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燃えよ失意の夢

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『………び』

『……くびょーがみ』

『疫病神』

『アンタの能力って、未来の人の不幸を見るんでしょ?』

『悪趣味―』

『気持ち悪っ』


───大川内。


『ねぇ、本当の所はどうなの?』

『やっぱりアンタが予知するから不幸が呼びこまれてるんじゃないの?』


───違う。


『アンタさえいなければ、誰も不幸にならずに済むんじゃないの?』


───違う。違う……!それでも、黒子は……!!
───僕の力は誰かを助けるのに役立つって………


『あはっ、出た出たクロコはー、って』

『黒子さんと大勢人を助けた?でも、アンタは予知して伝えただけよね?』

『実際助けるために、アンタ自身は何かできた?』


───それ、は。


『なーんにもできてないなら。それってつまり、さ』

『黒子って人が凄いだけで、アンタ自身は何も変わってないって事じゃないの?』

『ただ、変わった気になってるだけで』

『それが自分の力でもないのにね』


───僕、は。
───僕は………、







「───さて、何人いる?」

「うーんと、あしおとのかずでは3人かな。丁度入り口の近くのへやに1人、おくに2人
ねぇねぇ!わたしたちがおくの2人もらってもいい?」

「好きにしろ。魂食いとやらも好きにやって構わん」

「やったーおやつだー。おなかへってたし、ちょうどいいよね」

「魔力はちゃんと与えているだろう」

「それとは、べつばら?だもん」

「……まぁいい。始めろ」

「はーい!それじゃ、いくよー」



───暗黒霧都(ザ・ミスト)。






「落ち着いた、しんちゃん?」
「……うん、オラ、もう大丈夫だゾ。
これ以上落ち込んでたら、ボーちゃんに怒られちゃうから……」



友の死を告げる放送から少し後。
直ぐ近くで奇術師のニードレスと子供達が戦っているのも気づかず。
野原しんのすけは喪失の悲しみを癒し、再び友となった少女と立ち上がろうとしていた。


「じゃあそろそろ行こっか、まだ誰かしんちゃんのお友達が来てるかもしれないし…
私もお姉様がもしかしたらいるかもしれないし」
「おお!フランちゃんはお姉さんがいるんですな~?可愛い?」
「え?う~ん……どうだろ、多分本人はかっこいいって言われた方が喜びそうだけど」
「ふ~ん、フランちゃんもあと十五年位したらオラのタイプの大人のお姉さんになりそうだけどな~」
「私、400年以上この姿なんだけど。成長するのかな?」


悲しみを胸の底に今は押し込んで。
そんな、普段通りのセリフをしんのすけは言い続ける。
ずっと自分が沈んで居たままでは、ボーちゃんももっと悲しむだろうから。
落ち込んでいる暇はない。
ボーちゃんの母ちゃんや父ちゃんに、ボーちゃんがどうなったか伝えるために、帰らないといけない。
そう思って、癒えない傷の痛みを食いしばり、再び歩みだそうとする。
その時の事だった。


「……しんちゃん、口元を抑えて。あんまり息をしないで」
「オ?ど、どうしたんだゾ?フランちゃん」


フランドールが異変を感じ取った。
薄暗い映画館だったため気づきにくかったが。
いつの間にか、部屋には黒い霧の様な物が漂っていたからだ。
吸血鬼のヒトを超えた直感が、言っていた。
これは、私達にとって害のある物だ、と。
それを悟ってからのフランドールの決断に迷いは無かった。
がし、と。吸血鬼の膂力でしんのすけを抱え上げる。




「おぉ!?一体どうしたんだゾ?フランちゃん!」
「いいから、口を押えて、走るよしんちゃ───」


言葉が最後まで紡がれることは無かった。
ヒュッ、という風切り音を、フランは感じ取り。
その直後、何かが自分の肉を裂いて突き刺さるずぶ、という鈍い音を聞いた。


「──痛ッ!?」
「フ、フランちゃん!?」


495年間めったに感じてこなかった、刃物が突き刺さる痛烈な痛み。
下手人の狙いは正確だった。
正確に、フランの腱や動脈を狙って投擲されていた。


「随分な挨拶じゃない」


だが、吸血鬼であるフランにとっては、その程度だ。
体中に突き刺さったナイフを引き抜き、飛んできた入り口の方角を見る。
その表情は先ほどの幼げな少女のそれでなく。
気が触れていると称された、吸血鬼のそれであった。


「ふ~ん、わたしたちのナイフで死なないなんて…あなたもしかしてサーヴァント?」


入り口に立っていたのは、黒のマントを羽織った、白銀の髪の少女。
自分の投げたナイフで標的が死亡しなかったのが意外だったのか、じろじろと此方を覗き込んでくる。


「私は吸血鬼よ。吸血鬼のフランドール・スカーレット」
「ふーん…吸血鬼かぁ。わたしたちは、殺人鬼のジャック・ザ・リッパー」



双方名乗りをあげるものの、「よろしく」とは言わなかった。
既にお互いがお互いを敵として認識していたからだ。
剣呑な雰囲気を纏って、フランはジャックに尋ねる。


「霧(コレ)貴方の仕業?今すぐやめなさい。でないと、タダじゃおかないわ」


タダではおかない、とは言ったけれど。
その実殺すことになる事は、フランはほぼ確信していた。
殺人鬼と吸血鬼。
人を殺す物と人を喰らう者。
どこか近しいあり方でありながら、決して相いれない。
故に、ただじゃ置かないと言ったのは、しんのすけに嫌われたくないからだった。
だが、そんなしんのすけの身体がぐらりと揺れる。


「何か…頭痛いゾ………」


突然の頭痛、軽い眩暈、吐き気が、しんのすけを蝕み始めたのだ。
症状は軽いものの、風邪をひいた時の様な、苦しくてだるい感じ。
霧が漂い始めてから、感じ始めた感覚だった。
そんなしんのすけの様を見てから、バッとフランはジャックを睨む。


「これが最後よ、今すぐこの霧を止めなさい」


だが、そんなフランの最後通牒は聞き入れられることは無かった。
にっこりと、ジャックは笑って。


「いーやっ」


フランは次の瞬間走り出していた。
段差になっている映画館特有の床を豹の様に俊敏に駆け抜け、握りこぶしを作る。
弾幕と能力が使えなくなっているが、彼女は吸血鬼。
ただ拳一つあれば、たかだか殺人鬼一人殺すには十分すぎる。



「あははっ!かくれんぼしーましょ」


だが、走った勢いをつけた拳は空を切る。
目標が、フランの予想を遥かに超えて俊敏だったからだ。
敵手もまた、人を超えた反英霊。
世界一有名な殺人鬼の名を冠した少女なのだから。
肉体のスペックだけで圧倒するのは至難を極める。
バックターンでくるりとフランの拳を躱すと、そのまま霧が漂う部屋の外へと少女は消えていった。


(どうする?このまましんちゃんを担いで…ううん、それじゃ……
この映画館を出るまでに襲われたら、しんちゃんを守り切れないかもしれない)


何しろ、映画館だ。薄暗くて、部屋も多くて、死角も多い。
そしてここは出入り口から見て一番奥の部屋である。
襲撃されても自分は何とかなる自信があったが、しんのすけはそうもいかない。
考えながら、部屋の中をもう一度見る。
霧は、退きつつあった。半面、部屋の外の霧は濃くなっている。
夜目が効く吸血鬼ですら数メートル先が視認困難なほどだった。
濃霧の中から、声が響く。


「フーラーン!!あーそびましょっ!!」


明らかに誘われていた。
上等だ。フランは決意した。


「いいわ、殺人鬼と吸血鬼、どっちが凄いか決めましょう」
「フ、フランちゃん!」


体調が復調したのか、しんのすけが前の座席の方から入り口に立つ此方を見てくる。
フランドールは、そんなしんのすけに笑いかけた。


「ちょっと懲らしめてくるから、しんちゃんは此処で待ってて。すぐ戻って来るわ」
「オ、オラも!」
「だめ、霧の中でフラフラのしんちゃんを守りながらじゃ戦いにくいもん。
私達友達でしょ?私を、信じて欲しいな」


殺してくる、とは言わなかった。
友達の悲しむ顔を、見たくはなかったから。
フランはこれでも冷静に自分を客観視していた。
流れ星を壊すのは簡単だけど、誰かを守る方法は分からない。
だから、これが一番いいという方法を選ぶしかなかった。


「で、でも……」
「私、傘をくれたしんちゃんにお礼がしたいんだ。だから……お願い」


そう言って、再び笑いかける。
すると、まだ表情には逡巡の彩を見せながら…それでもこくり、と、しんのすけは頷いた。


「分かった、フランちゃん。頑張って欲しいゾ!!」
「っ!うん!頑張る!!」


初めての「ともだち」の声援に、胸の奥が熱を持った様な気がした。
自然と薄い笑みが零れて。手足に力がみなぎる。
負ける気はしなかった。
そのままバン!とシアタールームと廊下を繋げる扉を蹴破り、濃霧の中へと飛び込む。
すると、フランが飛び込むと同時にまた霧の奥から声が響いた。

「こっちだよー、こっち」
「──望み通り遊んであげる。ジャック」


ただし、しんちゃんの言う遊びじゃない、私の遊びだけどね。
そう考える彼女の表情はもう無邪気な童女のそれではなく。
伝承で語られる、数百年生きた吸血鬼のそれだった。
……………………
……………
……



「フランちゃん、大丈夫かな」


……と、ここまではいつもの、しんのすけの冒険だった。
悪者としんのすけが出会った女の子が戦い、しんのすけを一旦安全な場所に置こうとする。


「……お友達なら、おたすけしなきゃ……!」


そして、悪人と戦う女の子をおたすけしに、しんのすけが駆けつけ、窮地を脱する。
今回も、彼は嵐を呼ぶ五歳児としてそう動こうとしていた。
決意を固めて。胸の前でむんっと握りこぶしを作って、そして叫ぶ。


「しんのすけ、ファイヤー!!」


今行くぞ、フランちゃん。
そう言おうとした、その時だった。
ガツン、と。頭に衝撃が走る。


「え、ぁ……!?」


頭から、どろりとした物が流れた。
振り返ってみると、部屋の外に出たはずの、ジャックという少女が得意げな顔をして立っていた。
その手に、ナイフを握って。


「えへへ、あの子、たぶん殺し合いになれてないよね?
だからこんなカンタンな、とりっくに引っかかっちゃう」


少女の手の中にあったのは、小さなバッジだった。
薄れる意識の中で、しんのすけはそれを呆然と見る。


「すごいよね、探偵バッジって言うんだって!これを使えば遠くとお話できるの!
………でね、これをいろんなところにおけばどうなると思う?」



本当に、単純なトリックだった。この場に名探偵がいれば直ぐに見破っていただろう。
ジャックに支給された少年探偵団の探偵バッジは人数分の五つ。
一つはジャックが保持して、残りを映画館の至る場所に仕掛けたとしたら?
フランが外に出たタイミングで探偵バッジに話しかければ、バッジはスピーカーの役目を果たし、
本当は直ぐ近くに潜んでいるのに、部屋の外に出たのだと誤認するのではないか?
ましてや、この濃霧の中。495年引きこもっていた吸血鬼の少女に見抜けるだろうか?
その答えが、今のしんのすけの状態だった。
彼女が悪かったわけではない。
ただ、フランドール・スカーレットは知らなかったのだ。




殺人鬼は、弱い者を狙うという事に。




「まだ、役に立ってね?」


薄れていく意識の中、しんのすけが見たのは、無邪気な少女の笑顔だった。







『この、裏切りおにぎり』


──ひ、酷いよしんちゃん!


『友達を売って恥ずかしくないの?』


──風間君だって一緒にしんちゃんを売ったじゃないか!


『マサオくんは、いつも、そう。情けなくて、力を手に入れたら、すぐ、調子に乗る』


──ボーちゃんだって一緒にしんちゃんを売ったでしょ!ボクと何が違うのさ!


『そりゃ私達も売ったけど、喜んでしんちゃんを売って手に入れたお菓子に食いついてたのはアンタだけだったじゃない』


──ネ、ネネちゃんまで……


『ここでもそう、直ぐに女の子に鼻の下伸ばして、アンタ状況分かってんの?
ボーちゃん、死んじゃってるのよ?』


───な、何言ってるのさネネちゃん、ボーちゃんは隣で……


『この際だからハッキリ言いますわね。私、マサオの様な男性の方、嫌いなんです』


───ア、アイちゃん………

───な、何だよ何だよなんだよ!!!みんなしてさ!!!。

───そりゃあ僕はしんちゃんと比べたら情けないさ!意気地なしさ!!



───でも、それってそんなにいけないこと?



───しんちゃんみたいじゃなかったら、生きてちゃいけないの?




その異変は失意の庭を使ってから、直ぐにやってきた。


「な……なん、だ……!?」


アダム・アークライトを長とする製薬会社シオメン。シオメン四天王の一人、右天。
ミッシング級ニードレスのクローンにして、現在ではエデンズシードを与えられた聖痕(スティグマ)保持者である。
能力、身体能力、肉体の再生力、どれをとっても人間を超越した実力者であった。
その右天の肉体が、急に不良を訴えたのだ。
それも、単なる不調ではない。
身体の、聖痕が刻まれた左足を除く四肢が、動かないのだ。
疲れによるものではない。単なる疲労に依る者では断じてなかった。
一体自分の体に何が起きているのかと、四肢を見る。


「……っ!?う、うわあああああああッ!!!」


四肢が、腐っていた。少し動かしただけで、指がぼろりと崩れ落ちた。
エデンズシードによる再生で新しい指が生え変わる。腐る。腐り堕ちる、再生する。
腐る、腐り堕ちる、再生。腐る、腐り堕ちる、再生。腐る、腐り堕ちる、再生。
腐る、腐り堕ちる、再生。腐る、腐り堕ちる、再生。腐る、腐り堕ちる、再生。
腐る、腐り堕ちる、再生。腐る、腐り堕ちる、再生。腐る、腐り堕ちる、再生──
その間絶え間なく激痛が襲い、左足を除く四肢は既に使い物にならなくなっていた。
こうなると、エデンズシードの移植されたのは、彼にとっては不幸以外の何物でも無かったのかもしれない。
彼が単なるニードレスであった右天本人であれば、とっくに死亡できていただろうから。
だが、現実はそうではない。
彼が近い未来で敵と手を結んでまで忌避した、終わらぬ責め苦が、ここに再現されていた。


「く、そ……なん、でだ…一体、何で………」



絞り出すような声で呻く右天。
そんな彼の独り言に、応える者がいた。
その声は、右天が今しがた失意の庭に閉じ込めた子供達の物ではなかった。


「何でかは、そんなもんは決まっているだろ」


馬鹿な、さっきまで気配は確かに感じなかった筈。
一体、何時の間にこいつは現れたんだ。
声の方を、首と顔だけを動かして見る。
そこに立っていたのは、白い少年だった。
白髪に、白のマント。背丈は小柄な右天よりもさらに小さい。
だが──纏う雰囲気はただ者ではなかった。
そして、右天のその見立ては正しい。
何故なら、今、彼の目の前に立っているのは──


紫電の眼光。
白銀の髪。
王族に生まれし雷。
少年の名は、ゼオン・ベル。
雷帝ゼオンの異名を持つ、一条の雷であった。


「お前、まさか知らないで手を出したのか?この忌み物に」


ゼオンの足元にあるのは、右天の手からいつの間にか零れ落ちた失意の庭(ロストウィル)のオーブだった。
それはゼオンの目から見ても禍々しく、怖気の走る特級の厄物だった。
ゼオンならば、相手と差し違える覚悟が無ければまず使わないだろう呪物。
そんな呪物に手を出しておいて体の不調に「何故」とはお笑い草だった。
身体を検分するに何某かの異能を備えているのは伺えたが、こうなってしまえばもはやただの人間の子供にすら劣る有様だろう。


「そんな……でも、支給品の説明書には、そんな事は…がッ!?」


満足に動かない体を蹴り飛ばされて、転がる右天。
それに伴い、ランドセルの中身が零れ落ちる。
ゼオンはその中をごそごそと漁り、目当ての支給品の説明書を手に入れた。
それを読み、呆れたような声を上げる。



「知識が無くても少しは考えてみろ、発動した瞬間何人もの人間を取り込み、
閉じ込めたうえで心を腐らせる呪物、そんな代物が何のリスクも無く使えると思うか?」


最早ゼオンの右天を見る瞳は人に向けるそれでは無かった。
養鶏場のプロイラーを見る視線だった。


「で、でも……なんで乃亜は……そうと説明書に、」
「お前の様に、素人の癖に手を出すマヌケがいるからだろ。
父や母から教わらなかったか?良く分からない物に手を出してはいけない、と
奇術師の様な格好をしてるが、明日から道化とでも名乗ったらどうだ」


そう言って、ゼオンはその手に持っていた大刀を振るう。
次の瞬間、右天の首がボキゴキと何かがへし折れる音が響いた。
それが大刀によって自身の左半身が削り取られた音だと右天が認識できたのは、十秒は経ってからだった。
床と水平に吹き飛ばされて、壁に激突してやっと止まる。


「お前は後だ」


右天がまだ死んでいない事は分かっている。
だが、奴の状態を見るに、この呪物を既に使用したのは見て取れる。
となれば、此処に閉じ込められたものがいる筈だ。
どうせ右天はあのザマで、今は這う事位しかできはしない。
だったら、先に此方を片付けよう。
それがゼオンの下した決定だった。
足元のオーブに手を翳し、呪文を唱える。


「ザケルガ!」



掌から、紫電の光がオーブへと向けて迸る。
説明書によるとこのオーブを破壊すれば中に囚われている者達は出てくるらしい。
まぁ、この中で疲弊した先に自分に襲われるのは運がないとしか言いようがないが。
ゼオンにとって、右天は勿論、この中にいる者達が死ぬことも既に決定した事だった。
オーブが割れる。
閉じ込められていた、中の者達が映画を映すモニターの前に出てくる。
閉じ込められてからまだ十分も経過していないが、出てきた者達は全員ぐったりと横たわっていた。
赤子の手を捻るより全員あっさりと始末できる、ゼオンは獰猛な笑みを浮かべた。
しかし、この瞬間彼も一つのミスをした。
出てきた者達に気を取られ、オーブから一瞬意識を逸らした事だ。


「───な、に───!?」


失意の庭は、魔力切れで取り込まれていた四人を放出した訳ではない。
まだ魔力が残った、起動した状態で破壊されたのだ。
それも、本来この魔術礼装が破壊された時の様に粉々に、ではなく。
まだ原型が残る形で破壊されていた。
彼もまた、この魔術礼装を甘く見ていたのだ。
失意の庭(ロストウィル)。
最高位の魔女モルガンですら禁忌として厳重に保管していた魔術礼装。
まるで最後の置き土産とでも言うように、機能を停止するその一瞬。
その一瞬で、失意の庭の毒牙は自らを破壊したゼオンに剥いた。


彼の視界が白く染まったのは、その直後の事だった。







──……これは一体、誰の記憶何でしょう………?


『あたしの心の中には…もう、雨が降る事さえない』


───とても冷たくて、昏い……


『何故俺は生きているんだ……』

『何なんだ!くそ…死ねない……!』


───行き場のない悲しみに満ちている……
───違う、これは私の知っている物じゃ……
───これは、これはもしかして……


『もう一度、話がしたい』

『貴方と、そよ風の中で話がしたい』


───貴方(ウェザー・リポート)の……?


『生き延びるのよ、アンタは“希望“!!』

『来いッ!プッチ神父!』


───誰かが、死んでしまう記憶。
───とても悲しい記憶。
───でも、本当に、それだけ?





『ゼオン、お前ではダメだ』


──何故ですか、父上。


『お前の心の内に在る修羅は大きすぎる。バオウを与える事は出来ん』


───です、が……!それならば、王位はこの私に!


『それもダメだ、王位はバオウを持つガッシュに与える』


───何故、だ。何故なのです!父上!!


『王位はバオウを持つ者、当然だろう』


───な、ぜ…!何故だ…何故貴方は…私には何も下さらないのですか!
───貴方にとって私は、憎んでいるだけの子なのですか!
───バオウを受け継いだガッシュがそこまで大切か!?
───自由も無く、バオウも、王位も与えられないのなら……
───それなら、私の人生は一体何のためにあるというのですか!
───答えろォオオオオオオオオオオッッッ!!!


『くだらん話をしているヒマがあったら腕を磨け。力を使うお前の心を鍛えろ』


………………………………………………
………………………………
………………





「テメェ……!」


どれほどの時間その場に突っ立っていただろうか。
数秒?数十秒?数分?
そんな事はどうでも良かった。
重要なのは、今の自分の胸の奥からマグマの様なドス黒い感情が湧き上がっていること。
そして、その怒りを噴きあがらせた張本人が、今しがた体の欠損を修復したという事だ。
ギラリ、と。
紫電の眼光で、ゼオンは右天を睨む。


「よくもくだらない物を見せてくれたなぁ……!!」


怒りを通り越して、胸の内に在るのは純然たる殺意だった。
然し無理も無いだろう、今の彼は、自身の胸奥にあるトラウマを、土足で踏み荒らされたに等しいのだから。
その下手人を、生かしておけるはずも無かった。
今は、こんなふざけたものを見せたこの道化を“たたき”にして殺す。
それ以外の事は、頭から飛び出していた。


「………ふ、ふふ……上等だ……!」


憤怒の表情でゆっくりと迫って来る雷帝。
対する右天は、不敵に笑いながらも、臍を噛みたい思いだった。
失意の庭が破壊された影響か、ある程度腐り堕ちていた四肢は動くようになった。
尤も、未だ呪詛が渦巻く肉体はとても戦闘ができるコンディションではなかった。
腕を少し動かすだけで激痛が走り、立ち上がるだけでも目尻から涙が出そうになる。
そんな状態で、目の前の白髪の少年の相手ができるとは思えなかった。
だが、まだ生き残るチャンスはある。彼の能力は逃走に向いているのだから。


───バミューダ・アスポート!!




右天の姿が、ゼオンの視界から消える。
彼を選ばれし存在たらしめる能力(フラグメント)、透明化。
憤怒に彩られていたゼオンの表情が、探るような無表情へと変貌する。


「ハハハハハハ!!今度はこっちの番だ!!さっきのお礼をたっぷりさせて貰う!!」


手品師として、能力を活かす研鑽は欠かしていない。
居場所が分からないように、声を反響させるよう叫ぶ。
幸いここは映画館、通常の建物より音が響きやすくなっている。
攻撃する素振りを見せて、撤退する。それしかない。
今の状態では、勝機など無に等しいのだから。
足音を殺して、気づかれない様に出口へと向かう。
二十メートルにも満たないであろうその距離が、今はどうしようもなく遠かった。


「レードディラス・ザケルガ!!」


幼き修羅の叫びが響き渡る。
その叫びに呼応して、巨大な雷の歯車…ヨーヨーが出現した。
ヨーヨーは一直線にシアタールームの天井へと伸び…黒く塗られた地の底の様な天蓋を粉々にした。
右天の表情が、絶望へと彩られる。


(出口が……!)


二つあった出口は、さっきまで天井だった瓦礫で塞がれた。
退路は断たれた。
あと、退路と呼べる物は今しがたヨーヨーによって空いた天井の風穴しかない。
この右足で十メートル以上跳躍できるかは分からない。
だが、逃げ延びるにはやるしかない。
身体の中にある力を、エデンズシードを、脚部に全集中。
大丈夫、左足は聖痕のお陰で健在だ。勝算はある。
そして、彼は跳んだ。
一世一代の大跳躍を為して──気づく。




(……これ、は、もしかして)


意図的に、退路を限定されたのではないか?
わざと逃げ道を与える事で、その後のアクションを制約する。
右天も知っている簡単な誘導方だった。


「テオザケル」


そして、その読みは正しかった。
シアターの前にいた筈のゼオンが一瞬にして、跳躍した右天の上空へと現れる。
翳される手。迸る電撃。跳躍中の身体。
躱す事など、できる筈もなかった。


「ぎゃああああああああああああ!!!!!!!」


雷撃によって、腐っていた体が焦げる。焼ける。
能力の維持もできなくなり、その体が露わになりながら落下する。
太陽に近づきすぎて蝋の翼が解けたイカロスの様に。
右天は、地べたを這いずった。



「何処へ行くんだ?」



地面へと縫い付けられた敵手を踏み潰して。
ゼオン・ベルは嗜虐心に満ちた、凄絶な笑みを浮かべた。








こんなの、私(わたくし)の手でどうにかなる筈ない───



その時まで、私の胸にあったのは、その想いだけでした。
目が覚めて、隣を見れば写影さんとマサオさんが悪い夢を見ているような表情で横たわっていて。
その隣で赤ちゃんも汗をダラダラと流しながら一緒に並んでいました。
最初は何が起きたかわからず。分かったのは今動けるのはわたくしだけということ。
気絶したふりをしながら、辺りを見回してみれば、私達を不思議な球の中に吸い込んだ男の子が、白い髪の男の子に追い詰められているのが見えました。
偶然……でしょうか、丁度白い髪の男の子を見た時、彼も此方を見て、目が合います。


その瞬間、理解してしまいました。
この子は私達を殺すつもりなんだって。
あんな目で見られたのは生まれて初めてでした。
カタカタと身体が震えて、止まらなくて。
もう駄目なんだって、言われなくても、分かってしまいました。
私達はきっと、此処で終わりだって、信じて疑いませんでした。


───『生き延びるのよ、アンタは“希望“!!』


不思議な場所で、見せられた夢の中の言葉を思い出すまでは。
それは確かに悲しい光景でした。
きっと、ウェザー・リポートという人形さんに、強く関わった人たちの。
一番悲しかったことを見せられたんだと思います。
でも、それは本当に悲しいだけの記憶だったのでしょうか?
思う事は、それだけでは無くて。
もう一つ、思う事がありました。
本当に、今の私にはもうどうにもならない状況何でしょうか?本当に?
いいえ、私は見ました。
辛い光景だったけれど。哀しい景色だったけれど。
その中で、どうやってこの人形(ウェザー・リポート)を動かせばいいのか。
私は、見てきました。だから、知っています。




───レードディラス・ザケルガ!!


白い髪の男の子が、天井を壊しました。
私は、もう分かっています。
どれぐらいの強さで風を吹かせば、私と、写影さん達を飛ばせるのか。
奇しくもその時、道は開けたような気がしました。
あの空いた天井の穴から、皆を飛ばすことができなら………
細くて、頼りない、生きるための糸。
それでもできるのは、この櫻井桃華一人だけ。
私だけが、皆さんを助ける事ができる。


───ぎゃあああああああ!!!!!


白い髪の男の子に叩き落されて、マジシャンの男の子が、落ちてきます。
今、白い髪の男の子の注意は、あの手品師の様な男の子に向けられていて。
此方に意識を向けている様子はありません。
きっと、私達なんて、片手間でどうにでもなる。
そう考えておいでなんでしょう。
悔しい、とは思いませんでした。
男の子が、私達なんかよりずっとずっと強い事は、確かめなくても分かりましたもの。
同時に、チャンスだと感じましたわ。
どうせ、一度限りの勝負。侮っていてくれた方が勝ち目はあります。
そうして、頭の中で考えていたことを、実行に移そうとして。


───本当に、できるのでしょうか?


だめ。
だめですわ。桃華。
それだけは考えては、いけない。
考えてしまったら、動けなくなってしまいますもの。
でも、それでも、私の中の冷静な部分が。
幾ら油断していたって。
あの白い男の子の目を掻い潜って天井の穴から飛んでいくのなんて。
無理だ、なんて。考えたら、動けなく。
あ、




「……大丈夫、桃華」


そう言って、彼は。
いつの間にか目を醒ましていた写影さんは、私にそう言いました。
私と違って、何を見たのか。
本当に辛そうな、やつれた顔をしていらして。
でも、握られた手は暖かくて、私の手を包み込んでいました。
簡潔に、私は今の写影さんでも理解できるように、やろうとしている事を話しました。


「それなら……一度限りなら、何とかなる。僕が何とかする」


写影さんは、そう言いました。
どうするつもりなのか、聞く必要はありませんでしたわ。
それが実際にできるかどうかは問題ではなくて。
彼が私を信じて命懸けの話に乗ってくれたように、私も彼を信じるだけでしたから。


(ウェザー・リポート…いいえ、ウェスさん)


立てた作戦を決行する前に。
私は心の中で、彼に祈りました。
わたくし愛では、貴方の悲しみを癒すことはできません。
わたくしの愛では、貴方の怒りを理解してあげる事は叶いません。
でも、それでも、
もし貴方が、最後にお友達を救うためにこの力を残したのだとしたら。
あの冷たい夢の空間で、貴方がわたくしの心を守ってくれたのだとしたら。
どうか、これからも力を貸してくださいませ。
スタンドと言う力が。傍に立つ力であり。立ち上がるための力であるのなら。
わたくしに立ち上がるための力を、どうか。


チャンスは一度限り。
この一瞬に、全てを賭ける───!!








「……フン」



鼻から短く息を吐いて。
少しは溜飲が下がったと言った表情で。
ゼオン・ベルは今迄怒りをぶつけていた右天の襟を放った。
どしゃり、と。意識を失った様子の右天の身体が崩れ落ちる。
電撃で焼け焦げ、殴打で痣だらけになっていた体は既に修復されつつあった。
とは言え、呪詛を受けた所に散々サンドバッグにされたのだ、もう暫くは目覚めないだろう。
その前に、残ったごみの掃除をするとするか。
そう思った、その瞬間の事だった。


「ウェザー・リポート!!!」


少女の声が響く。
さっき、取るに足らぬと判断した少女が。
一瞥しただけで動けなくなっていた筈の少女が。
声を張り上げて、何かの名前を高らかに呼んだ。
次瞬の事だった。
轟!!!!と。
暴風が、締め切られた映画館の中で発生したのは。


「何、だと───!?」


それは正しく小型の災害(ハリケーン)だった。
ゼオンをしてその風圧の前には飛び込むことも、鮫肌を振るう事もできなかったのだから。
桃華達の身体が浮遊し、打ちあがる。
まるでロケットの発射の様だった。
ゼオンは最初飛び込んで阻止しようとしていたが、押し戻される。
猛烈なハリケーンは桃華達の発射台でありながら、ゼオンの妨害を阻止する防御壁でもあったのだ。




「小賢しい真似を──してんじゃねぇぞぉ!!!」


だが、直接の妨害が叶わずとも、ゼオンには呪文があった。
ザケルガ、と唱え、右腕を素早く桃華達の前へと指向する。
タッチの差で、桃華達は間に合わなかった。
身体が飛翔し、天井に空いた穴まで後数十センチと言う所で。
暴風の防御壁を突破し、貫通力に優れた雷の槍が着弾コースで迫る。


「終わりだ」


馬鹿が、と心中でゼオンは毒づく。
誰か一人、それかもう一人くらいであれば間に合ったかもしれないものを。
態々自分から的を大きくしてどうする。
全員助かろうと欲張った結果、全員が死ぬ羽目になったではないか。
そんな事を考えながら、無感情に、ザケルガが四人を貫くのを眺め。
そして───すり抜ける。


「何……!?」


ザケルガが貫いたのは、幻影。
その事を、ゼオンは悟った。
だが、おかしい。


(どうやって──俺が奴らを狙うタイミングを読み切った!?)


タイミングを合わせるのが完璧すぎる。
まるで、最初からどのタイミングで電撃が来るのかが分かっている様だった。
そうでなければ、この幻覚は何の意味もなさないのだから。
早すぎれば違和感に気づかれ、遅ければ発動中のザケルガにぶつかってしまう。
それこそ自身のパートナーであるデュフォーのアンサー・トーカーか、
未来を視たのでもなければ不可能な芸当だった。
そして、ゼオンのその読みは正しい。
実際に、支給品の帝具と、本人自身の能力によって。
迫りくる危機を。未来を見通す能力者が此処にいたのだ。


「チッ……」


ただ一瞬。ただ一手。
その瞬間に限り、少年少女の勇気は、修羅の雷帝を凌駕した。
風が止むと同時にマントを使って飛翔し、天井の穴から逃亡者を追うものの、
既に四人の姿は夜の闇の中に消えていった後であった。








映画館を脱出した四人だったが、危機は去っていない。


「だめ……!制御が……できません、わ………!」


最大風速最大風圧。
今の桃華は、大人でも苦労する10トン超のモンスタートラックをアクセル全開で発進させたようなものだ。
そうでなければ四人合わせて百キロ近い重量物を瞬間的に飛ばすのは不可能。
止む得ない判断とは言え、考えるまでもなく無茶だった。
加えて、映画館の脱出に成功して気が緩んだというのもあるかもしれない。


「………ッ!!マサオさん!!」


傍で手を握っていた写影以外の二人が、創り上げた気流の渦からはじき出される。
このままでは、二人は落下死してしまうだろう。
今の桃華達は創り出した暴風の渦にサーフィンの様に乗っている状態であり、瞬間的な方向転換もまず望めない。


(せめて……着地のための気流、を………)


何とか落下していく二人に手を翳して、クッションとなる気流を作り、飛ばす。
これで、何とか二人は助かるだろう。
だが、そこが桃華の限界だった。
気力を使い果たし、最早生み出した飛行用の気流を操作する事も叶わない。
桃華は昔、ハリケーンによって百キロを超す体重の牛が数キロ離れた町に落下した事がある、という話を思い出した。
ぐんぐんと、マサオ達が落下した地点から離れていく。
それに伴い、桃華達の高度も下落していく。




「……君のせいじゃない」


桃華はその時、写影の口から慰めの言葉を聞いた。
彼もまた、理解したのだろう。
順当に、自分達は詰んだのだ、と。
少し不思議な力を持っていたって。
この殺し合いで“ふつうのこども”が生き残るなど、土台無理な話だったのだ。
スタンドパワーが切れ、高度が下がっていく。
ぐんぐんと迫って来る地面を見て、二人はぎゅっと目を瞑った。
………………
………
……


「大丈夫?君たち」


言葉と、共に。
さっきまでの風圧に押し上げられていた時とは違う、しっかりとした浮遊感が写影と桃華の二人を包んだ。
目についたのは、空に浮かぶ、白磁の肌に、鋭く尖った長い耳。
此方を興味深そうに見つめる碧眼に、杖を手に浮かぶ少女の姿。
それはお伽噺に出てくるエルフの魔法使いそのものだった。


「た…助けて下さいまし……」


それだけを、何とか伝えて。
がくりと、二人は意識を手放した。


「フリーレン!!」


今しがた二人のエルフを助けた少女、フリーレンは声のした方に目をやる。
そこには、身に着けた紺のマントで飛翔するガッシュの姿があった。
心の底から心配そうに気を失った二人の姿を覗き込むガッシュを見て。
んー…と複雑そうに天を仰いでから、フリーレンは自らの飛行魔法で二人と共に大地に降り立つ。
そして、降り立った先に建つ、立派な屋敷を指さして。


「取り合えず、あの屋敷で何があったか話を聞こうか」


そう、同行者の少年に告げたのだった。



【G-4ボレアス・グライラット邸前/1日目/黎明】

【美山写影@とある科学の超電磁砲】
[状態]精神疲労(大)、気絶、疲労(小)あちこちに擦り傷や切り傷(小)
[装備]五視万能『スペクテッド』
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:ゲームから脱出する。
0:ドロテアの様な危険人物との対峙は避けつつ、脱出の方法を探す。
1:桃華を守る。…そう言いきれれば良かったんだけどね。
2:……あの赤ちゃん、どうにも怪しいけれど
[備考]
※参戦時期はペロを救出してから。
※マサオ達がどこに落下したかを知りません。

【櫻井桃華@アイドルマスター シンデレラガールズ U149(アニメ版)】
[状態]疲労(大)、気絶
[装備]ウェザー・リポートのスタンドDISC
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:ゲームから脱出する。
0:写影さんや他の方と協力して、誰も犠牲にならなくていい方法を探しますわ。
1:写影さんを守る。
2:この場所でも、アイドルの桜井桃華として。
3:……マサオさん
[備考]
※参戦時期は少なくとも四話以降。
※失意の庭を通してウェザー・リポートの記憶を追体験しました。それによりスタンドの熟練度が向上しています。
※マサオ達がどこに落下したかを知りません。

【ガッシュ・ベル@金色のガッシュ!】
[状態]全身にダメージ(小)
[装備]赤の魔本
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:この者達は……!?
2:フリーレンと、戦えぬ者達を守る。
3:シャルティアは、必ず止める。
[備考]
※クリア・ノートとの最終決戦直前より参戦です。
※魔本がなくとも呪文を唱えられますが、パートナーとなる人間が唱えた方が威力は向上します。
※魔本を燃やしても魔界へ強制送還はできません。

【フリーレン@葬送のフリーレン】
[状態]魔力消費(小)
[装備]王杖@金色のガッシュ!
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:先ずは、落ち着ける場所で何があったか聞こうか
2:ガッシュについてはいったん保留。
3:シャルティアは次に会ったら恐らく殺すことになる。
[備考]
※断頭台のアウラ討伐後より参戦です
※一部の魔法が制限により使用不能となっています。







(あ、危なかったァーッ!!あのモモカって子のお陰で助かったぜーッ!!)


I・R・T(アイドル・レイプ・タワー)の屋上にて。
デス13のスタンドを操る赤ん坊、マニッシュ・ボーイは安堵の息を吐いた。
ギリギリだった。本当にギリギリのところで命を拾った。
夢の世界ではかなり無敵のデス13だが、現実世界では無力に等しい。
故に、現実世界でマーダーに狙われれば、彼も相当危うい立場なのだ。


(あの変な悪夢を見せてくるスタンド攻撃はどうにかなったけどさァ~
あの白髪のガキが現れた時は本当にやばかったぜ)


失意の庭は非常に危険で強力な礼装ではあるが、細工次第で干渉できない事も無い。
事実、正史にてこの失意の庭に取り込まれた予言の子は、その特殊な精神性と、自身の魔術で効果を最低限抑えていた。
乃亜が手を加えていた事と、マニッシュボーイが精神世界を操るスタンドだったこともあり、失意の庭の効果をほとんど受けなかったのだ。
だが、そんなマニッシュ・ボーイも、ゼオン・ベルの乱入によって余裕はなくなった。
このままでは殺される、だが、現実世界では自身のスタンドは無力に等しい。
一か八か、桃華達を殺そうと近づいてきた所を眠り玉で眠らせる。それしかない。
そう思っていたが……そんな彼の予想に反して、桃華と写影という二人は死地からの脱出劇を成し遂げてみせたのだ。
自分達の状況的に、完遂…とまでは至らなかったが。


(チクショオ~~!!何でおれの隣にいるのがあの二人じゃなくて、
こんな何の役にも立たねぇおにぎりなんだッッ!!とっとと起きろこのボケッッ!)


心中で苦し気に眠るおにぎり少年を毒づくマニッシュ・ボーイ。
今、襲われれば一巻の終わりだ。
だが、そんな彼の願いも虚しく。
若干五歳の幼稚園児、佐藤マサオは苦し気に呻くのみだった。




【D- 4 I・R・T屋上/1日目/黎明】

【佐藤マサオ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:精神疲労(大)、気絶中、赤子への庇護欲。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:この赤ちゃんは僕が守る!
1:何だよ皆おにぎりおにぎりって…!
2:桃華さん……せ、聖母だ……!出来たら結婚し(ry
3:写影さんや桃華さんと一緒に行動する。
[備考]
※デス13の術によってマニッシュボーイへの庇護欲が湧いています。

【マニッシュ・ボーイ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康、マサオに対する苛立ち
[装備]:なし
[道具]:エニグマの紙×3@ジョジョの奇妙な冒険、ねむりだま×2@スーパーマリオRPG、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本方針:優勝する。
1:マサオを利用して他の参加者を殺害する。
2:……冷静になって考えてみたらこんなガキ役に立つのか?早く起きろ!
[備考]
※デス13の術によってマサオに庇護欲を植え付けました。
※ねむりだまはエニグマの紙に収納されています。







「フン…貴様の相手をするのもここまでだな」


此方の狩りは自分が行うから霧はいらない。
そう配下の殺人鬼に告げていたのが裏目に出た形となった。
もしジャックの霧が展開されていれば、逃げ延びるのは不可能だっただろう。
しかし、此方の敵は逃がすつもりは毛頭ない。
映画館の外から、再び館内へと降り立ち。
ゼオン・ベルは再生を終えて此方を睨む奇術師の少年を見据えた。


「調子に…乗るなよ。僕はアークライト様にエデンズシードを頂いた選ばれしニードレス
最も神に近い、全てを手玉に取る奇術師なんだよ!!」


いう事の聞かない四肢を叱咤しながら、力を籠める。
此処までコケにされて、黙って逃げるわけにはいかない。
何より、少しでも隙を作らなければこの身体では逃げるのも難しいだろう。
故に、戦う事を、少年は選んだ。
歯を食いしばり、目を血走らせて。その手のレヴァンティンを振るう。
ただの剣であれば一目で届かないと分かる間合い。しかし彼の持つ剣はただの剣ではない。

『Scalange Form』

少年の持つ剣は、烈火の将シグナムを真の所有者とする魔法のデバイス『レヴァンティン』
内包する魔力カートリッジを消費する事によって形状を変える戦闘用デバイスである。
電子音が響くと同時に、両手剣の形状を取っていた剣が変貌を遂げる。
幾つもの節に別れた、蛇腹剣の形状に。
それだけでは終わらない。


───バミューダ・アスポート!




自身の能力、バミューダ・アスポートによって身体とレヴァンティンを透明化させる。
これで接近戦を行うことなく、一方的に相手を甚振れる状態が整ったという訳だ。
───相手が、ゼオン・ベルでなければ。
次瞬、ゼオンの身体が大きくブレる。
残像すら残る速度で、駒回しの様にその手の大刀を振るう。
ド、ドドドドドドド!!!!と。
およそ刀から出ているとは思えない程の轟音が、映画館に響いた。
ゼオンが繰り出したのは、鮫肌に依る突きのラッシュ。
不可視の剣閃を、鋼の連打で以て撃墜したのだ。
そして、当然彼の行動はそれだけに留まらない。


「ラージア・ザケル!!」


広範囲に拡散する電撃のカーテン。
この術がある限り、ゼオンにとって、相手が見えないのは殊更問題ではなかった。
桃華達の時とは違い暴風の防御壁は無く、相手が見えずとも、“当たればいい”のだから。
そして彼の使う術は、初級呪文であってもギガノ級の呪文に真っ向から勝利するだけの威力を有している。


「ぎゃあああああああ!!!!」


声の上がった方角に、目にもとまらぬ速さで疾走。
今度は相手が前方にいる事は分かっている。
故に、術の効果範囲はおおよそ前方に拡散するものであればいい。
ダメ押しとなる、中級呪文が奏でられる。


「テオザケル!!」


「─────!!!!!」




声にならぬ悲鳴が、右天の声帯から飛び出した。
ダメージの累積により、バミューダ・アスポートが解除される。
それに構っている暇も、今の右天にはない。
何故なら、既に眼前に死神が迫っているのだから。
咄嗟にレヴァンティンを構える。その形状は既に蛇腹剣ではなくなっていた。
ゼオンの持つ大刀、鮫肌。
霧の忍び刀七人衆の怪人、干柿鬼鮫が保有するこの刀は、他の刀と比べても群を抜いて悪食であった。
レヴァンティンが纏う魔力を、最初に打ち払う際に削り喰らっていたのだから。
だが、これは右天にとってある意味幸運だったのかもしれない。
蛇腹剣のままでは懐に入られた場合、彼の技量では到底扱えなかっただろう。


「死、ねぇ──!!」


ただ、刀身に殺意だけを乗せて。
振り被られる大刀目掛けて、レヴァンティンを跳ね上げる。
二刀の魔剣が激突し、鋼の調べが高らかに鳴り響いた。
拮抗は一瞬。
担い手の技量も、刀の重量も、全てがレヴァンティンは劣っていた。
粉々に、デバイスが砕け散る。


「剣の扱いが素人だな。アークライト様とやらは剣術も教えてくれなかったのか?」
「ぐ──!」


バックステップで後退し、床に置いたままのグラーフアイゼンを手に取ろうとする。
ハンマーなど右天は扱ったことは無いが、無手よりはマシだ。
そして、重量のあるグラーフアイゼンを持ち上げようとした所で、握った手ごと──
ゼオンが振り下ろした鮫肌は、グラーフアイゼンを叩き潰した。




「う、ぐ、ぎぃいいいあああああああッッ!!!!」


両手首がちぎれ跳び、激痛にのたうち回る。
ゆっくりととどめを刺すべく歩いてくるゼオンを見て、漏らすのは怨嗟の声だった。


「く、そ。体さえ、いう事を聞いたら───」


お前などに負けなかった。
少なくとも、逃げ切る事は出来たはずだ。
全て、支給品の説明をちゃんと記載しなかった乃亜のせいだ。
子供じみた恨み言を零す右天を見て、ゼオンは嘲りを含んだ笑みを漏らす。
そして、鮫肌を振り被った。


「身の丈を超えた力は身を滅ぼす、次があったら教訓にするんだな」

「クソッ!クソッ!糞ォオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」


ドン!!!と砲弾が炸裂したような音が響き。
それが最後だった。
上から頭部と心臓を破壊された右天は、もう二度と再生することは無かった。
人を呪わば穴二つ、という諺がある様に。
ごくありふれた、必然の結末だった。
でも右天は知らなかったのだ。
正史において、どんな人物が失意の庭を使い。
そして、どんな最期を迎えたのか。





一度でも呪術に手を染めた者に、悔いのない死など存在しない。



【右天@NEEDLESS 死亡】








「何よ、これ」


絶句していた。
慣れない人間の建てた建物と、そこに立ち込める濃霧。
夜こそ本懐である吸血鬼ですら、惑い、迷い。
その果てに今迄自分が追って来ていたのは、妙なバッジから出た声だったのだ。
やられた。と思うと同時に、脳裏を過るのは一つ。
しんちゃん!
しんちゃんが、初めてのお友達が危ない。
バッと振り返り、最初にいたシアタールームに戻ろうとする。


「こっちだよー!フーラーン!!」


だが、彼女の予想に反して。
最初であった時と同じ笑みで、彼女の眼前にジャックが立っていた。
間違いない。今度は声だけではない。
身体の部分は相変わらず霧に隠れて見えないが、顔はハッキリと見えている。


「もうーフランったらおそいんだもん。だからはんで?あげるね!」


にっこりと笑うジャック。
身体の方は相変わらず霧に遮られてはっきりしないが、
顔だけは霧がかかっておらず、鮮明に見える。
舐められている。直感的に分かった。
だが、怒りはしない。侮りの代償は、命で支払わせる。
2秒でこいつを壊す。
それだけを胸に、フランはジャックに向けて飛び掛かった。
ジャックが笑みを浮かべて飛び退る。
フランはそれを見て、勝利を確信した笑みを浮かべた。
相変わらずのすばしっこさだ。だが、その程度の飛距離では躱しきれない。




「―――禁忌レーヴァテイン」


滑らかに、淀みなく、スペルを唱える。
世界を焼き尽くすと言われている紅き剣が、彼女の手に現れる。
突如得物を得た敵手に慌てて後退する速度を上げる殺人鬼、だが、それでは遅い。
人一人分ほど、遅かった。
ずぶり、と。確かな手ごたえを感じる。
確実に、少女の心臓を貫いた。


「私の勝ち───」


勝利を示す鬨の声を上げようとしたところで。
気づいてしまった。
今しがた胸を貫かれたばかりの、殺人鬼の表情に。
───笑っていた。




「ぉ……ぐぉ……フ、ランちゃん………」

「しん……ちゃん?」




レーヴァテインが貫いていたのは、彼女の初めての「おともだち」だった。
ごふりと、少年は口から血の塊を吐き出して。
助からない事は、見ただけで分かった。


「あーあ、でも、近くにいたその子が悪いよね?」


くすくす、と。
嘲るようなジャックの笑みすら、今は耳にも視界にも入らない。
ただ、自分の手で壊してしまった友達を見つめて。




「しん、ちゃん」


名前を呼んだ。


「しんちゃん、しんちゃん、しんちゃん……っ!」


そうすれば、最早助からない少年が助かると信じているように。


「ごめん、わたし、ごめん───」


助ける方法なんて分からない。吸血鬼は刺されたくらいで死んだりしないから。
これが冷静だったら、もっと別の方法が考え付いたのかもしれないけど。
でも、今の彼女にそんな余裕はなかった。
ただ、壊してしまった友達に謝る事しかできなかった。


「いいんだ、ゾ………フランちゃん」


死に行くしんのすけが、口を開く。
喋れば死ぬ時間を早めてしまうけど。
それはしんのすけも漠然と理解していたけれど。
それでも、お友達に悲しい顔をして欲しくなかった。


「女の子が、本気で、謝ってる、とき、は……わらって、ゆる、す、のが。
男の、かいしょー、だって、父ちゃんも、言ってた、ゾ………」


ごふり。また赤黒い血の塊が吐き出される。
しんのすけの瞳から、命の灯が消える。
最後の力を振り絞って、しんのすけは続けた。


「フランちゃ、が、おとな、になった、ら、オラと、デート………」


それが、しんのすけの最後の言葉だった。
ふっと、フランの腕の中のしんのすけの手の力が抜けて。
壊れかけだったお友達は、たった今壊れてしまったお友達に変わった。


「………うん、ありがとう。しんちゃん」


光の失ったしんのすけの瞼をゆっくりと降ろして。
フランは、笑った。
けれどそれは狂気に彩られたものではなく、友に向ける優しい笑みだった。
けれど、そんな笑みを浮かべていたのも一瞬で。
しんのすけの亡骸を床に降ろし、向き直る。





「壊すわ、貴方の全部」



最高速度、渾身の力で。
目の前の存在を終わらせるべく、疾走を開始する。
意味も理由もいらない。遊びじゃなくて、本気でこいつを終わらせる。
ただ、壊す。
頭の中にあるのは、その一心だった。


「うん、でも───」


対するジャックの態度は涼やかな物だった。
まるでここまで全て計算づく、とでも言うように。
迫って来るフランにも、もう後退すらしない。
ただ、微笑みながら宣言する。


「フランの、まーけっ!」


べきべきべき、と。
左から何かが折れる音が響いて。
直後に、凄まじい圧迫感に襲われる。
下からかちあげられ、フランの矮躯が宙を舞う。
そのまま天井を突き破り、映画館の屋根を突き破り、吹っ飛ばされていく。


「おー、ほーむらん」


吸血鬼と殺人鬼。
夜を制したのは、無垢で狡猾な殺人鬼だった。




「……フン、生きているな。あれでは」


上半身と下半身が泣き別れになるはずの一撃だった。
だが、少女の小細工により、それは叶わなかった。
吹き飛ばされたのも、戦力の不利を悟った半ば自主的なものだろう。
そう、今しがた吸血鬼の少女を吹き飛ばした少年、ゼオン・ベルは判断した。


「……食事を終えたら次の獲物を探すぞ、準備しろ」

「はいはーい……うぇっ……これ食べられない…えんがちょ」


ゼオンに下賜された少年は呪詛に浸食されており、水子の亡霊であるジャックでも食べるのが躊躇われる遺体だった。
単なる呪詛程度ならジャックにとってはむしろ栄養価が高い逸品だが、良薬も過ぎれば毒になると言う言葉通り、これは度が過ぎている。
あの吸血鬼の少女の心臓は美味だっただろうか、ジャックは少し切ない気分になった。
今しがた死亡した吸血鬼の友人の心臓を抉り取り、咀嚼する。
余り美味しくなかった。でも文句は言えない。
傍らの自分の仮マスターは非常に気が立っている様子だったから。
次のおやつは悪人がいいなー。そう思いながら、ジャックは野原しんのすけの心臓を嚥下した。


【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん 死亡】




【C-3 映画館内/1日目/黎明】
【ゼオン・ベル@金色のガッシュ!】
[状態]健康、失意の庭を見た事に依る苛立ち、ジャックと契約
[装備]鮫肌@NARUTO、銀色の魔本@金色のガッシュ!!
[道具]基本支給品×3、ランダム支給品4~6(ヴィータ、右天、しんのすけの支給品)
[思考・状況]基本方針:優勝し、バオウを手に入れる。
1:ジャックを上手く使って殺しまわる。
2:ジャックの反逆には注意しておく。
3:ふざけたものを見せやがって……
[備考]
※ファウード編直前より参戦です。
※瞬間移動は近距離の転移しかできない様に制限されています。
※ジャックと仮契約を結びました。
※魔本がなくとも呪文を唱えられますが、パートナーとなる人間が唱えた方が威力は向上します。
※魔本を燃やしても魔界へ強制送還はできません。

【ジャック・ザ・リッパー@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、探偵バッジ×5@名探偵コナン、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:優勝して、おかーさんのお腹の中へ還る
1:お兄ちゃんと一緒に殺しまわる。
2:ん~まだおやつ食べたい……
[備考]
現地召喚された野良サーヴァントという扱いで現界しています。カルデア所属ではありません。
ゼオンと仮契約を結び魔力供給を受けています。
※『暗黒霧都(ザ・ミスト)』の効果は認識阻害を除いた副次的ダメージは一般人の子供であっても軽い頭痛、吐き気、眩暈程度に制限されています。




※グラーフアイゼン、レヴァンティン、失意の庭は破壊されました。残骸が館内に転がっています。








「私の敗け……か」


吸血鬼が吹き飛ばされたのは、奇しくも彼女の天敵である場所だった。
人々が神に祈る場所、教会。そのステンドグラスを突き破って、彼女は落下した。
神への祈りを忘れた者が、十字架の上に横たわっている光景は、とても皮肉めいていて。
一瞬の判断だった。
このままでは上半身と下半身が泣き別れになる、そう判断した彼女は迷わずスペルカードを切った。
――禁忌「フォーオブアカインド」
発生した分身たちは全て、背後に迫っていた襲撃者の持つ刀に削り取られてしまったが、
その代わりとして得たほんの僅かな時間により、防御が間に合ったのだ。
でなければ、しんのすけに続く死者として彼女は躯を晒していただろう。

だが、少女にとってそんな事は何の慰めにもならなかった。

495年の生涯で初めて味わったかもしれない敗北の苦渋と。
初めてできた友人の喪失は、彼女にとって実に、実に苦いものだった。


「いやだわ。敗北(これ)」


呆然と呟いて、割れた窓から夜空を仰ぐ。
左腕と左翼を見てみればぐちゃぐちゃに折れ曲がっていた、回復には時間を要するだろう。
だが、今のフランにとってその痛みは忘れてはならない物だった。
何故なら、彼女の記憶は、襲撃者の情報がそこだけ虫食いになったかのように欠落していたから。
どんな相手だったか、外見、年齢、背丈、性別、得物など…ついさっき戦っていた相手の事が思い出せなかった。
背後からの襲撃者も姿は見ていないし、左半身に残る痛みだけが。
皮肉にも初めての友の喪失とその仇の存在を示す、手がかりだったのだ。
友を失った彼女が、この後どんな選択をするのかは分からない。
しかし、確かなことがたった一つだけ。
吹き飛ばされる最中、これだけは手放すまいと片腕で守った傘を掲げて、ぽつりと呟く。


「───これは悲しいのかな。それとも、悔しいのかしら。よく…分からないわ」


吸血鬼の少女と、春日部の嵐を呼ぶ五歳児は……確かに、心を通わせていた、ということ。



【B-6 教会内/1日目/黎明】

【フランドール・スカーレット@東方project】
[状態]:ダメージ(中)、左腕複雑骨折(治癒中)、左翼損傷(修復中)、精神疲労(大)
[装備]:なし
[道具]:傘@現実、基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:友達になってくれたしんちゃんと一緒に行動、打倒主催
1:────
2:しんちゃんを殺した奴は…ゼッタイユルサナイ
[備考]
※弾幕、能力は制限されて使用できなくなっています
※飛行能力も低下しています
※一部スペルカードは使用できます。
※支給品はまだ確認していません
※ジャックのスキル『情報抹消』により、ジャックについての情報を覚えていません。

019:進め卑怯者 投下順に読む 021:追い付けない キミはいつでも
029:たった1つの石ころで人生は大きく変わる 時系列順に読む 022:hemligheter får män att bli
010:トリックルーム 右天 GAME OVER
美山写影 031:夜の館で
櫻井桃華
佐藤マサオ 030:関係なかった!!
マニッシュ・ボーイ
006:友よ~この先もずっと… フランドール・スカーレット 052:きみにできるあらゆること
野原しんのすけ GAME OVER
069(候補作採用話):霧と雷 ゼオン・ベル 050:Everyday Level Up!!
ジャック・ザ・リッパー
085(候補作採用話):未知との遭遇 ガッシュ・ベル 031:夜の館で
フリーレン

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