そんな不様を曝してまでも止めない足掻きが、自分のための他であってたまるものかよ



トゥルールート、角鹿達の拠点を襲撃するブライアン達傭兵部隊。
それを迎え撃つ角鹿は、自分に執着するブライアンとの一対一の闘いに突入していた

銃声が繰り返し夜の森に響く中、致命傷を受けたはずのブライアンが立ち上がり執拗に反撃を繰り返す。
彼の異常なタフさは、邪法街妖蛆を肉体に埋め込むという常軌を逸した措置によるものであり、流石の角護も次第に押し込まれ始める。...瞳から闘志の焔を絶やさない宿敵に、ブライアンは冷たい光を宿したまま語りかける。

「なぁ、角鹿……俺たち二人、皮肉なものだとは思わんか?」

「おまえは元警察官。俺は元テロリストの犯罪者。同じ天を戴くことない敵同士だ。
なのに揃って堕ちた先は、この同じ邪法街……反対側にいたはずなのに、随分おかしな道行きじゃないか」

「おまえもまた、自分の一番大切なものを捨ててきたんだろう? それとも奪われたのか?」

「信念、誇り、希望、友情……そんなものなら俺にもあった。
かつて、これだけは手放すまいと誓った人生の糧が。……だがそんなものに限って、失うときは一瞬だ」


それに対し、常に冷徹に行動してきた男は形容できない感情に駆られ、反撃と共にブライアンの言葉を否定せんと吼える。
どんな過去も御託も、今の己には必要のないもの。
喪ったなどと嘆きはしない、未来などという来るはずのないものも望んだりはしないと。

しかし、ブライアンの暴力には届かない。無意識に惑いを抱えたままの宿敵を、徹底的に穿ち刻み壊し尽くす。

それでも立ち上がる事をやめない彰護に向け―――ブライアンは問う。

「おまえが実際のところ、その目で何を見ているのか、それはどうでもいい……」

「だが、一つだけ聞かせろ。そうまでして足掻くのは誰のためでもない。おまえ自身のためなんだろう?」

立ちはだかる敵に、手負いの獣めいた眼光で睨みつけ、重々しく頷きを返す。
その返答に、異形を宿した傭兵は満足気な笑みを浮かべる。


「そうだ……俺たちにはもうそれしかない。
誇りのためにとか、誰かのためにとか……そんな動機を欠片も信じられやしないんだからな」

「何も、最初から綺麗事(・・・)に背を向けてきた訳じゃない……頑張ったさ、それなりに。
おまえもそうだろう?――だが結果は、このざまだった」

ならばどうする(・・・・・・・)───これは、要するにそれだけの話だ」


語る言葉は静かなままで、しかし狂おしいまでの熱を帯び続けていた。


「俺たちは揃ってしくじった……だが、それでもまだ終われない

「そんな不様を曝してまでも止めない足掻きが、自分のための他であってたまるものかよ───


「……まったく、よく喋る男だな」

語られる言葉を黙って聞き続けた角鹿は、傷の齎す熱に浮かされた意識がそうさせるのか、
死神めいた白人から感じるものがあるのか……苦い微笑を浮かべていた。


「貴様の鏡像が俺だと言いたいのなら、なおさら問答などは無用のはずだ」

「己の同類など、虫酸が走るだけの存在だろうが。
一片の情け容赦もなく、踏み潰してやればそれでいい……違うか?」


凄絶な笑みを浮かべて。牙鳴りに軋むような声で角鹿は吐き捨てる。

ブライアン・マックールはその返しに目を剥いて嗤い……言葉を紡ぐ。


「俺は、おまえという男を消し去りたくてたまらない……
絶望を味あわせ、殺した後で死体を犯し、
唾と精液を吐き捨てて存在ごと踏み躙ってやりたいんだ」

「たったそれだけで終わる話なのに、あれやこれやと余計なことを……
クク、俺にもまだそんな人間くさい可愛げが残っていたとはな」


彼の白面は、常と同じ枯れた沼を思わせる無表情に戻っており。


「だが、それもここで捨てていく。
この手で、鏡に映った俺自身を砕き尽くすことによってな」



そして――男達の間の空気は決着に向け極限にまで張り詰め……
交錯する瞬間、月下の森に獣の咆哮と、狩人の銃鳴が響き渡った。




  • やっぱり昏式さんの方がホモなのでは? -- 名無しさん (2019-12-24 07:24:52)
  • まるで昏式さんが高濱ァ!を白濁液と唾で汚し犯したいという欲求を持っているかのように言うのは止めなさい! -- 名無しさん (2019-12-24 07:30:16)
  • ここのやりとり好き -- 名無しさん (2019-12-24 08:51:21)
  • 消し去りたいほどの同族嫌悪なのに、わざわざ犯そうとするホモの鑑 -- 名無しさん (2019-12-27 15:41:28)
  • 昏式さんは男性キャラのネットリした暗い描写が上手い。 -- 名無しさん (2019-12-27 16:44:35)
  • 昏式さんは高濱を絶望を味あわせ、殺した後で死体を犯し、 唾と精液を吐き捨てて存在ごと踏み躙ってやりたかった・・・!? -- 名無しさん (2020-03-18 23:59:39)
  • 昏式はクレイジーサイコホモだった·········? -- 名無しさん (2020-05-22 00:07:28)
  • 俺は、おまえという男を消し去りたくてたまらない…… 絶望を味あわせ、殺した後で死体を犯し、 唾と精液を吐き捨てて存在ごと踏み躙ってやりたいんだ♂ -- 名無しさん (2020-05-28 11:04:28)
  • 「ならばどうする」……やっぱこの作品の核心部分になってるのだろか -- 名無しさん (2020-06-23 00:38:35)
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最終更新:2021年04月26日 22:14