勝利を確信した瞬間だった。包んだ髪の毛の中からうなり声のような音が鳴る。何かが千切れるような音と共に髪の毛を引き裂きながら龍香が飛び出す。
《な、なっ》
「うおりゃああああああ!ドリル・ディストラクショォォォォン!!」
そして勢いそのまま青い光が螺旋を描きながら“ホーンパーフォレイター”を包み込み、ディアデムに突撃する。次の瞬間“ホーンパーフォレイター”を構えた龍香の一撃がディアデムを貫く。
《あ、がっ...》
ディアデムは絶命すると同時に爆散する。その様子を後ろで龍香とカノープスは感じた。
《どうだ?言った通り大丈夫だったろ?》
「う、うん。でも一つ良い?」
龍香はカノープスに最も単純な疑問を投げ掛ける。
「これどうやって止まるの?」
次の瞬間龍香は思い切り建物の壁に激突した。
「あれが龍賢君の妹君か。」
何処かのビルの屋上で一人の青年がさっきまで戦いがあった路地裏を見下ろしている。
見れば今突っ込んだ建物からふらふらと出てくる少女がいる。荒削りな戦い方だが、戦闘経験が浅い割にはかなり善戦しており本人の才能を感じさせる。
「彼女が君達の仲間になるかもしれない子だよ。二人とも。仲良くしてあげてね。」
青年は振り返って、後ろにいた二人に話し掛ける。黒い鳥のようなマスクを着けた少年は無言で頷く。そしてもう一人の金髪碧眼の少女は不服そうに顔を背ける。
「...なんで私があんな素人と。」
「まぁまぁ。そこは先輩として面倒を見てあげてよ。」
青年はハハと笑みを浮かべながら二人に言う。
「近い内、彼女を迎えに行かなくてはならないね。」
そう言う青年の瞳には龍香の姿があった。
何処かのビルの屋上で一人の青年がさっきまで戦いがあった路地裏を見下ろしている。
見れば今突っ込んだ建物からふらふらと出てくる少女がいる。荒削りな戦い方だが、戦闘経験が浅い割にはかなり善戦しており本人の才能を感じさせる。
「彼女が君達の仲間になるかもしれない子だよ。二人とも。仲良くしてあげてね。」
青年は振り返って、後ろにいた二人に話し掛ける。黒い鳥のようなマスクを着けた少年は無言で頷く。そしてもう一人の金髪碧眼の少女は不服そうに顔を背ける。
「...なんで私があんな素人と。」
「まぁまぁ。そこは先輩として面倒を見てあげてよ。」
青年はハハと笑みを浮かべながら二人に言う。
「近い内、彼女を迎えに行かなくてはならないね。」
そう言う青年の瞳には龍香の姿があった。
To be continued...
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