むらまさ
『貪れ───村正ァッ!!』
沖田の背中から流れる血は腕を伝い、村正への刀身へと紅い蛇のように絡みついていく。
それと同時に、銀の刃が呼吸をするかのように真紅の輝きを放ち始めた。
その発光現象は、刀身が肉眼では視認できぬほどの超高速で振動を繰り返すことによって発生している。
そして、光のみならず音圧もまた高まっていく。振動により発生する蜂の羽音にも似た高周波が、魔物の叫喚じみて聞く者の耳を聾した。
沖田総司が手にした、
対吸血種用殲滅兵装・《葬鬼刀》の内の一振り。
その刃の裡には、かつて日本で起きた血族による最後の反乱――島原の乱において、最凶の同族殺し
クリストヴァン・フェレイラに敗北した血族・
天草四郎時貞の魂が埋葬されている。
形状は日本刀のそれと同じものであるが、刀身は吸血鬼殺しの為の銀で構成されている。
そのため、ただの刀として振るうには強度が不足し、異能に目覚めた強靭な吸血鬼と真っ向から打ち合うには向かないように思われるのだが……
負傷した沖田がしぶとく食い下がるベルリッヒンゲンを前に、傷ついた村正を使用した際、その真の能力が発揮されることとなった。
流れ出る所有者の血を吸い、瞬く間に刀身は復元、それどころか妖しい光を帯びて超高速で振動、急激に増大した破壊力を乗せて渾身の《三段突き》が発動……そのまま戦狂いの吸血種を葬ってみせたのだった。
このように、村正に備わりし機能は破壊力に特化した
振動操作。使用者の血を捧げることで
村正は一瞬で破壊力に秀でた振動剣へ変貌するのである。
この時はまだ、
万次郎から借り受けていただけであり、この時の沖田は《村正》の能力を完全に解するには至らなかった。
だが一度新選組本隊に戻ったあと、伊東の罠で多数の刺客に襲撃された時、
沖田は再び万次郎から渡された《村正》に再度血を捧げた事で、その恐るべき切れ味で窮地を突破することに成功した。
さらに襲われた際の負傷も、村正の所有者となったことで急速に治癒していき、さらに身体能力も一時的に増大していたという事に沖田は気づく。
かくして、正式に沖田総司の武装となった《村正》は、持ち主と共に異能の使い手達との血で血を洗う死闘へと飛び込むこととなる。
その過程で、沖田は思いもよらぬ存在と邂逅する機会を得ることとなる―――
- 土方戦の人剣一体ぶりを見せられるともう沖田さんに取ってのヒロインにすら思える(乙女ゲー感) -- 名無しさん (2021-10-16 00:18:31)
- 村正ッ!(〇川ゆうすけボイスで -- 名無しさん (2021-12-04 22:02:28)
最終更新:2021年12月27日 01:42