概要
背景
▲696年10月における勢力図
ルバークの乱
ディルセアが
ロードレア国に対して打った手は、
レイディックの実弟
アイルを動かす事であった。
レイディックは、幼い頃から国主となる修行をするために森の賢人といわれる
エルラディースの元へ預けられていた。
その間、
アイルは太子としてなに不自由なく育てられ、少年時代から自由に歩き回っていた
ロードレア城は、当然将来は自分のものになると思っていた。
だが、修行を終えその才能を認められた、ほとんど顔も見たことがない兄
レイディックが帰還すると同時に国主の座を受け継ぎ、
アイルは兄を恨みながら辺境の小城の城主に甘んじていた。
以後、辺境の地で独自に派閥を作りながらも毎日を悶々と過ごしていたが、
ディルセアの誘いにより、
レイディックが主力を引き連れて
ロッド国へ遠征しているこの時に
ロードレア本国の
ルバーク城を占拠し、自らが国主になるという野望によりルバークの乱を起こした。
1月13日、予期せぬ内部からの挙兵により
ルバーク城は陥落し、
レイディックの妻
サファリアは人質となった。
反乱に加担した将の中に
アイルの養育を務めていた
バグゼスもいたが、彼は後先を全く考えていないこの反乱の失敗を予期し、早くから亡命の準備をしていたという。
この反乱により、
ロードレア国の主力軍を帰国させるという
ベルザフィリス国の目論みは成功し、それにより
ロッド国は首の皮一枚で滅亡から救われた。
ロッド国への備えとして
アレスを総指揮官とした牽制部隊を残し、
レイディック本人は
ヴェリア、
バイアラスを引き連れて本国へ帰還。
その帰途、あまりにもタイミングのよいこの反乱劇に、
ヴェリアは
ベルザフィリス国の影を感じる。
結果的にその考えはあたっていたのだが、彼は明確な証拠に基づいて発言したのではなく、自分が相手の立場ならそうするという状況証拠のみの発言であった。
2月7日、元々
サファリアという人質を頼みにしての篭城であった
アイル軍にはそれほどの兵力は存在せず、数日は持ちこたえたものの、13日に城門は突破され、
レイディック自らが切り込み城はあっという間に奪還される。
その戦いの中、覚悟を決めた
アイルは
レイディックに斬りかかるが、実戦を潜り抜けた兄の敵ではなく返り討ちとなる。
最後の足掻きとして妻の死をあざ笑う
アイルを
レイディックは怒りのまま切り刻み、一族を連座処刑、
アイルの亡骸を諸将の間に晒した。
ロッド国の捕虜に対する処遇に続いてのこの仕打ちは、それまで戦いが終われば敵であっても手厚く葬っていた
レイディックと同一人物とはとても思えないものであり、妹に続いて妻を失った彼の慈悲の心は完全に失われ、野望と復讐に燃える鬼神のみがそこに存在していた。
メフェルディネ黒幕説
近年になって、それまでは反乱に巻き込まれて連座処刑された悲劇の女として描かれていた
アイルの妻
メフェルディネが、実は反乱に際して大きな役割を負っていたのではないかと言う説が出ている。
才女であった彼女は、自身も将軍として栄達の道を進みたかったが、父の妨害によって頓挫している。
その為、自身の夢を
アイルに託し、彼をより高い地位につけるためにもこの反乱の後押しをしたという説である。
また、ルバークの乱では
メフェルディネの実家や周辺の一部豪族が
アイルによる反乱を全面的に支援しており、それまでの通説であった「
アイルの反乱に巻き込まれて連座処刑された」という悲劇の女性から、反乱に加担した一族であるという事実が強調されるようになった。
関連項目
最終更新:2024年06月30日 03:51