持たざる者にも2種類いる。
さらに取り上げられるか、誰かから奪うか。
大半は前者だが、一部は強い力を手に入れて、後者になる。
(あり得ない……あり得ないあり得ないあり得ないあり得ない……!!)
全力でクレマンティーヌは、「剛田商店」と看板がある建物の中へと逃げた。
逃げてから半時間以上経つ今でさえ、震えが止まらない。
全力でクレマンティーヌは、「剛田商店」と看板がある建物の中へと逃げた。
逃げてから半時間以上経つ今でさえ、震えが止まらない。
闇に浮かぶ、眼光輝く骸骨。
自分を締め殺した時と変わらない表情。
自分を締め殺した時と変わらない表情。
今でも、その瞳がすぐ近くで自分を見つめているのではないかと、疑り深くなってしまう。
建物内に隠れても、居ても立っても居られなくなる。
何かないのかと暗い建物の中、壁を手探りで進むと、どこか出っ張りがあった。
建物内に隠れても、居ても立っても居られなくなる。
何かないのかと暗い建物の中、壁を手探りで進むと、どこか出っ張りがあった。
それを押すと、部屋に明かりが付く。
どういうからくりなのかは知らないが、近くに敵がいることを恐れながら暗闇を歩くよりかはマシだと判断した。
どういうからくりなのかは知らないが、近くに敵がいることを恐れながら暗闇を歩くよりかはマシだと判断した。
建物の中には誰もいないことを確認して、辺りを見渡す。
雑貨屋だからか、明日には店頭に並ぶはずの品物が段ボール詰めされて、部屋の端に置いてある。
雑貨屋だからか、明日には店頭に並ぶはずの品物が段ボール詰めされて、部屋の端に置いてある。
一番奥の、趣味の悪い衣装を纏った小太りの小学生のポスターがある部屋に入り、そこに座った。
ひとまず、まだ開けていない支給品を確認することにした。
ひょっとすればまだ何か強い武器があり、あの男に逆転の術が残されているかもしれないという望みを胸に、袋を探る。
ひょっとすればまだ何か強い武器があり、あの男に逆転の術が残されているかもしれないという望みを胸に、袋を探る。
(ひとまず……これさえあれば……。)
支給品からレイピアを手に取り、2,3度突きの動作を取る。
最低限の身を守る程度の武器が支給されていたことにひとまず安堵した。
彼女が生前に愛用していたスティレットと同じ、突きに特化したデザインだったのでなおさらだ。
他にはあまり使えそうな物はなかったので、説明書を見ることなく袋に仕舞った。
支給品からレイピアを手に取り、2,3度突きの動作を取る。
最低限の身を守る程度の武器が支給されていたことにひとまず安堵した。
彼女が生前に愛用していたスティレットと同じ、突きに特化したデザインだったのでなおさらだ。
他にはあまり使えそうな物はなかったので、説明書を見ることなく袋に仕舞った。
支給品を調べ終わると、辺りに敵がいないことを確認して、廊下の段ボールを一つずつ物色していこうとした。
だが、彼女は自分を殺した相手ばかり気になっていたため、存在を忘れていた。
明かりの外側の、別の敵の存在に。
だが、彼女は自分を殺した相手ばかり気になっていたため、存在を忘れていた。
明かりの外側の、別の敵の存在に。
「なッ!?」
地面が大きく揺れる。
(何よこれ!?冗談じゃない!!)
早くも天井が崩れ始める。もたもたしていると、あっという間に家の下敷きになってしまう。
地面が大きく揺れる。
(何よこれ!?冗談じゃない!!)
早くも天井が崩れ始める。もたもたしていると、あっという間に家の下敷きになってしまう。
慌てて店の外へ出るが、店を出たところに、底が見えないほど深く大きな穴が開いていた。
それは、まさに人を飲み込まんとする巨人の口。
それは、まさに人を飲み込まんとする巨人の口。
(っっッ!?)
それは店を出た直後のクレマンティーヌを飲み込み、すぐに口を閉じて咀嚼しようとする。
それは店を出た直後のクレマンティーヌを飲み込み、すぐに口を閉じて咀嚼しようとする。
「ざっけんな馬鹿野郎!!『流水加速』!!」
しかし、彼女はタダで巨人に喰われることはなかった。
人に殺されるならまだしも、地割れに飲まれてお陀仏なんてシャレにならない。
慌てて自らにスピード向上の武技をかけ、地割れの両端を蹴飛ばしながら、地上へと駆け昇る。
しかし、彼女はタダで巨人に喰われることはなかった。
人に殺されるならまだしも、地割れに飲まれてお陀仏なんてシャレにならない。
慌てて自らにスピード向上の武技をかけ、地割れの両端を蹴飛ばしながら、地上へと駆け昇る。
口が閉じられる直前に、彼女は脱出に成功する。
地上に出て顔を上げると、目の前には一人の男が立っていた。
地上に出て顔を上げると、目の前には一人の男が立っていた。
「へえ……そこにいたのか……。」
命からがら地割れから脱出した彼女を、黒髪のオールバックの男が鋭い目で見つめる。
命からがら地割れから脱出した彼女を、黒髪のオールバックの男が鋭い目で見つめる。
立体起動装置で空から観察をして、不自然に一つだけ灯りの付いている家をエレン・イェーガーが見つけたのは、クレマンティーヌが家の中を物色していた時のことだった。
自分の場所を知らせるなんて罠なのか、はたまた二進も三進も行かなくなった馬鹿なのかわからないが、地震で家ごと崩せばいいと回答を出した。
自分の場所を知らせるなんて罠なのか、はたまた二進も三進も行かなくなった馬鹿なのかわからないが、地震で家ごと崩せばいいと回答を出した。
案の定、中から人が出てきたが、地割れというトラップを家の前に張っておいた。
最も、エレンが意図してやったことではなく、家を崩した地震を起こした余波であったが。
最も、エレンが意図してやったことではなく、家を崩した地震を起こした余波であったが。
(コイツが地震を起こした?どう見ても人間にしか思えないコイツが?)
家一つ容易に破壊し、地割れまで引き起こしたことをタダの人間がやったという事実を、どうしても受け入れられなかった。
家一つ容易に破壊し、地割れまで引き起こしたことをタダの人間がやったという事実を、どうしても受け入れられなかった。
「そう何度も何度も殺されてたまるかよ!!『疾風走破!!』」
クレマンティーヌは猛然とエレンに向かって疾走を始めた。
それに対しエレンは蹴りを打ち込もうとするも、体をひねって躱し、レイピアを首めがけて突き付ける。
クレマンティーヌは猛然とエレンに向かって疾走を始めた。
それに対しエレンは蹴りを打ち込もうとするも、体をひねって躱し、レイピアを首めがけて突き付ける。
(殺す!!コイツだけでも、殺してやる!!)
致命傷こそは与えられなかったが、エレンの首から一滴、赤い液体が流れた。
「どうした!!守ってばかりかよ!!」
勢いに乗る彼女は、突きを繰り返す。
勢いに乗る彼女は、突きを繰り返す。
(コイツ……中々素早いな……。)
エレンも訓練学校時代に培った対人戦を活かし、一閃一閃をいなしていくが、その速さは、刃物の数が二倍三倍に増えているかのようだった。
エレンも訓練学校時代に培った対人戦を活かし、一閃一閃をいなしていくが、その速さは、刃物の数が二倍三倍に増えているかのようだった。
とうとう剣の一撃が、エレンの額に吸い込まれそうなその瞬間。
エレンの背中に着けてあった立体起動装置からワイヤー放たれ、壊れていない家の上に昇った。
エレンの背中に着けてあった立体起動装置からワイヤー放たれ、壊れていない家の上に昇った。
そしてエレンは、立体起動装置を逃げるためだけに使ったわけではない。
もう一本のワイヤーを、クレマンティーヌの額めがけて飛ばした。
もう一本のワイヤーを、クレマンティーヌの額めがけて飛ばした。
人間ならワイヤーが刺さっただけで致命傷だ。
(上等じゃねえか!!このクレマンティーヌ様をそんな風に殺そうとするなんて、ムカつくにも程があんぞ!!)
(上等じゃねえか!!このクレマンティーヌ様をそんな風に殺そうとするなんて、ムカつくにも程があんぞ!!)
予想通り、ワイヤーは彼女がいた辺りの場所に放たれる。
「『能力向上!!』、『能力超向上!!』」
(!!)
クレマンティーヌは自分の身のこなしや筋力が向上する武技をかけ、ワイヤーを躱しただけではなく、そのワイヤーを伝ってエレンに襲い掛かった。
(!!)
クレマンティーヌは自分の身のこなしや筋力が向上する武技をかけ、ワイヤーを躱しただけではなく、そのワイヤーを伝ってエレンに襲い掛かった。
対してそのままエレンは、拳を突き出し、彼女を迎撃する。
(拳を!?上等だ……!?)
(拳を!?上等だ……!?)
拳でレイピアに抵抗するか、ならばお望み通り腕を切り裂いてやろう、そう思った瞬間、拳に触れたレイピアが粉微塵に砕けた。
一瞬だが、修羅場をくぐってきた彼女も凍り付く。
どんなに硬い拳でも、刃物なら折れるか曲がるかだ。
文字通り粉のごとく砕けるなど、ありえない。
どんなに硬い拳でも、刃物なら折れるか曲がるかだ。
文字通り粉のごとく砕けるなど、ありえない。
しかし、その凍り付いた一瞬が、致命的なまでの隙を作った。
レイピアを砕き、そのまま突き進む悪魔の実の力を纏った拳は、今度はクレマンティーヌの顔面を砕いた。
レイピアを砕き、そのまま突き進む悪魔の実の力を纏った拳は、今度はクレマンティーヌの顔面を砕いた。
顔を失った彼女は、ワイヤーから足を踏み外し、地面へと堕ちる。
あっさりと、こともなげに彼女の二度目の人生は終了した。
(初戦にしては、中々手強かったな……。)
彼女の支給品を回収し、そのまま歩き始める。
地震を起こす能力は、地面以外にも効くのかどうか、あくまで賭けだった。
賭けに成功し、武器や人体も破壊できることが分かったが、もし賭けに失敗していたら、少なくとも指の何本かは犠牲になっていた。
失った体を巨人化で治せない今は、それは致命的だった。
彼女の支給品を回収し、そのまま歩き始める。
地震を起こす能力は、地面以外にも効くのかどうか、あくまで賭けだった。
賭けに成功し、武器や人体も破壊できることが分かったが、もし賭けに失敗していたら、少なくとも指の何本かは犠牲になっていた。
失った体を巨人化で治せない今は、それは致命的だった。
まだ彼にとって戦いは始まったばかり。
(しかし、アイツの術は何だったんだ……!?)
戦いの途中で、あの金髪の女性は速さを上げた。
一体何だったのか分からない。
彼が分かるのは、パラディ島を救うための戦いは、予想以上に熾烈を極めるということ。
戦いの途中で、あの金髪の女性は速さを上げた。
一体何だったのか分からない。
彼が分かるのは、パラディ島を救うための戦いは、予想以上に熾烈を極めるということ。
【クレマンティーヌ@オーバーロード(アニメ版) 死亡確認】
【残り110名】
【残り110名】
【深夜1:10】
【C-7 市街地 剛田商店前】
【C-7 市街地 剛田商店前】
【エレン・イェーガー@進撃の巨人】
[状態]:進撃の巨人(脳内のみ) 首に切り傷
[装備]:グラグラの実、立体起動装置(ガス残り2/3)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2(クレマンティーヌの支給品)
[思考・状況]:基本行動方針:パラディ島を救うために、この場の全ての命を駆逐する。
1:全ての命を駆逐する。
2:女(クレマンティーヌ)の武技に対する疑問
[備考]
30巻で座標に辿り着く直前より参戦です
[状態]:進撃の巨人(脳内のみ) 首に切り傷
[装備]:グラグラの実、立体起動装置(ガス残り2/3)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2(クレマンティーヌの支給品)
[思考・状況]:基本行動方針:パラディ島を救うために、この場の全ての命を駆逐する。
1:全ての命を駆逐する。
2:女(クレマンティーヌ)の武技に対する疑問
[備考]
30巻で座標に辿り着く直前より参戦です
【レイピア@ドラゴンクエストシリーズ】
クレマンティーヌに支給された、細身で鋭くとがったデザインをしている片手剣。
グラグラの実の衝撃波を受け、既に崩壊している。
クレマンティーヌに支給された、細身で鋭くとがったデザインをしている片手剣。
グラグラの実の衝撃波を受け、既に崩壊している。
【剛田商店@ドラえもん】
ドラえもんの登場人物、ジャイアンの実家。
八百屋だったり雑貨屋だったりしている。母が切り盛りしているようだが、ジャイアンもしばしば手伝いをさせられている。
作中では既に倒壊している。
ドラえもんの登場人物、ジャイアンの実家。
八百屋だったり雑貨屋だったりしている。母が切り盛りしているようだが、ジャイアンもしばしば手伝いをさせられている。
作中では既に倒壊している。
009:いつまでも男の子じゃいられない | 投下順 | 011:身勝手なくらいに結ばれるDestiny |
奔る奴隷に勝利を | エレン・イェーガー | 054:考察するM/違うものは見える景色 |
敗者たちの道 | クレマンティーヌ | :GAME OVER |