概要
戦闘に至るまでの背景
▲698年8月における勢力図
今回の遠征はそこまで本格的な大兵力を率いているわけではなく、あくまでも辺境地帯の奪取にあった為、本来ならばこの時点で目的を達成した両軍は、深入りを避けて本国へと帰還する筈であったが、
ベルザフィリス国の猛将
デイロードは、このまま大きな戦いをすることもなく撤退することに不満を持ち、せめて一戦を交えなければ引き返せないと、指揮官である
スタンスを無視して独断で軍勢を前進させる。
彼は元々
スタンスのことを「たまたま自分より先に仕官していただけの男」と認めておらず、今回の派遣が本国から遠く離れたことをいいことに、独断専行が特に目立っていた。
ギザイアが策略をもって両国を同士討ちさせたという説もあるが、これが本当に彼の策略なのか、偶然の事故だったのか、その真相は謎である。
どちらにしても、
ベルザフィリス国の
デイロードと
レガードは、持ち前の性格もあり、指揮官を無視して独断で動いた結果の遭遇戦であったことだけは確かである。
両軍の戦力
戦闘経緯
デイロードの独断専行を制御できなかった
スタンスだが、実際に戦端が開かれた以上無視するわけにもいかず、全軍を展開した。
レガード、
デイロードの猛攻はすさまじく、
ロードレア国軍の前線はおされていくが、
シルヴァスは敵の前衛の猛攻が、所詮は猪突に過ぎないことを見破ると、第二陣に槍衾を用意させ、第一陣を後退させて追撃してきた部隊を一気に撃退する。
更に自ら最前線に突入すると、混戦状態を作り上げ、
デイロード部隊を大きく押し返す。
メネヴァ部隊も
レガードを撃退するが、この二人が後退したことで冷静さを取り戻した
ベルザフィリス国軍は、霧が晴れたこともあり、ここでようやく相手が
ロードレア国軍だということに気付き、急いで全軍を撤退させていった。
戦いの結末
ロードレア国と正面から戦うことを避けていた
ベルザフィリス国にとって、この戦いは勝敗よりも今後の両国の関係性について大きな悩みの種となった。
ディルセアは、すぐさま
ロードレア国に今回の戦いが不幸な事故であったことを記した書状を送り、交戦の意志がないことを示すと、
ヴェリアの新国主就任に対しての祝いと称して黄紫水晶を贈った。
二色からなるこの宝石は、「いずれあなたの色に染まります」という意味を持ち、主従完成にある国にのみ贈られる特殊な貢ぎ物であった。
これらの対処により、
ロードレア国との開戦はひとまず凌げた
ベルザフィリス国。
両国が本格的に激突するのは、この数年後のこととなる。
なお、後年になって、あの時本気で
ロードレア国に臣従するつもりだったのか?と聞かれた
ディルセアは、「いずれっていうのは明日か?100年後か?」と笑って答えたという。
また、この時の失態を
ガイヴェルドに叱責されたことが、後年の
デイロードの反乱の原因ともいわれている。
最終更新:2024年08月19日 20:02