少女が一人、脇目も振らずに駆けている。
血走った目でブツブツと呟く姿は、如何に余裕が無いのかを如実に表しているようだった。
「DIO様…!DIO様…!!」
絶えず口から出るのは、絶対的な忠誠を誓う主の名。
ヴァニラ・アイスが崇める、悪の救世主。
DIOこそが世界を支配するに相応しいただ一人の御方、それがヴァニラにとっては当たり前の認識。
他の有象無象の輩など、己も含めてDIOに支配される為に生きているに過ぎない。
そう思っていた。そのはずだった。
ヴァニラ・アイスが崇める、悪の救世主。
DIOこそが世界を支配するに相応しいただ一人の御方、それがヴァニラにとっては当たり前の認識。
他の有象無象の輩など、己も含めてDIOに支配される為に生きているに過ぎない。
そう思っていた。そのはずだった。
「認めぬ!認めぬぞ!あんな、あんな化け物が…!!」
どれだけ頭から追い出そうとしても、さっきの画像は離れない。
どう見ても人間では無い、フリーザという名の化け物。
宇宙船のモニターに映った画像を見て、しかしヴァニラが真っ先に感じたのは嫌悪ではなく、圧倒的な畏怖の念。
画像一枚を見ただけで感じ取れるほどの、選ばれた強者のみが持ち得る存在感。
それを感じた瞬間に思ってしまった。
DIOに匹敵する程の悪のカリスマの持ち主ではないかと。そんな者、存在してはならないというのに。
どう見ても人間では無い、フリーザという名の化け物。
宇宙船のモニターに映った画像を見て、しかしヴァニラが真っ先に感じたのは嫌悪ではなく、圧倒的な畏怖の念。
画像一枚を見ただけで感じ取れるほどの、選ばれた強者のみが持ち得る存在感。
それを感じた瞬間に思ってしまった。
DIOに匹敵する程の悪のカリスマの持ち主ではないかと。そんな者、存在してはならないというのに。
焦燥するヴァニラを嘲笑うかのように、チャイムが鳴り響く。
主催者による定時放送の合図だ。
主催者による定時放送の合図だ。
「ッ!ボンドルド…!」
島の中央に浮かんだ巨大な画面。
そこに映る仮面の男こそ、DIOをふざけた催しに巻き込んだ張本人。
歯が砕けんばかりに噛み締められ、ありったけの殺意を籠めた視線をぶつける。
当のボンドルドはこちらの怒りなどどこ吹く風で、淡々と説明をこなしているのが、これまた非常に腹立たしい。
そこに映る仮面の男こそ、DIOをふざけた催しに巻き込んだ張本人。
歯が砕けんばかりに噛み締められ、ありったけの殺意を籠めた視線をぶつける。
当のボンドルドはこちらの怒りなどどこ吹く風で、淡々と説明をこなしているのが、これまた非常に腹立たしい。
「貴様…!よくも私にあのような…!!」
そもそも、ボンドルドがあんな宇宙船など配置しなければ。
もっと言えば、DIOと自分を殺し合いなんぞに巻き込まなければ、こうも心をかき乱される事は無かった。
あの男の存在が、自分の全てであるDIOへの忠誠心に余計な水を差したと言っても過言ではない。
叶うならば今すぐにでも暗黒空間へ送ってやりたいが、画面越しの相手へどれだけ怒をぶつけても無駄だ。
それにこれから奴が話すのは、今後の殺し合いに関わる情報。
怒りに身を任せて重要な情報を聞き逃すような失態を犯す訳にはいかない。
腸が煮えくり返る思いながらも、ボンドルドの紹介を受けた青年の言葉に耳を傾けた。
もっと言えば、DIOと自分を殺し合いなんぞに巻き込まなければ、こうも心をかき乱される事は無かった。
あの男の存在が、自分の全てであるDIOへの忠誠心に余計な水を差したと言っても過言ではない。
叶うならば今すぐにでも暗黒空間へ送ってやりたいが、画面越しの相手へどれだけ怒をぶつけても無駄だ。
それにこれから奴が話すのは、今後の殺し合いに関わる情報。
怒りに身を任せて重要な情報を聞き逃すような失態を犯す訳にはいかない。
腸が煮えくり返る思いながらも、ボンドルドの紹介を受けた青年の言葉に耳を傾けた。
○
『それじゃあ皆、またね~』
舐めているとしか思えない態度の青年を睨みつけながら、得られた情報を整理する。
まず禁止エリアについてだが、ヴァニラが現在いるD-1が指定された。
ただこれに関してさほど焦りは無い。
禁止エリアが機能するのは今から2時間後。移動する猶予はたっぷりある。
ざっと見回したところ、周囲に施設らしきものは見当たらない。
こんな草木と砂浜しかないエリアへ好き好んで訪れる参加者がいるとは思えず、ここよりも東にある病院や、南の街へ行くに決まっている。
ならば長居は無用だ。
ただこれに関してさほど焦りは無い。
禁止エリアが機能するのは今から2時間後。移動する猶予はたっぷりある。
ざっと見回したところ、周囲に施設らしきものは見当たらない。
こんな草木と砂浜しかないエリアへ好き好んで訪れる参加者がいるとは思えず、ここよりも東にある病院や、南の街へ行くに決まっている。
ならば長居は無用だ。
ボーナスである名簿は、一人も殺していないどころか未だ誰にも会っていないヴァニラに手に入れられるはずもなく、
DIOの体が誰に使われているかを知るには使えると留めておいた。
DIOの体が誰に使われているかを知るには使えると留めておいた。
死んでいった連中に対して思う事は特に無い。
精神も体も知らない者達ばかりだ。
精々、首輪を外せるかもしれない者がいたなら惜しい事だ、それくらいだった。
空条承太郎がまだ生きている事には、忌々しいとは思いつつも、無駄にしぶといジョースターならば納得がいく。
やはりこの手で息の根を止めてやらねばなるまい。
精神も体も知らない者達ばかりだ。
精々、首輪を外せるかもしれない者がいたなら惜しい事だ、それくらいだった。
空条承太郎がまだ生きている事には、忌々しいとは思いつつも、無駄にしぶといジョースターならば納得がいく。
やはりこの手で息の根を止めてやらねばなるまい。
「DIO様もご無事であられるか……」
唯一の朗報である、DIOの名は呼ばれなかった事。
それには安堵の思いで胸を撫で下ろし――
それには安堵の思いで胸を撫で下ろし――
「………………………は?」
今自分は何と言った?
DIO様が無事?DIO様が死んでいないことに安堵した?
DIO様が無事?DIO様が死んでいないことに安堵した?
自分で言った事が信じられず、ヴァニラの顔が急速に青褪める。
DIOが無事かどうかを考える、それ自体が余りにも無意味。
何故ならDIOに敗北や死などあり得ない。
例え身体を別人に変えられ、普段より苦戦を強いられる事が有ろうと、最後には勝利を収める。
希望的観測などではない、純然たる事実としてDIOが勝利するという結果が有る。
世界の頂点に立つ帝王の勝利は絶対、そこに異論を挟む余地は皆無。
どこぞのゴミに体を使われているだとか、与えられた体が使い物になるかなどの危惧はあれど、その生死に関しては一切の心配は無用。
むしろそこを危惧するのは、DIOの力を信じていない事に繋がる。正に不敬の極み。
DIOが無事かどうかを考える、それ自体が余りにも無意味。
何故ならDIOに敗北や死などあり得ない。
例え身体を別人に変えられ、普段より苦戦を強いられる事が有ろうと、最後には勝利を収める。
希望的観測などではない、純然たる事実としてDIOが勝利するという結果が有る。
世界の頂点に立つ帝王の勝利は絶対、そこに異論を挟む余地は皆無。
どこぞのゴミに体を使われているだとか、与えられた体が使い物になるかなどの危惧はあれど、その生死に関しては一切の心配は無用。
むしろそこを危惧するのは、DIOの力を信じていない事に繋がる。正に不敬の極み。
だというのに自分は、よりにもよって「DIO様が死んでいなくて良かった」などと安堵した。
これではまるで、DIOの力に疑いを抱いているようではないか?
「お…お……ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
絶叫を上げ四つん這いになると、己の額を地面に叩きつけた。
プリキュアに変身し一般人よりも遥かに頑丈になっているとはいえ、何度も行えばズキズキと痛み出す。
しかし今のヴァニラに、その程度の痛みを気にする余裕は消え失せていた。
プリキュアに変身し一般人よりも遥かに頑丈になっているとはいえ、何度も行えばズキズキと痛み出す。
しかし今のヴァニラに、その程度の痛みを気にする余裕は消え失せていた。
「クソッ!クソッ!ド畜生がっ!!!」
罵倒は全て自分自身へ向けられたもの。
もし目の前にDIOがいたなら、ヴァニラは即座に自決を選んでいた。
いや、実際今でも死にたくて仕方がない。
よりにもよってDIOの勝利を疑うような発言をしてしまったのだ。
もし時間を戻せるのなら、数十秒前の自分をクリームの餌食にしている。
もし目の前にDIOがいたなら、ヴァニラは即座に自決を選んでいた。
いや、実際今でも死にたくて仕方がない。
よりにもよってDIOの勝利を疑うような発言をしてしまったのだ。
もし時間を戻せるのなら、数十秒前の自分をクリームの餌食にしている。
「……だが、まだ死ぬ訳にはいかん。承太郎を始め、DIO様の栄光を阻む屑どもを消し去らねば…!」
今考えるべきは、DIOの為に動く。ただそれだけでいい。
殺し合いに拉致される前から、ヴァニラの行動指針はいつだってDIOに忠義を尽くす。
その一つだけだった。
どうもこの地に来てからはいらん事に思考を引っ張られている気がするが、ここから先、それらの考えは全て不要。
殺し合いに拉致される前から、ヴァニラの行動指針はいつだってDIOに忠義を尽くす。
その一つだけだった。
どうもこの地に来てからはいらん事に思考を引っ張られている気がするが、ここから先、それらの考えは全て不要。
余計な全てを振り払うかのように、或いは己を誤魔化すかのように、ヴァニラは再度駆け出した。
ある意味ヴァニラ・アイスは幸運だったのかもしれない。
宇宙船で見つけたフリーザの画像。
たった一枚を見ただけで、予想だにしなかった悪寒が走ったのだ。
もし他の映像記録でフリーザが惑星を支配下に置く様を見てしまったら、
若しくはフリーザ本人と対面するような事があったなら。
ヴァニラの心はへし折れ、本当に再起不能となっていたかもしれない。
そう考えると、画像一枚で済んだのはまだマシだろう。
宇宙船で見つけたフリーザの画像。
たった一枚を見ただけで、予想だにしなかった悪寒が走ったのだ。
もし他の映像記録でフリーザが惑星を支配下に置く様を見てしまったら、
若しくはフリーザ本人と対面するような事があったなら。
ヴァニラの心はへし折れ、本当に再起不能となっていたかもしれない。
そう考えると、画像一枚で済んだのはまだマシだろう。
しかしだ、フリーザの画像を目の当たりにした影響は確実に現れている。
DIOというただ一人の主に忠義を捧げる、誰にも侵される事のないヴァニラの世界。
そこに今、フリーザという劇薬により罅が生まれた。
DIOというただ一人の主に忠義を捧げる、誰にも侵される事のないヴァニラの世界。
そこに今、フリーザという劇薬により罅が生まれた。
もしもこの先、世界を支配するDIOのカリスマに僅かでも疑問を抱いたなら、
DIOに並ぶかそれ以上の悪のカリスマが存在すると確信してしまったのなら。
DIOに並ぶかそれ以上の悪のカリスマが存在すると確信してしまったのなら。
その時こそ、ヴァニラの世界は完膚なきまでに崩壊するだろう。
【D-1 草原/朝】
【ヴァニラ・アイス@ジョジョの奇妙な冒険】
[身体]:立神あおい@キラキラ☆プリキュアアラモード
[状態]:疲労(小)、額に鈍い痛み、精神的動揺、キュアジェラートに変身中
[装備]:スイーツパクト&変身アニマルスイーツ(ライオンアイス)@キラキラ☆プリキュアアラモード
[道具]:基本支給品、回転式機関砲(ガトリングガン)@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
[思考・状況]
基本方針:DIO様以外の参加者を殺す
1:余計な事は何も考えず、DIO様の元に馳せ参じ指示を仰ぐ
2:参加者は見つけ次第殺す。但し、首輪を解除できる者については保留
3:DIO様の体を発見したらプリキュアの力を使い確保する
4:空条承太郎は確実に仕留める
[備考]
※死亡後から参戦です。
※ギニューのプロフィールを把握しました。彼が主催者と繋がっている可能性を考えています。
[身体]:立神あおい@キラキラ☆プリキュアアラモード
[状態]:疲労(小)、額に鈍い痛み、精神的動揺、キュアジェラートに変身中
[装備]:スイーツパクト&変身アニマルスイーツ(ライオンアイス)@キラキラ☆プリキュアアラモード
[道具]:基本支給品、回転式機関砲(ガトリングガン)@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
[思考・状況]
基本方針:DIO様以外の参加者を殺す
1:余計な事は何も考えず、DIO様の元に馳せ参じ指示を仰ぐ
2:参加者は見つけ次第殺す。但し、首輪を解除できる者については保留
3:DIO様の体を発見したらプリキュアの力を使い確保する
4:空条承太郎は確実に仕留める
[備考]
※死亡後から参戦です。
※ギニューのプロフィールを把握しました。彼が主催者と繋がっている可能性を考えています。
65:運命を解き放つ | 投下順に読む | 67:Wの悲劇/悪魔と悪魔 |
時系列順に読む | ||
51:未知との遭遇 | ヴァニラ・アイス | 85:愛と引力 |