概要

ルバークの乱とは、アルファ697年、蜉蝣時代の中でロードレア国内で勃発した反乱事件のことである。


背景


▲696年10月における勢力図

ロードレア国軍は、エスデリアの戦いにおいてロッド国との決戦に勝利し、更にその侵攻を進めようとしていた。

だが、それを遥か彼方から見つめるベルザフィリス国。
独眼竜ルーディアは、この時宿敵であるアル国との決着をつけるべく、開国以来最大規模となる北伐を計画していたが、アル国の先に存在するロッド国がここでロードレア国に併合されるのは、ベルザフィリス国にとっても好ましいことではなかった。

ロードレア国との決着をつける力はまだないと自覚しているルーディアは、間にロッド国という緩衝材を挟んでおきたかった為、軍師ディルセアが、ロッド国のためではなく、ベルザフィリス国のために密かに動き始めていた。


ルバークの乱

ディルセアロードレア国に対して打った手は、レイディックの実弟アイルを動かす事であった。
レイディックは、幼い頃から国主となる修行をするために森の賢人といわれるエルラディースの元へ預けられていた。
その間、アイルは太子としてなに不自由なく育てられ、少年時代から自由に歩き回っていたロードレア城は、当然将来は自分のものになると思っていた。
だが、修行を終えその才能を認められた、ほとんど顔も見たことがない兄レイディックが帰還すると同時に国主の座を受け継ぎ、アイルは兄を恨みながら辺境の小城の城主に甘んじていた。

以後、辺境の地で独自に派閥を作りながらも毎日を悶々と過ごしていたが、ディルセアの誘いにより、レイディックが主力を引き連れてロッド国へ遠征しているこの時にロードレア本国のルバーク城を占拠し、自らが国主になるという野望によりルバークの乱を起こした。

1月13日、予期せぬ内部からの挙兵によりルバーク城は陥落し、レイディックの妻サファリアは人質となった。
反乱に加担した将の中にアイルの養育を務めていたバグゼスもいたが、彼は後先を全く考えていないこの反乱の失敗を予期し、早くから亡命の準備をしていたという。

この反乱により、ロードレア国の主力軍を帰国させるというベルザフィリス国の目論みは成功し、それによりロッド国は首の皮一枚で滅亡から救われた。
ロッド国への備えとしてアレスを総指揮官とした牽制部隊を残し、レイディック本人はヴェリアバイアラスを引き連れて本国へ帰還。
その帰途、あまりにもタイミングのよいこの反乱劇に、ヴェリアベルザフィリス国の影を感じる。
結果的にその考えはあたっていたのだが、彼は明確な証拠に基づいて発言したのではなく、自分が相手の立場ならそうするという状況証拠のみの発言であった。

1月15日、バグゼスの監視の下、女官がサファリアに食事を運ぶが、そこで彼が目にした光景は自害したサファリアの亡骸であった。
人質となりレイディックの足手まといとなることを避けたいと考えた彼女の壮絶な最期であった。
この瞬間、怒りに狂ったレイディックがこの城へ攻め込む姿を想像したバグゼスは、アイルを見限って城が包囲されるより前に脱出、ロー・レアルス国へ亡命した。

1月22日、ルバーク城に放った密偵がレイディックの元に戻り、サファリアの死が告げられた。
レイディックは、待機させていたバイアラス部隊を下げ、自らの手で弟と決着をつけるべく自分の部隊のみでルバーク城へ攻め込む。

2月7日、元々サファリアという人質を頼みにしての篭城であったアイル軍にはそれほどの兵力は存在せず、数日は持ちこたえたものの、13日に城門は突破され、レイディック自らが切り込み城はあっという間に奪還される。
その戦いの中、覚悟を決めたアイルレイディックに斬りかかるが、実戦を潜り抜けた兄の敵ではなく返り討ちとなる。
最後の足掻きとして妻の死をあざ笑うアイルレイディックは怒りのまま切り刻み、一族を連座処刑、アイルの亡骸を諸将の間に晒した。

ロッド国の捕虜に対する処遇に続いてのこの仕打ちは、それまで戦いが終われば敵であっても手厚く葬っていたレイディックと同一人物とはとても思えないものであり、妹に続いて妻を失った彼の慈悲の心は完全に失われ、野望と復讐に燃える鬼神のみがそこに存在していた。


メフェルディネ黒幕説

近年になって、それまでは反乱に巻き込まれて連座処刑された悲劇の女として描かれていたアイルの妻メフェルディネが、実は反乱に際して大きな役割を負っていたのではないかと言う説が出ている。
才女であった彼女は、自身も将軍として栄達の道を進みたかったが、父の妨害によって頓挫している。
その為、自身の夢をアイルに託し、彼をより高い地位につけるためにもこの反乱の後押しをしたという説である。
また、ルバークの乱ではメフェルディネの実家や周辺の一部豪族がアイルによる反乱を全面的に支援しており、それまでの通説であった「アイルの反乱に巻き込まれて連座処刑された」という悲劇の女性から、反乱に加担した一族であるという事実が強調されるようになった。


関連項目



最終更新:2024年06月30日 03:51