血染め の ■■■ ◆.WX8NmkbZ6
「そのうち治るわよ」
惚れ薬。
トリステイン魔法学院のモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシが、恋人の浮気を抑制する為に作った禁制の品。
その効果の持続時間について彼女は言った。
トリステイン魔法学院のモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシが、恋人の浮気を抑制する為に作った禁制の品。
その効果の持続時間について彼女は言った。
「個人差があるから、そうね、一ヶ月後か、それとも一年後か……」
▽
しかし憎悪に囚われながらスザクは混乱していた。
仮面の男、ゼロ。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
スザクから大切な人を『二度』奪った、親友だった少年。
かつてスザクにとって大切だった『彼女』をその手に掛けた――
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
スザクから大切な人を『二度』奪った、親友だった少年。
かつてスザクにとって大切だった『彼女』をその手に掛けた――
(『彼女』……?)
大切な人。
大切だった人。
守りたかった人。
失いたくなかった人。
その、名前は――
大切だった人。
守りたかった人。
失いたくなかった人。
その、名前は――
「水、銀燈……?」
『彼女』は唯一の存在。
『彼女』の為なら何もかも捨てられる。
『彼女』がいれば他に何も要らない。
『水銀燈』さえいれば、生きていれば、微笑んでくれれば、それで。
『彼女』の為なら何もかも捨てられる。
『彼女』がいれば他に何も要らない。
『水銀燈』さえいれば、生きていれば、微笑んでくれれば、それで。
でも、水銀燈ではない。
水銀燈と出会う前に誰かいたはずだ。
ゼロに奪われた『一度目』があったはず。
つい先程までは間違いなく覚えていた、大切な人。
水銀燈と出会う前に誰かいたはずだ。
ゼロに奪われた『一度目』があったはず。
つい先程までは間違いなく覚えていた、大切な人。
――■ー■ェミ■・リ・■リ■ニア
名前が思い出せない。
壊れたラジカセのように、音声にノイズが掛かる。
顔も姿も思い出せない。
壊れたテレビのように、画像に砂嵐が被さる。
壊れたラジカセのように、音声にノイズが掛かる。
顔も姿も思い出せない。
壊れたテレビのように、画像に砂嵐が被さる。
『彼女』のいきなりの度に、扉を開けられた気がする。
空から降ってきたお姫様。
共に日本を憂いた優しい女性。
ギアスによって意志を歪められ、日本人を虐殺した悲劇の人。
ゼロに射殺された、夢に見る程に大切な――
空から降ってきたお姫様。
共に日本を憂いた優しい女性。
ギアスによって意志を歪められ、日本人を虐殺した悲劇の人。
ゼロに射殺された、夢に見る程に大切な――
(いや、水銀燈より大切な人がいるはずがない)
惚れ薬による異常な精神状態。
その執着の対象を失うという大き過ぎるショック。
ルルーシュと狭間への激しい憎悪。
それらが積み重なり、スザクは精神と記憶に異常を来していた。
『彼女』の思い出が溶け、混じり、濁る。
かつて失った『彼女』への想いが強かったからこそ、薬によって生まれた偽りの濃密な感情と混ざり合ってしまう。
幻影に上書きされ、塗り潰されてしまう。
その執着の対象を失うという大き過ぎるショック。
ルルーシュと狭間への激しい憎悪。
それらが積み重なり、スザクは精神と記憶に異常を来していた。
『彼女』の思い出が溶け、混じり、濁る。
かつて失った『彼女』への想いが強かったからこそ、薬によって生まれた偽りの濃密な感情と混ざり合ってしまう。
幻影に上書きされ、塗り潰されてしまう。
記憶の混乱にスザク自身も気付いていた。
スザクはそれを、水銀燈を失った悲しみの余り冷静さを欠いたせいだと納得する。
ルルーシュに殺された『誰か』がいる。
けれどそれは、忘れてしまう程度の人だったのだろう。
喪失の悲しみの感覚は確かに残っているけれど、水銀燈のそれには及ばない。
昔から、初めから、愛しているのは水銀燈一人。
水銀燈との馴れ初めは不思議と思い出せないけれど、どんなに記憶が定かでなくてもそれだけは揺るぎないのだ。
スザクはそれを、水銀燈を失った悲しみの余り冷静さを欠いたせいだと納得する。
ルルーシュに殺された『誰か』がいる。
けれどそれは、忘れてしまう程度の人だったのだろう。
喪失の悲しみの感覚は確かに残っているけれど、水銀燈のそれには及ばない。
昔から、初めから、愛しているのは水銀燈一人。
水銀燈との馴れ初めは不思議と思い出せないけれど、どんなに記憶が定かでなくてもそれだけは揺るぎないのだ。
そう、狭間によって殺害された、血染めの『水銀燈』――
情緒不安定なスザクの足取りは覚束ない。
よろめき、軽い崖状になった高い段差を転がり落ちそうになる。
それを寸での所で踏み留まるが、ふと崖下の景色が見えた。
よろめき、軽い崖状になった高い段差を転がり落ちそうになる。
それを寸での所で踏み留まるが、ふと崖下の景色が見えた。
踏み荒らされた地面の中心に、黒と赤。
見覚えのある学制服と、漆黒の髪。
そしてその周りに広がる乾いた血の跡。
見覚えのある学制服と、漆黒の髪。
そしてその周りに広がる乾いた血の跡。
「え……」
意図せずして声が漏れる。
ルルーシュの遺体が無造作に転がっていた。
ルルーシュの遺体が無造作に転がっていた。
スザクは狼狽する。
ルルーシュは憎い。
それでも既に死亡した彼をどうするかまでは考えていなかった。
まさかこんなにも早く目の前に現れるとは思っていなかったのだ。
斜面を慎重に下って改めて見るが、ルルーシュ本人だった。
親友だったのだから間違いようがない。
死亡したのが第一回放送前だけあって死後硬直が始まっている。
死因は額から頭部を撃ち抜いた弾丸のようだ。
ルルーシュは憎い。
それでも既に死亡した彼をどうするかまでは考えていなかった。
まさかこんなにも早く目の前に現れるとは思っていなかったのだ。
斜面を慎重に下って改めて見るが、ルルーシュ本人だった。
親友だったのだから間違いようがない。
死亡したのが第一回放送前だけあって死後硬直が始まっている。
死因は額から頭部を撃ち抜いた弾丸のようだ。
スザクはデイパックから銃を抜き、銃口をルルーシュの頭部へ向ける。
『彼女』の命を奪ったニードルガンだ。
しかしその引き金に掛けた指は震えていた。
『彼女』の命を奪ったニードルガンだ。
しかしその引き金に掛けた指は震えていた。
この地で出会った高良みゆきを笑って殺した。
たまたま遭遇した学制服の少年を襲ってデイパックを奪った。
水銀燈の為に、スザクは既に正しさを捨てている。
水銀燈の為なら、それ以外の全てをも捨てて構わないと思っている。
死体に鞭打つような真似は倫理的に間違っている等と、今更過ぎる偽善だ。
それでもルルーシュの死体を目にして決意が揺らいでしまった。
彼の死を悲しまないと、心に強く思ったはずなのに。
たまたま遭遇した学制服の少年を襲ってデイパックを奪った。
水銀燈の為に、スザクは既に正しさを捨てている。
水銀燈の為なら、それ以外の全てをも捨てて構わないと思っている。
死体に鞭打つような真似は倫理的に間違っている等と、今更過ぎる偽善だ。
それでもルルーシュの死体を目にして決意が揺らいでしまった。
彼の死を悲しまないと、心に強く思ったはずなのに。
何度も戦場で衝突し、出世の為にブリタニア皇帝に身柄を引き渡し、彼の記憶を確かめる為にナナリーさえ利用した。
親友だったのは過去の事で、今は違う。
しかし彼の事が自然と思い出された。
二人で駆け回った夏の日。
目と足が不自由な妹、ナナリーを労る優しい表情。
瓦礫に満ちた景色の中で祖国への反逆を宣言した声。
アッシュフォード学園で友人達と楽しげに過ごす姿。
親友だったのは過去の事で、今は違う。
しかし彼の事が自然と思い出された。
二人で駆け回った夏の日。
目と足が不自由な妹、ナナリーを労る優しい表情。
瓦礫に満ちた景色の中で祖国への反逆を宣言した声。
アッシュフォード学園で友人達と楽しげに過ごす姿。
それにスザクは元々口より先に手が出る子供だったが、神聖ブリタニア帝国の日本侵略によって変わった。
正確にはそれを端に発した『父殺し』によって変わった。
過剰なまでに正しさを求め、同時に死に場所を求めるようになった。
――私を好きになりなさい!
『彼女』との出会いで変化は訪れたものの、それでもスザクの根幹にある正しさへの執着は曲がらなかった。
正確にはそれを端に発した『父殺し』によって変わった。
過剰なまでに正しさを求め、同時に死に場所を求めるようになった。
――私を好きになりなさい!
『彼女』との出会いで変化は訪れたものの、それでもスザクの根幹にある正しさへの執着は曲がらなかった。
だから決意が鈍ってしまう。
本当にこれでいいのかと疑念が湧き出してしまう。
だが、引き金から指は離れなかった。
本当にこれでいいのかと疑念が湧き出してしまう。
だが、引き金から指は離れなかった。
どんなに感傷に浸ろうと、彼の残虐な一面を忘れはしない。
一般人をも巻き込む黒の騎士団の戦い。
スザクを縛るギアス。
大勢の日本人を『彼女』に殺させた行政特区日本。
そして、水銀燈を殺した。
一般人をも巻き込む黒の騎士団の戦い。
スザクを縛るギアス。
大勢の日本人を『彼女』に殺させた行政特区日本。
そして、水銀燈を殺した。
幾度かあった分岐点。
ここが最後の分水嶺だった。
ここが最後の分水嶺だった。
一つ目は、水銀燈との最初の応酬。
この時の致命的な失敗でスザクは洗脳され、みゆきを殺す事となり、引き返す道を失った。
二つ目は先程、横たわる水銀燈から逃げ出した時。
逃げずに向き合っていれば、隷属としてであれ別の道が開けていたかも知れない。
そして三つ目が、今。
撃ったその先にいるのは獣であり、鬼だ。
みゆきや学生服の少年の時とは違い、水銀燈の命令ではなく自分の意志で撃つのだから。
この時の致命的な失敗でスザクは洗脳され、みゆきを殺す事となり、引き返す道を失った。
二つ目は先程、横たわる水銀燈から逃げ出した時。
逃げずに向き合っていれば、隷属としてであれ別の道が開けていたかも知れない。
そして三つ目が、今。
撃ったその先にいるのは獣であり、鬼だ。
みゆきや学生服の少年の時とは違い、水銀燈の命令ではなく自分の意志で撃つのだから。
――僕とルルーシュが組んで、出来なかった事なんて無いだろ?
「ぅっ……ぅう……」
涙を落とさなかった代わりに、嗚咽を漏らした。
思い出や感情がグルグルとせめぎ合って、目が回る。
酸欠になった脳が酸素を求めるが、幾ら呼吸しても霞がかった思考はそのままだった。
目の奥が熱い。
震える指先の感覚が麻痺していく。
握った銃に手の汗が滲み、投げ出したくなる。
涙を落とさなかった代わりに、嗚咽を漏らした。
思い出や感情がグルグルとせめぎ合って、目が回る。
酸欠になった脳が酸素を求めるが、幾ら呼吸しても霞がかった思考はそのままだった。
目の奥が熱い。
震える指先の感覚が麻痺していく。
握った銃に手の汗が滲み、投げ出したくなる。
――スザク、あなたに……会えて……
そしてスザクは『大切な人』の為に引き金を引いた。
黒煙を上げて燃え盛る森を横目にスザクは進む。
目蓋は腫れているものの、足はしっかりと地面を踏み締めている。
目蓋は腫れているものの、足はしっかりと地面を踏み締めている。
水銀燈の為に他の全てを擲った。
最早この決意が揺らぐ事はない。
かつての親友とはっきり決別したスザクに迷いはなかった。
最早この決意が揺らぐ事はない。
かつての親友とはっきり決別したスザクに迷いはなかった。
しかしスザクが時計に目を遣るとその表情がくしゃりと歪む。
正午間近。
水銀燈の死を知らせる放送の時間。
正午間近。
水銀燈の死を知らせる放送の時間。
「嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ…………」
それだけをうわ言のように繰り返し、耳を塞ぐ。
想い人の死を他人の口から伝えられる事は、苦痛以外の何物でもなかった。
想い人の死を他人の口から伝えられる事は、苦痛以外の何物でもなかった。
本当に大切な人を忘れ、親友を捨て、他人の命を犠牲にする覚悟をし、現実から目を逸らし、人為的に植え付けられた恋慕の情に酔う。
その姿がまさしく道化である事に、スザクは気付かない。
その姿がまさしく道化である事に、スザクは気付かない。
気付かずにいられる事が、今のスザクにとって唯一の救い。
【一日目 昼/C-6 南部】
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ(アニメ)】
[装備]:ゼロの銃(弾丸を二発消費)@コードギアス 反逆のルルーシュ
[所持品]:支給品一式×2(食料は一つ多め)、ワルサーP-38(3/9)@ルパン三世、ワルサーP-38の弾薬(11/20)@ルパン三世、
日輪の鎧@真・女神転生if...、Kフロストヅーラ@真・女神転生if...、確認済み支給品0~2(武器はない)
[状態]:ダメージ(中)、『生きろ』ギアスの効果継続中、惚れ薬の効果継続中、記憶と精神の一部に混乱
[思考・行動]
0:放送なんて聞かない、聞こえない。
1:参加者を全員殺し、水銀燈を生き返らせる。
2:狭間偉出夫は絶対に許さない、見つけ出して殺す。
[備考]
※ゾルダの正体を北岡という人物だと思っています。
※水銀燈は死亡したと思っています。
※ユーフェミアの事を思い出せなくなっています。
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ(アニメ)】
[装備]:ゼロの銃(弾丸を二発消費)@コードギアス 反逆のルルーシュ
[所持品]:支給品一式×2(食料は一つ多め)、ワルサーP-38(3/9)@ルパン三世、ワルサーP-38の弾薬(11/20)@ルパン三世、
日輪の鎧@真・女神転生if...、Kフロストヅーラ@真・女神転生if...、確認済み支給品0~2(武器はない)
[状態]:ダメージ(中)、『生きろ』ギアスの効果継続中、惚れ薬の効果継続中、記憶と精神の一部に混乱
[思考・行動]
0:放送なんて聞かない、聞こえない。
1:参加者を全員殺し、水銀燈を生き返らせる。
2:狭間偉出夫は絶対に許さない、見つけ出して殺す。
[備考]
※ゾルダの正体を北岡という人物だと思っています。
※水銀燈は死亡したと思っています。
※ユーフェミアの事を思い出せなくなっています。
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