小説 > アルファるふぁ > mark0

ガキの頃俺は、自分がちっぽけに思えたり孤独を感じた時、星を見上げたものだった。エイリアンは居るんだろうか?と思った。
後に、俺は間違った方向を見ていたと気づいた。地球人の敵は或る日突然、アジア大陸の南からやってきた。アレクトリス領付近に崩落が生じて、過去世界への扉が開いたのだ。
テオーリアの仕業だ。俺が15の時、最初のバケモノ兵器がクリストファー・ダイナミクスを襲った。
巨大兵器は数万人の命を奪い、3つの都市を破壊し尽くした後、ロマニア軍の総攻撃によって、出現地点から56キロの地点で仕留められた。それで終わりの筈だった。超巨大兵器は過去の記憶になった筈だった。
だが、それから僅か6ヶ月後、技仙を2体目の怪物兵器が襲った。3体目はSSCN。続いて4体目がLSSに。
そして我々人類は知った。これは決して終わらない、まだ始まりに過ぎないと。
対抗する兵器が必要だった。三大企業は力を合わせ、資源を供出し合い、対立関係を忘れて、大きな目的の為に一丸となった。モンスターと戦う為、人類はもう一つのモンスターを造り出した。超大型テウルギア『ギガ』計画が生まれた。
最初は問題が起きた。柔軟性を高めるために大型テウルギアとパイロットの神経を繋ぐ操縦システムは、レメゲトンの負担が大き過ぎたのだ。
そこでレメゲトンは二人になった。其々が右半身と左半身でコントロールするシステムだ。
新兵器によって我々は勝ち始めた。大型テウルギアは次々と巨大兵器を倒した。性能が互角なら、勝敗はパイロットの腕次第だった。
『ギガ』のテウルゴス達はロックスター並の人気を集める。地球の危機はイベントに変わり、巨大兵器はLSSの手でおもちゃのデザインとなった。人類の危機は去った。・・・かに見えた。だが、戦いはまだ終わらなかった。
何年か前なら、俺と兄貴のデヴィーが英雄になるなんて考えられなかった。絶対に。
学校じゃ運動部のスターじゃなかったし、成績も良くなかった。でも喧嘩だけは誰にも負けなかった。
そしてある時、ひょんなことから俺たちに特別な才能が在ると分かった。レメゲトンへの適合性が在ったのだ。
レメゲトンとはテウルギアの革新的OSだ。テオーリアによって開発され、後にGASの提唱した理論により3大企業でも大量生産が可能になった。
テウルギア・ギガに乗った時、2つのレメゲトンとパイロットの記憶は一つに溶け合い、心身一体となる。その繋がりが深い程、強くなれる。
テオーリアが送り込む巨大自律兵器は、自然災害のような強力さだった。
自然の猛威と戦う事は出来ない。
ハリケーンが向かって来たら逃げなければならない。
だがこのテウルギア・ギガに乗っている時は、ハリケーンと戦う事も出来るし、

勝つ事も出来る。

戦うのは俺達だ。明日を楽しむため、そして今日生き残るため、『従来のテウルギアからは考えられない超兵器』で戦う。
人類同士の戦いは終わった。これからは、人類の敵との戦いだ。

最終更新:2018年04月24日 23:12