【種別】
紅世の徒”、通称

【初出】
IV巻

【解説】
紅世の王”。真名は“逆理の裁者”(ぎゃくりのさいしゃ)。の色は金。 かつての中国での通称は西母。
仮装舞踏会]で『三柱臣』の一角たる『参謀』の立場にある、強大な“紅世の王”。
昔は『軍師』と呼ばれていたが、古臭かったので近代の改組の際に『参謀』に名称を変更した。
『三柱臣』としての本来の役割は『審神者(さにわ)』。神威召喚祭基礼創”の儀式の場を整える役割であり、後に組織を率いるようになってからは、その本来の役割が拡大解釈されて、組織の運営者となった。
大命』遂行時のみ使用を許される宝具は、拘鎖型の『タルタロス』。彼女は『大命』遂行のために動くことが多く、『タルタロス』を普段から身につけていることも多い。使用時にはベルペオルの周囲を浮遊しながら蠢いており、足場や移動手段にも使っていた。

外見は妙齢の美女だが、三つ目で、右目に眼帯をしていた(後に眼帯を外し三つ目に戻った)。目の色は金。人呼んで『三眼の女怪』(原作では「さんがんのじょかい」とルビが振られていたが、外伝漫画『ES』では「みつめのにょかい」となっていた)。
灰色のタイトなドレスを着て、様々なアクセサリで身を飾っていた。

“嵐蹄”フェコルーを副官とし、“千征令”オルゴン、“驀地祲”リベザルなど直属の部下が多い。
他の『三柱臣』が組織の運営のためにろくに働かないので日夜多忙であり、盟主祭礼の蛇”が帰還してからも、実質的には彼女が組織を仕切っていた。
役職柄戦闘を行うことはまずありえず、その戦闘面での実力は長らく不明だったが、『詣道』の道行では『タルタロス』に存在を封じていた植物型“燐子”を解き放って後詰めにするなど、その一端が見られた。
彼女も眷属である以上、他の二柱と同じく死亡しても復活でき、復活の条件は創造神と巫女が儀式“祭基礼創”の執行を欲した時である。

性格は狡猾で智略に長けており、およそ知る者が触れたがらない神算鬼謀の持ち主。ヴィルヘルミナですら「この世で最も敵に回したくない」と評する程。ダンタリオン教授には、サーレと並んで、シイタケより嫌われていた。
『思う儘にならないことにこそ、挑む甲斐を感じる』という、他の“徒”には見られない特質を持ち、困難に喜びを感じる。現実をありのままに認めた上で、そこから事態を望み通りに動かそうとする傾向がある。
「あらゆる陰謀に手が届く」という他の“徒”やフレイムヘイズの評価を、時に煽り、時に利用する。
[仮装舞踏会]構成員らから絶大な尊崇の念を向けられているが、そういった思慕の念すら利用し尽くし切り捨てる冷酷さを持つ。
その反面、神殺しの戦いで盟主を放逐されてから、組織の力の優位を数千年にわたって説き続けていた。
それでも、“祭礼の蛇”にとっては、彼女も寂しがり屋の娘でしかないようだ。なお、姉はヘカテーの方で、彼女は妹である。

中世以降の欧州において、“徒”同士の代理戦争協定『君主の遊戯』を主宰し、調停や裁定を司り、彼女自身も遊戯者(プレイヤー)として参加していた。
ザムエル・デマンティウスが生前参戦したフス戦争も『君主の遊戯』の一端であり、その真実を知らされたザムエルは『君主の遊戯』を仕組んだベルペオルに強い敵意を持つことになる。

大戦』では、『君主の遊戯』遊戯者を使ってフレイムヘイズ兵団包囲網を形成しようとしたが、先手を打たれ失敗した。
ブロッケン要塞において最終決戦が始まると、[とむらいの鐘]の要請を受けての援軍という名目で参戦し、アシズの手に渡った『大命詩篇』をヘカテーに共振・破壊させようとした。
しかし、[仮装舞踏会]が出るまでもなく、神威召喚されたアラストールによって『大命詩篇』は粉砕された。その直後、[仮装舞踏会]は[とむらいの鐘]の残党を保護して撤退していった。

1864年頃には、リベザルとピルソインを指揮官とした軍勢を『内乱』が勃発しているアメリカ大陸に派遣しつつ、プロイセンを使っての『君主の遊戯』に手一杯だったようだ。

本編では、サブラクに二度にわたって『零時迷子』に『大命詩篇』を打ち込むよう依頼し、『大命』第一段階である盟主の帰還を確実に推し進めた。ヘカテーと違い、盟主の仮の帰還そのものを大いに喜んでいたようだ。

『大命』第二段階では、盟主“祭礼の蛇”坂井悠二に従って『久遠の陥穽』に向かった。
障害を乗り越えて到達した『詣道』の最奥部『祭殿』で、黒い蛇骨の“祭礼の蛇”が覚醒すると同時に『旗標』となっていた右目を取り戻し、眼帯を外していた。
創造神の目覚めにより、ヘカテーが『大命詩篇』を稼動させて“祭礼の蛇”神体にかつての豪壮な姿と莫大な力を取り戻させた。
神体に乗って『詣道』を遡る途中、追いついて来たシャナの姿とその決意を見聞きしたことで、シャナを自身の許容範囲外の危険因子と判断し、盟主の意向に背いてでも彼女を排除するべく、ヘカテーとシュドナイにシャナの抹殺を声なき声で暗に促した。
しかしシャナの抹殺には至らず、『詣道』を一足先に脱出したフレイムヘイズたちに続いて、“祭礼の蛇”神体と共にこの世に還幸した。

『星黎殿』尖塔にて瀕死のフェコルーの最期を見送ったあとは、『祀竈閣』からヘカテーと教授のバックアップ及び敵侵入路の捜索を進めていた。
そして中国南西部の決戦が終わった後に、“祭礼の蛇”坂井悠二に状況を報告した。

『大命』最終段階では、御崎市全体を包む封絶を張った後に悠二の命令で『タルタロス』によって封絶内部の人間たちの“存在の力”への変換を遮断し、変形した『真宰社』の中央制御室から儀式を監督していた。
結局、最後まで戦場に出ることはなく、新世界がシャナたちが撃ち込んだ「人を喰らえない」理のまま創造されると気付いた時には盟主にその真意を問い、その答えを聞いたときには思わず大笑いしていたが、結局は受け入れた。
『大命』成就の後は、[仮装舞踏会]生き残りの将兵達や“祭礼の蛇”と共に『天梯』を通って新世界『無何有鏡』へ旅立った。
その際、組織を一時的に散会し、十年の間それぞれ好きに彷徨うこととした。

しかし新世界へ渡り来てから一年後の春、[マカベアの兄弟]の結成もあってか構成員たちが集結し始めており、坂井悠二に対して「苦労されているであろうな」とリベザルに感想を述べていたようだ。

新世界創造から二年弱の頃に、地中海をクルージングする豪華客船『ロード・オブ・ザ・シーズ』号に乗船し、船内で見かけたセレーナ・ラウダスを自分専属のサービス要員とする。
[仮装舞踏会]の将帥たちが自身のいる貴賓室に集合する前後に、人間の犯罪者によるシージャック事件が発生するが、全く意に介さずに、参上する将帥達の報告を聞いた。
この一連の騒動の後、『夢のような景色』を目撃したセレーナの発した言葉にベルペオルは驚きを顔に表し、発したセレーナ自身も気づいていないその言葉に込められた意味に気付いたベルペオルは、彼女への礼として『タルタロス』の一部であるブレスレットを渡して、将帥たちと共に空を飛んで修復と改装が完了した『星黎殿』へ戻っていった。

アニメ版
性格はほぼ一緒だが、『タルタロス』をチンピラやスケ番のように手で持ってブン回して戦うという、およそ参謀らしくない姿も見せた。
また、アニメの話の都合上、彼女の計画は何度も肝心なところで阻止されてしまい、その智謀は当てにならないと言える。
アニメオリジナル展開ではヴィルヘルミナを追い込む程の強さを見せたが、原作ではベルペオルの戦闘描写はほとんどなく、戦闘力に関しては最後まで不明であった。

【由来・元ネタ考察】
名前の元ネタはルシファーの副官とされる悪魔ベルフェゴール(Belphegor)の古名、「ペオル山の王」バアル=ペオル(Bel-Peol)と思われる。
ベルフェゴールは、七大罪の一つ怠惰を司る。

「西母」とは「西王母」の前身的な姿や原初形態とも言える殷代(約3000年から3700年前頃)の古代中国神話における神。「西王母」はすべての女仙たちを統率する聖母である。半人半獣の姿として伝わる。

「逆理」とはいわゆるパラドックスのことである。「裁」には、善悪を決める、見分けるなどの意味がある。真名全体で、「矛盾した道理を決定づける者」という意味だと思われる。策謀によって道理すら覆す、鬼謀の持ち主にふさわしい真名である。なお、「裁」は組織の運営にも関連しており、「矛盾の道理をもって組織を運営する者」と考えることも可能である。

【コメント】
☆その冷酷な性格とは裏腹に盟主のことは純粋に慕っており、XVI巻で“祭礼の蛇”坂井悠二に腕を掴まれて呆然とする場面があった。
アニメ第2期では、近衛史菜を使って“敖の立像”を完成させようとするオリジナルストーリーがあった。
アニメ第3期では、原作通りだった。
☆新世界では、策略家の悪名をすっかり坂井悠二に持っていかれたようだ。そうして彼の裏に隠れるのも、彼女の指した一手かもしれないが。
☆[宝石の一味]のコヨーテフックストンサーイイナンナセシリア・ロドリーゴクレメンス・ロットとも絡んでいたらもっと面白そうだったのにな。
☆番外編『しんでれらのしゃな』では、重臣の一人として登場している。
☆番外編『かぐやひめのしゃな』では、天人軍師として登場している。
☆番外編『おじょうさまのしゃな』では、貴婦人として登場している。
☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、三銃士のベルペオル・アトスとして登場している。
最終更新:2020年09月23日 01:53