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年齢詐欺

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「あの、アバズレビッチが!!! 
 あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!」

あと民家の一室、本棚をひっくり返し、皿棚から食器を引っ張り出し無造作に叩き付ける。椅子を持ち上げ、テレビを頭から叩き付け液晶画面を粉砕していく。
更にガラス片が飛び散るのも気にせず次から次へと窓ガラスをぶち割る。
一人の少女が癇癪を上げながら、耳が張り裂ける程に凄まじい奇声を発し、人目も気にせず暴れ狂う姿はとても尋常な光景ではなかった。

少女の名はエスター、本名をリーナという。

容姿だけならば9歳前後だが、身体の異常で成長が止まりその実年齢は30代前半、その幼い容姿を利用し何人も殺害したシリアルキラー。
精神病院に幽閉されたものの脱獄を果たし、その後サイコ連中とサイコバトルを繰り広げたり色々あったが、何はともあれコールマン家に養子として引き取られることに成功した。
しかし、度重なる異常行動を繰り返した挙句に正体がバレてしまい家族全員始末しようとするも、コールマン家の妻に返り討ちに会い顔面を蹴り飛ばされ、湖の中に沈んでしまった。
故にその苛立ちを、行動で具現化し発散させていた。

「はあ……はあ……」

暴れるだけ暴れてから、エスターは息を切らしながらもようやく落ち着いた様子でその場で座り込む。
この馬鹿げた殺し合いに巻き込まれる前、最後の記憶が湖に蹴り落されたその瞬間だ。
エスター本人も正直なところ、当たり所も悪くほぼ間違いなく死んだのではと考えていた。だが、こうして生きている以上驚異的な治療を施したか、本当に死人を生き返らせたのだろう。
湖に蹴り落される前に付いた顔の傷も治療されたのか、傷跡一つ残されていない。

「……ガキ扱いは気に入らないけど、あそこから助けてくれたことだけは、お礼を言っても良いわね」

今更、子供の数十人死のうが何とも思いはしない。
乃亜とかいう少年の態度は気に入らないし、殺せるなら今すぐにでも殺したい。首輪を嵌めて殺し合いを強制させるのも、自由を愛するエスターからすれば許せないことだ。
だが、目の前で殺した相手を蘇生させた未知の力に加え、何故か会得した覚えのない日本語を、巧みに理解し話せるようになっていたこと等から、あの少年が只者ではないことが明らかだった。
表立って逆らうよりは、今は殺し合いに積極的に乗る方が安全だろう。この幼い容姿を利用して、使えそうな参加者にでも取り入ろうとエスターは考える。

「あ、あの……なにか……えっ……」
「チッ」

部屋のドアが開き、わざとらしく木が軋む音が鳴る。外から冷たい空気が流れ込み、新しい人影が差し込んだ。
騒々しい物音を聞きつけ、好奇心ともし何かあったらと善良な心に従ったのだろう。
ドアを開けたのは身なりの奇麗な少年で、おどおどしながら中のエスターの様子を心配そうに伺い、そして驚嘆する。

「ああぁ! もうっ!!」
「え、まって……」

心底面倒そうに、だが非常に素早く慣れた手付きで近くの鈍器を掴み上げる。そして一切の躊躇を見せず、ノータイムで少年へと振り下ろした。
ぐぐもった呻き声と共に、悲鳴も上げられず少年は頭をかち割られ、殴り倒される。更にエスターは何度か鈍器で殴りつけ、少年が完全に動かなくなるまで念入りに止めを刺す。

「運が悪かったわね。……でも、ノックもなしにドアを開ける方も悪いんだから」

この癇癪を見られた参加者を生かしてはおけない。別に、誰かを殺害した場面を見られた訳でもないが、変に警戒されても面倒だ。
それに、利用価値も低そうなただの子供だ。強いて言えば、身なりを見るに両親はかなりの金持ちで裕福な家庭で育っていそうだが、殺し合いで金持ちが役に立つ訳がない。
殺して支給品を奪う方が、まだ有意義にもなるだろう。

(こいつ、血が出ない……? これだけ殴ってるのに?)

普通なら、頭部の皮膚が裂けて血が流れる。なのに、この少年はどういう訳かまるで血が流れない。
いくらエスターが女性の膂力であるとはいえ、人間の頑丈さでは説明が付かない。

「―――ええ、確かに些か不躾でしたね。お詫びしますよ」

「……は?」

その違和感に応えるように、少年から声が発せられる。

これは、不味い。

動揺しながらも少年の危険性を肌で感じたエスターは少年の再生が終わるより早く、鈍器を振りかざす。
だが、次の瞬間エスターの持っていた鈍器が横に真っ二つに切断された。そのまま彼女の頬の真横を漆黒の刃が過ぎる。
その刃はエスターの真下、少年の影からまるで二次元の平面から飛び出すように生成され、エスターの背後の壁を容易く貫通してみせた。


(影……!?)

エスターは目を瞑り、半分に切断された鈍器を真上へ、部屋を照らす電灯へと投げ付けた。ガラスが割れるような音共に破片が降り注ぎ、暗闇を打ち消していた電気の光が遮断される。
少年は急激な事態の変化、特に明るい室内に慣れた目が暗い景色に適応しきれない。

「面倒な真似を―――」

明かりのない闇の中では影は生まれない。もし、あの能力がそのまま影の性質を持っているのなら光を消せばいい。
未知の能力に対し、半ばヤケクソがちな賭けだったが、その見立ては成功したとエスターは確信する。
相手の目の慣れない内に肉薄し、少年の首へと手を伸ばす。

(信じるわ。本当に、この爆破で死ぬんでしょうね!!?)

この少年の正体が何かは知らない。だが、乃亜の言っていたように「不死の異能者を殺せる首輪」という発言を信じるならば、最初にルフィとエースを殺めたあの爆破で殺せるはずだ。
首に衝撃を与え、首輪を誘爆させる。それがエスターに出来る少年の確実な殺害方法。

(そうか、首輪を)

少年も僅かに目が慣れ、エスターの動きを僅かに目視できるようになっていく。
背負っていたランドセルを下ろし、向かってくるエスターに横薙ぎに振るう。

「こ、の……!」

ダメージこそランドセルの軟さから大したものではないが、真横から衝撃が走ったことでエスターは体制を崩し転んでしまう。

(全く、鋼の錬金術師かと思えば、無駄骨でしたね。……必要以上に付き合う必要はないか)

そのまま少年は部屋を飛び出し、屋外へと逃亡していく。エスターも立ち上がり後を追うが、今度は少年が暗闇を利用し姿を晦ました。



「……バカね」


一旦、屋内に入りエスターは壁に頭を軽く打ち付け吐き捨てる。
あの少年の能力を考えても、下手に深追いをして光源のある場所へ誘導されて返り討ちに合う可能性もある。だから、追跡を断念したのはやむを得ない。
だが、仕留めそこなった事でエスターが不利になったのも事実だ。
エスターの本性を知られ悪評を撒かれれば、幼い容姿を利用して参加者を欺く算段が狂ってしまう。

「もう少し、考えられたでしょう……どうしてあんなとこで癇癪を……!」

何度もガンガンガンガン頭を打ち付けて、ストレスを吐き出しながら反省点を口にする。
元を辿れば、屋内とはいえ無防備に暴れ狂ったのが原因でこんなことになった。
壁を殴って蹴って、殴って蹴って、散々暴れてから落ち着きを取り戻していく。

「…………そうよ、落ち着いて……あいつは化け物、普通の人間じゃない。もしあいつが殺し合いに積極的なら、向こうから襲われたことにする。 
 違うなら、多分正体を隠そうとするはず……」

あの少年、ドアを開けたその瞬間は丁寧な敬語を使う素振りを見せていた。つまり、別参加者との接触の際に最低限、正体を隠す意図があるように思えた。

「私に襲われたと言いふらすようなら、私もあいつの正体をバラしてやる……。あいつだって、きっとそれは困るわ」

不安も懸念もあるが、まだ詰んでいる訳ではない。
いくらでも言い逃れも出来るし、自分を信用する味方をこれから作り上げればいい。

辺りを警戒しながら屋外に出て、タブレットに備わったライト機能を点けようとして……。


「灯りは不味いかもね……」


この程度の光が、あの影を操作できる程の光源となるか分からないが、念には念の為だ。
ライトを点けずに警戒しながらエスターは歩みだした。



「長年子供をやってきましたが、とんでもない女だ……同じ子供とは思えませんね」

セリム・ブラッドレイはあの狂気的で暴力的な少女を撒いたのを見て、溜息と共に溜まらず呟いた。

ゲーム開始時、やけに騒々しい物音を聞き付け確認に向かったのが間違いの始まりだった。
誰がどう襲われようと興味はなかったが、一つだけ懸念があるとすれば、人柱である鋼の錬金術師エドワード・エルリックだ。

恐らくは、この殺し合いに呼ばれはしないだろう。
乃亜から言及はなかったが、あの最初に集められた場に居た参加者は12歳以下と思える子供が多かった。エドワードもまだ子供と言える年齢ではあるが、そこまで幼くはない。
だが、あの年齢に合わない低身長が厄介だった。セリムのように、容姿のみが幼い参加者も殺し合いの参加条件として設定されているのなら、エドワードも低身長の為に巻き込まれる可能性は否定できない。
12歳ぐらいの子供といえば身長も150㎝代になってくるだろうことを鑑みると、あのアホ毛と底上げ靴を差し引いたエドワードの身長は、丁度12歳のそれぐらいになってしまうかもしれない。

そして、もしもエドワードが死ぬようなことがあればお父様の計画に支障が出る。
だから万が一を考え騒音の元に向かったが、蓋を開ければホムンクルスであるセリムでさえ引いてしまうような暴力少女と遭遇してしまった。

(はあ……。
 鋼の錬金術師の身長の低さを、真面目に考えなくてはならない日が来るとは……。多分、彼は牛乳が嫌いなのでしょうね)

あの背丈の小ささに対し、軽く愚痴を思い浮かべながら、あの少女の事を思い返す。
あの少女、殺そうと思えばいくらでもやりようはあった。
だが、やけに戦い慣れしていたのもあり、更には光源も期待できなかったこと。
そしてエドワードの不在が確認できるまでは、彼を探し見付け次第優先して保護したい。その為、無理にあの少女の相手をして手間を掛ける理由もない。
そう考え、敢えて撤退をしてしまったが、セリムの能力を一瞬で影と判断し電球を潰した機転など気にもなっていた。

(……まさか、私と同じような)

何か、説明は出来ないが自分と同じような感覚を少女から覚える。
もしや、外見だけが幼く実際の年齢を自分と同じように偽っているのだろうか。

「いや、そんなことより鋼の錬金術師を探すことが最優先ですね。少しは背が伸びていてくれれば、参加者の選定条件から外れてくれて助かるのですが……」

そんなことを考えながら、セリムは再びエドワードの探索へと意識を切り替えた。




【エスター(リーナ・クラマー)@エスター】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗る。生還優先。
1︰利用できそうな参加者を探す。
2:セリム(名前は知らない)とその操る影を警戒。
[備考]
※湖に沈んだ直後から参戦です。
※日本語が話せることを自覚しています。


【セリム・ブラッドレイ(プライド)@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:もし居れば、鋼の錬金術師の生存を優先する。居なければ……。
1︰他参加者に接触し、情報を集める。
[備考]
※ヨキに轢き逃げされて以降からの参戦です。


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