概要
戦闘に至るまでの背景
▲694年2月における勢力図
リューグ国はこの頃、
シャリアル国への侵攻を計画していた。
まずは大した守備兵のいない
ラケイト城を2月に陥落させ、続いて本命である
エルキバーナ城を目指すが、その先陣に名乗りを上げたのは
アルファーであった。
アルファーはまだ若く、当時内政官として出世していた兄
レスフェスの口添えで将軍になれたと日頃から言われていたこともあり、手柄を上げる機会をひたすら待ち続けていた。
その意気を買って
アルファーに先陣を命じた
ライグだが、与えた兵数は少なく、本心から信頼していたわけではいなかった。
両軍の戦力
戦闘経緯
4月16日、手柄を焦って進軍しすぎた
アルファーの部隊は、本隊との距離が開き過ぎ孤立する。
そこを
リガード、
リッシンバー待ち伏せにあい交戦状態となり、兵数も少ない上に
ゾゥドの伏兵部隊に退路も遮断され、
アルファーは散々に打ちのめされた。
なお、後世の創作である
鳳龍伝では、この時各地を転戦していた傭兵の
シュウが、
アルファーに一目ぼれして救援に駆けつけ、以後は共に行動することになるが、今回は史実に重きを置き、彼についてはこれ以上は触れない。
そんな中、一人不敵な笑みを浮かべるのが、いずれは自らの手で天下を狙おうとしている
ベルザウスであった。
彼にとってこの戦いは、なるべく
ライグの無能さを内外に知らせ、その上で自分個人は手柄を上げるという難しい役所であった。
軍議の結果、
ライグは初戦の敗戦を気にすることなく全軍を押し上げ、
エルキバーナ城を攻撃することとしたが、この戦いに動員された
リューグ国の兵力は約16万、
ライグの器には荷が重すぎる大兵力であった。
4月25日の決戦で
ライグは真正面からの力押しを敢行するが、後方の森に伏兵の動きを察知すると、4万の軍勢を後方に回す。
その報告を聞いた
ベルザウスは、本陣の敗退を予期して、自らの軍勢を密かに移動させた。
ライグは、後方の囮の伏兵を
ソプラナ部隊に任せようとしたが、本陣直属部隊を決戦から外す度胸はなく、かといってこれまで武功のない
ベルザウス、先日の前哨戦で敗北した
アルファーに任せることもできず、誰を信頼してよいのかわからなくなり、結局自分の軍勢を裂き本陣を手薄にしていた為、この強襲により自分自身を危機に陥れてしまう。
しかし、この混戦の中、自らの命を捨てて
シャリアル国軍を食い止めた
バロゥド、神出鬼没の働きを見せほぼ無傷で敵軍を混乱させ、一気にその名を轟かせた
ベルザウス、そして汚名返上の為に必死に戦った
アルファー部隊の活躍によって、
ライグは無事撤退に成功する。
また、
シリナは味方の撤退を見届けたあと、狭い地形を利用して自分の部隊だけで布陣して踏みとどまり、
シャリアル国軍の追撃をそれ以上許さなかった。
戦いの結末
結局、
リューグ国は大軍を擁しながら大敗を喫した。
この所
独眼竜ルーディアに苦汁を飲まされ続けていた
シャリアル国だが、まだ天下統一を狙う本命国の一つであることを内外に示した一戦であった。
対して
ライグは、身に余る大軍を指揮しようとした結果兵を無駄死にさせたと噂され、対照的にこの戦いで
ベルザウスを頼りにする者が増えていくこととなるが、これは勿論
ベルザウス自身がそういう噂を流させたこともある。
最終更新:2024年07月21日 19:21