XXXX年2月某日。深夜3時。
雪の吹きすさぶ北海道の山岳地帯。
2人の兵士が、猛烈なスピードで
険しい山道を駆け上がる。
険しい山道を駆け上がる。
山頂付近にある日本軍の基地を目指す
彼らは、世界を蹂躙する帝国軍の暗殺部隊。
殺戮のプロフェッショナルである。
彼らは、世界を蹂躙する帝国軍の暗殺部隊。
殺戮のプロフェッショナルである。
月の光を受けて
銀色に輝く肉体は超合金製。
頭脳と直結した高性能CPUと
ナノテクノロジーを駆使した
強力な再生能力を併せ持つ
無敵のサイボーグ兵士。
銀色に輝く肉体は超合金製。
頭脳と直結した高性能CPUと
ナノテクノロジーを駆使した
強力な再生能力を併せ持つ
無敵のサイボーグ兵士。
戦闘準備を控え、男達の頭脳に直接
ターゲットの情報がインプットされる。
ターゲットの情報がインプットされる。
******************************
「一村沙織」
日本軍陸軍少尉 19歳 女性
日本軍陸軍少尉 19歳 女性
- 一子相伝の古流拳法を受け継ぐ、伝説の武術家の末裔。
- 5年前、帝国軍兵士に家族を抹殺されたことをきっかけに軍に志願。
- 入隊後、日本軍でも浸透しつつある肉体のサイボーグ化を拒み
生身で戦場に赴く。
- 一週間前、任務遂行中の帝国軍兵士を破壊。
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「誤報だな。人間如きが我々を
破壊できるわけが無い。」
報告を気にも留めず、2人は進む。
破壊できるわけが無い。」
報告を気にも留めず、2人は進む。
山頂付近の森の中。
目的地を間近にして
2人は足を止めた。
目的地を間近にして
2人は足を止めた。
「!!!!」
まるで待ち構えていたかのように
ターゲットがそこに立っていたからだ。
ターゲットがそこに立っていたからだ。
漆黒のロングヘアー。
澄んだ瞳。
背筋をピンと張った優雅な物腰。
澄んだ瞳。
背筋をピンと張った優雅な物腰。
「大和撫子」という言葉がこれ以上
無い程に似合う美貌。
身にまとう薄手のボディスーツによって
その美しい体のラインを
余すことなく見せつけている。
無い程に似合う美貌。
身にまとう薄手のボディスーツによって
その美しい体のラインを
余すことなく見せつけている。
帝国軍兵士の一人。
身長2mを超える巨漢の男が
沙織を見るや否や
瞬時に姿を消す!
身長2mを超える巨漢の男が
沙織を見るや否や
瞬時に姿を消す!
ヒュンっ!
ガシっ!!
ガシっ!!
次の瞬間、男は背後から沙織を
羽交い絞めにしていた。
羽交い絞めにしていた。
ギチギチギチっ!!!
肉体を締め上げる音が響く。
肉体を締め上げる音が響く。
「ふふふ、勝ったぞっ!!!」
白く輝く剣を持った細身の男が宣言する。
白く輝く剣を持った細身の男が宣言する。
「我々暗殺部隊は全員が瞬間移動の能力を持っている。
そして、そいつは元柔道の世界チャンピオン。
100%逃げることは出来んっ!」
そして、そいつは元柔道の世界チャンピオン。
100%逃げることは出来んっ!」
巨漢の男は沙織に自分の肉体を密着させ
荒い吐息を吐く。
「はあっ!はあっ!!はあっ!!!!」
荒い吐息を吐く。
「はあっ!はあっ!!はあっ!!!!」
「ふははははっ!そいつに後ろから
捕まれて、逃れられる者はいないっ!
そして私はこの剣で、音速を超えるスピードで
人を斬る事ができるっ!」
捕まれて、逃れられる者はいないっ!
そして私はこの剣で、音速を超えるスピードで
人を斬る事ができるっ!」
究極のパワーと究極のスピードを持つ2人は
過去に300人以上もの暗殺を成功させてきた。
それゆえに、必勝を疑う余地などなかった。
過去に300人以上もの暗殺を成功させてきた。
それゆえに、必勝を疑う余地などなかった。
「俺は0.001mmの誤差も無く剣筋をコントロールできる。
押さえつけられたお前だけを切ることなど造作も無いぞっ!!!」
押さえつけられたお前だけを切ることなど造作も無いぞっ!!!」
剣を振りかざし、男が襲い掛かる!!!!
「食らええええええっ!!!!!」
目にも留まらぬ斬撃。
目にも留まらぬ斬撃。
シュンっ!!!
ドゴっ!!!!!
ドゴっ!!!!!
風を切る音が周辺に響き渡る。
「くくく・・・・たわいない。
肉体改造も受けていない
ただの人間ごときが、
我々に勝てるはずが無い。
勝てるはずが・・・・な、何っ!???」
肉体改造も受けていない
ただの人間ごときが、
我々に勝てるはずが無い。
勝てるはずが・・・・な、何っ!???」
そこまで言って、男は初めて
自らの刃が、沙織の右手人差し指と中指で
白刃取りされていることに気づく。
自らの刃が、沙織の右手人差し指と中指で
白刃取りされていることに気づく。
「あ・・・あ・・・あ・・・馬鹿な。
お前は身動きが取れないはず
どうしてっ?・・・うううっ!!!」
お前は身動きが取れないはず
どうしてっ?・・・うううっ!!!」
沙織を封じていたはずの巨漢の男は
口から泡を吹き、白目をむいていた。
腹には沙織の肘打ちが
深々と突き刺さっている。
口から泡を吹き、白目をむいていた。
腹には沙織の肘打ちが
深々と突き刺さっている。
「お・・・・お・・・・お・・・・」
グラっ・・・・
巨体がよろめく。
グラっ・・・・
巨体がよろめく。
どごおおおおんっ!!
たったの一撃で、巨漢の男は
その場に仰向けに倒れこんだ。
その場に仰向けに倒れこんだ。
割れた腹から触手が飛び出し
肉体の修復を試みるが、時既に遅し。
慢心に溺れる中、沙織の肘を食らい
男は一撃で気を失っていた。
肉体の修復を試みるが、時既に遅し。
慢心に溺れる中、沙織の肘を食らい
男は一撃で気を失っていた。
「う、うわあああああああっ!!!!!!!!」
細身の男が絶叫しながら姿を消す。
「き、貴様など・・・私の最速剣があれば十分だっ!!!」
細身の男が絶叫しながら姿を消す。
「き、貴様など・・・私の最速剣があれば十分だっ!!!」
しかし沙織は迷うことなく、真横に拳を打つ!
「めえんっ!!!!」
ドギャっ!!!!!!
「めえんっ!!!!」
ドギャっ!!!!!!
「ごぎゃぎゃああっ!!!!!」
右頬にクリーンヒットした一撃で
男は首を180度回転させながら吹き飛ぶ。
右頬にクリーンヒットした一撃で
男は首を180度回転させながら吹き飛ぶ。
ドゴオオオオオオン・・・。
付近の岩に激突。
付近の岩に激突。
「殺気が見え見えよ」
沙織は言い放つ。
沙織は言い放つ。
「いくら人を超えたスピードを
手に入れても、心を鍛えない限り
あなたが勝つことはできない。」
手に入れても、心を鍛えない限り
あなたが勝つことはできない。」
沙織は目をつぶり、精神を集中する。
呼吸を整え、ゆっくりと間合いをつめる。
「む、無駄だっ!俺の目は
相手の脈拍と筋肉の動きを瞬時に分析できる。
貴様の攻撃などあたら・・・・う、ううっ!?」
呼吸を整え、ゆっくりと間合いをつめる。
「む、無駄だっ!俺の目は
相手の脈拍と筋肉の動きを瞬時に分析できる。
貴様の攻撃などあたら・・・・う、ううっ!?」
男は驚愕する。
沙織は間近にいるにも関わらず
一切の殺気が感じられない。
沙織は間近にいるにも関わらず
一切の殺気が感じられない。
「馬鹿なっ!これは・・・無の境地!?
何故だっ!?何故真剣を目の前にして
心を無にできる!!??」
何故だっ!?何故真剣を目の前にして
心を無にできる!!??」
流れるような動きで瞬時に間合いをつめる沙織。
「う・・・動きが・・・読めない・・・・読めない!??
読めないいいいいいいいっ!!!!」
読めないいいいいいいいっ!!!!」
オーバーヒートする頭脳。
ごきゃっ!
無駄の無い動きで顔面を突く!
「ブヒいいっッ!!!」男の面が砕け
鼻が折れ曲がる。
優雅な動作で拳を引く沙織。
鼻が折れ曲がる。
優雅な動作で拳を引く沙織。
「か、顔か・・・・?つ、つ、次も顔かっ!?」
男は必死に顔を剣でガードする。
しかし、今度はがら空きの腹に
強烈なボディブローが炸裂する。
男は必死に顔を剣でガードする。
しかし、今度はがら空きの腹に
強烈なボディブローが炸裂する。
「ごぎゃっ!!ゴホっゴホっ!!!」
男は泣き出しながらパニック状態となる
「ど、どっちだ・・・・どっちだあああああぁつ!!!!???・」
「ど、どっちだ・・・・どっちだあああああぁつ!!!!???・」
「セイっ!セイっ!セイっ!」
ドンっ!ドンっ!ドンっ!
間髪いれずの中段突き3連打がヒットし
男はむせかえる。
ドンっ!ドンっ!ドンっ!
間髪いれずの中段突き3連打がヒットし
男はむせかえる。
「ゲボっ!!!ゲホっおおお!げほおおっ!!オブっ・・・・」
「う、う、上かっ、下かっ!?!?!
顔かっ・・・腹かっ!????
どこだ・・・どこだああああ!!???」
顔かっ・・・腹かっ!????
どこだ・・・どこだああああ!!???」
周囲に悪臭が漂う。男の精神が壊れ
糞尿を垂れ流し始めたのだ。
赤ん坊のようにただ泣き叫び、剣を振り回す。
糞尿を垂れ流し始めたのだ。
赤ん坊のようにただ泣き叫び、剣を振り回す。
「くるな・・・くるなああああああっ!!!!!」
ズドむっ!ズドむっ!ズドんっ!!
上段、中段、下段。縦横無尽に男を貫く拳の雨。
上段、中段、下段。縦横無尽に男を貫く拳の雨。
「はひ・・・ハヒぃ・・・・ハヒいいいいっ!!!」
プシュウウウ・・・・
処理能力の限界を超えた事態に
脳内のコンピュータが暴走を始め
体中の回路がショートする!
処理能力の限界を超えた事態に
脳内のコンピュータが暴走を始め
体中の回路がショートする!
ボンっ!!!!!
やがて爆発音と共に男は発火しはじめた。
「あ、熱い・・・熱いイイイイイイイっ!た、助けてっ!!
たしゅけてくれえええええええええっ!!!!!!!!!!」
「あ、熱い・・・熱いイイイイイイイっ!た、助けてっ!!
たしゅけてくれえええええええええっ!!!!!!!!!!」
全身を炎に焼かれながらも、その再生能力のために
永遠の苦しみを味わう恐怖に襲われる。
永遠の苦しみを味わう恐怖に襲われる。
沙織は炎の塊となった相手に向かい、拳を構えた。
それは慈悲の拳。
苦痛と共に滅び行く者への
せめてもの情けであった。
それは慈悲の拳。
苦痛と共に滅び行く者への
せめてもの情けであった。
「せいっ!!」
ボウっ!!!
ボウっ!!!
拳と炎が一体となり、男を貫きながら焼き尽くす!
「ぎぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああっ!!!!!!」
ああああああああああああああああああああ
ああああああああああっ!!!!!!」
男の心臓部が爆発し、粉々に砕け散った。
沙織は灰と化した男へ向かい、一礼をしながら思う。
まだまだ修行が足りない。
もっともっと強くならなくては。
戦いの終わりを告げる朝日に向かって
沙織は誓いを新たにした。
もっともっと強くならなくては。
戦いの終わりを告げる朝日に向かって
沙織は誓いを新たにした。