泥中の追憶、友達の資格 [??? ニュクス ЯiN]

???-> ―――― 誰かの夢を見ている。
???->  自らの生は望まれなかったんだと、自虐でも逃竄でもなく、ただただ、客観的にそう感じた。
???->  私は、生まれるべきではなかった。
???-> ―― 幼い記憶は殆ど飛んでしまっている。娼館の雑用で、飯も殆ど無く、八つ当たりに暴力を振るわれた。
???->  それでも、笑わないともっと酷い目に遭わされた。
???-> ―― 娼館の顛末は覚えていない。じきに、次の主が決まった。
???->  次の主は酷く倒錯していて、愛想笑いをすると酷く暴力を振るわれた。
???->  目に入っただけでも理不尽にあう。そうやって同じ孤児達が死んでいく。
???->  感情を殺して、気配を殺して、仕事はこなすようにした。それ以外に生き残る術が無かった。
???-> ―――― これは誰かの夢。蕩い惑う、誰かの胡蝶。
???-> ―― その主も死んだ。次の主は、その主を殺した人だった。
???->  一番判りやすい主だった。歪んだ性癖持ちで、同じ身なりの男女の子らが大勢居た。
???->  いたずらに■■■して衰弱していく子を見る。何もできないならそれしか価値が無かった。
???->   気に入られるには、答えはわかりやすかった。
???-> ―― 黙っていれば、笑っていれば、楽しませていれば、相手にあわせていれば
???->  それだけで、歪んだ醜い幸福が手に入る。人生を矯正するのに理由は要らなかった。
???->  死にたくはなかった。
???->  できれば幸せになりたかった。
???->  報われると思っていた。
???->  しかしそれも、人生の機嫌ひとつで左右される。
???-> ―― 試みては拒絶され、拒絶されては試みる。磨耗していく。
???->  これ以上成長すればお払い箱だと知った夜には、館を逃げ出していた。
???->  どうしてこうなったのか、震えながら噛み締めた。
???->  耐えて、繕って、改善して、自らの全てを注ぎこんだが、何にもならなかった。
???-> ―― ■■■だけが欲しかった。 しかし、それが手に入らない。
???->  地下生活が始まったが、分け合うほどの資産もない。同じ境遇の者達は決して良い顔はしない。
???->  媚びへつらい、弱いふり、騙しうち、何でもした。
???->  気の合う子も、死活が見えるとすぐに裏切られる。そういう世界だった。
???-> ―― ■■■が見えない。
???->  手に取ろうとすると零れ落ちる。握ろうとすると指の間から落ちる。
???->  飲み干す前に霧散するそれを、何度も繰り返したが、結果は出なかった。
???->  這い蹲り、砂を舐め、岩にかじりついても、ただただ、無力で無益。
???-> ―― 自らの生は望まれなかったんだと、自虐でも逃竄でもなく、ただただ、客観的にそう感じた。
???->  自らが必要とされない事。相手のために全てを投げ出す事。自らを殺すこと。
???->  何度かの騙し打ち。――いつのまにか、随分と便利な力が備わっていた。
???-> 絶望と同時に希望を見た。こうやって生きろという教示だと感じた。
???->  初めから自分など無い。綺麗に見せれば泥では無い。
???-> ――力を買われて組織に入ったのは、ほどなくしてだった。
???-> ―― しかし ■■■ が 手に入るわけではない。
???-> ―― いつ嫌われるか判らない。
???-> ―― 初めから■■■など持たず、見せかけでいくつも持っておけばいい。
???-> ―― 泥麗と呼ばれた滑稽なイキモノは、いつしか、違う呼ばれ方をするようになる。
???-> ―――― これは誰かが見る、誰かの夢。
???-> ―――― 誰かが見せる、誰かの悪戯夢。



ニュクスさんが入室しました
ニュクス-> (車椅子の少女が、喫茶にやってくる 出迎えてくれる、橙色の髪のメイドはいない
ニュクス-> …(テラスの席に車椅子を横付けして、広場を見遣る
ニュクス-> …つまらないわ。ミア、どこにいるの。
リンさんが入室しました
リン-> (ひょこっと現れるキャスケット帽
リン-> 、こんにちは(サングラス越しにニュクスに微笑む
ニュクス-> あら、
ニュクス-> こんにちは!あなたは、だぁれ?
リン-> 私はリン。ちょっと人探しーみたいな?
ニュクス-> そう、私は…
ニュクス-> ニュクスよ。私も、ちょっと人探し中かも。
リン-> 、そうなんだ? 待ち合わせってことかな
ニュクス-> そんなところ、かも。…待ち合わせっていうのも、少しおかしい気もするわ。
ニュクス-> きっと向こうは、私のことは待ってはいないもの。
リン-> …、そうなの?(伺うように
ニュクス-> そうよ。私は、きっと誰にも待たれてはいない。
リン-> そ、っか…… ほんとに、そうなのかな。。。
ニュクス-> …。わからないわ。私には、わからないことだらけよ。
リン-> ニュクスさんは…待っていて欲しい?
ニュクス-> …。わからないわ。いえ、…“わからない”わ。
ニュクス-> 私は待っていて欲しいと思っていたけれど。
ニュクス-> それが本当の私の気持ちか、わからない。
リン-> …複雑、なのかな。
ニュクス-> わからないわ。でも、きっと私が、面倒なだけよ(苦笑いして
リン-> ……、
ニュクス-> 私のことは気にしないで、リン。しばらく、こうしているだけだから。
リン-> ……
リン-> …こうやって一人で居るとね。お茶を淹れてくれる店員さんがいるの。
リン-> …たまにクッキーとかもくれたりして。
ニュクス-> …。
リン-> 喋るとイジワルさんなんだけど、実はけっこー優しかったりして
リン-> (柵に頬杖ついて)でも、居なくなっちゃった。
ニュクス-> さみしいわ、リン。
リン-> ニュクス、さん?
ニュクス-> 私にも、そういう人がいてほしい。
リン-> …………
リン-> 見つかるよ、きっと(サングラスをしまって、振り向く
リン-> ま、まぁ 根拠なんて無いんだけど!
リン-> でも実際、私がそうだったし。ね?(笑って
ニュクス-> 優しいのね、リンは。あなたは、この喫茶の人っぽくないのに。
リン-> あ、はは…それは言えてるかも(苦笑気味に
ニュクス-> ……私、わからないことだらけなの。
リン-> …、うん。
ニュクス-> でも、求めることは悪くないのね、リン。
リン-> 相手に? …うん、悪く無いと思うよ?
ニュクス-> そう、なら、少し安心したわ。…待ち人がいないことには、変わりないのだけれど。
リン-> でも、人探ししてたんでしょ?
ニュクス-> していたわ。でも、探しに行くわけじゃなくて、待つだけなの。
リン-> …、そっか。 探しに行くのは、ちょっと大変、なのかな(車椅子見遣って
ニュクス-> そうね、大変だわ。どこにいるかわからない人を探しに向かうのは、特に。
リン-> …その人、名前訊いても?
ニュクス-> ミアよ。私の、最初の友達。
リン-> 、、
リン-> その人だよ、クッキーくれる店員さん(微笑んで
ニュクス-> そうなの?奇遇なのね。でも、居なくなっちゃったって…
リン-> 、うん。
リン-> 、ちょっと待っててね(言って店内へ
リン-> (すぐに戻ってきて、手元にはメモ
リン-> …これ。
ニュクス-> これは?
リン-> (テスラが残した例のメモ
ニュクス-> ……。
リン-> もっと大きい書き置きは店内に張ってあって…何か他の人も行くみたい。
リン-> その、オニールシティに… 私は、行ったこと無いし
ニュクス-> 悔しいわ、リン。…友達がそんな目にあっているというのに
リン-> 何か、できるわけじゃないんだけど…
ニュクス-> 私にできることは無い。私は、ミアの友達ではないのかもしれないわ。
リン-> …、それなら、私も友達失格なのかな(力無く笑って
ニュクス-> “わからない”わ、リン。どうしたら友達でいられるのか。
リン-> 、うーん…どうなのかな。
ニュクス-> (車椅子を押して、テラスを降りる
ニュクス-> でも、たぶん、リンは友達で、私は友達ではいられない。
リン-> …そうなの?
ニュクス-> わからないわ、リン。何故、私がそう思うのか。…さみしさだけが、こみ上げてくる。
ニュクス-> 私のさみしさは、きっと肯定はされない(車椅子が、漕がれて行く 広場を通り、セントラルへ
リン-> ……
ニュクス-> …“わかった”わ、リン。ミアへの私の感情は、きっと私の独り善がりなのよ(霧が出てくる
ニュクス-> (霧にまぎれるようにして、都市へ消えて行く
リン-> …、……
ニュクスさんが退室しました
リン-> …、(スマホを取り出して、少しにらめっこ
リン-> (…私、どうしたらいいんだろう……
リン-> (何か出来るのかな…
リン-> (相談相手に連絡して、待ち合わせ場所へと向かう
リンさんが退室しました

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最終更新:2016年04月20日 05:16