燦々と照らされた砂の上で、カラレスミラージュは
「海ー!」
と騒いでいた。
今は夏合宿中。ビーチが宿舎の近くにあるので遊びに来る生徒が多い。カラレスと、私もその1人だ。
「動力パイプよし…問題ないみたいね。」
「?なにそれ?」
私がメンテナンスを済ませると、カラレスが子供のように駆け寄ってきた。
「モーターボート。海は祈りだから。」
「祈り?」
とにかくモーターボートを担いで海に投げる。ボシャン!と音がして、ボートは居るべき所で起動を待っていた。
「何しに行くの?」
「見回り。溺れてる人が居ないかどうかね。」
エノラの奥に染み付いた行動が、この救命活動だ。
「それじゃ行ってくるわ。sailor.」
「せ、セーラー…」
「海ー!」
と騒いでいた。
今は夏合宿中。ビーチが宿舎の近くにあるので遊びに来る生徒が多い。カラレスと、私もその1人だ。
「動力パイプよし…問題ないみたいね。」
「?なにそれ?」
私がメンテナンスを済ませると、カラレスが子供のように駆け寄ってきた。
「モーターボート。海は祈りだから。」
「祈り?」
とにかくモーターボートを担いで海に投げる。ボシャン!と音がして、ボートは居るべき所で起動を待っていた。
「何しに行くの?」
「見回り。溺れてる人が居ないかどうかね。」
エノラの奥に染み付いた行動が、この救命活動だ。
「それじゃ行ってくるわ。sailor.」
「せ、セーラー…」
エノラが行ってしまった。
「わーい!」
バシャバシャと音を立て、カラレスは海に入っていく。
着てきた水着が映えるいい天気だ。
海で泳いでいたカラレスの目線は、ある1点に集中していった。
エノラだ。
目立つ紫色のボートを駆り、海の上を滑るように移動する様は魚のようだった。
「かっこいいなぁ。私も乗せて欲しいなぁ…」
なんてボヤいてみる。
すると、ボートの向きが急転換した。ヘルメットからはみ出た髪が重圧でなびくのが見える。
「まさか…聞こえたの!?おーい!」
もしかしたら乗せてくれるかもしれない。そんな一抹の期待を乗せた後部座席は。
「大丈夫ですか!?」
誰とも知らないウマ娘が奪っていった。
「…………」
エノラの声からして心底心配しているであろう声だ。そこにそれ以外何もありはしない。だけど……
「私も…乗せて…?」
醜い嫉妬にまみれた呟きは、波が持って行ってしまったようだ。
バシャバシャと音を立て、カラレスは海に入っていく。
着てきた水着が映えるいい天気だ。
海で泳いでいたカラレスの目線は、ある1点に集中していった。
エノラだ。
目立つ紫色のボートを駆り、海の上を滑るように移動する様は魚のようだった。
「かっこいいなぁ。私も乗せて欲しいなぁ…」
なんてボヤいてみる。
すると、ボートの向きが急転換した。ヘルメットからはみ出た髪が重圧でなびくのが見える。
「まさか…聞こえたの!?おーい!」
もしかしたら乗せてくれるかもしれない。そんな一抹の期待を乗せた後部座席は。
「大丈夫ですか!?」
誰とも知らないウマ娘が奪っていった。
「…………」
エノラの声からして心底心配しているであろう声だ。そこにそれ以外何もありはしない。だけど……
「私も…乗せて…?」
醜い嫉妬にまみれた呟きは、波が持って行ってしまったようだ。
回収されたウマ娘は海の家の救護班に引き渡されたらしく、後部座席には空気が胡座をかいていた。
「……おーい!」
手を振ってエノラにアピールしてみる。
最初は無視されていたが、数十秒後にボートがこちらを向いた。
ブオオオン!と声を荒らげて走ってくる。
「どうしたの?」
メットを被ったエノラが声をかけてくれる。それだけで嬉しくて、目的を忘れてしまいそうだった。
「えーっとね、私も乗せて欲しいなー……なんて。」
エノラは心の底から人助けの為にボートに乗っている。自分がしようとしていることは、それを邪魔する行為に他ならない。
流石に一蹴されるだろう。言葉を待った。
「………今は、無理ね。」
少し考える素振りを見せたあと、エノラはそういった。
「……あ、あはは、まあそうだよね。」
空元気によってこの喪失感を押さえつけようとしたが、どうやらその必要はないようだ。
「夕方の海のほうが、あなたには似合うもの。」
そういうとこが、ズルいのだ。エノラは。
「…うんっ!」
最早空元気は不要だ。カラレスの笑顔は、バイザー越しのエノラの顔を柔らかくしたのを、確かに感じた。
「……おーい!」
手を振ってエノラにアピールしてみる。
最初は無視されていたが、数十秒後にボートがこちらを向いた。
ブオオオン!と声を荒らげて走ってくる。
「どうしたの?」
メットを被ったエノラが声をかけてくれる。それだけで嬉しくて、目的を忘れてしまいそうだった。
「えーっとね、私も乗せて欲しいなー……なんて。」
エノラは心の底から人助けの為にボートに乗っている。自分がしようとしていることは、それを邪魔する行為に他ならない。
流石に一蹴されるだろう。言葉を待った。
「………今は、無理ね。」
少し考える素振りを見せたあと、エノラはそういった。
「……あ、あはは、まあそうだよね。」
空元気によってこの喪失感を押さえつけようとしたが、どうやらその必要はないようだ。
「夕方の海のほうが、あなたには似合うもの。」
そういうとこが、ズルいのだ。エノラは。
「…うんっ!」
最早空元気は不要だ。カラレスの笑顔は、バイザー越しのエノラの顔を柔らかくしたのを、確かに感じた。