【初出】
X巻
頭部のない鉄の巨人の姿。胴体部分には白い染料で描かれた双頭の鳥があり、そこから声を出していた。反響したように語尾を伸ばす特徴的な喋り方に反して、
ゾフィー・サバリッシュや[
仮装舞踏会]の
ベルペオルも認める戦上手。
ブロッケン要塞建造期間中は、その守備を任されていた。なお、原作では心の中の声も反響していたが、外伝漫画『
ES』では普通だった。
公明正大な性格で、他の『
九垓天秤』から篤い信頼を寄せられていた。配下の軍勢を「戦友たち」と呼び、敗走に際しては最後まで殿軍を守って死んだことからも、義に篤く部下を愛する人柄がうかがえた。
戦場以外では、何事に対しても慎み深かった。[とむらいの鐘]に入ったのも、
アシズの恩義に報いるためだったようだ。質問コーナーでのインタビューによれば「
アシズに仇なすあらゆる敵を粉砕することが己の運命だと悟った」のが直接の理由だったらしい。
「陰険悪辣の嫌な奴だった」と評す
ソカルの死を、轡を並べた戦友として悼み怒った漢。
中世の『
大戦』終盤、『
天破壌砕』発動後に[とむらいの鐘]残兵を一人でも多く逃がす為に前線に踏みとどまり、
アルラウネと共に『震威の結い手』
ゾフィー・サバリッシュによって討滅された。
【由来・元ネタ】
名前の元ネタは、ヒッタイト神話に登場する閃緑岩でできた天を突き破るほどの巨人ウルリクムミ(Ullikummi)と思われる。ウッリクンミとも読まれる。
その名は「クムミ(風の神の地上における領地)の都城を荒廃せしめる者」という意味を持つ。
原初の巨人クマルビの肩に乗って嵐の神テシュブに戦いを挑むが、足を切られ倒された。
「巌」は高く険しい山や大きな岩を、「凱」は勝鬨(戦勝の際に上げる喜びの声)を意味する。
真名全体で「戦勝を捧げる巨大な岩山」という意味だと思われる。
その
顕現した巨体も、戦場においての勇猛さも彼の本質が巌と戦いという要素で構成されているからだろう。
「先手」は、軍の先頭に立つ先陣や先鋒のこと。後に江戸の天下太平の時代になると、先手組として江戸城に詰め、将軍の警護や江戸市中の治安維持を行った。
ウルリクムミは前者の先陣の、
ソカルは後者の警護の色彩が強いように思われる。
最終更新:2025年02月09日 05:31