時計仕掛_ex-2-遙か原点の追憶
不快感の解消だけが、行動原理だった。
「また友達殴ったぁ!?」
「ごめんなさい…」
「ごめんなさい…」
幼稚園に通っていた頃、私は毎日と言っていいほどの頻度で叱られていた。
「でもあの子、他の子のおもちゃ無理矢理とってたんだもん」
「…前から言ってるけど、その子が悪いことしてたとしても、結局は手を出した側が悪者にされちゃうんだよ」
「…前から言ってるけど、その子が悪いことしてたとしても、結局は手を出した側が悪者にされちゃうんだよ」
気に入らないことが起こって、我慢できずに手を出す。
最初に先生から怒られて、家に帰ってから母親から怒られて、夜になって帰ってきた父親からも怒られる。
それが、どうしようもなく駄目な私の普段の生活だった。
最初に先生から怒られて、家に帰ってから母親から怒られて、夜になって帰ってきた父親からも怒られる。
それが、どうしようもなく駄目な私の普段の生活だった。
私だって、自分の行動が正しくないことくらいわかっていた。
堪え性のない私が大嫌いだった。
"生まれてこなければよかった"、子供ながらに、本気でそう思っていた。
堪え性のない私が大嫌いだった。
"生まれてこなければよかった"、子供ながらに、本気でそう思っていた。
「力ずくで相手を無理矢理変えることはできないから、手を出さないように自分が変わりなさい。わかった?」
「…わかった」
「…わかった」
"何を言っても自分以外のことはどうしようもない"
"我慢できない私は、みんなと一緒には過ごせない"
"我慢できない私は、みんなと一緒には過ごせない"
そうして私は、社会性の学習という大仕事から逃げた。
これが最初の"逃げ"だった。
これが最初の"逃げ"だった。
最初は積み木で遊んでみた。
寂しさは感じなかったし、一人で遊ぶのが性に合っていると思った。
ふと、崩れそうな隣の積み木を直そうとしてとどめを刺し、そのまま持ち主と争いになり、怒られた。
寂しさは感じなかったし、一人で遊ぶのが性に合っていると思った。
ふと、崩れそうな隣の積み木を直そうとしてとどめを刺し、そのまま持ち主と争いになり、怒られた。
次は砂場で砂山を作った。
水で固めて穴を開けるのが案外難しくて、試行錯誤や微調整がとても楽しかった。
視界の外から砂山を踏み潰した男の子を引き倒して、また怒られた。
水で固めて穴を開けるのが案外難しくて、試行錯誤や微調整がとても楽しかった。
視界の外から砂山を踏み潰した男の子を引き倒して、また怒られた。
最後に私は、走ることを始めた。
屋内でモノをいじっているのもいいけれど、やはり私もウマ娘。当時から走欲は人一倍に持っていた。
屋内でモノをいじっているのもいいけれど、やはり私もウマ娘。当時から走欲は人一倍に持っていた。
誰も邪魔してこなかった。
私に近づこうとした奴らは危ないからと止められていた。
私に近づこうとした奴らは危ないからと止められていた。
一人になれた、だから走り続けた。タイムが縮むとすごく嬉しかった。だからより良い走り方を考えた。
暇さえあればスポーツ理論の本を読んでいた。話しかけられたら走りに行って振り切った。
誰にも傷つけられないように、誰も傷つけないように、私は孤独へ走っていった。
走っている時だけ、周りで起こる嫌なことを気にしないでいられた。我慢の効かない自分の弱さを忘れられた。誰一人として私を咎めないと安心して過ごせた。
暇さえあればスポーツ理論の本を読んでいた。話しかけられたら走りに行って振り切った。
誰にも傷つけられないように、誰も傷つけないように、私は孤独へ走っていった。
走っている時だけ、周りで起こる嫌なことを気にしないでいられた。我慢の効かない自分の弱さを忘れられた。誰一人として私を咎めないと安心して過ごせた。
ただターフだけが、私を許す場所だった。