【種別】
フレイムヘイズ

【初出】
I巻

【解説】
『炎髪灼眼の討ち手』(えんぱつしゃくがんのうちて)の称号を持つ、“天壌の劫火”アラストールのフレイムヘイズ。の色は紅蓮。神器は、黒い玉に金のリングをかけ銀の鎖で吊したペンダント型の“コキュートス”。二代目『炎髪灼眼の討ち手』(マティルダが初代)であることが、XVIII巻で判明した。
見た目は、悠二曰く「中学生も怪しい」、腰までの長い髪の、凛々しい顔立ちの少女。主人公の一人。
「シャナ」という名称は坂井悠二によって付けられたもので、御崎市に来るまでは称号である『炎髪灼眼の討ち手』を氏名代わりに使い、称号以外で区別する必要があった時は「『贄殿遮那』のフレイムヘイズ」と名乗っていた。

戦闘時には、『炎髪灼眼』という火の粉を散らし紅蓮に輝く髪と炎のように煌く瞳に変化し、『夜笠』という黒衣を纏う。また、物語本編でのシャナは、“天目一個”から手に入れた大太刀型宝具贄殿遮那』を振るって戦闘を行っている。

フレイムヘイズとしての経歴の浅さ、アラストールの力が巨大すぎることでの感覚の掴み辛さ、自在師としての適性の無さから、自在法は当初ポヒュラーで簡単な物しか使えず、格闘戦に特化した「変わり者」のフレイムヘイズであり、本人の密かなコンプレックスになっていたが、II巻で炎そのものを顕現させることができるようになり、『零時迷子』の力を利用した深夜の鍛錬で、その力を練磨していた。後には、マージョリー・ドーを師に、自在法の鍛練を積んでいた。

甘党でメロンパンが特に大々好物。I巻で『カリカリモフモフ』式食べ方を熱弁した。赤ん坊の時、複雑らしい事情からヴィルヘルミナに拾われた。
それから12年、移動要塞『天道宮』でフレイムヘイズとなるために、あらゆる英才教育を施された『在るべくして在る者』。

『天道宮』を出てからは、東欧、香港などに滞在したようだ。その道中でゾフィー・サバリッシュから、現代のフレイムヘイズとしての在り方と、女性としての嗜みを教えられていた。また、彼女とは後々まで、手紙での交流が続いた。
『天道宮』を離れてから御崎市を訪れるまでの間に出会ったフレイムヘイズをシャナが形容した台詞に、「お喋り男に爆弾女、乱暴絵描きに弾き語り、偏執狂に肝っ玉母さん」というものがある。明らかになっているのは、「お喋り男」ことピエトロ・モンテベルディ、「爆弾女」ことレベッカ・リード、「偏執狂」ことセシリア・ロドリーゴ、「肝っ玉母さん」ことゾフィー・サバリッシュの四名。他にも「乱暴絵描き」はミカロユス・キュイだと思われるが、まだはっきりとはしていない。

来日してからは、御崎市に程近い寄木市でウコバクを討滅した後、御崎市を訪れた。
御崎市では、既にトーチとなっていた悠二のクラスメイト「平井ゆかり」に存在を割り込ませて、彼女に成りすましていた。
平井家はシャナが訪れた時点で全員トーチとなっており、時間経過とともに皆消滅してしまったのでシャナの一人暮らしとなったが、当初は坂井家に入り浸っている状況だったため、平井家は単なる寝床に過ぎなかった。しかしヴィルヘルミナ・カルメル御崎市に到来してからは、フレイムヘイズとしての活動拠点の役目も持つようになった。

「フレイムヘイズには必要無いもの」として他者との交友はアラストール、ヴィルヘルミナなどの一部の例外を除いてほとんど無く、当初は坂井悠二に対しても「モノ」としてそこらの石ころを見るような冷たいものだったが、“狩人”フリアグネとの戦いの中で悠二が見せた意外な有能さ、自分を理解してくれた嬉しさ、「一緒に戦ってる」と実感できた戦いの中での心の結びつきから、徐々に恋愛感情を抱いていった。

生まれと育ちの特殊性から、自身の恋愛感情になかなか気付かず、吉田一美が悠二と話している時に感じる不快感の理由が自分の独占欲にあるとIII巻終盤で気付き、IV巻でそれが恋だと自覚し、VII巻終盤でそれを自分の言葉としても外に出せるようになった。

しばらくの間フレイムヘイズが恋愛感情を持つことの是非について悩んでいたが、「フレイムヘイズも人を愛する」ということをアラストールから教わり、自身の感情を胸の奥に秘めておく必要は無くなった。そして“好き”の本当の意味を理解し、XII巻では遂に吉田一美に対して宣戦布告をし、吉田一美に対等の恋のライバル兼友達と認められた。
悠二の母・千草には、そういう女の子としての相談をいろいろとしていた。

料理は壊滅的に下手。VI巻で吉田に対抗すべく、悠二やアラストールに内緒で千草に料理を教わりはじめるが、千草でさえフォローしきれないあらゆる物を「黒こげの何か」にする恐ろしい腕前だった。
VIII巻で勇気を出して悠二に手作り弁当を渡した。しかし、中身は「圧縮されたふやけたメロンパン」と「黒こげの何か」づくしの弁当だった。だが想いは悠二にちゃんと伝わったようだ。外伝『ドミサイル』では一美の協力を得て苦心しながらも、パンネンクックを作ることに成功した。

12月24日を吉田との恋の決戦の日と定めるが、その当日にザロービビフロンス、更にはサブラクが相次いで襲来。“徒”たちは討滅・撃退したものの、悠二の存在がこの世から欠落してしまった。

それでもシャナ達は精神的に危うい状態になりながらも悠二の生存を信じていたが、翌月になって帰郷した悠二は“紅世の王”にして『創造神』“祭礼の蛇”と合一していた。
シャナは悲愁な想いを抱きながらも、悠二を“徒”として討滅すべく、マージョリー、ヴィルヘルミナとともに戦いに臨むが、巧みに戦力を分断された上で、彼との一対一の戦いを強いられ、宝具と実力の前に敗北。“祭礼の蛇”坂井悠二によって、アラストールごと拉致された。

星黎殿』に幽閉されたシャナは、金の鎖型宝具により絆の繋がりを含む異能の力を封じられ、大太刀『贄殿遮那』は取り上げられた上に、アラストールの意思を表出させる神器“コキュートス”とも引き離された。一時はヘカテーによる暗殺未遂が発生したが、持ち前の機転で“祭礼の蛇”坂井悠二の介入を招いて命からがら回避するなどしていた。
かつてメリヒムに教えられた『最強の自在法』の存在と意味をヘカテーによる暗殺未遂直前に気付き、悠二に対してそれを意識しつつ、今はまだその力が足りないと思っていた。
大命』第二段階に入り、『神門』の向こう側にある『久遠の陥穽』へ向かう“祭礼の蛇”坂井悠二(とアラストール)を、『星黎殿』から見送った。

その数日後、悠二に会いに行くと遂に決意した所に、カムシンたちの『星黎殿』侵入で起こった騒動で世話役の“燐子”に連れ出され、その途中でカムシンが放った瓦礫の弾丸が歩いていた廊下を直撃した。
シャナは、寸前で気付いて回避するが避け切れずに重傷を負った。しかし、瓦礫の下敷きになった世話役の“燐子”を隠し持っていた短剣で止めを刺して脱出。その途中で一時的に復活した“天目一個”と邂逅し、その核である大太刀『贄殿遮那』で『タルタロス』を断ち切ってもらい、異能の力と『贄殿遮那』を取り戻した。
大伽藍に到着する頃には負傷も回復し、そこでウアルと遭遇し戦闘になるが、その最中に真の『炎髪灼眼の討ち手』として目覚めた。その際に自分の力に『真紅』『飛焔』『審判』『断罪』とそれぞれ名付け、その力でウアルを容易く討滅した。
その後、ヴィルヘルミナたちと合流して、情報交換を行った後に「悠二を追う」と宣言。それに同意したレベッカやヴィルヘルミナ、カムシンらと共に、『星黎殿』至近にまで迫っていたフレイムヘイズ兵団に『神門』や盟主たちの行方に関する情報を宣告した後、『神門』へと突入した。

詣道』内奥へ向かう途中で待ち伏せしていたサブラクをヴィルヘルミナたちに任せて単身先に進み、ついに“祭礼の蛇”神体と共に『詣道』を遡って来る坂井悠二たちと邂逅、交戦を開始した。
その最中に悠二に自身の思いを告白し、このとき「もし“祭礼の蛇”が悠二を消し去って、ただの創造神になったら、私は“天破壌砕”を躊躇わず使う」と宣言した。それでも“祭礼の蛇”坂井悠二の決意は変わらず、悠二と戦闘を続けるが“祭礼の蛇”神体の帰還を阻止することは出来ず、ヴィルヘルミナたちと合流した後に最古のフレイムヘイズたちの成れの果てたる色付く影の助力によってその場を離脱し、“祭礼の蛇”神体たちより一足早く『神門』を抜けてこの世に帰還した。

上空からフレイムヘイズ兵団の不利を見て取ると、速やかにバティンを討滅して総司令官ゾフィーの元に向かい、退却作戦『引潮』に参加した。その途中、“祭礼の蛇”による大命宣布があったが、その心を揺らすことはなかった。
『引潮』作戦の要である戦場東部の保塁で、ザムエル・デマンティウスに力を貸す形で敵軍の進出を阻止していたが、二度目の宣布で自軍が総崩れとなってしまった。
その状況で、シャナらはセンターヒルから世界の歪みについての真実を知り、生き残った討ち手達を救出して次なる戦いに備えることを決意した。
ザムエルとセンターヒルが討ち手たちを助け出す間、シャナとヴィルヘルミナ(後にセンターヒルも)がシュドナイの足止めに回るが、決定打を与えることは出来なかった。
さらにマージョリーの罠もシュドナイはたやすく打ち破り、万策尽きたかと思われたところで、戦場に高速で来襲した“ゾリャー”に乗ったキアラ・トスカナサーレによってその場にいたヴィルヘルミナやマージョリーごと回収されて戦場から脱出した。

戦場を脱出した後は、香港を経由し、『大地の四神』説得のためニューヨークを訪れ彼ら『三神』と合流。説明と説得に言葉を尽くし、その協力を取り付けた。その後に御崎市に突入する寸前の飛行機の中で、人間の通信機器を使って全世界のフレイムヘイズたちに天罰神の契約者としての宣布を行った。
御崎市決戦では、“ゾリャー”に乗って市の南部から突入。阻もうとしたオセを『審判』と『断罪』により撃ち払い、市中央部に設営された『真宰社』に到達した。
キアラ、サーレと別れ、『真宰社』最上部にて、ヴィルヘルミナとともに“祭礼の蛇”坂井悠二、シュドナイと交戦に入った。
その攻防の合間、これまで使わずにいた宝具『コルデー』に仕込んだ『大命詩篇』の断片をヘカテーを包む『大命詩篇』の繭に打ち込もうとするが、“祭礼の蛇”坂井悠二が事前に用意しておいた『暴君』による防御機能に阻止された。
戦闘の最中、意を決した吉田一美の頼みを聞き、彼女の首にかけられた『タルタロス』の鎖を断ち切ると、『ヒラルダ』の使用によってフィレスが現れヨーハンを呼び起こして、吉田を連れ[百鬼夜行]の“燐子”に乗って戦場から離脱していった。
戦場の不確定要素が減り、シャナは悠二と再戦を開始。ついに妨害を振り切って、『コルデー』をはめたままの『真紅』の拳を『大命詩篇』の繭に突き込み、目的を果たした。そこに収められていた自在式は、破壊ではなく改変の式で、新世界に「人を喰らうこと能わず」の法則が組み込まれ、結局は“徒”たちも“祭礼の蛇”もそれを認めたため、改変されたままの形で新世界『無何有鏡』が創造された。

そして一旦戦闘を休止して河川敷に移り、カムシンの最期を見届けた後、レベッカが分捕ってきた『天道宮』に乗って新世界『無何有鏡』へ向かう討ち手達を見送った。
そして、この世界に残った“ミステス”坂井悠二と最後の戦いに挑んだ。それはどちらかといえば、互いの信念のぶつけ合いであったが、シャナがリャナンシーの復元の自在式に同調していた吉田一美に復元してもらった悠二からの手紙を彼に突きつけることで、悠二は意地を収めた。
互いの思いを確かめ合った二人は口づけを交わし、それを発動条件としていたリャナンシー転生の自在式が起動し、坂井悠二を独立した一個の存在に作り替えた。
そしてシャナは悠二とアラストールと共に私は他の誰も愛さないを歌いながら『天梯』を通って、新世界『無何有鏡』へ旅立った。

新世界へ渡り来た後、シャナは悠二と共に「混沌期」と呼ばれる“紅世”からの大量の新来の“徒”たちによる無軌道な放埓が沈静化するまでの数ヶ月の期間で、二人して大活躍だったとセンティアはレベッカに褒めていたようだ。
新世界が創造されてから一年後の春、悠二とは別行動をとって久しぶりに『天道宮』を訪れて、ヴィルヘルミナから『両界の嗣子ユストゥスの成長の様子を聞いた後、レベッカと新世界の外界宿の再編成について語り合った。そして悠二と合流した後、ウァラクの手引きで日本のとある古びた陸上競技場に誘き出した[マカベアの兄弟]の構成員たちに対する作戦の変更を悠二から提案され、それを承諾した。そして、とある陸上競技場で[マカベアの兄弟]の“王子”の一人ダーインを討滅した後、『真紅』で天罰神の擬似神体を顕現させた後にアラストールが天罰神の『神託』を告げて、残った“徒”たちを解放した。そして作戦終了後に、悠二から変更した作戦に対する感想を聞かれて、アラストールと共に率直な感想を告げた後で悠二を励ました。
新世界へ渡り来てから二年後、[]の策謀を感付いて西日本の伴添町に赴き、[轍]の調査を行う間は伴添高校に転校して「坂井シャナ」という名前で通っていた。そして、[轍]のケレブスを討滅し、悠二と共に[轍]の策謀を阻止した。

遠い未来、“祭礼の蛇”は浅い微睡みの中で、人と“徒”の共存を説いて回る行者となった坂井悠二の隣に、シャナの存在を感じている。

【コメント】
アニメ版から大活躍していた。
☆二代目『極光の射手キアラ・トスカナとは対照的なキャラクターだった。
☆2011年2月10日発売の電撃文庫MAGAZINEでの作者いとうのいぢへのインタビューにて、シャナは悠二と同様に単純な抗戦と阻止の裏に何かを隠していると書いてあった。
☆ちゃんと悠二とキスを交わして、一緒に新世界『無何有鏡』へ行く事になって本当に良かった。
☆序盤は「好き」という感情を理解することができず、ツンデレっぽかった。しかし、理解した後はデレデレというにはあまりに過激で、悠二に向かって驀進した。流石に、この愛の強さには悠二も創造神“祭礼の蛇”も焦ったのではないかな。
☆[宝石の一味]のコヨーテとも絡んでいたら面白そうだったのにな。
高橋弥七郎の新作『カナエの星』のヒロインの一人である一条摩芙と性格が全く異なるが、容姿は似ている。
☆番外編『しんでれらのしゃな』では、ヒロインのシンデレラとして登場している。
☆番外編『かぐやひめのしゃな』でも、ヒロインのなよ竹のシャナ姫として登場している。
☆番外編『おじょうさまのしゃな』でも、ヒロインのトーテングロ家の令嬢シャナとして登場している。
☆番外編『さんじゅうしのしゃな』でも、主人公のシャナ・ダルタニャンとして登場している。