鎖を解く鍵

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鎖を解く鍵  ◆D2n.chRBO6



「圭ちゃん、詩音、レナ、沙都子。それから――」

最初はただの幻像だと思った。
だって彼は『あの日』から一度も私の目の前に姿を現さなかった。
『あの日』からあの笑顔もあの声もあの温もりも、見て、聞いて、感じることなどもう、できないものだと思っていた。

雛見沢から姿を消した、彼。
消したはずの―――彼。
なのに。それなのに、あの空間の中に、彼は居た。
現実味の無い事態への驚愕により声を掛けることは出来なかったが、あそこに立っていたのは、確かに彼。
嘘だ嘘だと否定の言葉が頭の中を飛び交う。
けれど、名簿に書いてある名の持ち主は、確かに彼。

「悟史」

そう、北条悟史。沙都子の兄。
ずっと逢いたかった。
ずっとずぅっと、待っていた。
これからも信じて待ち続けるつもりだった。
その思いが、漸く報われるのだ。

「待ってて悟史、絶対に私……!」

――――草木が身体を擦り合わせる音がした。


◆   ◇   ◆   ◇   ◆


「面倒な事になったわね」

強制された殺し合い。
多くの人間たち。
己を束縛する首輪。

一番厄介なのは首輪だ。禁を犯せば爆発してしまう。
この小さな輪っかに爆弾が仕組まれているというのが単なる脅しではないことは既に視認済みである。

「しかも」

アラストールとのコンタクト。
それができなくなっているということは、この身体に備わった能力が何らかの形で制限されている。
やはりこれも首輪による働きか。ならば首輪を調べる必要があるか?

「なるほどね。まぁ一人くらい足手まといが居ても良い」

主催者の言いなりになるのは気が引ける。更に『紅世の徒』以外に刀を振るわねばならないのだ。
だが、首輪さえ解除することができたら、殺し合う理由が無くなる。
万が一無理だった場合も、幸い『紅世の徒』を誘き寄せる餌、坂井悠二は此処には居ない。
ならば主催者の言うように最後の一人を目指し、元の世界に生還しよう。

「だったら――」


◆   ◇   ◆   ◇   ◆


どうしようどうしようどうしよう。
この赤い髪の女は危険だ。脳がそう言っている。

物音を聞き取った魅音は、草陰から女の行動を見守っていた。
こちらに向かってくる気配は無い、だがこの至近距離ではいつ気付かれるかわからない。

それに、此処には他の仲間も連れて来られている。
もしこの女と逢ってしまったら、きっとみんな―――。
考えたくないけれど、実際に一人の少女が目の前で殺されるのを目撃している。
有り得ない、なんてことは無い。おかしくはないのだ、何が起きたって。

どうするべきだ?
ここでこの女を殺す?
駄目だ、きっとこの女には勝てない。
ならばどうすればいい?
逃げてみんなに危険を知らせる?
無理だ、きっとそうしている内に見つかってしまう。

だったら、だったら一体どうすれば――――!?

「だったら――」

赤い髪の女が此方を見た。
視線が、交差する。

「早速だけどこれ、もらってくわよ」
「……………え?」

瞬間、何故か、自分の胴体が遠くに見えた。


◆   ◇   ◆   ◇   ◆


赤い髪の女――シャナは、首と胴の繋ぎ目から血を流す亡骸へと近付き、手を伸ばす。
緑髪の少女――園崎魅音の遺体は未だ殺したばかりだからだろうか、体温を保っていた。
彼女には申し訳ないが、今はこうするしかないのだ。

「まぁ、人間のお前でも良い道具になったとは思うわ。感謝くらいしてやっても良いくらい」

血塗れの首輪を摘み上げ、デイバックの中へとしまった。
あとは頭がキレそうな人間を探し、分析させるだけだ。

「じゃああとは役に立ちそうな人間を見つけるだけね。…ついでにアラストールも」


右手に握った元は黄金だった紅の剣に、灼眼を映す。
その中に宿った炎は、消え去る様子は無い。


【一日目深夜/B-2 森】
【シャナ@灼眼のシャナ】
[装備]:黄金の剣@ゼロの使い魔
[所持品]:支給品一式、確認済み支給品1~2個
[状態]:健康
[思考・行動]
3:首輪解除が無理なら殺し合いに乗る
2:首輪の解除ができそうな人間を探す
1:主催者打倒

【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に 死亡】
※ 魅音の死体とデイバックは放置されています。
※ 首輪はありません。


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GAME START シャナ 061:フレイムヘイズ×矛盾×雌伏
園崎魅音 GAME OVER



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