「そ~れっ!」
黄色い声が元気にこだまする。
ここはバレーボールの練習場だ。
紺色のブルマーと真っ白のシャツに身を包んだ、2年生エースのハルカが飛び跳ねる。
172cmの長身と驚異のジャンプ力で2年生にしてジュニアのエースに駆け上がり、近いうちの
全日本代表間違いなしと言われている逸材だ。
また、実力だけでなくアイドル顔負けのルックスとスタイルで早くもマスコミを騒がせている人気者でもある。
そんなハルカが休憩時間に休んでいると、隣の練習場で練習していたはずの男子ボクシングチームの
1人が姿を現した。
黄色い声が元気にこだまする。
ここはバレーボールの練習場だ。
紺色のブルマーと真っ白のシャツに身を包んだ、2年生エースのハルカが飛び跳ねる。
172cmの長身と驚異のジャンプ力で2年生にしてジュニアのエースに駆け上がり、近いうちの
全日本代表間違いなしと言われている逸材だ。
また、実力だけでなくアイドル顔負けのルックスとスタイルで早くもマスコミを騒がせている人気者でもある。
そんなハルカが休憩時間に休んでいると、隣の練習場で練習していたはずの男子ボクシングチームの
1人が姿を現した。
「ハルカちゃん、お疲れ様。」
男子ボクシング フライ級代表の加藤が声をかける。
「お疲れ様です!ボクシングの皆さんも休憩ですか?」
「いやそれがお願いがあってさ。練習中に飲むはずのドリンクを無くしちゃったんだよね。
そっちに余ってるのがあったら分けてもらえないかなと思って。」
「たくさんあるから大丈夫だと思いますよ。あのドリンクサーバー1つ持って行って良いですよ。」
「ありがとう。で、申し訳ないんだけど俺これじゃない。ちょっと運んでもらってもいいかな?」
加藤はボクシンググローブで覆われた自分の手を見せる。
親切なハルカは2つ返事でOKした。
男子ボクシング フライ級代表の加藤が声をかける。
「お疲れ様です!ボクシングの皆さんも休憩ですか?」
「いやそれがお願いがあってさ。練習中に飲むはずのドリンクを無くしちゃったんだよね。
そっちに余ってるのがあったら分けてもらえないかなと思って。」
「たくさんあるから大丈夫だと思いますよ。あのドリンクサーバー1つ持って行って良いですよ。」
「ありがとう。で、申し訳ないんだけど俺これじゃない。ちょっと運んでもらってもいいかな?」
加藤はボクシンググローブで覆われた自分の手を見せる。
親切なハルカは2つ返事でOKした。
ボクシングの練習場に入ったその瞬間であった。
「キャー!何するんですか!」
加藤がハルカのお尻をなでまわしていた。
「たまんねーよ、ハルカちゃん。その顔、スタイル、かわいらしい声。俺ら禁欲生活を送ってるから、
そんな刺激的な格好されたら我慢できなくなっちゃうよ。」
ブルマーのお尻を舐めまわすように見る男子ボクシング部員たち。
「ちょっと、わたし帰ります。」
帰ろうとしたハルカを遮るように、入口の前に立ち、後ろ手でカギを絞める加藤。
「いいじゃんかよ。一発やらせてくれよ。素直に言うこと聞けば傷めつけたりしねーから。
それとも処女だったか?まあ、処女膜が破れての出血は痛めつけたうちに入らないよな。」
信じられない事を言ってくる。
ここには4人のボクシング代表選手がいたが、いずれも昔は札付きのワルばかりであった。
更生したように見えても本来の性質の悪さは隠しようもなかった。
「キャー!何するんですか!」
加藤がハルカのお尻をなでまわしていた。
「たまんねーよ、ハルカちゃん。その顔、スタイル、かわいらしい声。俺ら禁欲生活を送ってるから、
そんな刺激的な格好されたら我慢できなくなっちゃうよ。」
ブルマーのお尻を舐めまわすように見る男子ボクシング部員たち。
「ちょっと、わたし帰ります。」
帰ろうとしたハルカを遮るように、入口の前に立ち、後ろ手でカギを絞める加藤。
「いいじゃんかよ。一発やらせてくれよ。素直に言うこと聞けば傷めつけたりしねーから。
それとも処女だったか?まあ、処女膜が破れての出血は痛めつけたうちに入らないよな。」
信じられない事を言ってくる。
ここには4人のボクシング代表選手がいたが、いずれも昔は札付きのワルばかりであった。
更生したように見えても本来の性質の悪さは隠しようもなかった。
「酷いじゃないですか。こっちは親切でドリンクを持ってきてあげたのに。どうしてそんなことするんですか?」
「決まってんじゃん。君がかわいすぎるからだよ。かわいいって罪だよなw」
ゲスな笑いを浮かべる男子部員達。
「さあどうする。素直に1発やらせるか。はむかって痛い目に合うか。」
答えられないハルカ。
「よ~しわかった。じゃあ、チャンスをやるよ。グローブを付けてリングへ上がりな。
それで1ラウンド3分間俺の攻撃を耐えきることができたらそのまま帰してやるよ。
その代わり耐えきれなかったら俺ら4人と1発やる。どうだ?」
本来なら取引にもならないむちゃくちゃな要求だったが、思わぬ事態でパニックに陥っている
ハルカには冷静な判断が出来なくなっていた。
わずかでも、わずかでも助かる可能性があるならとそちらへ飛び着いてしまった。
それが加藤の罠であるとも知らずに。
「わかりました。本当に3分耐えられたら帰してくれるんですね?」
「ああ、俺は約束を守る男さ。誠実さだけが取り柄なんでね。」
しめしめ、やっぱり女はバカだな。ど素人が、しかも女がオリンピック代表選手のパンチを3分も耐えられると思ってんのか?
ドSの加藤はハルカを痛めつける姿を想像し、早くも股間を膨らませていた。
「決まってんじゃん。君がかわいすぎるからだよ。かわいいって罪だよなw」
ゲスな笑いを浮かべる男子部員達。
「さあどうする。素直に1発やらせるか。はむかって痛い目に合うか。」
答えられないハルカ。
「よ~しわかった。じゃあ、チャンスをやるよ。グローブを付けてリングへ上がりな。
それで1ラウンド3分間俺の攻撃を耐えきることができたらそのまま帰してやるよ。
その代わり耐えきれなかったら俺ら4人と1発やる。どうだ?」
本来なら取引にもならないむちゃくちゃな要求だったが、思わぬ事態でパニックに陥っている
ハルカには冷静な判断が出来なくなっていた。
わずかでも、わずかでも助かる可能性があるならとそちらへ飛び着いてしまった。
それが加藤の罠であるとも知らずに。
「わかりました。本当に3分耐えられたら帰してくれるんですね?」
「ああ、俺は約束を守る男さ。誠実さだけが取り柄なんでね。」
しめしめ、やっぱり女はバカだな。ど素人が、しかも女がオリンピック代表選手のパンチを3分も耐えられると思ってんのか?
ドSの加藤はハルカを痛めつける姿を想像し、早くも股間を膨らませていた。
8オンスグローブ、ヘッドギアなし、10カウントもしくは3度のダウンで試合終了。
ノックアウトされずに1ラウンドを乗り切ったらハルカの勝ちというルールになった。
ハルカにとっては生まれて初めてつけるボクシンググローブだ。
バレーシューズとブルマーとボクシンググローブを付けている美少女がリングに上がっている姿は
ラウンドガールの様にしか見えない。
しかし、これから行われる試合は真剣勝負である。プロのリングでボクサーがラウンドガールに
殴りかかっている光景を思い浮かべてほしい。
如何に異様な変則試合が行われようとしているか想像できるだろう。
両者がマウスピースを口に含んで試合開始だ。
カーン!
運命のゴングが打ち鳴らされた。
ノックアウトされずに1ラウンドを乗り切ったらハルカの勝ちというルールになった。
ハルカにとっては生まれて初めてつけるボクシンググローブだ。
バレーシューズとブルマーとボクシンググローブを付けている美少女がリングに上がっている姿は
ラウンドガールの様にしか見えない。
しかし、これから行われる試合は真剣勝負である。プロのリングでボクサーがラウンドガールに
殴りかかっている光景を思い浮かべてほしい。
如何に異様な変則試合が行われようとしているか想像できるだろう。
両者がマウスピースを口に含んで試合開始だ。
カーン!
運命のゴングが打ち鳴らされた。
加藤は典型的なドSだった。今回も一番の目的はハルカとのセックスではなく、まさに今行われているように
ハルカをリングに引きずりだし、文字通り徹底的に痛めつけることだった。
簡単には終わらせねえ。3分間た~ぷりいたぶってやるからな。
まずはジャブを繰り出す。しかし顔に当てる気はない。まずはガードしている腕を徹底的に痛めつけてやる。
パンッパンッパンッ!
軽快なジャブがハルカのグローブをはじく。ハルカはガードを固めて亀ガードする事しかできない。
「ふふ、いつまでそのガードを上げてられるかな。」
今度はもう少し力を入れたジャブをさらにガード目がけて打ちこんでいく。
バンッバンッバンッ! バンッバンッ! バンッバンッバンッ!
まったくパンチをよけられないハルカは全てのジャブをグローブや腕でうけてしまった。
「はは、まあど素人じゃガードを固めることくらいしかできないだろうな。だがな、ボクシングってのはガードしても
腕にダメージが溜まっていくもんなんだ。すぐに苦悶の表情を浮かべてガードを下げることになるだろうぜ。」
加藤は余裕の表情でそんなことを考えていた。
ハルカをリングに引きずりだし、文字通り徹底的に痛めつけることだった。
簡単には終わらせねえ。3分間た~ぷりいたぶってやるからな。
まずはジャブを繰り出す。しかし顔に当てる気はない。まずはガードしている腕を徹底的に痛めつけてやる。
パンッパンッパンッ!
軽快なジャブがハルカのグローブをはじく。ハルカはガードを固めて亀ガードする事しかできない。
「ふふ、いつまでそのガードを上げてられるかな。」
今度はもう少し力を入れたジャブをさらにガード目がけて打ちこんでいく。
バンッバンッバンッ! バンッバンッ! バンッバンッバンッ!
まったくパンチをよけられないハルカは全てのジャブをグローブや腕でうけてしまった。
「はは、まあど素人じゃガードを固めることくらいしかできないだろうな。だがな、ボクシングってのはガードしても
腕にダメージが溜まっていくもんなんだ。すぐに苦悶の表情を浮かべてガードを下げることになるだろうぜ。」
加藤は余裕の表情でそんなことを考えていた。
試合は1分を経過した。相変わらず加藤のジャブがハルカのガードを叩く展開が続いていた。
おかしい。こいついつまでガードを上げていられるんだ?これだけ打ち込めばボクサーですら普通は
ガードが下がってくるもんなのに、なんでいつまでもガードを上げていられる?
まあそうか。貞操が掛かってるとなりゃ死に物狂いにもなるか。だがな、ボクシングのパンチはジャブだけじゃないんだぜ。
右ストレートはジャブの何倍もの威力があるんだ。これでガードをこじ開けてやるぜ。
加藤はこの試合、初めての右ストレートを繰り出した。
過去何十人もの対戦相手をノックアウトしてきた、加藤の一番の得意パンチである。
バーン!!
先ほどまでとは比べ物にならない激しいパンチ音が場内にこだまする。
手ごたえありだ!これであいつも苦悶の表情を浮かべてガードを下げているはずだ。だ?あぁ!?
しかし、加藤の思惑とは裏腹にハルカのガードは微動だにしていなかった。
おかしい。こいついつまでガードを上げていられるんだ?これだけ打ち込めばボクサーですら普通は
ガードが下がってくるもんなのに、なんでいつまでもガードを上げていられる?
まあそうか。貞操が掛かってるとなりゃ死に物狂いにもなるか。だがな、ボクシングのパンチはジャブだけじゃないんだぜ。
右ストレートはジャブの何倍もの威力があるんだ。これでガードをこじ開けてやるぜ。
加藤はこの試合、初めての右ストレートを繰り出した。
過去何十人もの対戦相手をノックアウトしてきた、加藤の一番の得意パンチである。
バーン!!
先ほどまでとは比べ物にならない激しいパンチ音が場内にこだまする。
手ごたえありだ!これであいつも苦悶の表情を浮かべてガードを下げているはずだ。だ?あぁ!?
しかし、加藤の思惑とは裏腹にハルカのガードは微動だにしていなかった。
皆さんはバレー部員のアタックを受けたことがあるだろうか?一度受けただけで腕が真っ赤に腫れあがり、
骨まで染みるような痛みを味わったはずだ。1流のバレー選手はそんな激しいアタックを1日に何回も
何十回もいや何百回も受けるのである。刀を作る際、叩けば叩くほど強い刀になるように、彼女達の腕は
数え切れないほどの激しいアタックを受け続けたことにより、常人では計り知れないほどに衝撃に強い
腕になっていたのだ。そんな彼女からしてみれば、たかだかフライ級ボクサーのパンチを受けとめることなど
造作もないことだったのである。
骨まで染みるような痛みを味わったはずだ。1流のバレー選手はそんな激しいアタックを1日に何回も
何十回もいや何百回も受けるのである。刀を作る際、叩けば叩くほど強い刀になるように、彼女達の腕は
数え切れないほどの激しいアタックを受け続けたことにより、常人では計り知れないほどに衝撃に強い
腕になっていたのだ。そんな彼女からしてみれば、たかだかフライ級ボクサーのパンチを受けとめることなど
造作もないことだったのである。
なんだろう?加藤さん、さっきから軽いパンチを私の腕に当ててくるだけで、全然倒しに来ない。
初めて右のパンチも出してきたけど、これもそんなに強いパンチじゃないし、これならいつも受けている
ユカちゃんやメグちゃんのアタックの方が全然威力があるよ。
あ!そうか!加藤さんあんなこと言ってるけど冗談なんだ。あんなこと言って私を脅した振りして、
ちょっとリング上で遊びたかっただけなんだ。あ~良かった。よく考えたら当たり前だよね。
そんなことするわけないもんね。
初めて右のパンチも出してきたけど、これもそんなに強いパンチじゃないし、これならいつも受けている
ユカちゃんやメグちゃんのアタックの方が全然威力があるよ。
あ!そうか!加藤さんあんなこと言ってるけど冗談なんだ。あんなこと言って私を脅した振りして、
ちょっとリング上で遊びたかっただけなんだ。あ~良かった。よく考えたら当たり前だよね。
そんなことするわけないもんね。
ハルカは安堵感から思わず笑みがこぼれてしまった。
しかし、その笑みは加藤にはまったく逆の意味で伝わっていた。
しかし、その笑みは加藤にはまったく逆の意味で伝わっていた。
あのアマ!笑ってやがる。俺の渾身のストレートを受けて余裕の笑みを浮かべてやがる!
俺のパンチなんか効かないってか!舐めやがって、もう遊びは終わりだ。
ガードの隙間を狙って、ボディ・顔面を打ち抜いてやる!血反吐を履いて倒れるがいい!!
俺のパンチなんか効かないってか!舐めやがって、もう遊びは終わりだ。
ガードの隙間を狙って、ボディ・顔面を打ち抜いてやる!血反吐を履いて倒れるがいい!!
加藤は渾身の左フックを今度はボディめがけて思いっきり打ちこんだ!
ドボオォ!
ハルカのガラ空きのボディにパンチがめり込んだ!
ハルカはさっきまでの攻防で、これが真剣勝負ではなく遊びだと誤解していたため、加藤のパンチに対して
まったくの無防備となっていた。不意に打たれたパンチは通常とは比較にならないダメージを与える。
ハルカは立っていることができず、膝をついてしまった。ダウンだ!
ドボオォ!
ハルカのガラ空きのボディにパンチがめり込んだ!
ハルカはさっきまでの攻防で、これが真剣勝負ではなく遊びだと誤解していたため、加藤のパンチに対して
まったくの無防備となっていた。不意に打たれたパンチは通常とは比較にならないダメージを与える。
ハルカは立っていることができず、膝をついてしまった。ダウンだ!
「見たか!このアマ!男を、ボクサーを舐めるんじゃねえぞ!」
バカにされたと誤解している加藤は、ようやくハルカにあたえられたダメージに興奮していた。
「げほぉ、げほぉ。酷い、酷いです。どうしてこんなことするんですか?遊びだったんじゃ無いんですか?」
苦痛に顔をゆがめながらハルカが訴える。
「いまさら何言ってやがる!遊びなわけねーだろ。真剣勝負だ真剣勝負。」
「じゃあ、3分耐えられなかったら・・その・・・あれ・・・っていうのも?」
「あれって何だよw ハッキリ言えよw」
「いや、その・・あれ・・私が・皆さんと・その・・セ・セック・・・を・・」
「なにカマトトぶってやがる。それともあれか?本当に処女なのか?いや~これは楽しみだぜ!」
ハルカは愕然とした。
やっぱり、やっぱり本気なんだ。遊びなんかじゃない。本当に3分耐えられなければあれをさせられるんだ。
いやだ、そんなの絶対いやだ。耐えてみせる。絶対に耐えきってやる!
バカにされたと誤解している加藤は、ようやくハルカにあたえられたダメージに興奮していた。
「げほぉ、げほぉ。酷い、酷いです。どうしてこんなことするんですか?遊びだったんじゃ無いんですか?」
苦痛に顔をゆがめながらハルカが訴える。
「いまさら何言ってやがる!遊びなわけねーだろ。真剣勝負だ真剣勝負。」
「じゃあ、3分耐えられなかったら・・その・・・あれ・・・っていうのも?」
「あれって何だよw ハッキリ言えよw」
「いや、その・・あれ・・私が・皆さんと・その・・セ・セック・・・を・・」
「なにカマトトぶってやがる。それともあれか?本当に処女なのか?いや~これは楽しみだぜ!」
ハルカは愕然とした。
やっぱり、やっぱり本気なんだ。遊びなんかじゃない。本当に3分耐えられなければあれをさせられるんだ。
いやだ、そんなの絶対いやだ。耐えてみせる。絶対に耐えきってやる!
お腹の苦しさに耐えながら、ハルカは何とかカウント9で立ちあがった。
「へへ、良く立ちあがったな。まあ、アレで終わりじゃもの足りねぇ。もっと痛めつけさせてくれなきゃな。」
加藤がじりじりとハルカとの距離を詰める。
ハルカは考えた。
ここはボクシングのリング。相手はオリンピック代表ボクサー。まともにボクシングしたんじゃ勝てっこない。
わたしはわたしにできることをやらなきゃ。わたしにできること、そう、バレーボール。わたしには
バレーボールがある。競技は違えどバレーで身につけた知識と技術を駆使して戦うの。
大丈夫、自分を信じてハルカ!絶対にあきらめないで!あんな腐った連中の思い通りになんか
絶対にならないんだから!
加藤がじりじりとハルカとの距離を詰める。
ハルカは考えた。
ここはボクシングのリング。相手はオリンピック代表ボクサー。まともにボクシングしたんじゃ勝てっこない。
わたしはわたしにできることをやらなきゃ。わたしにできること、そう、バレーボール。わたしには
バレーボールがある。競技は違えどバレーで身につけた知識と技術を駆使して戦うの。
大丈夫、自分を信じてハルカ!絶対にあきらめないで!あんな腐った連中の思い通りになんか
絶対にならないんだから!
加藤は先ほどダウンを奪った左フックを再びボディに繰り出した。当たる!
しかし、加藤は奇妙な光景を目の当たりにした。
ハルカは下向きに両手を伸ばしてグローブ同士をくっつけて、そう、バレーのレシーブの体制を取った。
バーン!
加藤の左ボディはハルカのレシーブに完全にブロックされた。
「はぁ!?なんだそのガードは?そんなものボクシングのセオリーに無いぞ。」
再度左右フックをボディに放つ。
バン!バン!
先ほどと同じく、レシーブに防がれる。
くそっ、想像以上にボディのガードがかてえ。じゃあ、お望み通り顔面にパンチをブチ込んでやるよ。
そのきれいな顔を、男が寄り付かないようなボコボコの顔に変形させてやる。
加藤は顔面に向かって渾身の右ストレートを打ち込む。
バン!
これは先ほどまでと同様、がっちりと亀ガードに防がれる。
ボディを狙えばレシーブで、顔面を狙えば亀ガードで、加藤のパンチはハルカの堅いガードをまったく
崩す事が出来ない。
そうこうしているうちに、1ラウンドの残り時間が少なくなってきた。
しかし、加藤は奇妙な光景を目の当たりにした。
ハルカは下向きに両手を伸ばしてグローブ同士をくっつけて、そう、バレーのレシーブの体制を取った。
バーン!
加藤の左ボディはハルカのレシーブに完全にブロックされた。
「はぁ!?なんだそのガードは?そんなものボクシングのセオリーに無いぞ。」
再度左右フックをボディに放つ。
バン!バン!
先ほどと同じく、レシーブに防がれる。
くそっ、想像以上にボディのガードがかてえ。じゃあ、お望み通り顔面にパンチをブチ込んでやるよ。
そのきれいな顔を、男が寄り付かないようなボコボコの顔に変形させてやる。
加藤は顔面に向かって渾身の右ストレートを打ち込む。
バン!
これは先ほどまでと同様、がっちりと亀ガードに防がれる。
ボディを狙えばレシーブで、顔面を狙えば亀ガードで、加藤のパンチはハルカの堅いガードをまったく
崩す事が出来ない。
そうこうしているうちに、1ラウンドの残り時間が少なくなってきた。
まさか?倒しきれないのか?この俺が、オリンピック代表ボクサーのこの俺が、ど素人のバレーボール選手を、
ブルマー姿の女子バレー選手を倒しきれないっていうのか?
俺はパンチが無い方じゃない。全日本選手権でも、世界選手権でも何度も1ラウンドKOを演じてきた。
その俺がこんなど素人の女子高生を倒せないだと?うそだ!そんなことはあり得ない。あってはならないんだ。
何をやったっていい。どんな手を使ったっていい。とにかくコイツを、この女をマットに這わせるんだ!
ブルマー姿の女子バレー選手を倒しきれないっていうのか?
俺はパンチが無い方じゃない。全日本選手権でも、世界選手権でも何度も1ラウンドKOを演じてきた。
その俺がこんなど素人の女子高生を倒せないだと?うそだ!そんなことはあり得ない。あってはならないんだ。
何をやったっていい。どんな手を使ったっていい。とにかくコイツを、この女をマットに這わせるんだ!
加藤は拳を握り込むと、ハルカの下腹部へ向けて思いっきりパンチを打ち込んでいった!
ローブローである。もちろん反則行為だ!
しかも、反則行為であるがゆえに、ローブローは非常に避けるのが難しい。意図的に狙われたローブローを
避けることは一流のプロボクサーにすら難しい行為だ。それでいてとてつもないダメージを与えられる。
だからこそ禁止されている、本当に危険な行為であった。
しかし!! ハルカはそのローブローにさえ素早く反応した!
先ほどから見せているバレー式のレシーブである!
バレーボールのレシーブは、普通に構えると、まさに、下腹部を隠す角度になるのだ!
つまり、ボクサーではないがゆえに、バレボール選手であるがゆえに、ハルカはローブローを
完璧にブロックすることが出来たのである。
これは、本職のボクサーには絶対にできない芸当であった。
ローブローである。もちろん反則行為だ!
しかも、反則行為であるがゆえに、ローブローは非常に避けるのが難しい。意図的に狙われたローブローを
避けることは一流のプロボクサーにすら難しい行為だ。それでいてとてつもないダメージを与えられる。
だからこそ禁止されている、本当に危険な行為であった。
しかし!! ハルカはそのローブローにさえ素早く反応した!
先ほどから見せているバレー式のレシーブである!
バレーボールのレシーブは、普通に構えると、まさに、下腹部を隠す角度になるのだ!
つまり、ボクサーではないがゆえに、バレボール選手であるがゆえに、ハルカはローブローを
完璧にブロックすることが出来たのである。
これは、本職のボクサーには絶対にできない芸当であった。
どんな手を使ってでも!という思いで繰り出した渾身のローブローを防がれ、予想だにしていなかった
結果に動揺し、加藤の思考が、動きが一瞬止まる。
と、ハルカの目の前に前傾姿勢になった無防備な加藤の頭が投げだされる。
あれっ?これってどこかで見たような? そうだ、ボールだ!サーブを打つ時のボールだ!
ハルカには目の前にある加藤の頭が、サーブを打つ時のボールに見えた。
よ~し!得意の天井サーブ決めてやれ~!
ハルカは加藤の頭を左手のグローブで押さえつけると、天井サーブを打つ要領で、膝を曲げ、勢いを付け、
そして全身を伸ばしながら、加藤の頭を右手で思いっきり下から上へと打ち抜いた!!!!
「そ~れっ!」
バキーーーーーーーー!!!!
結果に動揺し、加藤の思考が、動きが一瞬止まる。
と、ハルカの目の前に前傾姿勢になった無防備な加藤の頭が投げだされる。
あれっ?これってどこかで見たような? そうだ、ボールだ!サーブを打つ時のボールだ!
ハルカには目の前にある加藤の頭が、サーブを打つ時のボールに見えた。
よ~し!得意の天井サーブ決めてやれ~!
ハルカは加藤の頭を左手のグローブで押さえつけると、天井サーブを打つ要領で、膝を曲げ、勢いを付け、
そして全身を伸ばしながら、加藤の頭を右手で思いっきり下から上へと打ち抜いた!!!!
「そ~れっ!」
バキーーーーーーーー!!!!
300グラム近いバレーボールを何十メートルも打ち上げる天井サーブである。
小柄なフライ級ボクサーの顎など簡単に跳ね上げられた!
「グハァ!」
加藤の足がもつれる、ガードが下がる、あきらかなダメージだ!
よろめく加藤の頭がハルカの胸の高さにさらけ出される。
よし!今度はサイドハンドサーブだ!
ハルカは思いっきり身体を捻ると、加藤の頭めがけて、腕を思いっきりフルスイングした!!
「そ~れっ!」
バーーーーーーーーーーーン!!!
小柄なフライ級ボクサーの顎など簡単に跳ね上げられた!
「グハァ!」
加藤の足がもつれる、ガードが下がる、あきらかなダメージだ!
よろめく加藤の頭がハルカの胸の高さにさらけ出される。
よし!今度はサイドハンドサーブだ!
ハルカは思いっきり身体を捻ると、加藤の頭めがけて、腕を思いっきりフルスイングした!!
「そ~れっ!」
バーーーーーーーーーーーン!!!
ハルカのこぶしが加藤の顔面にめり込む。
ズダーーーーーーン!!
ズダーーーーーーン!!
小柄な加藤の体はボロ雑巾のように吹っ飛ばされ、キャンパスへなぎ倒された!
加藤はまったく受け身を取れず、後頭部を打ちつけ、白目をむいて失神した。
加藤はまったく受け身を取れず、後頭部を打ちつけ、白目をむいて失神した。
ビィーー!
1ラウンド3分の終わりを告げるブザーが鳴り響く。
その時、リングに立っていたのは紺色のブルマー姿の女子1人。
本職の男子ボクサーは大の字に倒れ、ピクリとも動かない。
ハルカの、文句なしのノックアウト勝利だ!
1ラウンド3分の終わりを告げるブザーが鳴り響く。
その時、リングに立っていたのは紺色のブルマー姿の女子1人。
本職の男子ボクサーは大の字に倒れ、ピクリとも動かない。
ハルカの、文句なしのノックアウト勝利だ!
「やったー! 今のブザー1ラウンド終了の合図ですよね。3分間立っていたから私の勝ちですよね。
これで帰してもらえるんですよね? よかった~!
あっ、いけない!早く加藤さんをお医者さんに見せないと大変。ごめんなさいよろこんじゃって。
よろこんでる場合じゃないですよね。」
これで帰してもらえるんですよね? よかった~!
あっ、いけない!早く加藤さんをお医者さんに見せないと大変。ごめんなさいよろこんじゃって。
よろこんでる場合じゃないですよね。」
3分間立っていたどころの話ではない。相手を、本職のボクサーを完全にノックアウトしたのだが、
本人はその快挙にまったく気が付いていない。ただただ、難を逃れたことだけを純粋に喜んでいた。
さらには倒してしまった相手の事まで心配している。
この天然さが、純粋さが、男子ボクサーたちをさらに苛立たせた。
本人はその快挙にまったく気が付いていない。ただただ、難を逃れたことだけを純粋に喜んでいた。
さらには倒してしまった相手の事まで心配している。
この天然さが、純粋さが、男子ボクサーたちをさらに苛立たせた。
「ちょっと待ちな。このまま帰すわけないはいかねーな。」
男子ボクシングチームのエース、ミドル級の竹村がハルカを呼びとめる。
「わかってます。ちゃんと医務室へ連れて行きますから。手伝っていただけますか?」
「バカヤロー!そんなことを言ってるんじゃねえ。油断したとはいえ女に倒されるような情けない奴の事など知らん。
その辺に転がしておけ。それよりも、お前を解放するわけにはいかねーと言ってるんだ。」
「どうしてですか?3分間耐えられたら帰してくれる約束じゃないですか?約束を破るんですか?」
「約束は守るぜ。だがそれはお前がルールを守ったらの話だ。
さっきのパンチはなんだ。加藤の頭を押さえてただろ。あれはボクシングの世界じゃルール違反、
反則パンチなんだよ。反則した以上、お前が3分間耐えきったとは認められない。お前の反則負けだ。」
「そんな・・わたしボクシングのルールなんて知らないし・・」
「知らないじゃ済まされないぜ。反則は反則だ。」
男子ボクシングチームのエース、ミドル級の竹村がハルカを呼びとめる。
「わかってます。ちゃんと医務室へ連れて行きますから。手伝っていただけますか?」
「バカヤロー!そんなことを言ってるんじゃねえ。油断したとはいえ女に倒されるような情けない奴の事など知らん。
その辺に転がしておけ。それよりも、お前を解放するわけにはいかねーと言ってるんだ。」
「どうしてですか?3分間耐えられたら帰してくれる約束じゃないですか?約束を破るんですか?」
「約束は守るぜ。だがそれはお前がルールを守ったらの話だ。
さっきのパンチはなんだ。加藤の頭を押さえてただろ。あれはボクシングの世界じゃルール違反、
反則パンチなんだよ。反則した以上、お前が3分間耐えきったとは認められない。お前の反則負けだ。」
「そんな・・わたしボクシングのルールなんて知らないし・・」
「知らないじゃ済まされないぜ。反則は反則だ。」
これは言いがかりに等しい話だった。たしかにボクシングのルールを厳密に適用すればハルカのパンチは
反則と判定されてもおかしくは無い。しかし、さっきのパンチはインパクトの瞬間に左手を加藤の頭から
離しており、実際のボクシングの試合の流れの中ではよく行われる、ほぼ問題にされないレベルの反則だった。
もし公式戦でこの程度で反則負けを宣告されれば、負けた選手がクレームをつけるだろう。
むしろ、加藤の放ったローブローの方が、はるかに悪質な反則であることは誰の目にも明らかだった。
しかし、卑怯な男子ボクシング部員はハルカの無知につけ込んだ。
反則と判定されてもおかしくは無い。しかし、さっきのパンチはインパクトの瞬間に左手を加藤の頭から
離しており、実際のボクシングの試合の流れの中ではよく行われる、ほぼ問題にされないレベルの反則だった。
もし公式戦でこの程度で反則負けを宣告されれば、負けた選手がクレームをつけるだろう。
むしろ、加藤の放ったローブローの方が、はるかに悪質な反則であることは誰の目にも明らかだった。
しかし、卑怯な男子ボクシング部員はハルカの無知につけ込んだ。
「さて、本来ならお前の反則負けだが、やさしい俺たちはお前に再チャンスをやるよ。今度は俺の相手をしな。
ただし、再チャンスだからな。条件は厳しくさせてもらうぜ。決着はKOのみだ。どちらかが倒れるまで続ける。
どうだ?悪い話じゃないだろ。」
ミドル級の竹村はフライ級の加藤とは比較にならない体格、パワーの持ち主だ。
加藤に対しては体格で上回ったハルカだが、竹村は身長、体重、体格、全てにおいてハルカを凌駕していた。
しかも、先ほどとは違い、KO決着のみということで、ガードで耐えきって時間切れを待つこともできない。
ハルカにとっては到底勝ち目のない、「悪い話じゃない」どころの話では無かった。
しかし、反則負けを許してもらえると負い目を感じているハルカは、この申し出を断ることができなかった。
ただし、再チャンスだからな。条件は厳しくさせてもらうぜ。決着はKOのみだ。どちらかが倒れるまで続ける。
どうだ?悪い話じゃないだろ。」
ミドル級の竹村はフライ級の加藤とは比較にならない体格、パワーの持ち主だ。
加藤に対しては体格で上回ったハルカだが、竹村は身長、体重、体格、全てにおいてハルカを凌駕していた。
しかも、先ほどとは違い、KO決着のみということで、ガードで耐えきって時間切れを待つこともできない。
ハルカにとっては到底勝ち目のない、「悪い話じゃない」どころの話では無かった。
しかし、反則負けを許してもらえると負い目を感じているハルカは、この申し出を断ることができなかった。
「わかりました。それで反則負けを許してもらえるなら。
でも、その前にボクシングのルールを教えていただけますか?また知らないうちに反則しちゃうかもしれないし。」
「いいよいいよ、面倒くさい。今度は反則とかちんけな事いわねーから、好きなようにやりな。
あ、ただしチンコをうつのだけは禁止だぞ。ハハハ!」
竹村はハルカを完全に舐め切っていた。
でも、その前にボクシングのルールを教えていただけますか?また知らないうちに反則しちゃうかもしれないし。」
「いいよいいよ、面倒くさい。今度は反則とかちんけな事いわねーから、好きなようにやりな。
あ、ただしチンコをうつのだけは禁止だぞ。ハハハ!」
竹村はハルカを完全に舐め切っていた。
カーン!
第2試合開始のゴングが鳴り響く。
竹村は、日本人として初めてミドル級での世界選手権メダリストとなり、オリンピックでも金メダル候補に
あげられている、まさに日本のアマチュアボクシングを背負う存在だ。
と同時に素行の悪さも有名で、数々のストリートファイトや問題行動を起こし、オリンピック代表の座を剥奪されそうな
危機も一度や二度ではなかった。
それでも代表に選ばれたのは、やはり、その圧倒的な実力が故であった。
判定決着が多いアマチュアボクシングにおいて、竹村はその勝利のほとんどをKO・RSC勝ちで飾っており、
数少ない負け試合は、全てがアウトボクサーにポイントアウトされての負けであり、KO・RSC負けは一度もない。
つまり、KO決着オンリーという今回のルールで戦う限りにおいて、竹村と渡り合えるボクサーは、上の階級を別にすれば
世界中に誰1人存在しないのだ!
そして、もちろん、ハルカの体重は、竹村よりはるかに下の階級だった。
第2試合開始のゴングが鳴り響く。
竹村は、日本人として初めてミドル級での世界選手権メダリストとなり、オリンピックでも金メダル候補に
あげられている、まさに日本のアマチュアボクシングを背負う存在だ。
と同時に素行の悪さも有名で、数々のストリートファイトや問題行動を起こし、オリンピック代表の座を剥奪されそうな
危機も一度や二度ではなかった。
それでも代表に選ばれたのは、やはり、その圧倒的な実力が故であった。
判定決着が多いアマチュアボクシングにおいて、竹村はその勝利のほとんどをKO・RSC勝ちで飾っており、
数少ない負け試合は、全てがアウトボクサーにポイントアウトされての負けであり、KO・RSC負けは一度もない。
つまり、KO決着オンリーという今回のルールで戦う限りにおいて、竹村と渡り合えるボクサーは、上の階級を別にすれば
世界中に誰1人存在しないのだ!
そして、もちろん、ハルカの体重は、竹村よりはるかに下の階級だった。
竹村がジャブを繰り出す。
バン!
加藤のパンチとは比較にならない衝撃がハルカの腕を襲う。思わず顔をしかめるハルカ。
ジャブに続くストレート。
バーン!!!
加藤のパンチではビクともしなかったハルカのガードが弾き飛ばされる!顔が無防備にさらされる。
「これで終わりだな。」
竹村はハルカの顔面へ右ストレートを放った。
ビュン!!
すんでのところでかわすハルカ。思わず竹村から距離を取った。
「よく避けられたな。だが、まぐれは何度も続かねーぜ。」
またも強烈なパンチでガードを弾き飛ばし、今度は左フックを顔面へ見舞う。
ブン!!
ハルカは必死にしゃがみこみ、またしても被弾を防ぐ。
「ちょこまかとうざってえ。さっさと捕まりやがれ!」
1発KOを狙って大ぶりのパンチを繰り出す竹村。しかし、その全てをハルカは驚異的な反射神経で避けまくった。
バン!
加藤のパンチとは比較にならない衝撃がハルカの腕を襲う。思わず顔をしかめるハルカ。
ジャブに続くストレート。
バーン!!!
加藤のパンチではビクともしなかったハルカのガードが弾き飛ばされる!顔が無防備にさらされる。
「これで終わりだな。」
竹村はハルカの顔面へ右ストレートを放った。
ビュン!!
すんでのところでかわすハルカ。思わず竹村から距離を取った。
「よく避けられたな。だが、まぐれは何度も続かねーぜ。」
またも強烈なパンチでガードを弾き飛ばし、今度は左フックを顔面へ見舞う。
ブン!!
ハルカは必死にしゃがみこみ、またしても被弾を防ぐ。
「ちょこまかとうざってえ。さっさと捕まりやがれ!」
1発KOを狙って大ぶりのパンチを繰り出す竹村。しかし、その全てをハルカは驚異的な反射神経で避けまくった。
1流ボクサーのパンチのスピードは、トップスピードで時速30km程度と言われている。それに対して、
バレーボールのスパイクは女子の1流選手でなんと時速100kmを超えるのである!
実に1流ボクサーのパンチの3倍を超えるすさまじいスピードである。
女子バレーでは、そんな凄まじいスピードのボールを1瞬の判断でブロックやレシーブをしたり、また、
インかアウトかを見極めたりする動体視力や反射神経が要求される。
そんな世界で鍛えられているハルカにとって、ボクサーの1発狙いの大ぶりパンチを見切ることは
そう難しい事ではなかった。
バレーボールのスパイクは女子の1流選手でなんと時速100kmを超えるのである!
実に1流ボクサーのパンチの3倍を超えるすさまじいスピードである。
女子バレーでは、そんな凄まじいスピードのボールを1瞬の判断でブロックやレシーブをしたり、また、
インかアウトかを見極めたりする動体視力や反射神経が要求される。
そんな世界で鍛えられているハルカにとって、ボクサーの1発狙いの大ぶりパンチを見切ることは
そう難しい事ではなかった。
「くっそー。ど素人にしてはやけにパンチへの反応が良いな。その反射神経の良さだけは認めてやるよ。
だがな、ボクシングには色々な崩し方ってものがあるんだ。反射神経だけではどうにもならない
領域ってものがあるんだよ。それを教えてやるぜ。」
竹村はハルカのボディーめがけて左フックをふるう。
上半身と異なり、下半身はそう簡単に素早く動かせるものではない。ハルカもパンチに反応することはできたが、
避けきることは出来なかった。
バーン! ビリビリビリ!!
先ほどの試合でも見せたバレー式レシーブで何とか直撃を避ける。しかし、加藤のパンチとは比べ物にならない
威力で、レシーブしたハルカの腕にダメージを与える。さらにはレシーブ越しにボディにも衝撃が伝わってきた。
「うっ」
思わずうめき声を発するハルカ。
「へっ、さすがに効いたみたいだな。反射神経には驚かされたが、まぐれもここまでだ。さて、いつまでそのガードを
続けられるかな。」
竹村のボディ連打がハルカを襲う。3発、4発、5発、6発・・無数のパンチがハルカの腕に、レシーブに突き刺さる。
バレーで鍛え上げられたハルカの腕もついに限界を迎えようとしていた。
だがな、ボクシングには色々な崩し方ってものがあるんだ。反射神経だけではどうにもならない
領域ってものがあるんだよ。それを教えてやるぜ。」
竹村はハルカのボディーめがけて左フックをふるう。
上半身と異なり、下半身はそう簡単に素早く動かせるものではない。ハルカもパンチに反応することはできたが、
避けきることは出来なかった。
バーン! ビリビリビリ!!
先ほどの試合でも見せたバレー式レシーブで何とか直撃を避ける。しかし、加藤のパンチとは比べ物にならない
威力で、レシーブしたハルカの腕にダメージを与える。さらにはレシーブ越しにボディにも衝撃が伝わってきた。
「うっ」
思わずうめき声を発するハルカ。
「へっ、さすがに効いたみたいだな。反射神経には驚かされたが、まぐれもここまでだ。さて、いつまでそのガードを
続けられるかな。」
竹村のボディ連打がハルカを襲う。3発、4発、5発、6発・・無数のパンチがハルカの腕に、レシーブに突き刺さる。
バレーで鍛え上げられたハルカの腕もついに限界を迎えようとしていた。
鉄壁と思われたハルカのバレー式レシーブがなぜ崩されようとしているのか?竹村がミドル級であること、
世界的なハードパンチャーであること、それも大きな理由である。しかし、もうひとつ見逃してはならない大きな
理由があった。
この試合では両者8オンスグローブを使用している。通常ボクシンググローブは大きければ大きいほど逆に
相手にあたえるダメージは小さく、小さければ小さいほどあたえるダメージは大きくなるのだ。
現在、危険性などを考慮し、アマチュアでは全階級10オンスのグローブを、スペクタクル性を売りにするプロの
リングでさえ、重量級は10オンスグローブを着用している。
つまり、ミドル級選手のパンチを8オンスグローブで受けるなどということは、プロのリングですら認められていないほど、
威力があり過ぎて危険とされているのだった。
それを階級がはるかに下の、ボクシングど素人の、ブルマー姿のジュニア女子バレー選手相手に行っているのだから、
いかに男子ボクシングチームが卑劣な悪党かということがわかるだろう。
さらに忘れてはならないのは、ハルカはこの日2試合目であり、1試合目でも腕に相当数のパンチを受けているのだ。
そんな卑怯なことをされてしまえば、さすがに鉄壁のハルカのレシーブも崩されざるを得なかったのである。
世界的なハードパンチャーであること、それも大きな理由である。しかし、もうひとつ見逃してはならない大きな
理由があった。
この試合では両者8オンスグローブを使用している。通常ボクシンググローブは大きければ大きいほど逆に
相手にあたえるダメージは小さく、小さければ小さいほどあたえるダメージは大きくなるのだ。
現在、危険性などを考慮し、アマチュアでは全階級10オンスのグローブを、スペクタクル性を売りにするプロの
リングでさえ、重量級は10オンスグローブを着用している。
つまり、ミドル級選手のパンチを8オンスグローブで受けるなどということは、プロのリングですら認められていないほど、
威力があり過ぎて危険とされているのだった。
それを階級がはるかに下の、ボクシングど素人の、ブルマー姿のジュニア女子バレー選手相手に行っているのだから、
いかに男子ボクシングチームが卑劣な悪党かということがわかるだろう。
さらに忘れてはならないのは、ハルカはこの日2試合目であり、1試合目でも腕に相当数のパンチを受けているのだ。
そんな卑怯なことをされてしまえば、さすがに鉄壁のハルカのレシーブも崩されざるを得なかったのである。
痛い、腕が痛い。ダメ、このままじゃいつか倒されちゃう。考えて、考えるのよハルカ。諦めなければ絶対道は
開けるんだから。そう、私はバレーボール選手なんだから。バレーボールをやればいい。ここをリングではなく
コートだと思って、バレーボールをやろう!
バレーボールだったらあんなウスノロなんかに絶対負けないんだから。見てなさいよ!
開けるんだから。そう、私はバレーボール選手なんだから。バレーボールをやればいい。ここをリングではなく
コートだと思って、バレーボールをやろう!
バレーボールだったらあんなウスノロなんかに絶対負けないんだから。見てなさいよ!
ハルカのガードが完全に下がった。
「ふふ、もう限界だな。じゃあ、決めさせてもらうぜ。死ねやー!」
左ボディがハルカの右わき腹を狙う。ガードも上がらない。もらった!
勝ちを確信した竹村の視界に、想像だにしなかった光景が映し出された!
ダンッ!!
なんと、パンチの当たる瞬間、ハルカはキャンパスに向かって、自ら横っ跳びにダイブしたのだ!
そしてそのまま体を一回転させ、リングの上に片膝をついた格好でしゃがみこんだ。
そう、バレーボールの回転レシーブの動きである!
「ふふ、もう限界だな。じゃあ、決めさせてもらうぜ。死ねやー!」
左ボディがハルカの右わき腹を狙う。ガードも上がらない。もらった!
勝ちを確信した竹村の視界に、想像だにしなかった光景が映し出された!
ダンッ!!
なんと、パンチの当たる瞬間、ハルカはキャンパスに向かって、自ら横っ跳びにダイブしたのだ!
そしてそのまま体を一回転させ、リングの上に片膝をついた格好でしゃがみこんだ。
そう、バレーボールの回転レシーブの動きである!
「はあぁ?何やってんだお前!キャンパスに手を突いたり、横になったり、片膝をついたり、
全部反則だ!早く立ちあがりやがれ!」
「あれ?竹村さん言いましたよね。反則なんてちんけなこと言わない。好きなようにやれって。
ただし・・・」
ここで少し言いよどむ。
「あの、その、お、おチンチン・・・を打つのだけは禁止だって。」
消え入るような声で、顔を真っ赤にしながら、竹村の決めたルールを復唱するハルカ。
「うっ。てめえ、この・・」
竹村は面食らった。たしかにそういう発言はした。ただし、彼の頭にあったのはあくまでもボクシングという
競技の範囲内での反則。頭を押さえる行為、ホールディング、背中や後頭部への打撃、オープンブローや
バックブローなど通常の試合で起こりえる範囲の反則行為しか想定していなかった。
しかし、今ハルカが行ったのは、そもそもボクシングという競技をまったく無視した、もはや反則という概念にすら
あてはまらない行為であった。
しかし、認めてしまったのだ。好きなようにやれと。言葉尻をうまく利用されてしまったと気づいても、もはや
後の祭りであった。
全部反則だ!早く立ちあがりやがれ!」
「あれ?竹村さん言いましたよね。反則なんてちんけなこと言わない。好きなようにやれって。
ただし・・・」
ここで少し言いよどむ。
「あの、その、お、おチンチン・・・を打つのだけは禁止だって。」
消え入るような声で、顔を真っ赤にしながら、竹村の決めたルールを復唱するハルカ。
「うっ。てめえ、この・・」
竹村は面食らった。たしかにそういう発言はした。ただし、彼の頭にあったのはあくまでもボクシングという
競技の範囲内での反則。頭を押さえる行為、ホールディング、背中や後頭部への打撃、オープンブローや
バックブローなど通常の試合で起こりえる範囲の反則行為しか想定していなかった。
しかし、今ハルカが行ったのは、そもそもボクシングという競技をまったく無視した、もはや反則という概念にすら
あてはまらない行為であった。
しかし、認めてしまったのだ。好きなようにやれと。言葉尻をうまく利用されてしまったと気づいても、もはや
後の祭りであった。
「まあいい、多少面食らったが、殴り倒せばいい事に変わりはない。舐めた真似しやがるから
余計に痛めつけてやりたくなったぜ。」
しゃがみこんでいるハルカにじりじりとにじり寄る竹村。
ハルカの頭の位置はキャンパスから1mあるかどうか。こんな低い的は打ったことが無い。
竹村は普段よりも大幅に身を低くして、ハルカに殴りかかった。
しかし、不自然な体勢からのパンチなので切れが無い。あっさりとハルカに回転レシーブで逃げられてしまう。
またしてもハルカは片膝をついた格好で竹村と対峙する。
「このアマ、ちょこまかと!」
竹村はハルカに向かって一直線に走り込み、低い体勢でおもいっきりパンチを振るっていった。
ハルカのボクシングとは思えない動きに影響されたのか、または、なかなかパンチをあてられない焦りからか、
ボクシングの基本を忘れたかのような、大ぶりパンチとなっていた。
竹村の右パンチに対して、ハルカは左側にダイブして避ける。
と、竹村の顔面が自分の右脚から近い位置にあることに気づく。
え?これって、今脚を振り上げたら当たるんじゃない?ううん、考えている暇はないわ。とにかく思いっきり
脚を振り上げよう!
「え~い!」
ハルカは紺色のブルマーから伸びた健康的な脚を、バレーボールのジャンプで鍛えたムチムチの脚を、
思いっきり、竹村の顔面に向かって蹴り上げた!!!
余計に痛めつけてやりたくなったぜ。」
しゃがみこんでいるハルカにじりじりとにじり寄る竹村。
ハルカの頭の位置はキャンパスから1mあるかどうか。こんな低い的は打ったことが無い。
竹村は普段よりも大幅に身を低くして、ハルカに殴りかかった。
しかし、不自然な体勢からのパンチなので切れが無い。あっさりとハルカに回転レシーブで逃げられてしまう。
またしてもハルカは片膝をついた格好で竹村と対峙する。
「このアマ、ちょこまかと!」
竹村はハルカに向かって一直線に走り込み、低い体勢でおもいっきりパンチを振るっていった。
ハルカのボクシングとは思えない動きに影響されたのか、または、なかなかパンチをあてられない焦りからか、
ボクシングの基本を忘れたかのような、大ぶりパンチとなっていた。
竹村の右パンチに対して、ハルカは左側にダイブして避ける。
と、竹村の顔面が自分の右脚から近い位置にあることに気づく。
え?これって、今脚を振り上げたら当たるんじゃない?ううん、考えている暇はないわ。とにかく思いっきり
脚を振り上げよう!
「え~い!」
ハルカは紺色のブルマーから伸びた健康的な脚を、バレーボールのジャンプで鍛えたムチムチの脚を、
思いっきり、竹村の顔面に向かって蹴り上げた!!!
ゴキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!
竹村の走り込む勢い、パンチを振るう勢い、ハルカのダイブの勢い、そして驚異のジャンプ力を生むハルカの
鍛えられた脚から生み出されるキック力!
その全てが完璧なタイミングでカウンターとなり、竹村の顔面を直撃した!!
バターーーーーーーン!!
竹村は受け身を取ることすら出来ず、顔面からキャンパスへダイブした!!
鍛えられた脚から生み出されるキック力!
その全てが完璧なタイミングでカウンターとなり、竹村の顔面を直撃した!!
バターーーーーーーン!!
竹村は受け身を取ることすら出来ず、顔面からキャンパスへダイブした!!
「うっ、うっ」
竹村はなんとか身を起こそうとするがなかなか立ち上がることができない。
それはそうだろう。絶妙のカウンターで強烈なキックを顔面に食らったのだ。普段の公式試合で、10オンスグローブと
ヘッドギアに守られている公式試合で受けるパンチとは比較にならない破壊力だ。
世界の1流男子ボクサーを相手にダウン経験のないタフネスを誇っていた竹村が、女子の、格闘家では無い女子の、
ブルマー姿の女子バレー選手のキックにダウンさせられた。
竹村はなんとか身を起こそうとするがなかなか立ち上がることができない。
それはそうだろう。絶妙のカウンターで強烈なキックを顔面に食らったのだ。普段の公式試合で、10オンスグローブと
ヘッドギアに守られている公式試合で受けるパンチとは比較にならない破壊力だ。
世界の1流男子ボクサーを相手にダウン経験のないタフネスを誇っていた竹村が、女子の、格闘家では無い女子の、
ブルマー姿の女子バレー選手のキックにダウンさせられた。
あごの骨が折れたのか。口から大量の血を流している竹村を見てハルカが心配そうに声をかける。
「大丈夫ですか?ごめんなさい、ちょっと力を入れすぎちゃいました。ボクサーの人に私のキックがこんなに効くなんて
思わなかったので。すぐにお医者さん呼んできますね。」
自分が襲われていたことも忘れ、あくまでも竹村の体を心配して、リングを降りようとするハルカ。
「ま・まて・・。まだ・・勝負は・・終わってないぞ・・。逃げるんじゃ・・ねえ・・」
キャンパスに這いつくばりながら、息も絶え絶えに竹村が声を発する。
残る男子ボクシング部員もハルカを遮るように出口をふさぐ。
「なに言ってるんですか。酷い出血じゃないですか。勝負なんて言ってる場合じゃないです。早くお医者さん
に見せないと。」
「ボクシングには・・ダウンや出血はつきものなんだ。・・バレーみたいなお嬢様スポーツと一緒にするな。」
ついに竹村は立ちあがった。
この間、ダウンしてから立ちあがるまで、ゆうに1分は経過していた。
ボクシングルールを適用するならこの時点でハルカのノックアウト勝ちだった。
しかし、すでにこの試合はボクシングのルールを大幅に逸脱しており、いまさら10カウントルールなどは
何の意味も為さなかった。この試合の決着は、相手の戦意を喪失させるか、相手を完全に失神させるかでしか
もたらされないだろう。
「大丈夫ですか?ごめんなさい、ちょっと力を入れすぎちゃいました。ボクサーの人に私のキックがこんなに効くなんて
思わなかったので。すぐにお医者さん呼んできますね。」
自分が襲われていたことも忘れ、あくまでも竹村の体を心配して、リングを降りようとするハルカ。
「ま・まて・・。まだ・・勝負は・・終わってないぞ・・。逃げるんじゃ・・ねえ・・」
キャンパスに這いつくばりながら、息も絶え絶えに竹村が声を発する。
残る男子ボクシング部員もハルカを遮るように出口をふさぐ。
「なに言ってるんですか。酷い出血じゃないですか。勝負なんて言ってる場合じゃないです。早くお医者さん
に見せないと。」
「ボクシングには・・ダウンや出血はつきものなんだ。・・バレーみたいなお嬢様スポーツと一緒にするな。」
ついに竹村は立ちあがった。
この間、ダウンしてから立ちあがるまで、ゆうに1分は経過していた。
ボクシングルールを適用するならこの時点でハルカのノックアウト勝ちだった。
しかし、すでにこの試合はボクシングのルールを大幅に逸脱しており、いまさら10カウントルールなどは
何の意味も為さなかった。この試合の決着は、相手の戦意を喪失させるか、相手を完全に失神させるかでしか
もたらされないだろう。
竹村は立ちあがりはしたもののダメージはありありで、なんとかロープに寄りかかって、体を支えている状況だ。
いま、ハルカが攻撃に行けば、素人のパンチでも、女の子のパンチでも簡単に倒せるだろう。
しかし、こころのやさしいハルカは、あれだけの事をされてもなお、弱っている人間を、攻撃してこない人間を
自分から攻撃することは出来なかった。
そして、お互いに見合うこと数分間。ついに竹村は足を動かせるまでにダメージから回復した。
いま、ハルカが攻撃に行けば、素人のパンチでも、女の子のパンチでも簡単に倒せるだろう。
しかし、こころのやさしいハルカは、あれだけの事をされてもなお、弱っている人間を、攻撃してこない人間を
自分から攻撃することは出来なかった。
そして、お互いに見合うこと数分間。ついに竹村は足を動かせるまでにダメージから回復した。
「へへ、バカが。俺がダメージを負っている間に止めを刺さなかったことを後悔させてやるぜ。
千載一遇のチャンスだったのになあ。もうあんなチャンスは2度とないぜ。」
竹村はパンチを放つ。
だが、やはりダメージが残っており、先ほどまでとは比べ物にならないほど、スピードも威力も欠けたパンチだった。
ハルカは余裕を持ってパンチをかわす。
続いてボディブローを放つ。
パン!
しかし、威力の落ちたパンチでは先ほどのようにハルカの堅いガードを崩す事は出来ない。あっさりとレシーブされて
しまった。
「もう諦めて下さい。今の竹村さんの体じゃ、わたしを倒すパンチは打てません。さっきの一撃で勝負は
ついたんです。わたし、看護の勉強もしてるのでわかります。人間の体はあれだけのダメージを受けたら、そんなに
短時間では回復できません。もうこれ以上の勝負には何の意味もありません。私は竹村さんを必要以上に
傷つけたくないんです。お願いです。もうやめましょう。こんな意味のないこと、もうやめましょうよ!」
竹村の体を案じ、必死に説得を試みるハルカ。
しかし、この言葉が竹村のプライドをさらに刺激する。
「俺を傷つけたくないだ?なに上から目線でしゃべってやがる!お前の生殺与奪を握ってるのは俺なんだよ!
勘違いするな。ボクシング日本代表の俺様に対して、バレー選手ごときが、女ごときが偉そうなこと抜かすな!」
千載一遇のチャンスだったのになあ。もうあんなチャンスは2度とないぜ。」
竹村はパンチを放つ。
だが、やはりダメージが残っており、先ほどまでとは比べ物にならないほど、スピードも威力も欠けたパンチだった。
ハルカは余裕を持ってパンチをかわす。
続いてボディブローを放つ。
パン!
しかし、威力の落ちたパンチでは先ほどのようにハルカの堅いガードを崩す事は出来ない。あっさりとレシーブされて
しまった。
「もう諦めて下さい。今の竹村さんの体じゃ、わたしを倒すパンチは打てません。さっきの一撃で勝負は
ついたんです。わたし、看護の勉強もしてるのでわかります。人間の体はあれだけのダメージを受けたら、そんなに
短時間では回復できません。もうこれ以上の勝負には何の意味もありません。私は竹村さんを必要以上に
傷つけたくないんです。お願いです。もうやめましょう。こんな意味のないこと、もうやめましょうよ!」
竹村の体を案じ、必死に説得を試みるハルカ。
しかし、この言葉が竹村のプライドをさらに刺激する。
「俺を傷つけたくないだ?なに上から目線でしゃべってやがる!お前の生殺与奪を握ってるのは俺なんだよ!
勘違いするな。ボクシング日本代表の俺様に対して、バレー選手ごときが、女ごときが偉そうなこと抜かすな!」
竹村はこりずにハルカの顔面に向かってパンチを放つ。
ハルカが先ほど同様、余裕を持ってかわそうとしたその時!
ガシッ! ガシッ!
ロープ際に立っていたハルカの両足を、リングサイドで見ていた2人のボクシング部員が掴んだ!
身動きが取れないハルカ!
バーン!!
避けきれないと悟ったハルカは何とかガードを戻し、間一髪のところでパンチの直撃を免れた。
「はははは!このアマちゃんが!ここがボクシングチームの、敵のアジトの真っ只中ってことを忘れたか!
女に負けておめおめと諦めるとでも思ったか!どんな手を使ってでもお前を痛めつけて、レイプしてやる!
陵辱してやるぜ!無事に帰れると思うなよ!」
竹村は身動きの取れないハルカをロープ際で滅多打ちにした。
ハルカは驚異的な反射神経で顔への、美しいアイドル顔への直撃だけはなんとか逃れていたが、
ボディや腕には何発も良いパンチを打ち込まれた。
ハルカが先ほど同様、余裕を持ってかわそうとしたその時!
ガシッ! ガシッ!
ロープ際に立っていたハルカの両足を、リングサイドで見ていた2人のボクシング部員が掴んだ!
身動きが取れないハルカ!
バーン!!
避けきれないと悟ったハルカは何とかガードを戻し、間一髪のところでパンチの直撃を免れた。
「はははは!このアマちゃんが!ここがボクシングチームの、敵のアジトの真っ只中ってことを忘れたか!
女に負けておめおめと諦めるとでも思ったか!どんな手を使ってでもお前を痛めつけて、レイプしてやる!
陵辱してやるぜ!無事に帰れると思うなよ!」
竹村は身動きの取れないハルカをロープ際で滅多打ちにした。
ハルカは驚異的な反射神経で顔への、美しいアイドル顔への直撃だけはなんとか逃れていたが、
ボディや腕には何発も良いパンチを打ち込まれた。
プツン
ハルカの中でなにかが切れた。
子どもの頃から厳格な両親に厳しくしつけられてきた。人の嫌がることをしてはいけません。人にやさしくしなければ
いけません。人を憎んではいけません。そして、人を傷つけてはいけません。
忠実に守ってきた。小学、中学、高校とハルカは常に優等生で、明るく素直でまっすぐで、誰に見られても
恥ずかしくない人生を送ってきた。
「あんなやつ死刑にしちゃえばいいんだよ!」 犯罪報道を見て同級生が過激な事を発言する。
そのたびにハルカはたしなめてきた。「そんなこと言ってはいけない。生まれながらに悪い人はいない。人を憎むの
ではなく、犯罪の元を立つようにしなければ」と。
今回も理不尽な勝負を挑まれた。卑怯な手を使われた。それでも相手を憎んではいけない。傷つけることを
望んではいけない。誠実に話し合えば相手にもわかってもらえる。そう信じていた。
しかし、こんな人間もいるんだ。いくら誠実に話し合ってもわかってもらえない、常に卑劣な事ばかり考えている、
そんなクズみたいな人間もいるんだ。今までの17年の人生では学べなかったことだ。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。ハルカは初めて人を憎みます。初めて自分から望んで人を傷つけます。
でも間違ったことはしてません。自分の行動に恥じることもありません。だから、だから、許して下さい。
ハルカの中でなにかが切れた。
子どもの頃から厳格な両親に厳しくしつけられてきた。人の嫌がることをしてはいけません。人にやさしくしなければ
いけません。人を憎んではいけません。そして、人を傷つけてはいけません。
忠実に守ってきた。小学、中学、高校とハルカは常に優等生で、明るく素直でまっすぐで、誰に見られても
恥ずかしくない人生を送ってきた。
「あんなやつ死刑にしちゃえばいいんだよ!」 犯罪報道を見て同級生が過激な事を発言する。
そのたびにハルカはたしなめてきた。「そんなこと言ってはいけない。生まれながらに悪い人はいない。人を憎むの
ではなく、犯罪の元を立つようにしなければ」と。
今回も理不尽な勝負を挑まれた。卑怯な手を使われた。それでも相手を憎んではいけない。傷つけることを
望んではいけない。誠実に話し合えば相手にもわかってもらえる。そう信じていた。
しかし、こんな人間もいるんだ。いくら誠実に話し合ってもわかってもらえない、常に卑劣な事ばかり考えている、
そんなクズみたいな人間もいるんだ。今までの17年の人生では学べなかったことだ。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。ハルカは初めて人を憎みます。初めて自分から望んで人を傷つけます。
でも間違ったことはしてません。自分の行動に恥じることもありません。だから、だから、許して下さい。
「わかった。あなたはそういう人間なのね。もう情けをかけるのはやめる。本気で相手してあげるわ。」
「あぁ、本気だぁ?この状態から何ができるっていうんだ。強がりもたいがいにしな。」
「その手を放しなさい!」
ハルカは足を掴んでいる部員の手を簡単に振りほどく。
驚異のジャンプ力を誇るハルカの脚力の前では、ボクサーの腕力など及ぶべくもない。
「もう手遅れだ!食らえ!」
竹村の右ストレートがハルカの顔面を襲う。
ハルカはしゃがみこんでそのパンチをよける。そして
「レシーーーブ!!」
といいながら、手をレシーブの形に構え、そのまま竹村の顔面に向けて思いっきり振り上げた!
バキーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
両こぶしで振り上げたレシーブ式アッパーは、ボクシングのアッパーの2倍の威力で竹村に襲いかかる!
竹村の体が前のめりに倒れかける。
ハルカはふたたびしゃがみこみ、今度はバレーボールのトスの要領で、両手で竹村の顔面を跳ね上げる。
「トーーーース!!」
バシーーーーーーー!!!
竹村の顔面が上を向く。もう、まったくガードする体制は作れていない。無防備な状態だ!
ハルカはバレーボールで鍛えた驚異のジャンプ力で思いっきり飛び跳ねた!
「アタッーーーーーーーーーク!!!!」
ハルカのこぶしが、3メートルを超える高さからすさまじく加速されたこぶしが、ハルカの全体重を乗せて、
とてつもない破壊力となって、竹村の顔面に撃ち落とされた!
「あぁ、本気だぁ?この状態から何ができるっていうんだ。強がりもたいがいにしな。」
「その手を放しなさい!」
ハルカは足を掴んでいる部員の手を簡単に振りほどく。
驚異のジャンプ力を誇るハルカの脚力の前では、ボクサーの腕力など及ぶべくもない。
「もう手遅れだ!食らえ!」
竹村の右ストレートがハルカの顔面を襲う。
ハルカはしゃがみこんでそのパンチをよける。そして
「レシーーーブ!!」
といいながら、手をレシーブの形に構え、そのまま竹村の顔面に向けて思いっきり振り上げた!
バキーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
両こぶしで振り上げたレシーブ式アッパーは、ボクシングのアッパーの2倍の威力で竹村に襲いかかる!
竹村の体が前のめりに倒れかける。
ハルカはふたたびしゃがみこみ、今度はバレーボールのトスの要領で、両手で竹村の顔面を跳ね上げる。
「トーーーース!!」
バシーーーーーーー!!!
竹村の顔面が上を向く。もう、まったくガードする体制は作れていない。無防備な状態だ!
ハルカはバレーボールで鍛えた驚異のジャンプ力で思いっきり飛び跳ねた!
「アタッーーーーーーーーーク!!!!」
ハルカのこぶしが、3メートルを超える高さからすさまじく加速されたこぶしが、ハルカの全体重を乗せて、
とてつもない破壊力となって、竹村の顔面に撃ち落とされた!
バキィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンン!!!!!!!!
リングサイドから見上げていた男子部員には、照明に照らされながら上空から落ちてくるハルカの姿が
まるで雷のように見えた。
まるで雷のように見えた。
雷が大木を直撃した!
ぐしゃぁぁぁ!!
竹村は文字通り雷に打たれたように、その場に膝から崩れ落ち、両手や首は力なくキャンパスへ横たわった。
当分起き上がれないであろう。命の危険すら感じる、完全失神KOだった!
当分起き上がれないであろう。命の危険すら感じる、完全失神KOだった!
ハルカは残り2人のボクシング部員をリング上から見下ろす。
「まだやるの?やるんだったらリングに上がって。」
しかし、今まで見たこともない凄惨なKO劇を見せつけられた2人は、恐怖に足が震えていた。
目の前の女は、自分たちの雲の上の存在である竹村を、畏怖の対象であった竹村を、完膚なきまでに叩きのめした。
たとえ2人掛かりであっても、とてもではないが、向かっていく勇気を持つことは出来ない。
「い、いえ。やりません。やりません!僕らの負けです。すいませんでした。
どうか、どうか許して下さい。」
真っ青な顔をしてハルカに許しを請う。
「もう2度とこんな真似しない?また同じような事をしたらその時は。わかってるわよね。」
「はい!絶対にやりません。2度とこんなバカな真似はしません。神に誓います。
すいませんでした!本当にすいませんでした!」
土下座せんばかりに深々と頭を下げる。
「まだやるの?やるんだったらリングに上がって。」
しかし、今まで見たこともない凄惨なKO劇を見せつけられた2人は、恐怖に足が震えていた。
目の前の女は、自分たちの雲の上の存在である竹村を、畏怖の対象であった竹村を、完膚なきまでに叩きのめした。
たとえ2人掛かりであっても、とてもではないが、向かっていく勇気を持つことは出来ない。
「い、いえ。やりません。やりません!僕らの負けです。すいませんでした。
どうか、どうか許して下さい。」
真っ青な顔をしてハルカに許しを請う。
「もう2度とこんな真似しない?また同じような事をしたらその時は。わかってるわよね。」
「はい!絶対にやりません。2度とこんなバカな真似はしません。神に誓います。
すいませんでした!本当にすいませんでした!」
土下座せんばかりに深々と頭を下げる。
ハルカは無言でリングを降り、出口へと向かった。
と、何かを思い出したように振り返り、声をかける。
「ねえ。」
「はっ、はい!」
直立不動で返事をする2人。やっぱり許してもらえないのか、俺らも制裁を受けることになるのか。
恐怖で震える2人に対し、ハルカの掛けた言葉は意外なものだった。
と、何かを思い出したように振り返り、声をかける。
「ねえ。」
「はっ、はい!」
直立不動で返事をする2人。やっぱり許してもらえないのか、俺らも制裁を受けることになるのか。
恐怖で震える2人に対し、ハルカの掛けた言葉は意外なものだった。
「竹村さんと加藤さん、早くお医者さんに見せてあげて下さいね。」
「ハルカ~どこ行ってたのよ?もう休憩終わってるよ!」
「ごめん、ごめ~ん」
ハルカはコートを見る。メンバーみんなが元気に飛び跳ねては、アタック、レシーブを繰り返している。
やっぱりこれだ。バレーボールはこうじゃなくっちゃ。
殴ったり、殴られたりとかそんなの大っ嫌い。
もう2度と、バレーボールの技で人を傷つけたりなんかしない。絶対に。
みんなが笑顔になれる楽しいスポーツ。それがバレーボールなんだから。
「ごめん、ごめ~ん」
ハルカはコートを見る。メンバーみんなが元気に飛び跳ねては、アタック、レシーブを繰り返している。
やっぱりこれだ。バレーボールはこうじゃなくっちゃ。
殴ったり、殴られたりとかそんなの大っ嫌い。
もう2度と、バレーボールの技で人を傷つけたりなんかしない。絶対に。
みんなが笑顔になれる楽しいスポーツ。それがバレーボールなんだから。
「ちょっとハルカ、なにニヤニヤしてるのよ。なんか良いことでもあった?」
ハルカは澄み切った笑顔を浮かべてこう言った。
「先輩 やっぱりバレーボールって最高ですね!」
「先輩 やっぱりバレーボールって最高ですね!」
バレーボール編 完