ところで、つかぬ事をお尋ねしたいのですが
いいよ、僕に答えてあげられる事だったら何でも答えてあげよう
妖猫王 うじにゃんさんとの事ですが、その……貴方、普通の人間ですよね?
そ、そんな事は無いよ!気のせいだよ見間違いだよ、ふふ、やだなぁ、慌てん坊さんめ
無理に隠されなくてもいいと思うんですが、ここには他に誰も居ませんし
ふっ、流石は本場の妖魔だね、残念ながらお見通しと言う訳か
それでしたらやはり……でも、何で人間の貴方が招き猫達の王になったのですか?
僕は昔、戦国大名なんぞをやっていた身分でね、殺し殺される日々にうんざりしていたのさ
もうこんな殺伐とした世界はうんざりだ、僕は僕が楽しい事だけをして生きて行きたいとね
資質によりけりだと思いますが、確かに戦続きだと気分が滅入ってしまいますからね
そこで僕は思い立ったのさ、敗戦に乗じて行方をくらまし、妖魔界に逃げ込んでしまえと
そして、今更ながら僕は猫が好きだ、肖像画を描かせる時に猫も一緒に描かせるくらいにね
なるほど、そこで招き猫なんですね
言葉が無くても猫と通じあえる僕だけど、実際に話が出来ればなんと素敵なんだろう、とね
そして猫又である鈴奈との運命的な出会いを経て、彼女の協力を得てこの国を作ったのさ
そんな恰好だけで招き猫達は貴方の事を妖魔だと信じてるんですか?
ああ、それに彼らは実に愛らしく気の良い連中でね、この国を作って本当に良かったと思うよ
じゃあ、守ってあげないとですよね、招き猫達の暮らしを
もちろんだ、残念ながら僕は戦いには向かないけど、出来得る限りの協力は約束するよ
どうやら君も招き猫達に好かれるようだしね、猫好きに悪い奴は居ないさ
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