悪魔が静かに嗤いながら歩いてくる。
けれども全知の魔人は逃げなかった。
元より、ランプに縛られた自身が勝てる相手でも、逃げ切れる相手ではなかった。
しかしそれ以上に。
意思を持つ存在であれば、神すらその正体を暴いて見せる。
それこそが逃げるよりも戦うよりも重要な、サバイバーの精神干渉すら押しのける魔人の意思だった。
けれども全知の魔人は逃げなかった。
元より、ランプに縛られた自身が勝てる相手でも、逃げ切れる相手ではなかった。
しかしそれ以上に。
意思を持つ存在であれば、神すらその正体を暴いて見せる。
それこそが逃げるよりも戦うよりも重要な、サバイバーの精神干渉すら押しのける魔人の意思だった。
「貴方は、男性?」
彼我の距離は既に二十メートルを切り、月明かりを反射するパーマがよく見えた。
一本の槍を肩に掛けながら、ゆっくりと歩を進める少年。
二人まとめて言い当てる事ができないのは口惜しいが、自分の全知は一度に一人までしか効果を発揮しない。
だからこそ、これで最後となるであろう問答に全力を捧ぐ。
一本の槍を肩に掛けながら、ゆっくりと歩を進める少年。
二人まとめて言い当てる事ができないのは口惜しいが、自分の全知は一度に一人までしか効果を発揮しない。
だからこそ、これで最後となるであろう問答に全力を捧ぐ。
「兄弟/姉妹がいる?」
パーマの少年は何も答えない。
けれど魔人は構わなかった。元より、パーマの少年とは問答をしていないのだから。
背を向けることはしない。そんな事をすれば、相手は自分を遥かに凌ぐスピードで追いすがり、問答を完遂する時間はなくなってしまうだろう。
けれど魔人は構わなかった。元より、パーマの少年とは問答をしていないのだから。
背を向けることはしない。そんな事をすれば、相手は自分を遥かに凌ぐスピードで追いすがり、問答を完遂する時間はなくなってしまうだろう。
「外国に住んでいますか?」
彼我の距離が十メートルを切る。
時間はもうあまりない。
まだ情報が足りないが、質問をするにしてもあと、一度か二度が限度。
待ってくれるような手合いでもない。
時間はもうあまりない。
まだ情報が足りないが、質問をするにしてもあと、一度か二度が限度。
待ってくれるような手合いでもない。
「―――既に、死んでいますか?」
遂に、二人の距離が槍が届く範囲まで近づく。
不思議と恐れはなかった。そして、この問答から逃げなくてよかったと魔人は思う。
全知たる自分にとって、知るという事は勝利と並ぶ最上の喜びなのだから。
知るという事が、魔人にとっての全てであり、誇りだった。
不思議と恐れはなかった。そして、この問答から逃げなくてよかったと魔人は思う。
全知たる自分にとって、知るという事は勝利と並ぶ最上の喜びなのだから。
知るという事が、魔人にとっての全てであり、誇りだった。
「貴方は今、何かを憎んでいますか?」
ずぶ、と魔人の胸元を槍の切っ先が貫く。
直後、槍の切っ先からをその身を焦がす様な憎悪の炎が流れ込んでくる。
けれど、魔人は不敵に微笑んだ。
ここまでくれば、最早外す心配もない。
魔人最後の勝負が敗北では片手落ちだ。だから。
直後、槍の切っ先からをその身を焦がす様な憎悪の炎が流れ込んでくる。
けれど、魔人は不敵に微笑んだ。
ここまでくれば、最早外す心配もない。
魔人最後の勝負が敗北では片手落ちだ。だから。
「貴方は、最強の対魔の霊槍……Spear of the Beast。獣の槍、ですね?」
ご明察。
誰に言われるでもなく、それを認識し。
ごふりと口の端から鮮血を垂らして。
それでも魔人の表情は満足げだった。
叶うならば、もう少し他の者とも勝負をしたかったが、致し方ないだろう。
この勝利を、冥途の土産とする。
「だ、が…口惜しい、な…今、この世界、で、貴方を持っているのが
蒼月(ツァンユエ)で、ない事が―――――」
誰に言われるでもなく、それを認識し。
ごふりと口の端から鮮血を垂らして。
それでも魔人の表情は満足げだった。
叶うならば、もう少し他の者とも勝負をしたかったが、致し方ないだろう。
この勝利を、冥途の土産とする。
「だ、が…口惜しい、な…今、この世界、で、貴方を持っているのが
蒼月(ツァンユエ)で、ない事が―――――」
全知の魔人だからこそ感じる口惜しさ。
何故、この槍を握っているのがあの少年でないのか。
魔人はそんな事を想いながら自身を貫く槍に書かれた「我屬在蒼月胸中到誅白面者」の文字を一瞥し、霧散した。
何故、この槍を握っているのがあの少年でないのか。
魔人はそんな事を想いながら自身を貫く槍に書かれた「我屬在蒼月胸中到誅白面者」の文字を一瞥し、霧散した。
【アキネーター@Akinator 死亡】
残り109名
残り109名
■
パーマの少年、桐山和雄は今しがた倒した魔人の首輪とディパックを拾い上げ、中身を物色していた。
ごそごそと中身を漁り…目当てのものを見つけてにんまりと笑みを浮かべる。
黒光りする銃口。手に馴染む感覚。
マイクロウージー。
奇しくも、桐山が優勝を逃した殺し合いで使っていた、優に十人以上の中学生の命を奪った銃だった。
ごそごそと中身を漁り…目当てのものを見つけてにんまりと笑みを浮かべる。
黒光りする銃口。手に馴染む感覚。
マイクロウージー。
奇しくも、桐山が優勝を逃した殺し合いで使っていた、優に十人以上の中学生の命を奪った銃だった。
しかし、何故こんな当たりの武器が支給されていながら今しがた殺した男は使わなかったのか。
桐山にはよく分からなかったが、あえて推察をするのなら。
きっと、今しがた殺した男にとっては命の有無より優先されるのがあの問答だった、という事なのだろう。
自分にとって、命よりも優先されるのが殺戮であるのと同じように。
桐山にはよく分からなかったが、あえて推察をするのなら。
きっと、今しがた殺した男にとっては命の有無より優先されるのがあの問答だった、という事なのだろう。
自分にとって、命よりも優先されるのが殺戮であるのと同じように。
だが、まぁ…もうどうでもいい事だ。
殺した相手の事よりこれから殺す相手の事の方が重要だと、認識を切り替えて。
楽しみだと、再び微笑む。
槍で突き殺すのも楽しいが、やはり銃がいい。
マシンガンの連射で血飛沫と断末魔を上げて地へと沈む獲物の姿は堪らない。
生きていて一番幸福を感じられる瞬間だ。
殺した相手の事よりこれから殺す相手の事の方が重要だと、認識を切り替えて。
楽しみだと、再び微笑む。
槍で突き殺すのも楽しいが、やはり銃がいい。
マシンガンの連射で血飛沫と断末魔を上げて地へと沈む獲物の姿は堪らない。
生きていて一番幸福を感じられる瞬間だ。
まだまだ殺したりないし、獲物もまだまだ残っている。
次の獲物は美しい悲鳴を上げてくれるといいな。
そんな事を考えながら、桐山和雄は更なる殺戮を求めて歩み出した。
次の獲物は美しい悲鳴を上げてくれるといいな。
そんな事を考えながら、桐山和雄は更なる殺戮を求めて歩み出した。
【D-8/深夜】
【桐山和雄@実写版バトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:獣の槍@うしおととら、サバイバーのスタンドDISC、
マイクロUZI@実写版バトルロワイアル、ランダム支給品0~2(アキネイターの物)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本行動方針:バトルロワイアルを楽しむ
1:快楽のままに殺し続ける。
2:殺し合いサイコー!
3:褐色の男(シャガクシャ)は次に会ったら殺す。
【桐山和雄@実写版バトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:獣の槍@うしおととら、サバイバーのスタンドDISC、
マイクロUZI@実写版バトルロワイアル、ランダム支給品0~2(アキネイターの物)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本行動方針:バトルロワイアルを楽しむ
1:快楽のままに殺し続ける。
2:殺し合いサイコー!
3:褐色の男(シャガクシャ)は次に会ったら殺す。
古代中国に、促影という男がいた。
男は元は農夫だったが兵士となり、後に盗人となった。
彼は血を見るのが好きだった。
だから幼子も、死にかけの兵士も、子の命だけはと縋る女も区別なく殺して殺しまくり、金目の物を奪った。
だが、悪事は続かず、当時の役人に追い詰められる事となる。
男は元は農夫だったが兵士となり、後に盗人となった。
彼は血を見るのが好きだった。
だから幼子も、死にかけの兵士も、子の命だけはと縋る女も区別なく殺して殺しまくり、金目の物を奪った。
だが、悪事は続かず、当時の役人に追い詰められる事となる。
そんな時に出会ったのが獣の槍だった。
槍はするりと促影の手に収まり、役人を食い殺ながら現れた化け物を紙の様に屠った。
槍はするりと促影の手に収まり、役人を食い殺ながら現れた化け物を紙の様に屠った。
それから彼は盗人を止め、化け物退治の専門家となった。
どんなバケモノも、獣の槍を使えば勝てない相手はいなかった。
最初は村人からの羨望と報酬の金品目当てだったが、妖を打ちのめしていくうちにその甘美な感覚こそ、彼の目的となった。
どんなバケモノも、獣の槍を使えば勝てない相手はいなかった。
最初は村人からの羨望と報酬の金品目当てだったが、妖を打ちのめしていくうちにその甘美な感覚こそ、彼の目的となった。
そして、殺して、殺して、殺しまくった。
欲望の赴くままに。人も、化け物も。
獣の槍がその身を喰らい、字伏という化け物になり果てるまで。
欲望の赴くままに。人も、化け物も。
獣の槍がその身を喰らい、字伏という化け物になり果てるまで。
獣の槍は素質さえあれば担い手を選ばない。
魂を代償に、白面の者を倒すために必要な力だけを与え続ける。
魂を代償に、白面の者を倒すために必要な力だけを与え続ける。
013:その声のさだめ | 投下順 | 015:大切な人へ、今どうしていますか...? |
言わないけどね | アキネイター | :GAME OVER |
憎悪より来りて/快楽へと至るもの | 桐山和雄 | 076:タイクツな毎日 だから ほんのちょっとの 毒も必要! |