不言名流呪術

いわずなりゅう じゅじゅつ

『鏖呪ノ嶼』の用語。
奈良時代の陰陽道にルーツを持ち、密教や修験道をはじめとする様々な習俗と交わり発達した呪術の流派。
古より漂白する者達の間で受け継がれてきた流派であり、上記の特徴もそういった歴史に由来するとされる。
御幣(みてぐら)と呼ばれる和紙を切り抜いたヒトガタの符を用い、複雑な呪言である法文(ほうもん)を唱え術を行う。
呪術師自身が法文の意味を理解し、思いを籠めて唱えることで効力が発揮され、(人としての)歪みを持たぬ者には決して扱うことはできない。
現在ではほぼ失伝しかけており、継承者は少ない。

  • 式童子
不言名流で用いられる、儀式によって山野の様々な雑霊を集め、神仏の神格を与え祀り上げることで神通力をまとわせた使役霊。
呪術師の呪詛(すそ)を籠める事で発動し、離れた地にいても呪殺対象の下に現れ殺しを実行する。その霊格は術者の力に依存し、より強大な験力(ちから)を持つ者の場合、巨大な姿となって顕現する。
他の呪術師の術式によって破られれば、操る術師自身の体力と気力を奪い取り、再度式を展開する場合にはさらなる消耗は避けられない。
また、一度降ろした式童子の神格はそれ以後術者に憑依、その後は霊的な縛りが生じるために、他の神格を使役することは不可能となる(原則術者一人につき一体の式童子)。

元は雑霊であったものを無理やりに術を介して神格を与えているために、その外見は神仏の皮を被った異形として現れる。
どこまでも“技術”として神仏の名さえ利用する、利己的な呪術師の在り方が現れている術式と言える。
文鳴啾蔵の式童子はより死の間際受け継いだ「十一面観音菩薩」の頭部に「女郎蜘蛛」の身体を持つ式童子、
吐月完のそれは「青面金剛明王」の上半身に「百足」の下半身を持つ姿で召喚される。
さらに作中では、苦松刑部が使役する「帝釈天」の巨大な頭部に「大山椒魚」の巨体を備えた式童子のほか、
申仏島に侵入したとみられる、謎の不言名流の使い手が操る「弥勒菩薩」の上体に「大蛸」の下腿を持つ式童子が登場している。



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最終更新:2024年07月07日 22:49