概要
戦闘に至るまでの背景
▲696年10月における勢力図
季節は冬を迎え、元々雪深い地であった
エスデリア平原は、決戦数日前から雪に覆われていた。
両軍の戦力
戦闘経緯
出陣前、
リヴァイルシアは「俺は
レイディックといつまでも親友としていたかった。だが、こうなった以上は俺の手で奴を討つ」と独り言を漏らしたという。
戦乱という時代は、かつて酒を飲み交わした二人を、敵同士としてこの地で対陣させることとなる。
ギザイアは、可能な限りの情報操作を行って「
ロードレア国軍が国内に侵入すれば、あらゆる街は焼かれ、略奪の憂き目にあう」と触れ回った。
その効果もあり、
ロッド国軍は兵力では負けていたが、国を守るという堅い意思の元、兵の士気は天を突く勢いであった。
こうして
ギザイアは、士気が高いうちに短期決戦で勝利を掴むべく作戦をたてる。
しかし、兵の士気の高さは、
ラディアの敵討ちに燃える
バイアラス隊も同じであった。
ロッド国の猛将
ボルドは、戦局を一気に有利にするため、戦端が開くと同時に早い段階で
バイアラスに一騎打ちを挑み、これに勝利してその勢いに乗ろうとするが、武運拙く返り討ちとなる。
かつて
アル国の
ザグルスとも渡り合った
ロッド国一の猛将
ボルドが真っ先に討たれたことで、
ロッド国軍は早々に崩壊するかと思われたが、
レア、
ミルナスの冷静、というより二者の性格から、他の部隊のことなどまったく意に介さない指揮ぶりから、大崩れすることはなかった。
しかし、その間に密かに移動した
ヴェリア部隊が用意していた策に入る。
グルファ城では
アレスが岩石を使ったが、今度は雪玉であった。
既に決戦の数日前に密かに工作部隊に準備させていた
ヴェリアは、坂道を利用して次々と
ギザイアの陣に人の大きさくらいある雪玉を落としていく。
だが、雪玉が陣地に降り注いだ所で、一瞬混乱するにすぎない。
ギザイアは、この様な児戯で本気で軍勢を潰そうと思っているのかと一瞬
ヴェリアを嘲笑するが、すぐさま冷徹な判断力を取り戻すと、雪玉を自らの剣で真っ二つに割った。
そこで彼が見たのは、雪玉の中に木箱で覆われた火薬であった。
彼が
ヴェリアの真に目的に気付き、撤退命令を出すよりも早く、雪玉は一斉に爆発し、雪原を溶かしながら、兵士達を炎に飲み込んでいった。
自分たちが優勢だと信じていた前線部隊は、突如として後方の軍師の陣に火柱があがり煙が出たことに混乱する。
後方に相当な数の別動隊が現れたのではないか、既に本陣も軍師の陣も壊滅して、退路を断たれたのではないかと思った
ロッド国軍は、それまでの前進だけを考えていた動きが乱れはじめる。
その瞬間を狙い、
ロードレア国軍は
アレスの指示のもと、一気に攻勢に出た。
勢いを頼みに前線で押していた各部隊は、絶妙なタイミングで投入された後続部隊の前に、それぞれが同時に複数の部隊を相手にすることとなり、気勢をそがれて押し戻されていく。
士気の高さを利用して、一気に攻勢を仕掛けて押し切るという基本戦術であった
ロッド国軍は、ここが限界と悟り、
ギザイアの進言により、
リヴァイルシアは素早く軍勢を撤退させる。
ギザイアは、勝利の策を考えると同時に既に敗北した時の事も考えており、撤退する街道に何段階も伏兵を用意して、追撃する
ロードレア国軍に奇襲を仕掛けることで足止めし、それほどの被害を出さずに主力部隊を撤退させた。
だが、前線に取り残された
レアと、
ボルド部隊の敗残兵は、戦場から脱出できずにそのまま
ロードレア国に降伏する。
狂い始める歯車
なお、この突然の捕虜虐殺には一つの背景がある。
捕虜となった兵士の一人が、自分だけ助かろうと「実はあの時
ラディアに毒矢を放った兵士が、この部隊にいる」と進言した。
これを聞いた
レイディックは、実行犯を探そうとするが、最初から虚偽だったことから、当然犯人が見つかることはなく、多くの兵士が自分だけ助かろうと他人を売る発言を重ねた。
舞姫散華から二年がたっていたこともあり、ある程度冷静さを取り戻していた
レイディックだが、
アリガル暗殺の件と、兵士たちの二転三転する言動に再び怒りが沸き起こり、ついに
アルヴァドスに捕虜を生き埋めにする様に命じることとなる。
アルヴァドスは、この後何度も、雪原から蘇る兵士に責められるという悪夢を見る様になったという。
戦いの結末
最終更新:2024年07月20日 02:45