放たれた矢の数はもはや数え切れず。
撃ち落とした虫の数など最初から数えてもいない。
打ち上がる矢は幾度となく蝗害の群れを引き裂き、司令塔と見られる男の身体を損壊させている。
「思ったより粘るじゃねえか。いい具合に腹も減ったぜ」
結果として、与えたダメージは微小。
蝗害の総軍規模にさしたる変化は見られない。
病院を取り囲む飛蝗の大軍は勢いを減じる気配もない。
しかし永遠のように感じられた防衛戦にも終わりが見え始めた。
アーチャー、
天若日子は潮目の変化を感じ取る。
外ではなく内の、彼のマスター、
アンジェリカ・アルロニカの戦場にて、今何かが起こっている。
魔力のパスを通じて感じ取る、主の微細な変化。
果たして吉兆なのか、凶兆なのかは分からなかったが。
このまま消耗戦を続けても、未来がないことはわかっていた。
現状、彼等は利用されている立場にある。
眼の前の蝗害、病院を支配する老魔術師、あるいはホムンクルス。
どの思惑に従っても、アーチャーとアンジェリカにとって、良き未来を得ることはできないだろう。
もっとも立場を危うくする彼らは、見定める必要があった。自らの勝利条件、その根幹を。
(第2宝具であれば、虫どもの壁を破ることは可能か……?)
対神宝具、『害滅一矢・天羽々矢』。
アーチャーの最大火力を発揮可能なそれであれば、蝗害にまともな損害を与えることはできる。
殲滅にこそ至らなくとも、病院を取り囲む黒き旋風に風穴を開け、アンジェリカを連れて脱出することも不可能ではないはずだ。
(しかし、それには……)
近くで飛びかかる虫達を撃退している赤きランサーと目が合う。
アーチャーを護衛する彼女は、事実上の目付け役を兼ねていた。
病院を見捨て、マスターを連れての脱出に踏み切れば、仮初の協力関係は一瞬して破綻する。
第2宝具発動にはそれなりの溜めも発生するため、意図を見透かされてしまえば危険に陥るのはこちらの方。
彼女を敵に回してでも、動くべきか。機を見るべきか。
タイミングは分かっている。
高ランクの千里眼を有するアーチャーには、その未来が見えていた。
だが訪れる機会を如何に使うかは、彼と、彼のマスターにかかっている。
「……………おっと、そろそろか?」
シストセルカが声に喜色が混じる。
ピシ、と。アーチャーの足元から、悲鳴のような金属音が生じた。
それは遠くない未来に予見していた事態。
(時が来たか……しかし……)
彼等が選択を迫られる、動くべき、否、動くほかない機会の筈だった。
しかし今、アーチャーは心中で警戒を強める。
(これは私の読みより相当早いぞ……何か、良からぬ企てがあるな……)
やはり施設の内部で、何かがあったとしか考えられない。
不確かの到来に、決断を迫られた彼の足元で今。
一匹の虫が侵食する。
遂に、外壁の結界が崩壊し、最終防衛ラインが突破されたのだ。
「―――ありつかせて頂くぜ」
蝗害の顎が、王手をかけた。
ここに対峙した陣営は、それぞれの決断を提示する。
巻き込まれた彼女らもまた――
「佳境だな。準備はよいか、アンジェ」
◇
2度開催された聖杯戦争。
その〈1回目〉と〈2回目〉の違い。
大きな変化の一つとして、従者の召喚条件の差異がある。
2回目において、〈はじまりの六人〉も、新たに集められた演者達も、全て平等な条件によって行われた召喚。
自らの運命に任せたアトランダム。
そこに針音の仮想東京が許容する霊基のイレギュラー性も相まって、様々な混沌や特異個体が現れた。
いま、病院を襲う蝗害もその一つ。
しかし1回目の時点ではそうではなかった。
土壌の特異性は抑えられ、聖杯戦争の秩序と手順が存在していた。
つまり、そうであるが故に、1回目でなけれは出来なかったこともある。
たとえば、触媒を利用したサーヴァント召喚。
狙ったサーヴァントを引き当てるという行為。
ノクト・サムスタンプが自らにとって最適のアサシンを選び抜いたように。
蛇杖堂寂句が構えた要塞から狙撃を放つアーチャーを登用したように。
ガーンドレッドの魔術師が、爆弾となるバーサーカーを構築したように。
この点は2つの聖杯戦争における大きな差異であると、ホムンクルス36号――ミロクは考えている。
そしてもう一つの差異。
事前に土壌に根ざした工房を準備できるという、1度目の強み。
それをそのまま引き継いでいるという意味で、蛇杖堂寂句の優位は絶対的であった。
必ず、早期に手を打たなければならない。
結果として、彼等はここに対峙し、その時点で、ホムンクルス36号は勝利している。
以前の彼であれば、自らの生死に頓着なく、ひたむきに一人の少女の勝利だけを望んだ彼であれば、この時点で勝っていた。
しかし、今の彼の勝利条件は、以前とは少し違っている。
故に――
『次の連携打撃は2連と見せかけた5連構成。腕の動きに惑わされず、足元の警戒を怠るな』
ミロクはアンジェリカ・アルロニカの支援を継続する。
自らの特性を存分に活かし、彼女の戦線を維持し続ける。
「あんた……わたしに、なにしたのよ……!」
少女と白衣の偉丈夫との交戦は続いている。
アンジェリカの声音には困惑が含まれていたが、その動きは先ほど迄とは明らかに変わっていた。
電光の身体強化、動きのキレが急激に上昇している。
加速思考に運動量が追いつき始めた。つまり、ジャックの指摘した弱点が改善されつつある。
『それほど特別な事はしていない。君の回路を少し整えただけだ』
確かに彼は特別な力を与えたわけでも、魔力付与(エンチャント)による外的強化を行ったわけですらなかった。
これは全て、アンジェリカ・アルロニカが元々備えていた才覚によるもの。
彼に無いものを与える力はない。そもそも彼には周囲を援護する為の魔力保有量がないのだから。
ただし彼は、魔術師として最高の分析力と感覚器を備えたホムンクルスは、魔術回路を操ることに関しては"自他の区別なく"超抜の技術を持つ。
魔術回路の調整。
才ある者にとっては転機と成りうる精密技巧。
それは彼を創造したガーンドレッドすら、意図していなかった隠されし才覚。
かつて爆弾の信管、3人の魔術師の魔力をサーヴァントに置換する変換器であった彼の、調整機器(チューナー)としての副次機能。
彼の手管によって今、アンジェリカ・アルロニカは、その才能を数段飛ばして開花させたのだ。
「そんな勝手に……!」
アンジェリカの文句は戦闘の打撃音にかき消される。
急激な能力上昇を持ってしても、今の彼女には余裕がなかった。
対敵の脅威は未だに最高値を維持している。
超高速で打撃技の応酬を継続する二人の魔術師。
同時並行で片側、老魔術師には多数の尖兵が襲いかかっていた。
アンジェリカの相手をしながら、『奇想誘惑(ザバーニーヤ)』によって操られた者たちを蹴散らし続ける。
やはりこの場で最も恐るべしは蛇杖堂寂句、暴君は未だにその実力の底を見せていない。
飛来する剛腕の当身を躱し、アンジェリカが反撃のミドルキックを撃ち込む。
それを受けた蛇手が少女のブーツを掴み、極め技に移行。
すかさず靴底から雷撃が放たれ、男の腕を弾くも隙を潰しきれてはいない。
危険域から身体を逃がそうとするアンジェリカに襲いかかる追撃、させじと割って入るアサシンの尖兵達。
まさに大混戦。
継続される戦闘。
吹き飛んでいく患者達を横目に、アンジェリカはふと、状況の奇妙さに空を仰ぎそうになる。
『身体強化のコントロールが不十分だ。攻撃に用いる電撃と防御に用いる電撃、バランスよく使い分けろ。
頭から手先、足先、均等に魔力を回すイメージを持つことだ』
脳裏に響き渡る。
ホムンクルスの淡々とした指摘。
「踏み込みが甘いな小娘。少しばかり動きがマシになった途端に体力切れか。
先程から蹴り技ばかりで単調に尽きる。格闘戦で癖を読まれることは即ち、敗着と同義と知れ」
耳朶に突き刺さる。
蛇杖堂の突き放すような説教。
なんなのだろう、この状況は。
期せずして、まるで修行でもつけられているかのようだった。
敵も味方も容赦などない。紛れもない命のやり取りの渦中にありながら。
「あんたたち―――」
ここにいるのは、最高峰の魔術講師と、最高峰の技術講師。
最高の鬼教官たちに囲まれて、少女は急激な飛躍を成し遂げる。
「ほんと、最悪―――!」
ああ、ふざけるなと言いたい。
これは〈はじまりの六人〉、その二人が繰り広げた闘争。
亡霊共の板挟み。その中央にて、巻き込まれた少女は今、一人静かにキレていた。
そうして、永遠に感じられた数分の先。
遂に、戦況が動く。
最初のドミノを倒したのはやはり、この戦場の絵を描いた張本人。
忠誠の示した一手が、無敵の暴君に王手をかけた。
『―――大将、いいんだな?』
『ああ、やってくれ。アサシン』
どこか、遠くで響き渡る、致命的な破壊音。
施設内部から齎される、結界の崩壊。
病院内にて、障壁結界を維持するために仕込まれた楔と要石。
その全てを破壊して回っていたアサシンがたった今、最後に残された防波堤を踏み砕き。
ぱりん、と。
軽い音と共に、ジャックの足元に黒い礫が落下した。
病院の長い廊下の中央部。
外と内を隔てる窓ガラスに、こぶし大の穴が空いている。
その場にいた全員の動きが静止する。
ジャック、アンジェリカ、ミロク、操られたままの患者達。
全員が動きを止め、床に落ちた塊を注視していた。
―――きち。
そして小さく、鋭く鳴る。
虫の音。
蝗害、土地喰らいの軍勢、決して通してはならない一匹の侵入。
―――き、ち、ちちち、ぎぎぎ、が、が。
少しずつ、声に変わる音。
こじ開けられる陣地の守り。
「―――が、ぎぎ、ぎ、あ、ああーあ、あ、あ、あ―――よお、聞こえてるか、爺さん?」
虫の一匹。
シストセルカの声を伝える振動。
それは、老魔術師へと、遅まきの宣戦布告を執り行う。
「イリスからの伝言だ。
『存分に死ね、老害(クソジジイ)。その性根に相応しく、蟲の糞にでも転生しろ』
―――だとよ」
一斉に爆裂する廊下の窓ガラス。
殺到する黒き嵐。
貪り食われる患者達、削り取られるコンクリートの壁、破壊し尽くされる地盤の全て。
遂に訪れた盤面崩壊。
阿鼻叫喚の地獄が顕現し、ここに長く続いた一連の騒動の、最終局面が訪れた。
◇
蛇杖堂寂句は自らが天才であることを知っている。
彼は若い頃から魔術においても医術においても優れた技量を発揮し、他者に遅れを取った事など一度もない。
しかし彼は、世の中には己以上の才覚が存在することを知っている。
生まれつき定められたスペックの最大値で測るなら、その上限にはキリがない。
しかし彼はそういった才に溢れた者達の中に、己より優れた能力を持った存在を見出すことは殆ど無かった。
彼等は決まって、ある一つの重要な素養を欠いている。
即ち、自らの豊かな才の本質を見極め、引き上げる頭脳の欠如。才があったとて能のない、無能だ。
才と、才を伸ばす能、兼ね揃えた真の天才はほんの一握り。
蛇杖堂寂句は、自らが本物の天才であることを知っている。
そして今は、本物の天才ですら、破綻するほどの畏怖を知っている。
「侮られたものだな」
そして彼は、知り得た全てに手を打つ事ができる。
「蝗害。仮想の東京を貪り、私の工房を喰える程に総体を肥やした災厄の乗り手か」
吹き荒ぶ黒嵐を前に。
伸ばした白衣の両袖口から、銀の光沢を放つ長細い装置が滑り出る。
「ガーンドレッドの置き土産。
無能なりに考えたわけか、私の目を虫と鼠に向けさせ、貴様の存在と狙いを秘匿する。
なるほど、結界を崩した手際については、少しばかり評価してやらんでもない……が」
両手に掴んだそれは何の変哲もない、高圧ガス運動によって作用するアルミ製のスプレー缶だった。
「それで? 貴様らは私が、コレになんの対策も講じていないと思ったのか?」
既知の悪意など、彼の脅威には成り得ない。
ノズルから噴射される微粒子が瞬く間に廊下の空気を飲み込んでいく。
噴霧に触れた飛蝗の全てが床に落ち、みるみる内に全身を白く染められ、悶え苦しみながら動きを止める。
対害虫特効礼装。
作成のために今回、彼が主として使用した原料は下記の2つ。
まず、1つ目。高実島除虫菊。
現在は輸入に頼る殺虫の花。
シロバナムシヨケギクに代表される天然の殺虫成分(ピレトリン)。
これを取り寄せるにおいて、寂句は本場地中海よりも寧ろ国内産であることに拘った。
第二次世界大戦以前、日本が世界一の生産国であったその花。
なかでも、高実の菊畑はかつて島を真白に染め上げるほど見事なものだったという。
高齢化によって過疎化の進むその島に、現在も隠れ潜む魔術師の一族。
希少な技術を細々と伝える彼等が、ほんの僅かな種だけを継承する特製の魔花。
即ち、虫害の魔を滅する為の製粉である。
そして、もう一つ、昆虫病原糸状菌。
昆虫に襲いかかる自然界のカビ病。
中でもこれは、飛蝗を狙い撃ちする為の白きょう菌である。
先ほど説明した製粉によって霊的な強度を確保した後、飛蝗を落とすための指向性を得るべくブレンドした。
そうして完成した殺虫剤。
彼に出来ぬ訳が無い。
蝗害という情報を与えてしまっては。
そして、一ヶ月という準備期間を与えてしまっては。
虫害との戦い。
それは人類の歩みとほぼ同義。
人が自然の中で稲を植えたその日から始まった。
長い長い、終わることのない戦いの歴史。
魔術と科学、双方の技術を知る男が備えた、蝗害への対策。
「―――貴様こそ、愚かな魔女に伝えておけ」
足元で悶え苦しむ飛蝗を踏み潰し、寂句は白衣を脱ぎ捨てた。
「少しは成長してみせろ。
今日、貴様に比べれば、ホムンクルスの方がよっぽどマシな成果をあげたぞ」
顕になる、白衣の内側、灰色のタクティカルスーツ。
その全身には、先程の殺虫剤が大量に装着されていた。
空になったスプレー缶を投げ捨て、新たな2本を手に取ると同時。
頭上、院内全てのスプリンクラーから同様の成分が散布され始める。
「以上だ。反論があるなら、次は自分で言いに来い」
白煙で院内が満たされていく。
飛蝗との短いやり取りを終わらせた彼の、視線の先、未だ残された演者が立つ。
アンジェリカ・アルロニカ。
ホムンクルス36号/ミロク。
彼等の分岐点がここに在る。
◇
『では、手筈通りに頼む』
ホムンクルスの姿が薄れて消えていく。
アサシンの気配遮断によって患者達に紛れ、狂乱する院内に溶け込んでいく。
その場に残されたアンジェリカも、姿を消したミロクも、状況に差異はない。
結局のところ、彼等はここから逃げられない。
ホムンクルスの目的が、蛇杖堂の工房を破壊する事だったことは明らかだ。
第ニ目標として城主の殺害まで視野に入れ、彼は暗躍を続けていた。
結果、第一目標は達成されたと言っていい。
しかし第ニ目標の実現は、今や極めて難しくなっている。
工房の備えを破壊し、蝗害の侵入を実現した。彼等は城塞崩しに成功したのだ。
一方、対虫害礼装の白煙に満たされていく院内は、もうすぐ黒嵐の手が及ばなくなってしまう。
蝗害を利用した殺害計画が頓挫した以上、第一目標の達成のみを成果として撤退するべき。
そうなると状況は逆転する。
ホムンクルスもまた、狩るものから狩られるものへ。
外に逃げれば蝗害の顎、内に残れば蛇の牙の餌食だ。
「待たせたな、アンジェ」
「うん、おかえり。アーチャー」
欲するは状況を打開する突破口。
其の為に用意した役者がここに。
悪あがきのように、蝗害が最後の突貫を試みる。
院内が完全に白煙で満たされ、手がつけられなくなる前に。
城主のいるフロアを爆撃せんと、うねりながら向かってくる。
「散らすぞ」
「うん、なんとなくあの虫は気に入らないし。
思いっきり撃っていいよ、アーチャー」
そこに、屋上の防衛戦を終え、帰還した弓兵が矢を番える。
すぐに赤き槍兵も追ってくるだろう。
その前に、彼等は行動する必要があった。
「では、神威の片鱗をお見せしよう」
拡散する鳴響と突風。
『害滅一矢・天羽々矢(がいめついっし・あめのはばや)』。
害意を貫く剛の一射。その限定開放。
病棟の窓と壁を抉り取りながら放たれたそれは、立ちはだかる黒旋風の一面に風穴を開け、地に再び茜色の日差しを取り戻した。
『ご苦労だった。ここから先は我々に任せてもらおう』
呼応して動き出すホムンクルスの陣営。
先程の一射で吹き飛んだ壁の向こう、院外の敷地に飛び出していく患者達。
蟲の立ち入れぬ院内、安全圏から自ら身を晒した哀れな彼等の末路は明らかだった。
響き渡る悲鳴と咀嚼音。
未だ催眠状態にある手駒の全てをもって、
継代のハサンは道を作る。
囮として大量の患者がエントランスから吐き出され、貪り食われていく。
血に染まる病院の敷地、その中央に完成する一本の通り道。
折り重なる肉のトンネル。
旋風に開いた穴に繋がる、大量殺戮の上に成り立つ、唯一の脱出口。
『道は長く保たない。すぐに其方も続け』
端的な言葉を最後に、念話が途切れた。
ホムンクルスとアサシンは、既に外に逃げてしまったのだろう。
しかしアンジェリカはその場を動かぬまま。
少女の背後。
果たしてそこに、もう一つ、選択肢は存在した。
アンジェリカ・アルロニカが生き残る道は2つ。
一つは今、ホムンクルスが提示した脱出口を抜け、蝗害を突破して逃げ延びる道。
もう一つは、安全圏となった院内に留まる道。つまり、
「あのさ、アーチャー」
背後、廊下の先、未だそこに立つ男を―――
「いま、わたしが考えてること、バカだって思う?」
蛇杖堂寂句を打倒する。その選択肢。
「言ったはずだぞ。私はアンジェの意思を尊重するとな」
どちらが正しいか。
そんな事は論ずるまでもない。
ここまで必死に戦い抜いて、やっとたどり着いた出口が目の前にあって、何故使わない。
合理的な判断ができる者なら分かるはずだ。
どちらが正しく、どちらが愚者の判断であるか。
そんな事は、アンジェリカだって分かっている。
「ごめんね。わたし、あめわかのこと言えないよね。だってわたしも――」
無関係な一般人を虫に食わせて作られた道。
犠牲者の血と肉で舗装された、もっとも論理的な選択肢。
冷静な魔術師なら何一つ迷わず選ぶことができる、その正解を。
「気に食わないから」
少女は蹴った。
いま、選んでいるのだと分かったから。
正面には、魔術師としての正しき道。
そして背後に存在する。
なんとも過酷な、生きる希望が1%もあるか分からない、不正解。
それでも、アンジェリカの唯一納得できる、人としての道ならば。
「アーチャーはランサーを抑えて」
「承知した」
少女はゆっくりと振り返る。
廊下の先、立ちはだかる一人の魔術師。
蠍飼う暴君。
勝ち目のない大敵に向かって、駆け出していく。
あの男は問うた。魔術師を辞めて何をしたいのかと。
その視座が欠けていると。
「しょうがないから、最後まできっちり相手してあげる。嫌味ジジイ」
背後で塞がっていく蝗害の風穴、崩壊していく血と肉の道。
もう取り返しはつかない。
だけど少なくとも、そんな道を歩んだ先に、アンジェリカのやりたいことは、ないのだと。
それだけは、分かっていたから。
「それに―――さっき好き放題言ってくれたお返しだって、まだ出来てないんだから―――!」
◇
訪れた決着は、実に静かなものだった。
「まさか戻って来るとはな。
正直言って、少し驚いたぞ。貴様、ここまで愚かだったか」
「うるさい……自分でもわかってるっての」
雷光纏う少女の拳を受け止める、老人の胸筋。
しかし、そこに一切のダメージは見られない。
「あんた、さ。
わたしのこと、魔術師じゃないって言ったっけ?」
「ああ、貴様にはその素養も適正も感じられん。
いくら才覚があったところで。
せいぜい魔術使いの端くれが似合いだろう」
「―――そ、ありがと。
"お前は魔術師じゃない"。
なんて、わたしにとっては最大の褒め言葉かもね」
「貴様の解釈など、どうでもよいわ」
――違うぞ……アンジェ、それは……。
――覚悟ではなく、諦めではないのか?
あのとき、彼女の従者は、そう言おうとしたのだろうか。
「……でもやっぱり、わたしはまだ、魔術師なんだと思う。
わたしがわたしを……ごほっ……そう認めてしまう以上……きっと……」
どさりと、少女の身体が崩れ落ち、男の足元に転がった。
廊下の床に、血溜まりが広がっていく。
この交錯において、男は少女に何もしていない。
「その傷で私に挑むとはな。
既に相当の出血だ。数時間と保つまい」
つまり、怪我は衝突の以前からあったことになる。
少女の脇腹から血と一緒にこぼれ落ちる、飛蝗の死骸。
それは黒嵐が院内に突入した際、少女の身体に食いついた個体だった。
「蛮勇、無謀、いや殆ど自殺だな。貴様は恐れを知らぬつもりだろうが……」
「……あ、でも、それは否定しとく」
仰向けに倒れたまま、少女の眼が、男の眼を捉える。
「本当に怖いものを、わたし、知ってるから」
徐々に輝きを減じていく少女の目には、しかして今も白光が残っている。
あの夜、見てしまった、あり得ざる太陽。
魔術と同じように、知ってしまえば、知る前には戻れない呪いのような輝き。
焼き付けられた刻印のように、それは今も瞳で燻り、消えない。
「だからわたし、あんたなんて怖くないよ」
少女は意識を失う寸前。
男の眼の中に、よく似た輝きを見た気がした。
「ねえ、あんたは、何がそんなに怖いの……?」
それきり少女は瞼を閉じた。
「そうか――クク、そうか、貴様……もうすでに焼かれていたわけか」
見たところ、血を流す少女は重傷だ。内臓が物理的な破壊と、魔術的な呪いの合わせ技によって損傷している。
世界的な名医であっても、一流の治療術師あっても、その命を救う事は難しいだろう。
ほんの一握りの天才。医術と魔術を双方極めた、天才の中の天才でしか不可能な外科手術を試すしか無い。
そんな、貴重な被検体(しょうれい)であるならば。
周囲を見渡せば、静まり返った廊下に、動く影は2つきり。
男を守護する赤いランサーと、それに対峙するアーチャー。
2騎の視線が彼に刺さる。
それらが何かを発する前に、男は端的に告げた。
「すぐに執刀する、退け」
少女を抱えあげ、周囲の医師に指示を飛ばし始めた老医師に、彼等は一拍遅れて声を上げた。
「どういうつもりだ? 敵を助けようというのか」
「マスター・ジャック。
その少女は敵対する魔術師の一人であると、当機構は認識しているのですが」
その時彼らが発した言葉。
やはり、彼にとっては非常にズレた質問だったのだろう。
「……そうだが?」
男は魔術師であり、同時に、やはり医師でもあるのだから。
「それがどうした?」
暴君は傲慢に、人を壊し、人を治せる。
【港区・蛇杖堂記念病院/一日目・夕方】
【蛇杖堂寂句】
[状態]:健康、ダメージ(小)、魔力消費(小)
[令呪]:残り3画
[装備]:手術着
[道具]:各種の治療薬、治癒魔術のための触媒(潤沢)、「偽りの霊薬」1本。
[所持金]:潤沢
[思考・状況]
基本方針:他全ての参加者を蹴散らし、
神寂祓葉と決着をつける。
0:アンジェリカ・アルロニカの外科手術を執刀する。
1:
神寂縁とは当面ゆるい協力体制を維持する。仮に彼が
楪依里朱を倒した場合、本気で倒すべき脅威に格上げする。
2:当面は不適切な参加者を順次排除していく。
[備考]
神寂縁、高浜公示、静寂暁美、根室清、水池魅鳥が同一人物であることを知りました。
神寂縁との間に、蛇杖堂一族のホットラインが結ばれています。
蛇杖堂記念病院はその結界を失い、建造物は半壊状態にあります。また病院関係者に多数の死傷者が発生しています。
蛇杖堂の一族(のNPC)は、本来であればちょっとした規模の兵隊として機能するだけの能力がありますが。
敵に悪用される可能性を嫌った寂句によって、ほぼ全て東京都内から(=この舞台から)退去させられています。
屋敷にいるのは事情を知らない一般人の使用人や警備担当者のみ。
病院にいるのは事情を知らない一般人の医療従事者のみです。
事実上、蛇杖堂の一族に連なるNPCは、今後この聖杯戦争に関与してきません。
アンジェリカの母親(オリヴィア・アルロニカ)について、どのような関係があったかは後続に任せます。
【ランサー(
ギルタブリル/天蠍アンタレス)】
[状態]:健康
[装備]:赤い槍
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:神寂祓葉を刺してヒトより上の段階に放逐する。
1:蛇杖堂寂句に従う。
2:ヒマがあれば人間社会についての好奇心を満たす。
【アンジェリカ・アルロニカ】
[状態]:重傷、気絶、魔力消費(大)
[令呪]:残り三画
[装備]:
[道具]:ヒーローのお面(ピンク)
[所持金]:家にはそれなりの金額があった。それなりの貯金もあるようだ。時計塔の魔術師だしね。
[思考・状況]
基本方針:勝ち残る。
1:―――意識喪失。
[備考]
ミロクと同盟を組みました。
前回の聖杯戦争のマスターの情報(神寂祓葉を除く)を手に入れました。
外見、性別を知り、何をどこまで知ったかは後続に任せます。
【アーチャー(雨若日子)】
[状態]:健康、
[装備]:弓矢
[道具]: ヒーローのお面
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:アンジェに付き従う。
0:アンジェ……。
1:アサシンが気に入らない。
[備考]
◇
「あーついてねえ。マジで」
対害虫特効礼装。
狡猾な老魔術師の殺虫剤が撒き散らした毒。
食事の為に用意されたはずの重箱は、今や汚染された毒袋と化してしまったのだった。
忌々しい。
本当に腹が立つ、しかし実際、もう食えたものではない。
ムカつくので、煙が晴れるまでここに居座ってやろうかとも考えた。
包囲し続ける限り、彼らが出てこれない状況には変わりないのだから。
しかし、何時間足止めをくらうかわからない上に、
「まじかよ、こんな時にイリスのやつ、なにやってんだ?」
戦闘が落ち着いた結果。
シストセルカはようやくその異変に気づいたのだった。
捕食によって外部から多くの魔力を取り込める彼は、基本的にはマスターから供給される魔力に頼っていない。
よって、普段からあまり意識はしていないのだが、
「ひょっとして帰った方がいいのかね、コレ」
マスターである楪依里朱に異変が起こっている。
魔力のパスを通じ、その程度の変化には気づくことができた。
恐らくは数時間以内に戦闘行為に及んだか、今まさに戦っている最中か。
詳細まではわからない。どうするべきか、彼は思案する。
楪依里朱はマスターとして強い。
それは把握している、しかし単独で火力の高いサーヴァントに襲われた場合はどうだろう。
「くそ……しょうがねえ」
ゆっくりと、シストセルカは飛蝗の群れを撤退させていく。
夕食を平らげ損ねたのは憤懣やる方ないが、大本の供給源を失っては元も子もないのである。
それに、オーダーされた注文。
『嫌がらせ』についてはある程度果たした筈だ。
更地にするとまではいかなかったが、肝心要の大結界を潰された上に、施設を半壊させられた病院は既に要塞としての機能を喪失している。
「あ~~~くそ、でもやっぱムカつくな~~~!」
先ほど逃げた霊基、その追撃に差し向けた分隊だけを置いて、蝗害は撤退していく。
満腹とはいかずとも、だいたい六分目といった腹を抱えて、災厄は主の元へ戻るのであった。
【港区・蛇杖堂記念病院 付近/一日目・夕方】
【ライダー(シストセルカ・グレガリア)】
[状態]:戦力2割減(回復中)
[装備]:バット(バッタ製)
[道具]:
[所持金]:百万円くらい。遊び人なので、結構持ってる。
[思考・状況]
基本方針:好き放題。金に食事に女に暴力!
1:嫌がらせ終了。一旦、イリスの様子を見に帰るか。
2:祓葉にはいずれ借りを返したいが、まあ今は無理だわな。
[備考]
※〈蝗害〉を止めて繁殖にリソースを割くことで、祓葉戦で失った軍勢を急速に補充しています。
◇
こうして、ホムンクルス企てた計略は、ほぼ全てが成功を見た。
蛇杖堂の牙城を崩し、そのうえで生存する。
第4の伏せ札。
ガーンドレッドの残した計画。
一回目の聖杯戦争にて、ホムンクルスが読み取っていた、病院の結界、その要所。
結局実行されることのなかった破壊工作を切り札として、彼は老蛇の牙城に挑んだのである。
1回目の彼であれば、結界を崩す目標さえ達せられれば、そのまま蝗害か老蛇に潰される末路を受け入れたのかもしれない。
彼の目的は病院という要塞を崩し、神寂祓葉の生存率を上昇させること。
以前であれば、それだけでいいと思っていただろう。
しかし今の彼は、アンジェリカ・アルロニカを利用することで、成果と生存を両立させようと画策した。
彼に誤算があったとすれば一つだけ。
最後の脱出段階になって、アンジェリカが彼のプランに乗らなかったことだ。
魔術師として冷静な判断を下せば、ミロクの案を蹴るなどあり得ない状況で。
彼女は蛇杖堂との対決を選択した。
結果として困るのはミロクの側だった。
蝗害から逃げ切る算段には、アンジェリカのアーチャーによる援護が不可欠だったからである。
催眠状態の人間を囮にするだけでは、やはり限界があったのだ。
「こりゃあ……不味いな……!」
追撃を振り切れず、飛蝗の群れに食いちぎられていくアサシンの霊体。
住宅街を転がるようにして逃げ延びた彼らがたどり着いた終着点。
「大将―――ッ!!」
魔力不足により実体が保てず、像を解かれるアサシンの姿。
するりと、ホムンクルスの入れられた瓶が、薄れていくアサシンの手からこぼれ落ちる。
『―――そうか、ここまでか』
襲い来る飛蝗の一団。
泥溜まりに落下した瓶は破損こそ免れたものの、もはや動くことも出来ず。
ミロクは己の最期を悟った。
『―――無念だな』
結局、その脳裏の景色は、固定されたまま。
決して色褪せぬ、かつて身を焼いた少女の笑顔だけが、今も。
◇
「――――止めてッッッ!!!」
夕暮れの住宅街。
迫る逢魔が刻、少女の叫び声が響き渡る。
「……? なんだ、これは」
アヴェンジャー、
シャクシャインはその光景を目撃した。
迫る蝗害の一軍。
恐怖に追い詰められた
輪堂天梨は、それでも頑なに、アヴェンジャーが望む言葉を発しなかった。
直接的に命を脅かされてなお、虫螻に対してすら、殺戮の命令を下さない少女。
とはいえ彼も、本当に少女を死なせるわけにはいかない。
苛立ちながら剣を抜き、迫る蝗害を焼き尽くした、その寸前だった。
(一瞬、飛蝗(パッタキ)共の動きが止まったか?)
天梨の叫び。
「止めて」という言葉を聞き入れたかのように、黒き軍勢は動きを止めていたのだ。
(は―――まさか、こいつ)
「アヴェンジャー、助けてくれたの?」
「…………」
恐る恐る目を開いた天梨が、傍らのアヴェンジャーを見上げている。
彼女は気づいていない。
いま、己が何をしたのか。
(いやはや、恐れ入った)
アヴェンジャーとて、彼が〈動物会話〉のスキルを所持していなければ、気づくことが出来なかっただろう。
先程の一瞬、間違いなく蝗害の群れは、少女の言葉に従ったのだ。
(そういうことかよ―――ああ、なんて)
少女の魔術について、彼は少し前から察していた。
だが確信を得たのはつい先程、それも、彼の予想を超える異常性をもって、発揮されたのだ。
なんて―――冒涜。
少女の翼は、虫螻すらも魅了する。
「どうしたの、アヴェンジャー」
「いいや、なんでもないさ」
「……? あれ?」
不自然に黙る従者に、訝しんだのも一瞬。
少女の注意は直ぐに逸れた。
何事もなかったかのように戻って来る、夕暮れ景色。
蝗害の過ぎ去った後、路上の片隅に転がる、薄汚れた何かを見つけたから。
「……なんだろ……これ」
近寄って見下ろすと、それはガラスで出来た瓶であるようだった。
表面が土と泥で汚れていて、中身は見えない。
内側からごぽりと、苦しげな音が聞こえたような気がして、少女はそっと撫でるように触れてみる。
「――――ッ!」
瞬間、手のひらから脳天を貫き、そのまま爪先まで駆け下りる、落雷のような衝撃。
全身の神経が引き伸ばされるような錯覚の中で。
天梨は小さく、けれど確かな声を、聞いたのだった。
『――――見つけた』
◇
曖昧な記憶の底、彼はビンの中で味わった痛みを思い出す。
赤く発光し、ごぼごぼと泡立つ人工羊水。45センチ程しかない総身に走る痺れ。脳天から脊髄へと落下する衝撃。鳩尾で炸裂する灼熱。
バーサーカーを動かす際に、いつも与えられた絶大なる苦痛。その感情の名が、苦しみであることすら、彼は知らなかった。
ガーンドレッド本家は勿論、共にこの地に着いた三人の魔術師の誰一人として、彼を人間扱いすることはなかった。
そのことについて、彼は特段恨みを抱いてなどいない。なにしろ彼自身、自らを生物ではなく道具として定義していたのだ。
当時の観点でみれば、"ホムンクルスを仲介してサーヴァントに魔力を送る装置"であった魔術師達もまた、
ガーンドレッド本家にしてみれば道具の一つに過ぎなかったのかもしれない。
あの場に人間は居なかった。今にして彼は思う。
サーヴァントも、サーヴァントを支配する召喚者も、召喚者を支配する三人の魔術師も。
みな等しく道具だった。
何かに"仕える"、いや何に仕えているかすら誰も理解できぬままに、"使われる"だけの道具に過ぎなかった。
―――ねえミロク。私たち、友達になろうよ。
その言葉を憶えている。
その笑顔を忘れることができない。
その意味を何度反芻したことだろう。
友達―――友人、それは対等であること。
ミロクはどうしても、認めることが出来なかった。
自らが彼女と対等であるなどと。
たとえ彼女が、それを心から望んでくれていたのだとしても。
彼は、彼女の友人にはなれなかった。
自らを、そう定義することが出来なかった。
故に、彼の狂気は忠誠なのだ。
彼は認めることが出来ない。
自身も、はじまりの六人も、彼女が親友だと語る誰も、彼も、器ではない。
我らとて所詮、衛星に過ぎない。
彼女に並び立つ存在など、未だこの地上の何処にもいないと断言できる。
だが、それでもなお、彼女がそれを欲しているのなら。
―――今度、私の一番の親友を紹介するよ。
彼女に贈るもの。
ミロクが彼女に届けるべき、勝利よりも価値のある、『最も素晴らしきもの』とは―――
―――だからさ、いつか、ミロクの友達も紹介してね。
彼女に、並び立つべき存在。
真に相応しき友。
いるとすれば、彼女が集めた新たな星たち、その中に。
狂気に焼かれる衛星ではない。
彼女と同等の重力を持ち得る、太陽の如き特異点。
―――恒星の資格者。
その候補達。
未だ、覚醒に及んでいないのかも知れない。
そうであっても不思議ではない。あの少女とて、最初からそうであった訳ではないのだから。
ならば、そのためにこそ、ミロクは在るのだと定義する。
この聖杯戦争で、神寂祓葉と並び立つに相応しき極光を見出し、覚醒に導く。
それがホムンクルス36号が自らに課した、新たな存在意義なのだった。
「……なんだろ……これ」
そして今、ガラス越しの手に触れた、一人の少女。
『―――【同調/調律(tuning)】』
瞬時、その回路を解析したミロクは確信に至る。
『―――見つけた』
まずは一人。恒星の核。天の翼。
その予感を胸に、無垢なる赤子は瞳を閉じた。
【港区・路上/一日目・夕方】
【輪堂天梨】
[状態]:精神疲労(小)、ちょっとだけ高揚してる(無自覚)
[令呪]:残り三画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:たくさん(体質の恩恵でお仕事が順調)
[思考・状況]
基本方針:〈天使〉のままでいたい。
0:ひとまず謎の赤子を保護。
1:一度自宅に帰った後、キャスターとの会合場所にいく。
2:アヴェンジャーは恐ろしい。けど、哀しい。
3:……満天ちゃん。いい子だなあ。
[備考]
※以降に仕事が入っているかどうかは後のリレーにお任せします。
※スマホにファウストから会合の時間と待ち合わせ場所が届いています。
【アヴェンジャー(シャクシャイン)】
[状態]:疲労(小)、全身に被弾(行動に支障なし)
[装備]:「血啜喰牙」
[道具]:弓矢などの武装
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:死に絶えろ、“和人”ども。
0:天梨の能力についてはあえて伏せる。
1:憐れみは要らない。厄災として、全てを喰らい尽くす。
2:愉しもうぜ、輪堂天梨。堕ちていく時まで。
3:青き騎兵(カスター)もいずれ殺す。
[備考]
※マスターである天梨から殺人を禁じられています。
最後の“楽しみ”のために敢えて受け入れています。
【
ホムンクルス36号/ミロク】
[状態]:疲労(大)、気絶中
[令呪]:残り三画
[装備]:
[道具]:
[所持金]:なし。
[思考・状況]
基本方針:忠誠を示す。そのために動く。
1:神寂祓葉に並ぶ光を見出し、覚醒に導く。
2:アサシンの特性を理解。次からは、もう少し戦場を整える。
[備考]
アンジェリカと同盟を組みました。
【アサシン(ハサン・サッバーハ )】
[状態]:ダメージ(中)、霊体
[装備]:ナイフ
[道具]:
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:マスターに従う
0:疲れた……。毎回毎回、ほんと勘弁してほしい。
1:正面戦闘は懲り懲り。
2:戦闘にはプランと策が必要。それを理解してくれればそれでいい。
[備考]
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最終更新:2025年04月21日 00:20