概要
戦闘に至るまでの背景
▲696年10月における勢力図
だが、組織とは人が増えれば増えるほど綻びやすい。
徹底した実力主義により人材を集めた
ベルザフィリス国においてもそれは例外ではなかった。
この時点ではまだ芽が出たに過ぎないが、この頃から
ベルザフィリス国の中核を担う「
五舞将」に多少の派閥ができつつあった。
ガイヴェルド、
ヴィルガスの「
ベルザフィリス国」に忠誠を誓う者と、
デイロード、
シレンの「
独眼竜ルーディア個人」に忠誠を誓う者の間に多少の考え方のずれが生じていたのである。
だが、
ラゴベザスがその両者と親交を持ち、
五舞将が分裂しない中和の役割を務めていたこと、そして何よりも勝っている時はその様な問題が形として見えないことからこの時点では誰も気に留めていなかった。
事実、
五舞将にしても、決して不仲というわけではなく、時には酒宴を重ねながらこの遠征でも共に協力して
アル国との連戦に勝利をし続けていた。
1月24日、ついに
アル国は、国主
ザグルス自らが軍勢を率い、
ベルザフィリス国との決着をつけるべく出陣した。
相手を領土深くまで誘い込んで退路を断ち撃破するの作戦は、遠征軍に対しての常套手段であったが、
アル国においては、計算しての行動という訳ではなく、本当に領土深くまで一方的な侵攻を許しているだけであった。
そこまで一方的な進軍を許したのは、国主
ザグルスの暴政に苦しんでいた
アル国領民にとって、
ベルザフィリス国軍は「解放軍」に見えた為、彼らを歓呼の声で出迎え、各地の守備隊はもはや戦わずして
ベルザフィリス国に降伏していた為である。
忠臣を遠ざけ、自分を煽てる奸臣のみを周囲に置いていた
ザグルスにこの様な事実を伝える者がいなかった為、
ザグルスはこの時はじめて前線の実情を知り、怒りくるって全軍に出陣を命じた。
こうして全軍は最大にして最後の決戦、ル・ヴァラヴァ・ザードの戦いへと赴く。
両軍の戦力
戦闘経緯
アル国は各地の軍勢を集結させた事もあり、数こそ大差はなかったが、既に軍勢としての機能は失われていた。
兵の士気も低く、ここにきても
フィッツ達優将の意見を聞き入れない
ザグルス。
すでに
ベルザフィリス国と内通していた
ルーザ将軍が、これらの内情をすべて
ベルザフィリス国に伝え、決戦がはじまったら反乱を起こす約束まで交わすが、事前に発覚して処刑される事件が起きる。
この時の
ザグルスの怒りは凄まじく、本国に伝令を送り
ルーザの家族を全員処刑させ、
ルーザ本人は生きたまま両目をくりぬき、
ベルザフィリス国陣へ向けて歩かせたが、途中で力尽きて絶命すると、その五体を切り裂いて裏切り者の末路として諸将に見せしめのため晒した。
戦いは最終局面へと向かい、自分たちが追い詰められていることを最後まで認めなかった
バドンも討たれる。
そして、
レディナス戦死の報告を聞いたとき、
ザグルスは全ての終わりをようやく覚悟し、
ルーディアを道連れにするべく、
ベルザフィリス国本陣に向かって壮絶な特攻を仕掛ける。
しかし、その刃が
独眼竜に届くわけもなく、全身に矢を受け、
アル国を牛耳った暴君も最期を遂げた。
この戦いで
アル国の将は、主だった者で25名が戦死、13名が捕虜となり、そのうち
レガードを含む9名は説得に応じて
ベルザフィリス国に帰順、4名は説得に耳を傾けず処刑を望んだ。
その4名の中に
フィッツの姿があった。
ルーディアは、彼の才を惜しんで自ら説得に赴いたが、
フィッツはこれを拒絶、自分の策がとりあげられていたら立場は逆だったと語る
フィッツに対して、
ルーディアはそれがどの様な策だったか興味を持ち、
フィッツから聞こうとする。
戦いの結末
ロッド国の南下
ルバス、
ルーファと今後の統治について打ち合わせをしていた
ベルザフィリス国にとっては、まさに電撃的な進軍を受けたこととなる。
ただし、
ロッド国が手に入れた領土の多くが無人地帯ということもあり、
ベルザフィリス国はまずは手に入れた
アル国の統治と人事の再編を優先し、すぐに奪還作戦を立てることはなかった。
最終更新:2024年07月17日 20:09