大乱闘カオスマッシュピード[Re]master 過去ログ.9②






――― Ø:Log 内部 ―――


ガタガタガタガタガタガタ――――(静まり返った通路を、キャタピラの付いたドーム型テントのような異様な物体が走り抜けていく)


ワンナップリン「(走るドーム型テントの中の、それも外観に反して異様に広々とした空間の中で、先の戦いで倒れたガーディアンの面々を介抱しながら)………よし、術者が倒されたことで呪いも解けている、これならなんとかなりそうだ………(立ち上がり、広々とした空間を眺めて)念のため持ってきておいて正解だったね、この『自律走行型インスタントコテージ』を………敵もいないことだし、これで安全に怪我人も運搬しつつ脱出が出来そうだ。 」

竈門炭治郎「(コテージ内で、寝かせている禰豆子の側に付いて)俺達も乗せていただいて、ありがとうございます、博士…… あの戦いで随分体力を消耗して、歩くのも一苦労だったので、助かりました。 」

竈門禰豆子「スー……(寝袋に包まれ、眠りについており) 」

ワンナップリン「構わないさ、君たちにはあの悪魔を打ち倒すのに力を貸してもらった恩があるからね……おかげでようやく、彼らの無念も晴らされたことだろう。(寝かされているガーディアンの面々に目を向けて) 」

フィー「(ふらついた足取りで、炭治郎の方に歩み寄ってきて)……私からも、礼を言うわ……… ありがとね。 」

竈門炭治郎「そんな、俺なんてまだまだ…… Σあぁっ、無理しないでくださいフィーさん!あの戦いで、足にかなりの負担をかけてるんですから……!(ふらつくフィーの体を支えて) 」

フィー「だ、大丈夫よこれくらい……生身のあんたよりは、よっぽど…… 頑丈、なんだから………(炭治郎に支えられながら、その場に座って) 」

ワンナップリン「何を言っているんだい、君は奴との戦いで限界まで振り絞ってるんだよ?今こうして話せていることが奇跡なくらいさ……  本当に、よく頑張ったね。君の恋人もきっと喜んでいる事だろう……。 」

フィー「……っ(ワンナップリンの言葉を聞き、瞳を潤ませて)………そう……かな…………  だと、良いなぁ…………。 」

竈門炭治郎「……俺も、そう思います!フィーさんの思いは、きっとその人に届いているはずです!その人だけじゃない、あいつに命を奪われた人々の無念も、きっと晴れた事でしょう……微力ではあったけれど、俺もその手助けが出来て良かったと思ってます! 」

フィー「………そっか………ありがとう………やっと、私も肩の荷が下りるっていうか………胸の、つっかえが……取れるっていうか…………ぅ………っ(とめどなく溢れる涙をぬぐって)…………何か………スッとした、気分だわ…………(涙でぐしゃぐしゃの笑顔を見せ) 」

カイ「………へへ……良かったな、フィー………(目を覚まし、寝たままの状態でフィー達の方を見て)これも、導かれし助っ人たちのおかげだわ………改めて、礼を言いたいとこだが………何だ………そこの坊主しかいねぇのか………。(炭治郎を見て) 」

ワンナップリン「おお、カイ君、目を覚ましたようだね…… 彼以外の勇者たちは、一足先にみんなの待つ場所へと向かったよ……あれだけの戦いを経ても尚突き進む余力が残っているなんて、本当に凄いとしか言いようがないね。 」

竈門炭治郎「カイさん!良かった……もう目を覚まさないかと思いました………。(安堵した様子で)そうですね……あの人たちは、本当に凄かった……あの人たちの力がなければ、この戦いには勝てなかったかもしれない………。 」

フィー「そうね………すべてが終わったら、改めてお礼を言いに行かなくちゃ………。(タオルで濡れた顔を拭きながら) 」

カイ「………そっか………まぁ、何はともあれ………これで俺たちの因縁にも決着がついたし………そして…………(ワンナップリンの方に目を向け)………あんたの目的も、無事に果たすことが出来そうだしな………。 」

竈門炭治郎「目的? それって、一体………。(ワンナップリンを見て) 」

ワンナップリン「ふむ、そうだね………(座布団に腰掛けて)君には先程の件も含めていろいろと恩がある事だし、話しておこうかな…… 私がここに来た本当の目的を。(そう言って、1枚の写真を取り出して)……君、この2人の事を覚えているかな?大会が始まって間もない時に、会っているはずだけど……。(そう言って、キルビスアキラの2人が写った写真を炭治郎に見せて) 」

竈門炭治郎「! この2人は…… はい、確かに会っています。仲間を追いかけているときに、偶然目の前に現れて……兄弟揃って女の形をしたからくりに襲われていたので、放っておけず加勢して、その後は会ってないんですが……彼らは、博士の知り合いなんですか? 」

ワンナップリン「知り合いも何も、2人は私の大事な息子と娘さ……彼らを助けてくれたこと、心から感謝するよ。 」

フィー「へぇ、あんたあの2人をね……確かに、シスコン兄貴って意味では気が合うかもね。(炭治郎を見て) 」

竈門炭治郎「Σえっ、そうだったんですか……なるほど、だから彼らも不思議な道具を使っていたのか……。(当時の出来事を思い返しながら)……? し、しす………? 」

ワンナップリン「ほう、彼らも私の発明品を役立ててくれていたのか、それは嬉しいね……  さて、話を戻そうか。私がここに来た目的というのは、勿論この2人の晴れ舞台を見るためというのが1つ、そしてもう1つは――――――   これからの2人の人生から、『悲劇』を取り去るためだ。 」

竈門炭治郎「悲劇……?(ワンナップリンの発言から、ただならぬものを感じ取り)………あの2人に、何かあったんですか? 」

ワンナップリン「あった……といえば、確かにいろいろあったね。信じられないかもしれないが、あの2人……兄の『キルビス』と妹の『アキラ』は、これまで何度も強大な敵と戦ってきているんだ……何度も何度も戦って、やっとの思いで平穏を取り戻しても、またすぐに新たな敵に絡まれていくような……つくづく、嫌な縁に恵まれているといった方が良いだろうね……このままでは、2人は取り返しのつかない地獄へと落ちておく事になると危惧した私は、何とかしてその悪縁を断ち切る方法を探っていた……そしてようやく見つけたのさ、その方法をね。 」

竈門炭治郎「……! あの2人に、そんな事情が……… さぞかし、辛かったろう……苦しかったろう………(2人の境遇に胸を痛めながら)それで……その、方法というのは……? 」

ワンナップリン「それは至って単純な事さ、悪縁の元となっている諸悪の根源を叩くこと……そしてその根源となる存在こそが、先程倒した先人類『シェーラ』と、今我々が破壊しようとしているこの『ゼローグ』なのだよ………詳しい経緯や理由を離すと長くなりすぎるから省かせてもらうが、とにかく後はゼローグを完全破壊すれば2人の悪縁を断ち切ることが出来るんだ!そのために、君やガーディアン達にももう少しだけ力を貸してほしい………どうか、頼まれてくれるだろうか? 」

竈門炭治郎「……なるほど……この巨大なからくりを倒せば、2人を救うことが出来るんですね?そういう事なら、やります!同じくかけがえのない妹を持つ長男として、彼を放ってはおけないし……この巨大なからくりを止めなければ、俺の仲間たちも……世界中の人々の命が危機に瀕してしまう事は確実……! そんなことは、絶対あってはならない……!! 」

フィー「私も、このデカブツをぶっ壊したい気持ちは同じよ……でも、さっきの戦いでエネルギーはギリギリ……ここから力になれるかどうか………。 」

ワンナップリン「ありがとう、君ならそう言ってくれると信じていたよ。わずかな力でもいい、こいつを倒すには1人でも多く、導かれし者の力が必要だからね……勿論、混沌生まれの戦士たちの力もね。(炭治郎にそう言って、虹色の球体を懐から取り出して)エネルギーなら心配ない、これからここにいる全員分のエネルギーを充填するよ……彼の力でね!(そう言い、虹色の球体についているボタンを押す) 」


パカッッ―――(球体が真っ二つに割れた、次の瞬間――)――――― ピ  カ  ッ  ッ  ッ  (中からまばゆい光があふれ、コテージ内を包み込んでいく)


竈門炭治郎「!! な、何だ、この光は………うわあああああああああっ………!!!(光に包まれていく) 」

フィー「ちょ……あんた、一体何を出して―――――!!(ワンナップリンに問い詰める間もなく、光に飲まれる) 」


シ ュ ワ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ッ ッ―――――(光がコテージ内を包み込んでから間もなく、その場にいるにいる全員の体にある傷が見る見るうちに塞がり、失われたはずの体力と気力が徐々に沸き上がってくる)


カイ「………!(寝たきりの状態ながらも、その体に力がみなぎってくるのを感じ)………こ、こいつは………一体、どういうこった………? 」

竈門炭治郎「!!(自身の体に起きている異変を感じ取って)………か、体中の痛みが消えた………それだけじゃない………どんどん力がみなぎってくるようだ………! これは、一体………? 」

フィー「………! 体が、軽くなってく………足も、重くないし………傷もなくなってきてる………!?(無傷の状態に戻っていく自身の足に触れて) 」

うちはマダラ「……む(車内でひっそりと目を閉じてしれっと話に耳を傾けていた男が、自らに移植した好敵手の細胞の再生力を上回る速度で傷が癒えていくのを感じ目を開く)……ほう…… 」

ワンナップリン「さっきの戦いの最中、ちまちまいじってようやく改良に成功したんだ………さぁ、君の真の力で皆に力を与えてくれ!『プシー』!!(そう言って、球体を手放す) 」

プシー「 バ サ ァ ッ ッ――――(手放された球体の中から、光り輝く翼と共にその姿を現す)…………皆……もう、痛くない………?(黒い長髪を靡かせ、純白のワンピースに身を包んだ裸足の少女のような人物は、慈悲に満ちた瑠璃色の瞳でその場にいる全員を見据えていた) 」

竈門炭治郎「なっ……… こ、子供………?(目の前に現れたプシーに驚き)………この光は、君が出していたのか……? 一体、君は何者なんだ………? 」

カイ「あいつは………(上半身を起こし、プシーを見て)あいつは、俺たちと同じ、シェーラに造られた改造人間の1人にして……最終兵器『オメガ』の試作機である破壊兵器・『プシー』だ………あいつは、シェーラの改造人間の中でも特に破壊衝動と残忍性が強かった奴でな……俺達も手を焼いたもんだ………(炭治郎に)だが、こいつは一体どういう風の吹き回しだ……あいつが、回復技を使ったっていうのか……? 」

ワンナップリン「確かに、この子は残虐な兵器として名の知れた存在だった……だが、それはこの子の真の姿ではない……あれはシェーラの手によって無理やり破壊兵器として使われていたのであって、この子の本当の役割は『破壊』ではなく、傷ついた者たちを『治療』する役割を与えられた兵器だったんだよ……これは私も最近になって知ったことでね、先祖の残した記述を元に改良方法を探り……そして今、ようやくこの子に真の役目を果たさせることに成功したんだ。 」

竈門禰豆子「パチ……(目を覚まし、体を起こして)………むー………。(炭治郎の方を見て) 」

竈門炭治郎「……そう、だったのか………  こんな子供まで手にかけるなんて……卑劣、極まりない………!(シェーラに対する怒りに震えながら)………! 禰豆子!目を覚ましたのか!良かった……もう怪我もないみたいだな……!(禰豆子に駆け寄って) 」

うちはマダラ「医療忍術のようなものか…戦場での役割としては違和感はないな。にしても、わざわざ治癒能力のある奴の持ち味を生かさず前線に出すとはな……戦場での戦い方を履き違えている 」

フィー「……そんな………あいつが、そんな力を持ってたなんて………(プシーを見て)………まるで、天使みたいだね………見違えたよ。 」

プシー「ふふ……皆、痛くないみたいだね、良かった。(笑顔を浮かべながら)寝てる人たちも、もうすぐ起きるから……安心して。(寝かされているガーディアン達に目を向けて) 」

竈門禰豆子「む………ぅー………(炭治郎に寄り添う) 」

竈門炭治郎「よしよし、良い子だ……(禰豆子の頭を撫でて)……ありがとう、君のおかげで妹もこの通り元気になったし、俺もまた戦えるようになった!心から感謝するよ!(プシーに) 」

死愚魔「………ぅ…………(力が戻り、少しずつ意識を取り戻し始める) 」

タウ「………グガーー………。(力が戻った影響か、意識不明から熟睡状態になっている) 」

ユプシロン「………ん………(目を覚まし)………こ、ここは………。 」

カイ「(すっかり見違えたプシーを見て)……そっか………それがお前の本当の力だったんだな………(そう言って、寝ているシグマの方に目を向けて)………良かったな………お前の『息子』は、もう悪魔にはならねぇってさ。(優し気な口調でつぶやく) 」

ワンナップリン「奴に戦場のノウハウなど関係ないさ、ただ弱者を甚振るのが好きなだけだった、奴にはね……(マダラに)………よし、これで準備は整った!これより先に待つ勇者たちに合流し、皆でこの戦いに終止符を打ちに行こう!今度は私も一緒に戦うぞ!!(そう言って、プリン柄のロケットランチャーを取り出して)さぁ、最後大仕上げと行こうじゃないか!!! 」


ガタガタガタガタガタガタ――――(静まり返った通路を、自律走行型インスタントコテージは走り抜けていく。 先に待っている勇者たちの元へ行くために―――――)


シング「(一方、別の通路を進んでおり)ふぅ~……何か、えらい事になっちまったなぁ、本当に………こっちはただ、大会に優勝して世界征服の夢をだな………。(不満げにブツブツとつぶやき) 」

ルクシア「(消沈した様子で、シングの隣を歩きながら)………ぱぱ………(眼球の入った筒状のカプセルを見つめ、涙声で一言つぶやき) 」

シング「……ルクシア……  心配すんな!この戦いを乗り越えたら、真っ先に秘宝を勝ち取って親父もお袋も生き返らせてやるよ!もしそれが出来なくても、残ったその肉体の一部から体を復元できるかもしれねぇからさ……俺の天才的頭脳に、不可能なんてありゃしねぇからよ!(ルクシアの肩をぽんぽん叩き、励ますように) 」

ルクシア「……にぃに……ぱぱ、もどる? ……にぃに、ぱぱ、なおせる……? 」

シング「あぁ、絶対戻るし、治してやる!俺の頭脳と科学力を信じな!!Σd(・ω・´)グッ(変化前を彷彿とさせるテンションで答える) 」

ルクシア「………ポスッ(シングの胸に顔をうずめて)………にぃに、さいきょう……  ……にぃに、すき………。 」

メルケデ「う゛お゛お゛お お お お っ ……ぎょうぞざばっ、おぢょうぅ(教祖様、お嬢)……. どぶどい゛っ(尊い)…… どぶどびぎょぶだびゃいだぼでじやぁあああああああ(尊い兄妹愛なのでシィィィ)!!!! ˚‧º·(ฅ=▭=ฅ。)‧º·˚.(胸のあたりを押さえながら何処からともなく現れ、大号泣し) 」

シング「お、おう……何だよもう、可愛いじゃねぇk―――― ('-'*)(ルクシアの頭に手を乗せようとしたところ、むせび泣くメルケデの姿が目に留まり)゜゜    (Д ) ……メッ……メメメメメメメメッ!!!メルたんっっ!?い、生きてたのかっ!?(凄まじい驚きようを見せ) 」

ルクシア「………あ。(メルケデを見て)………おかえり、めるたん。 なぜ、なく……? 」

メルケデ「はい゛ぃ……教祖様を置いて死ぬなど、メルには出来ないのでシ……その思いでっ、何とかここまで這い上がって来まシ………ゲッフォゲフォォッッ!!!(盛大に吐血し)す、すびばせん………まだ、傷が癒えてないものでシて………。 」

シング「おいおいおいおい!無茶しないでよメルたん!!親父とお袋に死なれて間無しにメルたんにまで逝かれたら、流石の俺も立ち直れねぇぞ!?(すごく心配そうにメルケデの体を支え) 」

メルケデ「あ、あぁ……教祖様にこのような事をさせるなんて、メルはなんて愚かな………  えっ?(シングの発言に、一瞬固まった様子で)………お父上殿と、お母上殿が、死んだ……? い、一体どういう事なのでシ!?あの屈強なお2人が、何故………!? 」

ヴェドリー「チームメイトのシェリルさんが裏切った――――  だよね?教祖様。(そう言って、通路の壁からヌルリと姿を現し)……ロング様のチーム出撃の為に、陰で準備してた最中にいきなり連絡が途切れて本当に焦ってたんだけど………まさかこんなことになってたなんてね。 」

シング「ヴェドリーか……遅かったじゃねぇかこのクソナルシ野郎が。(ヴェドリーを睨んで)……まぁ、そういう事だな………ヴェドリーの言う通り、親父とお袋はシェリルおばさんの裏切りにあってやられた……あのクソアマの正体は闇族じゃねぇ、先人類とかいうバケモノだったんだよ………俺たちはさっき、そのアマをぶっ殺してきたところだ………!! 」

ルクシア「………これ、ぱぱ………。(悲しそうな顔で筒状ケースをメルケデに見せ) 」

メルケデ「そんな………!! そんな、大変な時に………メルは………メルは情けないのでシ!!情けないのでエェェェェシ!!!!(狂ったように喚きながら) 」

ヴェドリー「いやぁ……こっちもいろいろあったんだ、怒らないでほしいなぁ……。(シングに)おやおや、そんなに叫ぶと傷口が開いちゃうよ?なんなら僕の美しさで癒してあげようか?(メルケデに) 」

シング「それ以上変な口聞いたら、分かってんな?(脅すような目つきでヴェドリーを見て)落ち着いて!メルたんは何も悪くない!!俺たちの為に、必死で戦い抜いてくれたじゃないか……親父もお袋も、メルたんを情けないなんて思ってない!!俺が保証する!! 」

ルクシア「るぅも、そう、おもう。 るぅ、めるたん、すき。(フカフカの手袋を付けた左手で、メルケデの頭をポンポンして) 」

メルケデ「教祖様……お嬢………う゛お゛お゛お お お お ん っ ˚‧º·(ฅ=▭=ฅ。)‧º·˚.(再び大号泣し)なんと、なんと勿体なきぃぃ!!!メルは、どこまでも教祖様について行きまシィィィ!!!教祖様こそ全てえええええっ!!!!教祖様の偉大さに比べたらクソナルシの体なぞウ×コオブウ×コなのでえええええええシ!!!!! 」

ヴェドリー「Σちょ……それはあまりに酷い仕打ち………(凹んだ様子で)………と、とりあえず教祖様………生き残った教団幹部たちがあなたの帰りを待っているので、すぐにでも顔を見せてほしいのだけど………。 」

カゲッチ「そうそう……(ヴェドリーの影から顔を出して)ブラックアイズの皆も首を長くして待ってるぜ~、特にギース隊長がな~♪ 」

シング「なに?それを早く言えってんだよ全裸マンが……(メルケデを支えながら立ち上がり)じゃ、早いとこ戻ってやろうじゃねぇか、超超パワーアップしたこの教祖様がな!きっと皆驚くだろうぜ、特にシドやギー坊なんか………  あっ、お前ら、くれぐれも母ちゃんが裏切った事はギー坊には黙ってろよ?責任感の強いあいつの事だから、自害しちまうかもしれねぇからな。(そう言いながら、メルケデを背負って歩いていく) 」

メルケデ「うう……ギー坊も、おいたわしや………なのでシ………。(背負われていく) 」

ルクシア「みな、よろこぶ。 にぃに、たたえる。(上機嫌でシングについて行く) 」

カゲッチ「あー、なるほどな……ギース隊長は勿論、リディアの姉ちゃんにも言わない方が良いだろうなぁ………本当、なんでこうなっちまったかね。(流石にテンションもダダ下がりの様子で)……じゃ、俺っち達も行こうぜ。んじゃ。(影に潜って消える) 」

ヴェドリー「そうだね……本当、罪な女だよシェリルさんは………一族を裏切って、教祖様の両親を殺してさ………それに………(何かを言いかけようとして)………いや、やめておこう………  また遅れたら、何されるか分からないし、さっさと行くとしよう……。(壁に潜って消えていく) 」



――― Ø:Log 内部・通路 ―――




レインド「――――……(肩で息をしながら、傷だらけの男は同じ顔を持つ相方と並んでいた。重力に呑まれるような背筋のまがった体勢で辛うじて立っているような状況であり、指先が微かに痙攣していることから…あまり戦況は芳しくないことを物語っていた)………おい… 」

レイジェ「……んだよ…こんな時に話しかけてくるたぁー、ずいぶん余裕がおありじゃねーの(依然変わらないよ幽明た表情で口の端を上げるも、その下は対照的にずたぼろであった。足元には、ジエルを殴り飛ばしたあのバットがへし折れた状態で転がっており、指先からぴちょんぴちょんと鮮血が滴らせていた) 」

レインド「…二人になったところで状況が変わるどころかますます悪化してんじゃねーか。どーすんだよおい…(口元を引きつらせて隣の男を睥睨する) 」

レイジェ「 なんだと?(^^#) (ドスの効いた声で睨み返す) 」

ジエル「 ォ ォ ォ ォ ォ … ッ … … ! (二人が対峙する男は、その両手に宝石を携えて悠然と佇んでいた。頬や腕に傷跡こそ見えているが、二人のように身を崩しているほどにまで陥ってはいない。レイジェが乱入してからというもの、そこから度重なる衝突が繰り広げられていたようだが…この男・ジエルは未だ縹渺たる実力を隠し持っているかのような、底知れぬオーラを走らせていた) 」

ジエル「…初手は驚かされたが…所詮は同一の実力者が増えただけ。その程度では俺は破れない。ス…――――― パ キ ャ ァ ン ッ … ! (右手に握られていた黒い宝石を、握り潰した) 」


――― ギ ュ ォ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ (ジエルにより砕かれた黒い宝石の残滓が円を描くように宙を舞う。やがて黒い礫は大きな渦を逆巻き、ひとつの大きなブラックホールを成す。空間が捻じれるほどの強い吸引力が働く黒い渦は、二人をその闇へ誘おうと迫る――――)


レインド「 ッ! (前傾の態勢から身を更に深く屈めて引き寄せられまいと強い抵抗の意思をその身で示す) 」

レイジェ「ちぃッ(方やこちらは振り上げた右足を勢い良く地面へと踏み下ろして、嵌めこませる形で自身を固定。ブラックホールに対して意地とも読み取れる確固たる姿勢でその場に留まる) 」

ジエル「………(術者には一切の影響を与えないブラックホールを背後に、後ろに両手を組んで二人の様子を静観している) 」

レインド「……!(ブラックホールの影響を受けないジエルの姿に何かを閃く)――――(一か八か、賭けてみるか)―――俺を蹴り飛ばせ!!(レイジェにそう叫ぶと宙へ乗り出すように跳躍しはじめた) 」

レイジェ「あぁ!?なに血迷ったこと言って――――!(それが他人の言葉なら理解に時間がかかっていただろう。だが、相手が同じ「自分」であるからか、瞬間的にレインドの意を汲むと「そういうことか」と不敵に口角を上げた)失敗しても恨むんじゃねーぞ!(そう言うと、跳び上がったレインドの両足裏目掛けて、水平蹴りを突き出した) 」

レインド「 ドォゥッ!! (レイジェの脚力を利用した推進力に加え、ブラックホールの吸引力を重増しにしたことで爆発的に飛び出し、瞬く間にジエルの目と鼻の先まで迫ると―――)―――らぁッ!(その全身目掛け踏み潰す勢いで鋭い蹴りをめり込ませ、そのままジエルをブラックホールの中へと蹴り飛ばした) 」

ジエル「なにッ―――――!!?(レインドの突拍子もない反撃によってブラックホールの中へとその身が呑み込まれる。それと同時に黒い渦は消滅し、戦場に再び静寂が訪れた―――) 」

レイジェ「…ったく、肝が据わってんな。しくじったら死体すら残らねえだろあんなの… (俺もいつかはああいうデカい勝負に身を乗り出す日が来るんだろうか…)(レインドを遠目に感心) 」


……ビキッ、バキン…ッ…―――――― パ キ ャ ァ ア ア ン … ッ … ! ! (だが、ブラックホールがあった箇所の空間が大きく罅割れ、その大気が破裂した)


ジエル「―――― コ ツ … (砕けた空間の狭間よりその足を延ばし、現世へと復帰する)…なるほど、つくづくお前たちには驚かされることばかりだ。お陰で退屈しないがな。(衣服の胸元を片手で払いながら二人を睨みつける)――― パキパキパキャァ…ッ…!!(その手中に宝石の残骸を手繰り寄せ、一つの「宝剣」を形作った)ん゛ぅ゛ッ゛!!(力強い一閃。それだけで虚空をも断裂する鋭い衝斬が迸る) 」

レインド「…やはりあの程度じゃ簡単にはやられてくれない…よな!(マトリックス宛らに全身を仰向けに反って線のような斬撃を受け流す)……ッ(背後の壁が切り刻まれた音がその耳に入り込み、そこから直撃は絶対に避けなければならないという危機感を覚え、冷や汗が垂れる) 」

レイジェ「いよっ――――!(斬撃をすれすれまで引き付け華麗なバク転回避を行う)なんだ、ビビってんのか。数秒前の勢いはもう彼方向こうか?(レインドに軽口をたたきながらジエルへと前進)そおりやァ!(光線のような眩しく鋭い聖拳突きを見舞う) 」

ジエル「 ド グ ゥ ォ ン ッ ! ! (ズザザァー…ッ…!)(幾千の歴戦を乗り越えてきたレイジェ渾身の拳をその剣身で受け止めるが、勢いに圧倒され僅かに後退ってしまう)グッ…――― ブ ォ ン ッ ! (だがただでは退かない。あらかじめ背後に回していた宝剣を振り抜き、薙ぎ払おうとする) 」

レインド「そうじゃねえさ、駆け引きの問題さ…!(彼の右肩を土台に手をついて弧を描くように跳躍し、レイジェへ迫ろうとするその刃を寸での所で蹴り抑えた) グッ (着地後、レイジェが立ち回れるように身を屈める――) 」

レイジェ「 ! (レインドが斬撃を抑え込むと) へぁッ!! (彼の意を汲み取り、身を屈んだレインドを今度は自分が跳び越えてジエルへボレーキックを繰り出し薙ぐように蹴り飛ばす) 」

ジエル「づッ…!(二人の連携に攻撃を崩された挙句反撃を受けてしまい数歩退く) 鬱陶しい…! フォンッ――― ズッ、ギィンッ! ファンッ――フッ――― ゲシッ、ゴォッ!!(フェイントを織り交ぜた巧みな脚技とステップで二人を翻弄しつつを圧倒し、壁際へと追い込んでいく)―――フンッ!!(突き出した掌底より衝撃波を放ち、吹き飛ばす) 」

レインド&レイジェ『ッ゛―――!!(二人同時にジエルの足蹴りに踊らされ、不意打ちの如く放たれた衝撃波によって同時に壁へ大激突。その身が土煙に覆われる)』

ジエル「……そろそろ頃合いだな。(何度も閉じては開いてを繰り返す自身の掌を見つめて、小さく呟く)貴様等如きに使うのは癪だが、面倒だ…まとめて片付けるために、俺も本気を出そうか。(そう言うと懐からまた鋭利な宝石を取り出す。それを砕くものかと思われたが―――)――――むぅんッ!!!( ザ グ ン ッ ! ! ) (驚くことに、自分の身体にそれ思いきりを突き刺した) 」

ジエル「 ん゛ ん゛ ン゛ ン゛ ン゛ … ッ゛ … ! ! (突き刺した宝石の内部から溢れ出す赤い光の粒子がジエルの血肉を介してその体内へと注ぎ込まれていく。するとその身の輪郭が赤く発光し、底知れぬ潜在能力を呼び起こす) 」

レインド「……いい感じがしねーな…(土煙の中から血反吐を吐いて現れるが、ジエルのその行動に目を細める) 」

レイジェ「…同感だ。奴が生み出すあの宝石… 武器になったりドーピングになったり、用途が広すぎる。 」

ジエル「―――― い く ぞ ? (ギランと赤い眼光を揺らめかせると、その身が一瞬で消失)  ド グ ォ ッ ! ! ! (刹那の内にレインドの懐へ潜り込むと同時に拳による重い一撃を炸裂させ、殴り飛ばす) ド ォ ッ ! ! (そこから旋回し今度はレイジェの顎を強く蹴り上げ、上空へと吹き飛ばす)ザグンッ!!(直後、手にした透明の宝石をまた体へと突き刺す。その周囲に突風が巻き起こりジエルを包み込むように螺旋状に吹き荒れる) 」

ジエル「――― ボ フ ン ッ !(その上昇気流に乗って瞬く間に天高く跳びあがり、上空のレイジェを追跡する)むぅんッ!!(無防備な態勢で傾倒するレイジェに両拳による無慈悲な乱打を叩き込ませると)―――落ちろッ!!(トドメのハンマーフックで盛大に地面へと叩きつけた) 」

レイジェ「がっ、ふ―――― づぅ゛ッ゛…!?(ジエルの連撃ひとつひとつを理解する間もなくその身にありったけの乱打を受け、高所から地面へ叩きつけられた頃には血潮を高く噴き出して倒れ伏す) 」

レインド「んぐッ――?!(こいつ、突然能力が飛躍した…!)(腹部に受けた重い一撃の反動を和らげようと、両脚に力を入れて地を踏み鳴らして耐え凌ぐ) 」

ジエル「ザグッ!(三個目となる緑の宝石を右肩に突き刺すと――)――― ハ ァ ッ ! ! (突き出した掌…そこから翡翠色の閃光を生み出し、直線状の地面を滅しながらレインドへと解き放った) 」

レインド「  !!? (こいつ、マジか…!!)(今まで白兵戦を行ってきた相手がここでまさかの異能染みた攻撃を繰り出す光景に仰天し、咄嗟に紅い闘気を纏った体勢で腕を交差し、受け止めようとするが) ぐっ、あぁ……!! (顕現したレッドヒートですらまるで通用しないその苛烈な攻撃に吹き飛ばされる) 」

海東大樹「…っ……これは、見ていられないな…(ここまで物陰にて見守るように静観していたが、圧倒的な力を顕現したジエルに圧倒される二人に居たたまれなくなり、身を乗り出す) 」

レイジェ「っ、っ……生きてっか……?(雫どころか、もはや滝にも近い吐血が口の端より絶え間なく溢れ出しながら立ち上がろうとする) 」

レインド「っ~~~~…(下敷きになっていた瓦礫を押しのけ、歯を食いしばりながら立ち上がる)…さぁ、な… もしかしたら気づかねえうちに逝ってるのかもしれねが… 辛うじて痛みを感じるあたり、まだそうじゃねえだろうな…(汗は血を吸って頬を伝い、顎に溜まった分だけ地面に落ちていく。血唾を勢いよく吐き捨てつつ、眼前のジエルから目を逸らさず対峙を維持する) 」

レインド「(切り札も通用しねえ…同じ自分の二人がかりでも…奴はその上を行きやがる。それにあの世幽明た表情(ツラ)…本気とはいってもまだ全力全開じゃないはずだ…)……ったく、悪い夢でも見てる気分だ…(「どうすればいい、どうすれば…」と、この最悪な状況を打破するためのあらゆる術を、過去の戦歴から編み出そうとする。だが焦燥がそれを阻害し、もはや後はない) 」

レインド「……(そんな最中、この状況に既視感を覚えたのか、ある過去の記憶が蘇る)…こんな状況でも、「あいつ」は笑って突拍子もないことを口にしていたな。「ヴィナミス」の考えることは時々俺の理解の範疇を超える時がある。クロフォードの野郎に追い込まれた時なんか、「合体しましょう」などと戯けたことを言い出したもんだ… (ふん、と鼻で笑い肩をすくめる) 」




海東大樹「(「合体」……)――――!(ふと、何かを思い出したように懐の宝袋を弄り、その中からある物を取り出し、その存在から可能性を確信したように頷くと―――)――― …ガションッ、ガションッ ! ! (ディエンドライバーにカードを二枚装填する)\CHAOS RIDE/ \RENJI !/ \ASUNA !/ シ ャ カ シ ャ カ シ ャ カ シ ャ カ ――― キ ュ ピ ー ン ッ !(銃口から光を解き放ち、二人の人物を召喚する) 」

阿散井恋次&アスナ『吼えろ、蛇尾丸! / いくわよ!!(海東に召喚された二体のキャラクターが、時間を稼ぐようにジエルへと突撃していく)』

ジエル「チッ…――――失せろッ!(向かってくる二体の虚像へ殴りかかっていく) 」

レイジェ「…なんだ?死ぬ間際に思い出話か?らしくねえぜ。……でも、まあ、そうだな…ああ、確かに「あいつ」はそう言うもんだ。絶望だとか、自分の死期だとか…そんな負の感情を前世に置き去った様な奴だからな。「あいつ」がいてくれたから、故郷《マイテイ》だって救われた。あんな前向きな思考には、ついていくのもやっとだ。 」

海東大樹「―――なら、君たちも"そうすれば"いいんじゃないかな?(そんなレインドとレイジェのもとへ歩み寄っていく) 」

レインド「なんだお前…いかにも胡散臭そうなやつだな… 」

海東大樹「失礼だな。君を助けるために彼(レイジェ)を呼んだのはこの僕だというのに。(やれやれと溜息をつく)『カオスマスター』――――誰もが彼に憧れ、彼のような存在になりたいと願った。それは、この大乱闘を巻き起こした黒幕ですら。だが当然彼のような人間になることなんて不可能だ。けれど、彼と最も近しかった君たちなら…その彼を越えられるはずだ。 」

レイジェ「……何が言いたい…? 」

海東大樹「…かつて「彼」が君にしてあげたたように――――― "二人で力を合わせて"戦いたまえ。(そう言うと、二人にそれぞれ、ある小さなものを差し出した。それは――――) 」


―――――宝玉のようなものが付いたイヤリング「 ポタラ 」だった


レインド「 !!? (海東が差し出してきた"それ"に「うげぇ!?」と絶叫する。まるでそれが何を意味するのか知っているかのように)……嘘だろ…っ……?? 」

レイジェ「……おい、お前……まさか"そいつ"を「俺たち」にやれと言わねえよな……??(ポタラをその目に口辺を引きつらせる) 」

海東大樹「世界を渡る中で僕が手に入れた「お宝」さ、貸してやるよ。……それ以外方法はないだろう?(「何を言っているんだい」と真顔で応える)…君たちも気づいているんだろう?このままでは確実に二人とも、あの男にやられる。世界を救いに来た英雄が死んでしまっては興覚めもいいところだよ。バッドエンドはもうこりごりなんだ。 」

レインド&レイジェ『………(ポタラを前に、二人は渋るように考え込む。確かに現状を打開できる方法はこれしかない。しかし、そのためには「自分自身」との合体を余儀なくされる。ヴィナミスやモララーのような別人と合わさるのとでは、まるで話が違う。互いに互いをよそよそしく見つめ合う。迷っている時間がないことは承知の上だが、それでも葛藤に苛まれる―――)』

ジエル「 消えろッ!! ……! (二体の虚像を蹴散らすと、レインドとレイジェが蹲るように向かい合ってるのを目撃する)戦意喪失したか…もはやここまでだな。貴様等も…消してやる…!(殺意を剥き出し、ついに二人のもとへ迫り始める) 」

海東大樹「―――「彼」がその最期に、君たちに世界を託したんだろう!?君たち二人に賭けるしかないんだよッ!!さあ、選びたまえ!死か、救済か―――――!! 」

レインド「……(海東の気迫に押され、いよいよ退路を断たれて額に手を当てる)……確か、ポタラの持続時間は一時間と聞いてたな… なら…(不服ながらもポタラを手に取る) 」

レイジェ「(はぁ…とでかい溜息を吐き出す)…わーったよ。だったらその「一時間」、耐えてやる。(不貞腐れたように海東からポタラをぶん取った) 」

レインド「――――― やるか…!(恥辱を払拭するかのように無理矢理作った不敵な笑みをひとつ浮かべて立ち上がると共に左耳にポタラを装着) 」

レイジェ「…くそっ…もうどうにでもなれ!(ヤケクソ気味に立ち上がると慣れない手つきで右耳に片割れのポタラを付ける) 」


―――― キ ュ ア ア ア ァ ァ ァ ァ … ッ … !  !  !  !  ! (レインドとレイジェ、二人の身体が眩い光に包まれ、その影が一つに交りはじめていく―――――)


ジエル「―――!!(今にも襲いかかろうとしたその瞬間、突然迸ったその眩い光に怯んで歩みを止める) 」

海東大樹「……―――― フ ッ (大きな決断を下した二人の姿を見届けると、自分の役目はここまでといわんばりに元のオーロラカーテンの中へと戻り、その姿を消した) 」



×××「―――― よ っ し ゃ あ ぁ ッ ! ! ――――(その一節の光の中に、活気良い声を上げる人影が佇む。レインドでもレイジェでもない…ただ一つの影が―――)」





ジエル「……!?(光芒より出でる見覚えのない姿に眉を潜める)…貴様…―――― 誰だ…ッ…?(その人影に強い眼光を差し向ける) 」

×××「……俺か?俺は、レインドでも、レイジェでもない――――― 」





××× → レジェンド「     お前を倒して 伝説《 レジェンド 》 になる男だ      」




この混沌とした世界に蔓延る絶望のすべてを振り払うかのように、その男はクククと大胆不敵な笑みを浮かべる。
彼の身体より迸る光芒は暗闇を照らし、その最果てを斬り拓く―――


ジエル「――――― ッ…ッ…ッ…!(そして、すべてを理解する。今江目の前に立つこの男こそ、レインドとレイジェであり、そして二人が生み出した第三の意思…否、それこそが彼ら自身が導き出した『奇跡の共同戦線』の体現なのだと。その姿はジエルにとってはあまりにも常識外で、滑稽で…だが、同時にある種の驚愕と僅かな戦慄が走った。入り混じる様々な感情に耐えられなくなり、その綻びに嗤い始める) 」

ジエル「……本当に、貴様等には退屈しないな…だが…!言ったはずだ、所詮「同じ」貴様等が今更一つになったところで状況は変わらんぞ。 」

レジェンド「そりゃおめえ、掛け算の話なら確かにそうだろうな。だが―――― グ ッ (片手を握りしめる) 」

ジエル「――――!!(握り拳を作る―――なんてことのない動作だが、未知数のレジェンドがその行為を行っただけの一瞬の最中に危機感が迸り、力強い眼力を露わに身構えると)そんな変身で…――― 俺に敵うと思うなァッ!!( ド オ ウ ッ! ! ! )(手中に手生み出した極小の光球を解き放つ。圧縮された光球は10cm進む度に倍以上に膨れ上がり、ある程度離れたレジェンドに迫る頃には気球以上の大きさを誇るものとなって襲い掛かった) 」


――― ゴオオオオオアアアアアアアアアアァァァァァァアアアアアアアッッッ ! ! ! ! ! !(撃ち放たれてより間もなく肥大化したジエルの光球が、銀塊の床を抉り喰らいながらレジェンドを呑みこもうと襲いかかっていく――――)


レジェンド「―――(放たれた光球を"片手で"受け止める)―――― ふん ( バ ギ ュ ア ァ ッ ! ! ! ! )(さも林檎を握力で粉砕するかのようにその光を滅す。消滅した光球の残滓が蛍火のように辺りに舞い上がる最中、依然としてジエルと対立の眼差しを強めていた)―――― 残念だったなジエルさんよ。こいつぁガキでも解る「足し算」の話よ。 」

ジエル「―――――!!??(仰天に目を大きく見開いた。街一つ吹き飛ばしてもおかしくないほどの苛烈な一撃を、目の前の男は素手で、片腕のみでいとも容易くしのいだのだ。単純な足し算の問題ではない…二人の時にはなかった計り知れない潜在能力がそこに働いていることを嫌でも思い知らされた) 」

レジェンド「――――――― さァ、決着をつけようぜ ――――――― 」

ジエル「………――――― いいだろう…!!(かつて経験することのなかった武者震いに、ついに堪え切れぬ笑いが腹の底から込み上げてくる。高鳴ろうとしている感情に自身が追い求め続けてきた「生き甲斐」を実感すると―――)―― ぬ ぅ ぉ ぉ ぉ お お お お お お ッ ! ! ! (その身に数本、痛々しいほどに鋭い宝石を突き刺し更に力を蓄えていく) 」

ジエル(完全体)「 ボ ゴ ォ ン ッ ! ! (一段階パンプアップする肉体に、上着が徐々に解れ始めていく) バ ギ ィ ッ … ! (重増しされた筋肉によって、踏みしめていた大地に小さな陥没が出来上がるほど体重も上がっていく。倍に膨れ上がった肉体は既に人間の限界を凌駕しはじめていた)―――― 俺に、「生き甲斐」を求めさせろ…ッ…!!(地を抉る勢いで踏み出し、砲弾の如き気迫で差し迫る) 」




――― Vs.《 生き甲斐を求める者 》 ジエル ―――




レジェンド「―――――(ジエルが踏み出したと同時に身を投じる様に前傾し、迎え撃つように迫る) 」


――――  ド  グ  ゥ    ォ     オ      ン       ッ      !     !     !  (二つの意思がぶつかり合い、大気中に迸る凄まじい衝撃。それだけで銀塊の地盤に亀裂が生じ、薄い地表がめくれ上がる。広大なゼローグのフィールドですら軋みを上げて、鳴くように震えだす―――)


ジエル(完全体)「 ン゛ ン゛ ン゛ ン゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ オ゛ オ゛ ッ゛ ! ! ! (今にも飛び出そうな程な気迫で剥きだした眼球を血走らせながら、レジェンドに残像すら見せぬ殴打の連撃を散乱させていく。その一発一発が空気すら貫かんほどであり、直撃すれば一溜まりもない) 」

レジェンド「 フォンッ―――ヒュッ――ファンッ―――ズォッ!! (だがこの男、レジェンドは、その苛烈な攻撃の一つ一つを見極め華麗に受け流していく。自身の身体や手、挙句の果てには細微な髪の毛一歩にすら触れさせず、繰り出される攻撃に一寸も動じないように避けていく) 」

ジエル(完全体)「 ゥ゛ ゥ゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! (乱打をいなされ、諦めたように後退しようとそのそぶりを見せた途端、素早く身を翻し回し蹴った) 」

レジェンド「  ド グ ゥ ン ッ ! ! (突き出した前腕にジエルの蹴りを受け止める。その勢いに押され力の働く方向へとそのまま蹴り飛ばされる) 」

ジエル(完全体)「――― シ ュ ォ ン ッ ! ! (風を切るような拘束旋回でレジェンドの背後へ回り込むと――)――ム ェ ァ゛ ッ゛ ! ! (裏拳を見舞おうと一回り肥大化した剛腕を振り抜いた) 」

レジェンド「――― !( ヒ ュ ッ )(背後に感じた鋭い殺気を頼りにノールックでその拳を跳び退き、数十歩離れた箇所にて着地する) 」


ブ ゥ ォ ン ッ ―――― ボ グ ゥ ォ ォ オ オ オ ン ッ ! ! ! (空ぶったジエルの拳より放たれた衝撃波が血の表面を抉り飛ばし、その先にあった壁に大きな陥没をつくりだす。それだけで、ジエルの攻撃がこれまでのものとは比較にならない程の急激な進化を遂げていることを物語っていた)


ジエル(完全体)「 ヘ ァ ア ッ ! ! ! (レジェンドが攻撃を回避することすら既に予想の範疇だったのか、距離を取られても瞬く間にそれを埋めるように追跡し剛腕を振り抜いた) 」

レジェンド「 ッ! (咄嗟に交差した両腕でその一撃を正面から受け止めにかかる)――― ズ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ァ … ッ … ! ! ! (殴り抜けまいと受け止めながら押されゆく最中、双脚の地面がそのまま足跡をつくり上げてる) ボ ゴ ォ ン ッ ! ! (ついにはそのまま壁に激突し、その身が砂塵に覆われていくが―――) 」

レジェンド「――― ボ フ ン ッ … ! (微塵を斬り払うようにその身が露わとなり、一歩踏み出す。そして――)―― ゴ ォ ゥ ッ (ここで反撃に出る。アッパーのように下部より降り抜けた拳がジエルの腹部に炸裂する) 」

ジエル(完全体)「ンッグゥ…!?(レジェンドの聖拳が炸裂。相手は水準よりやや太い筋肉を持っているものの、自身のそれには大きく劣る。にもかかわらず、底から繰り出される一撃には確かな「重み」があることを痛感する)―― ン゛ヌ゛ェ゛ァ゛ア゛ッ゛! ! (再び両拳を何度も突き出し、乱打の多重を浴びせていく) 」

レジェンド「だだだだだだッ!!( ズドッ、ガガガッドッガァッ!! )(目にも留まらぬ速さで繰り出される拳の一つ一つと向き合うように自らも両腕を突き出して穿ち合っていく。拳と拳が擦れることなく見事までに衝突し合い、拮抗していく)――― づぉらぁ!!(一瞬の間隙を縫い、ジエルの右頬へ上段蹴り払いを見舞う) 」

ジエル(完全体)「ヅゥ゛ッ゛!!(右頬を蹴り抜かれた反動で一瞬身動きが停止する…ように見えたが――)―― ツ ェ ァ ア ッ ! ! (推し負けない水平蹴りを返し、レジェンドを突き放す)――― 吹っ飛べぇぁあッ!!!(凄まじい覇気を纏った剛腕を振り切り、あの屈強な壁さえも屠った衝撃波を放った) 」

レジェンド「(蹴り払われたことへの痛みは微塵も感じていないのか、澄ました表情で吹き飛ばされる) タ ン ッ (つま弾くように地を蹴り上げ、衝撃波を華麗に受け流しつつ身を回転させながらジエルのもとへと着地するように迫る) うだだだだッ――― ッ は ぁ ! ! (片足のみで数秒間に何発もの蹴りの連撃を叩き込ませた直後、ジエルの横顔を掴んで大地に叩きつけた) どうした。テメェの力はそんなもんか!? (挑発とは違い、ジエルの奥底にある闘志を誘発させるような声音を上げる) 」

ジエル(完全体)「(地にねじ伏せられる最中、血走った眼が赤く発光する)―――― 思 い 上 が る な ァ ッ ! ! (直後、全身より猛然たる気を全開に放出させ、レジェンドを吹き飛ばすと共にその地表を吹き飛ばし、大きなクレーターをつくりだした) 」

レジェンド「―――!!(衝撃に押し負かされ台風に呑まれた木のように吹き飛ばされるも、空中にて身を翻し態勢を整え直して滑るように着地する) 」

ジエル(完全体)「 ヒ ュ ン ッ ―――ヌ゛ グ ア゛ ァ゛ ッ゛ ! ! (瞬間移動による接近で迫ると、肥大化した剛腕を勢いよく振り抜いた) 」

レジェンド「 づ ぇ ぁ ぁ あ あ あ あ ! ! (ジエルの剛腕に合わせ、勢いよく踏み込んだ後に拳を振った) 」


――――  ド     グ     ゥ     オ     オ     ォ    ン   ッ  !  !  !  ! (両者の拳が激突し合う。二人を中心に地面は大きく陥没、残骸は砂塵と共に消し飛び、真っ暗な密室空間一帯に更なる亀裂が進行し、そこに眩い光が迸る―――)


ジエル(完全体)「 ヌ゛ エ゛ エ゛ エ゛ エ゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ッ゛! ! !(底知れぬ欲望を、その意思を、全面的にむき出した気迫を放ち、そのまま圧倒しようと踏み込む) 」

レジェンド「 じ ぃ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛  ア゛  ア゛ ッ !  ! !(拳の応酬。重力も付随したその拳に押され、揺れ動きながら僅かに押されるが、負けじと雄叫び、今度はこちらから相手の巨腕を徐々に、徐々に押し返していく) 」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … ッ … ―――――― メ キ メ キ メ キ ャ ァ ッ … ! ! ! ! (相反する闘志の衝突――― 崩壊差し迫る世界に、その衝撃が大気と大地を伝わり、響き渡っていく――――)


ジエル(完全体)「ヒ ュ ォ ン ッ ―――  ド  ゴ  ォ  ッ  !  !  ! (拮抗する拳の力の軌道を無理矢理下へ逸らすことでレジェンドの空ぶりを意図的につくり、その隙を付いた強烈な膝蹴りを炸裂させると) ――― ム゛ ェ゛ ァ゛ ア゛ ア゛ ア゛ ッ゛! ! ! ( ド グ ゥ ッ ! ! ! )(間髪入れず右腕の剛腕でアッパーを叩き込んだ) 」

レジェンド「―――― カ ハ ァ … ッ …! (紫電の如き衝撃を腹部に受け、初めて"吐血"―――) づ ぁ ッ … ! ( ド ッ ――― シ ャ ア ァ ッ … ! ! )(続く第二撃に宙を浮かされ、そのまま地面へ横転する) …… …… ……(終始圧倒すると思われた英雄がうつ伏せに倒れ込んでしまう) 」

ジエル(完全体)「…ゼェ…ゼェ……ッ…(荒い呼吸を何度も吐き出しながら、倒れ込んだレジェンドにしてやったりと口元を歪ませる)…貴様との闘いは…大いに堪能できたぞ… だが ――― ズ ギ ャ ア ァ ッ ! ! (左腕に集った宝石から宝剣を纏うようにつくりだし、その切っ先を横たわるレジェンドの心臓部に狙いを定める) 」

レジェンド「…… …… …… ……――――――――― ピ ク …  」

ジエル(完全体)「これで―――― 終 わ り だ ァ ッ ! ! ! ( ヒ ュ ォ ァ ッ ! ! )(その凶刃を以て止めを刺そうとするが―――) 」


――――――  ド  ス  ゥ  ッ  !  !  !  !  (凶刃が肉片を抉り、貫く。だが、それは――――)


ジエル(完全体)「――――……ゴ…ファ゛……ッ゛……!?(レジェンドではなく、何故か自身の身体に刃が突き刺さる。恐る恐るその部位を見下ろすと、その刃は自身がつくりだした宝剣のものではないことを知り、わなわなと唇を震わせる) 」

レジェンド「――――― ニ ッ (そう、刃を先に突き立てたのはジエルではなく、彼に殴り倒されはずのレジェンド自身だった。瞬間的に立ち上がると同時に、右腕より気を練り上げて生み出し、その腕と一体化した光の剣伸ばして彼に刹那の反撃を見舞ったのだ)……驚いただろ?俺にもこういう芸当ができんだぜ。(不敵な笑みを、驚愕する男へ送ると、その剣を消滅させて立ち上がる) 」

ジエル(完全体)「ガ…ッフ……ァ…!(体には数本の宝石が突き刺さっている。今更刃の一本に身体を貫かれたところでどうということはない…そのはずだったが、レジェンドの光芒たる聖刃には痛み以上の重い一撃が伴い、ジエル自身に想像以上の深手を負わせた。刺された部位と、口の端より鮮血を垂れ流しながら数歩退いていく)…や、はり……貴様は、そう簡単にはくたばってはくれないか……だが…ッ…! 」

ジエル(完全体)「…そうだ…この痛みこそが、高揚感が…!俺自身が今を生きていることを強く実感させる…!人間は、誰もが「生きたい」と願いながら日々を過ごしているように…「生」への執着こそが、誰もが渇望する最大の欲望だッ!!死ねばそこで終わり…だからこそ、人は誰もが、己が生を強く感じられる「生き甲斐」を求めたがる…!! 」

ジエル(完全体)「―――― 生き物は「生き甲斐」なくしては生きれない (止まらぬ荒い呼吸、溢れる流血…刻々と流れ出す時間が、ジエルという男を「生」の極致へと導きだす。時間と痛みを感じるいる度に、笑いが込み上げてくる。いまだかつてないほどに。「生き甲斐」を求める男は、己が人生において今こそが最高に輝いている瞬間なのだと謳うように、レジェンドの浮かべるそれとは違う大胆不敵な笑みをつくり、身を起こした) 」

ジエル(完全体)「――― ゥ゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ 才゛ 才゛ 才゛ ッ゛ ! ! ! !  (声高らかに、その喉を潰す勢いで雄叫ぶ。その咆哮に連れられるように空間一帯に張り巡らされた幾多の宝石が浮かび上がり、四方八方からジエルの胴体や肢体に次々と突き刺さっていく。全身に尋常ではないほどのエネルギーが注ぎこまれ、筋骨隆々たる肉体が更に屈強なものとして膨れ上がっていく。宛ら人の皮を被った化け物とも形容できる姿に、かつての面影が薄れていく) 」

ジエル(完全体)「 シ ュ ゥ ゥ ゥ ウ ウ … ッ … ――――― ボ ッ ギ ィ ン ッ ! ! (従来の二回り以上の巨体を誇った男は究極の姿へと昇華し、人としての限界を遥かに超越する。「生」への異常なまでな執着心が、このジエルという男を駆り立てさせたのだ。食いしばった歯間から白い硝煙を噴き出し、体表の血管が心臓のように激しい鼓動を帯び、血走った眼が紅色に揺らめていた―――) 」

レジェンド「……おいおい、随分男前になったじゃねェか(合わせた掌を下ろし、ジエルの中心部を視野に抑えたまま不敵に笑みを零す) テメェの御託にどうこう言うつもりはねェ。だから俺は、この拳で応えるだけだ。さぁ、来いよ。こっから互いに全力全開の―――― 殴り合いと行こうぜ(ジエルが奥の手を披露したように、自身もまた両拳を腰元まで引き抜く。すると黒に金のメッシュが入ったその髪が風に靡く様に逆立ち、徐々に赤みを増していく―――) 」

レジェンド「――― づ ぇ り ゃ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ー ー ー ッ ! ! ! (髪が瞬く間に紅に染まると共に、筋肉の繊維が皮膚下で膨張していく。溢れ出す膨大な金色(こんじき)のオーラが瞬時にその身を纏い、時空を振動させた)ギ ュ イ ン ギ ュ イ ン ギ ュ イ ン ギ ュ イ ン ギ ュ イ ン ギ ュ イ ン …(暴発した気は徐々に鎮まり、その身に凝縮される。体より迸る精神エネルギーは最早轟音であり、何処からか"線"を超えたような、視認できる程に圧倒的な強さを誇示した) 」



レジェンド「 伝説はつくるものじゃねェ…――― 塗り替えるものさ  」




――― ここから新たな"伝説"の幕開けだ ―――






ジエル(完全体)「――― ズ シ ャ ア ア ア ァ ァ ン ッ … ! ! (一歩目の踏み出し――それで大地が軋みを上げて割れ出し、瞬間的にレジェンドへと差し迫る) ―――ン゛ヌ゛ァ゛ア゛ッ゛!!( ヒ ュ ド ド ド ド ド ド ァ ア ッ ! ! ! )(広域にさえ及ぶ神速拳を散弾させると共に進撃を再開する)貴様がどれだけ足掻こうが、俺は越えられんッ!!(ふつふつと込み上げてくる憎悪とも取れる確固たる意志が、その醜悪な肉体の内側で脈打つ鼓動に呼応する) 」

レジェンド「ズッダダダダダッ!!(戦車の如く目の前にあるすべての者を蹂躙せんと強襲するジエルの拳を、等速の乱打でいなしていく)気の利いた冗談だ、そいつは面白い。聳え立つ狭間の壁があれば、それは超える為にあるものと認識する。優劣つけられるのは癪に触るが、今は貴様の戯言通り…俺が超える側になってやるよ(破裂しそうな憎悪とは真逆に、禁忌を脅かす程の強大なる力を勢威を表面には出さず、小さく笑みを浮かべる) 」

ジエル(完全体)「 抜 か せ ぇ え ッ ! ! ( ゴ ゥ ッ ―――― ズ シ ャ ア ア ァ ァァ ッ ! ! ! )(肥大化した右腕で前方の虚空を殴りつけると、大気中に凄まじい振動が迸り、それが強力な衝撃波となってレジェンドを吹き飛ばす) 」

レジェンド「ブォ!(衝撃波の波を受け、後方に体を浮かすが―――)そんなもんか?(先ほどまで抑えていた動力を解放すると、ジエルの衝撃波を塵が如く壊滅させる)シュインシュイン……(金色の粒子が溢れ出し、グッと握り拳をつくると)―――ハッ!!(まるで真似事ではあるが、ジエルへと大気を揺がす衝撃波を飛ばす) 」

ジエル(完全体)「―――ッ!!?( ド グ ゥ オ オ オ オ ォ ォ ン ッ ! ! ! )(反射されたかの如く返された衝撃…否、自らが放ったものの倍となって返ってきたソレに両足を浮かされる) ズググググ…ッ… ! ! ! …ヌググゥア…ッ…!!やってくるなァ…!? シエ゛エ゛エ゛エ゛ェ゛ェ゛ェ゛イ゛ッ゛!!!(掌を地面へ突きつけると地面から宝石剣山が幾重にもなって突出し、レジェンドを串刺しにせんと襲いかかった) 」

レジェンド「ヒ ュ ン ッ ――― フ ォ ン ッ――― バ キ ィ ッ ! ! ! (瞬間移動による高速回避で剣山を抜け、遠心力を付けた裏拳でそれらを粉砕しながら掻い潜っていく)―― ガ シ ッ ! (ジエルの腹部に掌を突きつけ――)――吹き飛べぇッ!!( ド シ ュ ア ァ ッ ! ! ! )(手中に生み出した気弾を零距離で放ち、ジエルを上空へと打ち上げた) 」

ジエル(完全体)「ヌグォ…ッ…!?(気弾と共に打ち上げられ――――) 」


――――― ド グ ゥ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ー ー ー ー ー ン …ッ… !  !  !  ! (打ち上げ花火の開花。歪んだ火花の雨が、闇夜の大地に降り注ぐ―――)


ジエル(完全体)「グゥ…ウウウゥ…ッ…!(立ち込める硝煙を振り払い、上空に停滞。地上のレジェンドを憤怒の籠った形相で見下す) グ グ ッ … グ ッ … ――― ド ゥ ッ ! ! ! (限界まで拳を引き、虚空を目がけ殴りつけるように振り抜くと共にその掌を開くと―――)―――― バ シ ュ ゥ ゥ ウ ウ ウ ウ ウ ッ ! ! ! (その手中より空間を貫く破滅の閃光を解き放った) 」

レジェンド「(徐々に迫る閃光を前に目を開く。目を、開き…リアクションこそ見えたが―――) グ ゥ ォ ン ッ ―――(迸る閃光が目前で迫ったその時、その斜光の上へと跳び乗り、まるで滑り台を逆走するように滑走し、閃光を伝って上昇していく) ヌ ゥ ッ (ジエルの目と鼻の先まで迫った頃には既に左拳が振り抜かれており――)―――どらァッ!!(その顔面を凹ませる勢いで殴り抜き、地へと叩き落とした) 」

ジエル(完全体)「ヅッ゛ッ゛ッ゛!!?( ズガガガガガガガッ―――ズシィィィイイイインッ!!! )(彗星が如く斜めに勢いよく落下し、地を抉らせながら吹き飛ばされた果てに壁へと盛大に激突した)――― 舐めるなよォッ!!( パ キ ィ ィ ー ー ー ン ッ ! ! )(砂塵を振り抜くと同時に両の掌を合わせた) 」


ボゴォンッ―――ボゴォンッ――ボゴォンッ――――ボゴォンッ――――ボゴォォオオンッ!!!(ジエルが手繰り寄せたであろう銀柱が地面から幾つも突出する。高層ビルに匹敵する大きさを誇るそれらは次々とレジェンドの一点目掛けて襲い掛かる)


レジェンド「(宙にて腕を束ねて悠然と待ち構えていたが、次々と迫るビル群のような幾重の柱を見据えると) ド ォ ゥ ッ (虚空を蹴り上げ急降下飛翔。澄ました表情でそれらを振り抜いていく)ズザザザザァーーッ…!!!(斜めに突き出されてきた銀柱へと着地すると同時に滑走。その時の表情はスノボーを嗜む好青年の好奇心のそれであり、まるで楽しむように口の端を上げていた) タ ン ッ ――― 耐えられるか?(その勢いをつけた鋭い跳び蹴りを、地上に立つジエルへと繰り出した) 」

ジエル(完全体)「グゥ゛ゥ゛ウ゛ッ゛!!?(ボグゥォンッ―――ボゴォンッ――ボグゥンッ―――!!)(交差した剛腕でその跳び蹴りを受け止めようと試みるが、抑えがまるで効かないのか速度は低下せず、退路上に現れた柱群を次々と貫きながら圧倒され続ける)――― ッハァァアア!!!(両腕を振り抜いてレジェンドを振り払うと同時に、無数の宝石を手繰り寄せて横薙ぎの豪雨が如く解き放つ) 」

レジェンド「(幾つもの鋭い宝石が飛来する光景が、レジェンドの目にはスローモーションに見えているのだろうか…その軌道のすべてを読み切ったかのような無駄の無い回避移動で受け流しつつ、引き抜いた右拳に螺旋状の空気が視認できる程に濃く圧縮されていく)―――“螺旋火炎撃(フィリヤースライドブロウ)”―――(右回転による摩擦で急激発火したその拳が紅蓮に染まり、飛来する宝石諸共ジエルを屠る勢いで炸裂させる) 」

ジエル(完全体)「 ヅ ゥ゛ ッ゛ ッ゛ ッ゛ ! ! ? (太陽の高熱よりも「熱い」闘志を纏うレジェンドの拳が全身に炸裂し、想像を絶する激痛に口内より血の匂いが混ざった黒煙を吐き出す) 」

レジェンド「まだまだいくぜ( ドッガガガガッギッドォンッガガァンッ!! )(ヒートアップする拳は更なる闘志を燃やし、無極の乱撃を爆裂させん勢いで怒涛の進撃で圧倒していく) そおいッ!! ( ヴ ァ ァ ン ッ ! ! )(銃撃のような響音と共に、ジエルの胸部から腹部にかけて鉄山靠をぶちかまし吹き飛ばす) 」

ジエル(完全体)「 ン゛ グ グ グ グ ゥ゛ ッ゛ … ! ! ! (散弾銃の如き勢いで絶え間なく繰り出される乱打を、屈強な肉体を全面に張り巡らせて全身で受け止めにかかる)グッ、ギィ゛ィ゛…ッ゛……!!(苛烈な一撃にその鋼の肉体が屈折させられ、僅かに見悶える) 図に乗るなァッ!! (憤慨に咆え、鋭い宝石を五本指に纏うことで獰猛な獣の如き鉤爪を形成し、レジェンドに鋭い爪痕を刻もうと豪快に振り抜いた) 」

レジェンド「 ト ン ッ (勢いに身を任せたジエルとは対照的に、その関節部位へ軽い肘打ちを繰り出して斬撃の鉤爪の軌道をズラすと―――)―――せいりゃあッ!!(身を翻すと同時にガラ空きの脇腹へ鋼をも容易くへし折る勢いの回し蹴りをめり込ませ、大きく吹き飛ばす) 」

ジエル(完全体)「 ン゛グゥ゛ア゛ァ゛ッ゛…!!? (攻撃をいなされただけでなくその直後に反撃を見舞われた驚愕を感じる間もなく蹴り飛ばされる)――― ハ ッ ! ! ! (吹き飛ぶ最中、鉤爪として装備してた五つの鋭利な宝石を射出した) 」

レジェンド「ドッ――ギンッ――ボキッ――バキンッ―――バギャァンッ!!(初手を右手で叩き落とし、二手を左手の手刀で斬り落とし、三手をサマーソルトキックで蹴り砕き、四手を振り抜いた裏拳でその側面を殴り砕く。そして最後の五手を、眼球に突き刺さろうとしたその寸での所で素手で掴み取り、握り砕いた)―――ふんッ!!(五つすべての宝石を砕いた後(のち)、迫ったジエルへと愚直な――純粋な破壊力を持つ――ストレートナックルを見舞う) 」

ジエル(完全体)「 ! ! ? (五つの宝石を避けるならまだ解る。否、そもそも避ける隙すら与えない素早い反撃のつもりだったが、それでも避けたのならまだ解る。だが、目の前の男はそのすべてを砕き抜いた。その一瞬で。驚愕に目を見張る最中、レジェンドの直進的な拳が左頬へと炸裂し、殴り飛ばされたことで転がり倒れた) 」

レジェンド「……まだそんなモンじゃねーだろ。テメェの「生き甲斐」とやらはよ。だったらとことん見せつけに来いよ。(フリーの片手を前に突き出し「こいよ」と挑発する) 」

ジエル(完全体)「……ク、ハハ…クッハハハハ……!(地に倒れ伏す男は込み上げてくる笑いに耐えられず、ついに自嘲するように浅く笑いながらその身を起こした)…言われなくてもそのつもりだ……!俺はこの程度で倒れはしないのだからな…ッ…!(全身に突き刺さる幾つもの宝石が不気味な光を放ち、ジエル自身に更なるエネルギーを注入していく。既にその肉体に飽和しているにもかかわらず、皮膚は破裂寸前まで大きく膨れ上がっている) 」

ジエル(完全体)「 ダ ァ ン ッ ! ! ! (瞬く間に天高く跳躍する。空中で蹲った状態で停滞し、力を溜めこむ)ググググッ…――――― バ ァ ン ッ  ! ! ! ! (隕石にも匹敵するほどの、四つの巨大な紅弾が周囲に現れる)滅びろッ!!(その口上に巨弾がひとつずつゆっくりと動き出し、地上のレジェンドを押し潰す勢いで降りかかる。それは、ひとつひとつが大地を無に帰す程の絶大的な破壊力を持っているかのような勢いであった―――) 」

レジェンド「……っとぉー…そいつは、確かに"よくないな"……!(既視感のあるその技に初めて危機感が過るが、それでも依然として表情は崩さない)……そうかい、そんなに激しいのが希望かい。 ヴ ォ ン ッ ―――― ! ! (不敵にせせら笑うと、その腕に顕現したレモン色の光を手繰り、今度はバットに似た鈍器を形成する) 」

レジェンド「ぃよっ―――(そのバットを右肩にかけて宙へ身を乗り出す) ずえぇぇいッ!! (最初に迫る巨弾を狂喜乱舞するように身を捻り遠心力を付けたバットで横方向へと殴り飛ばし、第一の壁を突破)どぅえァッ!!(続く二つ目を蹴り飛ばし、三つ目の巨弾にぶつけさせることで相殺し、第二・第三の壁を同時に粉砕)―――かっとばすぜッ!!(最後の巨弾を、回転を帯び最大限に遠心力をかけたバットの強打で穿つ勢いで振り抜き、そのままジエルへと跳ね返す様に第四の壁を越え、見事にすべての巨弾を退けた) 」

ジエル(完全体)「なんだとッ……!!?(ひとつひとつが世界を滅ぼしかねない破壊力を有する死重奏の巨弾をいなした、たった一人の男の行動に仰天しつつも、こちらに向けて跳ね返された巨弾への対処に向けて両の掌を突きつけ、滞空した状態で受け止めにかかった) 」

レジェンド「支えが必要なら手伝ってやるさ―――― ガ ッ (ジエルが受け止めている最中の巨弾を素手で鷲掴むと――)―――― づ ぇ え い ッ ! ! (気迫の籠った一声と共に握力を力ませ、粉砕。巨弾の残滓が火花のように散乱していく中、頭上のジエルへ不敵な笑みを送るように見上げ、バットを突きつけた)―――プレーボールはまだ始まったばかりだぜ。(それは挑発とも取れる眼差しを。、ジエルへ向けた) 」

ジエル(完全体)「…ッ……――― 今に終わらせてやるッ!!( ヴ ュ オ ワ ン ッ ――― ジ ャ キ ィ ィ ン ッ ! !)(左腕を天高く掲げると宝剣をその腕に纏い、虚空を薙ぎ払う)ヌエエアアァッ!!!(ズ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ッ ――― ジ ャ キ ン ッ ! ! ! )(背面に16本の宝剣を模した宝石の刃を展開) 」

ジエル(完全体)「仕留めてくれるわッ!!( シ ュ ド ド ド ド ァ ッ ! ! ! )(宝石の刃それぞれが複雑軌道を描きながら高速で飛び交う。その標的は無論、レジェンド唯一人) ギエ゛エ゛エ゛ェ゛ェ゛ーーッ゛!!!(そして追撃を仕掛けるかのように、左腕に纏った宝剣で上空より急襲していく) 」

レジェンド「バ ァ キ ィ ! !(1本目の上段左前方の顔面に迫り来る宝石を、左裏拳で退かすよう打ち砕く)バ キ バ キ ッ !(死角、右方向真横から突き出して来る2本目の宝石はフリーの右腕で刃から掴みあげ、右上方から振り注ぐ、喉に向けた3本目の宝石を掴み上げたソレで振り上げて砕く) 」

レジェンド「バギャァッ!(真正面、4本目を、振り上げた宝石で叩き砕き、武器を消滅)ガ シ ャ ァ ! !(左から胸部を横に抉る5本目と、右から腹部を抉る6本目をガッと掴み)バ ッ バ キ ャ ァ !(背中から襲いかかってきた7本目、8本目に対し、振り返り様に掴んだ双刃で叩き割る) 」

レジェンド「バ ギ バ ギ バ ギ シュバン ! !(奇襲の宝石を狙撃し終えると、反転の慣性を殺さないまま、5、6本目と共に回転斬りを繰り出す。左真横の9、地面を抉るような低空から襲いかかる10、再び喉を狙いくる11本目へ、回転斬りの軌道を合わせ砕いていき、双刃をバッと上空へと投げつける)パキパキィ!(手前まで襲いかかってきた12、13本目を投擲した刃で砕き)ズガンッ!!(残り正面の3本、自ら地面を叩き割ると、地は抉れ畳み返しのように地壁が立ち宝石の勢いを全て消す) 」

レジェンド「スッ(残った17本目の刃――ジエル本体――へ対抗すべく、左腕を垂れ下げると――)――― ヴ ォ ン ッ ! ! (腕自体がレーザービームのような鋭利且つ消滅的な姿形となり、ジエルの攻撃に合わせ腕を振るった) 」

ジエル(完全体)「 ガ キ イ ィ ィ ―――― ン … ッ …  ! ! ! ! (16本にも及ぶ宝石の欠片が砕け散っていく中、レジェンドの光刃と激突し残響が空へ)…フゥー…ッ… ! ! ! フゥウウゥゥーーッ… ! ! ! (蒸気にも似た勢いづいた吐息と共に、目と鼻の先のレジェンドを睨みつける) 」

レジェンド「ギチ…ッ…ギチッ、ギチッ……! どぁッ!( ド ォ ン ッ !! )(拮抗する剣戟から火花が散らせ、大胆不敵な笑みを浮かべ、鍔迫り合い状態から水平蹴りで距離を保った) 」

ジエル(完全体)「 ズザザァー…ッ… ! ! (水平に蹴り飛ばされ、互いに距離が開く)―――――ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ッ゛!!!キ ュ オ ォ ―――― ン … ッ … (右掌に赤黒の邪気が集束――)―――   ド   オ   ゥ   ッ   !   !  !  (万物を滅ぼさん勢いの赤い閃光を直線状に放った) 」

レジェンド「ヅ ガ ガ ガ ァ ! !(両足を地に付け、瞬時に金色の粒子は波状に身から溢れ出す)よっしゃァァァアアア!!!(対象を、概念ごと屠るであろうその閃光に対し、金色粒子と共に突撃する)ヅガガガガガガァァァアアアアーーーッッ!!(閃光に呑まれるも、その姿、宛ら”無敵”であり、衣装も焦げ一つ付かず閃光の発生源まで通り抜ける) 」

レジェンド「どうしたァ!!( ゴ ォ ッ ! ! )欲望に身を任せたその図体が!( メ ギ ン ッ ! ! )俺の速度にはついて来られねえかァ!!?( ドッ、ゴォッ ! ! ドドドッ ! ! バキッ、ドギャァッ ! ! ! )(傷もまともに付かずジエルの目前まで迫ると 左拳で命中率の高い左胸に打撃→右腕による肝臓打ちで一回り巨大な図体、体勢を崩そうと試み→逆サマーソルトキックで脳天を砕く光速打撃連携を繰り出す) 」

レジェンド「お熱くなるのは結構だ―――が、俺の"熱さ"を越えられるかな ( ダ ン ッ ――― ボ オ オ ォ ォ ォ ッ … ! ! ! )(空間を貫く勢いで駆け抜ける。右腕に再び光剣を纏い、地面すれすれにその刃を振り抜く。それにより生じる摩擦熱で発火する剣は紅蓮に染まる)グルンッ―― ズボアアアァァァッ ! ! ! (螺旋を描き、その火炎を身に纏いながら接近していくと――) 」

ジエル「グァ―――ッ!!??(ド ッ、 ゴ ォ ッ ―――― ズ ギ ャ ア ア ア ァ ァ ァ ン ッ ! ! ! )(隙の無い連撃に地にねじ伏せられていく)――――!!!!(殴り飛ばされた後に態勢を整え直したその間、目と鼻の先でレジェンドの接近を許してしまう) 」

レジェンド「(――“螺旋火炎斬(フィリヤースライドクロウ)”――)―――― ゼイリャアアアアアァァァァ!!!(ザクザクザクザクザクザクッ!)(ジエルの胴体に次々と聖火の痕を乱れた形で残していき)ゾオオォォオオオオリヤァァアアアア!!!(振り上げた劔を真一閃に、その中心へと振り下げた) 」

ジエル(完全体)「 グォッ…オオォォッ…ウグォオオオアアアァァッ!!!(全身を焼き焦がす銃弾の如き一撃が次々と全身を抉り出し―――)――― ン゛ギ゛ィ゛イ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ーーーッ゛ ! ! ! !(全身に刻まれた赤い閃が、身に突き刺さる宝石諸共焼き焦がされていく) 」

ジエル「――― シ ュ ゥ ゥ ゥ … ッ … (全身に突き刺した宝石が砕かれたことで、極限まで強化された肉体が元に戻っていくように、膨れ上がっていた筋肉が圧縮していく)…ゼェ゛…ゼェ゛ェ゛…ッ゛…!!…やってくれたな……だがッ!!(身を焦がす激しい痛みに耐えながらも立ち上がる。そして右腕を掲げ、振り下ろす。それは、天上より何かを呼び起こす引き金となる―――) 」


ズ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  …   ッ  …  !  !  !  !  !  ! (いつの間にか天蓋にて現れた"凶星"――― ジエルに幾万もの宝石で構築された幾多の隕石が雨の如く降り注いだ)


レジェンド「 ニ ィ ッ ―― 随分でけぇ飴ちゃんだな (その身の輪郭を輝かせ、音速を超えて隕石のもとへ飛翔) ガ ッ … ――――― シ  ュ  オ  ン  ッ  ! (両手の付け根を合わせ狼の牙を思わせる構えを取ると、そこで瞬間的に消える) 」


ド ッ ―――― ゴ ォ ッ ―― ボ ゴ ォ ン ッ ―――― メ ギ ャ ア ァ ン ッ ―― ド グ ゥ オ ァ ッ ――― バ ゴ ォ ン ッ ―――――― ズ ギ ャ ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ン ッ ! ! ! ! (地上へ差し迫る隕石の一つ一つが瞬く間に粉砕し、その残骸が焼き菓子のようにぼろぼろと崩れ落ちていく)


レジェンド「――― シ ュ オ ン ッ (あえて壊さず残しておいた最後の隕石の下へ姿を現し…)―――― ガ  ッ   !  !  ! (それを"片手で掴み上げ"――)――― そおおおらああああぁぁぁぁぁぁああああーーーーッ!!(ジエルへ直接"ぶん投げた") 」

ジエル「―――――!!!??( ゴ ッ ―――― ズ ギ ャ ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ン ン ッ ! ! ! ! )(隕石を投げ返すという、単純にして豪快な、それでも超人の域を遥かに越えたその神業に瞳孔が縮み、ひどく仰天する。迫る隕石を全身で受け止めようと大の字に広げるもそのまま呑まれてしまい―――) 」


――― ド ギ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (隕石に呑まれたジエルはそのまま柱群や残骸の山に激突。最果ての壁に巨大な穴をつくりだし、大きな土煙を上げて崩壊した)


ジエル「パラパラ…ッ… ……グゥゥ…ヌグゥゥ…ッ……!!(瓦礫と砂塵の中から左腕で顔面を抑えつけながら現れる)…あり…えん……ッ…!俺が…この俺が…ァ…ッ……!!!(なおもレジェンドに抗おうとするが、その身体に蓄積されたダメージは既に限界値を越えていることから瀕死寸前であった。それでも、「生き甲斐」の為に男はその身を起こした―――)―――む゛う゛う゛う゛ぅ゛ん゛ッ!!( バ ギ ィ イ ッ ! ! ! )(振り上げた片腕を大地へと炸裂させ、その拳を地にめり込ませ) 」


―――― ボ ギ ャ ア ア ァ ァ ァ ア ア ア ン ッ … ! ! ! ! (ジエルの周囲にて間欠泉の如く宝石の濁流が至る箇所より次々と湧き出し、それらがジエルを取り巻き、包み込んでいく―――)


ジエル(巨人)「 パ キ パ キ パ キ ィ ッ … ――――― ズ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ォ ォ ォ オ … ッ … … ! ! ! ! (交錯するように重なり合う宝石の濁流はやがて水晶体の巨人を形作り、ジエル本人はその胸部の内側にて"核"となる。そう、この姿こそ…開会式会場にて披露した能力の、真の解放だった) …この闘いを制した者が"すべて"を手にする…!俺はその"すべて"を手に入れる…―――― 貴様を殺してでも、奪ってみせるぞァッ!!!(全身全霊の雄叫びを上げ巨人と化した男が前進していく) 」

レジェンド「知ってっか?ヒーローショーで敵が巨大化したんなら ――― それはもう敗北(まけ)フラグなんだよ(対峙する巨大な影を前に臆することも驚くこともなく、ただ平然と佇む。こちらへ迫る度に震撼する大地に揺らされながらも、双脚は決して地から離れない。それはこの男の確固たる意地がそこにあるようにも感じられた――)―――(その中で、瞳を閉ざす) 」



レイジェ「―――― おい(レジェンド精神世界にて相棒を呼ぶ) 」

レインド「―――― どした(淡泊に、一言) 」

レイジェ「そろそろ俺たちも限界が迫ってる。俺としちゃあ願ったり叶ったりだが、ここで仕留め損ねたらそれこそ俺たちもお終いだ。……決めるぞ。 」

レインド「あいよ ―――――(鼻で笑いながら、その口角をあげる) 」




レジェンド「―――― ……(静かに瞼が開かれる)…… グ ッ …―――― ズ  シ  ャ  ア  ア  ァ  ッ  ! ! ! (眼前より迫る巨大な影を睨み上げ、右腕に光剣を纏う。その輝きは以前にも増して眩く、神々しく、そして…あたたかかった)――――― ド ン ッ ! ! ! (剣を手にした英雄は今、翔び上がる―――) 」

ジエル(巨人)「(飛来するレジェンドと交わす視線に、憤怒や戦慄など、ありとあらゆる負の感情を剥き出しにする。だが、それこそジエル自身が気づきもしなかった彼自身の純粋な闘志からなるもの。ジエルは、心の何処かでこの闘いに――熱狂に――昂らせていた)―――撃ち落とすッ!!!( バ シ ュ ゥ ゥ ゥ ウ ウ ウ ン ッ ! ! ! )(頭部の目元らしき部位より二対の赤黒い閃光を射出し、、レジェンドを滅そうとする) 」

レジェンド「 ギ ュ ン ッ ―――― グ ゥ ォ ン ッ ! ! (彼方より迫る双閃の内一方を軸に、それを包むように螺旋状に飛翔しながら前進していく) ズ ッ バ ァ ァ ア ア ア ン ッ ! ! ! (もう一対の閃光には刃をくれてやり、バターを裂くようにその中心を断裂しながら前進。二方向に別れていく閃光の中を突き進み、巨人の頭部へと迫ると―――) 」

レジェンド「―――ヅダンッ!!(その右頬にまず一撃の右スマッシュ) ギュインッ (腰元まで引き抜いた左腕に気力を注ぎ)どらぁッ!( ヅッガァァアア!)(魂をも焼きつくような閃光のアッパーで追撃し、殴り抜ける) 」

ジエル(巨人)「 ヅ ダ ン ッ ――――  ド   ゴ   ォ   ッ   !   !   ! ( ――― ! ! ! ? )(驚愕する間もなくレジェンドの苛烈な殴打に巨人が殴り抜けられ、その衝撃が巨人の全身を伝って自身へと届く。まるで紫電が迸ったかのように一瞬身動きが止まるが)――― ギ リ ィ ッ (歯を食いしばりながら睨み返すと、怯んだその身を叩き起こす様に仰向けに無理矢理反った) 」

ジエル(巨人)「―――― ヌ゛ エ゛ エ゛ エ゛ エ゛ エ゛ エ゛ エ゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ッ゛ ! ! ! ! (口元が張り裂けん気迫で大きくな咆哮を猛ばせ、限界まで引き抜いた巨腕による全身全霊全力全開の、最後の一撃を振り抜いた) 」

レジェンド「(殴り抜けた後はそのまま上空にて踵を返し、右腕の光刃を消失させながら巨人の挙動を伺う。その巨腕が差し迫る中で――――) 」



―――――― " レ イ ン ド さ ん / レ イ ジ ェ ー ! " ――――――(二人の少女の声が重なり、木霊する。その声が、今まさに飛び上がったレジェンドの背を静かに、強かに、あたたかく、押した―――)


レジェンド「―――― " あいよ " ――――(呼応すると、自分の周りは故郷のように安堵をくれた。本当の意味で、負ける気がしなかった)――― さて、くれてやるよ (巨拳は目の前に、その勢いが身に迫る最中…滞空にて腰を深く落とし、腰元まで引いた両手の付け根を合わせると、その中心にて輝光の粒子が集い――― 一つの大きな光球となる) 」




――――― “ フ ァ イ ナ ル ブ レ イ ク ” ―――――




レジェンド「――――  づ え゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ー ー ー ー ー ッ゛ ! ! ! ! ! (突き出した光球は瞬く間に一筋の大きな閃光となりて解き放たれ、迫る巨拳もろとも巨人を、ジエルを、この深淵たる空間を、その光で満たしていく――――!!) 」


ジエル「 ッ゛ ッ゛ ッ゛ ――――――― (振り抜いた拳を滅せられ、自身を纏う水晶体が砕かれ、閃光が眼前まで迫るその最中…そこに一つの答えを見出した) 」


―――― ああ、そうか…すっかりと、忘れていたな… こんなにも熱狂したのは、はじめてだ…


……この闘いの中でもう既に…求めていた「生き甲斐」を、手にしていたのだな―――


――― ド グ ゥ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ー ー ー ー ー ー ー ー ン ッ ッ ッ ! ! ! ! ! (巨人を滅ぼし貫いた閃光はそのままゼローグの強靭な肉体ですらその内側より貫く、それは誰かの「夢」を乗せた彗星のように、異空間の果てへと飛んでいくのだった――――)




レジェンド「 眠りな、「夢」の中で…――― (風穴の最果てへ飛んでいく閃光の行く先を見届けると地に降り立つ。その後、レジェンドの身体が眩い光に包まれ―――)」



レインド&レイジェ『――――(―――二つの影に別れた。二人の男は大きく疲弊したのか、腰を地面につけて、しばらく何も口を交わさずにいたが…)』

レイジェ「……お前との合体は、二度と御免だぜ…(その沈黙を破るように、「うげぇー」とユーモアな表情で項垂れながら舌を出す) 」

レインド「……同感だ…(二日酔いのような青褪めた表情で目を伏せ、その額に手を添える) 」

レイジェ「……―――― ス (またしばらく静寂に包まれていたが、そこで胸元のポッケから煙草を一本取り出し、隣のレインドへ視線を向けることなく差し出した) 」

レインド「……お前、まだ禁煙してなかったのか。(ジト目気味に煙草をそっと突き返した)……いつかお前も俺みたいになる。頑張れ。 」

レイジェ「…そいつぁ……随分遠い未来になりそうだな…(自嘲気味にせせら笑い、煙草を胸元へ閉まい込んだ) 」

レインド「あぁ、そうかもな……(小さく笑い続け、ニカッと白い歯を見せて小さく笑った) 」

















――――― 第8章 : 生き甲斐 ―――――





















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最終更新:2022年12月31日 22:22