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救いの……

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「狐の……化け物が居たんですぅ!!! 確か……ナルトって呼ばれてて、変な額当てして…あ、あと! すごい高そうな洋服を着てた男の子もいました!!
 ナルトが狐の化け物を操って……赤ちゃんを殺したんです!!」

佐藤マサオはうずまきナルトから逃げ出し、それから数十分走り続け、ようやく出会えた別の参加者に事の経緯を話した。
もっとも、その内容は起きた事実に反し、非常に歪に改変されたものだ。
マニッシュボーイのデス13については一切触れず、ナルトが内に飼っている化け狐をけしかけて、自分達を襲い赤ちゃんを殺害した。
それが、マサオが語った偽りの事実だった。

「……そう」

その話を聞いた少女はマサオよりも数歳年上で、少なくとも彼からすれば、お姉さんのような頼もしさを感じさせる少女だった。
涙を流しながら、息も絶え絶えに走ってきたマサオを心配し、落ち着かせてくれた彼女に感謝もしており、だからこそナルトの危険性を伝えねばと、正義感から拙い嘘を吐いた。

「マサオ、あなた…赤ちゃんを見殺しにしたのね?」

馬鹿なガキだと、さっきまで優し気に接してくれた少女の表情が冷徹に変貌し、マサオに投げかけてくるようだった。

「み、見殺しなんて……」
「だってそうでしょ? マサオは歩けない赤ちゃんを、置いて逃げたんじゃない」
「違うよぉ! 僕は……!!」
「黙って、騒ぐな!!」

少女は、異議を唱えようと叫ぶマサオの口を手を伸ばし抑えつける。マサオはもがもがと口を動かしながら、掌と口の間から空気を漏らす。
歳の差はあるとはいえ、マサオの顔に掛かった握力の負荷はかなり強い。
殺される。マサオは直感的に恐怖し、無意識の内に叫ぶのをやめていた。
それを確認したのか、少女はマサオから手を離す。

「別に、チクったりはしないわ。何なら、あんたが赤ちゃんを殺したことも、全部ナルトって奴がやったことにしといてあげる」
「……え? ち、ちが……赤ちゃんは僕が殺したんじゃ……」
「あのね。一人じゃ逃げれない赤ん坊を、置いて逃げたのよ。それはもうあなたが殺したのと一緒なの」
「そ…そんなk―――」
「次、騒いだら撃つわ」

流れるように手慣れた手付きで、少女はランドセルから銃を取り出しマサオに向ける。いくら泣き虫のマサオといえど、今度こそ本当に殺される。
涙を瞳から零しながら、両手で口を抑え必死に声を抑えた。

「どうする? あんたが赤ちゃん殺したこと、全部バラしてもいいのよ。きっと…確か乃亜は対主催とか言ってたわね。そいつらに、殺されるんじゃない?」

「え……こ、殺……さ…」

「当り前じゃない。彼らは殺し合いをしない正義の味方なの。人殺しは悪いことなのよ、マサオ……あなたは悪い子よね。
 なんだったかしら…確か、日本の番組で……そう、ウルトラマンよ。あれも、悪い怪獣はヒーローに殺される。当然じゃない」

「そ、そんな……」

マサオが好んで視聴していたアクション仮面や、カンタムロボが悪役を倒す場面が浮かんだ。
ヒーローが悪者をやっつけて、物語はハッピーエンドを迎える。ありきたりでご都合主義で、いつものお約束だ。
そんな展開にマサオは疑問など抱かなかったし、それが楽しみで毎週テレビの電源を入れていた。

「じゃあ、言ってみればいいじゃない。僕は赤ちゃんを見捨てましたって。
 ……これから、対主催の良い子のとこへ一緒に行って、全部私が説明してあげてもいいのよ。きっと悪者としてやっつけられちゃうかもね?」
「だ…だって……どうすれば…よかったのぉ……!」

焦りながら、ふと思い出す。
映画館で出会った、美山写影と櫻井桃華のことを。
あの二人なら、きっと話せば分かってくれる。分かってくれる筈だ。
写影はとても頭が良さそうだったようにマサオには思えたし、特に桃華は聖女のような女の子なのだから。


―――この、裏切りおにぎり。

―――この際だからハッキリ言いますわね。私、マサオの様な男性の方、嫌いなんです。


だが、その時に失意の庭で浴びせられた罵声を思い出す。


(駄目だ。あの二人にこんなこと聞かれたら、絶対に防衛隊のみんなみたいに……)


───しんちゃんみたいじゃなかったら、生きてちゃいけないの?


そして、その中で吐き出した本音を思い出す。



いつもそうだ。
しんのすけや防衛隊からの扱いが酷いことも多くて、時々羽目を外したり鬱憤を晴らすと一気に責められる。
以前、しんのすけを売ったことも後から、本当に悪いことをしてしまったと思って、後悔もしてる。
なのに、どうしてここまで言われなきゃいけないのか。やりたくてやったわけじゃない。間が悪かっただけじゃないか。

「……僕じゃ、赤ちゃんを守れないよぉ…! 僕はしんちゃんじゃない……あんな化け物に勝てる訳ないじゃないかぁ……!!
 逃げたって……逃げたってぇ……」

知っている。きっと、野原しんのすけなら逃げないだろうって。
いつも馬鹿な事をやりだして、平気で下半身を露出して、女好きで、下品な下ネタも言い出す変な子供だけど。
何度も色んな冒険を乗り越えて、いつでもどんな絶望的な状況でも決して折れなかった。色んな悪者を、最後にはやっつけてきて、世界だって何度も救ってきたヒーローだ。

「しんちゃんは……凄いよ……いつだって正義の味方で…いつだってカッコよかったよ。でも、僕にはなれないよ……! 僕はしんちゃんみたいには、なれっこないんだ。
 ……助けてよ。しんちゃん、僕…もう……殺されちゃうよぉ……」

既にマサオはの精神は限界だった。
糸見沙耶香の惨殺死体を見せられ、デス13の悪夢を短時間に2度も喰らい、右天の襲撃により失意の庭を見せられ、ナルトの内に潜む九尾の憎悪に触れた。
ただの5歳児が耐えられる限界など超えている。
辛うじて、彼を支えた歪んだ正義感も、目の前の少女に一喝され、完全にへし折られる程に。




―――マサオ君は悪くないゾ。



「マサオは悪くないわ」


毎話におけるお約束、アクション仮面のクライマックス。
悪役の元に駆け付けるヒーローのような、とても狙ったかのようなタイミングで、その声は響いてきた。

「しん……ちゃん?」

それは、一瞬だけしんのすけの声に聞こえた。
全く、タイプが別の子供の筈なのに、この一瞬だけ少女の声が、野原しんのすけのものにマサオには聞こえてしまった。

「あなたは悪くない。だけど、対主催やそのナルトって子からきっと虐められてしまうわ。
 だから、そうならないようにしてあげる」

「ど、どういうこと……?」

「助けてあげるって言ってるの」

最初にマサオが出会った時のような、温和な笑みを浮かべて少女は優しくマサオの頭を撫でた。

(ナルトと一緒に居た、高そうな服を着た子供……きっと、あの影を操るあいつだ。丁度いいじゃない、このガキを使ってまとめて悪評をばら撒いてやる)

その少女、エスターは内心で非常に利己的で冷徹に策を張り巡らせていた。
セリムとの交戦後、利用できる参加者を探していたが、誰にも出会えない。
別の殺し合いに乗った参加者に襲撃されなかったのは幸運だが、こうしている間にもセリムに悪評を撒かれればエスターが動きづらくなる。
焦りと苛立ちを募らせていたところに、このマサオとかいう子供が手元に転がってきた。

「あなたが赤ちゃんを殺したこと、黙っていてあげる……。かわりに、その高そうな服を着てる子も、殺し合いに乗っていると話して欲しいの」

「え、でも……」

「分かるでしょう? ナルトと組んで、殺し合いに乗っているのよ。
 きっと、他の対主催を騙して優勝を狙う気だわ。あなたも殺されてしまう。だから先手を打つの」

マサオ単独では、すぐに違和感を覚えるような拙い話術だが。
エスターが補えば、それなりの信憑性は上がるだろう。
仮に、ナルト達への悪評が覆されたとしても、その時は全部このマサオから話を聞いて、自分も騙されたとシラを切り通せばいい。
他にも、何かしらの鉄砲玉や万が一の肉盾にも使えるだろう。

「マサオ……これはあなたを守る為よ。お願い、協力して」

「……うん」

追い込まれた子供の脆さと、駒としての使いやすさを、エスターは誰よりも良く理解していた。





【E-4/1日目/黎明】


【佐藤マサオ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:精神疲労(大)、失意の庭の影響?、ナルトを追い詰めるという確固たる意志。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:生きて帰りたい。
1:赤ちゃんを殺したあの怪物は許さない、絶対に追い詰める。エスターの言う通りナルトの横に居た子も絶対に追い詰める。
2:何だよ皆おにぎりおにぎりって…!
3:桃華さん……せ、聖母だ……!出来たら結婚し(ry
4:写影さんや桃華さんには、赤ちゃんを見捨てたこと黙ってないと……。
[備考]
※デス13の暗示によってマニッシュ・ボーイの下手人であるナルトを追い詰めるという意志が発生しています。
※自分を襲った赤ん坊に与する矛盾には暗示によって気づかない様になっています。



【エスター(リーナ・クラマー)@エスター】
[状態]:健康
[装備]:スミス&ウェッソン M36@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗る。生還優先。
1?利用できそうな参加者を探す。
2:セリム(名前は知らない)とその操る影を警戒。
3:マサオにセリムの悪評をばら撒かせる。あとはその他諸々利用して捨てる。
[備考]
※湖に沈んだ直後から参戦です。
※日本語が話せることを自覚しています。


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